書評日記  パペッティア通信

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May 30, 2005
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カテゴリ: 社会



中国・アジア報道の充実ぶりは、ちょっと驚きである。

日経とならんで多い。そのうえ比較的良い。産経や読売では、相手国のニュースではない、「日本人の偏見」を読ませられた気分にさせられ食傷する。とはいえ、相手国の人が日本向けに発信すると、優越感と劣等感がゴチャまぜになって、とかく読んでいて痛々しいときも多い。肩の力がぬけていない、というのか。対象との距離がとても近いのに、なんとなく透明な「壁」がある。そんな、よそ者の「微妙さ」がとてもいい。相手国に沈潜した報道 …… いわれてみれば、朝日の文革礼賛報道も、現地の息吹を伝えたものではあったのか、とおもい直してしまう。これは社風なのか。

好評を博したという、朝日新聞USA版の「ボツ 特派員メモ」
相手国に沈潜する伝統か、本人の力量か。
それはわからないが、たしかに面白い。

マイノリティの集合体、アメリカ。
マイノリティの日本人記者が、場末の酒場、
田舎などをまわってネタを集める。

このエッセイ、面白くないわけがない。

すてきな、アメリカ滞在記

季節は夏と冬しかない、ニューヨークの害獣リス。恐怖の地下鉄の車両移動。見知らぬ人同士が、気に入ったらファッションを誉めあい、一刻も早い引退の実現にむけて生き急ぐ人びと。誰もが、隣人を気にしない。なのに、嫌煙はきびしく花見酒もできない。分かりやすさこそ真であり善である「反知性主義」の伝統。仲間の誰かが喧嘩をはじめたら、とりあえず加勢して飛び込まなければ、友人にはなれないアメリカ。接触は嫌がるのに、耐音レベルは高い。とてつもない善意の人の集合体なのに、世界からは嫌われもの。細かいことをとても大事にするのに、「とりあえず脇に置いておけ」。傲慢なのに繊細。イラク戦争反対派が、徴兵制復活をとなえ、自由のために自由を犠牲にする、なんとも不思議な社会。絶対的少数を引きうける、マイケル・ムーアのナイーブさと果敢さ。

書名に騙されてはいけない。この本は、アメリカ人「アホやマヌケ」論ではない。アメリカ人とその社会を、アメリカ人と一緒になって、笑い、楽しみ、怒り、涙をながし、そしてあこがれる。とても素敵なアメリカ賛歌。ちょっぴり狭量な、「江戸っ子」筆者がこぼす折々のグチも、エッセイのアクセントになっていてよい。

ただ、800円出して買う本かといわれると、すこし迷うのよね。最近の新書ブームだから出たものの、教養書の類ではないですし。
すごい知見があるわけではない。

てか、「さりげなさ」「繊細さ」が分からない人には、とても勧められない。
世の中ギスギスしていると、いちばん壊れやすい大切なもの。

古本屋で見つけたら、即ゲット。
新刊書店本棚なら微妙、といった所でしょうか。

評価 ★★☆


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Last updated  Nov 2, 2005 06:24:38 PM
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