読書日記blog

読書日記blog

2007.03.23
XML
カテゴリ: 教養・実用


PHP研究所



現在沖縄が抱える問題の根源を探る。

沖縄といえば、のんびりとしたイメージがある。あくせくした都会の暮らしとは掛け離れた、牧歌的な南の楽園。ある意味でそれは正しい。
しかし、それこそが現在の沖縄の最大の問題となっている。「のんびり」とは言い換えれば、「いいかげん」で「だらしない」という意味。この本で描写されるかつての琉球の実体は、李氏朝鮮を彷彿とさせるアジア的なだらしなさに充ちた姿である。勤勉を美徳とする日本とは別の文明圏にあるとしかいいようがない。私はこれまでは日本の一地方として沖縄を捉えてきた。しかし、沖縄の近代化の過程は朝鮮、台湾あたりとよく似ている。この本を読み、日本は単一民族国家ではないということを改めて感じた。

もともとの中華文明圏の辺境にあった沖縄は、江戸時代に日本の文明圏にも組み込まれる。この日中両属の時代に、沖縄は元々のアジア性に加えて日和見主義的と事大主義に磨きをかける。明治には完全に日本に組み込まれ、政府の懸命な政策により本土と同化しつつあった。「後世格別のご高配を賜わらんことを」といわしめた、沖縄戦における島民の活躍はその証明だろう。しかし、敗戦後の琉球政府になってから、またかつての琉球らしさを発揮しアメリカと日本相手に上手く立ち回る。本土復帰後も依然として被害者史観を振りかざし、数々の問題を乗り越えることができない。

沖縄を訪れたときに聞いた話のなのだが、かつて沖縄では問題に直面するとそれを先祖への供養が足りなかったからだと考えたそうだ。線香の本数が多かったり、墓が大きかったりするのはそれが理由とのこと。自分の事を自分で何とかしようとせず人に頼ろうとする、主体性の欠落を象徴するエピソードとして印象に残った。
もう一つ沖縄で呆気に取られた出来事があった。宿泊したホテルのフロントマンが接客中にガムを噛んでいたのだ。この本を読んでもっと凄まじいエピソードを知ってしまったので、その程度沖縄では普通なのかもしれない。

念のために記すが、私は沖縄が嫌いではない。沖縄は非常にいいところだ。沖縄でお会いした人は皆、人の良い方々で、いろいろと親切にしてくださった。景色もいいし、気候も良い。料理も旨いし、泡盛も最高だ。
確かに、教育、雇用、治安などの問題の解決しなければならないはたくさんある。もちろん沖縄はこれから変わっていかなければならないだろうが、沖縄の良さは失わないでいてほしいものである。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2012.04.11 04:08:51
[教養・実用] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: