音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

2020年01月17日
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爆発力のあるブルース・ロック/ハード・ロック


 1960年代後半から1970年代前半は“スーパーグループ”なるものがもてはやされた。そのネーミングには、3人程の構成メンバーの姓をくっつけて“○○、××アンド△△”みたいなのが多かった。現在の感覚からすると、あまり響きがいいとは言えないグループ名が多かったような気もするが、それはそれで分かりやすかったのかもしれない(何と言っても元のグループなどで成功を収めて名の知れたミュージシャンたちだったわけだから)。

 ウェスト、ブルース&レイング(West, Bruce & Laing)もそうしたグループの一つであった。元クリームのジャック・ブルース(ベース)と元マウンテンのレズリー・ウェスト(ギター)とコーキー・レイング(ドラムス)が組んだもので、1972~74年にかけて2枚のスタジオ作と1枚のライヴ作を残している。

 1972年作の本盤『ホワイ・ドンチャ(Why Dontcha)』は、そんな彼らにとって最初の作品であった。マウンテンやクリームがそうであったように、ブルースがロックに取り込まれてブルース・ロックが形成され、さらにそれはハード・ロックなど複数の方向へと展開していくという流れの中に本作も位置付けられるだろう。本盤を一聴すれば、随所のフレーズは“ブルース・ロック”感が漂うのだが、音は重くインパクトのある“ハード・ロック”感が強い。

 実際、本盤のいちばんの特徴は“爆発力”や“インパクト”にあると思う。そして、そうした“爆発力”の源泉はあくまで3人の楽器演奏にある。ヴォーカルは3人がかわるがわる担当していて、ところどころ別の楽器(例えばジャック・ブルースがオルガンやシンセを担当するなど)も取り入れられている。

 筆者が気に入っているのは、表題曲の1.「ホワイ・ドンチャ」。とにかく勢いがあって、“重い”サウンドが疾走する感じがいい。これと同様な感覚は、3.「ザ・ドクター」や8.「プレジャー」なんかでも味わうことができる。あと、注目したいのは、5.「サード・ディグリー」や10.「ポリューション・ウーマン」。駄作と評されることの多い盤だけれど、とにかく演奏レベルが高い。もう少し楽曲が粒ぞろいであったなら、どれも“最高の演奏”とか言われたかもしれないようにすら思う。そして、何よりも、聴き手の側がマウンテンとクリームの幻影を取っ払って聴くならば、決して駄盤などではないような気がするのだけれど。


[収録曲]

1. Why Dontcha
2. Out into the Fields

4. Turn Me Over
5. Third Degree
6. Shake Ma Thing (Rollin’ Jack)
7. While You Sleep
8. Pleasure
9. Love Is Worth the Blues
10. Pollution Woman

1972年リリース。




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ウェスト、ブルース&レイング / ホワイ・ドンチャ [CD]




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Last updated  2020年01月17日 08時35分49秒
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