音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

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2021年07月07日
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いわくつきの“ライヴ盤”


 ザ・バンド(The Band)のライヴ盤と言えば、『ロック・オブ・エイジズ』あるいは『ラスト・ワルツ』。これらを差し置いて優先されるライヴ盤はない。けれども、今回は彼らのいわくつきの“ライヴ盤”に目を向けてみたいと思う。1995年に発売された『ライヴ・アット・ワトキンス・グレン(Live at Watkins Glen)』というのがその盤である。

 アーティストの作品は、時に制作途中で頓挫したり、出来上がったとしても何らかの理由でお蔵入りになってしまうことがある。この盤は、1974年に『イズ・エヴリバディ・ウェット?(Is Everybody Wet?)』の表題でリリースが予定されていたらしいが、キャンセルされて“お蔵入り”となった。それから20年以上が経過した1995年、この『ライヴ・アット・ワトキンス・グレン』となってリリースされた。“お蔵入り”から“蔵出し”とういことになったわけである。

 この“蔵出し”盤は、賛否両論(というか、否の声の方が圧倒的に大きい)となった。というのも、早い話が本当のワトキンス・グレン・サマー・ジャム(1973年夏の大規模ライヴ)の音源をそのまま収録した盤ではないからだ。どうやら2曲(5.「トゥー・ウェット・トゥ・ワーク」と9.「ジャム」)だけが、該当するライヴの音源で、残りはアウトテイクにライヴ風の音声加工を施した“作り物”であったり、別のライヴ音源だったりするのである(5.なんかは悪天候の雷鳴音なんかが妙に大袈裟に聞こえるので、その辺も加工されているのかもしれない)。1.「バック・トゥ・メンフィス」と2.「エンドレス・ハイウェイ」は、『ムーンドッグ・マチネー』のアウトテイクで、加工前の演奏はそちらの盤のリマスター(2001年)で聴くことができる。3.「アイ・シャル・ビー・リリースト」を含む何曲かは、ライヴ盤『ロック・オブ・エイジズ』のアウトテイクとのこと。さらに、出所がよくわからない音源の曲もいくつか含まれている。

 このようなわけで、“フェイク盤”などと揶揄されるのだけれど、羊頭狗肉や疑似ライヴ加工は確かに非難されても仕方がない。だからと言って聴くに値しない演奏内容かと言えば、そういうわけでもない。つまるところ、もうちょっと違う形で作品化されればもっと違う評価を受けた可能性が高いと言えると思う。今の時代にこんな作品というか“商品を売り出す”なんてことをすれば、あっという間にネットで炎上ものである。それにしても、活動当時にリリースが中止になったとはいえ、ザ・バンドのメンバーがなぜこんな加工を是としたのか…。何ともすっきりせず、疑問が残り続ける盤だったりする。


[収録曲]

1. Back to Memphis
2. Endless Highway
3. I Shall Be Released

5. Too Wet to Work
6. Don't Ya Tell Henry
7. The Rumor
8. Time to Kill
9. Jam
10. Up on Cripple Creek

1995年リリース。




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Last updated  2021年07月07日 05時27分40秒
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