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スリーアゲーツ 二つの家族 五條瑛五條瑛さんの「鉱物シリーズ」第一弾の「プラチナ・ビーズ」に次ぐ第二弾の「スリーアゲーツ 二つの家族」を読了。1999年出版の本で、第3回大藪春彦賞を受賞した作品です。1999年出版時は「スリーアゲーツ 三つの瑪瑙」というタイトルでしたが、後に改題されています。文庫本なので上下2巻に分かれていました。内容(「BOOK」データベースより)偽造紙幣“スーパーK”の運び屋と目される北朝鮮工作員が日本に入国した。来日前、ソウルで激しい銃撃戦を起こした工作員・チョンは、現場にメモを残していた。米国国防総省直轄の情報機関に所属する葉山隆に与えられた任務は、その文書の解読と、日本での潜伏先を探ることだった。上司・エディからの命令にしぶしぶ調査を進めていた葉山は、やがてある日本人女性とその息子の存在に行きあたる。同時期、北朝鮮では対外情報調査部に勤める夫を持つ女性・李光朱と、その娘・春花が、平壌から北へ向かっていた。二人は白頭山を望む国境の町・茂山にたどり着いた。スリーアゲーツは、第一弾のプラチナ・ビーズの続編、と言って良いのでは。プラチナ・ビーズと同じく、「架空の国」・北朝鮮を描いた作品。今回は、エスピオナージュというより、一人の男(夫であり父である)を描いた人間ドラマ、という感じでした。今作は、登場人物の背景説明がない分、無駄な描写が減り、物語に没頭できました。非常に読み応えがあります。もう読み出したら止まらない、ページターナー。前作より、より一層ウエットになっています。それは優しすぎるアナリスト・葉山隆の存在が大きいのかなあ。大きなテーマは父親。葉山の父親に対する複雑な心境も語られて、心を揺さぶられます。一方、坂下は今回あまり活躍しませんが、最後に思いっきり動いて、存在感をアピールしていました。こちらは、より非情さを増していましたね。クライマックスの大坂を舞台にした追跡劇はハラハラドキドキ。そして、最後の最後は涙涙・・・。それぞれの家族の将来に幸あれ、と願いました。これは、二十年前の作品ですが、現在もほとんど状況が変わっていないように思われる架空の国・北朝鮮。民がもっともっと幸せに暮らせるようになればなあ・・・、と願ってやみません。
2020年07月27日
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小説すばる 2024年10月号森羅記 第一回 北方謙三うわ~、北方謙三さんが小説すばるに帰ってきました!今度の物語は、チンギス・ハンの孫・クビライの話のようです。水滸伝から脈々と続くシリーズの最終章だそうで、楽しみですね~。クビライと言えば後に「元」を建てる人。すなわち、元寇で、日本にも大きく関わる人ですね。元寇の頃の日本は1270年頃ですから、鎌倉幕府の北条時宗が収めていた頃でしょうか。もっとも、それはもっと後の話で、話の始まりはクビライがまだ何者でもない頃からです。チンギス・ハン亡き後、第二代皇帝ウゲディが亡くなり、後継者争いでゴタゴタしています。のっけから登場人物が多数出てきて誰が誰やらさっぱりわかりません。整理してメモしておかねば。クビライは長男の死亡に耐えられず、放浪の旅をしています。スブタイ将軍の孫・アジュ(阿朮)と一緒に海を見に行って衝撃を受け、船で航海をしてきます。このような旅が後のクビライに影響してくるんでしょうか?モンゴル帝国と鎌倉幕府の両面を描く今回、またまた壮大な話になりそう。今後が楽しみ!
2024年10月04日
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小説すばる 2026年5月号女ともだち 町田そのこわたしは作家に、美景は編集者に・・・。そんな夢をともに追いかけていたはずなのに、四十六歳になってもわたしは作家になれていない。一方、美景は夢を叶えていて・・・。(小説すばるより転載)編集者として成功し、自らのエッセイまで売れて成功者として認められている美景。小説家になるのが夢だったわたしは、結婚して子育てをしているが作家デビューは叶っていない。そんなわたしは、美景を乗せて車でドライブをしている。その目的は・・・。長年にわたる友情物語ですが、途中に長期間の空白があります。交流のきっかけがネットというのが、今どきの話だなあ、と感心します。過去が次第に判明してきますが、最後にあっと驚く展開が待ってました。感動しました。友情、人生というものを考えさせてくれますね。今号の読切短編の中ではピカイチでした。
2026年05月05日
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小説すばる 2025年4月号I ゲオスミン 第一回 道尾秀介ホームレスの野宮と知り合った田釜は、元刑事であったという野宮が語る幾つかの話に耳を傾ける。田釜も、野宮も、何かを抱えていた。前作「N」を越える、新たな小説体験をご堪能ください。(小説すばるより転載)道尾秀介さんの新連載。最初に注意書きがあり、本作「I]は「ゲオスミン」「ペトリコール」という二つの章から成る物語です。章を読む順番は自由ですが、その選択により、結末は大きく変わります。どちらかの順番で読むと、二人の主人公を含め、多くの命が失われます。別の順番で読むと、彼ら(彼女たち)は生き残ります。殺すか、救うか。あなたの選択が、人々の生死を決定します。後戻りはできません。著者読む順番で生き死にが変わるというのはどういうことなのかよくわかりません・・・。単行本なら選択の余地がありますが、月刊誌の連載だと難しい・・・。次回まで取っておくのは我慢出来ないので、とりあえず読んでしまいました。う~ん、相変わらず重厚な展開。二人の登場人物の過去は強烈です。読み終わって立ち直れないくらいです。次回のペトリコールはどんな展開になるのか?楽しみです。
2025年04月03日
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黒川博行さんの「凶花」の小説すばるでの連載が2024年10月号を最後に掲載されていません。それまでは毎月載っていましたし、隔月みたいな感じでもないみたいだしでどうなってしまったのでしょう?小説の先が書けなくなったのか、体調なんかの関係なのか・・・。まあ、月刊小説誌の連載ストップはよくあることで、そのままフェードアウトすることが多いですよね。と思っていたら、いつの間にか単行本が出ていた事もあるのでよくわからんです。しかも他社から出版されていることもあり、イマイチ出版のルールがわかりません。楽しみにしていた連載なので、再開を望んでいるのですが、こればっかりは待つしかないですね。そういえば、王谷晶さんの「令和元年生まれルリカ50歳」もいつの間にか連載停止してますよね。
2025年03月06日
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