音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

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2018年03月12日
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2人のスペイン人シンガーの軌跡+多彩なゲストの名作ライヴ盤(前編)


 アナ・ベレン(Ana Belén)とビクトル・マヌエル(Víctor Manuel)は長年デュオを組み、時にはそれぞれ別に活動し、時には寄り添って活動してきた。そんな2人の軌跡がぎっしり詰まっていて、なおかつその交友関係と活動の幅を感じさせる名盤がこの『ムチョ・マス・ケ・ドス(Mucho más que dos)』というライヴ・アルバムである。タイトルは、日本語に訳しにくいのだけれど、“2人よりもずっと多い”といった意味合いで、つまりは、2人の存在は前提としながらも、それ以外の多彩なゲストの共演や力添えといったものを表現していると思われる。

 録音がなされたのは、1994年の春で、2日間連続のコンサートだった。場所はスペイン北部のヒホンという町である(ちなみにビクトル・マヌエルはこの町が位置するアストゥリアス州の出身である)。2人と共演したのは、ジョアン・マヌエル・セラー( 参考過去記事 )、フアン・エチャノベ(スペインの俳優)、アントニオ・フローレス(スペインのシンガーソングライター、1995年に33歳で急死)、ホアキン・サビーナ( 参考過去記事 )、マノロ・テナ(スペインのシンガーソングライター、2016年逝去)、パブロ・ミラネス(キューバ人シンガーソングライター、 参考過去記事 )、ミゲル・リオス(スペインのロックシンガー)という豪華な面々。当然ながら内容もヴォリュームたっぷりで、2枚組全31曲のアルバムとして発売された。スペイン国内だけで60万枚を売り上げ、他のスペイン語圏(北米・南米)でもヒットし、コンサート映像もリリースされた(今はDVDを見ているけれど、その当時に筆者が購入したのがVHSであったのも懐かしい)。

 表題でアナ・ベレンとビクトル・マヌエルのことを“スペイン人シンガー”と表現したけれども、それは正確ではない。アナ・ベレンは有名な大女優として活躍してきたし、ビクトル・マヌエルも音楽・映像のプロデュースを長年手掛けている。それでいて歌手としての大成功は、“天は二物を与えず”に完全に反してしまっている。本盤はそんな彼らがカリスマとなっていく瞬間を収めたものであるとも言えそうな気がする。ともあれ、スペイン・ポップスを聴いてみようと思う人には、二重丸どころか三重、四重の丸印をつけたくなるほどの、超おすすめ大名盤である。

 今になってだから言えるのかもしれないが、アナ・ベレンは1951年生まれ、ビクトル・マヌエルは1947年生まれ。本盤リリース時には40歳代で、シンガー、パフォーマーとして実にいい感じの円熟の時期にあった。スペインという国も、彼らが若かった頃はフランコ独裁やその影が残っていたが、急速に近代化し、欧米の音楽界に割って入るような演出やパフォーマンスが可能になっていった時代ではなかったかと思う。

 長くなってきたので、曲の紹介は記事を改めて 後編




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Last updated  2018年03月13日 18時14分34秒
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