古い写真があった。

手前にある5輪車は、
今はもうネットにも見つからない。
去年、自分用のデモ車も、
不要になった元顧客から引き取ったのも
経年変化で廃棄した。
この5輪車というのは、
体に障害がある人や自転車苦手な人用に、
国産自転車が壊滅寸前だった頃にまだ残っていたメーカーが開発した。
倒れにくい3輪自転車も、
段差、特に7段差を斜めに越えたりするとき転倒の危険があった。
それに結構重かった。
5輪というのは、前輪は2輪で、
後輪の左右にはやや地上からごく7わずか8浮く補助輪に見えるものが
ついていた。
この補助輪の機構に特許があり、
走行傾斜に伴い左右がそれぞれしなりながら車体を支える仕組みだった。
2輪の自転車のようには速度は出ないけれど、
慣れれば楽々乗り心地で、
左右に振れながらの走行感がよかった。
それに、軽量に作られていた。
持病や怪我で不自由な部分があるお客様と結構出会った。
メーカーとしては僕の取り扱い数は目立っていたと思う。
あるとき累計生産数を聞いたら、
一桁少なかった。
僕は個人だからニッチな製品に限って紹介していたからだ。
文字通りの町工場だから、
お客様の症状に合わせて、
いろいろ改造にも応じてくれた。
紛体塗装ラインもっていたから、
好みのカラーにも対応した。
でもやはりそのメーカーにも廃業の時期が来た。
社長は、
廃業後も個人会社でアフター対応してくれた。
同じ世代だったと思う。
もうこの2~3年は気になるお客様からの電話もなく、
社長ともコンタクトしていない。
お互いにフェードアウトだろうと思っているけど、
もしかしたら
社長は復活しているかもしれない。