1

2017年9月。ベルリン大聖堂で女性牧師とオルガン奏者の惨殺事件が起きた。目を抉られた牧師の遺体は天井から吊り下げられ、カバーに17と記された鍵を首にかけていた。捜査に当たったトム・バビロンベルリン州刑事局刑事は、自身が子供時代に遭遇した事件を思い起こす。1998年、少年だったトムと友人たちは、やはり17とカバーに記された鍵を持った水没死体を発見する。その鍵とともに妹のヴィオーラが失踪したのだ。それ以来トムは妹を探し続けていた。さらに当時事件に関わったトムの友人たちのもとに鍵が送り付けられ、うち一人は失踪する。臨床心理士ジータとともに、真相を究明しようとするトムだったが、捜査の途上警官が何者かに殺害される。その者が猟奇殺人の犯人なのだろうか。------------------------500ページ超えの警察小説。発端の事件と謎の提示には興味津々。その後の事件捜査の展開はスピーディーかつサスペンスフルで目が離せない。と思いきや、トムが仮想の存在のヴィーと会話するシーンが挿入されたり、違和感が生じて読むのがしんどくなる。そこらへんは流し読みにして、最終章までたどり着いたが、本格ミステリのように記述から真相と真犯人を解明することは出来ず終わる。真犯人は復讐心に取りつかれたサイコパスらしき設定だが、トムも相当イカれていやしないか。人格乖離だったりして?彼の精神状態も謎のうちらしい。ジータのキャラも共感できるものではないし。もう少し捜査陣に感情移入できれば、よりドキドキハラハラが盛り上がったのにと惜しまれる。それにオチのつけ方がモヤる。本格ミステリではないからとは言え、謎は謎のままに伏線回収のないサスペンスドラマのような終わり方。謎また謎の大風呂敷をひろげっぱなしで、たたみ切れず、シリーズものゆえ、あとは次回のお楽しみということだろうか。次作を待って読んだところで お苦しみしかないような気がした。
2025.12.10
閲覧総数 24
2

「密室の不解証明は、現場の不在証明と同等の価値がある」密室での犯行は無罪とする司法判断により、密室殺人が横行するようになった日本。高校生葛白香澄は大学生朝比奈夜月のイエティ探しにつきあってミステリー作家の遺したホテル「雪白館」を訪れ、殺人事件に遭遇する。橋が崩壊し電話線が切断されクローズド・サークルと化した館で神父の神埼と探偵の探岡が密室で殺害された。支配人の詩葉井が自分の犯行であることを告白する遺書を残して死亡するが、殺人は止まらず、マネージャーの真似井が殺される。これらすべての密室殺人の現場にはトランプが残されていた。かつて香澄の同級生だった蜜村漆璃は密室の謎解きに挑む。しかし彼女自身が三年前の義父殺害事件の容疑者であったのだが。漆璃は密室殺人を請け負う殺し屋として館に滞在するある人物を指摘し、その者は犯人として拘束される。にも関わらず社長の社が犠牲者になる第五の殺人が起きてしまう。殺し屋は監禁されて犯行は不可能なはずだったが.......探偵役から降りると宣言した漆璃に変わって真相を解明しようと香澄は暗中模索する。「密室の謎は氷解した」ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー密室殺人三昧でその解明まつりが描かれて400ページ越え。密室作成の物理トリックはよく考えついたものだと感心する。特にドミノだおしのアイディアは秀逸で、また氷を使うところを液体窒素に変えた着眼点もポイントが高いと思った。しかしミステリーとしては楽しめなかったというのが正直なところ。ラノベ風のスタイルにお約束のステロタイプのキャラの登場、(密室殺人仕事人まで登場と来て、ああまたそれか、とうんざりした)ストーリーの展開もクローズドサークルの類型的パターンとあって新人のデビュー作にしては新味がない。文章は読みやすいにも関わらず、密室の物理トリックの説明はわかりやすいとは言えない。密室講義だ、聖書の十戒あるいはノックスの十戒だと延々お談義が続き、ハウダニットだけでお腹いっぱいでフーダニットもホワイダニットもどうでもよくなったころに真犯人が指摘される。これも意外性がなく、動機もありきたり。なるほど意外な密室トリックを描くことに特化した作品だけのことはある。別に褒めているわけではなくあくまで個人的ミステリ観を言わせてもらえればフーダニット? そんなことはどうでもよろしい (澁澤龍彦)ホワイダニット? そんなことは召使いどもに任せておけ(ヴィリエ・ド・リラダン)なんてわけにはいかない。
2022.09.08
閲覧総数 27
3
![]()
11月19日 19:45~23:15 新宿バルト シアター5 Fー14これでゲキシネ「髑髏城の七人」コンプリート達成。2004年のアオドクロに嵌ってから、こんなにも遠くまで来てしまった。何度劇場に足を運んで、幾度髑髏城は燃え尽きたのか。近づけば近づくほど遠ざかっていくような不思議な城、それが私の髑髏城。ステージアラウンドでグルグルした2017年から2018年の記憶は散々過去に語ったので今更言うこともない。でも「修羅天魔」を映像で再見して、ちょっと気付いたこと。極楽太夫(お蘭)の台詞の「口外法度」と「必中必殺」が必殺シリーズからの本歌取り。何よりも夢三郎という人物名が「必殺からくり人」第4話の登場人物と同じだわ。中島かずき氏の必殺シリーズ愛。どうもつまらないことに気付くようで、すみませんね。他にチラ裏に書くことも、書き尽くして、もう空っぽで廃墟になった城跡のように何もないけど落書きだけはしてみたい気分。余りに無界の里の夢三郎は美しく、髑髏城の夢虎は凄かったから。言葉に出来ない妖しさ凄さ美しさは.....うーーん、私の拙い技量では絵にすることも出来ないわ。いや絵にも書けない美しさ♪ でいっか。
2019.11.21
閲覧総数 261
4

今日は物凄い降り。東京都にまで警報や避難指示が出ている?雨降りなのでミステリーのチラ裏を。:::令和6年、アパートで変死体となって発見された老人は、50年前の一家惨殺事件の容疑者の一人だった。止まっていた過去の事件が動き出し、捜査を引き継いだ刑事藤森菜摘。しかし許された捜査期間は一年。鑑識の湯浅、マル暴担当の鎌田ら、かつて本件に関わった古参の警察官の協力を得て真相に迫る藤森の前に、爆破テロ、カルト宗教問題といった昭和の大事件の影が浮かび上がる。そして過去と現在の点と線が繋がった時、明かされた真相とは。------------------------550ページの重厚長大な力作を、作者の筆力に引っ張られながら読む。人物の設定描写がうまく、脇役に至るまで、キャラが立っておりよく描き分けられている。それでも、登場人物の多さには混乱させられたが、ストーリーの展開が面白く、サスペンスに満ちているので読み手を飽きさせない。ミステリー要素としての人物入れ替えは巧みに仕掛けられており想像もつかなかった。意外な真相も用意されており、某海外の捜査小説さながらのどんでん返しも楽しめた。ただし殺害された施設経営者についての事件の書き込みが不十分と思われた。そこのところまで、突っ込んで書き込むと、さらに長くなるので軽く触れる程度にとどめたのかもしれないが。本作は大藪春彦文学賞、吉川英治文学賞受賞にふさわしい、犯罪と真相究明の深淵な問題提起と、捜査小説としてのエンタメ性を兼ね備えてた名編だろう。時の流れは殺人事件の謎を追う刑事にとっても、被害者遺族にとっても時効無き百年の孤独に耐えるがごとし。感心して、作者に脱帽。これからもこの作者の作品を読んで行きたい。
2026.09.06
閲覧総数 18
5

物凄い降り。東京都にまで警報や避難指示が出ている?
2026.09.06
閲覧総数 2
