あま野球日記@大学野球

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2011.03.05
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カテゴリ: プロ野球

ウォーリー与那嶺

戦後の日本プロ野球に大きな足跡を残した与那嶺要さんが2月28日、亡くなった。日系2世の米国人選手として1951年に来日。走攻守に活躍して外国人選手の存在の大きさを知らしめ、指導者としても優れた手腕を発揮した。

51年6月、戦後初の外国人プロ野球選手として来日し、巨人に入団。 デビュー戦となった名古屋(現中日)戦(後楽園球場) は、7回無死一、二塁から代打での登場だった。ベンチは送りバントの指示だったが、名古屋のエース杉下のボールを三塁線へ転がすと、一塁へ猛然とダッシュ。バント安打を決め、両チームの選手を驚かせた。
・・・(1)

同じ巨人で「打撃の神様」と呼ばれた川上哲治さんとはよきライバルでもあった。 来日3年目の53年から56年までは川上さん、与那嶺さんの順で交互に首位打者のタイトルを獲得した。中日監督3年目の74年、川上監督率いる巨人の10連覇を阻止して優勝を果たした与那嶺さんは、「ようやく哲に勝ったよ」とはしゃいだという。 ・・・(2)
(以上、朝日新聞)


■『野球を変えた男』(ウォーリー与那嶺著、ベースボール・マガジン社刊)には、記事にあった(1)(2)の詳細が書かれていた。※注 下線および(1)(2)は「あま野球日記」が付記した。

(1)1951年6月21日、与那嶺さんは日本の初打席で、見事にセーフティーバントを成功させた。場面は、スコア4-6と名古屋(現・中日)にリードされた7回裏のことだった。無死一・二塁のチャンス。次打者の7番・ 武宮敏明 が打席に入ろうとした時、 水原茂 監督がタイムをとりダグアウトに戻って選手に声をかけた。「だれかバントをやるやつはおらんか」。
誰も返事をしない。そんな時、助監督兼選手だった 千葉茂 が言った。「与那嶺にやらせてみよう」。「ウォーリー、自信はあるか?」水原が尋ねた。与那嶺は待ってましたとばかりに即答した。「オーケー、アイ、トライ!」

だがスタンドを埋め尽くした四万人の観客を見て、ボクはいきなりアガってしまった。左バッターボックスに立つと、両足がガタガタ震える。心臓が飛び出しそうだ。投手はエースの杉下茂。その初球、一塁線にバントした。西沢道夫一塁手が突っ込んでくる。ぼくはダッシュしたが緊張で足がつって転倒してしまった。ファールになったのが見えた。ホッとした。

水原さんから指示が飛んだ、「三塁線を狙え!」。「オーケー」ぼくはうなずいた。
第2球、外角の速球をミートして三塁線に転がした。ボールはうまく殺せた。杉下投手と三塁手の服部受弘が凄い形相で突進してくる。ぼくはダッシュした。走ることは得意だったし、スタート・ダッシュには自信がある。耳元で風がピューピューと鳴った。一塁ベースに駆け込む。間にあった。犠打ではなく内野安打。オールセーフである。



■このバントで、日本のプロ野球界で与那嶺さんは見事なスタートを切った。米国仕込みの積極的なスライディングをはじめ、走攻守の三拍子そろった活躍をし、それまで打つだけ、投げるだけの野球だった日本野球に新たな息吹を吹き込んだ。

通算成績。現役12年、1219試合、打率.311、出塁率.387、四死球522、失策56。

(2)ただ現役最後になった1962年のオフ、与那嶺さんは志半ばで引退を余儀なくされた。現役時代の華々しさとは対照的に悲壮感が漂ったものだった。力が衰えつつあったものの、現役続行を希望した与那嶺さんに対し、巨人の対応は冷酷だった。球団内部では水原監督の更迭が決まり、次期監督選びが始まっていた。次期の監督候補筆頭だった千葉茂さんは既に近鉄に追われ、 川上哲治 さんが就任することが既定路線だった。

現役続行が無理ならせめて巨人のコーチに・・・。そう望んだ与那嶺さんだったが、これも叶わなかった。前述の自著『野球を変えた男』には、川上さんの当時を回顧したコメントが記されている。

「ウォーリーは私のことを恨んどったらしい。そのころは足が遅かったし、肩は衰え、レギュラーとして無理だった。当然、コーチにしてくれると思っていたろうが、そうはいかない。ウォーリーは日本語がうまくできんかった。今でもあまりうまくないでしょう。言葉がしっかりしていないとコーチはつとまらん。バッティングの微妙なコツを教えるのは、日本人の私だってうまくできないんです。まして、ウォーリーの日本語はさっぱりだった。だから、私はコーチとしてはまったく考えとらんかったねぇ」


■与那嶺さんは、日本以上に、地元ハワイにおいてスーパースターだったらしい。著書にもそのことが書いてあったし、ちょうど一年前にホノルル空港に行った時のこと。そこには与那嶺さんの巨人・中日時代のユニフォームが飾られているのを見て、ボクはそのことを十分に感じることができた。


■YOUTUBEで与那嶺さんの積極果敢な走塁を見ることができます。興味ある方は こちら をどうぞ。与那嶺さんの足を両手で掴んで離さない三塁手の動きに注目!



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Last updated  2011.03.06 00:28:43
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