音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

2018年08月06日
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テーマ: 洋楽(3388)
8年ぶりのカムバック作


 ボズ・スキャッグス(Boz Scaggs)はブルースやソウルに根差しつつも、気が付くとアダルト・コンテンポラリーや日本風に言えば“AOR(アダルト・オリエンテッド・ロック)”の流れに乗って、ヒットを飛ばすシンガーになっていた。1980年の『ミドル・マン』から8年の間隔をあけ、シーンへの復帰作となったのが本作『アザー・ロード(Other Roads)』で、その内容はやはりAORの王道を行くものだった。

 よくも悪くもシングル曲の3. 「ハート・オブ・マイン」 が“本盤の顔”であるのは確かだろう。この曲のヒットによってアルバムも売れたわけだし、上述の“ボズの復活”も世間に認知された。けれども、作品全体を通して聴くならば、甘いバラード路線とでも言えそうな部分は、決してアルバム全体を著しているわけではないことに気づく。

 1970年代後半を通してヒットを飛ばしたボズ・スキャッグスは、大衆受けするものと自分のやりたい音楽の間で迷いのようなものがあったのではないだろうか。結局、後になるとR&Bやジャズなど明確に方向づけされたアルバムを作っていくことになったのだけれど、この時点では、きっとまだ迷いというか、ためらいのようなものがあったのだろう。R&Bに根差したロック調ナンバーも結構含まれており、ヴォーカルは前作までよりも明らかに洗練度が増しているように思う。そんな中で、あえて一つだけ注目曲を挙げると、11.「ナイト・オブ・ヴァン・ゴッホ(ヴァン・ゴッホの夜)」。ピーター・ウルフおよびボビー・コールドウェルとの共作曲で、上記「ハート・オブ・マイン」と並ぶ、いやそれ以上の本盤の聴きどころになっている。

 ちなみに、収録曲の多く(追加曲を含めた11曲中の8曲)が自作(共作)のナンバーで、参加ミュージシャンには、なじみのTOTOの面々らの名が見られる。プロデューサーにも劇的な変更はなく、ブランクを経つつも安定したアルバムづくりをやっていたのだろうと想像させられる。1980年代作品ということで、いかにもAORなイメージだけでやり過ごしていた人が、あらたまって本盤を聴くと、意外に違った印象を持つかもしれない、そんな作品だとも思う。


[収録曲]

1. What's Number One?
2. Claudia

4. Right Out of My Head
5. I Don't Hear You
6. Mental Shakedown
7. Soul To Soul *日本盤CD追加曲
8. Crimes of Passion
9. Funny
10. Cool Running
11. The Night of Van Gogh

1988年リリース。





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アザー・ロード [ ボズ・スキャッグス ]






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Last updated  2018年08月06日 08時58分07秒
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