Hic Rhodus, hic saltus.

2006.07.12
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「古本屋のない町は何故か寂しい」
古本通
新刊書を安く入手するには、リユース書店(中古書店)が最適かもしれないが、研究を深めて行けば、絶版の名著や史料を直接手にする必要も生じる。もちろん、図書館で借りることも可能であろうが、手許に置いてじっくり読むことも大切ではないだろうか。

たとえば、本書にこんな記述があり驚いた 。「夏目漱石の『吾輩ハ猫デアル』は、現在紛うことなき国民文学である。しかし、この明治期の豪華な本は、刊行当時3冊で2円75銭、庶民に手の届く本ではなかった」。「東京板橋の一戸建て借家の家賃2円80銭、上級公務員50円」 の時代のお話しだとか。こうした事実は、当時刊行された本を手にとってみなければわからないこと。漱石がどんな読者に受け入れられていたかも、この事実から伺い知ることが出来る。

さて、初めて神田神保町の古書店街を歩いたのは、大学1年生のとき。高校入学祝でもらった図書券で、ラートブルフの 『著作集第1巻・法哲学』 『著作集第3巻・法学入門』 を購入したものの、大学入学後にその他を購入しようとしたら、既にかなり絶版となっていた。そこで、何度も足しげく通い全巻揃えたというのが始まり。小川町にある専門学校に出講していたときには、その日の稼ぎをすべて本につぎ込むことが多かったような気がしないでもない。

今では忙しくて古書店巡りのヒマもないが、WEBを検索して購入している。最近では実店舗を構えないで、バーチャル市場でのみ販売という古書店も多くなったようだ。とはいえ、著者が愛書家の言葉として引用するように、 「古本屋の商品は、返品のきかない店主のいわば蔵書である。その点を考慮して敬意を払ってみせてもらう」 楽しみも失いたくはないものである。

ラートブルフ『著作集第1巻・法哲学』(東京大学出版会)
ラートブルフ『著作集第3巻・法学入門』(東京大学出版会)

樽見博『古本通』(平凡社新書)





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最終更新日  2006.07.13 00:20:47


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