戦いの火蓋  (私の過去日記)

戦いの火蓋 (私の過去日記)

2006年01月31日
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しんっと静まり返った。


それまで黙ってタバコをふかしていたダンナが口を開く。



「オレもさ、コイツはまだよく世間を知らないな…とは思うよ」



それを聞いてM男は、はんっと笑うと、



「結婚しているんだから、若いとか世間知らずだとかいうのは理由にならないだろ」



勝ち誇った顔で言う。ダンナはまた、考え込むように黙ってしまった。


…今のは、かばったつもりだったのかな。





そのとき、今までずっとおとなしくしていてくれた息子君が「あーぅだーぅ」と言い出した。


息子君は、こう、目が合ったりすると、愛くるしい顔で「あぅー」としゃべりだすことがあった。


私は息子君のほうを向き、話す言葉にうなづいていた。










「この短いあいだに、どんだけのことがあったの、分かるか?

 俺たちはな、話し合った思んだよ。

『いくらお袋が悪かろうが、そうじゃなかろうが、

俺たちだけはお袋の味方でいよう』


 お袋の言うことだけを信じ、

 お袋の言うことだけが真実で正しいと思うことにしたからよ」



そう言い、ダンナと私を睨むと、



「アニキの家の年長者は誰だよ! お袋だろうが。

 今はアニキが働いた金で暮らしているけど、

 誰が今まで育ててきてくれたと思っているんだよ。

 お袋に感謝することも忘れて、いい加減なことしているんじゃねぇ」




そう、言い放つ。





ダンナは、相変わらずバカバカとタバコを吸っていた。


空気清浄機がついているとはいえ、


ダンナとM男がバカバカとタバコを吸うせいで、空気は悪かった。



赤ちゃんがいるのに、どうしてこんなことができるんだろう…なんて、ちょっと思っていた。






ダンナが口を開く。


「俺はコイツに、甘かったのかもしれないな…」



私はダンナを振り返り、言葉の意味を理解しようとした。


おもむろに、M男が言った。




「いつでも俺たちは、

 お袋を受け入れる準備ができている」






決め台詞のように、久しぶりにこの言葉が出た。






「A子もちゃんと分かっている。

 お袋が来ていてくれると、いろいろと手伝ってくれて助かるって言っているしな」



そうしたら、A子が言う。



「そうだよ。

 遊びに来ているとき、階段の掃除をしてくれたり、

 お洗濯の取り込みを手伝ってくれたりと、本当に助かるんだよ。

 どうして、あんなにいい人を邪険にするのか、理解に苦しむよね」



ゆがんだ顔で、私をにらみつけると、



「お義母さんが私に言うんだよ。

“自分はそんなに嫌な奴かな…” って。自分を責めていたよ。

 それなのに、あんたはなんなんだよ! 

 自分のダンナを産んでくれた人なんだよ! 

 自分のことばかり主張して、どうしてもっと大事にできないんだよ!!」



A子は付け加えた



「私はこの人と、好きで結婚したから、

 この人のお兄ちゃんの奥さんがこんな人で苦労したって、それはしょうがないけど、

 別にお義母さんは、好き好んであなたに来てもらった訳じゃないんだからさ、

 苦労することなんてないんだよ」



心の中は、もやもやしていて、なにも考えることができなかった。


M男もゆがんだ顔で言います。



「俺は言っただろう。 あんたらの結婚式 で、“お袋のこと、頼むな”って。

 そしたらお前は、“はい”って言ったじゃねぇか。

 俺があの時、“アニキのこと”って言わずに、

 わざと“お袋のことを頼む”って言ったのかが、何でわからねぇんだよ」



二人の顔は、醜くゆがんでいた。


人を軽蔑して、人の悪口を言うときの顔というのは、本当に醜いんだな…なんて思っていた。



…今の、この事態から逃げ出したくて、現実逃避をしていた。









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最終更新日  2006年01月31日 15時52分33秒
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