未熟な作家の気まぐれファンタジー小説blog

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2007.05.23
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カテゴリ: 落雷疾風記
そこでは金属音が幾度なく鳴り響き、中には倒れる人も。僕は自分の牙とオスカーの銃を装着し、ジンと共に向かった。
僕は銃を構え、8発連射した。6~7発は2体のローレライに集中打撃を与え、1発は弾(はじ)かれた。キィン!という音が鳴り響く中、たった一つ、銃声が鳴り響く。そこにオスカーと合流した。
「全くなんて事だ。先程まで何もなかったのに・・・・・・。」
そう述べた後、オスカーは戦場の嵐へ消えた。僕は牙を、ジンは銃を2丁構え、同じく突撃した。
前後左右から足の裏に仕込まれたハーライドが飛び交(か)い、避(よ)けながら斬り続けたものの、あるハーライドの一閃(いっせん)が、装備している牙の防御域に入っていない肩を掠(かす)った。戦闘用に作られた丈夫な衣類用繊維もスパァンと斬られ、僕は少し腰を屈(かが)めた。
他の人達は大量に生産している銅の盾で必死に耐えていた。敵の攻撃を一閃一閃浴びる度(たび)にヒビがはいり、徐々に耐久力を失ってゆく。僕は援護ながらも銃を構え、運よく相手の首筋に銃撃が当たると、バタリと倒れた。そうしている内にホッとしてきたが、それも束(つか)の間。いつの間にか背後には1人のローレライが。そして、僕にかかと落としを構え、一気に振り下ろしてきた!ジンも間に合わない!
すると、牙が勢いよくカッと光を放った。僕は恐る恐る眼を開けてみると、手の爪が鋭く尖っていて、鬣(たてがみ)がある人影が。
「・・・・・・ヴァルスィン・・・・・・?」
矛盾の世界を駆け上がり、本色で登場した龍人幻霊ヴァルスィン。黒く軽そうな鎧に、茶色の鬣(たてがみ)、七色に光る首飾り。僕の頭上で、ハーライドを素手で受け止めていた。

そう冷静に謝ると、ヴァルスィンは受け止めていたハーライドを軽く弾いた。すると、そのローレライは激しく向こうの壁に叩きつけられ、息絶えた。ここから壁までの距離は、まず30mはある。
僕はすかさず立ち上がると、飛んでくる剣の破片を避(よ)けながら突進した。すると、ドン!と誰かにぶつかると、それはカルディスであった。
「ほぅ、こやつはなかなか運の良い奴だ。」
と、僕の首筋を掴(つか)み、握られてしまった。しかしヴァルスィンがカルディスの腹部に膝蹴りをしたので、すぐに開放されたものの、カルディスは距離をとってから、あの厄介者のティルを召喚した。力尽きた精霊は瀕死(ひんし)状態のため、しばらくすれば再召喚ができる。
そしてあっと言う間に僕は感電した。ヴァンスの言っていた事が実感できたが、これは長時間耐えることはできない。
僕は牙を無造作(むぞうさ)に振り回し、カルディスとの距離をあけた。ヴァルスィンがカルディスの背後に回り、腕を抑え固めると、僕はカルディスに銃を向けた。
しかし、カルディスもなめてはいない。ティルに暗示で指示を出し、さっきよりも強い電撃を与えられてしまった。それにもかかわらず、僕はカルディスに向かって発砲した。
「ゴホッ!ウゥゥ・・・・・・俺は・・・・・・まだ・・・・・・」
そしてヴァルスィンがカルディスを手放すと、抵抗無くバタリと倒れた。
「・・・・・・ご主人様。このカルディスという者は仮の姿でございます。なぜなら、この小さな戦闘に易々(やすやす)と首領が出てくる訳がございません。本物は果てなく遠くにいるものと思われます。」
仮の姿のカルディスの死体はいきなり発火し炎上。その炎に気付いたのか、3つに分かれていたローレライ達が一斉に北西に撤退した。

僕の家の方からジャルースやセルヴォイがやって来て、共に握手をした。
「よくぞ耐えてくれた。死傷者はいるが心配せんでよい。死傷したのは兵士達だ。オスカー君は傭兵(ようへい)として戦ってくれたが、幸い傷も浅い。他の一般市民の人達は、わしの家の向かい側へある公会堂に避難している。さすがにここからローレライは気付かなかったらしく、その周辺の人達は皆無事じゃ。
これからやられたローレライの駆除をせにゃおえんから、君達も手伝ってはくれぬか?なぁに、相手の貴重品を取り、そのローレライの死体をこの南に行った所にある『エージニア渓谷』に投げ捨てるだけじゃ。といっても10km近くはあるのぉ。」
エージニア渓谷という所は昔、邪悪な魂を鎮圧する力を持った精霊が生息しており、よく邪悪な者の遺体を投げ捨て、その精霊達の力を借りて、供養していた。しかし今はその精霊も姿を消してしまい、一応昔の名残(なごり)で、今でもその方法で駆除している。
僕は早速、一番激しかった中心の戦地へ向かった。

そこへ、僕がいる所から10~20歩行った所に、1つの遺体があった。腰にポシェットのような物を着けており、中には親指ほどの大きさの火薬が30個ほどあった。そして更に探ってみると、奥の方にメモをした様な紙切れが1枚、4つ折にして、揺れても絶対に落ちないような隙間に挿(はさ)んであった。そこにはこう書かれていた。
『ケヌヲジモノクラウユシキテレワ。 ケレゴウベニリオナトノワビユノークヨリジン。』
「・・・・・・。」
「・・・・・・。」
僕とジンは途方に暮れてしまった。重要なことが書いてある様に見えるのだが、何が書いてあるのやら分からない。
「う~ん・・・・・・俺にとっては最後の『ジン』っていう所が気になるな。しかもその前が『ヨリ』。~様より・・・・・・ってよく言うじゃないか。多分ローレライの間では、より~様なのかも。」
「そうだけど、こういう読み方でしか読めないのかな。最後に『ン』があるから、逆には読めないはず・・・・・・」
そう僕が言い終わろうとした時、僕は気付いた。
「ジン、この文章は僕達でも読めそうだよ。2文ある内、2番目は置いといて、1番目の文は逆から読むと、『われてきしゆうらくのもじをぬけ。』つまり、『我らの敵の集落の文字を抜け。』っていう意味だよ。そして、2番目からその文字を抜けばいいんだよ。この文章の中での敵は、僕達の集落の事だよ。たった今レヴェナスになったばかりだから、多分この文章で抜く文字は・・・・・・」
ジンも納得して、その文字を指差した。
「べをヴェに直すと、レ・ヴェ・ナ・ー・ン・・・・・・だな。そうして逆から読むと・・・・・・」
「『じりよくのゆびわのとおりにうごけ。』つまり、『磁力の指輪の通りに動け。』って意味だね。」
しかし僕達は躊躇(ためら)った。磁力の指輪とは・・・・・・?
「これは・・・・・・磁神のガウセルに訊(き)いた方がいいな。すぐ行こう。」
と、僕達は自宅へ走った。





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Last updated  2007.05.23 21:54:16
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