音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

2018年05月16日
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方向性が定まった第三作


 邦題は『サード・アルバム』となっているものの、原題は『ザ・イエス・アルバム(The Yes Album)』。どちらも本盤をよく表していて、邦題は文字通りイエスとして3枚目のアルバムであることを示している。一方、元の英語表題の方は、“これぞイエス”という、いわば意思表明のようにも見える。

 イエスは、1969年にセルフ・タイトルのデビュー盤『イエス(Yes)』(邦題は『イエス・ファースト・アルバム』)を発表し、翌70年にはセカンド作『時間と言葉』を制作した。これら2作は、後の 『こわれもの』 『危機』 で頂点に達するイエス流プログレとは少し趣向が違っていて、サイケデリック・ロックやシンフォニック・ロックと呼べそうな音を展開していた。

 これに対し、本盤『サード・アルバム』制作時には、前2作と比べて見ると2つの大きな変化があった。一つはギタリストの交代で、オリジナル・メンバーのピーター・バンクス(後に2013年に死去)が抜け、これに代わってスティーヴ・ハウが新加入している。ハウは作曲能力もさることながら、独特で圧倒的なギター・プレイをもってイエスの黄金期を支えることになる。

 本盤制作に際してのもう一つの変化は、“6人目のイエス”と呼ばれる影のメンバーの存在である。前作『時間と言葉』でエンジニアとして参加していたエディ・オフォードが、本作ではバンドとともに共同プロデューサーとなっている。オフォードはその後のイエスの諸作のほか、この同じ頃のEL&P( 参考過去記事 )の諸作でもエンジニアを務め、この当時のプログレ・サウンドの立役者とも言える人物である。

 聴きどころとしては、1.「ユアーズ・イズ・ノー・ディスグレイス」はバンド名のイエスが作者名義となっている曲で、9分超であるものの、変化にとんだサウンドで聴き手には飽きない演奏となっている。同じく時間数的にはボリュームのある3.「スターシップ・トゥルーパー」、4.「アイヴ・シーン・オール・グッド・ピープル」という2つの組曲がアルバム半ばで続いているが、これは、元はA面最後とB面最初に配されていたもの。あと、個人的なお気に入りとしては、6.「パーペチュアル・チェンジ」がいい。それから、2.「ザ・クラップ」は上述の通り新たに加入したハウのギター(アコギ)が堪能できる。




1. Yours Is No Disgrace 
2. The Clap
3. Starship Trooper: a. Life Seeker~b. Disillusion~c. Würm
4. I've Seen All Good People: a. Your Move~b. All Good People
5. A Venture
6. Perpetual Change

1971年リリース。




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サード・アルバム [ イエス ]




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Last updated  2018年05月16日 08時27分06秒
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