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今から20年ほど前の春、札幌に転勤するようにとの辞令を受け、東京から札幌へ行くことになりました。
「スキーはできますか?」との甘い言葉に誘われ、一人、札幌に向かうことになったのです。車を持っていかなくてはならないので、飛行機ではなくフェリーで行くことにしました。北海道行きのフェリーは、いくつかの港から出ていますが、新潟港から小樽港への航路を選び、高速道路で新潟まで向かいました。そして、新潟港から期待と不安の入り混じった複雑な気持ちで船に乗り込みました。
船の長旅は、初めてでした。北海道も初めてでした。最初は、日本海を眺めながら、明るい気分で船に乗っていましたが、日が暮れ始め、次第にあたりが暗くなると、だんだん気持ちが暗くなってきました。甲板に出て、風に当たり、ウォークマンで音楽を聴きながらまわりを見ると、あたりは見渡す限り真っ黒な海、どちらを見ても真っ黒な海、海、海・・・。 これからどんなところに行くのだろう・・・、孤独と不安な気持ちで押しつぶされそうになりました。
朝になると、小樽の陸地が見えてきました。東京では、桜が満開でお花見をしてきたのに、船から見える小樽はまだまだ雪が残っていて全く違う景色でした。初めての北海道の春は、色とりどりの花が咲き乱れる素晴らしいものでした。そして、5月にはもう一度お花見ができ、すっかり北海道での生活が気に入るようになったのです。
それから、札幌で過ごしている7年の間に、結婚もし、子供も生まれました。美しく魅力的な札幌での生活は、大変楽しいものになりました。
今、真っ黒な海の中を不安な気持ちを抱きながら進んでいる人はいませんか?どちらを向いても真っ黒な海ばかりで、他には何も見えない・・・、陸地さえも見えない・・・、そんな中をひとり孤独と戦っている人はいませんか?
でも、信じてください。必ず朝が来ます。必ず陸地に到着します。今は、まわりが真っ暗で見えないかもしれませんが、陸地はあるのです。暗闇の先には幸せが待っていると信じましょう!