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イスラム革命防衛隊(IRGC)がアメリカ海軍の空母とミサイル駆逐艦に対して弾道ミサイルを発射したと同隊は9月5日に発表した。イラン側によると、アメリカの空母と駆逐艦は損傷を受けて撤退したという。同時にIRGCはホルムズ海峡の「非認可ルート」を航行していた石油タンカー3隻攻撃とアメリカに関連する別の3隻を攻撃したしたという。それに対し、CENTCOM(アメリカ中央軍)は同日、イランの原油タンカー3隻を攻撃したと発表した。 CENTCOMはタンカーに対する攻撃について空母と駆逐艦に対する攻撃への報復だとしているが、その前、8月30日にアメリカ軍はドローンでララク島を攻撃している。 イランはオマーンと3週間にわたってホルムズ海峡の通航管理を誰が担うかについて水面下で交渉、航行の管理や通航船舶からのデータ収集を行う「共同調整センター」の設置について両国は合意に近い段階にあったとされているが、その管理システムにおいてララク島は中心的な役割を果たすことになっていた。そのララク島をCENTCOMは攻撃したのだ。 それ以外にイラン人を怒らせる攻撃をアメリカは実行した。アメリカ軍は8月30日に結婚式場を爆撃、式に参加していた市民のうち少なくとも5名が殺され、70人以上が負傷したと報じられている。目撃者によると、結婚式に参加するため数十人の住民が集まっていた。 IRGCによるのアメリカ海軍の空母やミ駆逐艦に対する攻撃はそうしたアメリカ軍による攻撃を受けて実行されたわけで、報復だと言える。イランの原油タンカーに対する攻撃に対する報復も不可避だ。 アメリカの政府や軍は強硬発言を繰り返しているが、口先だけだ。少し前、空母「エイブラハム・リンカーン」の劣悪な食事や生活環境が問題になったが、これは西アジアに派遣されているアメリカの艦船全般に言えること。艦船のシャワーはカビだらけで、トイレは壊れ、洗濯機は故障、お湯が出ないうえに食事は悲惨な状態だ。石鹸も脱臭剤も歯磨き粉もないという。その結果、乗組員5000人の精神衛生も悪化、海への飛び込む人が少なくないとされている。その原因はアメリカ軍の兵站拠点の崩壊にある。 2月28日にアメリカ軍はイスラエル軍と共同でイランを騙し討ちにして最高指導者だったアヤトラ・アリ・ハメネイ師を含むイランの要人を殺害したのだが、それでもイランの体制は倒れず、すぐにイスラエルの主要都市や西アジアにあるアメリカ軍基地に対する報復攻撃が開始された。 イランの標的にはアメリカ軍が使っているカタールのアル・ウデイド空軍基地、クウェートのアル・サレム基地、アラブ首長国連邦のアル・ダフラ空軍基地、バーレーンのアメリカ軍第5艦隊基地、サウジアラビアのリヤドにあるプリンス・スルタン空軍基地、ヨルダンのムワファク・アル・サルティ空軍基地、クウェートにあるふたつの基地などが含まれる。イスラエルのテルアビブやハイファ、ディモナにあるシモン・ペレス・ネゲブ原子力研究センター(ディモナ原子炉)近辺なども攻撃された。 バーレーンの第5艦隊基地はアメリカ海軍の艦船にミサイルや食糧を補給する重要な場所で、アメリカの艦船は補給が困難になった。今ではミサイルや食糧を補給するため、インド洋の中央部にあるディエゴガルシア基地やシンガポールまで行く必要がある。 アメリカ軍はイラン軍との戦争で劣勢にあること明白だが、「無敵のアメリカ」を演出したいドナルド・トランプ大統領は攻撃とプロパガンダで乗り切ろうとしているが難しそうだ。そうした演出はアメリカの置かれた状況をさらに悪化させている。 アメリカのシオニストは責任をイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相に負わせて逃げようとしているが難しそうで、トランプ大統領の周辺には「戦術核」を選択肢と考える人びとがいると伝えれている。いうまでもなく、「戦術核」という概念には意味がない。核兵器を使えば容易に「戦略核」へエスカレートする。 トランプ政権はウクライナでも窮地に陥っている。すでにウクライナのクーデター体制は崩壊状態にあり、NATOが前面に出つつある。アメリカ政府の特使であるスティーブ・ウィトコフとジャレッド・クシュナーはモスクワからキエフへ向かったが、一旦ポーランドのジェシュフへ向かい、そこで航空機から列車に乗り換えてキエフ入りしている。NATOがウクライナへ軍事物資を運ぼうとしていたことからロシア軍がキエフの空港を爆撃、損傷していたからだとも言われている。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.09.07

アメリカ政府の特使、スティーブ・ウィトコフとジャレッド・クシュナーが9月5日、モスクワのブヌーコボ空港に到着、ロシア大統領特別代表を務めるキリル・ドミトリエフの出迎えを受けた。その直前、ロシアのセルゲイ・リャブコフ外務次官はアメリカ政府に対し、現実を素直に受け入れなければならないと警告している。ロシア大統領府が9月5日に発表したところによると、この訪問に合わせ、ウラジミル・プーチン露大統領はキエフへの攻撃を3日間停止するように命じた。 ウィトコフとクシュナーは外交の素人であり、特使に任命されてから行ったことはインサイダー取引くらいだと陰口を叩く人もいる。ふたりはウクライナ戦争を終結させるための提案をモスクワへ持ち込むとされているが、今回の訪問で和平が実現すると考えている人は多くないだろう。2014年2月にバラク・オバマ政権がネオ・ナチを利用してキエフでクーデターを成功させた直後からプーチン政権は話し合いでの解決を模索してきたが、それを欧米諸国は拒否してきた。特に好戦的だったのはイギリス政府である。 イギリスをはじめとするヨーロッパの好戦的な国々はロシアの飛び地であるカリーニングラードに対する攻撃を匂わせ、ロシアを挑発している。そのカリーニングラードへ大型輸送機のAn-124が飛来、2日間滞在した後、9月3日にサンクトペテルブルクへ戻ったという。ベラルーシへ中距離弾道ミサイルのオレシュニクを運んだ時に使われたケースがあるため、オレシュニクや短距離弾道ミサイルのイスカンデルのような強力な兵器が持ち込まれたのではないかと推測する人もいる。 すでにロシア軍はキエフやオデッサにあるNATO諸国の企業も攻撃し始めていることから、ウクライナ向けの兵器を製造しているNATO諸国の工場を攻撃したとしても不思議ではない。 NATO/ウクライナは2014年2月から22年2月にかけてのミンスク停戦期間中にキエフのクーデター政権の戦力を増強した。クーデター軍に兵器を供与、将兵を訓練、ヒトラーユーゲント的な組織で年少者に対する戦闘訓練と思想教育を施す一方、要塞線を築いている。その中核がマリウポリ、ソレダル、マリーインカ、アブディフカの地下要塞だが、マリウポリとソレダルは2022年に、またマリーインカとアブディフカは23年にそれぞれ陥落。それでも要塞線は存在していたが、戦略的に重要な工業都市のコスティアンティニフカをロシア軍が今年に入って制圧、勝敗は決したとみられている。 NATO諸国は一発逆転を狙ったギャンブル作戦を繰り広げているが、成功していない。昨年12月28日から29日にかけて91機のドローンがモスクワ北西部のノブゴロド州にある大統領公邸を攻撃した。 ロシア軍は29日に撃墜されたドローンの航法装置を調査、飛行計画を含むファイルを取り出すことに成功している。そしてドローンの最終目的地がロシア大統領官邸内の施設のひとつであったことを突き止め、そのデータはアメリカ側に提出されたという。 プーチン大統領の暗殺を狙ったということだが、こ右下作戦を実行するためにはドローンを誘導する衛星が必要であり、プーチン大統領の行動に関する情報も入手する必要がある。ロシア側の主張が正しければ、つまりアメリカやイギリスの情報機関が関与していた可能性が高い。この出来事はロシア政府が外交的な解決を断念する要因のひとつだともみられている。8月25日にジョン・ラトクリフCIA長官がモスクワを訪問したのはロシアから見ると挑発以外の何ものでもない。ロシア政府から相手にされなかったのは当然だ。 NATO諸国の内部は現在、ウクライナをめぐって対立が生じている。そのひとつの現れがSBU(ウクライナ安全保障庁)とGUR(ウクライナ国防省情報総局)の対立。9月3日朝にはGUR側に死傷者出た。その背景にはオレクサンドル・ポクラドSBU長官代行と今年1月までGURの総局長を務めていたキリロ・ブダノフの対立があると言われている。 2014年2月のクーデター直後、SBUはCIAの管理下に入ったが、2019年5月に大統領となったウォロディミル・ゼレンスキーはイギリスの対外情報機関MI6の指揮下にあり、その後、SBUはゼレンスキー派、つまりMI6が支配するようになった。それに対し、CIAの訓練を受けたブダノフはCIAがついているとみられている。その対立は資金源、例えば詐欺の拠点である「コールセンター」事業の支配権をめぐる争いという側面もある。 ロシアとの戦争に最も熱心な国がイギリスだということは2022年の段階で判明している。この年の2月、NATOによるドンバス(ドネツクとルガンスク)への攻撃を察知したロシアはウクライナに対するミサイル攻撃を開始、ドンバス周辺に集結していたウクライナ軍、ウクライナ各地の軍事施設や生物化学兵器の研究開発施設を攻撃するが、すぐに停戦交渉が始まり、ほぼ合意に達する。仲介役のひとりだったイスラエルの首相だったナフタリ・ベネットは交渉の内容を長時間のインタビューで詳しく話した。 ベネットは2022年3月5日にモスクワへ飛んでプーチン大統領と数時間にわたって話し合い、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領を殺害しないという約束をとりつけることに成功、その足でベネットはドイツへ向かってオラフ・ショルツ首相と会った。 その3月5日にSBUはキエフの路上でゼレンスキー政権の交渉チームで中心的な役割を果たしていたデニス・キリーエフを射殺している。ウクライナの国会議員、フョードル・ベニスラフスキーによると、キリーエフ暗殺に関与したSBUのアレクサンダー・ボバは今回のGURメンバー殺傷事件にも関係、拘束されたという。 2022年の停戦交渉はトルコ政府も仲介、やはり停戦でほぼ合意に達していた。その際に仮調印されているのだが、「ウクライナの永世中立性と安全保障に関する条約」と題する草案をプーチン大統領はアフリカ各国のリーダーで構成される代表団が2023年6月17日にロシアのサンクトペテルブルクを訪問した際に示している。 それに対し、イギリスの首相を務めていたボリス・ジョンソンがキエフへ乗り込み、戦争を継続するようウォロディミル・ゼレンスキー大統領(当時)に命令、停戦合意は壊された。2022年4月9日のことだ。(ココやココ) ゼレンスキーは2020年10月にイギリスを公式訪問したが、その際、MI6の長官だったリチャード・ムーアを非公式に訪問している。アメリカ海兵隊の元情報将校で、UNSCOM(国連大量破壊兵器廃棄特別委員会)の主任査察官を務めたスコット・リッターが製作したドキュメンタリーによると、ゼレンスキーはMI6のエージェントであり、そのハンドラー(エージェントを管理する担当オフィサー)はMI6長官を務めていたリチャード・ムーアだと推測されている。ゼレンスキーの周囲で警護している要員はイギリス人だとも言われている。 CIAの前身であるOSSはMI6を教官役として組織されたが、いずれも背後に存在しているのは金融機関。MI6にしろCIAにしろ、情報機関は金融機関が政府を操る仕組みとして機能している。イスラエルのモサドもこの2機関と緊密な関係にある。 つまり、MI6、CIA、モサドは近い関係にあるのだが、ウクライナをめぐっては対立しているようだ。情報機関の背後にいる私的権力の利害が対立しているのだろう。負け戦になると分裂が始まる。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.09.06

アメリカ軍は8月30日にドローンでララク島を攻撃、9月1日にはシリクで開かれていた結婚式の会場が狙われた。ララク島が攻撃された直後に2名が殺され、2名が負傷と報告され、結婚式に参加していた市民のうち少なくとも5名が死亡、70人以上が負傷したと報じられている。目撃者によると、結婚式に参加するため数十人の住民が集まっていた。 結婚式で殺された人のうちふたり、また負傷者のうち19人以上が10歳未満の子どもだ。この攻撃がアメリカ軍によって行われ、3機のミサイルが使われたことが確認されている。いわゆるトリプル・タップであり、救助の駆けつける人も殺そうとしている。 ロイターによると、兵器専門家による画像と映像の分析からミサイルが屋根に命中した可能性が高く、イラン側が発射した防空ミサイルではなく、アメリカ軍のものである可能性が高いという。イスラエル軍はガザで女性や子どもを意図的に殺しているが、アメリカ軍も同じことをしているようだ。 アメリカ軍とイスラエル軍は2月28日にイランを騙し討ちにして最高指導者のアヤトラ・アリ・ハメネイ師、アブドルラヒム・ムサビ参謀総長、アジズ・ナシルザデ国防相、イラン革命防衛隊(IRGC)のモハメド・パクプール司令官、最高安全保障委員会(SNSC)事務局長でハメネイ師の顧問を務めていたアリ・シャムハニを含むイランの要人を殺害した。 その際、イランのミナブ女子小学校も攻撃され、168名から180名が殺されたが、その大半は7歳から12歳の少女。この時も攻撃は繰り返し数度あり、最初の攻撃で生徒たちが避難した礼拝堂も狙われている。最初の攻撃で人びとを一カ所に集め、救助隊もろとも殺す計画だった可能性が高い。この時もダブル・タップ攻撃、あるいはトリプル・タップ攻撃だ。この殺害はカルト的な「儀式」で、生徒たちは生贄になったとする人もいる。 アメリカ軍が攻撃する前、イランとオマーンは3週間にわたってホルムズ海峡の通航管理を誰が担うかについて水面下で交渉、航行の管理や通航船舶からのデータ収集を行う「共同調整センター」の設置について両国は合意に近い段階にあったという。 新たな管理体制によると、ララク島の周辺海域やオマーン領海を通る暫定ルートを廃止、新たな水路へと切り替えることが想定されているため、アメリカ軍が攻撃したララク島はホルムズ海峡の通航をめぐるイランとオマーンの共同管理体制において地理的かつ行政的な中枢をなす場所だと元CIA分析官のラリー・ジョンソンは指摘している。この新管理体制が始動すれば、アメリカは排除される。その管理体制をアメリカは認めないという意思を示したとも考えられている。 今回のアメリカ軍による攻撃に対し、IRGC(イスラム革命防衛隊)は数時間後に報復攻撃を開始した。まずヨルダンにあるアメリカ海兵隊のキャンプ・ティティンへ弾道ミサイルを発射、ついでクウェートのアリ・アル・サレム空軍基地にあるアメリカ軍の司令部などをミサイルやドローンで攻撃し、相当数のアメリカ軍の要員が死亡したという。 さらにイラクのクルド人自治区にあるアメリカ軍の基地もIRGCは攻撃。アラブ首長国連邦にあるアル・ダフラ基地やアル・ミンハド基地にあるアメリカ軍のレーダーシステムや軍事拠点も目標にし、ホルムズ海峡上空ではアメリカ軍のドローン、MQ-9を撃墜したという。ヨルダンのキング・フセイン空軍基地やアル・アズラク空軍基地やアメリカ中央軍の前方司令部と位置付けられているカタールのアル・ウデイド空軍基地も標的だったとされている。 ドナルド・トランプ米大統領は8月11日、アメリカがホルムズ海峡を「完全に支配」、「今後も維持するつもりだ」と宣言した。アメリカ海軍による封鎖は「鋼鉄の壁」であり、それに対して「イランに打つ手はない」としていた。8月14日になると「ホルムズ海峡は我々のもの」であり、海峡をアメリカの領土だと宣言するとまで言った。 トランプによると、海峡は自由に航行でき、石油で満ちているはずだが、現在、ホルムズ海峡を航行している船舶はほとんどなく、今回のアメリカ軍による攻撃は西アジア情勢をさらに悪化させることは不可避である。タッカー・カールソンのように、ドナルド・トランプ大統領がイランに核兵器を落とすのではないかと懸念する人もいる。 トランプの主張が正しいならば、イランを攻撃する必要などないはずだが、攻撃した。アメリカ軍がイランを攻撃する前日、イランのアッバス・アラグチ外相は日本にある軍事資産をアメリカ軍が使っていると共同通信の取材で発言している。「平和を愛する日本国民はアメリカが犯した犯罪について日本政府に責任を問うべきだ」と語ったというが、日本人の大多数はそうしたことを考えていない。明治維新以降、マスコミと教育で国民は考えないように飼育されてきた。その手先になってきた日本の「エリート」はアメリカに従属することで自らの富と地位を維持しているのである。 アラグチがインタビューを受ける前、イギリスの「UKディフェンス・ジャーナル」誌は三沢基地に駐留するアメリカ軍のF-16戦闘機が3月と4月に中東へ派遣されたと伝えている。言うまでもなくイランとの戦争に参加するためだ。アラグチが日本政府の戦争責任を問うのはそのためだ。これまでイランは日本に対して好意的な姿勢を示してきたが、日本政府はその関係を壊そうとしている。 日本の経済にとって重要な国であるロシアや中国を敵視する政策を日本政府が推進しているのはアメリカの支配層からの命令があるからだ。この仕組みは明治維新から続いている。徳川時代の余韻が残っている時期はブレークがかかっていたが、今はブレーキが存在しない。 本ブログでは繰り返し書いてきたように、「東アジア戦略報告(ナイ・レポート)」が発表され、大きな事件が立て続けに引き起こされた1995年以降、日本をアメリカの戦争マシーンに組み込む作業が本格化した。 1994年6月に長野県松本市で神経ガスのサリンがまかれ(松本サリン事件)、95年3月には帝都高速度交通営団(後に東京メトロへ改名)の車両内でサリンが散布され(地下鉄サリン事件された。松本サリン事件の翌月に警察庁長官は城内康光から國松孝次に交代したが、その國松は地下鉄サリン事件の直後に狙撃されて瀕死の重傷を負う。 そして1995年8月にはアメリカ軍の準機関紙と言われているスターズ・アンド・ストライプ紙に85年8月12日に墜落した日本航空123便に関する記事が掲載されたが、それは日本政府を脅す代物だった。その記事はJAL123便が墜ちる前、大島上空を飛行していたアメリカ軍の輸送機C130の乗組員だったマイケル・アントヌッチの証言に基づいて書かれている。その中で自衛隊の責任を強く示唆している。 国防総省系のシンクタンク「RANDコーポレーション」が発表した報告書によると、GBIRM(地上配備中距離弾道ミサイル)で中国を包囲する計画を彼らは持っている。自衛隊は2016年に与那国島でミサイル発射施設を建設、19年には奄美大島と宮古島、そして23年には石垣島でも施設を完成させた。 専守防衛の建前と憲法第9条の制約がある日本の場合、ASCM(地上配備の対艦巡航ミサイル)の開発や配備で日本に協力することにし、ASCMを南西諸島に建設しつつある自衛隊の施設に配備する計画が作成されたとされていたが、すでにそうした配慮は放棄されている。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.09.05

日本政府全権の重光葵と大本営全権の梅津美治郎が東京湾内に停泊していたアメリカの戦艦ミズーリで降伏文書に調印したのは昭和天皇(裕仁)がラジオを通じて「ポツダム宣言」の受諾をアメリカ、イギリス、中国、ソ連の4カ国に伝えたと「臣民」に発表してから18日後、1945年9月2日のこと。これによって日本の敗北が正式に決まったのだが、この時、すでにアメリカやイギリスはソ連と戦争を始めていた。 ウォール街と対立、反植民地を掲げていたニューディール派のフランクリン・ルーズベルト米大統領は帝国主義者のウィンストン・チャーチル英首相と敵対、むしろソ連のヨシフ・スターリン共産党書記長と親しくしていた。そのルーズベルトは1945年4月12日に急死、その翌月にドイツが降伏すると、チャーチルはソ連に対する奇襲攻撃の作成を合同作戦本部(JPS)に命じた。そして5月22日にアンシンカブル作戦が提出される。 その作戦によると、攻撃を始めるのはその年の7月1日。アメリカ軍64師団、イギリス連邦軍35師団、ポーランド軍4師団、そしてドイツ軍10師団で「第3次世界大戦」を始める想定になっていた。この作戦が実行されなかったのは、参謀本部が5月31日に計画を拒否したからだ。拒否した理由のひとつはソ連がまだ降伏していなかった日本と手を組むことを恐れたからだとも言われている。(Stephen Dorril, “MI6”, Fourth Estate, 2000) 原子爆弾の開発も計画を実行に移さなかった理由のひとつかもしれない。1945年7月16日にアメリカはニューメキシコ州のトリニティ実験場でプルトニウム原爆の爆発実験を行い、成功。ハリー・トルーマン大統領は原子爆弾の投下を7月24日に許可、26日にアメリカ、イギリス、中国はポツダム宣言を発表、8月6日に広島へウラン型原爆が投下され、その3日後に長崎へプルトニウム型原爆が落とされている。 ソ連に対する核攻撃に執着していたチャーチル首相は1941年11月にベンガルで焦土作戦を打ち出した。1939年にノモンハンでソ連軍に惨敗した日本軍が南進に転じたことを受けてのことだ。日本軍の食糧にしないということで、イギリスはサイロや倉庫から種籾を含む全ての米を押収し、輸送手段を奪うために漁民の船や自転車を取り上げた。 その作戦を推進中の1942年10月にベンガル地方はサイクロンに襲われ、農作物が大きな打撃を受け、死傷者が出た。食糧不足は避けられない状態になって飢餓が見通されたのだが、イギリスは米の運び出しを続けた。チャーチル首相は1943年1月、イギリスの食糧と資源の備蓄を強化するため、インド洋で活動していた商船を全て大西洋へ移動させた。(Madhusree Mukerjee, “Churchill’s Secret War,” Basic Books, 2010) 1943年10月には現地の提督からチャーチル首相に対し、政策の継続は大惨事を招くという警告の電報が打たれ、イギリス下院では満場一致で食糧を送ると議決したが、それを首相は無視。食糧を送るというルーズベルト大統領の提案も拒否した。 その結果、ベンガルでは1943年から44年にかけて大規模な飢饉が引き起こされ、餓死者の人数はベンガル周辺だけでも100万人から300万人に達したと推計されている。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.09.04

SBU(ウクライナ安全保障庁)のメンバーとGUR(ウクライナ国防省情報総局)のメンバーが9月2日の夜からキエフ市街で銃撃を繰り広げたと伝えられたが、その様子を撮影したとされる映像を見ると、両機関の隊員がロシア語で口論を始め、SBU隊員が非武装のGUR隊員を自動小銃の銃撃、GUR隊員を死傷させたようだ。銃撃戦はなかった。現地では、詐欺の拠点になっているコールセンターの「警護」をめぐる両機関の対立が原因だったと噂されている。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.09.03
アメリカはウクライナでロシアに敗北、西アジアではイランに敗北しつつあり、エネルギーや食糧の供給連鎖が麻痺、西側世界は危機的な状況に陥っている。 安価なエネルギー資源を供給できるロシア、そして巨大なマーケットを抱える中国との関係を破壊、良質な水を手に入れられるにもかかわらず農業を破壊してきたのが日本は中でも深刻な状態だ。ロシアや中国のような国とは違い、自給自足が不可能だからだ。 そうした狂気の政策を進めている日本が支援しているウクライナは壊滅的な状況にある。言うまでもなく、ウクライナを壊滅的の状態にしたのはNATO諸国にほかならないのだが、そのうちアメリカはウクライナの敗北を見通し、すでに距離を置こうとしている。前面に出ているのはヨーロッパ諸国だ。その中でもイギリス、フランス、ドイツが最も強硬な発言を続けているが、軍事力にしろ経済力にしろ中身はない。 本ブログでも繰り返し書いてきたが、NATO/ウクライナ軍によるロシア深奥部の民間施設への攻撃、そしてロシア産穀物輸出の約4分の1が通過するアゾフ海における船舶への攻撃への報復として、ロシア軍はオデッサをはじめ黒海に面した港を封鎖、黒海を回避した輸送ルートのドナウ川に面したレニ港やイズマイル港もロシア軍は破壊、さらにキエフなどへの攻撃を激化させた。 攻撃目標の中にはNATOの地下司令部やショッピング・センターの地下倉庫を改造したドローンの組み立て工場、そのショッピング・センターを出入りしてドローン発射に使われている配送用トラックも含まれている。 ロシア軍に攻撃を激化させたのはNATO/ウクライナ軍にほかならない。ウラジーミル・ゼレンスキーが言うところの「40日間作戦」が原因である。NATO/ウクライナ軍はドローンを用いてロシアの石油産業を攻撃し、さらにクリミア、モスクワ、サンクトペテルブルクの電力施設、そしてアゾフ海と黒海にあるロシアのすべての船舶や港湾施設を目標にした。そしてワイルドベリーの倉庫などの民間施設に対する攻撃する。 この攻撃が始まるまでロシア軍は攻撃目標を軍事施設や工業施設に限定、民間施設への攻撃は避けていた。攻撃の頻度も限定的で、キエフも平穏。オデッサ港を出入りする船舶は安心して航行できた。住民は食糧もエネルギーを心配する必要もなかった。そうしたロシア政府の方針を40日間作戦は変えてしまったのだ。ウクライナ軍の前線部隊に対する補給が困難になっただけでなく、街中の店から商品が消えている。このまま進むと人びとが冬を越すのは難しい。 すでにウクライナでの戦争はNATO軍が主力になっている。NATOが兵器を持ち込み、NATO軍の将兵が監督、アメリカの衛星が提供する情報に基づき、その衛星に誘導されたミサイルやドローンでロシアを攻撃しているのが実態だ。ウクライナの軍や親衛隊はゾンビ状態だと言えるだろう。そのゾンビ組織の内部で抗争が起こっている。 9月2日の夜からキエフ市街でSBU(ウクライナ安全保障庁)のメンバーとGUR(ウクライナ国防省情報総局)のメンバーが銃撃を繰り広げ、GURのひとりが死亡、ふたりが負傷したと伝えられている。銃撃事件の発端は、その1週間前にRDK(ロシア義勇軍)のステパン・カプルノフ副司令官が拉致されたことにあるという。 現地では詐欺の拠点になっているコールセンターの支配権をめぐるオレクサンドル・ポクラドSBU長官代行と今年1月までGURの総局長を務めていたキリロ・ブダノフの対立だった囁かれている。 現在、大統領府長官を務めているブダノフは8月28日に放送されたインタビューの中で、ウクライナ軍の戦力を維持するためには少なくとも毎月3万人を動員しなければならないと語ったが、これはNATO/ウクライナの公式発表とは違い、事実に近い。 ウォロディミル・ゼレンスキーの命令でポクラドがブダノフの影響力を弱めようとしているという見方もあるが、ブダノフはCIAの訓練を受けた人物であり、SBUは2014年2月のクーデター以降、CIAの管理下にある。 銃撃戦が起こった正確な理由は不明だが、いずれにしろウクライナが組織として機能していないことが原因だ。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.09.03

1923年、つまり今から103年前の9月1日に東京周辺が巨大地震に襲われた。家屋が倒壊しただけでなく、大規模な火災が発生して大きな損害を受けている。被災者は340万人以上に及び、死者と行方不明者を合わせると10万5000名から14万3000名、損害総額は55億から100億円(現在の貨幣価値に換算すると4兆円から7兆円)に達したと言われている。その復興資金の調達を日本政府はJPモルガンに頼ったが、この銀行はロスチャイルドからスピンオフした金融機関。それ結果、このJPモルガンは日本の政治経済に大きな影響力を持つことになる。 JPモルガンの創業者であるジョン・ピアポント・モルガンの父親であるジュニアス・スペンサー・モルガンはジョージー・ピーボディーとロンドンで銀行を経営していたが、1857年に業績が悪化する。その苦境を救済したのがピーボディーと親しかったロスチャイルド一族。ピーボディは1864年に引退し、ジュニアス・モルガンが率いることなった。その銀行でジュニアスの息子、ジョン・ピアポント・モルガンも働くようになるが、そのジョンをロスチャイルドは自分たちのアメリカにおける銀行の代理人に据えた。 ジョン・ピアポント・モルガンは1913年3月に死亡、息子のジョン・ピアポント・モルガン・ジュニア(通称ジャック)が引き継ぎ、アメリカの金融界、いわゆるウォール街の大立者になる。関東大震災当時のJPモルガンを率いていたのはジャックだ。 そのウォール街を揺るがす出来事が1932年にあった。大統領選挙でロスチャイルドに操られていた現職のハーバート・フーバーがニューディール派のフランクリン・ルーズベルトに敗れたのだ。そこでウォール街の大物たちはニューディール派を排除するためにクーデターを計画するのだが、これは海兵隊のスメドリー・バトラー退役少将によって阻止された。バトラー少将は名誉勲章を2度授与されたアメリカ海兵隊の伝説的な軍人だ。 バトラー少将によると、1933年7月に在郷軍人会の幹部ふたり、ウィリアム・ドイルとジェラルド・マクガイアーが彼の自宅を訪問したところから話は始まる。(Public Hearings before the Special Committee on Un-American Activities, House of Representatives, 73rd Congress, 2nd Session) シカゴで開かれる在郷軍人会の大会へ数百人の退役兵士を引き連れて参加し、演説して欲しいと要請、必要な経費を負担するということだった。ふたりは演説の原稿を置いて帰った。その原稿には金本位制への復帰を求める文言が含まれていた。 似た動きは日本でもあった。1930年1月、浜口雄幸内閣は金本位制への復帰を決めているのだ。このときの大蔵大臣、井上準之助は当時の日本で最もJPモルガンに近い人物だと言われている。1920年に対中国借款の交渉を井上は行っているのだが、この過程でJPモルガンと親しくなったのだという。井上は緊縮財政を推進するが、これも巨大金融資本の意向に沿うものだ。(NHK取材班編『日本の選択〈6〉金融小国ニッポンの悲劇』角川書店、1995年) こうした政策によって日本では不況は深刻化、庶民は経済的に厳しい状況におかれる。東北地方で娘の身売りが増えたのもこの頃のことだ。こうした経済政策を推進した浜口首相は1930年11月に東京駅で銃撃され、翌年の8月に死亡、32年2月には井上が本郷追分の駒本小学校で射殺されている。そして1936年2月26日、陸軍の在京部隊約1500名が決起した。二・二六事件だ。 アメリカ大統領だったフーバーは任期を終える直前、1932年に大物を駐日大使として日本へ送り込む。ジョセフ・グルーだ。グルーのいとこ、ジェーンはジョン・ピアポント・モルガン・ジュニア、つまりJPモルガンの総帥の妻である。しかもグルーの妻、アリスの曾祖父にあたるオリバー・ペリーは海軍の伝説的な軍人で、その弟は「黒船」で有名なマシュー・ペリーだ。 グルー夫妻は皇族を含む日本の支配層に強力なネットワークを持っていたが、特に親しかったとされている人物が松岡洋右。松岡の妹が結婚した佐藤松介は岸信介や佐藤栄作の叔父にあたり、岸もグルーと親しい関係にあった。秩父宮雍仁もグルーの友人として知られている。秩父宮が二・二六の将校を支持していたとは思えない。 ところで、3度目の訪問時、マクガイアーはスポンサーのひとりがグレイソン・マレット-プレボスト・マーフィだということを明かす。この人物は在郷軍人会を創設したメンバーのひとりだが、ウォール街で証券会社を経営し、ギャランティー・トラストの重役でもあった。(Jules Archer, “The Plot to Seize the White House,” Skyhorse Publishing, 2007) ウォール街からの訪問者はドイツのナチやイタリアのファシスト、中でもフランスの「クロワ・ド・フ(火の十字軍)」の戦術を参考にしていた。50万名規模の組織を編成して政府を威圧、「スーパー長官」のようなものを新たに設置して大統領の重責を引き継ぐとしていた。一種の摂関政治だ。このシステムを導入するため、ウォール街の住人たちは在郷軍人会を動員してホワイトハウスを恫喝しようとしていた。マクガイアーたちの目的は金本位制の復活であり、失業対策として彼らが考えていたのは強制労働収容所にすぎなかった。 ウォール街の大物たちはパリでクーデターの指揮官を選定、軍の内部で圧倒的な人望があったバトラーが選ばれたのだが、JPモルガンが考えていた人物は陸軍参謀長を務めていたダグラス・マッカーサーだった。 この軍人が結婚した女性はルイス・クロムウェル・ブルックス。その母、エバ・ロバーツ・クロムウェルが再婚した相手、エドワード・ストーテスベリーはJPモルガンの共同経営者だった。マッカーサーはJPモルガンの人脈に属していたのだ。そのマッカーサーが選ばれなかったのは、軍隊の内部でバトラーほどの人気がなかったからだ。バトラーを抱き込まない限りクーデターは成功しないと判断する人が多かったということだろう。 しかし、結局ウォール街はバトラーの説得に失敗。50万人の兵士を利用してファシズム体制の樹立を目指すつもりなら、自分は50万人以上を動かして対抗すると応じ、内戦を覚悟するようにバトラーは警告した。(Public Hearings before the Speecial Committee on Un-American Activities, House of Representatives, 73rd Congress, 2nd Session, Testimony of Major General Smedley D. Butler, December 29, 1934) クーデター計画に気づいたバトラーは信頼していたフィラデルフィア・レコードの編集者トム・オニールに相談、オニールはポール・コムリー・フレンチを確認のために派遣している。フレンチは1934年9月にウォール街のメンバーを取材、コミュニストから国を守るためにファシスト政権をアメリカに樹立させる必要があるという話を引き出した。(Jules Archer, “The Plot to Seize the White House,” Skyhorse, 2007) バトラー少将は1935年にJ・エドガー・フーバーに接触してウォール街の計画を説明するのだが、起訴するために必要の証拠はなく、自分には捜査を命令する権限がないとして断っている。(Peter Dale Scott, “The American Deep State,” Rowman & Littlefield, 2015) 計画が発覚すると、名指しされた人びとは誤解だと弁解したが、非米活動特別委員会はクーデター計画の存在を否定することはできなかった。それにもかかわらず、何ら法的な処分は勿論、これ以上の調査は行われず、メディアもこの事件を追及していない。この問題でウォール街を追い詰めても内戦になる可能性があったからだろう。 1935年9月10日にアメリカではひとりの上院議員が暗殺されている。ヒューイ・ロングだ。富裕なエリートや銀行を批判、ルーズベルト政権を当初は支持していたが、ニューディール政策は貧困対策として不十分だと考え、1933年6月に袂を分かつ。ロングは純資産税を考えていた。ウォール街の支配者にとって、ロングはルーズベルト以上の敵だ。 医師のカール・ワイツが4フィート(約1.2メートル)の距離から拳銃でロングを射殺したとされているが、ワイツはロングのボディガードたちに射殺されたため、公判は開かれず、証拠や証人の検証もなかった。ワイツの家族はカールが殺したとする公式ストーリーを否定している。 クーデター計画と並行する形で民主党の反ニューディール派議員は「アメリカ自由連盟」を設立している。活動資金の出所はJPモルガンやデュポンといった巨大企業のほか、アンドリュー・メロンやロックフェラーの周辺を含む富豪たち。武器はレミントン社からデュポン経由で手に入れることになっていた。 ルーズベルトは1936年、40年、そしてドイツや日本の敗北が間近に迫っていることが明らかだった44年の選挙でも勝利する。戦争が終われば、ウォール街とナチスとの関係が調べられ、責任を問われることも予想されたのだが、ルーズベルトはドイツが降伏する前月、1945年4月12日に急死、ニューディール派の影響力は急速に弱まる。そしてアメリカでは「赤狩り」と称する反ファシスト派弾圧が始まった。***********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.09.02
ウクライナのキリーロ・ブダノフ大統領府長官は8月28日に放送されたインタビューの中で、ウクライナ軍の戦力を維持するためには少なくとも毎月3万人を動員しなければならないと語った。戦死者、重傷者、脱走兵を含めるとその程度になるということだろう。ウクライナ側の戦死者は150万人から200万人程度だろうと推測されていた。 本ブログでは繰り返し書いてきたことだが、ウクライナの東部や南部はロシア文化圏であり、半数以上の住民はロシアに親戚がいると言われている。その関係を利用してロシア軍と連絡をとり、投降しているウクライナ兵もいるという。部隊ごと行方不明ということもあるようだ。そうした投稿を阻止することもウクライナのネオ・ナチ部隊に課された任務だ。 ウクライナ各地で行われている強制的徴兵、要するに拉致の様子を見ても兵士不足は深刻だ。ウォロディミル・ゼレンスキーは2022年2月以降に戦死したウクライナ兵の数を5万5000人と主張しているが、この数字は論外である。戦死が確定すると遺族に補償する必要があり、行方不明で処理されている人も少なくないようだ。ウクライナ側はロシア軍の死傷者数を148万人以上としているが、これは現実的でない。西側の大手メディアはウクライナ側の主張に基づく宣伝をしているが、ロシア側の死傷者はウクライナ側の約1割と見られている。 ロシア軍はオデッサをはじめ黒海に面した港をミサイルやドローンによる攻撃で封鎖、黒海を回避した輸送ルートのドナウ川に面したレニ港やイズマイル港もロシア軍は破壊し、ウクライナは武器弾薬を受け取れず、ヨーロッパは食糧を確保できない状態。 そしてキエフなどの都市ではNATOの地下司令部を含む施設を破壊している。最近1週間でロシア軍は約3600機のミサイルやドローンをウクライナへ撃ち込んでいるが、ここにきて目立つのはショッピング・センターなど民間施設への攻撃。 そうした施設の地下には倉庫を改造したドローンの組み立て工場があり、配送用トラックを利用して部品を運び込み、製品を持ち出して発射していた。ウクライナの救急隊員が撮影した映像から、破壊されたトラックの荷台にドローンが積まれたことも確認された。こうした施設への攻撃では、保管されていた爆発物によると見られる大きな二次爆発が目撃されている。 NATOに加盟するヨーロッパ諸国はロシア深奥部の民間施設を攻撃したりウラジミル・プーチン露大統領の暗殺未遂事件も引き起こし、ヨーロッパ諸国を攻撃させとアメリカ軍とロシア軍を直接戦わせようとしているが、ロシアはその思惑通りに動いていない。ウクライナに入っているNATO軍の将校やエンジニアがいる施設を狙うだけだ。 ウクライナにおけるロシア軍との戦争からアメリカ軍は距離を置いているが、衛星による情報提供やミサイルなどの誘導はアメリカが行なっている。アメリカのパトリオット迎撃システムは役に立たないが、そのミサイルも枯渇している。 イランとの戦争でもアメリカ軍は劣勢にあり、西アジアにおけるアメリカ軍基地は破壊され、イスラエルの諸都市も大きなダメージを受けている。西側の大手メディアは「アメリカの勝利」を演出しているが、それには限界がある。報道管制を強化しているが、強化するほど信頼されなくなる。 ロシアに対する戦争を煽ってきたヨーロッパの「指導者」はアメリカを支配する私的権力を全能だと信じ、その全能の人びとに従っていれば好き勝手なことができるとでも思っていたようだが、それは日本でも同じだ。明治維新以降、日本の支配システムはアメリカやイギリス、つまりアングロ・サクソンの金融資本に支配されてきた。彼らがいなければ天皇カルトを作り上げることもできなかっただろう。そうした流れに逆らった人びとはことごとく排除されてきた。琉球併合や台湾派兵においても、アメリカやイギリスの外交官の果たした役割は小さくない。つまり米英を中心とする支配システムの崩壊は日本を支配してきた勢力をも崩壊させる可能性がある。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.09.01

スペースXの子会社であるスターリンク・サービスは、低軌道を飛行する1万基以上の衛星で構成されるネットワークによってインターネット接続を可能にしているが、このスターリンク通信を妨害する電子戦装置のボルナ・クポル・ガラントをロシアは8月初めに公開していた。このシステムは特定の地域にサービスを提供する衛星に向け、地上アンテナから送信される信号を妨害する能力がある。タスによると、そのシステムの量産が開始されたという。 スペースXを創設、CEOを務めるイーロン・マスクはロシア上空でのスターリンクの使用を禁止しているとしているものの、ハッキングを容認し、ウクライナ軍の長距離攻撃用ドローンへの搭載を許可している。ロシア深奥部への攻撃もスターリンクがなければできない。 スターリンクは軍民両用とされているが、使用開始は2022年2月。ロシア軍がウクライナ軍部隊、軍事施設、生物化学兵器の研究開発施設などに対する攻撃を始めた直後だ。 この年の3月にNATOはウクライナを利用し、反クーデター軍の拠点であるドンバス(ドネツクとルガンスク)を攻撃しようと計画していたことが回収されたウクライナ軍の機密文書から判明している。ロシア軍が攻撃を始めた直後にスターリンクが始動できたのはそのためだろう。スペインのエル・ムンド紙によると、すでにロシア軍はこのシステムを使い、スターリンクを使用できなくしているという。その効果を見て量産体制に入ったのかもしれない。 スターリンクはウクライナ軍が対ロシア戦争に使うだけでなく、アメリカやイスラエルはイランに対する攻撃でも使っている。ドナルド・トランプ米政権は昨年12月28日、イランの通貨リアルを暴落させて経済を混乱させ、その混乱を利用して反政府デモを演出した。 そのデモをコントロールするため、アメリカは約5万台のスターリンク端末をイランへ密輸、政権転覆工作のために編成したグループに資金と共に渡したとされている。スターリンクのシステムを通じ、アメリカやイスラエルの情報機関は反政府デモのリーダーたちに対してイランの治安部隊がどのように動いているかを知らせ、どのように動くべきかを指示していた。イラン政府はスターリンクを遮断することに成功して事態は沈静化させたが、密輸品は押収しきれていないようだ。 イランでスターリンクを遮断するためにボルナ・クポル・ガラントは使われていないようだが、対イラン攻撃をまだ諦めていないアメリカやイスラエルとしては、このシステムがイランの手に渡ることを阻止したいだろう。 経済的にも軍事的にも強まっているロシア、中国、イランの連携を阻止することはできそうにないが、この3カ国だけでなく、このシステムに関心を持つ世界中の国々に提供される可能性もある。***********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.08.31

厚生労働省が8月28日に発表した今年6月分の「人口動態統計速報」によると、死亡者数は11万4472人。COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)騒動が始まる前年の2019年の同じ月に比べて1万2118名増えているが、昨年同月に比べると1308名減っている。 この騒動では「COVID-19ワクチン」と称する遺伝子操作薬の接種が推進されたが、2024年には接種者が大きく減少した。その危険性を知る人が増えたからだろう。接種しなかった人に比べ、接種した人の間から健康状態に問題があると言う話をここにきて聞くようになった。 この薬物はドナルド・トランプ政権がCOVID-19対策として2020年5月から21年2月にかけて推進した「オペレーション・ワープ・スピード」を経て登場している。トランプ大統領自身は「史上最大の軍事的偉業」だと語っていたが、史上最悪の薬害、あるいは虐殺だ。 ジャーナリストのホイットニー・ウェブによると、オペレーション・ワープ・スピードは政府による自国民の大量殺害にほかならない。標的には高齢者、障害者、「ワクチン」の接種を拒否した人びと、あらゆる人種の妊婦、そして人種的マイノリティが含まれている。 ラティポワによると、ペンシルベニア大学の研究はアフリカ系アメリカ人が特定のインフルエンザワクチンに対して、不釣り合いなほど高い免疫反応を示すことを示している。メイヨー・クリニックは2014年、アフリカ系アメリカ人の風疹ワクチンに対する免疫反応が白人系アメリカ人のほぼ2倍であるとしている。 また、2010年に『毒性学環境衛生学ジャーナル』に掲載された研究によると、B型肝炎ワクチンによる重度の神経損傷を負うリスクは白人と比較してアフリカ系アメリカ人の男児において有意に高い。 この「ワクチン」を製造した会社のひとつ、ファイザーの関連文書をアメリカの監督官庁であるFDA(食品医薬品局)は75年間封印しようとしたのだが、アメリカの裁判所は文書の迅速な公開を命令、その内容を分析したサーシャ・ラティポワは2022年初頭、COVID-19騒動はアメリカ国防総省の軍事作戦だと発表している。 アメリカには自国民を生体実験に使ってきた歴史がある。例えば原爆を開発した「マンハッタン計画」の際、アメリカ政府は多数の医師と契約を結び、事情を知らせないまま入院患者に対し、通常の生涯被曝量の41倍に相当放射性プルトニウムを注射しましている。 実験の目的は、放射性物質が白血病などの病気を引き起こす線量を特定すること、そして血液、組織、骨、尿に残留する放射能の量を測定することにあった。1944年から1994年にかけて原子力委員会はこうした放射線に関する人体実験プロジェクトを支援、承認したが、対象者の多くはアフリカ系アメリカ人だったという。 アメリカの研究者たちは1987年から1991年にかけてワクチン実験の一環として、ロサンゼルスの低所得地域に住むアフリカ系やラテン系の乳児に対し、承認された用量の最大500倍に及ぶエドモントン・ザグレブ(EZ)麻疹ワクチンを投与している。その前にこのワクチンはハイチ、セネガル、ギニアビサウで子どもたち2000人に投与され、悲惨な結果を招いていたのだが、その事実を親たちには知らせていない。 どの「集団(人口グループ)」にどのワクチンを割り当てるかを「決定」するソフトウェアの開発を任されたパランティア・テクノロジーズは2003年にCIAのベンチャー・キャピタル部門であるIn-Q-Telからの資金によって創設され、イスラエルの情報機関とも緊密な関係がある。アメリカ国防総省が主導する「オペレーション・ワープ・スピード」でも同社が標的を決めている。 アメリカのCDC(疾病予防管理センター)とFDA(食品医薬品局)が共同で運用しているVAERS(ワクチン有害事象報告システム)は「人種」に関する質問項目を設けていないのだが、人種による差異は存在することをホイットニー・ウェブの調査は明らかにした。黒人女性は「特別な『特製』ロット」によって集中的に標的とされたという。流産率を比較すると、黒人女性は約17%、ヒスパニック系は約10%、そして白人は約6.5%。対象になった女性全員が妊娠6週目以降に登録されている。 世界経済フォーラム(WEF、ダボス会議)の年次総会が1月19日から23日にかけて、スイスのダボス・クロスタースで開かれた。その中でドナルド・トランプ米大統領は「COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)ワクチン」について口にした。 2025年4月までWEFの会長を務めたクラウス・シュワブは16年1月にスイスのテレビ番組に出演した際、マイクロチップ化されたデジタル・パスポートについて話している。チップを服に取り付けるところから始め、次に皮膚や脳へ埋め込み、最終的にはコンピュータ・システムと人間を融合、人間を端末化しようと考えていた。COVID-19騒動の際、話題になったデジタルIDもその布石だろう。 シュワブの顧問でイスラエル人のユバル・ノア・ハラリはAIによって不必要な人間が生み出されると見通し、特に専門化された仕事で人間はAIに勝てず、「不必要な人間」が街にあふれるとしている。放置しておけば反乱、あるいは犯罪に繋がるため、人びとを監視、コントロール、そして処分する必要があると彼らは考えているだろう。パランティアの監視技術は「見えない私的刑務所」として機能するかもしれない。 アメリカの保健福祉省が「オペレーション・ワープ・スピード」や「COVID-19ワクチン」の接種を進めている際、パランティアのデータ統合および意思決定支援プラットフォーム「ティベリウス」が使用されている。国勢調査のデータ、ワクチン追跡システム、物流情報を統合している。 ティベリウスはローマ帝国の第2代皇帝で、紀元14年から37年まで統治している。ローマ時代の歴史家ガイウス・スエトニウス・トランクィッルスによると、ティベリウスは児童への性的虐待や残虐行為があり、偏執狂的な性格だった。どこまで事実かは不明だが、その記述はジェフリー・エプスタインを彷彿させるものだ。**************************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.08.30
NATOのヨーロッパ諸国はロシアの深奥部を攻撃している。ロシアの防空システムは優秀で、特に軍事施設や重要なインフラは防御が固いため、防衛システムの甘い民間施設を攻撃し始めた。ロシア軍にヨーロッパを攻撃させ、アメリカ軍をウクライナでの戦争へ引き戻そうとしていると見られている。 十分な軍事訓練を受けていない人びとを最前線へ送り込み、「バンザイ突撃」させている。街中で男性を拉致するだけでは足りず、徴兵年齢を下げ、女性も徴兵の対象にしようという意見が出ている。NATO諸国はウクライナに住むスラブ人を全滅させようとしているようだ。 イギリス政府はヨーロッパの軍事メーカーであるMBDAに対し、英仏が開発した長距離巡航ミサイル「ストーム・シャドウ/SCALP」で使用されるイギリス製部品に関する機密情報の開示を許可したという。この問題はロシアのドミトリー・ペスコフ大統領報道官も触れていたが、そうした機密情報を開示しても現在のウクライナにそうしたミサイルを製造する能力はない。ドローンでさえ組立工場があるだけだ。ミサイルやドローンによる攻撃はアメリカ政府が許可しなければ実行できない。 8月25日にジョン・ラトクリフCIA長官がアメリカ軍のC-17A輸送機(RCH4555)でモスクワのブヌーコボ空港へ到着した。このような目立つ航空機を利用しての訪問を「極秘」と言うことはできない。 西側諸国の一部大手メディアはロシアがNATO諸国を攻撃しないよう警告するためにモスクワへ乗り込んだと主張しているが、ヨーロッパ諸国はロシア軍に自分たちを攻撃するように誘っている。警告など電話で可能だ。盗聴される可能性がある通話でなく、直接会わなければならなくなったと考えるべきだろう。 それ以上に笑止千万な記事を書いたのはニューヨーク・タイムズ紙。CIA長官は対ウクライナ戦争の現状に関する自身の悲観的な見解を非公開で伝え、軍事的、経済的状況が悪化する前にロシア側に何らかの取引に応じるよう促すことにあったというのだが、窮地に陥っているのはウクライナとNATO諸国。戦況が有利なのはロシアだということは客観的の事実から明白だ。本当にCIA長官がそう信じているとしても、ウラジミル・プーチン露大統領へ電話すれば済む話。 ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相は、ウクライナがロシア領内深部への攻撃に使用するドローンの供給をイギリスが続ければ、その結果に直面することになると警告しているが、だからといって直接ヨーロッパ諸国を狙うとは言えない。行うとしても先の話だろう。 ラトクリフCIA長官がモスクワを訪問した目的はイランにホルムズ海峡の再開を迫るように頼んだ、あるいは経済戦争で脅したとする情報もあるが、イギリス海軍のスティーブ・ジャーミー代将は、ロシアが収容していたCIA工作員の遺体を引き取りに行ったのではないかと推測している。そう考えると、最大航続距離1万キロメートル以上のガルフストリームVを保有しているCIA長官がC-17A輸送機を使った理由を理解できる。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.08.29

西アジアにおけるアメリカの影響力は急速に低下している。そうした動きの中心にイランが存在していることは言うまでもないだろう。それに対し、サウジアラビア、トルコ、パキスタンは8月7日、相互防衛協定を締結した。「外部の覇権国がこの地域に介入しても問題は解決せず、むしろ事態を深刻化させるだけ」であり、地域の国々と新たな枠組みを構築する必要があるとトルコのメブリュット・チャブシュオール外相は語っている。西アジアの国々がアメリカに見切りをつけたわけだ。 西アジア支配をイギリスは遅くとも19世紀には計画していた。第1次世界大戦の最中に同国はフランスとサイクス・ピコ協定を締結、オスマン帝国を解体して両国で分割することを決めた。イギリスはエージェントを後のサウジアラビア国王でワッハーブ派のイブン・サウドに接触させている。 協定が結ばれた翌月の1916年6月にイギリス外務省アラブ局はアラブ人を扇動して反乱を起こさせた。その部署に所属していたトーマス・エドワーズ・ローレンスは「アラビアのロレンス」とも呼ばれている。ローレンスは1915年に軍情報部へ入っていた。 ローレンスは中東で活動している間にアラブ人と親しくなり、親アラブ的な発言をするようになる。そこで1929年に帰国した後、軍から解雇すると脅され、旅行を禁止されてしまう。そして1935年に自動車事故で死亡する。(Hugh Wilford, “The CIA,” Basic Books UK, 2024) ペルシャと呼ばれていた当時のイランで世界最大規模の油田が発見されたのは1908年5月のこと。その翌年にAPOC(アングロ・ペルシャン石油)が創設され、バーマー石油の会長だったストラスコナ男爵(ドナルド・スミス)が会長に就任、1919にイギリスはペルシャを保護国にしてしまう。そして1921年、軍の一将校にすぎなかったレザー・ハーンがテヘランを占領、その4年後に彼はカージャール朝を廃して王位につく。これがパーレビ朝のはじまりである。 1935年にAPOCはAIOCに名称を変更するが、実態に変化はなく、イギリス政府に膨大な利益をもたらした。第2次世界大戦後、1945年から50年にかけて2億5000万ドルの利益を石油は生み出している(Daniel Yergin, "The Prize", Simon & Schuster1991)のだが、その大半をイギリスの巨大資本と王族が独占していた。 その現実にイランの庶民は不満を募らせ、ムハマド・モサデクが首相に就任した議会はAIOCの国有化を決定。イギリスの圧力で1952年7月にモサデクは辞任、アーマド・カバム・サルタネーが首相になるものの、5日間で職を辞し、再びモサデクが首相になった。そこからイギリスの情報機関MI6はアレン・ダレスを巻き込み、CIAと共同でモサデク政権を1953年にクーデターで倒し、パーレビ体制を復活させる。この体制がイスラム革命で倒されたのは1979年のことだ。 ベトナム戦争で疲弊したこともあり、アメリカのリチャード・ニクソン大統領は1971年8月にドルと金との交換停止を発表、73年から変動相場制へ移行していく。ドルは金に束縛されることなく発行できるようになるが、金という裏付けをなくしたことから何も対策を講じずに発行を続ければハイパーインフレになり、基軸通貨としての地位から陥落する可能性が出てきた。そこでドルの流通量をコントロールする仕組みが作られる。 1973年に西アジアでは第4次中東戦争が勃発、石油危機が引き起こされるのだが、この危機は仕組まれたものだった。サウジアラビアの石油鉱物資源大臣を務めていたシェイク・アーメド・ザキ・ヤマニはイギリスの日曜紙「オブザーバー」の2001年1月14日付け紙面に掲載された記事の中で、「ある秘密会議」で石油価格の引き上げは決定されたと語っている。石油価格が大幅に引き上げられた背景には石油会社が多額の借入金で押しつぶされそうになっていた現実があるというのだ。この会議はビルダーバーグ・グループの会議だということをイギリスのジャーナリスト、ロビン・ラムゼイは突き止めている。(Robin Ramsay, "Was the 1974 oil price hike engineered by the Bilderberg group?" Lobser 41, Summer 2001) 産油国に対して石油取引の決済をドルに限定させ、集まったドルを産油国はアメリカへ還流させるというペトロダラーの仕組みが作られた。原油価格を上昇させれば回収効率が上がる。石油価格の上昇でアメリカの製造業は打撃を受けるが、製造業が繁栄するとドルの少なからぬ部分が現実の社会で流通するため、インフレを避けようとすればドルの発行を制限せざるをえなくなる。投機市場もドルを吸い上げるために有効な手段だ。 ペトロダラーの仕組みができあがって間もない1975年3月、アメリカにとって好都合なことが引き起こされる。自立の意思を持っていたサウジアラビアのファイサル国王が暗殺されたのだ。この暗殺はアメリカの支配力を強めることになった。 国王は執務室で甥のファイサル・ビン・ムサイドに射殺されたのだが、ジャーナリストのアラン・ハートによると、その暗殺犯はクウェートのアブドル・ムタレブ・カジミ石油相の随行員として現場にいた。 ビン・ムサイドはアメリカでギャンブルに溺れ、多額の借金を抱えていた人物。そのビン・ムサイドにイスラエルの情報機関モサドは魅力的な女性を近づけ、借金を清算した上で麻薬漬けにし、ベッドを伴にするなどして操り人形にしてしまったという。ファイサル国王が暗殺された後、サウジラビアのアメリカへの従属度は強くなる。(Alan Hart, “Zionism Volume Three,” World Focus Publishing, 2005) このシステムを受け入れさせるため、アメリカは産油国の支配者を富ませ、守り、国を防衛するなどと保証したのだが、アメリカとイスラエルによるイラン攻撃はその保証が幻影だったことを明らかにした。アメリカに従属しても自分たちの地位と富は保証されず、かえって危険だということが明確になった。経済力や軍事力を使った「制裁」はアメリカの「切り札」だったのだろうが、その切り札を使った瞬間、アメリカの支配システムの崩壊が急速に進み始めた。 サウジアラビア、トルコ、パキスタンの相互防衛協定をスンニ派版のNATOだと言うことはできないと考える人が少なくない。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.08.28
アメリカのドナルド・トランプ政権は同国がホルムズ海峡における船舶の通航が回復したと発表したが、イラン革命防衛隊(IRGC)はその主張を否定、敷設された機雷の正確な位置を把握しているのは自分たちだけだとしている。これまでもトランプ大統領は自分たちがホルムズ海峡を管理していると宣言してきた。そうした発言のたびに原油価格は低下するが、そうした話が事実でないことが明らかにされてきた。 2月28日にアメリカ軍とイスラエ軍がイランを騙し討ちして最高指導者を務めていたアヤトラ・アリ・ハメネイ師を含むイランの要人を殺害したものの、体制転覆に失敗、そこからイランの報復攻撃が始まった。イスラエルの主要都市が攻撃され、西アジアにおけるアメリカ軍基地が破壊されている。 バーレーンにあるアメリカ海軍の第5艦隊基地も破壊された。ここは艦船にミサイルや食糧を補給する重要な場所で、アメリカ海軍の艦船は補給が困難になっている。空母「エイブラハム・リンカーン」でも食事や生活環境が悪化し、問題になった。 この空母を含むアメリカ海軍の艦船ではシャワーがカビだらけで、トイレは壊れ、洗濯機は故障、お湯が出ないうえ食事は悲惨な状態だ。石鹸も脱臭剤も歯磨き粉もないという。その結果、乗組員5000人の精神衛生も悪化、海への飛び込む人が少なくないとされている。そのエイブラハム・リンカーンはアラビア界を離れ、タイへ向かっているとタイ当局が8月25日に発表した。アメリカ軍がホルムズ海峡を管理しているという状況ではない。ホルムズ海峡の状況をアメリカ政府が改善しようとしているとは思えない。 その8月25日、イランのアッバス・アラグチ外相とオマーンのサイード・バドル・ビン・ハマド・アル・ブサイディ外相がイランで会談、ホルムズ海峡の航行再開に向けた段階的な枠組みを定めた共同声明を発表した。暫定的な共同航路を設置、海峡の機雷除去する共同プロジェクト計画が柱になっている。 25日にはジョン・ラトクリフCIA長官を乗せたアメリカ軍のC-17A輸送機がモスクワのブヌーコボ空港へ到着、ロシアの治安機関と会談したとされている。ロシアのドミトリー・ペスコフ大統領報道官によると、ウラジミル・プーチン露大統領との接触はなかった。ラトクリフがモスクワを訪問したとする公式発表はなく、ロシア側から相手にされなかったとする見方もある。 ウクライナでロシア軍はオデッサをはじめ黒海に面した港を封鎖、黒海を回避した輸送ルートのドナウ川に面したレニ港やイズマイル港もロシア軍は破壊した。 NATOの司令部に対する攻撃も激化しているが、ショッピング・センターの地下倉庫を改造したドローンの組み立て工場やそこを出入りしてドローン発射に使われている配送用トラックもロシア軍は攻撃するようになった。破壊されたトラックがドローンを積んでいることはウクライナの救急隊員が撮影した映像に記録されている。敗北しつつあるNATO軍は飛び道具を使ってロシア深奥部を攻撃、防空体制の甘い民間施設を狙うようになったことに伴う攻撃のエスカレーションだ。 ロシア領内を攻撃している主体は事実上NATOなため、ロシア軍は早晩NATO諸国を攻撃すると推測する人が少なくない。イギリスを中心とするヨーロッパ諸国はロシア軍にNATO諸国の軍事関連施設を攻撃させ、アメリカ軍を戦場へ引き戻そうとしているとする推測もある。そうした流れになることを止めることがCIA長官がモスクワを訪問した理由ではないかと考える人もいる。 そのほか、ラトクリフCIA長官がモスクワを訪問した目的は、イランにホルムズ海峡の再開を迫るように頼んだ、あるいは経済戦争で脅したとする情報もある。ロシア側はこの脅しを拒否、ラトクリフとのやり取りをイラン側に伝えたとする話も伝えられている。アメリカが保有する戦略石油備蓄含む総貯蔵量は大きく落ち込み、底をつきそうな状況。中国が備蓄した石油を取り崩す一方、石炭へシフトしているとされているが、需給バランスの破綻は近づいているはずだ。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.08.27

8月25日にモスクワのブヌーコボ空港へ到着したアメリカ軍のC-17A輸送機(RCH4555)にはジョン・ラトクリフCIA長官が搭乗していたと伝えられている。何らかの緊急事態が生じ、盗聴される通話ではなく直接会う必要があるほど重要な要件だったと推測されている。事前にアメリカはウクライナに対し、CIA長官の滞在中にモスクワを攻撃しないように要請したとも伝えられている。 すでにウクライナ軍は壊滅状態だが、そのウクライナ軍の衣をまとったNATO軍がロシアの深奥部を攻撃している。ロシア軍による報復攻撃は抑制されたものだったが、それを「弱さ」と判断したNATOは増長、戦場での敗北をテロ攻撃で挽回しようと試み、そのテロ攻撃は防空システムが脆弱な民間施設をターゲットにするようになってきた。その作戦を立てたのはパランティア・テクノロジーズのAIだとも言われている。 こうしたNATO軍による攻撃のエスカレートを受け、ロシア軍は「特別軍事作戦」から戦争へステージを進め、攻撃を強化している。イギリスを中心とするヨーロッパ諸国はロシア軍にNATO諸国の軍事関連施設を攻撃させ、アメリカ軍を戦場へ引き戻そうとしているとする推測もある。ラトクリフ長官がモスクワを急遽訪問した理由はヨーロッパ諸国への攻撃に踏み切らないよう、ロシア政府を説得することにあったと考える人もいる。 ウクライナだけでなくイランでもアメリカをはじめとする西側諸国は追い詰められている。米英の金融機関は通貨の流れをコントロールし、自分たちのもとへ集まるようにしているが、通貨は所詮呪物。富の本質は現物、そして実際の生産活動にある。 ラトクリフ長官を乗せたと思われるアメリカ軍きはモスクワのバヌーコボ空港を離陸、国家指導者や政府代表団の輸送を担当するロシア軍の特別飛行部隊がアメリカ軍きの後を追った。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.08.26

ワシントンDCの近郊にあるアンドルーズ基地を飛び立ったアメリカ軍のC-17A輸送機は8月23日にラトビアのリガへ到着、そのまま25日にはモスクワのブヌーコボ空港に着いた。その直後、モスクワではアメリカの外交官を示すナンバー・プレートをつけた車列が目撃されている。ロシアのドミトリー・ペスコフ大統領報道官はモスクワに着陸した輸送機に関する情報を持ち合わせていないと主張、またクレムリンでアメリア政府の代表者とロシア側が会談する計画はないと記者会見で語っている。 ウクライナを舞台としたロシアとNATOの戦争はロシア軍がNATO軍を圧倒している戦況に変化はない。フィンランドのアレキサンデル・ストゥブ大統領やイギリスのアンディ・バーナム首相はロシア軍が負けていると発言しているようだが、戦場の状況を見ればロシア軍が勝利していることは明白。御伽話で戦況を変化させることはできないのだが、敗北を認めることは、おそらく、彼らの破滅を意味する。 ソ連消滅後、イギリスの私的権力はロシアの石油利権も狙っていた。その中心にいたのはジェイコブ・ロスチャイルドだとボリス・エリツィン時代のロシアでオリガルヒとして同国の資産を略奪していたミハイル・ホドルコフスキーは語っている。 西側の巨大資本はウクライナの穀倉地帯も狙っている。2022年には約3分の1をカーギル、デュポン、モンサントの3社が所有、この3社は効率性を高めるため、コンソーシアムとして契約を締結して事業を開始した。このコンソーシアムは事実上、ウクライナの土地の半分以上を支配していると言われている。 カーギル、デュポン、モンサントの主要株主にはブラックロックのほか、バンガードやブラックストーンといった「闇の銀行」が名を連ね、ゼレンスキーはブラックロックのほかJPモルガンやゴールドマン・サックスと協力関係にある。ロスチャイルドが君臨している金融界が食糧の面でもウクライナを支配しようとしているのだが、戦争がこのまま進むとそうした利権を金融資本は失うかもしれない。ここにきてロシア軍はデュポン、モンサント、カーギルなど食糧ビジネス企業の工場も攻撃するようになっている。 ホドルコフスキーによると、会社の大株主を監視している「保護者」が存在、その株主に問題が生じた場合、管理書類を別の人物に渡すのだという。会社を本当に支配しているのはその「保護者」だが、ホドルコフスキー場合、それはジェイコブ・ロスチャイルドだった。ホドルコフスキーはロシアの石油会社ユーコスを所有していたが、実際の支配権を握っていたのはジェイコブ・ロスチャイルドだった。ホドルコフスキーはジェイコブの代理人にすぎない。 ホドルコフスキーはソ連時代の1989年頃、KGBのコネクションを利用してソ連の若い女性をニューヨークへ「モデル」として送り出す仕事をしていた。(Mark Ames, “Russia’s Ruling Robbers”, Consortium news, March 11, 1999) ジャーナリストのマイケル・グロスによると、ソ連時代にホドルコフスキーはコムソモール(全ソ連邦レーニン共産主義青年同盟)の指導者だったが、そのときにロシアの若い女性を西側の金持ちに売り飛ばしていた疑いがあるのだ。ソ連時代の1989に彼はリチャード・ヒューズなる人物とロシアの若い女性を「モデル」としてニューヨークへ送るビジネスを始めていた。(Michael Gross “From Russia with Sex”, New York, August 10, 1998) ホドルコフスキーのビジネスはジェフリー・エプスタインと似た匂いがするが、そのエプスタインは金融の世界に君臨しているロスチャイルド家の代理人である。人身売買はエプスタインが行っていた仕事に一部にすぎない。 エプスタインは黒魔術にも関係、ペトログリフの刻まれた岩石などを集め、古代の建造物に模した建物を建てたりしている。イングランドではエリザベス1世の時代(1593年から1603年)にオカルトが流行、女王に寵愛されたジョン・ディーは錬金術や超自然的な存在との交信で知られていた。世界支配においてオカルトが重要な役割を演じていることをエプスタインの事件は明らかにした。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.08.26
ロシア軍はFAB-1500爆弾、またはFAB-3000爆弾をオデッサのチョルノモルスクに投下、8カ所の目標を破壊、その攻撃で約20名のイギリス人傭兵を殺害したと伝えられている。攻撃の強度が上がっている。ウクライナの黒海に面した港は封鎖され、黒海を回避した輸送ルートのドナウ川に面したレニ港やイズマイル港もロシア軍は破壊している。イギリス政府はウクライナがイギリスの長距離巡航ミサイルを組め立てられるように、機密技術情報をウクライナへ提供すると言われている。 攻撃の対象も変化している。ウクライナ政府は以前から全てのショッピング・センターの地下倉庫をドローンの組み立て工場に改造、そこから民間の配送用トラックに積んで運び出し、発射してきたが、ロシア軍はそれらを攻撃してこなかった。ところがロシア軍はそれらを攻撃し始めている。破壊されたトラックがドローンを積んでいることはウクライナの救急隊員が撮影した映像に記録されている。 ドローンが戦闘の中心になったことから大規模な戦闘部隊の移動はリスクが高くなり、ドローンの操縦兵を攻撃しながらじっくり攻める戦術に変化している。ロシア軍も戦術を変更しているが、着実に進撃している。真綿で首を絞めるようにロシア軍はウクライナ/NATO軍を締め上げ、ウクライナ/NATO軍は兵器も食糧も枯渇状態だ。 ウクライナ/NATO軍のミサイル不足は深刻なようで、ウクライナのセルゲイ・コレツキーは日本政府に対し、迎撃用ミサイルの供与を求めていたが、木原稔官房長は8月24日の記者会見で、ウクライナに自衛隊法上の武器の移転を行うことは考えていないと述べた。 防弾チョッキや自衛隊車両とは違うということのようだが、ウクライナでの戦争はロシア軍が圧倒的に優勢で、ウクライナ/NATOが勝利することは難しいことを高市早苗政権も理解したのかもしれない。2014年2月のバラク・オバマ政権がキエフで仕掛けたクーデターによって始められた対ロシア戦争はロシア軍の反撃で無惨な失敗に終わりそうだ。その反撃について官房長は「国際秩序の根幹を揺るがす暴挙」だとしている。彼の言う「国際秩序」とはアメリカが支配する秩序であり、日本がアメリカの属国だと公言したに等しい。そのアメリカもウクライナでNATO軍がロシア軍に負けたことを理解して戦闘から距離を置き、戦争ビジネスに徹している。 そうした中、新たな戦場として東アジアが注目されている。現在、核戦争が勃発する可能性が最も高いのは東アジアだと語っているのはアメリカ海兵隊の元情報将校でUNSCOM(国連大量破壊兵器廃棄特別委員会)の主任査察官を務めたスコット・リッターだが、ロシアのウラジミル・プーチン大統領も東アジアの軍事的な緊張が高まっていることを理解しているはずで、択捉島への訪問は日本に対する警告だろう。 そのロシアは朝鮮との関係を強化、両国は包括的戦略パートナーシップ協定を締結、2024年12月に発効した。それに基づいて朝鮮軍は1万から1万3000人程度をロシアへ派遣し、クルスクへ軍事侵攻したウクライナ軍を撃退する作戦に参加させ、目的を達成している。ここにきて3機の朝鮮製のKN23弾道ミサイルがドニプロペトロウシク州で攻撃に利用され、ウクライナの冶金工場「アルセロールミッタル」が破壊されたともいう。 今でも数千名の朝鮮軍兵士がロシアに駐留、その中にはドローン部隊も含まれているようだ。この規模の朝鮮軍でウクライナの戦況が変化するとは思えず、部隊の派遣は実戦経験を将兵に積ませ、ミサイルやドローンのテストが目的だろう。 アメリカは朝鮮との戦争を想定した軍事作戦を作成している。1973年には朝鮮軍の侵攻に備える目的で「OPLAN5027」され、その後の見直しで、朝鮮との戦争が勃発した場合、日本の基地が使われることも明確にされた。 1998年に改定された「OPLAN5027-98」では、金正日体制を倒して国家としての朝鮮を消滅させ、韓国が主導して新たな国を建設することを目的とされている。この内容は1998年11月に外部へ漏れて問題になる。 1998年8月に朝鮮は太平洋に向かって「ロケット」を発射、日本上空を通過し、第1段目は日本海に、また第2段目は太平洋に落下。この実験に関する情報をアメリカは遅くとも2週間前につかんでいたのだが、少なくとも表面的には沈黙していた。(豊下楢彦著『集団的自衛権とは何か』岩波書店、2007年) テポドン発射実験の3週間前、ミサイル防衛の前身であるTMD(戦域ミサイル防衛)関係予算の次年度計上を防衛庁が断念することもありえるという言われていたが、この実験で状況は一変した。そのため、アメリカ国防総省の関係者はこれを「金正日のプレゼント』だと快哉を叫んだという。(豊下楢彦著『集団的自衛権とは何か』岩波書店、2007年) 1992年2月に作成されたウォルフォウィッツ・ドクトリンでアメリカが日本を自分たちの戦争マシーンに組み込むことを決めたことは本ブログで繰り返し書いてきたが、テポドンの発射はそのドクトリンを後押ししたとも言える。 日本は1999年5月、朝鮮戦争に備えるため、アメリカ軍が日本や太平洋地域に駐留することを認めたが、この年、朝鮮の金体制が崩壊した場合に備えるとして新たな構想が検討されはじめた。CONPLAN(2005年6月にOPLANへ格上げ)5029である。この存在は同年8月に在韓米軍司令官が認めている。 ジョージ・W・ブッシュ政権がイラクを先制攻撃した直後の2003年4月には「CONPLAN8022」の草案が書き上げられ、11月に計画はできあり、翌年の6月、ラムズフェルド長官はこの計画を承認している。つまり、先制攻撃がはじめて認められた。(Hans M. Kristensen, “Global Strike”, FAS, 2006)この一方、朝鮮の軍事施設700カ所を「ピンポイント」で攻撃するというOPLAN5026が2003年7月に作成されている。(Ko Young-Dae, “Conplan 8022: Inside Bush’s Nuclear War Plan”, CounterPunch, April 18, 2008) 朝鮮は2003年1月にNPT(核拡散防止条約)から脱退すると宣言、05年2月には核兵器の保有を宣言、06年10月に朝鮮中央通信が「地下核実験に成功」と発表した。その後、アメリカが朝鮮を攻撃するという話は沈静化した。 ウクライナでロシアに敗北、西アジアでイランに敗北したアメリカは東アジアで戦争を始めるのではないかと言われているが、ロシアや中国を相手にして通常の戦争では勝てない。そこで核戦争になるのではないかと懸念する人もいる。そのアメリカの前に朝鮮もロシアや中国と共に立ちはだかっている。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.08.25
イスラエルを作り出したシオニストがパレスチナ人を虐殺している映像が世界へ伝えられ、イスラエルを批判する声が強まっている。西側の大手メディアは実態を隠してきたが、インターネットの発達の結果、そうした情報を抑えきれなくなってきたのだ。しかもアメリカではそのシオニストが政治経済の内部に浸透、イスラエルの利益を第一に考える政策を推進させていることも明らかにされ、これも批判の対象である。そうしたイスラエルの悪いイメージを払拭するために使われているのがスポーツやショービジネスのスターにほかならない。 アメリカにおける映画ビジネスの中心地はハリウッドだが、そこでは神秘主義のカバラが影響力を強めている。その中にはサンドラ・バーンハート、ロザンヌ・バー、マドンナ、バーブラ・ストライサンド、エリザベス・テイラー、ジェフ・ゴールドブラム、ブリトニー・スピアーズ、マーラ・メープルズ、サラ・ファーガソン、ミック・ジャガー、ジェリー・ホール、モニカ・ルインスキー、パリス・ヒルトンが含まれているという。 ハリウッドにカルトが広まったのは、映画監督ロマン・ポランスキーの妻で俳優のシャロン・テートが殺された1969年8月頃だろう。その家はハリウッドのリベラル派とされる人びとが集う場所になっていた。彼女を含む5名を殺害したのはチャールズ・マンソンを信奉するカルトのメンバー4名だ。事件の前年、ポランスキーが監督した「ローズマリーの赤ちゃん」がアメリカで公開されている。 彼らは社会問題にもコミットして権力者と対峙、ベトナム戦争に反対する声が高まった1968年頃にはブラック・パンサーとも緊密な関係を築いていた。この団体はボビー・シールとヒューイ・P・ニュートンが1966年10月に結成、FBIの監視下に入っている。 ベトナム反戦運動が盛り上がる切っ掛けはテト攻勢。南ベトナムの主要都市が一斉に攻撃され、アメリカ軍が苦戦していることをアメリカ国民は目の当たりにしたのだ。そこでCIAはリンドン・ジョンソン大統領の命令に基づいて反戦運動を監視、さらに破壊する目的でMHケイアスを開始した。 マンソンらによる殺人事件をテートの友人である写真家のシャーロック・ハタミは8月9日の午前7時にリーブ・ウィットソンなる人物から電話で知らされている。ポランスキーのメイドが死体を発見する90分前ことだ。このウィットソンはCIAの仕事をしていたとする証言がある。 ウィットソンをCIAへ導いたのはインディアナ大学で彼の指導教官を務めていたピート・ルイスだが、この人物は後に傘に仕込まれた毒矢で殺されたと言われている。そうした証言をするひとりが元NBA(ナショナル・バスケットボール協会)のプレイヤーで、レイカーズのジェネラル・マネージャーになるビル・シャーマンだ。(Tom O’Neill, “Chaos,” William Heinemann, 2019) 元妻のエレン・ヨセフソンもウィットソンはCIAで働いていたと語っている。ふたりは1961年にスウェーデンで結婚、ニューヨークへ移り住む。ウィットソンは自分の母親とテートの母親は親しいとも語っていたという。(前掲書) シャロン・テートと一緒に殺されたジェイ・セブリングはヘアースタイリストで、彼女の元恋人。そのセブリングの常連にはジョン・F・ケネディ大統領の暗殺でも名前が出てきた好戦派の軍人カーティス・ルメイも含まれていた。同じ常連客だった犯罪組織の大物チャーリー・バロンはルメイの友人。バロンはやはり犯罪組織の大物だったメイヤー・ランスキーとも親しく、シカゴの自動車販売業界を牛耳っていたという。ナチス親衛隊の元将校でCIAの秘密工作にも深く関係したオットー・スコルツェニーもウィットソンの友人だったとされている。(前掲書) ロック・バンドのイーグルスが1977年に発表した「ホテル・カリフォルニア」に、ワインを持ってきて欲しいとホテルの人間に言うと、「そんなスピリットはここにはない。1969年からね」と言われている。言うまでもなく、「スピリット」は魂とか精神を意味している。1969年にはウッドストック・フェスティバルが開催され、ロックはビジネス度が高まり、精神は消えていく。 テト攻勢の後、ロックの世界でもベトナム戦争に反対する声が高まっていた。その中心にいたひとりがローリング・ストーンズのブライアン・ジョーンズだが、1969年7月3日にプールで死亡した。ジョーンズの親友で、ギネス家のニコラス・フィッツジェラルドとその友人は彼がプールで殺されるところを目撃したと証言している。 フィッツジェラルドによると、目撃した直後、藪の中からひとりの男が現れ、「ここから立ち去れ、フィッツジェラルド、さもないと次はおまえだぞ。」と言われたという。一緒に目撃した友人は行方不明になったとも語っている。(John L. Potash, “Drugs as Weapons Against Us,” Trine Day, 2015) マーチン・ルーサー・キング牧師が暗殺されたことを知ったロック・ギタリストのジミー・ヘンドリックスはブラックパンサーなどを支援するようになり、FBIから監視されるようになった。彼のマネージャーを務めたマイク・ジェフリーはイギリスの対外情報機関MI6の元エージェント(情報機関に「元」は存在しない)だとされている。ヘンドリックスの麻薬スキャンダルはジェフリーが仕組んだと疑われている。 ヘンドリックスはジェフリーを解雇しようとするが、1969年に犯罪組織がヘンドリックスを誘拐、それをジェフリーが彼のマフィア人脈を利用して救出するという出来事があった。 それでもヘンドリックスは1970年9月16日にジェフリーを解雇、その翌日にヘンドリックスは死亡する。ロンドンのアパートで昏睡状態になっている彼を恋人のモニカ・ダンネマンが発見、すぐに救急車で病院へ運ばれたが、彼女によると、発見時にジミーはまだ生きていた。ロンドン警視庁は診断したジョン・バニスター医師の証言として、ジミーは病院へ到着した段階で死亡していたと発表しているが、救急隊はそれを否定している。 反戦コンサートに参加する計画を立てていたジャニス・ジョプリンは1970年10月4日に死亡した。高濃度のヘロイン摂取によるショック死だとされている。 そのほかジム・モリソンは1971年7月3日に心不全で死亡、戦争に反対する意思を明確にしていたジョン・レノンは活動を再開して間もない1980年12月8日に射殺された。1979年12月にNATO理事会は83年にパーシング2ミサイル572基をNATO加盟国に配備することを決定、核戦争を懸念する声が世界的に高まっていた。 1969年から短期間にブライアン・ジョーンズ、ジミー・ヘンドリックス、ジャニス・ジョプリン、ジム・モリソンなど自分の意思を持つスターが変死した。それ以降の「スター」に「スピリッツ」はないとイーグルスは歌っているのかもしれない。 ハリウッドに浸透したカバラはユダヤ系の神秘主義だが、ユダヤ国家だと自称しているイスラエルは「警備チーム」という形で欧米のセレブを囲んでいる。「イスラエルの顔」になっているサッカーのスター、リオネル・メッシのほか、ブラッド・ピット、ジェニファー・アニストン、マドンナ、ピンク、ジェニファー・ロペス、カニエ・ウェスト、テイラー・スウィフト、そしてチャーリー・カークなどをイスラエルの治安機関「シン・ベット」や対外情報機関の「モサド」そして特殊部隊の元隊員らで編成される警備チームが警護しているという。警護されている人びとは監視され、弱みを握られる。警護対象を殺すことも難しくはない。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.08.24

ロシア軍によるキエフへの攻撃が続いている。イスカンデルM弾道ミサイル、ジルコン極超音速ミサイル、KH101巡航ミサイル、カリブル巡航ミサイルのほか自爆ドローンや朝鮮製のKN23弾道ミサイルが使われたようだ。 こうした攻撃によって軍事施設、主要インフラ、製造工場などが破壊され、ポーランド、ドイツ、フランスなどから派遣された技術者も死亡したと伝えられている。ロシア国防省は声明で、ロシア軍がキエフ周辺の輸送インフラ施設と物流センターを攻撃したと発表している。ロシア軍は兵站を重要な攻撃目標にしていると言えるだろう。 攻撃された工場の中にはデュポン、モンサント、カーギルなど食糧ビジネス企業が含まれているが、ウクライナの耕作地はこうした企業が所有、穀物はヨーロッパへ運ばれてきた。すでに壊滅状態のウクライナ軍では兵士が飢餓で苦しんでいるのだが、今後、ヨーロッパも飢饉に襲われる可能性が高い。 ウクライナでは徴兵担当官が街頭で男性を拉致、軍事訓練をほとんどしないまま最前線へ送り込み、「バンザイ突撃」を強いられている。そのため戦死者が増えているが、それだけでなく脱走も増加、ウォロディミル・ゼレンスキー政権は男性だけでなく女性も徴兵対象にすると言い始めている。 ロシア軍がウクライナの海上輸送を封鎖する前、ウクライナ/NATOは「ウクライナ製の水上ドローン」でロシアの艦船、潜水艦、タンカーに対抗していた。表向きはウクライナ企業のUforceが開発したとされてが、この会社はロンドンが拠点。この水上ドローンはイギリスで設計され、製造されている。開発にはF1のイギリス人エンジニアが関与しているとも言われている。 2014年2月にウクライナで対ロシア戦争を始めたアメリカのバラク・オバマ政権にとって、ウクライナもロシアもスラブ系の国。スラブ系の人びとを互いに殺させ、空いた土地を自分たちが盗むという筋書きだったのだろうが、ロシアは疲弊せず、ヨーロッパ諸国が崩壊しつつある。 複数のターゲット国を互いに戦わせ、共倒れにさせるという手口はイギリスの得意技だが、それをアメリカのネオコンは真似してウクライナで戦争を始めた。西アジアではシーア派、スンニ派、ユダヤ教徒などの対立を煽り全域を支配しようとしている。そのための「航空母艦」がイスラエルにほかならない。アメリカ、イギリス、イスラエルはひとつの国だと考えるべきだ。 東アジアでは明治維新以降、日本を操り、戦乱で地域を破壊、財宝を奪ってきた。ロシアの十月革命で成立したボルシェビキ体制を倒すためにイギリス、フランス、アメリカ、日本は軍隊を派遣して干渉戦争を展開したが、その際、日本軍はロシアから金塊を持ち帰ったことが判明している。 また1937年7月の「盧溝橋事件」で日本と中国は全面戦争に突入、同年12月に日本軍は南京を制圧するが、その際の作戦が不味かったこともあり、虐殺事件を引き起こしている。この攻略戦を上海派遣軍の司令官として指揮したのは昭和天皇の叔父にあたる朝香宮鳩彦だ。 この攻略戦で日本軍は組織的な財宝略奪を始める。「金の百合」だ。この作戦を指揮したのは秩父宮雍仁、その補佐役は竹田宮恒徳。財宝は一旦フィリピンへ運び、そこから日本へ運ばれる仕組みが作られたのだが、途中で戦局が悪化して輸送が困難になり、相当部分がフィリピンに隠された。運び出しに成功した金塊は東京にあるスイス系銀行、マカオにあるポルトガル系銀行、あるいはチリやアルゼンチンの銀行に運び込まれたという。(Sterling & Peggy Seagrave, “Gold Warriors”, Verso, 2003) 日本が降伏すると、アメリカ軍のエドワード・ランズデール大尉(当時)は1945年10月中旬、財宝の隠し場所を日本軍の捕虜から聞き出すことに成功する。当時、ランズデールはアメリカ軍のG2(情報部)に所属、そのトップはチャールズ・ウィロビー少将だが、本当の所属は情報機関OSSだった。 そのランズデールの下にいた情報将校のセベリーノ・ガルシア・ディアス・サンタ・ロマーナも日本軍が隠した財宝に関する情報を持っていたが、その愛人がイメルダ・ロムアルデス。ロマーナはこの女性をフェルディナンド・マルコスに紹介、ふたりは結婚した。 回収した金塊をフィリピンから国外の銀行へ移す作業はDNPエンタープライズが中心になって行われ、そのネットワークの中にはウォーレス・グローブスも含まれていた。 グローブスが所有するカジノを経営していたのはユダヤ系ギャングでCIAと手を組んでいたメイヤー・ランスキー。このギャングはイタリア系のラッキー・ルチアーノと少年時代からの友人で、このふたりはユダヤ系ギャングのアーノルド・ロステインの配下に入っていた。 ランズデールは財宝に関する情報を東京のダグラス・マッカーサー元帥、ウィロビー少将、そしてGS(民政局)のコートニー・ホイットニー准将に報告、さらにワシントンDCへ行き、ジョン・マグルーダー准将に説明している。ランズデールをフィリピンへ行かせたのはこのマグルーダーにほかならない。 マグルーダー准将はウィリアム・ドノバンOSS長官の部下。マグルーダー准将の指示で、ランズデールはハリー・トルーマン大統領の国家安全保障を担当していたスタッフにも会っている。 金の百合の回収が進められていた頃、ヨーロッパでは「ナチ・ゴールド」が回収されていた。ジョン・ロフタスとマーク・アーロンズによると、ナチがヨーロッパで略奪した資金はドノバンのWCC(世界通商)でロンダリングされ、戦後にタイへ運ばれたという証言もある。(John Loftus & Mark Aarons, “The Secret War against the Jews”, St. Martin’s Press, 1994) 閑話休題。ロシア軍はオデッサやニコラエフへ物資を輸送する船舶を攻撃、沈没させることで黒海に面した港を封鎖、そこでウクライナ/NATOはドナウ川を利用して物資を輸送しているのだが、ロシア軍はウクライナとNATO加盟国を隔てるドナウ川に面したレニ港やイズマイル港を攻撃した。ドナウ川を利用できなくなると、ウクライナ/NATOの兵站は危機的な状態になった。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.08.23

アメリカ財務省によると、同国の連邦債務が40兆ドルを突破した。この数値自体に意味があるとは言えないが、アメリカの財政が危機的な状況にあることを示す象徴とは言える。そのアメリカ以上に危機的な状態にある国が日本にほかならない。追い詰められた日本はアメリカの財務省証券を売らざるをえない状態だ。 1970年代の後半から日本の普通国債残高は上昇し続けている。その節目は1974年12月の田中角栄政権の終焉だろう。1982年11月に成立した中曽根康弘政権は政界へ入った直後からCIAとの関係が深く、彼の背後には岸信介がいた。 中曽根は新自由主義的な政策を推進しようとしたが、政権の内部にブレーキ役がいた。官房長官に据えられた後藤田正晴だ。後藤田は田中角栄の懐刀と言われていた人物。中曽根政権が「田中曽根内閣」と呼ばれた理由のひとつはここにあるのだが、実態は「岸影内閣」だった。後藤田をスキャンダルで排除しようとする動きもあったが、失敗している。 ソ連が消滅した直後の1992年2月にアメリカ国防総省のDPG(国防計画指針)草案(ウォルフォウィッツ・ドクトリン)が作成された。アメリカの軍事や外交をコントロールしていたネオコンはソ連の消滅でアメリカが「唯一の超大国」になったと考え、そのDPGは新たなライバルの出現を防ぐと宣言している。 ネオコンは日本も潜在的なライバルだと認識、弱体化させようとするのだが、その一方でDPGはドイツと日本をアメリカ主導の集団安全保障体制に統合し、民主的な「平和地帯」を創設する、つまりドイツと日本をアメリカの戦争マシーンに組み込み、アメリカの支配地域を広げると謳っている。日本人を戦闘奴隷にすると言うことだろう。 1993年8月に成立した細川護煕政権は国連中心主義を打ち出して抵抗、94年4月に倒された。同年6月から自民党は社会党やさきがけを巻き込んで連立政権を樹立、抵抗したが、それに対して1995年2月にジョセイフ・ナイが「東アジア戦略報告(ナイ・レポート)」を発表してアメリカの政策に従うように命令、このタイミングで日本を震撼させる出来事が相次いだ。 つまり、1994年6月に長野県松本市で神経ガスのサリンがまかれ(松本サリン事件)、95年3月には帝都高速度交通営団(後に東京メトロへ改名)の車両内でサリンが散布された。(地下鉄サリン事件)松本サリン事件の翌月に警察庁長官は城内康光から國松孝次へ交代したが、その國松は地下鉄サリン事件の直後に狙撃されている。1995年8月にはアメリカ軍の準機関紙と言われているスターズ・アンド・ストライプ紙に85年8月12日に墜落した日本航空123便に関する記事を掲載、墜落の際に自衛隊が不適切なことを行なったと示唆。こうした出来事と並行する形で証券スキャンダルや銀行スキャンダルが発覚、大蔵/財務官僚はアメリカに屈服した。この後、普通国債残高は大きく上昇し始め、国民は債務奴隷化、「エリート」やその背後にいる米英の私的権力の支配力は強まる。 2001年4月に成立した小泉純一郎政権は新自由主義的で好戦的な政策を強行、日本社会は急速に崩壊し始めた。その流れを加速させたのがその年の9月11日に引き起こされたニューヨークの世界貿易センターとバージニア州アーリントンの国防総省本部庁舎(ペンタゴン)への攻撃だ。2003年3月にジョージ・W・ブッシュ政権はイランを先制攻撃、そこから世界征服戦争を始めた。 しかし、この計画は思惑通りに進まず、バラク・オバマ政権はサラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)やムスリム同胞団を主力とする戦闘集団を編成、2011年春からシリアやリビアなどの体制を転覆させる侵略戦争を開始、14年2月にはウクライナでネオ・ナチを使ったクーデターでビクトル・ヤヌコビッチ政権を倒した。ウクライナを舞台にした対ロシア戦争は2014年のクーデターから始まる。 そして今年2月28日、ドナルド・トランプ政権はイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ政権と共同でイランを騙し討ちにして最高指導者だったヤトラ・アリ・ハメネイ師を含む政府要人を殺害したが、イランは屈服するどころか強烈な報復攻撃で西アジアにあるアメリカの軍事基地やイスラエルの重要施設を破壊した。 破壊されたアメリカ軍基地にはカタールのアル・ウデイド空軍基地、クウェートのアル・サレム基地、アラブ首長国連邦のアル・ダフラ空軍基地、バーレーンのアメリカ軍第5艦隊基地、サウジアラビアのリヤドにあるプリンス・スルタン空軍基地、ヨルダンのムワファク・アル・サルティ空軍基地、クウェートにあるふたつの基地などが含まれ、イスラエルではテルアビブやハイファ、ディモナにあるシモン・ペレス・ネゲブ原子力研究センター(ディモナ原子炉)近辺が攻撃されている。 アメリカはウォルフォウィッツ・ドクトリンに従って世界征服戦争を始めたが、その前にロシア、イラン、中国が立ち塞がった。アメリカはこの3カ国との戦争で敗北は不可避だ。 ロシア、イラン、中国は、アメリカに従属して中国やロシアと戦争する準備を進めている日本も敵だと認識しているのだが、日本人は自分の置かれた状況を理解していないようだ。世界の人びとは日本の置かれた状況をアメリカ以上に危機的だと考えている。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.08.22

ロシア軍がキエフに対する大規模な攻撃を続けている。そのターゲットはウクライナの軍事産業、兵器庫、兵站、燃料供給だとロシア側は主張しているが、ロシアの情報機関はイギリスの軍事産業がミサイルを製造している工場の正確な位置を特定、それらをロシア軍が破壊していると伝えられている。そうした工場ではイギリス人技術者が監督しているため、ロシア軍の攻撃で犠牲者が出ているともいう。 また、ロシア軍は都市を爆撃するだけでなくアゾフ海やドン・アゾフ運河におけるすべての水上交通やケルチ海峡の航行を停止させ、オデッサやニコラエフへ物資を輸送する船舶の航行を遮断、ウクライナは黒海経由で物資を運び込むことができない。以前からNATO諸国はモルドバからトラックなどで兵器をウクライナへ運び込んでいたが、ロシア軍は8月20日、攻撃型ドローンで輸送の拠点を攻撃した。ロシア軍はウクライナ軍の兵站線を遮断しようとしているほか、NATO軍の将兵や施設も容赦なく攻撃しはじめた。 ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキーは6月下旬、ロシアに戦争を終わらせる、つまり降伏させると宣言した。それを実現させるための切り札とされたのがロシア深奥部まで届くイギリス製のドローンやミサイル。それらはNATO諸国の情報機関網や衛星が収集した情報で目標を定め、アメリカの衛星ネットワークに誘導されている。 そうした攻撃を実施すればロシア国民は怖気付くとゼレンスキーは考えたのだろう。本ブログでは繰り返し書いてきたように、ゼレンスキーはイギリスの対外情報機関MI6に操られている可能性が高く、そのハンドラーはMI6長官だと見られているので、イギリスの情報機関もそう考えた可能性が高い。 それに対し、ロシアは朝鮮との関係を強化、モスクワと平壌との間で締結された包括的戦略パートナーシップ協定が2024年12月に発効している。それに基づいて朝鮮軍は1万から1万3000人程度をロシアへ派遣し、クルスクへ軍事侵攻したウクライナ軍を撃退する作戦に参加させ、目的を達成しているのだが、ここにきて3機の朝鮮製のKN23弾道ミサイルがドニプロペトロウシク州で攻撃に利用され、ウクライナの冶金工場「アルセロールミッタル」が破壊された。その結果、工場の大部分を閉鎖せざるをえなくなっている。 派兵にしろミサイル発射にしろ、ウクライナにおける戦況に大きな変化をもたらすものではない。朝鮮軍に実戦経験を積ませることが目的なのだろう。それだけロシア軍は余裕を持っている。 ウクライナでロシア軍に圧倒されているNATO軍は長距離ドローンでモスクワを含むロシア深奥部への攻撃で対抗している。こうした攻撃で戦況を変化させることは不可能だが、ロシア国民を怒らせることはできる。選挙を控えていることもあり、ロシア政府は報復せざるをえない。 そこで「特別軍事作戦」から戦争へステージを進め、攻撃を強化しているのだが、イギリスを中心とするヨーロッパ諸国はロシア軍にNATO諸国の軍事関連施設を攻撃させようとしていると推測する人もいる。ロシアのNATO諸国を攻撃させればアメリカが参戦せざるをえなくなり、核戦争を実現できると考えているのではないかというわけだ。実際、アメリカ政府の内部には戦術核兵器を使用するべきだと主張する人が存在する。そのひとりがエルブリッジ・コルビー国防次官にほかならない。 エルブリッジの祖父に当たるウィリアム・コルビーは第2次世界大戦の終盤に米英の秘密工作機関が組織したジェドバラのメンバーで、1973年から76年までCIA長官を務め、その際、議会で情報機関の秘密工作について証言し、組織から睨まれることになった。1996年4月、彼は別荘からカヌーで漕ぎ出したまま行方不明になり、後に水死体となって発見された。他殺説を唱える人も少なくない。 エルブリッジ・コルビーの妻、スサナ・コルデイロ・ゲラはブラジル人経済学者で、ジャイール・ボルソナーロ前大統領と親しいことでも知られている。 また、彼女の師にあたるパウロ・ゲデスはアウグスト・ピノチェトが率いるチリの軍事独裁体制で新自由主義政策を推進した「シカゴ・ボーイズ」のひとり。ピノチェトは1973年9月11日、リチャード・ニクソン政権を後ろ盾とする軍事クーデターでサルバドール・アジェンデ政権を倒して実権を握り、世界で初めて新自由主義を政策に取り入れた。この政策をヨーロッパで初めて採用したのがイギリスの首相を務めたマーガレット・サッチャーだ。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.08.21

ドナルド・トランプ米大統領は8月18日、「新しい合州国の領土」というタイトルでホルムズ海峡の画像を投稿したが、この海峡はアメリカ軍とイスラエ軍は2月28日にイランを奇襲攻撃して以来、イランが管理している。ホルムズ海峡は開放されているとトランプ大統領は主張している。事実ではないのだが、トランプ大統領は妄想の中にどっぷり浸かり、問題の存在を否定することで逃げようとしている。 アメリカ軍がイスラエル軍と共同でイランを攻撃した直後にイランの革命防衛隊(IRGC)は反撃を開始、イスラエルの主要都市や西アジアにあるアメリカ軍基地を攻撃、破壊する。 ターゲットにはイスラエルのテルアビブやハイファ、ディモナにあるシモン・ペレス・ネゲブ原子力研究センター(ディモナ原子炉)近辺が含まれ、またアメリカ軍基地にはカタールのアル・ウデイド空軍基地、クウェートのアル・サレム基地、アラブ首長国連邦のアル・ダフラ空軍基地、バーレーンのアメリカ軍第5艦隊基地、サウジアラビアのリヤドにあるプリンス・スルタン空軍基地、ヨルダンのムワファク・アル・サルティ空軍基地、クウェートにあるふたつの基地などが含まれる。 バーレーンの第5艦隊基地はアメリカ海軍の艦船にミサイルや食糧を補給する重要な場所で、アメリカの艦船は補給が困難になる。現在、アメリカ海軍の空母「エイブラハム・リンカーン」で食事や生活環境が悪化し、問題になっているが、その原因はバーレーンの基地が破壊され、機能不全になったことにある。 この空母を含むアメリカ海軍の艦船ではシャワーがカビだらけで、トイレは壊れ、洗濯機は故障、お湯が出ないうえ食事は悲惨な状態だ。石鹸も脱臭剤も歯磨き粉もないという。その結果、乗組員5000人の精神衛生も悪化、海への飛び込む人が少なくないとされている。ピート・ヘグセス国防長官は「フェイクニュースだ」として無視しているが、長官の発言がフェイクだ。 戦争の拡大によってホルムズ海峡は封鎖されたが、イエメンを統治しているアンサール・アッラー(フーシ派)はサウジアラビアの船舶が紅海への入り口であるバブ・エル・マンデブ海峡を航行させないと発表した。現在、バブ・エル・マンデブ海峡の通行量は2桁台で、以前より1桁少ない。さらにジザンにあるアラムコの製油所を攻撃したとしている。 ホルムズ海峡の封鎖とバブ・エル・マンデブ海峡の航行制限によって物資の輸送が滞った。ホルムズ海峡の封鎖によって、原油だけでなく肥料を生産するために必要な尿素、アンモニア、リン酸2アンモニウム、硫黄の輸送が止まった。LNGやヘリウムも生産設備が破壊され、生産再開には数年を要するとも言われている。 トランプ政権はアメリカが保有する戦略石油備蓄含む総貯蔵量は大きく落ち込み、底をつきそうな状況。膨大な量の石油を備蓄していた中国がそれを取り崩し、液化石炭への切り替えを図っているようで、石油の需給は予想より逼迫していないが、危機的な状態であることにかわりはない。トランプ政権は「イランへの核兵器使用を検討している」とマージョリー・テイラー・グリーンは8月18日に発言している。これが事実なら、それほど追い詰められていると言うことだろう。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.08.20

アメリカの支配層はNATOを使い、ウクライナで対ロシア戦争を展開してきた。その戦争でロシアの勝利は確定的だが、それはNATOの敗北を意味する。日本は2025年1月、ブリュッセルの在ベルギー日本大使館に日本政府代表部を開設した。現在、NATOは米英の侵略軍として機能しており、日本も米英の侵略に加担していることを意味する。 アメリカの国防総省はソ連が消滅した直後の1992年2月にDPG(国防計画指針)草案を作成したが、その中にはドイツと日本をアメリカ主導の集団安全保障体制に統合し、民主的な「平和地帯」を創設するとも書かれている。要するにドイツと日本をアメリカの戦争マシーンに組み込むということであり、その計画通りになっているようだ。 ところで、NATOはソ連軍の侵略に備えることが目的だと考えている人も少なくないようだが、ソ連はドイツ軍による軍事侵攻で2500万人以上が死亡したと言われ、国土の3分の1、産業基盤の3分の2近くが破壊されていた。ソ連軍はナチの地盤を制圧したものの、ヨーロッパ全域へ攻め込むことなど不可能だった。 NATOを創設した目的について、ウィンストン・チャーチルの側近でNATOの初代事務総長になったヘイスティング・イスメイはソ連をヨーロッパから締め出し、アメリカを引き入れ、ドイツを押さえつけることにあるとしていた。NATO創設の前年、1948年にイギリスとアメリカの支配層はヨーロッパを統合するためにACUE(ヨーロッパ連合に関するアメリカ委員会)を創設している。 ヨーロッパを統合するとは、ヨーロッパをアングロ・サクソンの支配地域にすることを意味する。その目的を達成する上で大きな障害になると考えれていたのは第2次世界大戦中、ドイツ軍と戦っていたレジスタンスだ。ドイツ軍と戦ったのはレジスタンスだけだと言う人もいる。その主力はコミュニストだった。 このレジスタンスに対抗するため、アメリカの情報機関OSSの一部門だったSOとイギリスの特殊部隊SOEは1944年にゲリラ部隊をフランスで編成した。ジェドバラだ。 この人脈は第2次世界大戦後、一部は特殊部隊へ入るが、一部は極秘の破壊工作機関OPCの中核になる。OPCは1950年10月にCIAへ吸収され、破壊工作部門の主体になった。その部門の名称は計画局、作戦局、国家秘密局、そして作戦局へ変化している。 ナチが勢力を拡大させた大戦前の時期にアメリカやイギリスの金融機関は彼らに資金を提供していた。ナチの戦争犯罪を研究しているアメリカン大学のクリストファー・シンプソンによると、1920年代後半にアメリカからドイツへ融資という形で多額の資金が流れている。 アメリカ商務省の統計を見ても、アドルフ・ヒトラーが権力を握ってからアメリカの対ドイツ投資額が急増。ヨーロッパ大陸全域でアメリカの投資額が激減している中、1929年から40年の間に約48.5%増えている。(Christopher Simpson, “The Splendid Blond Beast”, Common Courage, 1995) アメリカからドイツへ資金を送る上で中心的な役割を果たした金融機関にはディロン・リードとブラウン・ブラザーズ・ハリマンが含まれている。ディロン・リードの融資先はドイツ銀行、ジーメンス、そしてフリードリヒ・フリックなどに集中していた。 ジョージ・H・W・ブッシュの父親であるプレスコット・ブッシュやW・アベレル・ハリマンが経営していたユニオン・バンキングはナチへ資金を送るために作られた金融機関だと言われ、その背後にはハリマン一族のほかジョージ・ハーバート・ウォーカーがいた。 ウォーカーの娘であるドロシーとプレスコットは1921年に結婚、24年にウォーカーが社長を務める投資銀行A・ハリマンの副社長に就任している。ユニオン・バンキング(UBC)が創設されたのも1924年。プレスコットは1931年にブラウン・ブラザース・ハリマンの共同経営者になっている。 ウォール街の大物銀行家だったプレスコットはアレン・ダレスと親しかったと言われている。ダレスは1893年に誕生、プレスコットは95年に誕生、つまり2歳違いだ。しかもアレン・ダレスはウォール街の弁護士であり、ウォール街の銀行家であるプレスコットと親しくなる。アレンは大戦中にOSSの幹部、大戦後にはCIAの長官として活動していた。 プレスコット・ブッシュはエール大学出身だが、大学時代からW・アベレル・ハリマンの親友で、ふたりとも学生の秘密結社として知られているスカル・アンド・ボーンズのメンバーだった。プレスコットの息子も孫もこの結社に入会することになる。 ジョージ・H・W・ブッシュもエール大学へ入り、スカル・アンド・ボーンズのメンバーにもなっている。大学ではボート部のコーチだったアレン・ウォルツと親しくしていたが、この人物はエール大学におけるCIAの採用担当者だった。ブッシュはそのウォルツからCIAへ誘われたと信じられている。 ところで、ジェドバラ人脈はNATOの内部へも入り込み、1951年になるとCPC(秘密計画委員会)の下で活動するようになった。1957年にはSACEUR(欧州連合軍最高司令官)の命令でCPCの下部組織としてACC(連合軍秘密委員会)が創設される。この委員会を通じてアメリカはNATO加盟国に設置した秘密部隊のネットワークを操ってきたとも言われている。そうした秘密部隊の中でも特に有名な組織がイタリアのグラディオだ。 NATOへ加盟するためには秘密の反共議定書にも署名する必要があるのだが、グラディオについて研究しているスイスの学者ダニエレ・ガンサーによると、NATOの元情報将校は「右翼過激派を守る」ことが秘密の議定書によって義務づけられていると語っている。コミュニストと戦うために彼らは役に立つという理由からだという。(Daniele Ganser, “NATO’s Secret Armies”, Frank Cass, 2005) コミュニストの影響力の強かったイタリアでグラディオは爆破テロを繰り返し、その責任をコミュニストになすりつけ、その影響力を低下させ、治安体制を強化していく。いわゆる緊張戦略だ。この人脈はジョン・F・ケネディ暗殺やシャルル・ド・ゴール暗殺未遂でも名前が出てくる。こうした出来事については拙著『テロ帝国アメリカは21世紀に耐えられない』(三一書房、2005年)でも説明している。 日本はNATOとの関係を強めているが、グラディオ的な極秘の破壊活動機関が設置されている可能性がある。**************************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.08.19

アメリカ軍と韓国軍は8月17日、朝鮮半島での戦争を想定した合同軍事演習「乙支自由の盾」を開始した。ドローンへの対応、GPS妨害、サイバー攻撃への対策に重点を置いていると言われていたが、ドナルド・トランプ米大統領はドナルド・トランプ米大統領は8月16日、「トゥルース・ソーシャル」への投稿で、この年次演習へアメリカが参加することに不満を表明、演習を完全に中止するには時期が遅すぎるので「大幅に縮小」するようにピート・ヘグセス国防長官へ指示したと述べている。 トランプが投稿する前日の15日、韓国の李在明は朝鮮やその他の関係者に対し、対話を呼びかけた。「互いに威嚇し合うのをやめ、当事者として、この長期にわたる戦争の終結に向けた協議を始めようではありませんか」というのだ。朝鮮戦争は休戦協定で戦闘が止まっているのだが、それを恒久的な平和体制へと置き換えようというわけである。 それに対し、朝鮮の金正恩総書記は統一政策を放棄し、韓国を「最大の敵対国」と規定、最前線での軍事力強化を指示した。さらに韓国の原子力潜水艦導入計画を批判、アメリカと韓国の「乙支自由の盾」を挑発行為だと非難し、アメリカ、韓国、日本の軍事協力拡大が朝鮮半島の安全保障上の緊張を悪化させていると警告している。この反発にアメリカ政府は驚いたようだ。 朝鮮が主張している安全保障上の懸念をロシアも共有、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相によると、ロシアは朝鮮半島の非核化を求める呼びかけを支持しないという。 そのロシアで大統領を務めるウラジミル・プーチンはロシア太平洋艦隊が軍事演習を行っていたサハリン島に続き、8月13日に択捉島を訪問した。日本の反ロシア政策に対する警告だ。 本ブログでも繰り返し書いてきたが、戦後日本は「ポツダム宣言」の受諾から始まる。その宣言には「カイロ宣言の条項は、履行せらるべく、又日本国の主権は、本州、北海道、九州及四国並に吾等の決定する諸小島に局限せらるべし」とある。確定している日本の領土は本州、北海道、九州、四国だけであり、残りの領土は連合国が決めることになっているわけだ。言うまでもなく、「吾等」とは連合国を意味する。 連合国の中にはロシアも含まれるのだが、日本はアメリカに従属することでポツダム宣言の制約を受けないと考えているようだ。そして日本はアメリカの戦略に従い、ロシアや中国との戦争へ向かう。 日本を支配しているアメリカやイギリスは強大な私的権力に支配されているが、その私的権力の軍隊として機能しているのがNATO。ソ連が消滅した直後からNATOの東方への拡大が始まったが、これはナチ時代のドイツ軍が実行したソ連への軍事侵攻作戦「バルバロッサ」の再現にほかならない。いわば「新バルバロッサ」だ。そして2014年2月、ウクライナに到達した。その段階でロシア軍が動かなかったことを批判する西側の元政府高官もいたが、おそらくロシア軍は準備ができていなかったのだろう。 ロシアや中国にとってNATOは侵略軍にほかならないのだが、日本は2025年1月、NATO日本政府代表部を開設した。対中露戦争へ日本も加わると思われても仕方がない。何しろNATOは米英の侵略軍だ。 2023年初めにNATOの事務総長だったイェンス・ストルテンベルグが来日したが、そのタイミングでNATOが2024年までに日本に連絡事務所を開設することを検討していると伝えられた。この計画は中国が反発し、計画は立ち消えになったものの、駐日デンマーク大使館がその役割を担っているようだ。 日本とNATOの関係は田中角栄がロッキード事件で失脚した頃から始まる。その頃、日本はNATOの「域外パートナー」になり、2014年に日本とNATOは共同軍事演習を実施、2018年に日本は在ブリュッセル日本大使館内にNATO担当部署を設置している。 アメリカの国防総省はソ連が消滅した直後の1992年2月にDPG(国防計画指針)草案を作成した。作成の中心は国防次官を務めていたポール・ウォルフォウィッツだったことから「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」とも呼ばれている。 このドクトリンは世界征服計画にほかならないが、その中にはドイツと日本をアメリカ主導の集団安全保障体制に統合し、民主的な「平和地帯」を創設するとも書かれている。要するにドイツと日本をアメリカの戦争マシーンに組み込み、アメリカの支配地域を広げ、西ヨーロッパ、東アジア、そしてエネルギー資源のある西南アジアが成長することを許さないと宣言しているのだ。 当初、日本側はアメリカの戦争マシーン組み込まれることを拒否していたが、1995年に屈服した。これは本ブログで繰り返し書いてきた。そして2001年4月に小泉純一郎政権が成立、政治経済面では新自由主義を導入、軍事面では好戦的な政策を進める。そうした政策を後押しすることになるのが2001年9月11日の出来事、つまりニューヨークの世界貿易センターやバージニア州アーリントンの国防総省本部庁舎(ペンタゴン)への攻撃だ。 2022年の4月にアメリカ国防総省系シンクタンク「RANDコーポレーション」が明らかにしているが、アメリカ軍はGBIRM(地上配備中距離弾道ミサイル)で中国を包囲するという計画を立てていた。その計画にしたがい、自衛隊は2016年に与那国島でミサイル発射施設を建設、19年には奄美大島と宮古島、そして23年には石垣島でも施設を完成させた。 南西諸島にミサイル発射基地が建設されつつあった2017年11月、アメリカはオーストラリア、インド、日本とクワドの復活を協議。2020年6月にNATO(北大西洋条約機構)のイェンス・ストルテンベルグ事務総長はオーストラリア、ニュージーランド、韓国、日本をメンバーにするプロジェクト「NATO2030」を開始すると宣言し、21年9月にはアメリカ、イギリス、オーストラリアのアングロ・サクソン3カ国が太平洋でAUKUSなる軍事同盟を創設したとする発表があった。 与那国島にミサイル発射施設を建設する前年、2015年の6月、総理大臣だった故安倍晋三は赤坂の「赤坂飯店」で開かれた官邸記者クラブのキャップによる懇親会で、「安保法制は、南シナ海の中国が相手なの」と口にしたと報道されている。安倍首相は南シナ海における中国との軍事衝突を見通していた。 岸田文雄政権は2022年12月16日に「国家安全保障戦略(NSS)」、「国家防衛戦略」、「防衛力整備計画」の軍事関連3文書を閣議決定、2023年度から5年間の軍事費を現行計画の1.5倍以上にあたる43兆円に増額して「敵基地攻撃能力」を保有することを明らかにしている。 2022年10月には、「日本政府が、米国製の巡航ミサイル「トマホーク」の購入を米政府に打診している」とする報道があった。亜音速で飛行する巡航ミサイルを日本政府は購入する意向で、アメリカ政府も応じる姿勢を示しているというのだ。 NATOはロシアとの戦争を声高に叫んでいたが、ここにきてロシアがウクライナでの戦争を外交的に解決することを断念、「特別軍事作戦」から「戦争」へステージを進めて攻撃を強化、オデッサを含む南部の港湾を封鎖、NATO軍の将兵や施設も容赦なく攻撃するようになった。ロシアは反撃しないと高を括っていたNATO諸国は慌てているが手遅れ。日本はそうした状況の中へ飛び込もうとしている。トランプ政権もロシアの動きを見て軌道修正を図っているようだが、日本は「無敵のアメリカ」に従属することしか考えていないのではないだろうか。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.08.18
このブログは読者の皆様に支えられています。ブログを存続させるため、カンパ/寄付をよろしくお願い申し上げます。【振込先】巣鴨信用金庫店番号:002(大塚支店)預金種目:普通口座番号:0002105口座名:櫻井春彦 ロシア政府はウクライナを舞台としたNATOとの戦争を話し合いで解決することを断念、軍事的に決着をつけるしかないと判断し、軍事作戦のレベルを引き上げました。 1年前の8月15日、ドナルド・トランプ米大統領とウラジミル・プーチン露大統領はアラスカで会談、その際にアメリカ側からマルコ・ルビオ国務長官、そして大統領特使のスティーブ・ウィトコフ、ロシア側からユーリ・ウシャコフ大統領補佐官、セルゲイ・ラブロフ外相が同席していますが、その当時、プーチン大統領は話し合いでの解決は可能だと考えていたようですが、アメリカ政府は信用できないことを理解した結果です。 西側に住んでいると、アメリカ、イギリス、イスラエルのような国々が信頼できないことは常識だと思うのだが、東側には西側幻想が残っていたのかもしれません。その幻想は消えたでしょう。ロシアでプーチンは高い支持率を維持していますが、プーチン政権の政策をまどろっこしいと感じるロシア国民が増えているようです。 イラン政府もアメリカ政府を信用しなくなっています。これまで何度もイランはアメリカに騙されてきましたが、2月28日にアメリカ軍とイスラエ軍はイランを騙し討ち、最高指導者だったアヤトラ・アリ・ハメネイ師、参謀総長のアブドルラヒム・ムサビ、アジズ・ナシルザデ国防相、イラン革命防衛隊(IRGC)のモハメド・パクプール司令官、最高安全保障委員会(SNSC)事務局長でハメネイ師の顧問を務めていたアリ・シャムハニなどイランの要人を殺害しました。 この騙し討ちでイスラエル軍はイランのミナブ女子小学校も攻撃して168名から180名を殺しました。攻撃は数度あり、最初の攻撃で生徒たちが避難した礼拝堂も狙われています。犠牲者の大半は7歳から12歳の少女です。 本ブログでは繰り返し書いてきましたが、北西ヨーロッパの国々は山賊、海賊、強盗、詐欺といった犯罪行為によって富を築いてきました。「十字軍」と称して西アジアから富や知識を奪い、「大航海時代」にスペインやポルトガルはラテン・アメリカなどから財宝を奪い、先住民を奴隷として使って金鉱山や銀鉱山を開発しています。スペインやポルトガルが盗んだ富を運ぶ船を海賊に盗ませていたのがイングランドにほかなりません。イングランドの私的権力は19世紀に南部アフリカを侵略、ダイヤモンドや金をはじめとする鉱物資源を奪っています。 貨物船を襲撃して積み荷を奪う海賊行為、口先で相手を欺いて利益をえる詐欺行為を欧米諸国が働くのは必然だと言えるでしょう。そうした欧米諸国を信じることは愚かしいことなのです。その事実にロシアやイランは気付きました。世の中は変わろうとしています。時代の変わり目に差し掛かっているのです。欧米の犯罪システムから抜け出すのか、あるいは犯罪システムと一緒に沈没するのかが問われています。櫻井 春彦【振込先】巣鴨信用金庫店番号:002(大塚支店)預金種目:普通口座番号:0002105口座名:櫻井春彦
2026.08.17

アメリカ海軍の空母「エイブラハム・リンカーン」で兵士の処遇が問題になっている。ガーディアン紙によると、250日間連続で海上で活動しているこの空母の艦内は劣悪な状態で、シャワーはカビだらけ、トイレは壊れ、洗濯機は故障、お湯が出ないうえ、食事は悲惨な状態。石鹸も脱臭剤も歯磨き粉もないという。乗組員5000人の精神衛生の状態が悪化、乗組員の海への飛び込みが少なくない。同じ問題はほかの艦船でも引き起こされ、乗組員によって告発されているのだが、ピート・ヘグセス国防/戦争長官は「フェイクニュースだ」として無視している。兵士の精神状態をケアする役割のある従軍牧師が排除されているという現実もあるようだ。 エイブラハム・リンカーンは11月21日にサンディエゴを出港、当初は太平洋に向かう予定だったが、イランとの軍事的な緊張激化にともない、西アジアへ向かった。配備は5月に終了する予定だったが、延長されている。 アメリカ軍とイスラエ軍は2月28日にイランを奇襲攻撃。両国は問題を話し合いで解決するとイラン政府に信じ込ませ、要人を地上の1箇所に集めた上での騙し討ちだった。その攻撃で最高指導者だったアヤトラ・アリ・ハメネイ師、参謀総長のアブドルラヒム・ムサビ、アジズ・ナシルザデ国防相、イラン革命防衛隊(IRGC)のモハメド・パクプール司令官、最高安全保障委員会(SNSC)事務局長でハメネイ師の顧問を務めていたアリ・シャムハニなどイランの要人が殺害された。 この攻撃でイスラエル軍はミナブ女子小学校も攻撃、168名から180名を殺している。その大半は7歳から12歳の少女。攻撃は数度あり、最初の攻撃で生徒たちが避難した礼拝堂も狙われている。最初の攻撃で人びとを一カ所に集め、救助隊もろとも殺す計画だった可能性が高い。いわゆる「ダブルタップ攻撃」だ。この殺害はカルト的な「儀式」で、生徒たちは生贄になったとする人もいる。 この「斬首作戦」でイランの体制は崩壊するとアメリカやイスラエルは想定していたようだが、そうした展開にはならず、激しい反撃でアメリカが西アジアで使用していたカタールのアル・ウデイド空軍基地、クウェートのアル・サレム基地、アラブ首長国連邦のアル・ダフラ空軍基地、バーレーンのアメリカ軍第5艦隊基地などが攻撃された。イスラエルではテルアビブやハイファといった都市、ディモナにあるシモン・ペレス・ネゲブ原子力研究センター(ディモナ原子炉)近辺が攻撃され、破壊された。イスラエルもアメリカもミサイルは迎撃用も攻撃用も枯渇状態だ。 イランのイスラム革命防衛隊(IRGC)が3月1日に発表したところによると、エイブラハム・リンカーンは3月にイラン南部沿岸から約340キロメートルの地点まで接近したが、IRGSが発射した4発の弾道ミサイルによる攻撃を受けたという。 アメリカ国防総省は否定しているが、IRGCはその後もドローン攻撃や巡航ミサイル「カデル」で空母を攻撃したと発表。エイブラハム・リンカーンはイランから1100キロメートル離れたオマーン沖へ移動せざるをえなくなった。 やはり西アジアへ派遣されていた空母ジェラルド・R・フォードは船内で大規模な火災が発生したとして離脱、修理のためにクレタ島へ向かったと伝えられている。修理に1年以上かかるという。そのかわり、空母ジョージ・H・W・ブッシュが派遣された。 館内がこうした状態になっている最大の理由はドナルド・トランプ政権の判断ミスにある。ウクライナでの戦争でも言えることだが、アメリカは簡単に勝てると信じて戦争へ突入、泥沼から抜け出せないでいる。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.08.16

昭和天皇(裕仁)が「ポツダム宣言」の受諾をアメリカ、イギリス、中国、ソ連の4カ国に伝えたと「臣民」に発表したのは今から81年前、1945年の8月15日である。その年の9月2日、東京湾内に停泊していたアメリカの戦艦ミズーリで政府全権の重光葵と大本営(日本軍)全権の梅津美治郎が降伏文書に調印している。 ポツダム宣言に基づいて戦後日本は始まる。その宣言によると、「カイロ宣言の条項は、履行せらるべく、又日本国の主権は、本州、北海道、九州及四国並に吾等の決定する諸小島に局限せらるべし」とある。確定している日本の領土は本州、北海道、九州、四国だけで、そのほかは連合国が決めることになっている。その条件を日本は呑んだのだ。 カイロ宣言は1943年11月に開かれたカイロ会議を経て決まった宣言で、「日本国より1914年の第一次世界戦争の開始以後に於て日本国が奪取し又は占領したる太平洋に於ける一切の島嶼を剥奪すること並に満洲、台湾及澎湖島の如き日本国が清国人より盗取したる一切の地域を中華民国に返還すること」としている。 カイロでの会議にはアメリカのフランクリン・ルーズベルト大統領、イギリスのウィンストン・チャーチル首相、中国の蒋介石総統が出席している。会議がワシントンDCでなくカイロで開かれた理由は、ソ連を訪問していたアメリカのコーデル・ハル国務長官からヨシフ・スターリンがバチェスラフ・モロトフ外相の会談出席に同意したと知らされ、ソ連側が出席しやすい場所としてルーズベルトはカイロを選んだのだ。 しかし、ソ連の代表は出席していない。蒋介石が出席することを知ったスターリンは、日本を刺激してウラジオストクの港を封鎖されることを恐れ、モロトフや軍の代表団の派遣を取りやめたという。(Susan Butler, “Roosevelt And Stalin,” Alfred A. Knopf, 2015) こうした一連の会談が始まる切っ掛けはソ連へ軍事侵攻したドイツ軍の敗北にある。1942年1月にドイツ軍はモスクワでソ連軍に降伏、8月にドイツ軍はスターリングラード市内へ突入して市街戦が始まるが、11月からソ連軍は反撃、ドイツ軍25万人は完全包囲され、43年1月に降伏した。この段階でドイツの敗北は決定的。そこでアメリカやイギリスは慌てた。 そこでチャーチルとルーズベルトは1943年1月にモロッコのカサブランカで会談、シチリア島とイタリア本土への上陸を決めた。コミュニストの影響力が大きいシチリア島を制圧するため、アメリカ海軍の情報部はマフィアの力を借りることにするが、それ以降、アメリカの情報機関と犯罪組織は強く結びつく。 1943年7月にアメリカ軍とイギリス軍はシチリア島に上陸。ハスキー計画だ。そして9月に米英軍はイタリア本土を占領、イタリアは無条件降伏する。そしてカイロ会談。アメリカとイギリスは、とりあえず形を整えた上でこの会談を設定したのだ。 ちなみに、ノルマンディー上陸作戦(オーバーロード作戦)は1944年6月になってからだ。ノルマンディー上陸作戦でドイツが敗北したというイメージはハリウッド映画が作り出した幻影にすぎない。 日本がアメリカと戦争を始めたのは1941年12月7日にハワイの真珠湾を攻撃した時だと言えるだろうが、その前から中国侵略戦争は行っていた。 1872年に琉球を併合して台湾侵略を準備、74年に台湾へ派兵、75年に江華島へ軍艦を派遣して朝鮮半島に橋頭堡を築き、94年には日清戦争、1904年には日露戦争へと進んだ。こうした侵略はアメリカやイギリスの外交官に煽られてのことだ。自覚していたかどうかはともかく、明治体制はアメリカやイギリスの手先として動いていたのだ。 明治維新で暗躍したジャーディン・マセソンは中国(清)の茶や絹をイギリスへ運び、インドで仕入れたアヘンを中国へ持ち込んむという商売をして大儲けしていた。19世紀に麻薬取引を支配していたのは同社と「東方のロスチャイルド」ことサッスーン家だ。明治維新の黒幕は麻薬業者だったとも言える。 この商売を中国に押し付けたのが第1次アヘン戦争(1839年9月から42年8月)と第2次アヘン戦争(1856年10月から60年10月)。この戦争をビクトリア女王にさせたのは反ロシアで有名な政治家、ヘンリー・ジョン・テンプル(別名パーマストン子爵)にほかならない。2度のアヘン戦争でイギリスは勝利したわけだが、これは海戦でのこと。無陸部を制圧する戦力を持っていなかった。 ジャーディン・マセソンは1859年に長崎へトーマス・グラバーを、横浜へウィリアム・ケズウィックをエージェントとして送り込んだ。歴史物語ではグラバーが有名だが、大物はケズウィック。母方の祖母は同社を創設したひとりであるウィリアム・ジャーディンの姉なのである。 グラバーとケズウィックが来日した1859年にイギリスのラザフォード・オールコック駐日総領事は長州の若者5名をイギリスへ留学させることにする。選ばれたのは井上聞多(馨)、遠藤謹助、山尾庸三、伊藤俊輔(博文)、野村弥吉(井上勝)だ。 この5名は1863年にロンドンへ向かうが、この時に船の手配をしたのがジャーディン・マセソンにほかならない。1861年に武器商人として独立したグラバーも密航の手助けをしているが、ケズウィックは1862年にジャーディン・マセソンの共同経営者となるために香港へ戻っていた。 長州の若者5名が出向する前の月、つまり1863年5月に長州はアメリカ商船のペンブローク、オランダ通報艦のキャンシャン、オランダ東洋艦隊所属のメデューサを相次いで砲撃。それに対し、6月に入るとアメリカの軍艦ワイオミングが報復攻撃、長州藩の海軍を壊滅させ、さらにフランス海軍のセミラミスとタンクレードも報復攻撃した。この攻撃は長州とイギリスの八百長戦争だったのか、あるいは長州内部に対立があったのかは不明だ。この当時、グラバーは大量の武器弾薬を買い込んでいた、つまり長期戦を予想していた。 日露戦争は1904年2月8日、日本軍が仁川沖と旅順港を奇襲攻撃したところから始まる。その際、日本に戦費を用立てたのはロスチャイルド系のクーン・ローブを経営していたジェイコブ・シッフ。日本に対して約2億ドルを融資、その際に日銀副総裁だった高橋是清はシッフと親しくなっている。 この戦争について、セオドア・ルーズベルト米大統領は日本が自分たちのために戦っていると語り、日本政府の使節としてアメリカにいた金子堅太郎はアングロ・サクソンの価値観を支持するために日本はロシアと戦ったと説明していた。1910年に日本が韓国を併合した際、アメリカが容認した理由はこの辺にあるだろう。(James Bradley, “The China Mirage,” Little, Brown and Company, 2015) 関東大震災の復興資金調達の結果、日本の政治や経済をアメリカの巨大金融資本JPモルガンの影響下に入った。そして日本では治安維持法によって思想弾圧が強化され、「満蒙は日本の生命線」と言われるようになった。 1927年5月に日本軍は山東へ派兵する。1928年6月に関東軍は張作霖を爆殺し、31年9月に柳条湖で南満州鉄道を爆破、中国東北部を制圧することになる。いわゆる「満州事変(九一八事変)」の勃発だ。 その後軍事的な緊張が高まり、一触即発の状況になる。そして1937年7月に「盧溝橋事件」が起こった。二・二六事件の結果、米英金融資本に反発していた軍人が粛清されたのはその前年、1936年2月のこと。1939年5月にノモンハン付近で満州国警備隊と外モンゴル軍が交戦、関東軍が陸軍省と参謀本部の方針を無視して戦闘を続け、敗北した。 1941年6月にドイツ軍はソ連への軍事侵攻を開始する。バルバロッサ作戦だ。その翌月に日本軍は「関東軍特種演習」という名目でソ連への軍事侵攻を目論むのだが、8月に関東軍特種演習の中止が決まり、この年の12月にマレー半島とハワイの真珠湾を奇襲攻撃してアメリカとの戦争が始まった。アメリカとの戦争は日本が行なっていた戦争の一幕にすぎない。 実は、日本が真珠湾を奇襲攻撃する前、イギリスには「日本・アングロ・ファシスト同盟」を結成しようという案があった(Anthony Cave Brown, “"C": The Secret Life of Sir Stewart Graham Menzies,” Macmillan、1988)のだが、ノモンハンでソ連軍に敗北したこともあり、その後に南進、つまり東南アジアへ矛先を向けてイギリスの利権と衝突、この同盟は不可能になった。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.08.15

ロシアのウラジミル・プーチン大統領はロシア太平洋艦隊が軍事演習を行っていたサハリン島に続いて8月13日に択捉島を訪問した。日本の反ロシア政策に対する警告だと言えるだろう。 それに対し、高市早苗首相は「断じて容認できない」と発言、茂木敏充外務大臣は「歴史的にも国際法上も日本の固有の領土の一部である」と主張しているが、これには説得力がない。 戦後日本は「ポツダム宣言」の受諾から始まるが、その宣言には「カイロ宣言の条項は、履行せらるべく、又日本国の主権は、本州、北海道、九州及四国並に吾等の決定する諸小島に局限せらるべし」とある。確定している日本の領土は本州、北海道、九州、四国だけであり、残りの領土は連合国が決めることになっているわけで、択捉島の領有を日本が一方的に主張することはできない。 択捉島の南にあり、連合国から日本の領土だと認められた北海道もアイヌが住むアイヌモシリだった。つまり日本領ではない。イギリスの私的権力を後ろ盾とする明治維新で成立した明治政権が併合したというべきだろう。イスラエル人が入植し、パレスチナ人から土地を奪っているヨルダン川西岸と似ている。択捉島について「歴史的にも国際法上も日本の固有の領土の一部である」と言うことはできないのだ。 そうした説得力ない主張を最近の日本政府が主張するのは、アメリカが日本とソ連/ロシアの接近を嫌っているからだ。アメリカは千島列島から南西諸島までの島々を中国やソ連/ロシアに対する軍事的な拠点と考えている。 中曽根康弘は首相に就任して間もない1983年1月にアメリカを訪問、その際にワシントン・ポスト紙のインタビューを受けたのだが、その中で「日本列島をソ連の爆撃機の侵入を防ぐ巨大な防衛のとりでを備えた不沈空母とすべきだ」と発言、さらに「日本列島にある4つの海峡を全面的かつ完全に支配する」とし、「これによってソ連の潜水艦および海軍艦艇に海峡を通過させない」と語ったと報道された。 当然のことながらこの発言は問題になり、中曽根は「不沈空母」発言を否定しようとするのだが、インタビューが録音されていたことを知ると「巨大空母」と言ったのだと主張して誤魔化した。その前からイスラエルは自国のことをアメリカの中東における不沈空母だと表現していたので、それを記者は使ったのかもしれない。 ダグラス・マッカーサーは第2次世界大戦や朝鮮戦争の際、台湾を「不沈空母」と呼んでいたが、日本軍も中国を空爆するための空母として利用していたが、アメリカは千島列島から南西諸島までの島々を自分たちの航空母艦群と考えてきた。ウクライナと似た位置づけだとも言える。 それに対し、ロシアのドミトリー・メドベージェフ安全保障会議副議長は千島列島について永遠にロシアの領土だと主張、日本がその領有権を主張し続けることは「火種を求める」行為だと述べた。事実、日本政府の主張は「火種を求める」行為だが、それはアメリカ支配層が願っていることにほかならない。アメリカは日本をウクライナのようにしたいのだ。 ロシアや中国は北極海航路を切り開きつつあるが、この航路は千島列島を通過する。その航路を成立させるためには千島列島の領有が重要になる。西ヨーロッパ諸国はロシアの輸送船を「影の船団」と称し、攻撃しているが、それについてもメドベージェフは発言している。 ロシア以外の国旗を掲げてロシアの商船が航行することはあるが、それは「便宜置籍船」である。税金や規制にかかる費用を節約するために船主の国とは異なる国に船舶を登録しているのであり、一般的に行われていること。そうした船を西ヨーロッパ諸国が勝手に拿捕する権利はない。 もし、船主がロシアの便宜置籍船を西ヨーロッパ諸国が攻撃したならば、どの海域であろうと、敵の利益となる貨物を運んでいると疑うに足る十分な根拠があれば攻撃できるということだと警告している。アメリカ軍の命令に従い、自衛隊がロシアの商船を攻撃すれば、日本の商戦が報復されるということだ。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.08.14

ロシア海軍とインドネシア海軍は7月29日から30日にかけてウラジオストク沖で軍事演習「オルダ2026」を実施した。ドローン兵器への対応試験、臨検拿捕能力、砲撃、海上での医療後送などの訓練が行われたという。ウラジーミル・プーチン露大統領はNATOがアジア太平洋地域へ進出し、北極圏で緊張を高めていると非難している。 アメリカはインド洋から西太平洋にかけての軍事力を強化するために2017年11月にオーストラリア、インド、アメリカ、日本で組織されるクワドの復活を協議、アメリカ太平洋軍は18年5月にインド太平洋軍へ名称を変更、アメリカ、イギリス、オーストラリアの3カ国は21年9月にAUKUSなる軍事同盟を創設したと発表、その後JAPHUS(日本、フィリピン、アメリカ)なる軍事同盟も編成された。 その間、2020年6月にNATO(北大西洋条約機構)の事務総長を務めていたイェンス・ストルテンベルグは、オーストラリア、ニュージーランド、韓国、日本をメンバーにするプロジェクト「NATO2030」を開始すると宣言している。ロシア国家安全保障会議のニコライ・パトロシェフ議長はAUKUSが中国やロシアを仮想敵とする「アジアのNATO」だと批判しているが、間違いではない。 ウィンストン・チャーチルの側近でNATOの初代事務総長を務めたヘイスティング・イスメイはNATO創設の目的について、ソ連をヨーロッパから締め出し、アメリカを引き入れ、ドイツを押さえつけることにあるとしていた。NATOがソ連からの攻撃に備えるために組織したのではないことを認めている。実態はイギリスとアメリカがヨーロッパを支配するための仕組みだった。その結果がウクライナでの対ロシア戦争で現れている。 本ブログでは繰り返し書いてきたように、アングロ・サクソンの対ロシア戦争や中国への侵略戦争は遅くとも19世紀から始まっている。ユーラシア大陸の周辺を海軍力で支配、内陸部を締め上げていくというものだ。内陸国を崩壊させるため、彼らは対立を煽り、共倒れさせようとした。対ロシア戦争ではドイツが使われ、対中国戦争を実行するために日本で明治維新を仕掛けたと言えるだろう。イギリスやアメリカが明治体制を支援したのは必然だ。 明治体制は1871年7月に廃藩置県を実施したが、その翌年に琉球国王を琉球藩王として琉球国を消滅させた。その上で沖縄県を作り上げている。廃藩置県の段階で新体制は琉球を日本領と認識していなかったのだが、廃藩置県後、琉球を日本領だということにしなければならない事情が生じたと考えるのが自然だ。これが琉球併合である。 廃藩置県の直後、1871年10月に宮古島の漁民が台湾へ漂着、その一部が殺されたとして日本政府は清に抗議、被害者に対する賠償や謝罪を要求した。そして明治政府は漁民を「日本人」だと強弁、軍隊を台湾へ送り込んでわけだ。 この台湾への派兵にはアメリカの外交官が関係している。1872年秋に来日したチャールズ・ルジャンドルである。厦門の領事だった人物で、台湾から帰国する途中に日本へ立ち寄り、そこでアメリカ公使だったチャールズ・デロングと会う。その際、デロングはルジャンドルに対し、日本政府に対して台湾を侵略するようにけしかけていると説明している。ルジャンドルは1872年12月にアメリカ領事を辞任、外務卿の副島種臣に台湾への派兵を勧め、1874年に日本は台湾へ派兵した。彼は1875年まで外務省の顧問を務めている。(James Bradley, “The Imperial Cruise,” Little, Brown and Company, 2009) その後、江華島への軍艦派遣、日清戦争、日露戦争、韓国併合を経て中国への軍事侵略へと続く。こうした日本の東アジア侵略の背後ではアメリカだけでなくイギリスの外交官や麻薬業者が暗躍していた。 そして第2次世界大戦後、アメリカはソ連や中国に対する核攻撃を計画した。1955年頃になるとアメリカが保有していた核兵器は2280発に膨らみ(Annie Jacobsen, “Area 51”, Little, Brown, 2011)、57年になるとアメリカ軍の内部でソ連に対する先制核攻撃を準備しはじめている。(James K. Galbraith, “Did the U.S. Military Plan a Nuclear First Strike for 1963?”, The American Prospect, September 21, 1994) そして1957年の初頭、アメリカ軍はソ連への核攻撃を想定したドロップショット作戦を作成した。それによると300発の核爆弾をソ連の100都市で使い、工業生産能力の85%を破壊する予定になっていたという。(Oliver Stone & Peter Kuznick, “The Untold History of the United States,” Gallery Books, 2012) そのころからアレゲーニー山脈の中、ウエストバージニア州のグリーンブライア・ホテルの地下に「地下司令部」が建設されている。いわゆるグリーンブライア・バンカーだ。1959年に国防総省が中心になって着工、62年に完成している。 1950年代に沖縄では「銃剣とブルドーザー」で土地が強制接収されて軍事基地化が推し進められ、今でも島民を苦しめている。1953年4月に公布/施行された布令109号「土地収用令」に基づき、武装米兵が動員された暴力的な土地接収で、55年の段階で沖縄本島の面積の約13%が軍用地になっている。こうした基地化はアメリカの先制核攻撃計画と無関係ではない。 テキサス大学のジェームズ・ガルブレイス教授によると、統合参謀本部のライマン・レムニッツァー議長やSACの司令官だったカーティス・ルメイなど好戦派は、1963年の後半にソ連を奇襲攻撃る予定だったという。その頃になればアメリカはICBMを配備でき、しかもソ連は配備が間に合わないと見ていた。ソ連が反撃するためにはアメリカの近くから中距離ミサイルを発射するしかない。そこでソ連はキューバへ中距離ミサイルを運び込み、キューバ危機になる。1962年10月のことだ。この危機を回避することに成功したジョン・F・ケネディ大統領は1963年11月22日に暗殺された。 そして現在。昨年7月26日に共同通信が報じたところによると、日米両政府は、東アジアで紛争が発生した際に米軍が核兵器を使用する可能性のあるシナリオについての交渉は2024年12月に始まったが、それは10年に開始された両国間の「拡大抑止」に関する協議の一環として行われているという。 最近の協議では、東アジアで紛争が勃発してアメリカが核兵器の使用を迫られるというシナリオを想定した机上演習が複数回実施されたとされている。アメリカが核兵器の使用を迫られるとは、ロシアや中国との戦争でアメリカや日本が敗北する事態だろう。 陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊を一元的に指揮する常設組織として「統合作戦司令部」が2024年3月に編成されたが、この仕組みは自衛隊をアメリカ軍の指揮下に置くことが目的だと考えられている。自衛隊がロシアや中国を攻撃する場合、それはアメリカからの命令による。 これも本ブログで繰り返し書いてきたが、日本が核兵器を開発している可能性は高い。アメリカの情報機関で分析官を務めた複数の人物は日本の核兵器開発は常識だと言っていた。中国政府もそれは知っているだろう。 すでにアメリカはウクライナにおける対ロシア戦争や西アジアにおける対イラン戦争で事実上敗北、窮地に陥っている。アメリカに従属することしか考えてこなかった日本は経済が破綻、石油は枯渇寸前であり、危機的状態だ。この状況から脱するため、アメリカが東アジアでギャンブルに出る可能性も否定できない。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.08.13

イエメンを支配、事実上の政府として機能しているアンサール・アッラー(フーシ派)は8月9日、サウジアラムコの紅海沿岸の都市、ジザンにあるアラムコの製油所を攻撃したと発表した。そのほかモカ港やサウジアラビアのタンカーもアンサール・アッラーは攻撃、バブ・エル・マンデブ海峡を通過することが困難になっている。 イランとオマーンに挟まれたホルムズ海峡もアメリカがコントロールできない状態。この海峡を通る新たな航路の開設をイランとオマーンは協議しているようだが、アメリカと同じようにサウジアラビアも苦しい立場だ。 そのサウジアラビアはトルコやパキスタンと8月7日、「メッカ共同防衛協定」を締結した。この3カ国はいずれもスンニ派が支配、イランをはじめとするシーア派に対抗する形になっている。欧米諸国としてはスンニ派とシーア派、ふたつのイスラム宗派を戦わせ、共倒れさせようと目論んでいるだろう。これはイギリスの常套手段だ。 イラン外務省のエスマイル・バガエイ報道官はメッカ共同防衛協定について、アメリカを通じて安全保障を確保することはもはや不可能であるという地域諸国の認識から生まれたものであると記者会見で述べたのも、そう知った計略を感じてのことだろう。 ホルムズ海峡やバブ・エル・マンデブ海峡のようなチョーク・ポイントを回避する方策を少なからぬ国が考えているようだが、アメリカのスコット・ベッセント財務長官はホルムズ海峡を経由しているエネルギーの半分以上を地下パイプライン経由に切り替え、この海峡を2年以内に無意味な存在にすると語っている。 しかし、地下パイプラインを日本やアメリカまで敷設することは不可能であり、しかも肥料を生産するために必要な尿素、アンモニア、リン酸2アンモニウム(DAP)、硫黄などをパイプラインで輸送することはできない。LNGやヘリウムも生産設備が破壊され、生産再開には数年を要するとも言われている。パイプラインでの輸送が可能な原油にしても2年で設備を完成させることはできないと指摘されている。 ホルムズ海峡の閉鎖によって世界の原油供給量が約20%減少し、化学肥料の製造に不可欠な尿素の供給は30%減少した。この海峡を通過する石油の買い手は約80%が中国、インド、日本、韓国などのアジア諸国であり、LNG(液化天然ガス)はそれ以上の比率で同じ国々が輸入している。ロシアというエネルギー資源の供給源を持ち、備蓄も十分にある中国とは違い、日本は厳しい状況だ。現在の状況で最も大きなダメージを受けるのは日本だろう。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.08.12
ホルムズ海峡はイランとオマーンに挟まれている。その両国は現在、同海峡を通る新たな航路の開設について協議中だが、イランのアッバス・アラグチ外相によると、合意は近い。その一方、スンニ派の主要3カ国、トルコ、パキスタン、サウジアラビアは8月7日、「メッカ共同防衛協定」を締結した。イラン、オマーン、トルコ、パキスタン、サウジアラビアの5カ国はアメリカによる地域の支配を拒否しはじめた。 イラン外務省のエスマイル・バガエイ報道官はメッカ共同防衛協定について、アメリカを通じて安全保障を確保することはもはや不可能であるという地域諸国の認識から生まれたものであると記者会見で述べた。地域外の勢力の影響力を排除すべきであり、その地域で最大の脅威はイスラエルだともイランは主張している。 ドナルド・トランプ米大統領とイランのマスード・ペゼシュキアン大統領は6月17日、戦争終結に向けての話し合いを進めるためだとして合意文書(MoU)に署名した。イラン側の要求を呑む内容だったことから、トランプ政権はこれを守る気がないだろうと少なからぬ人は予想していた。実際、トランプはMoUを無視してイランを攻撃、イランが報復するというパターンに戻ったが、イランは現在も主張に変化はなく、イランの要求に新しい点はない。 イラン最高安全保障委員会のモハンマド・バーゲル・ゾルガドル書記長によると、アメリカは次の6条件を遵守しなければならない。 まずイランを威嚇したり、この国の神聖なものを侮辱したりしないこと、イランのほかレバノン、パレスチナ、イエメン、イラクにおけるイランの同盟者に対する戦争と侵略を恒久的に終わらせること、海上封鎖を解除し、イラン周辺から自国の軍隊を撤退させること、イランに与えた損害を全額補償すること、イラン国民に対する制裁を解除すること、凍結され、あるいは奪われたイラン国民の資産を無条件で解放することだ。 アメリカは西アジアの主要国から排除されつつあるのだが、それを認めることができないドナルド・トランプ米大統領は自分たちが依然として主導権を握っていると人びとに信じさせようとしている。西側の主要メディアを支配している西側の大手メディアはトランプの主張を広め、西側支配層はOVP(オンライン・ビデオ・プラットフォーム)も影響下においている。そこで少なからぬ人は西側支配層にコントロールされることになるのだが、その呪術に操られない人もいる。 アメリカ抜きで物事が進む中、アメリカの大手メディアはイラン政府がドナルド・トランプ政権と協議しているかの如く宣伝してきた。そうしたプロパガンダを維持するため、イランがアメリカとの対立を解決するための新たな条件を提示したと報じているのだが、そうした事実はない。 アメリカがイスラエルと共同で始めた対イラン戦争は失敗した。アメリカは負けたのだが、トランプ大統領はイランに対する勝利を宣言、核合意を締結せずに戦争を終結させる可能性を非公式に検討していると伝えられている。 トランプ大統領はアメリカ国内のガソリン価格高騰を恐れていると言われているが、世界経済の破綻は間近に迫っている。口先で何とかなるという問題ではない。トランプ政権としては勝利を宣言し、アメリカ軍を撤退させるしかないのだが、それは「アメリカ帝国」の終焉を意味する。この帝国が崩壊した場合、その帝国の権威を利用して富と地位を手にしたアメリカ従属国の「エリート」は由々しき事態だ。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.08.11

ロシア政府の発言や軍事作戦を見聞きすると、彼らはアメリカやヨーロッパ諸国を話し合いのできる相手とは考えなくなり、問題を軍事的に解決する決断をしたと推測できる。「特別軍事作戦」から戦争へステージが進んだということであり、ロシア政府は「停戦」要請を受け入れそうにない。その延長線上に2014年2月のバラク・オバマ政権のキエフにおけるクーデターがあり、22年2月のロシア軍の介入もある。 欧米における反ロシア勢力の中心はアメリカやイギリス、つまりアングロ・サクソンの支配層。遅くとも19世紀からイギリスはロシアや中国を征服する長期戦略を立てていたが、その中心にいたのは有力政治家のヘンリー・ジョン・テンプル(別名パーマストン子爵)。 この人物はイギリスの首相や外相を務め、反ロシアで知られている。1840年にアヘン戦争を始めたのも彼。「ウクライナ人はわれわれが反ロシア蜂起のストーブに投げ込む薪だ」と語り、ポーランドをロシアとドイツの間の障壁として復活させる計画を立てている。 19世紀から21世紀にかけて世界を支配した北西ヨーロッパ諸国の富の基盤はラテン・アメリカでの略奪。スペインやポルトガルはラテン・アメリカで金銀財宝を奪い、金や銀の鉱山を開発した。鉱山開発では先住民を奴隷として使っている。 そうした略奪した財宝をスペインやポルトガルは船でヨーロッパへ運んだが、その船を襲い、奪ったのがエリザベス1世時代(1593年から1603年)のイギリス。その頃、イギリスの支配層の中で「ブリティッシュ・イスラエル主義」が現れた。 19世紀の後半に南部アフリカでダイヤモンドや金鉱山が発見されるとイギリスの権力者は軍事侵略した。その侵略の中心的な存在がロスチャイルド家を後ろ盾とするセシル・ローズ。そのローズの発案で創設された「選民秘密協会」はイギリスを動かすことになる。 この協会にはローズのほか、ナサニエル・ド・ロスチャイルド、ウィリアム・ステッド、レジナルド・ブレット(エシャー卿)、アルフレッド・ミルナー(ミルナー卿)、ロバート・ガスコン-セシル(サリスバリー卿)、アーチボルド・プリムローズ(ローズベリー卿)が含まれていた。そのうちローズ、ロスチャイルド、ブレット、ステッドの4人が協会の指導者になったとされている。(Gerry Docherty & Jim Macgregor, “Hidden History,” Mainstream Publishing, 2013) ちなみに、ローズベリー卿が1878年に結婚したハンナはメイヤー・アムシェル・ド・ロスチャイルドの子どもで、ナサニエルのいとこにあたる人物。1891年末までにローズベリー卿の甥にあたるアーサー・バルフォアもローズのグループへ入り、さらにアルバート・グレイやセルボーン卿も加わる。 ステッドによると、ローズはチャールズ・ダーウィンの仮説を信じ、優生学を信奉していた。ローズは1877年6月にフリーメーソンへ入会、その直後に『信仰告白』を書いている。 それによると、彼はアングロ・サクソンは最も優秀な人種であり、その居住地が広がれば広がるほど人類にとって良いことだと主張、領土を拡大して大英帝国を繁栄させることは自分たちの義務であり、領土の拡大はアングロ・サクソンが増えることを意味するとしている。(Cecil Rhodes, “Confession of Faith,” 1877) ジョージタウン大学の教授を務めたキャロル・クィグリーによると、1901年までこの協会を支配していたのはローズ。ローズは英語圏を一体のものと見ていた。ローズ以降はアルフレッド・ミルナーを中心に彼らは活動している。 ミルナーはシンクタンクのRIIA(王立国際問題研究所)を創設した人物としても有名で、「ミルナー幼稚園」や「円卓グループ」も彼を中心に組織されたという。タイムズ紙も1912年ころからミルナーが管理するようになり、22年にはオーナーになった。(Carroll Quigley, “The Anglo-American Establishment”, Books in Focus, 1981) 世界の支配構造は1917年に大きく変化した。イギリスがターゲットにしていた帝政ロシアは地主階級に支えられていたが、産業資本化の影響力も拡大していた。その産業資本家やユスポフ家のような貴族はドイツとの戦争を望んでいたが、地主は戦争に反対。地主の代弁者を務めていたのはシベリア出身の修道士だったグレゴリー・ラスプーチンだ。皇后アレクサンドラも戦争に反対していた。 1914年6月28日にオーストリア皇太子夫妻が暗殺されて世界大戦が勃発するが、アレクサンドラ皇后は参戦に反対する。皇后は同じ考えのラスプーチンへ7月13日に電報を打ち、相談。ラスプーチンは皇帝に対して戦争は帝国の崩壊を招くと電報で警告しているが、治安当局はそうした電報を盗み見て議会などへリークしていた。皇后からの電報を受け取った直後、ラスプーチンは腹部を女性に刺されて入院する。その女性とラスプーチンは面識がなかった。ラスプーチンが入院している間にロシアは第1次世界大戦へ参加してしまう。 ドイツとロシアに戦争させようとしていたイギリスでは1916年に外務省がチームをペトログラードへ派遣していたが、そのチームには興味深いメンバが含まれていた。スティーブン・アリー、ジョン・スケール、オズワルド・レイナーだ。 レイナーはオックスフォード大学の学生だった当時からフェリックス・ユスポフ公と親密な関係にあり、流暢なロシア語を話す。ユスポフはラスプーチンを暗殺した貴族グループの中心人物だ。スティーブン・アリーはロシアで1876年に生まれ、15歳の時にイギリスへ帰国、家族の経営するアリー・アンド・マクレランで働くようになるが、その裏では情報機関員として活動することになる。 スティーブンが生まれた場所はモスクワ近くにあったユスポフの屋敷で、父親はユスポフ家の家庭教師だったとも言われている ラスプーチン暗殺には3種類の銃が使われているが、トドメを刺したのは455ウェブリー弾。イギリスの軍用拳銃で使われていたもので、殺害現場にいた人の中でその銃弾を発射できる銃をもっていたのはレイナーだけだった。 1917年3月の「二月革命(ユリウス暦では2月)」でロマノフ朝は崩壊したが、この時、ロシアの街頭にボルシェビキの幹部はいなかった。刑務所に入れられているか、ウラジミル・レーニンのように亡命していたのだ。 二月革命の主体は産業資本化やその背後にいる金融資本家。政党でいうならばカデット(立憲民主党)が中心で、臨時革命政府はイギリスの傀儡だったと見られている。 この臨時革命政府はドイツとの戦争を継続すると見られていた。そこでドイツ政府が目をつけたのがスイスに亡命中だったレーニン。彼を含むボルシェビキの幹部32名をドイツは「封印列車」でロシアへ運んでいる。レーニンは1917年4に帰国した。そしてレーニンをはじめとするボルシェビキの幹部が十月革命の主体になった。 十月革命によって社会主義政権が出現したロシアに対し、イギリス、フランス、アメリカ、そして日本は1918年8月に軍隊を派遣して干渉戦争を開始する。イギリス、フランス、アメリカはそれぞれ7000名の兵士を派遣、日本はその年の10月には7万2000名以上、その後も増強は続いた。その翌月、つまり11月に大戦は終了するのだが、日本は22年までシベリアにとどまった。 実は、この干渉戦争で日本軍がロシアから金塊を持ち帰ったことが判明している。この問題を最初に取り上げたのは憲政会の中野正剛で、当初は1000ルーブル相当の砂金だと考えられていたのだが、実際に持ち帰った金塊は177箱、1万2000キログラムに達すると現在では考えられている。このうち143箱は旅順火薬庫に保管した後、朝鮮銀行の下関支店に運ばれ、そこから大阪造幣局へ移された。またルーブル金貨は朝鮮銀行か横浜正金銀行で日本の通貨に換金されたと推測されている。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.08.10
スンニ派の主要3カ国、サウジアラビア、トルコ、パキスタンの間で8月7日に結ばれた「防衛協定」が注目されている。協定の詳細は公表されていないが、この協定によると、3カ国のいずれかに対する武力攻撃があった場合、3カ国すべてに対する攻撃とみなすと規定している。これはNATO条約第5条のマネだ。 調印に署名した人物はトルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領、サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子、パキスタンのシェーバズ・シャリフ首相。パキスタンが自国の国益に反する外国との紛争に巻き込まれる危険性があると指摘する人も少なくないが、NATO条約第5条は、加盟国が攻撃されたからといって、NATO全体が戦争に突入することを規定しているわけではない。 アメリカ軍とイスラエ軍が2月28日にイランにを奇襲攻撃対する奇襲攻撃から始まったが、アメリカやイスラエルがイランを攻撃しても勝利できず、大惨事になると言われていた。イランの地形や戦力を考えるならば、アメリカが地上軍を投入した場合、壊滅的な敗北を喫すると見通されていたのだが、アメリカのイスラエルは強硬し、大惨事になった。イランとの戦闘によってアメリカ軍が頼りにならないことも判明した。 本ブログでも繰り返し書いてきたが、すでにイランは西アジアにおけるアメリカ軍基地、例えばカタールにあるアル・ウデイド空軍基地、クウェートのアル・サレム基地、アラブ首長国連邦のアル・ダフラ空軍基地、バーレーンのアメリカ軍第5艦隊基地、サウジアラビアのリヤドにあるプリンス・スルタン空軍基地などを破壊、またイスラエルのテルアビブやハイファといった都市、ディモナにあるシモン・ペレス・ネゲブ原子力研究センター(ディモナ原子炉)周辺も破壊。そして予想された通りホルムズ海峡が封鎖された。 そうした中、サウジアラビア、トルコ、パキスタンのスンニ3カ国は軍事同盟を結んだのだが、どれだけ有効かは不明だ。これまでアメリカを無敵だと考え、そのアメリカに任せておけば全て思い通りになると信じていたのだろうが、そうならないことがはっきりした。自分たちでなんとかしようと考えたのかもしれない。それに対し、今でもアメリカに従属することしか考えていないのが日本にほかならない。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.08.09
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキーは6月下旬、ロシアに戦争を終わらせる、つまり降伏させると宣言した。NATOの衛星に誘導された長距離ドローンでロシアの深奥部を攻撃すればロシア人が怖気付くとでも思ったのだろうが、そうしたことにはなっていない。ゼレンスキーや彼を操っているイギリスの対外情報機関MI6は追い詰められた。 本ブログでも繰り返し書いてきたが、ロシア国内ではNATO諸国に対する厳しい対応を求める声が高まり、キエフ、オデッサ、スミ、ドニプロペトロフスクなどの都市に対する攻撃を激化させると同時に、アゾフ海やドン・アゾフ運河におけるすべての海上交通、ならびにケルチ海峡の通航を停止させ、オデッサやニコラエフへ物資を輸送する船舶の航行を遮断した。ハリコフやザポリージャでもロシア軍の進撃が目立つ。その一方、ウクライナの防空システムは機能していない。 ドニプロペトロフスクにあるドニプロの南東部では弾道ミサイルのイスカンデルMが工場の敷地を攻撃した。そこには「ゼレンスキーの地下基地」があり、兵器を隠し、将兵が隠れていたという。攻撃がった日にはSBU(ウクライナ安全保障庁)の要員、イギリスのMI6やSAS(特殊空挺部隊)と密接な関係にある傭兵会社のG4Sのメンバーがそこにいて、死亡したとされている。G4Sはドローンやミサイルによるロシア攻撃に必要な情報を収集、MI6の本部へ連絡していたという。G4SはMI6やSASという名称を隠すための隠れ蓑だとも言える。 こうした地上で集めた情報と衛星で収集した情報を合わせて分析、ロシアを攻撃しているのだが、地上ではイギリスの情報機関や特殊部隊が果たしている役割は大きい。 ロシア側の要人を暗殺する工作もNATOは継続している。その一例は8月1日にモスクワで引き起こされたアレクサンドル・チャイコ航空宇宙軍司令官の暗殺未遂事件。チャイコ司令官自身は殺されなかったが、5人が殺されている。その一人が司令官の義理の息子だ。残りの犠牲者の中にチャイコ司令官の側近がいるとも噂されている。ロシア軍は8月4日から5日にかけてキエフの工業施設や倉庫を24発の弾道ミサイルと4発の極超音速ミサイルで攻撃したものの、ウクライナ軍はそれらを迎撃できなかった。 ウクライナ/NATOはクリミア橋(ケルチ橋)を破壊してクリミアを孤立させようと目論み、ロシア軍の艦船だけでなく民間の輸送船やタンカーを破壊しようとしてきた。 そうした水上での攻撃には水上ドローンが利用されるが、タイムズ紙によると、それらを開発したのはウクライナの会社ではなく、イギリスで設計され、製造されている。 開発したとされるUforceはあらゆる領域における戦闘用ドローンを開発するウクライナ会社だが、拠点はロンドンにあり、ドローンの設計もイギリスで行われている。開発には自動車レースのF1に参加したイギリス人エンジニアが関与、将来的にはイギリス軍やNATO軍の任務が想定されている。 ウクライナで対ロシア戦争を始めたのはアメリカのバラク・オバマ政権だが、その際、ネオコンをはじめとする好戦派は簡単に勝てると信じていたようだ。パランティアのAIからそのような御託宣が降りたのかもしれないが、それ以来、負け続けている。パランティアが介入し、AIを搭載したドローンで逆転しようとしたのかもしれないが、妄想で終わった。 イラン政府と同様、ロシア政府もアメリカをはじめとする西側エリートの約束を信じなくなっている。話し合いでの解決は無理だと認識、ロシア政府は停戦に応じない。西側諸国の政府は出まかせと脅しで勝利を演出しようとしているが、ロシアは徹底的に戦うつもりであり、詐欺師の手法は通じない。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.08.08
パランティア・テクノロジーズはウクライナを舞台にしたNATOの対ロシア戦争やアメリカ/イスラエルの対イラン戦争で作戦の立案や兵器の改良、あるいはガザでのイスラエル軍による住民虐殺などで重要な役割を果たしてきた。この会社は2003年にCIAのベンチャー・キャピタル部門であるIn-Q-Telからの資金によって創設されたが、イスラエルの情報機関とも緊密な関係がある。 そのパランティアの開発した「フェデレーテッド・データ・プラットフォーム(FDP)」をイギリスのNHS(国民保健サービス)は2020年にCOVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)騒動が始まった後、導入した。ボリス・ジョンソン首相の下、2020年に競争入札を経ることなく導入が決められたのだ。 FDPとは、データを元の場所に留めたまま、必要な時にはリアルタイムで統合し、活用することができるというもので、異なるシステム間で多くの患者の医療記録を連携させられるとされていた。ところが、その評価に疑問が出ている。実際、FDPの利点を裏付けるとされたデータに誤りが見つかった。 パランティアがイギリスをターゲットにした理由のひとつは、同国が「ゆりかごから墓場まで」というスローガンで知られた社会福祉政策で個人情報が他国に比べて集中管理されていたからだとも言われている。その社会を利用して監視システムの試験的な運用を目論んでいるのだろう。 この政策は1980年代、マーガレット・サッチャー政権による新自由主義の導入で解体されていくが、データシステムは残っていた。彼女の時代、原油価格の高騰で北海油田が利益を産んでイギリスに利益をもたらしたものの、その政策はイギリスの社会を破壊してしまった。 おそらく、イギリス以上に個人情報を集中管理している国が日本に他ならない。その日本では管理システムを強化する政策が推進され、住民基本台帳ネットワークやマイナンバー制度が強引に導入された。現在、デジタル化が進められている。 パランティアは日本にも入り込んでいる。例えば自衛隊は指揮統制において指揮官らの判断を支援するAI(人工知能)として、同社のメイブン・スマート・システムの導入を検討しているという。メイブンはデータ中心型のプラットフォームだとされ、衛星画像、ドローンからの映像、レーダーのデータ、戦場センサー、情報報告などを統合するのだという。今年2月に実施された日米共同統合演習の「キーン・エッジ」でも試験運用された。 こうした軍事だけでなく、パランティアは住民を監視するシステムも開発しているのだが、その背後には2015年9月に国連で採択された「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」がある。 そのアジェンダで示された「SDGs(持続可能な開発目標)」を実現するため、個人を特定するためのシステムに記録されていない人びとを管理する必要があるとされ、デジタルIDの導入が進められることになっている。その決定に基づいて日本政府はマイナンバーカードを推進しているはずだ。マイナンバーカードはデジタルIDの一種だ。 デジタルIDはチップ化され、それを体内にインプラントする計画がある。例えば、WEFを率いていたクラウス・シュワブは2016年1月にスイスのテレビ番組に出演し、そこでマイクロチップ化されたデジタル・パスポートについて話している。チップを服に取り付けるところから始め、次に皮膚や脳へ埋め込み、最終的にはコンピュータ・システムと人間を融合、人間を端末化しようと考えているようだ。シュワブは2018年に著書『第四次産業革命を形作る』を出版、その中で、バイオテクノロジー、ニューロテクノロジー、トランスヒューマニズムについて論じている。 同じことをイーロン・マスのニューラリンクも計画している。ブルームバーグによると、ニューラリンクは2031年までに約2万人の脳にマイクロチップを埋め込むことを目指しているというのだ。脳の神経活動を計測、外部機器を制御するブレイン・コンピュータ・インターフェース(BCI)のデバイスである「テレパシー」、視覚障害者に視覚を与えることを目指す「ブラインドサイト」、震えやパーキンソン病の治療を目的とする「ディープ」の提供が計画されている。その先に見えるのは脳の管理であり、シュワブの発言と結びつく。 シュワブの顧問でイスラエル人のユバル・ノア・ハラリはAIによって不必要な人間が生み出されると見通している。特に専門化された仕事で人間はAIに勝てず、「不必要な人間」が街にあふれるというのだ。放置しておけば反乱、あるいは犯罪に繋がる。そのため人びとを監視、コントロール、そして処分する必要があると彼らは考えているだろう。パランティアの監視技術は「見えない私的刑務所」として機能するかもしれない。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.08.07

バラク・オバマ政権がウクライナで始めた対ロシア戦争とドナルド・トランプ政権が始めた対イラン戦争はアメリカの軍事力が全能でないことを明確にすると同時にAI(人工知能)の愚かさも明らかにした。AIの判断を左右する情報源をCIAやモサドがコントロールしているからである。 元CIA分析官のラリー・ジョンソンが中国のAI「KIMI」で2026年のロシアによるウクライナ領土占領について調べていたところ、AIは奇妙な解説をしていたようだ。ウクライナ南部での反転攻勢により、ウクライナ軍は2026年前半にロシアが占領した領土を大きく上回る範囲を奪還したが、春以降、奪還のペースは鈍化し、6月から7月にかけてはロシアが小幅ながら領土を拡大しているとしているのだ。勿論、これは事実でない。ウクライナ当局の発表や西側のシンクタンクなどが情報源になっているからだ。 NATO諸国はクーデター後、2014年2月から22年2月にかけてキエフ体制軍に兵器を供与、将兵を訓練、ヒトラーユーゲント的な組織で年少者に対する戦闘訓練と思想教育を施し、さらにマリウポリ、マリーインカ、アブディフカ、ソレダルの地下要塞を中心とする要塞線を築き、ドンバスに対する軍事攻勢の準備をしていたが、2022年にマリウポリとソレダルが、また23年にはマリーインカとアブディフカが陥落、ここにきて要塞線は完全に崩壊した。 そして今年7月22日以降、ロシア軍の攻撃でオデッサやニコラエフを拠点とする海上輸送が事実上不可能になり、ウクライナは船で農産物を輸出することができなくなった。キエフのほか、物流や軍事の拠点に対してロシア軍は連日ミサイルやドローンで攻撃、工場や倉庫、あるいは地下司令部などが破壊されている。ウクライナの敗北は明白だ。 本ブログでも繰り返し書いてきたが、2014年2月のキエフにおけるネオ・ナチのクーデター後、戦況はクーデター軍が劣勢だった。そこで新体制の後ろ盾であるNATO諸国は反クーデター軍の攻勢を抑えるため、停戦に持ち込むことに成功した。2014年のミンスク1と15年のミンスク2だ。 セルゲイ・グラジエフはロシア大統領の顧問だった2014年6月、アメリカはウクライナの軍事力を強化し、ドンバスを失えばロシアは平和も失うと主張、50万人程度のウクライナ軍がクリミアへ攻め込むと推測していた。クーデター直後、アメリカの元政府高官を含む人びとはロシア軍が動かなかったことを訝っていたが、ウラジミル・プーチン大統領の側近はアメリカが対ロシア戦争を始めたと認識していた。 停戦合意後、キエフの新体制はそれを守らず、NATO諸国は2014年2月から22年2月にかけてキエフ体制軍に兵器を供与、将兵を訓練、ヒトラーユーゲント的な組織で年少者に対する戦闘訓練と思想教育を施している。さらにマリウポリ、マリーインカ、アブディフカ、ソレダルの地下要塞を中心とする要塞線を築き、ドンバスに対する軍事攻勢の準備をしていた。ドンバスへロシア軍を誘い込み、足止めさせている間に別動隊でクリミアを制圧する作戦だったと見られているが、その目標は達成できなかった。 AIは西側情報機関の情報操作でウクライナが勝利しているかのように判断しているが、ロシアが停戦に応じないため、現実が西側の作り出した幻影を消し去ろうとしている。 1904年2月から05年9月にかけての日露戦争はアメリカのセオドア・ルーズベルト大統領の仲介で形式上、日本の勝利になったが、実際はロシア側が革命運動の激化で戦争を続けることができなくなっただけだった。 この戦争は1904年2月8日、日本軍が仁川沖と旅順港を奇襲攻撃したところから始まる。その際、日本に戦費を用立てたのはロスチャイルド系金融機関のクーン・ローブを経営していたジェイコブ・シッフ。日本に対して約2億ドルを融資、その際に日銀副総裁だった高橋是清はシッフと親しくなっている。 この戦争について、セオドア・ルーズベルト米大統領は日本が自分たちのために戦っていると語り、日本政府の使節としてアメリカにいた金子堅太郎はアングロ・サクソンの価値観を支持するために日本はロシアと戦ったと説明していた。1910年に日本は韓国を併合しているが、これもアメリカ政府は容認していたようだ。(James Bradley, “The China Mirage,” Little, Brown and Company, 2015) こうした遣り取りを可能にした一因はルーズベルトと金子がふたりともハーバード大学出身だということがある。ルーズベルトは1880年に卒業しているが、その2年前に金子は卒業、1890年にふたりはルーズベルトの自宅で会い、親しくなった。セオドア・ルーズベルトはロシアを敵視していた人物で、日本を対ロシア戦争の手先にしようとしていた。 韓国併合を目論む日本の動きを察知した朝鮮の高宗は特使としてホーマー・ハルバートをワシントンへ派遣するが、ルーズベルト大統領やエリフ・ルート国務長官はその特使と会おうとしない。朝鮮は米朝修好通商条約の第1条に基づいて独立維持のための援助を求めたが、これをアメリカ政府は拒否している。すでにセオドア・ルーズベルト政権は桂太郎や金子堅太郎らと韓国併合で話はついていた。 日露戦争はルーズベルト大統領のおかげで勝利したものの、新聞の戦勝報道で浮かれた日本人が期待したような戦利品はなかった。賠償金支払いはなく、遼東半島の権利のほか、旅順とハルピンを結ぶ鉄道の権利や樺太全土の譲渡もなかったのだ。 戦勝報道で売り上げを伸ばしていた新聞社はその交渉結果を非難して国民を煽り、日本各地で講和条約反対と戦争継続を唱える集会が開催され、日比谷焼き討ち事件も引き起こされた。そして現在、アメリカを絶対視するマスコミは同じような戦勝報道を続けている。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.08.06
アメリカの政界において戦争を煽ってきたリンゼー・グラハム上院議員が7月11日に急死する直前からロシア軍のウクライナの軍事施設や生産施設に対するミサイル攻撃が激しくなった。ロシア軍は「御上品な」戦い方をやめたようだ。 グラハムは死の直前、キエフにあるスカイフォール社のドローン工場を視察しているが、ロシア軍の攻撃でNATOの将兵だけでなく、ドローン工場で働くアメリカ人技術者も犠牲になっている。オデッサの港湾施設も壊滅的な打撃を受け、船に対する攻撃も激しく、オデッサやニコラエフへ船が出入りできない状況だ。要するにウクライナにおける対ロシア戦争でNATOは敗亡しつつあるのだが、それはNATO諸国の「エリート」にとって悪夢以外の何ものでもない。 1991年12月のソ連消滅を見たネオコン、つまりアメリカの軍事や外交を支配するシオニストはアメリカが唯一の超大国になったと考え、世界征服戦争を始めた。これは本ブログで繰り返し書いてきたことだ。 ビル・クリントン大統領は第2期目の1997年1月、国務長官をチェコスロバキア出身で反ロシア感情の強い好戦派でズビグネフ・ブレジンスキーの弟子であるマデリーン・オルブライトへ交代させた。この国務長官人事を大統領に働きかけていたのはヒラリー・クリントン、つまり大統領の妻だと言われている。 オルブライトは1998年秋にユーゴスラビア空爆を支持すると表明、翌年の3月から6月にかけて実際に爆撃。4月にはスロボダン・ミロシェビッチの自宅が、また5月には中国大使館もB-2に爆撃された。3機のミサイルが別々の方向から大使館の主要部分に直撃していることもあり、中国側は「計画的な爆撃」だと主張している。 2001年9月11日にニューヨークの世界貿易センターとバージニア州アーリントンの国防総省本部庁舎(ペンタゴン)が攻撃された後、03年3月にイラクを先制攻撃、08年8月にはアメリカやイスラエルに支援されたジョージアが南オセチアを奇襲攻撃、ロシア軍の反撃で完敗している。この奇襲攻撃は対ロシア戦争の予行演習だったのだろう。 バラク・オバマ政権は2013年11月から14年2月にかけての時期にキエフのユーロマイダン(ユーロ広場、元の独立広場)で仕掛けたクーデターを仕掛け、ビクトル・ヤヌコビッチ政権を倒してネオ・ナチ体制を築くことに成功した。 しかし、ヤヌコビッチの支持基盤でロシア文化圏の東部や南部では住民がクーデターを拒否、南部のクリミアは素早くロシアと一体化、東部のドンバス(ドネツクとルガンスク)では武装抵抗が始まった。軍や治安機関では約7割がクーデター体制を拒否して離脱、一部はドンバスの武装勢力に合流した。そのため武装抵抗を始めた集団はクーデター軍より強く、NATO諸国はクーデター体制の戦力を増強しなければならなくなった。そのために時間稼ぎすることにして、ロシアと停戦で合意。それが2014年のミンスク1と15年のミンスク2だ。ロシアは合意を守ったがキエフの新体制は守らなかった。 NATO諸国は2014年2月から22年2月にかけてキエフ体制軍に兵器を供与、将兵を訓練、ヒトラーユーゲント的な組織で年少者に対する戦闘訓練と思想教育を施す一方、マリウポリ、マリーインカ、アブディフカ、ソレダルの地下要塞を中心とする要塞線を築き、ドンバスに対する軍事攻勢の準備をしていた。ドンバスへロシア軍を誘い込み、足止めさせている間に別動隊でクリミアを制圧する作戦だったと見られている。 しかし、ウクライナ/NATOが攻勢をかける前にロシア軍がウクライナ軍部隊、軍事施設、生物化学兵器の研究開発施設などを攻撃した。当初、ロシア軍の戦力はウクライナ/NATO軍の数分の1で劣勢だったのだが、ドンバスがロシア軍にとって「ホーム」だったこともあり、戦況はロシア軍が優勢だった。 そこでウォロディミル・ゼレンスキー政権はロシア政府と停戦交渉を始めるが、それを壊すためにイギリスの首相だったボリス・ジョンソンがキエフへ乗り込む。2022年4月9日のことだ。(ココやココ) この当時、イギリス政府をはじめ、NATO諸国は簡単にロシアを屈服させられると信じていたのだろうが、地下要塞は2022年にマリウポリとソレダルが、また23年にはマリーインカとアブディフカがそれぞれ陥落、ここにきて戦略的に重要なコスティアンティニフカも制圧され、掃討が完了、ウクライナ軍の補給線を寸断した。住民の救出も終わったのだろう。 2023年にタイム誌はウクライナでの戦闘を「AI戦争」と呼んだが、戦術の作成や兵器の設計はAIが行なっていたのかもしれない。 その中心的な存在がパランティア・テクノロジーズ。地上の写真、ドローン映像、衛星画像を組み合わせて迅速に情報分析を実施、戦車や砲兵などの標的を指定しているのは同社だ。AIによってドローンの離陸、着陸、標的捕捉を自動化、GPSや無線通信が妨害されても攻撃できる。 こうしたことでロシア軍は劣勢になるという物語が西側では語られているが、実際はロシア軍に粉砕されている。そこでモスクワなどで爆弾テロを実行するしかなくなった。 ウクライナでアメリカの国防総省は生物化学兵器の研究開発を実施、民主党などはマネーロンダリング、武器弾薬の横流し、そしてゼレンスキーの周辺は懐へ資金を入れてきた。資金の流れを止められない人が少なくない。西側の私的権力の中には勝利による略奪を前提に多額の資金を投じた人もいるが、敗北すれば大損害だ。戦争を長引かせ、その間に戦況を何とかして変えようとしている人も少なくないだろう。が、そうしたことを許さないという姿勢をロシア政府は見せ始めた。ゼレンスキーを操ってきたイギリスの対外情報機関MI6も追い詰められている。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.08.05

アメリカ軍は81年前の8月、原子爆弾で広島と長崎を破壊、多くの人を殺害した。8月6日にはウラン型原子爆弾「リトル・ボーイ」を広島へ、また8月9日にはプルトニウム型原爆「ファット・マン」を長崎へ投下した。原爆投下から数ヶ月で広島は9万から16万6000人、長崎は6万から8万人が死亡、その約半数は投下当日に亡くなったと推定されている。被爆者はその後も癌などの発症に苦しんできた。 8月8日にはソ連が日本に対して宣戦布告、日本が占領していた中国東北部や千島列島などへ攻め込んできたが、これはその年の2月にクリミアのヤルタ近くでアメリカ、イギリス、ソ連の首脳によって行われた会談での取り決めに基づくものだ。 ヤルタ会談にアメリカの代表として参加したフランクリン・ルーズベルト大統領は1945年4月12日に急死するが、その時、アメリカ海軍のジェームズ・ランビー大尉に率いられた部隊がベルリンから西へ約130キロメートルの地点にある施設で約1100トンのウラニウム鉱石を発見したとする話がある。(Simon Dustan & Gerrard Williams, “Grey Wolf,” Sterling, 2011) ユニオン・ミニエール社が1940年にコンゴで採掘したウラニウム鉱石約1200トンをドイツは手に入れ、そのうちフランス海軍の兵器工場に保管されていた31トンはすでにアメリカ軍が回収してテネシー州オークリッジの施設へ運んでいたが、残りは行方不明になっていた。それが発見されたということだ。(前掲書) 原爆の開発は1940年2月にイギリスのバーミンガム大学のオットー・フリッシュとルドルフ・パイエルスのアイデアに基づ木、MAUD(ウラン爆発の軍事応用)委員会が設立されたところから始まる。 同委員会のマーク・オリファントが1941年8月にアメリカへ派遣されてアーネスト・ローレンスと会談、アメリカの学者も原子爆弾の可能性に興味を持つようになったという。 1941年10月にルーズベルト大統領は原子爆弾の開発を許可し、イギリスとの共同開発が始まった。1942年にはレスリー・グローブス准将(当時)の指揮下、「マンハッタン計画」が発足。グローブスは1944年、マンハッタン計画に参加していたポーランドの物理学者ジョセフ・ロートブラットに対し、その計画は最初からソ連との対決が意図されていると語ったという。ドイツや日本の核兵器開発を危惧したわけではないということになる。(Daniel Ellsberg, “The Doomsday Machine,” Bloomsbury, 2017) 1943年には核兵器用のウランとプルトニウムを製造するため、テネシー州オーク・リッジに4施設が建設され、そのひとつはオーク・リッジ国立研究所へと発展した。ワシントン州に建設されたハンフォード・サイトではプルトニウムを製造するため、1944年9月にB原子炉が作られている。 広島と長崎への原爆投下を許可したのは大統領に就任してまもないハリー・トルーマンである。アメリカ、イギリス、中国が「ポツダム宣言」を発表する2日前、7月24日のことだ。日本が「ポツダム宣言」にどう反応するかを見ずにトルーマンは原爆投下による市民虐殺を決めたわけである。 投下決定の8日前、7月16日にニューメキシコ州のトリニティ実験場でプルトニウム原爆の爆発実験が行われ、成功している。その翌日から始まるポツダム会談を意識しての実験だった。当初の実験予定日は7月18日と21日の間だったが、トルーマンの意向で会談の前日に早めたという。7月26日にアメリカ、イギリス、中国はポツダム宣言を発表、8月に入って原爆が投下された。 日本では1945年8月15日に天皇の声明が放送された。「玉音放送」とか「終戦勅語」と呼ばれているものだ。その半月後の8月30日、グルーブス中将に対してローリス・ノースタッド少将はソ連の中枢15都市と主要25都市への核攻撃に関する文書を提出。9月15日付けの文書ではソ連の主要66地域を核攻撃で消滅させるには204発の原爆が必要だと推計している。そのうえでソ連を破壊するためにアメリカが保有すべき原爆数は446発、最低でも123発だという数字を出した。ただ、その当時、アメリカはこれだけの原発を持っていなかった。(Lauris Norstad, “Memorandum For Major General L. R. Groves,” 15 September 1945) 1955年頃になるとアメリカが保有していた核兵器は2280発に膨らみ(Annie Jacobsen, “Area 51”, Little, Brown, 2011)、57年になるとアメリカ軍の内部でソ連に対する先制核攻撃を準備しはじめている。(James K. Galbraith, “Did the U.S. Military Plan a Nuclear First Strike for 1963?”, The American Prospect, September 21, 1994) そして1957年の初頭、アメリカ軍はソ連への核攻撃を想定したドロップショット作戦を作成した。それによると300発の核爆弾をソ連の100都市で使い、工業生産能力の85%を破壊する予定になっていたという。(Oliver Stone & Peter Kuznick, “The Untold History of the United States,” Gallery Books, 2012) そのころからアレゲーニー山脈の中、ウエストバージニア州のグリーンブライア・ホテルの地下に「地下司令部」が建設されている。いわゆるグリーンブライア・バンカーだ。1959年に国防総省が中心になって着工、62年に完成している。 1950年代に沖縄では「銃剣とブルドーザー」で土地が強制接収されて軍事基地化が推し進められ、今でも島民を苦しめている。1953年4月に公布/施行された布令109号「土地収用令」に基づき、武装米兵が動員された暴力的な土地接収で、55年の段階で沖縄本島の面積の約13%が軍用地になっている。こうした基地化はアメリカの先制核攻撃計画と無関係ではない。「核の傘」など戯言だ。 テキサス大学のジェームズ・ガルブレイス教授によると、統合参謀本部のライマン・レムニッツァー議長やSACの司令官だったカーティス・ルメイなど好戦派は、1963年の後半にソ連を奇襲攻撃る予定だったという。その頃になればアメリカはICBMを配備でき、しかもソ連は配備が間に合わないと見ていた。ソ連が反撃するためにはアメリカの近くから中距離ミサイルを発射するしかない。そこでソ連はキューバへ中距離ミサイルを運び込み、キューバ危機になる。1962年10月のことだ。この危機を回避することに成功したジョン・F・ケネディ大統領は1963年11月22日に暗殺された。 1992年2月に作成されたウォルフォウィッツ・ドクトリンに基づいてアメリカのネオコンはアメリカが唯一の超大国で無敵だと信じ、世界制覇プロジェクトを開始、2001年9月11日から侵略戦争を本格化させた。そして今、ロシア、イラン、中国と戦争を始め、負けつつある。現在の世界情勢は当時より危険であり、核戦争が始まる危険性が高まっている。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.08.04
ドナルド・トランプ米大統領は8月2日、「トゥルース・ソーシャル」への投稿で、イランに対する攻撃計画を中止したと発表した。彼によるとホルムズ海峡の即時かつ完全な開放、そしてイランによる核の脅威の終結を含む合意に達し、アメリカは「第2次世界大戦以来類を見ないほどの軍事的脅威、強さ、そして力を備え、イラン・イスラム共和国に対して即座に行動を起こせる態勢を整えている」のだが、「イランやその他の中東諸国から攻撃を控えるようにと要請されたとしているので攻撃計画を中止したという。 CBSニュースは7月31日、つまり金曜日、アメリカとイスラエルがイランのエネルギーインフラを標的とした大規模な爆撃作戦を計画していると報じていた。そうした攻撃が実施された場合、ペルシャ湾岸諸国の石油施設や発電所に対する報復攻撃があるとことは間違いない。そして日曜日にトランプは攻撃の中止を発表した。 アメリカ軍がイランを攻撃した場合、自国の施設がIRGC(イラン革命防衛隊)から報復攻撃されることが避けられないサウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子/首相から事態を沈静化させ、攻撃を見送るように求められたというのだが、イランはトランプの主張を否定している。 勝利を演出するために大口を叩いて小規模な攻撃を実施、さまざまな市場で相場が始まる直前に取りやめるという、いつものTACO(トランプはいつも尻込みする)だという人も少なくない。本当にアメリカ軍がイランに対して大規模な攻撃を実施した場合、アメリカやイスラエルだけでなく世界が大惨事になるからだ。 すでにアメリカが保有する戦略石油備蓄(SPR)を含む総貯蔵量は大きく落ち込み、底をつきそうな状況であり、攻撃用のミサイルやドローンが枯渇、また迎撃率が数パーセントにすぎないパトリオット・システムのミサイルも足りず、イランのミサイルは迎撃を受けていない。 しかも、衛星測位システムをGPSから中国の北斗(BDS)へ切り替えてジャミング(妨害電波)やスプーフィング(なりすまし信号による欺瞞)の妨害を受けなくなり、イランのミサイルは迎撃されることなく正確に目標へ到達している。すでに西アジアのアメリカ軍基地は壊滅的な損害を受け、イスラエルの重要施設も破壊されてしまった。 例えばカタールにあるアル・ウデイド空軍基地、クウェートのアル・サレム基地、アラブ首長国連邦のアル・ダフラ空軍基地、バーレーンのアメリカ軍第5艦隊基地、サウジアラビアのリヤドにあるプリンス・スルタン空軍基地、ヨルダンのムワファク・アル・サルティ空軍基地、クウェートにあるふたつの基地など。 イスラエルでは早い段階にテルアビブやハイファといった都市、情報機関モサドの司令部や軍情報部アマンの施設、イスラエルの核開発計画でも中心的な役割を果たしてきたワイツマン研究所も破壊され、ディモナにあるシモン・ペレス・ネゲブ原子力研究センター(ディモナ原子炉)周辺も攻撃された。 そしてペルシャ湾へ通じるホルムズ海峡はイランが管理、紅海への入り口であるバブ・エル・マンデブ海峡はイエメンのアンサール・アッラー(フーシ派)がサウジアラビアからの船舶が航行することを阻止している。ふたつの海峡が封鎖された場合、世界、特に東アジア諸国の経済活動にとって深刻な事態だ。アンサール・アッラーのアブドゥル・マリク・アル・フーシはエスカレーションに対してはエスカレーションで応じると警告している。レバノンのヒズボラ、イラクのカタイブ・ヒズボラ、アサイブ・アル・アルハク、バドルといったシーア派の戦闘集団もアメリカやイスラエルがイランを攻撃しいた場合、参戦すると考えるべきだろう。 すでに数百名のアメリカ兵が戦死していると言われ、負傷した兵士を治療する拠点であるドイツのラントシュトゥール地域医療センターには150名以上の衛生兵が到着したと伝えられている。イランによるミサイル攻撃を生き延びた重傷のアメリカ兵の対応に追われ、人員不足が深刻化していたのだというが、地上作戦を実施した場合、アメリカ軍の犠牲者はこれまでの比ではないはずだ。 カスピ海を航行したイランの商船をウォロディミル・ゼレンスキーが率いるウクライナ軍は長距離ドローンで攻撃、イラン人船員ひとりを殺害しているが、そのウクライナではロシア軍が敵の防衛線を完全に突破したようだ。戦場にドローンが飛び交う現在、かつてのように戦車部隊が突進するというような作戦はとらず、ロシア軍は自軍の兵士だけでなく人質状態になっているウクライナの住民の犠牲者を少なくしようとしているが、確実に支配地域を拡大、最近ではNATO諸国の軍人や外交官の拠点に対する攻撃も激しくなってきた。戦術が変わった。 ウクライナ/NATO軍はロシア市民を殺傷し、ロシア社会に厭戦気分を広めようとしているが、逆効果になっている。イランと同じ現象だ。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.08.03

北アフリカに位置するセウタはスペインの領土で、約8万4000人が住んでいる。そこへ7月30日にモロッコ人が押し寄せて大混乱になり、41名以上が死亡したとされている。越境した「移民」は約6万人とされているが、スペイン治安警備隊の推計によると約7万5000人だ。そのうち約4万8000人が翌日の夕方までにモロッコへ戻ったという。 この騒動には奇妙なことがある。例えば、モロッコからフェンスを乗り越えて越境した集団は男性ばかり。インターネット上では、何台ものトラックが人びとをスペインとの国境近くへ運び込んでいる様子を撮影した映像が流れている。しかも警察や憲兵隊はそうした行為を阻止しようとしていない。越境者は国境へ向かうよう「暗黙の了解」を与えられていたように見えるのだ。モロッコ政府が越境に関係していると疑う人は少なくない。 そうしたセウタでの騒動を見たイスラエルのダニー・ダノン国連大使は喜びを隠さなかったが、モロッコ政府は親米であると同時に親イスラエルとしても知られている。2020年12月にモロッコはアメリカの仲介でイスラエルと国交を正常化、その見返りにアメリカは西サハラのモロッコ領有を認めた。イスラエルとモロッコは2021年11月に防衛協定を締結している。 それに対し、スペインは西サハラの先住民族であるサハラウィにスペインの市民権を付与するという案をスペインの議会委員会が採択。またスペインはモロッコと関係が悪化しているアルジェリアとの関係修復に乗り出している。 また、スペインのペドロ・サンチェス政権はパレスチナを国家として承認、またガザにおけるる住民虐殺をめぐり、イスラエルを「ジェノサイド国家」と非難。しかも自国の基地を経由したイスラエルへの武器輸送を阻止、イランに対する軍事作戦のためにモロン空軍基地やロタ海軍基地を使うことを拒否した。 7月19日にアメリカのニュージャージー州でFIFA(国際サッカー連盟)主催のワールドカップ決勝が行われ、スペインがアルゼンチンに1対0で勝ったが、この大会では審判がアルゼンチンに有利な判定を繰り返し、批判されている。 アルゼンチン・チームのエースであるリオネル・メッシは親イスラエルの象徴として使われている。だからこそメッシはイスラエルで絶大な人気があるのだ。 メッシは周辺をイスラエルの「元情報機関員」のボディガードで固めているほか、2020年にイスラエルのAI企業であるOrCamと提携した。この会社は着用できる人工視覚デバイスを製造するイスラエル企業で、イスラエルの電子情報機関、8200部隊の「元隊員」を雇用している。その会社でメッシはグローバル・ブランド・アンバサダーとして「顔」になっている。OrCamはパランティアと同様、ガザでの大量殺戮にも関与している。 パレスチナに「ユダヤ人の国」を築くことを目指すとして登場したシオニストは雄大な自然でも知られているアルゼンチンのパタゴニアを19世紀から目をつけていたとジャーナリストのセバスチャン・サルガドは語っている。 そのパタゴニアで今年1月5日から大規模な山火事が発生、当局は火災の一部は燃焼剤かガソリンを使った放火だと主張している。知事は根拠を示すことなく先住民のマプチェ族に火災の責任を押し付けているが、現地では退役したイスラエル軍兵士が火をつけるところを目撃したと主張する人が少なくない。アルゼンチンのハビエル・ミレイ大統領は熱烈なシオニストで、山火事の直前にパタゴニアを外国人が購入できるようにしていた。 パタゴニアへはガザで戦争犯罪を犯したイスラエル兵が逃げ込んでいるとも言われているが、第2次世界大戦後、アルゼンチンへはナチの高官や協力者が逃げ込んでいる。今はシオニストの戦争犯罪人の逃亡先になったわけだ。 勿論、アルゼンチンそのものが親イスラエルであり、パレスチナ人虐殺を支援しているというわけではない。アルゼンチンのサッカー界で伝説的な人物、ディエゴ・マラドーナは自らを「パレスチナの人びとの最大のファン」と公言し、自分の心はパレスチナにあると語っていた。彼は一貫してアメリカとイスラエルの行動を非難していたのだ。 マラドーナとは違う考え方をしているメッシが率いるアルゼンチンがワールドカップの決勝でパレスチナを支持しているスペインに負けた。そのスペインの領内へ親イスラエルのモロッコから約6万人と言われる「移民」が押し寄せ、スペインを混乱させている。***********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.08.02

ウクライナで戦争が始まる2年前のロックダウン アメリカ議会ではランド・ポール上院議員らがCOVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)の問題を取り上げているのだが、「COVID-19のパンデミック」の存在を前提とした議論を展開、人権を否定するさまざまな規制を正当化していると批判する人がいる。 伝染病が世界的に蔓延、重症の肺炎患者が街にあふれ、死者が急増するという事実はなかったにも関わらずWHO(世界保健機関)は2020年3月11日にパンデミックを宣言。その前にアメリカではCOVID-19が国家安全保障上の脅威だと認定されていた。 それを口実にして各国政府はロックダウンや外出の「自粛」、あるいは人と人の間に物理的な距離を保ち、近距離で接触しないようにするというソーシャル・ディスタンスなる政策をとり始め、2021年初頭には「COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)ワクチン」と称する遺伝子操作薬の接種が開始された。この政策が強制力を持って世界に広がれば、2022年2月に世界は戒厳令状態になっていただろう。 1992年2月に国防総省のDPG(国防計画指針)草案として作成されたネオコンの世界征服プロジェクト、いわゆる「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」は2001年9月11日に引き起こされたニューヨークの世界貿易センターとバージニア州アーリントンにある国防総省本部庁舎(ペンタゴン)への攻撃によって始動した。 その後、国防総省のDARPA(国防高等研究計画局)はワクチン開発の促進、新ウイルスの発見、医薬品製造の迅速化などの技術を開発するために投資するようになった。そうした中、空軍のダン・ワッテンドルフが迅速なパンデミック対応をDARPAの優先事項のトップに押し上げている。 ワッテンドルフはDARPAでプログラム・マネージャーを務め、診断学、哺乳類細胞合成生物学、RNAワクチン、モノクローナル抗体の迅速な発見、遺伝子導入による免疫予防、人工赤血球などのプログラムを立ち上げ、DARPAは2013年にモデルナへ最高2500万ドルを助成金として提供することに決めた。そして2016年にワッテンドルフはビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団へ移籍。COVID-19騒動でもこの財団は重要な役割を果たした。 その間、2005年8月に国防総省はウクライナ政府と契約を結び、同国にある生物研究施設をアメリカ政府が管理することになる。そしてアメリカはウクライナで生物化学兵器の研究開発を開始した。 ロイターによると、2020年6月2日、アメリカ陸軍感染症研究プログラムのディレクターを務めるウェンディ・サモンズ-ジャクソン大佐は国防総省の記者会見で、何らかの「新型コロナウイルス感染症ワクチン」が年末までに一部のアメリカ国民に利用可能になると期待を示したという。アストラゼネカ、ジョンソン・エンド・ジョンソン、モデルナ、サノフィ国内外の企業と協力してアメリカの研究者が抗体医薬品を開発しているほか、晩夏にはアメリカ陸軍のワクチン候補の臨床試験を開始する計画だとも伝えていた。サモンズ-ジャクソン大佐が発表した直後から感染者数と死者数が急増し始めているのだが、その大佐は議会に呼ばれていないようだ。 2022年2月にロシア軍はウクライナ/NATO軍がドンバスに対する大規模な軍事攻撃を実行する直前にウクライナに対する攻撃を開始、ウクライナの部隊や軍事施設のほか生物化学兵器の研究開発施設も破壊、ウクライナ側の機密文書を回収、分析した。 ロシア軍はイゴール・キリロフ中将の指揮下、放射線・化学・生物防衛部隊は2022年2月以降にロシア軍がウクライナで回収した機密文書の分析、アメリカ国防総省の内局であるDTRA(国防脅威削減局)にコントロールされた研究施設が30カ所あると2022年3月7日に発表。研究開発はDTRAから資金の提供を受け、CBEP(共同生物学的関与プログラム)の下で進められたという。 ロシア国防省によると、ロズモント・セネカとジョージ・ソロスのオープン・ソサエティがウクライナにある生物化学兵器の研究開発施設へ資金を提供していることを示すものも含まれ、ロシアやウクライナを含む地域を移動する鳥を利用して病原体を広める研究もしていたという。 そのほか、国務省、USAID(米国国際開発庁)、USAMRIID(米国陸軍伝染病医学研究所)、WRAIR(ウォルター・リード陸軍研究所)、そしてアメリカの民主党が仕事を請け負い、さらに国防総省とメタバイオタ、ブラック・アンド・ビーチ、そしてCH2Mヒルが仕事をしている。USAIDが関係しているということは、CIAが関係していることを意味する。 USAIDへはNEDを通じてCIAの工作資金が流れ込んでいる。NEDの資金はそのほかNDI(ナショナル民主主義研究所)、IRI(国際共和研究所)、CIPE(国際私企業センター)、国際労働連帯アメリカン・センターなどを経由して流れていく。 2023年4月にはロシア議会が報告書を発表しているが、その中で、アメリカの研究者が人だけでなく動物や農作物にも感染でき、大規模で取り返しのつかない経済的損害を与える「万能生物兵器」を遺伝子組換え技術を利用して開発していたと指摘している。そうした兵器を秘密裏に使い、「核の冬」に匹敵する結果をもたらすつもりだという。 キリロフが記者会見でウクライナにおける生物兵器の問題について発表した翌日、2022年3月8日にアメリカの上院外交委員会で国務次官を務めていたビクトリア・ヌランドはウクライナの施設で研究されている生物化学兵器について語った。マルコ・ルビオ上院議員の質問を受け、兵器クラスの危険な病原体がロシア軍に押収されるかもしれないと語ったのだ。つまり、ウクライナの研究施設で生物化学兵器の研究開発が行われていたことを否定していない。免疫兵器の研究 この「COVID-19ワクチン」がCOVID-19に対して効果がないだけでなく、深刻な副作用を引き起こしていることが判明している。その「ワクチン」を開発したファイザー社の関連文書をFDA(食品医薬品局)は当初、75年間封印しようとしたのだが、アメリカでは一部の専門家が情報の開示を求める訴訟を起こし、迅速な公開が命令された。 製薬業界の研究開発部門で幹部職を歴任、最終的には複数の受託研究機関を所有、運営し、ファイザーを含む60社以上の製薬会社による臨床試験を支援してきたサーシャ・ラティポワは2022年以降、裁判所の命令で公開された文書には「COVID-19ワクチン」が軍事プロジェクトであり、医薬品メーカーは国防総省の契約企業だと指摘している。(ココやココ) 2020年2月4日にアメリカの保健福祉長官はCBRN(化学、生物、核、放射線)緊急事態に関するふたつの宣言を出した。そのひとつがEUA(緊急使用許可)で、大量破壊兵器が関与する重大な緊急事態を想定、CBRN物質に対する対抗手段を安全性と有効性を確保するため、規制監督なしに使用する許可だ。 アメリカのランド・ポール上院議員だけでなく、COVID-19の原因であるSARS-CoV-2(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2)は中国の武漢病毒研究所で作られたとして上で、その研究所へアンソニー・ファウチが所長を務めていたNIAID(国立アレルギー感染症研究所)から資金が流れていたと主張、ファウチの責任を問う人が少なくない。 しかし、SARS-CoV-2に感染した動物は中国でなく北アメリカで見つかっている。ジム・ハスラムによると、北アメリカの自然界ではシカ、ノネズミ、コウモリを含む5種類の動物が感染していることが判明、それらの種はモンタナ州にあるロッキー・マウンテン研究所で実験動物として使用されていたことが突き止められた。(Jim Haslam, “COVID-19 Mystery Solved,” Truth Seeking Press, 2024) COVID-19騒動にメスを入れるためには、ロッキー・マウンテン研究所やアメリカの国防総省が建設したウクライナの生物化学兵器に関する施設を調査する必要がある。 CIAが免疫について調査していることは1980年代、イラン・コントラ事件にかんで発覚したが、1969年6月には国防研究技術局のドナルド・マッカーサー副局長が議会で次のように証言した。 今後5年から10年の間に、既知のあらゆる病原体とは特定の重要な側面において異なる、新たな感染性微生物を作り出すことがおそらく可能になるだろう。その中で最も重要な点は、感染症から比較的免れた状態を維持するために我々が頼りにしている免疫学的・治療的プロセスに対して、その微生物が抵抗性を示す可能性があるということである。 1980年代にAIDSが問題になった際、この証言が人間を免疫不全にするこができる微生物の出現を予言したと話題になった。1969年の10年後とは1979年だ。***********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.08.01

西アジアではアメリカ軍とイスラエル軍が2月28日に始めた対イラン戦争はIRGC(イスラム革命防衛隊)の反撃で西アジアにあるアメリカ軍基地やイスラエルの主要施設は壊滅的な損害を受け、ペルシャ湾に通じるホルムズ海峡、そして紅海への入り口であるバブ・エル・マンデブ海峡が封鎖され、石油を含む物資の流れが止まり、世界経済は危機的な状況にある。 そうした状況を作り上げたのは、言うまでもなく、アメリカとイスラエルである。両国の軍隊は2月28日にイランを騙し討ちにして最高指導者のアヤトラ・アリ・ハメネイ師、アブドルラヒム・ムサビ参謀総長、アジズ・ナシルザデ国防相、イラン革命防衛隊(IRGC)のモハメド・パクプール司令官、最高安全保障委員会(SNSC)事務局長でハメネイ師の顧問を務めていたアリ・シャムハニを含むイランの要人を殺害、その際にミナブ女子小学校を攻撃、7歳から12歳の少女168名から180名を殺した。 しかし、アメリカはイランと戦争しているだけではない。1991年12月にソ連が消滅した後、アメリカの外交と軍事をコントロールしているネオコンはNATOを東へ拡大させてロシアに軍事的な圧力を加え、ついにロシアの隣国であるウクライナに手をつけた。2014年2月のことだ。 イギリスは遅くとも19世紀からロシアや中国を征服する長期戦略を立てていた。当時、その中心にいたのがヘンリー・ジョン・テンプル(別名パーマストン子爵)。イギリスの首相や外相を務めた政治家。1840年にアヘン戦争を始めたのも彼であり、ロシアをイギリスにとって最大のライバルとみなしていた。「ウクライナ人はわれわれが反ロシア蜂起のストーブに投げ込む薪だ」と語り、ポーランドをロシアとドイツの間の障壁として復活させる計画を立てている。今でもアングロ・サクソンの支配層はウクライナ人をそのように見ているだろう。 アメリカのバラク・オバマ政権は2014年2月にビクトル・ヤヌコビッチ政権をクーデターで倒し、ネオ・ナチ体制を築いたが、ウクライナの軍や治安機関ではメンバーの約7割が離脱したと言われている。ウクライナの東部や南部はソ連時代、住民の意思に関係なくウクライナへ割譲されたのだが、その後もとの地域はロシア文化圏であり、ヤヌコビッチの支持基盤でもあった。 そこで南部のクリミアはロシアと一体化する道を選び、東部のドンバス(ドネツクとルガンスク)では反クーデター軍が編成され、武装抵抗が始まったのだが、その武装勢力は強く、クーデターを仕掛けたアメリカをはじめとするNATOは新体制の戦力を増強するために時間を稼ごうとして停戦を持ちかけた。それが2014年のミンスク1と15年のミンスク2だ。そして2022年2月にロシアとウクライナ/NATOの戦争が始まった。 この戦争は簡単に勝てるとNATO諸国は思っていたようだが、事実上ホームで戦うロシア軍は優勢。早い段階でロシア軍はトラップに掛かりそうになったのだが、2022年11月に部隊をヘルソンから撤退させることで回避した。ウクライナ/NATO軍はクリミアの水源であり、電力の供給源だったノヴァ・カホウカ・ダムを爆破し、洪水を引き起こしてロシア軍を分断し、彼らが敷設した地雷原を押し流そうとしたと言われていた。ロシア軍のヘルソンから撤退させるようセルゲイ・ショイグ国防相に進言したのはセルゲイ・スロビキン司令官、通称ハルマゲドン将軍だった。その際、住民も避難させている。 これ以降、ロシア軍は一貫して優勢。NATO軍に操られているウクライナ軍はすでに壊滅状態で、軍を指揮してきたオレクサンドル・シルスキー軍総司令官は7月21日に解任され、ネオ・ナチのミハイロ・ドラパティが後任に決まった。 シルスキーはウクライナの街頭だけでなく室内から男性を強制徴兵担当者が拉致し、バンザイ突撃させてきた。ここにきて長距離ドローンでロシアの深奥部を攻撃しているが、製造しているのはNATO諸国。衛星や地上の情報機関員による目標に関する情報の収集と分析、衛星によるドローンの誘導はNATOの衛星。その背後にはアメリカやイスラエルの情報機関と緊密な関係にあるパランティア・テクノロジーが存在している。 ウクライナ軍は7月14日、アゾフ海でロシアの船舶11隻をドローンで攻撃、過去9日間では116隻の船舶に打撃を与えたと発表したが、それを切っ掛けにしてロシア軍はオデッサやニコラエフへ物資を輸送する船舶を攻撃、沈没させている。港は封鎖された。ロシア軍は「特別軍事作戦」から「戦争」へ戦い方を変えたと言われているが、その背後にスロビキンの姿を見る人は少なくない。彼は当初から戦争の相手をNATOだと考え、防衛体制を重視していた。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.07.31
未成年者に対する性的な犯罪の容疑で2019年7月6日に逮捕され、ニューヨークのメトロポリタン矯正センターに入れられていたジェフリー・エプスタインは同年8月10日に独房で死亡した。そのエプスタインへ女性を紹介していたダニエル・シアドの死体が2026年7月20日、フランスのコロンブにある自宅で発見された。2022年2月19日にはシアドと同じようにエプスタインと関係があり、性的の人身売買に関与した疑いでラ・サンテ刑務所の独房に収監されていたジャン-リュック・ブリュネルが首を吊った状態で発見されている。シアドやブリュネルは表向きの仕事はモデルのスカウトだ。 エプスタインは2006年7月27日にも同じ容疑で逮捕された。14歳になる義理の娘がエプスタインの自宅で猥褻な行為をされたと、ひとりの女性がフロリダのパームビーチ警察で訴えたことが発端。捜査の過程でエプスタインが有力者へ少女を提供、その行為を秘密裏に録音、撮影して恐喝の材料に使っていたことが浮かび上がった。 パームビーチの警察には富裕層の利益を守るため、犯罪を隠蔽する仕組みが存在していた。その仕組みで守られていた富豪のひとりがマー・ア・ラゴを所有するドナルド・トランプにほかならない。 しかし、そうした実態を告発した保安官補もいた。ジョン・マーク・ドーガンだ。2006年の摘発でエプスタインが盗撮していた映像を警察は押収、捜査を指揮したのはジョセフ・リケアリーからその資料をドーガンは受け取り、保有している。2008年6月30日にエプスタインは有罪を認め、懲役18カ月を言い渡されているが、州刑務所へは入れられていない。パームビーチの拘置施設で週6日、1日12時間という制限の下、街で働くことが許されている。その年、ドーガンは退職を強いられた。 その後、ドーガンはインターネットで告発を続けるが、2016年にFBIは彼の自宅を家宅捜索、コンピュータなどを押収した。そこで彼はロシアへの亡命を決断、ロシアへは盗撮映像を含むエプスタインに関する資料を持ち出している。彼に資料を渡したリケアリーは2018年5月、50歳で急死した。 2006年の事件で地方検事として事件を担当したアレキサンダー・アコスタはドナルド・トランプ政権で労働長官に就任しているが、2019年にエプスタインが逮捕された際、エプスタインについて「情報機関に所属している」ので放っておけと言われたとしている。(Vicky Ward, “Jeffrey Epstein’s Sick Story Played Out for Years in Plain Sight,” Daily Beast, July 9, 2019) 後にエプスタインはイスラエル軍の情報機関、つまりアマンのために働いていたことが判明する。エプスタインはギレーヌ・マクスウェルと内縁関係にあったが、彼女や彼女の父親であるロバート・マクスウェルも同じ情報機関の下で働いていたと、1970年代にイスラエル軍の情報機関ERD(対外関係局)に所属、87年から89年にかけてイツァク・シャミール首相の特別情報顧問を務めたアリ・ベンメナシェは語っている。(Zev Shalev, “Blackmailing America,” Narativ, Septemner 26, 2019) 1980年代半ば、アメリカでは情報機関による秘密工作が発覚した。イラン・コントラ事件である。イランへの武器密輸とニカラグアの反革命ゲリラ、コントラへの違法支援工作が発覚したのだ。 この事件については拙著『テロ帝国アメリカは21世紀に耐えられない』三一書房、2005年でも説明したように、1979年2月のイランにおけるイスラム革命が関係している。 ムハマド・レザー・パーレビ国王が王妃と国外へ脱出、フランスからアヤトラ・ルーホッラー・ホメイニが帰国するのだが、11月に「ホメイニ師の路線に従うモスレム学生団」を名乗るグループがテヘランのアメリカ大使館を占拠、大使館内の機密文書を手に入れる一方、52名を人質にとった。人質の多くはアメリカの情報機関員だと見られている。 ジミー・カーター政権は人質の早期解放を目論む。その年は大統領選挙があり、人質の解放はカーターにとって追い風。そこでカーターの敵対勢力は共和党の勝利を確実なものにするため、人質の解放を遅らせる工作をしていたと言われている。 秘密交渉で共和党はイスラエルのリクードと連携、人質の解放を遅らせることに成功したのだが、その代償としてイランへ武器を密輸出することになる。この取り引きの儲けをCIAはコントラへの支援に充てたわけだ。 ところが、1984年9月にイスラエルで労働党のシモン・ペレスを首相とする政権が誕生、リクードが行っていたイランへの武器密輸を労働党は知り、自分たちも独自に武器密輸で儲けようとする。そして目をつけたのがアメリカ海兵隊のオリバー・ノース。その結果、ふたつのグループが争うことになり、暴露合戦に発展、イラン・コントラ事件の発覚につながった。この事件にエプスタインも関係していたのであり、彼は人身売買や恐喝をしていただけではない。 エプスタインは黒魔術にも関係、ペトログリフの刻まれた岩石などを集め、古代の建造物に模した建物を建てたりしている。イングランドではエリザベス1世の時代(1593年から1603年)にオカルトが流行、女王に寵愛されたジョン・ディーは錬金術や超自然的な存在との交信で知られていた。 その当時、イングランドの支配層の間でアングロ-サクソン-ケルトは「イスラエルの失われた十支族」であり、自分たちこそがダビデ王の末裔だと信じる人が現れ、人類が死滅する最後の数日間にすべてを包括する大英帝国が世界を支配すると予言されているという妄想が広まった。17世紀初頭にイギリス王として君臨したジェームズ1世も自分を「イスラエルの王」だと思い込み、ピューリタンの指導者たちも「イスラエルの失われた十支族」話を信じていた。 19世紀にもオカルトは流行、同世紀の終盤にイギリスを動かしていたのセシル・ローズのほかナサニエル・ド・ロスチャイルド、ウィリアム・ステッド、レジナルド・ブレット(エシャー卿)、アルフレッド・ミルナー(ミルナー卿)などだ。(Gerry Docherty & Jim Macgregor, “Hidden History,” Mainstream Publishing, 2013) エプスタインと親しかったビル・クリントンによると、親しくしていた理由はエプスタインがロスチャイルド家につながっていたからだという。実際はロスチャイルド家の代理人だったかもしれない。 エプスタインはイスラエルの元首相エフード・バラクとも親しく、その関係で同国の軍事情報局特殊作戦部に所属する秘密技術部隊の81部隊の人脈と繋がり、バラクとロスチャイルド家との間のメッセンジャーを務めていたともされている。エべリン・ド・ロスチャイルドの妻、リン・フォスター・ド・ロスチャイルドもエプスタインの友人で、クリントン夫妻とも親しい。ジェイコブ・ロスチャイルドの代理人として働いていたユーコスのミハイル・ホドルコフスキーも1989年頃、KGBのコネクションを利用してソ連の若い女性をニューヨークへ「モデル」として送り出す仕事をしていた。(Mark Ames, “Russia’s Ruling Robbers”, Consortium news, March 11, 1999) エプスタインにしろ、シアドにしろ、ブリュネルにしろ、そこから始まる人脈を辿ると、一般的に知られてはならない人びとへつながっているはずだ。ドナルド・トランプ政権は司法省が保有するジェフリー・エプスタインに関する約600万件の文書や映像、いわゆる「エプスタイン・ファイル」のうち約300万件を公開していない。公開されたファイルは黒塗りだらけ。財務省関係のファイルも公開されていない。しかもエプスタインがライリー・キラリー私立探偵事務所を使い、自宅から6つの保管庫へ運び込んだコンピュータ、映像、写真、文書などを捜査当局は調べていない。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.07.30
ウクライナ政府は7月14日、過去9日間にアゾフ海でロシアの船舶116隻に打撃を与えたと発表した。言うまでもなく攻撃の主体はNATOであり、アメリカやイスラエルの情報機関と関係の深いパランティア・テクノロジーズのAIが作戦の立案で重要な役割を果たしたのだろう。西側の反ロシア勢力は「潮目が変わった」と浮かれていたが、実際はロシア軍の激しい報復攻撃を招くことになった。オデッサやニコラエフの港へ物資を輸送する船舶を攻撃、ウクライナは黒海へのルートを断たれ、「陸の孤島」にされている。キエフ、スミ、オデッサなどの主要施設を激しく攻撃し始めた。 苦境に陥ったウクライナのウォロディミル・ゼレンスキーは長距離ドローンでカスピ海を航行したイランの商船を攻撃、イラン人船員が殺害された。この攻撃をイランのアッバス・アラグチ外相は激しく批判し、イラン議会は対イラン攻撃の拠点になる場所はイラン軍の正当な標的になると宣言、ウクライナのほか、イギリス、ブルガリアの名を挙げた。 ウクライナと西アジアを舞台にした戦いは形式上、別々の戦争だが、カスピ海を航行していたイラン戦への攻撃によって、実態通り、ひとつの戦争になるかもしれない。本ブログでは繰り返し書いてきたように、これらの戦争はイギリスが19世紀に始めた長期戦略に基づく。アメリカはその戦略を引き継いでいるだけであり、イスラエルはイギリスが作り上げた国だ。 この長期戦略に基づく戦争ははじまたイギリスの政治家はヘンリー・ジョン・テンプル(別名パーマストン子爵)。この人物は1855年2月から58年2月、59年6月から65年10月、2度にわたって首相を務め、反ロシアで有名だ。ビクトリア女王に対してアヘン戦争を指示したのもこの人物である。最初のアヘン戦争は1840年に勃発、第2次アヘン戦争は56年に始まっている。 2度のアヘン戦争でイギリスは中国(清)に海戦で勝利したが、内陸部を征服することはできなかった。それだけの地上軍がなかったからにほかならない。そこで戦国時代に戦闘奴隷の歴史がある日本に目をつけた。そして仕掛けたのが明治維新だ。 その日本は現在、アメリカの属国。陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊を一元的に指揮する常設組織として「統合作戦司令部」が2024年3月に編成され、これによって自衛隊はアメリカ軍の指揮下に入ったと考えられている。 歴代アメリカ政府の外交や軍事をコントロールしてきたシオニストの一派、ネオコンは1992年2月に国防総省のDPG(国防計画指針)草案として世界制覇プロジェクトを作成した。この草案作成で中心的な役割を演じたのは国防次官を務めていたポール・ウォルフォウィッツで、そのことから「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」とも呼ばれている。 このプロジェクトにおける最優先事項は新たなライバルの出現を防ぐことにあるが、ドイツと日本をアメリカ主導の集団安全保障体制に統合し、民主的な「平和地帯」を創設する、つまりドイツと日本をアメリカの戦争マシーンに組み込み、アメリカの支配地域を広げるということも謳われている。1995年以降、日本はアメリカの戦争マシーンになる準備、つまり中国と戦争する準備を急ピッチで進めた。2024年3月の統合作戦司令部創設はその一環だろう。 総理大臣を務めていた故安倍晋三は2015年の6月、赤坂にある「赤坂飯店」で開かれた官邸記者クラブのキャップによる懇親会で、「安保法制は、南シナ海の中国が相手なの」と口にしたと報道されている。自衛隊は2016年に与那国島でミサイル発射施設を建設、19年には奄美大島と宮古島、そして23年には石垣島でも施設を完成させた。 この軍事施設建設の理由は国防総省系のシンクタンク「RANDコーポレーション」が発表した報告書が説明している。GBIRM(地上配備中距離弾道ミサイル)で中国を包囲するためだというのだ。 南西諸島にミサイル発射基地が建設されつつあった2017年11月、アメリカはオーストラリア、インド、日本とクワドの復活を協議、18年5月にはアメリカ太平洋軍をインド太平洋軍へ名称変更した。インド洋から太平洋にかけてを一体化して扱おうとしたのだろうが、今年6月、名称を太平洋軍へ戻すことを決めた。 RANDコーポレーションによると、専守防衛の建前と憲法第9条の制約がある日本の場合、ASCM(地上配備の対艦巡航ミサイル)の開発や配備で日本に協力することにし、ASCMを南西諸島に建設しつつある自衛隊の施設に配備する計画が作成されたとされていたが、すでにそうした配慮は放棄されている。 2022年10月になると、「日本政府が、米国製の巡航ミサイル『トマホーク』の購入を米政府に打診している」とする報道があった。亜音速で飛行する巡航ミサイルを日本政府は購入する意向で、アメリカ政府も応じる姿勢を示しているというのだ。 トマホークは核弾頭を搭載でる亜音速ミサイルで、地上を攻撃する場合の射程距離は1300キロメートルから2500キロメートル。中国の内陸部にある軍事基地や生産拠点を先制攻撃できる。「専守防衛」の建前と憲法第9条の制約は無視されていると言えるだろう。 そして2023年2月、浜田靖一防衛大臣は亜音速巡航ミサイル「トマホーク」を一括購入する契約を締結する方針だと語ったが、10月になると木原稔防衛相(当時)はアメリカ国防総省でロイド・オースチン国防長官と会談した際、「トマホーク」の購入時期を1年前倒しすることを決めたという。当初、2026年度から最新型を400機を購入するという計画だったが、25年度から旧来型を最大200機に変更するとされているのだが、イランに対する攻撃で枯渇、配備は遅れる。 RANDコーポレーションが書いているように、アメリカ軍はミサイルで中国を包囲しようとしている。ロシアに対するウクライナと同じように日本は中国に軍事的な圧力を加え、場合によっては攻撃することが求められている。 日本と中国との友好関係を築いたのは田中角栄である。彼は総理大臣として1972年9月に北京を訪問、日中共同声明の調印にこぎつけ、その際に尖閣諸島の領土問題は「棚上げ」にすることで合意している。この知恵によって日中両国は経済的な結びつきも強まった。この関係を壊したのは菅直人政権だ。 2010年6月に成立した菅直人内閣は閣議決定で尖閣諸島周辺の中国漁船を海上保安庁が取り締まれることに決め、2000年6月に発効した「日中漁業協定」を否定してしまう。この出来事で中心的な役割を果たしたのは国土交通大臣を務めていた前原誠司。彼は9月に外務大臣となり、外交的に問題を修復する道を断ち切ることになった。 そして2025年10月に内閣総理大臣に就任した高市早苗は翌月、衆院予算委員会で「台湾有事」について問われ、「戦艦を使って、武力の行使も伴うものであれば、これはどう考えても存立危機事態になりうるケースだ」と発言。彼女も「ひとつの中国」を受け入れているので、中国で内戦が始まった場合、日本は中国に対して宣戦布告するということになる。東アジアにおける戦乱の発火点になりうる場所のひとつは台湾。高市の発言は日本をウクライナと同じような状態にしかねない。 高市首相は11月11日、衆院予算委員会で「核を保有しない、製造しない、持ち込まない」という非核3原則を堅持するかどうかという質問に対して明言を避けた。本ブログでは繰り返し書いてきたことだが、アメリカのCIAやNSAの分析官は日本が核兵器を開発していると確信、監視してきた。 1995年を節目にして、日本はアメリカの戦争マシーンに取り込まれてきたが、その一方で経済的には衰退し続けている。そのひとつの切っ掛けは1988年7月に実施されたBIS(国際決済銀行)規制の問題だろう。国際業務を行う銀行の場合、自己資本比率を8%以上にすることが求められたのだが、当時、日本の銀行は4から5%。その結果、貸出額を減らさなければならなくなり、1990年代から銀行は「貸しはがし」をすることになる。回収しやすい会社、つまり優良な中小企業から資金を回収し始めた。その際、日本の優秀な職人を中国企業が雇った。技術が中国へ流れたとも言える。またアンダーグランドの資金がそうした企業へ流れ込んだようだ。教育水準の低下も日本経済を弱体化させる一因になっている。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.07.29
アメリカの外交や軍事を動かしてきたシオニストは2014年2月にウクライナのキエフでクーデターを仕掛け、対ロシア戦争を本格化させ、今年2月28日にはイスラエルと共同でイランを奇襲攻撃、最高指導者だったアヤトラ・アリ・ハメネイ師を含むイラン政府の要人を殺害、同時に女子小学生が通う学校も破壊して約150名を殺害した。 そのいずれの戦争でも重要な役割を果たしているパランティア・テクノロジーズはアメリカやイスラエルの情報機関と関係が深く、軍や対テロ分析担当者が使用する情報分析ツールも開発、AIや顔認識システムを利用した監視システムにも関係、最近ではAIを搭載したドローンの開発だけでなく作戦の作成にも関与しているようだ。 このパランティアを含むハイテク企業の重役が昨年からアメリカ軍の中佐として雇用されている。それだけアメリカ軍との関係が強まっているのだ。アメリカ陸軍が受け皿として組織したのは「エグゼクティブ・イノベーション部隊(201分遣隊)」で、この構想はジョー・バイデン政権下の2023年4月に浮かんだ。そうした企業人に与えられた役職が陸軍の技術顧問でなく中佐だったことに対し、多くの軍関係者が快く思っていないという。 2025年6月にはフェイスブックの親会社であるメタ・プラットフォームのアンドリュー・ボズワースCTO(最高技術責任者)、オープンAIのケビン・ワイルとボブ・マクグルー、そしてパランティアのシャム・サンカーCTO。今年の6月にはインターネットサービスを提供するクラウドフレアのデーン・クネヒトCTO、テクノロジー系新規企業へのベンチャー・キャピタル投資を専門とするサッター・ヒル・ベンチャーズのサム・プララCTO、そしてフェイスブックAIリサーチの共同設立者であるセルカン・ピアンティーノが任命された。第1陣による指導・助言には「弾薬供給網のデータ分析、有機的産業基盤(OIB)への投資、自律型システム、および対ドローン技術に関する基本戦略」への支援が含まれていたという。 こうした政策は軍内部の秩序を揺るがすほか、利害の問題も生じさせる。例えばサンカーが所属するパランティアは情報機関や国防省で使用されているソフトウェア「ゴッサム」の供給元で、衛星画像、ドローンからの映像、レーダーのデータ、戦場センサー、情報報告などを統合するプログラム「メイブン」を開発した企業でもある。 こうした「民営化」の仕組みは1970年代にアメリカ議会でCIAの秘密工作が問題になった後、議会の監視を避けるために作られた。しかも国防総省やCIAとの契約企業になれば「国家安全保障上の理由」という口実で都合の悪い情報を明らかにする必要はない。同じことは「COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)ワクチン」を製造した医薬品企業でも言える。このワクチンの接種は国防総省のプロジェクトとして実行された。 1980年代に発覚したイラン・コントラ事件では「私的な情報機関」としてエンタープライズの存在が明るみに出ている。この組織は1976年に創設された国際的な情報機関のネットワーク、サファリ・クラブに含まれている。そのネットワークにはフランス、サウジアラビア、エジプト、モロッコ、そして王政時代のイランの情報機関人脈が含まれ、中心にはサウジアラビアの情報機関や武器商人のアドナン・カショーギ、ケニアの大統領だったジョモ・ケニャッタ、そしてヘンリー・キッシンジャーがいた。CIAとサファリ・クラブとの連絡係はジョージ・H・W・ブッシュと親しかったシオドア・シャックレー。この集まりがサファリ・クラブと呼ばれるようになったのは最初の極秘会合がケニアのマウント・ケニア・サファリ・パークという場所で開かれたからである。こうした話は拙著『テロ帝国アメリカは21世紀に耐えられない』(三一書房、2005年)で説明している。 1980年代の時点で国境を超えた情報機関のネットワークが築かれ、大手企業が国家組織へ食い込み始めた。その結果、企業は情報の開示を免れ、情報機関や軍は議会の監視から逃れられるようになる。そして議員たちを買収すると同時にスキャンダルで脅する仕組みも作られた。ちなみに、イスラエル軍の情報機関で働いていたジェフリー・エプスタインもイラン・コントラ事件に関係していた。 情報機関の下でエレクトロニクス企業と医療業界は連携している。例えば、WEF(世界経済フォーラム)を率いていたクラウス・シュワブは2016年1月にスイスのテレビ番組に出演した際、マイクロチップ化されたデジタル・パスポートについて話している。チップを服に取り付けるところから始め、次に皮膚や脳へ埋め込み、最終的にはコンピュータ・システムと人間を融合、人間を端末化しようと考えていた。COVID-19騒動の際、話題になったデジタルIDもその布石だろう。 RFID、つまり識別情報を無線でやりとりする小型チップを商品でなく皮膚下に埋め込む技術も実用化されつつある。そのチップにはID番号が記録され、個人情報が集積されているデータベースにアクセス、犯罪歴、病歴、学歴を含む個人データを引き出すことができる。IC乗車券を持たずに電車やバスに乗車でき、支払いも電子的に決済することが可能で、身分証明書としても機能する。便利だと感じる人もいるだろうが、囚人化とも言える。人間が何を考えているかを外部から探る技術も研究され、すでに脳波を測定することで心理状態をある程度把握することは可能になっている。(South China Morning Post, 29 April 2018) 西側では私企業が強大化し、政府を上回る力を持ち始めている。その中心に存在しているのがハイテク企業であり、テクノ-ファシズムという用語もできている。(楽天、ノート、サブスタック) フランクリン・ルーズベルトは大統領時代の1938年4月29日、つまりウォール街の親ファシズム勢力によるクーデター計画を阻止した後、ファシズムについて次のように語っている:「私的権力が民主国家そのものより強大になることを許してしてしまうならば、民主主義の自由は危うくなる。それこそが本質的にファシズム――個人、集団、あるいはその他の支配的な私的権力による政府の掌握である。」**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.07.28
ウォロディミル・ゼレンスキーが率いるウクライナ軍は長距離ドローンでカスピ海を航行したイランの商船を攻撃、その攻撃でイラン人船員ひとりが殺害された。この攻撃をイランのアッバス・アラグチ外相は激しく批判。イラン議会は対イラン攻撃の拠点になる場所はイラン軍の正当な標的になると宣言、ウクライナ、イギリス、ブルガリアの名を挙げた。すでにウクライナ軍は西アジアで行動しているが、今回のイラン商船への攻撃はウクライナや西アジアを舞台にした戦争を一体化させる可能性がある。ロシアはNATO加盟国に対する攻撃に慎重だが、イランは違うだろう。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.07.27

イランへの攻撃が10日以上続いてきたが、そうした中、アメリカ軍がイランに地上部隊を侵攻させるという話が伝えられていた。ところがそうした動きは見られない。ドナルド・トランプ政権がイランに対し、交渉再開を働きかけていると推測する人もいる。 地上戦でアメリカ軍が勝てる可能性はほとんどなく、全滅しても不思議ではない。統合参謀本部はイランでの地上戦には反対、ドナルド・トランプ大統領にもそうしたことを説明しているだろう。イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相はトランプ大統領を戦争へと駆り立てているようだが、イスラエル軍はイラン軍と戦うつもりはないようだ。 ウクライナにおける対ロシア戦争と同じように、対イラン戦争でもパランティア・テクノロジーズなる会社が戦争の遂行に協力している。この会社はアメリカやイスラエルの情報機関と関係が深く、軍や対テロ分析担当者が使用する情報分析ツールも開発、AIや顔認識システムを利用した監視システムにも関係している。最近ではAIを搭載したドローンの開発だけでなく、作戦の作成にも関与しているようだが、対ロシア戦争でも対イラン戦争でも結果は良くない。 対イラン戦争をアメリカ軍とイスラエル軍は斬首攻撃で開始、最高指導者アヤトラ・アリ・ハメネイ師を含むイランの要人を殺害することには成功したが、その後は彼らの思惑通りには進んでいない。イラン国内は団結、アメリカやイスラエルに立ち向かう姿勢を鮮明にしている。同じことがロシアでも起こっている。 西アジアのアメリカ軍基地やイスラエルの主要施設は壊滅的な打撃を受けている。アメリカ軍の攻撃はホルムズ海峡の封鎖を招き、原油や天然ガスのほか肥料などの供給も途絶えさせてしまう。紅海への入り口であるバブ・エル・マンデブ海峡も封鎖される可能性が出てきた。しかもイランのIRGC(イスラム革命防衛隊)が保有するミサイルやドローンには余裕がある反面、アメリカやイスラエルは余裕がない。 トランプ大統領は石油供給量の減少をSPR(戦略石油備蓄)の放出でカバーしてきたが、その備蓄原油は8月までに枯渇する見通し。アメリカ軍のイランに対する攻撃によってホルムズ海峡は封鎖状態だが、それだけでなく、イエメンのアンサール・アッラーはサウジアラビアに対する報復で、紅海への入り口であるバブ・エル・マンデブ海峡を通過しようとしたサウジアラビアの石油タンカー2隻を破壊した。さらにサウジアラビアの石油積出港である紅海に面したヤンブー港も攻撃される可能性があり、そうなるとサウジアラビア産原油は止まる。 そうした事態を避けたいなら、アメリカ政府はイランの要求を呑まなければならない。敗北を認めるということだが、それをイスラエルやシオニストは容認しないだろう。アメリカを含むNATO諸国はウクライナでも負けている。そうした敗北を認められないとして戦争をエスカレートさせたなら、状況はさらに悪化する。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.07.27
ロシア軍は黒海で石油タンカーや穀物を輸送する貨物船に対する攻撃を激化させている。ウクライナ政府は7月14日、アゾフ海でロシアの船舶11隻をドローンで攻撃、過去9日間では116隻の船舶に打撃を与えたと発表、そうした行為に対する報復だ。ウクライナ/NATOが仕掛けた攻撃が裏目に出た。 ロシア側はアゾフ海やドン・アゾフ運河におけるすべての海上交通、ならびにケルチ海峡の通航も停止したが、それだけでなくオデッサやニコラエフへ物資を輸送する船舶を攻撃、ヨーロッパの大手海運会社は自社の船舶を黒海へ入れないとしている。ウクライナの黒海に面した港は封鎖された。その結果、ロシアとの戦争を推進しているヨーロッパ諸国の食糧事情が悪化すると予想されている。 ウクライナ軍はドローンによる民間ターゲットに対する攻撃に力を入れている。ロシア国内にある民間の石油関連施設や倉庫などを目標にしてきた。数百機のうち数機は防空システムを突破、それなりの映像を撮影、それを宣伝してきた。 ウクライナ政府や後ろ盾の西側諸国はそうして作り上げた印象を利用し、戦争の勢いは変わり、戦況はウクライナが優勢だと宣伝すると同時にロシア社会を揺さぶろうとしたのだろう。ところが精油所も急ピッチで修復され、ロシアの燃料状況は回復、防衛態勢は強化された。そのためか、陸上の施設に対するウクライナ軍のドローン攻撃は聞かなくなっている。 ウクライナを舞台としたロシアとNATOの戦況はロシアが圧倒的に有利で、死傷が膨らんで兵士不足は深刻。そこでウクライナ国内では街角だけでなく室内から男性を強制徴兵担当者が拉致する状況だ。それでもバンザイ突撃を繰り返していたオレクサンドル・シルスキー軍総司令官は7月21日に解任され、ネオ・ナチミハイロ・ドラパティが後任に決まった。 ウクライナ国内での拉致では不足を賄えないため、ドイツのアレクサンダー・ドブリント内相は7月18日、ベルト・アム・ゾンターク紙のインタビューで、EUに滞在する若いウクライナ人男性を戦地へ送還することは正当であるとの見解を表明した。 ドローンも兵員不足を補うために重視されているが、その戦術を西側で推進しているのはパランティア・テクノロジーズであり、同社のアレックス・カープCEOが目をつけて国防大臣に据えた男がミハイロ・フェドロフだった。このフェドロフは7月16日に解任されている。 パランティアはCIAのベンチャー・キャピタル部門であるIn-Q-Telからの資金によって2003年に創設された。創設者のひとりで会長を務めるピーター・ティールは決済サービス企業PayPalの創業者。ドナルド・トランプ大統領を支持、J・D・バンス副大統領のスポンサーとして知られている。パランティアが雇用した人物の中にはイギリスの対外情報機関MI6で長官を務めた人物も含まれる。 ティールは緊急通報システムで知られるカービンの重役でもあるが、カービンの重役は大半がイスラエルの電子情報機関である8200部隊の元将校。同社の出資者にはイスラエル軍の情報機関アマンの局長を経て参謀総長、そして首相に就任したエフード・バラクが含まれ、バラクは同社の会長に就任している。ジェフリー・エプスタインはカービンの主要な資金源のひとりだった。 パランティアはウクライナやイランを大規模なAI(人工知能)戦の実験場にしている。アレックス・カープCEOによると、同社のソフトウェアがウクライナにおいて「ターゲット設定のほとんど」を実行していると公言、ウクライナ国防省は同社が戦場データを迎撃ドローンのAIへ供給するプラットフォームのブレイブ1・データルームを構築するとしていた。このプラットフォームはウクライナのデジタル変革省、国防省、軍参謀本部、国家安全保障・国防会議、戦略産業省、そして経済省によって設立されたという。 ウクライナ側は戦争をロシア領土に移すと主張、西側メディアはウクライナ軍の驚くべき成功を盛んに報じていたが、戦況がウクライナ有利になった事実はない。ドローンを利用したパランティアの戦術をキエフへ持ち込んだフェドロフが解任されたのはそのためだろう。アメリカ、イスラエル、ヨーロッパ諸国などは苦境に追い込まれている。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.07.26

アメリカ軍がイランを攻撃し、イランからアメリカ軍基地が報復されるという展開が再開されたが、アメリカに勝てる見込みはない。イランのIRGC(イスラム革命防衛隊)が保有するミサイルやドローンには余裕がある反面、アメリカやイスラエルは余裕がなく、アメリカ軍の攻撃はホルムズ海峡の封鎖を招き、原油や天然ガスのほか肥料などの供給も途絶えさせてしまう。ドナルド・トランプ米大統領は石油供給量の減少をSPR(戦略石油備蓄)の放出でカバーしてきたが、その備蓄原油は遅くとも8月には枯渇する。正確な情報がトランプ大統領のところまで伝えられているのかどうか不明だが、彼の政策は彼自身だけでなく世界を破滅へと導いている。トランプは正気を失ったのか、あるいは目的があるのだろうか? 西アジアの戦乱はアメリカ軍とイスラエ軍による2月28日のイランに対する奇襲攻撃から始まったが、アメリカやイスラエルがイランを攻撃しても勝利できず、大惨事になると言われていた。イランの地形や戦力を考えるならば、アメリカが地上軍を投入した場合、壊滅的な敗北を喫すると見通されていた。 そこで、トランプ政権はイランを攻撃しないだろうと考える人が少なくなかったのだが、攻撃した。イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相に騙されたのか、脅されたのか、あるいはパランティア・テクノロジーズのAIを信じたのか不明だが、ともかく彼は破滅へ向かい始めた。 すでにイランは西アジアにおけるアメリカ軍基地、例えばカタールにあるアル・ウデイド空軍基地、クウェートのアル・サレム基地、アラブ首長国連邦のアル・ダフラ空軍基地、バーレーンのアメリカ軍第5艦隊基地、サウジアラビアのリヤドにあるプリンス・スルタン空軍基地などを破壊、またイスラエルのテルアビブやハイファといった都市、ディモナにあるシモン・ペレス・ネゲブ原子力研究センター(ディモナ原子炉)周辺も破壊。そして予想された通りホルムズ海峡が封鎖された。 そこでトランプ大統領とイランのマスード・ペゼシュキアン大統領は6月17日、戦争終結に向けての話し合いを進めるためだとして合意文書(MoU)に署名した。イラン側の要求を呑む内容で、トランプ政権はこれを守る気がないだろうと少なからぬ人は予想していた。実際、トランプはMoUを無視してイランを攻撃、イランが報復するというパターンに戻ったが、変化がないわけではない。 先日、サウジアラビアはイエメンのサナア国際空港へイランの旅客機が着陸した際、滑走路を空爆した。事前にアメリカから承認されていただろうが、サウジアラビアは「イエメン政府」の承認を得ているとしている。 この政府とはアデンを臨時の首都にしている大統領指導会議を指しているのだろうが、このメンバーはサウジアラビアのリヤドにある高級ホテルを拠点にしている。事実上、アンサール・アッラー(フーシ派)がイエメン政府だ。 イエメンのアンサール・アッラーはサウジアラビアに対して報復すると発表、紅海への入り口であるバブ・エル・マンデブ海峡を通過しようとしたサウジアラビアの石油タンカー2隻を破壊した。バブ・エル・マンデブ海峡が封鎖される可能性が高まったが、サウジアラビアの石油積出港である紅海に面したヤンブー港も攻撃されると覚悟すべきだろう。そうなった場合、サウジアラビアは石油を輸出することが困難になる。 昨年末にアンサール・アッラーの治安部隊は「高度なスパイ網」を摘発したと発表したが、それはサウジアラビアの情報機関、CIA、モサドの工作員が配置されたリヤドを拠点とする合同作戦室と繋がったネットワークで、イエメンの指導部を排除し、軍事作戦を継続する能力を奪おうとしていた。昨年8月にイスラエル軍は空爆でアンサール・アッラーのアフメド・ガレブ・ナセル・ラハウィ首相を含む9人の閣僚や軍参謀長を殺害したが、これにもこの合同作戦室が中心的な役割を果たした。ハマス、ビズボラ、イランでも行われた一種の斬首作戦だが、結局、失敗に終わった。 ホルムズ海峡の閉鎖によって世界の原油供給量が約20%減少し、化学肥料の製造に不可欠な尿素の供給は30%減少。この海峡を通過する石油の買い手は約80%が中国、インド、日本、韓国などのアジア諸国であり、LNG(液化天然ガス)はそれ以上の比率で同じ国々が輸入しているのだが、当然、トランプ政権もこの事実を認識しているだろう。バブ・エル・マンデブ海峡の閉鎖もこうした国々にダメージを与える。 バラク・オバマ政権のウクライナでのクーデターはロシアとヨーロッパ諸国の経済を破壊、ロシアを攻撃する態勢を整えることにあった。台湾で軍事的な緊張を高めたのは中国だけでなく、日本を含む東アジア諸国を破壊することが目的だったのだろう。そして西アジアを支配する上で残された最大の障害、イランの体制を転覆させようとしている。ウクライナやイランにおける状況を見ながらトランプ大統領の背後にいる人びとはほくそ笑んでいるかもしれない。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.07.25

すでに世界の多くに人は「COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)ワクチン」を拒否しているようだが、この問題は終わっていない。終わらないまま隠蔽工作が進んでいる。COVID-19騒動の象徴的な人物であるアンソニー・ファウチは1984年11月から2022年12月までNIAID(国立アレルギー・感染症研究所)の所長を務めたが、騒動の黒幕とは言えない。黒幕はファウチに責任を押し付け、逃げようとしているように見える。 この「COVID-19ワクチン」は人間の細胞へLNP(脂質ナノ粒子)に包まれたmRNAを送り込み、ウイルスのスパイク・タンパクを作らせるのだが、人間の免疫システムはスパイク・タンパクを病原体だと判断、攻撃するため、自己免疫疾患を引き起こす。 そこで「COVID-19ワクチン」には免疫を下げる仕組みが組み込まれているのだが、それだけでなく免疫抑制能力があるIgG4抗体が誘導される。つまりAIDS状態になり、通常なら問題のない微生物でも病気になり、癌も増える。 また、LNPは人体に有害であり、DNAやグラフェン誘導体の混入も報告されている。発癌性のあるDNAウイルス、SV40も混入していることが発見された。ファイザー社のmRNA製剤や多くの「遺伝子編集」カクテルの中に入っているのだが、遺伝子治療に使われるSV40は合成化学物質だという。SV40やその構成要素を意図的に合成し、遺伝子治療の主要成分として組み込むことは許されている。 このCOVID-19騒動は2019年12月の終わりに中国の武漢の病院で肺炎患者9名ほどが見つかったところから始まる。翌年の2月4日、横浜港から出港しようとしていたクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」で患者が発見され、3月11日にWHO(世界保健機関)がパンデミック宣言、「重症の肺炎患者が街にあふれ、死者が急増する」というイメージが作られ、人びとを恐怖させ流ことになった。 別のクルーズ船「グランド・プリンセス」でも患者が発見され、3000人以上が拘束された。拘束された人びとは「無症状の致死性疾患」なる話を吹き込まれ、訴追の脅迫を受け、アメリカ空軍の基地にある軍事刑務所(隔離キャンプ)に収容されたという。 しかし、WHOがパンデミック宣言する直前の2020年2月28日、ファウチを含む3名の研究者はCOVID-19の致死率が1%未満かもしれないと発表している。つまり季節性インフルエンザ並みだというのだ。当初、ファウチはCOVID-19騒動を仕掛ける側ではなかった。その後、騒動を煽る側に入ったのだ。 深刻な副作用を引き起こす「COVID-19ワクチン」を開発したファイザー社の関連文書をFDA(食品医薬品局)は75年の間封印しようとしたのだが、アメリカでは一部の専門家は情報の開示を求める訴訟を起こし、迅速な公開が命令された。 長年、医薬品業界で研究開発に携わってきたサーシャ・ラティポワは公開された文書を分析、その結果、「COVID-19ワクチン」はアメリカ国防総省のプロジェクトだと2022年に発表する。つまり騒動は軍事作戦の結果であり、医薬品メーカーは国防総省の契約企業ということ。そうした企業は情報を公開する必要がない。国防総省のプロジェクトだということは軍事作戦だということを意味し、軍事作戦は免責だ。 病原体だとされたSARS-CoV-2(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2)は武漢の研究所で作られたとする話が広まっているが、このウイルスに感染した動物は中国でなく、北アメリカで見つかっている。ジム・ハスラムによると、北アメリカの自然界ではシカ、ノネズミ、コウモリを含む5種類の動物が感染していることが判明、それらの種はモンタナ州にあるロッキー・マウンテン研究所で実験動物として使用されていたことが突き止められた。(Jim Haslam, “COVID-19 Mystery Solved,” Truth Seeking Press, 2024) COVID-19騒動を煽るためにWHOはパンデミックを宣言したが、そのために死亡者数を水増しする必要があった。そこでWHOやCDC(疾病予防管理センター)は2020年4月、死亡した患者の症状がCOVID-19によるものだと考えて矛盾しないなら死因をCOVID-19として処理して良いとする通達を出している。つまり患者を水増しするように指示しているのだ。 アメリカ上院のスコット・ジャンセン議員は2020年4月8日、その通達についてFOXニュースの番組で話している。病院は死人が出ると検査をしないまま死亡診断書にCOVID-19と書き込んでいると話しているのだ。アメリカの場合、COVID-19に感染している患者を治療すると病院が受け取れる金額が多くなり、人工呼吸器をつけるとその額は3倍に膨らんだともいう。医療関係者を買収したと言われても仕方がない。 パンデミック宣言を正当化するため、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)検査も利用された。これは特定の遺伝子型を試験管の中で増幅する分析のための技術だが、増幅できる遺伝子の長さはウイルス全体の数百分の1程度にすぎず、ウイルス自体を見つけることはできない。 増幅の回数(Ct値)を増やしていけば医学的に意味のないほど微量の遺伝子が存在しても陽性になり、偽陽性も増える。偽陽性を排除するためにはCt値を17以下にしなければならず、35を超すと偽陽性の比率は97%になるとも報告されている。ちなみに、2020年3月19日に国立感染症研究所が出した「病原体検出マニュアル」のCt値は40だ。 Ct値をこうした数値に設定したならPCR検査は無意味だが、結果だけは出るので人びとを騙す材料には使える。PCRを開発、1993年にノーベル化学賞を受賞したキャリー・マリスもPCRを診断に使ってはならないと語っていた。 こうした危険な薬物を日本政府は国民に接種させるため、大規模な宣伝が展開された。通常の国は危険性に気づき、2回程度で止め手いるのだが、日本は何度も接種させた。接種推進のためにマスコミが果たした役割は重い。 この薬物によって少なからぬ犠牲者が出ているのは間違いない。その理由を医薬品メーカーの強欲さに求め、ファウチのような人物に責任を押し付ける意見もあるが、その背後にはアメリカの国防総省が存在している。つまりCOVID-19騒動はアメリカ国防総省の軍事作戦であり、医薬品メーカーは「国家安全保障」という壁に守られている。 サーシャ・ラティポワが早い段階から指摘していたように、COVID-19騒動は国防総省のプロジェクトだ。彼女は情報公開法によって入手した文書を分析、この結論に至った。 国防総省のDARPAは2001年9月11日の後にワクチン開発の促進、新ウイルスの発見、医薬品製造の迅速化などの技術を開発するために投資するようになった。そうした中、空軍のダン・ワッテンドルフが迅速なパンデミック対応をDARPAの優先事項のトップに押し上げたという。 ワッテンドルフはDARPAでプログラム・マネージャーを務め、診断学、哺乳類細胞合成生物学、RNAワクチン、モノクローナル抗体の迅速な発見、遺伝子導入による免疫予防、人工赤血球などのプログラムを立ち上げたという。DARPAは2013年にモデルナへ最高2500万ドルを助成金として提供することに決め、16年にワッテンドルフはビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団へ移籍した。 2005年8月に国防総省はウクライナ政府と契約を結び、同国にある生物研究施設をアメリカ政府が管理することになる。そしてアメリカはウクライナで生物化学兵器の研究開発を開始する。 COVID-19騒動が軍事作戦だとしても、国防総省と契約している医薬品会社にとってはビジネスである。リビアの指導者だったムアンマル・アル・カダフィは2009年、国連で次のように演説した。「将来、多くのウイルスが発生するだろう。企業はそれらを開発するために懸命に取り組んでいる。」ウイルスが世界に蔓延すれば、「ワクチン接種で莫大な利益を得ることができる」というわけだ。そして「ワクチンが無料になれば、こうした未知のウイルスの多くは出現も蔓延もしなくなるだろう」とカダフィは予測している。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.07.24

ウクライナ軍参謀総長がアンドリー・フナトフからイーホル・スクィビュクへ、また軍総司令官がオレクサンドル・シルスキーからミハイロ・ドラパティへ交代した。ドラパティは軍事的に無能だが、記者を買収して自分に都合のいい話を流させることには長けていると言われている。 ドラパティは2014年、クーデターで誕生したクーデター軍の第72機械化旅団第2大隊司令官としてネオ・ナチで編成された親衛隊とマリウポリへ突入、警察署を襲撃し、抵抗する非武装の市民を射殺したり装甲車で轢き殺したりしている。その様子は市民によって撮影され、世界に発信された。NATOを後ろ盾とするクーデター派は事実と違う話を流していたが、実際に映像を見れば西側の嘘は明白だ。(クーデター軍に市民が射殺される映像もいくつかあるが、本ブログでは掲載しない) その後、マリウポリは占領されて地下要塞が築かれ、市民は地下に人質として拘束された。解放されたのは2022年2月にロシア軍がウクライナ軍に対する攻撃を開始した後だ。解放された市民の証言は現地に入っていたジャーナリストによって伝えられた。西側からきたジャーナリストも少なくなかったが、事実を伝えたということで後に母国から制裁を受けた人もいる。 国防大臣に続いて参謀総長や総司令官が交代になる理由はNATO/ウクライナ軍がロシア軍に追い詰められているからだろう。ロシア軍はキエフ、スミ、オデッサなどの主要都市で重要施設に対する攻撃を激化させ、オデッサやニコラエフへ物資を輸送する船舶を攻撃し、黒海へのルートを断ち切った。 戦場では兵士の不足が深刻。キエフ政権は強制徴兵担当者を利用して路上で男性を拉致してきたが、家族や通行人から抵抗される様子が撮影され、世界へ伝えられている。ロシア文化圏の東部や南部と違い、反ロシア感情の強い西部のリビウでも強制徴兵に対する怒りは高まり、7月8日には担当者の自動車が市民に襲われ、破壊された。 戦場でも戦闘から離脱しようとするウクライナ兵の存在が以前から指摘されていた。そうした脱走兵を射殺するためのドローンも徘徊しているようだが、逃げ出す将兵はここにきて増加、ロシア側によると、ウクライナ軍から離脱してロシア軍へ合流、NATO/ウクライナ軍と数万人が戦っているという。ウクライナ人の半数以上がロシアに親戚がいると言われ、戦争中でも連絡を取り合っているとされている。そうしたルートを通じてロシア軍と連絡をとっているとも言われている。 その一方、ウクライナ政府はマイクロソフト、グーグル、アマゾン、そしてパランティア・テクノロジーズと深く結びついている。国防大臣を7月16日付で解任されたミハイロ・フェドロフはパランティアのアレックス・カープCEOが目をつたという。 フェドロフが国防大臣に就任した直後、パランティアは同国の国防省などと共同で、ドローンにAI機能を搭載するための「データルーム」を構築する支援をしている。ウクライナで実際の戦闘を通じてデータを集積、AIに分析させて今後の戦争に役立てようということでもある。同社はガザでの破壊と虐殺のプランも作成してきたようだ。 パランティアは2003年、CIAのベンチャー・キャピタル部門であるIn-Q-Telからの資金で創設された会社。イスラエルの情報機関とも関係が深く、パランティアの共同創設者である現在会長のピーター・ティールはドナルド・トランプ大統領を支持、J・D・バンス副大統領のスポンサーとしても知られている。 昨日も書いたように、イスラエルは2001年からジョージアの将兵を訓練するだけでなく、ドローン、暗視装置、対航空機装置、砲弾、ロケット、電子システムなどを提供していた。(Tony Karon, “What Israel Lost in the Georgia War”, TIME, August 21, 2008) そして2008年8月にジョージアは南オセチアを奇襲攻撃。これはロシア軍の反撃でジョージア軍が完敗するが、イスラエルによる訓練と兵器の供給がなければ軍事侵攻することはできなかったはずだ。この攻撃にはアメリカも支援していたが、イスラエルは少なくとも当時からロシアの敵だと言える。 ウクライナに対し、イスラエルは2022年から自国製の兵器、情報、そして傭兵を送り続けてきたと伝えられている。電子機器のほか高解像度の衛星画像、対戦車兵器「MATADOR」もウクライナに提供、ウクライナは実戦で得た対ドローン防衛戦術も知らせていた。 そのほかイスラエルはパトリオット・システムや早期警戒レーダー・システム「レッド・アラート」も提供、イスラエル人のみで構成される部隊がウクライナ軍の情報機関の下で活動している。 ネオ・ナチを中心に編成されたウクライナのアゾフ特殊作戦分遣隊(アゾフ大隊)に所属するメンバーが2022年12月にイスラエルを訪問し、イスラエル軍の予備役らと会談した。これも両者の関係が深いことを示している。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.07.23
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