やはり8月は8月だなと実感する。
空気感がかすかに違うからだ。
それに、
日本人ならどうしても回顧的にもなる。
あと三日で原爆が使われるとは誰も予期せず、たぶん知識もなかった。
すでにもう東京も大阪も壊滅して、
まともな人なら国の過ちに気が付いていた。
それでも狂気の軍国組織は自国の国民をさえ蹂躙しつづけていた。
原爆のようなむごたらしい大量殺戮兵器を
使わなくても日本の狂気はもう制御できたはずだ。
僕は今でも思う。
原爆を使うことなく日本国民を解放してほしかった。
僕の原点は解放前夜にある。
そう。
僕の立ち位置からは「解放」だった。
狂った国家権力の手下という世渡りをする者が威圧していた。
幼心に
その男の肩に嫌悪と憎悪を感じた。
そして終戦が現実化してすぐ、
その男は何処かに消えた。
戦争は
殺されるから殺すという殺人活動ではあるけれど、
その本質は
人間を狂気にするということなのであり、
病理現象だ。
病理現象のルーツは
国家とか民族とかという陳腐で軽薄な観念にある。
恐ろしいことには
そういうことを言う権力者は
自国民を犠牲者の山にする。
狂気の空気感も知らないで
今の首相は陳腐な言論で無垢な国民を汚染しつつある。
今ではもうマスコミも加担する広報媒体になっていて、
組織のない無力な国民の唯一の頼りは
どこにもないような不健全な世の中になった。
と
僕は思う。