ふだん私たちの多くは“母語”と“国語(母国語)”の違いなんて気にしない。いまの日本に暮らしていたら、(実際にはそういう人が国内にいるにもかかわらず、全体から見れば明らかに少数派なせいか)母語も日本語であれば、国語(母国語)も自動的に日本語と感じているからだろう。でも、国や時代によっては、もちろんそれらがイコールで結ばれるというわけではない。スペインのシンガー、ジョアン・マヌエル・セラー(Joan Manuel Serrat)のこのアルバムを聴くと、そういう複雑な思いに駆られたりする。
オープニング・ナンバーの1.「20 de març(3月20日)」(読み方は「ヴィン・デ・マルス」??―カタルーニャ語の読み方がよくわからないので原語表記お許しを!)からして何とも母語で詞を紡ぐ爽やかさが感じられる。他に特に印象に残る曲としては、ふだん歩く道の光景を元に歌った4.「El meu carrer(我が道)」(「アル・メウ・カレール」??)、1.と同様の爽快さがどこかに残る5.「ボン・ディア(おはよう)」あたりが個人的には気に入っている。
1. 20 de març 2. Els veremadors 3. Conillet de vellut 4. El meu carrer 5. Bon dia 6. Cançó per a en Joan Salvat-Papasseit 7. Quasi una dona 8. Temps de pluja 9. Adéu, adéu amor meu i sort 10. Mare Lola