Hic Rhodus, hic saltus.

2006.08.07
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『学徒兵らくだ君』(光人社NF文庫) 学徒出陣 を経験した世代。徴兵年齢に達しても大学・専門学校・高等学校の学生は徴兵が猶予されていたのだが、戦況の悪化とともに徴兵猶予が解除され、文系学生が学生の身分のまま、あるいは繰上卒業で召集されて行った。1943年のことである。
学徒兵らくだ君新装版
1923年生まれの筆者は、そのとき早稲田大学在学中。徴兵猶予が解除されても、徴兵検査では現役兵としては不適と判断される丙種合格となったため、通常ならば召集されることはなかった身体状態であった。しかし、丙種も兵役には服せるとの判断で第三乙種として召集され、学徒出陣となった。

第三乙種に加えてとぼけた性格から幹部候補生を忌避したものの、結局は軍曹となって実戦部隊に小隊長として配属。ただ、本土決戦を担う師団であったため、終始のんびりした雰囲気が漂う体験記となっている。その点では、本書のサブタイトルであると言えるかも知れない。

それに比して、前線に配備された学徒兵や一般の召集兵は、こうしたコミカルな体験談をまとめることは出来なかったことだろう。ただ、軍隊が暴力に支配された恐怖の組織ばかりではなかったことが、本書から伺い知ることは出来ると言えそうだ。

なお、筆者は復員後に早稲田大学政経学部を中退し、慶應義塾大学医学部に進学。精神科医となっている。文系を志したものの徴兵が怖くて理系に進学したという逸話は聞くことがあるが、その逆となってしまった経歴に個人的には興味を覚えた。真っ直ぐにゴールに向けて進むだけが人生ではない、ということかも知れない。

医療法人社団慶神会・武田病院

たけだまこと(武田専)『学徒兵らくだ君』(光人社NF文庫)





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最終更新日  2006.08.07 23:57:05


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