私の人生論 (思考が運命になる)

私の人生論 (思考が運命になる)

2019年02月20日
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カテゴリ: 千の朝


 時を稼(かせ)ぐ交通機関によるはげしいよろこびは何も知らないが、
 しかし今なお巡礼や雲水という、
 はるかに深い意義をもつ旅の文化をもっている。

 けだし、村の主婦たちから食を乞い、あるいはたそがれ時に、
 何かの木かげに腰をおろし、
 土地の百姓と談笑喫煙するインドの行者こそはまことの旅人である。

 彼にとっては、
 ある一つの田舎はたんに白然の地形だけから成っているのではない。


 たとえつかの問にせよ、
 そこに住む人の身の上におこったできごとについて、
 よろこびや悲しみをともにしたもの同士の親切と友情に
 あふれているものなのである。

 わが国の地方の旅人もまた、
 漂泊の身ながら、名所を去るときにはかならず発句(ほつく)、
 すなわちどんな無学なものにも可能な
 芸術形式である短詩を残してゆくのである。

「東洋の理想」 岡倉天心 日本の名著39巻 中央公論社





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最終更新日  2019年02月20日 05時10分05秒
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