Road to an Agriconsul

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2007年06月06日
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カテゴリ: 農業一般


 私はその高校で2年近くお世話になっていたのですが、赴任して数ヶ月が過ぎたある日、そこの校長先生から「ババコ」という果物の栽培をしてほしいという依頼を受けました。

 実は私はそれまで「ババコ」という植物の存在を知りませんでした。
 しかし私が知らなかったのは当たり前といえば当たり前のことで、当時その果物が栽培され生産されていたのが「エクアドル」から「コロンビア」の地帯のみで、たぶん日本には紹介される機会は少なかったと思われるからです。
 またそれは「パパイヤ」と「他のある植物(名前を忘れた)」を人為的な処理を掛け合わせ生み出した、果実に成熟した種子をつくることができない「三倍体」とよばれる植物でした。それゆえ増殖法は挿木方法が主となり、種を持ち出して増やすということができなかったため、他の地域へ普及していくには、時間がかかる果物だったのでしょう。

 ただいくら私がその果物のことを知らないとはいえ、依頼を受けたからには、何とかしなければなりません。
 とりあえず日本語の文献はないので、地元の農業試験場から「ババコ栽培マニュアル」といった冊子をもらってきて、スペイン語の辞書を引き引き、意味の分からぬところは飛ばしながらも何とか読み通し、その冊子の指示に従いながら畑の準備をはじめました。

 ところでこの「ババコ」という果物の食べ方についてですが、普通の果物のように果実をまること食べるということはしません。一般的には、皮をむいた「ババコ」の果実を砂糖と一緒にミキサーにいれ「ジュース」にしたり、また牛乳を加えて「ミルクセーキ」のようにしたりして飲みます。他にも「ジャム」にしてパンにつけて食べるという使い方もあります。
 生で食べれないこともないのですが、甘みもなく、味もハッキリせず、そのように食べても正直言って美味しいものではありません。
 しかし「ジュース」や「ミルクセーキ」にすると、なかなかコクのある味に仕上がって、私などは、必ず食堂でこのジュースを注文するほどやみつきになりました。

 そしてこの「ババコ」は新しく開発された果物とあって、市場でも高い価格で取引されていたことから、この農業高校でも地域新興も視野に入れて、栽培計画を立てたようでした。
 ただこれは後で知ったことですが、この計画は校長の発案ではじめたようで、その高校には20人近くの教員がいるものの、誰もがこの「ババコ」を栽培した経験がないことから、やりたいという人がいなく、ちょうど日本からやってきた現地について右も左も分からず、スペイン語もよく理解していない私に、その話が降りてきたのでした。

 そんなことをつゆ知らぬわたしは、セッセとセッセと植え床の準備をすすめ、200kmぐらい離れたところになる「エクアドル中央農業試験場」から苗を運び込み、植え付けに至ったのでした。

 そして遂に約300本近くの苗を植え終えた私は、その畑の端に立って腕を組んでは、1年後にははじまる予定の「ババコ」の収穫イメージを頭に思い浮かべて、「ニヤリ」と笑みを浮かべていたのでした。
 しかしその足もとでは、そんな夢描く私をおおいに苦しめ、そして遂には敗北へと落とし込めることになる、不吉な昆虫が連なり歩く姿があったのですが・・・。

       つづけ

ババコ
<ババコ>







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最終更新日  2007年06月06日 07時47分39秒
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