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ドナルド・トランプ政権で国家情報長官を務めているトゥルシ・ギャバードが6月30日付で辞任すると伝えられている。夫のアブラハム・ウィリアムズが骨肉腫と診断され、闘病を支えるためだとされているが、ロイターによると、ギャバードは大統領官邸に解任されたのだとする証言がある。 ギャバード長官はイランが核兵器を開発している証拠はないと発言、またベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領を拉致、イランとの戦争、キューバへの軍事的な恫喝などに関する大統領と国家安全保障担当補佐官らとの協議に出席していない。トランプ大統領との関係が良好だったとは言えないだろう。 彼女が率いる「長官イニシアチブ・グループ」はジョン・F・ケネディ元大統領の死に関する文書の機密解除、選挙で使われる機器のセキュリティに関する調査、COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)に関する調査などに取り組んできた。ギャバード長官はアメリカの政府機関が30カ国以上で運営している生物に関する研究施設120カ所を調査、その対象になっている研究施設のうち40カ所以上がウクライナに存在しているという。 ギャバード長官の辞任が伝えられる前、CIAが国家情報長官室を家宅捜索したとする話が流れた。長官自身はこれを否定しているが、FOXニュースはCIAがギャバードの部屋からジョン・F・ケネディ元大統領暗殺やマインド・コントロール計画MKウルトラに関するファイルを持ち去ったと伝えている。これらのファイルは公開に先立ち、チェックしていたという。 CIAの対テロセンターで情報分析官を、またアメリカ上院外交委員会で主任調査官も務めた経験のあるジョン・キリアクーは3月24日、ジョン・F・ケネディ大統領暗殺に関するファイルのうち約1万件を未だに公開されていないと指摘、そこにはイスラエルに関する記述が含まれていると述べた。 ケネディ大統領の暗殺にはCIA、FBI、シークレット・サービス、軍などアメリカの政府機関だけでなく、CIAの保護下にあったナチスの幹部、犯罪組織、その背後に存在する私的権力が関係していると言われているが、それだけでなくイスラエルの情報機関も関与している可能性が指摘されている。ケネディ大統領暗殺に関するファイルを全て公開することを義務付ける連邦法が存在するのだが、守られていない。 また、トランプ政権は司法省が保有するジェフリー・エプスタインに関する約600万件の文書や映像、いわゆる「エプスタイン・ファイル」のうち約300万件を公開していない。公開されたファイルは黒塗りだらけ。財務省関係のファイルも公開されていない。しかもエプスタインがライリー・キラリー私立探偵事務所を使い、自宅から6つの保管庫へ運び込んだコンピュータ、映像、写真、文書などを捜査当局は調べていないという。 MKウルトラは1953年2月からCIA長官を務めたアレン・ダレスが承認した人間の行動を制御するためのプログラム。1950年にCIAが着手した「ブルーバード」が前身で、翌年に陸、海、空3軍と共同研究へ移行、さらにカナダやイギリスも加わり、「アーティチョーク」と呼ばれるようになる。 1952年には「MKデルタ」と「MKナオミ」がスタート。MKナオミの拠点となったのは生物化学兵器の研究と開発で知られっているアメリカ陸軍のフォート・デトリック。そこではLSDを使った心理操作、暗殺用の毒、細菌戦用の菌などが研究されていた。 MKウルトラはフランク・チャーチ上院議員が委員長を務める特別委員会が1975年に取り上げ、問題になった。その当時のCIA長官はウィリアム・コルビーだったが、元長官のリチャード・ヘルムズが関連文書を廃棄させたとされていた。廃棄は違法だったのだが、ともかく存在しないので公表できないとされてきたのだが、どうやら廃棄されていない重要なファイルがあったようだ。このプログラムは個人を操るだけでなく集団を操る技術も研究していたと見られている。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.05.24

日本が保有するアメリカ財務省証券は2026年2月の1兆2393億ドルから3月には1兆1916億へ減少した。減少額は477億ドル。この売却がアメリカとイスラエルのイランに対する奇襲攻撃と関係していると推測するのは必然だろう。 日本がアメリカの属国だということは世界的に知られていることで、日本において深刻な事態が生じていると考えるのが自然。その行動がアメリカの債務問題に影響を及ぼし、日本へ跳ね返ってくることも避けられない。 アメリカとイスラエルがイランを奇襲攻撃した2月28日は土曜日である。株式、債券、原油などの取り引きが再開されるのは3月2日の月曜日だ。この攻撃でイランの最高指導者だったアヤトラ・アリ・ハメネイ師、参謀総長を務めていたアブドルラヒム・ムサビ、そしてアジズ・ナシルザデ国防相、イラン革命防衛隊(IRGC)のモハメド・パクプール司令官、そして最高安全保障委員会(SNSC)事務局長でハメネイ師の顧問を務めていたアリ・シャムハニを含むイランの要人が殺害された。 オマーンのバドル・ビン・ハマド・アル・ブサイディ外相によると、アメリカとイランはイランの核開発計画について9カ月の間に2度協議、最後の協議から数時間後にアメリカとイスラエルはイランを攻撃した。騙し討ちだ。これでイランの現体制は崩壊、取引所が再開されることには決着がついているとドナルド・トランプ大統領は考えていたのだろうが、そうした展開にはならなかった。それでもトランプは週末に攻撃、平日には平和を語るというパターンを繰り返した。 この奇襲攻撃は失敗、イランの逆襲でアメリカとイスラエルは窮地に陥ったのだが、こうした事態が生じることは指摘されていた。イランに勝利するだけの戦力をアメリカやイスラエルが持っていないことは明白だったのだ。それでもトランプとイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相はイランを攻撃したのだ。 シオニストの一派であり、イギリスとの関係が深いネオコンは1980年代からイランを征服する計画を立てていた。イラクのサダム・フセイン政権を倒して親イスラエル体制を築いてイランとシリアを分断、両国を乗っ取ろうとしたわけだ。 シオニズムはエリザベス1世の時代(1593年から1603年)のイングランドで生まれた「ブリティッシュ・イスラエル主義」が始まりだと見られている。 15世紀から17世紀にかけての「大航海」時代、スペインやポルトガルはアメリカ大陸を侵略、1521年にエルナン・コルテスは武力でアステカ王国(現在のメキシコ周辺)を滅ぼして莫大な金銀を奪い、インカ帝国(現在のペルー周辺)ではフランシスコ・ピサロが金、銀、エメラルドなどを略奪しながら侵略を続けて1533年には帝国を滅ぼした。 彼らは莫大な量の貴金属を盗んだだけでなく、ヨーロッパの侵略者は先住民を酷使して鉱山開発も行っている。その象徴的な存在がボリビアのポトシ銀山。1545年に発見されたこの銀山だけで18世紀までに15万トンが運び出されたとされ、スペインが3世紀の間に南アメリカ全体で産出した銀の量は世界全体の80%に達したと言われている。 その略奪した財宝を運ぶ船を海賊に襲わせて富を築いたのがイギリスにほかならない。エリザベス1世のために略奪していた海賊は財宝だけでなく、人もさらっている。人身売買だ。名の知られた海賊にはジョン・ホーキンス、フランシス・ドレイク、ウォルター・ローリーなどがいる。 ホーキンスは西アフリカでポルトガル船を襲って金や象牙などを盗む一方、人身売買のために拘束されていた黒人を拉致、その商品や黒人を西インド諸島で売り、金、真珠、エメラルドなどを手に入れている。こうした海賊行為をエリザベス1世は評価、ナイトの爵位をホーキンスに与えた。 ドレイクは中央アメリカからスペインへ向かう交易船を襲撃して財宝を奪い、イギリスへ戻るが、ホーキンスと同じように英雄として扱われた。女王はそのドレイクをアイルランドへ派遣して占領を助けさせているが、その際、ラスラン島で住民を虐殺したことが知られている。その後も海賊行為を働いたドレイクもナイトになっている。 ローリーはアイルランドの住民が侵略者に対して立ち上がったデスモンドの反乱を鎮圧するため、アイルランドにも派遣された。ローリーも後にナイトの爵位が与えられている。(Nu’man Abo Al-Wahid, “Debunking the Myth of America’s Poodle,” Zero Books, 2020) エリザベス1世の時代、イングランドの支配層の間で、アングロ-サクソン-ケルトは「イスラエルの失われた十支族」であり、自分たちこそがダビデ王の末裔だとする信じ、人類が死滅する最後の数日間にすべてを包括する大英帝国が世界を支配すると予言されているという妄想が広まっていた。 イギリスや西側世界にシオニズムを広めた人物としてブリティッシュ外国聖書協会の第3代会長を務めた反カトリック派のアントニー・アシュリー-クーパー(シャフツバリー伯爵)が知られている。彼が生きた17世紀にイギリス王として君臨したジェームズ1世も自分を「イスラエルの王」だと信じていたという。 その息子であるチャールズ1世はピューリタン革命で処刑されたが、その革命で中心的な役割を果たしたオリヴァー・クロムウェルをはじめとするピューリタンも「イスラエルの失われた十支族」話を信じていたとされている。クルムウェルはユダヤ人をイングランドへ入れることを許可したが、稼ぎ方を海賊行為から商取引へ切り替えるためだった灯されている。ユダヤ人は商取引や金貸しに長けていた。 その時代、イングランドはアイルランドを軍事侵略、先住民を虐殺してイングランドやスコットランドから入植者をアイルランドのアルスター地方へ移住させた。 ピューリタン革命の時代にもクロムウェルたちはアイルランドで先住民を虐殺、侵攻前の1641年には147万人だったアイルランドの人口は侵攻後の52年には62万人へ減少している。50万人以上が殺され、残りは「年季奉公」や「召使い」、事実上の奴隷としてアメリカなどに売られたという。後にアメリカ、オーストラリア、そしてパレスチナで同じことが行なわれた。イスラエルの「大イスラエル構想」とも関係しているだろう。 19世紀のイギリス政界では反ロシアで有名なヘンリー・ジョン・テンプル(別名パーマストン子爵)が大きな影響力を持っていた。彼は戦時大臣、外務大臣、内務大臣を歴任した後、1855年2月から58年2月まで、そして59年6月から65年10月まで首相を務めている。ビクトリア女王にアヘン戦争を指示したのもパーマストン卿だ。 このように始まったシオニズムは19世紀に帝国主義と一体化し、パレスチナ侵略が具体化してくる。イギリス政府は1838年、エルサレムに領事館を建設し、その翌年にはスコットランド教会がパレスチナにおけるユダヤ教徒の状況を調査、イギリスの首相を務めていたベンジャミン・ディズレーリは1875年にスエズ運河運河を買収。そして1917年11月、アーサー・バルフォアがウォルター・ロスチャイルドへ書簡を出してイスラエル建国への道を切り開く。いわゆる「バルフォア宣言」だ。 ディズレーリが書いた小説『コニングスビー』の中に、次のようなことが書いてある。「(ジョン・)ハムデン(オリバー・クロムウェルの従兄弟)による最初の運動から1688年の最後の最も成功した運動(名誉革命)に至るまで、イングランドにおけるホイッグ党指導者たちの最大の目的はベネツィア共和国をモデルとした高貴な貴族制の共和国をイングランドに樹立することであり、当時のあらゆる思索的な政治家がそれを研究し称賛することだった。」 今年2月28日にアメリカとイスラエルが始めたイランに対する無謀な攻撃にはこうした背景がある。トランプやネタニヤフはシオニズムを生み出した権力集団の駒にすぎず、アヘン戦争や明治維新を仕掛けたのもその集団である。その集団は彼らの長期戦略に基づいてい動いている。***********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.05.23
アメリカのトゥルシ・ギャバード国家情報長官は同国の税金で運営されてきた国外、30カ国以上にある生物研究所120カ所を調査していると語った。国家情報長官室(ODNI)当局者によると、調査対象となっている生物研究所のうち40カ所以上がウクライナに存在しているという。ただ、ジェフリー・エプスタインの犯罪やジョン・F・ケネディ大統領暗殺に関するファイルは全面公開の約束が守られなかった。 2014年2月にバラク・オバマ政権がキエフでクーデターを実行する前からロシアはウクライナで生物兵器の研究開発が進められていると主張していたが、22年2月からウクライナに対する攻撃を始めたロシア軍はドンバス周辺に終結していたキエフ政権の部隊や軍事基地のほか、研究開発も攻撃、機密資料の回収に成功している。 回収された資料はイゴール・キリロフ中将を中心とするロシア軍の部門が分析、ウクライナにはアメリカ国防総省の内局であるDTRA(国防脅威削減局)にコントロールされた研究施設が30カ所あると発表、生物兵器の研究開発はDTRAから資金の提供を受け、CBEP(共同生物学的関与プログラム)の下で進められたともしている。 ロシア国防省によると、ロズモント・セネカとジョージ・ソロスのオープン・ソサエティがウクライナにある生物化学兵器の研究開発施設へ資金を提供していることを示すものも含まれ、ロシアやウクライナを含む地域を移動する鳥を利用して病原体を広める研究もしていたという。 そのほか、国務省、USAID、USAMRIID(米国陸軍伝染病医学研究所)、WRAIR(ウォルター・リード陸軍研究所)、そしてアメリカの民主党が仕事を請け負い、さらに国防総省とメタバイオタ、ブラック・アンド・ビーチ、そしてCH2Mヒルが仕事をしている。 キリロフが記者会見でウクライナにおける生物兵器の問題について発表した翌日、2022年3月8日にアメリカの上院外交委員会で国務次官を務めていたビクトリア・ヌランドはウクライナの施設で研究されている生物化学兵器について語っている。マルコ・ルビオ上院議員の質問を受け、兵器クラスの危険な病原体がロシア軍に押収されるかもしれないと語ったのだ。つまり、ウクライナの研究施設で生物化学兵器の研究開発が行われていたことを否定しなかった。 2023年4月にはロシア議会が報告書を発表している。その中で、アメリカの研究者が人だけでなく動物や農作物にも感染でき、大規模で取り返しのつかない経済的損害を与える「万能生物兵器」を遺伝子組換え技術を利用して開発していたと指摘。そうした兵器を秘密裏に使い、「核の冬」に匹敵する結果をもたらすつもりだという。この特性は「レプリコン・ワクチン(自己増幅型COVIDワクチン)」と似ている。 長年医薬品業界で研究開発に携わってきたサーシャ・ラティポワはその前にCOVID-19と国防総省の関係を指摘していた。アメリカでは裁判所の命令で医薬品メーカーやFDA(食品医薬品局)が隠蔽しようとした文書が公開されたが、それを彼女は分析、バラク・オバマ大統領の時代から国防総省が「COVID-19ワクチン」の接種計画を始めたという結論に達していた。 生物化学兵器の研究開発には日本の医学会も重要な役割を果たしてきた。日本の生物化学兵器の開発は軍医学校、東京帝国大学医学部、京都帝国大学医学部が中心になり、1930年代から実施された。その一環として生体実験を行うため、中国で加茂部隊が編成された。その責任者が京都帝国大学医学部出身の石井四郎中将であり、その後ろ盾は小泉親彦軍医総監だったとされている。 その後、加茂部隊は「東郷部隊」へと名前を替え、1941年には「第七三一部隊」と呼ばれるようになり、捕虜として拘束していた中国人、モンゴル人、ロシア人、朝鮮人を使って生体実験する。こうした人びとを日本軍は「マルタ」と呼んでいた。この部隊の隊長を1936年から42年、そして45年3月から敗戦まで務めた人物が石井四郎。途中、1942年から45年2月までを東京帝国大学医学部出身の北野政次少将が務めている。 ソ連の参戦が迫っていた1945年8月、関東軍司令官の山田乙三大将の命令で第七三一部隊に関連した建物は破壊され、貴重な資料や菌株は運び出された。監獄に残っていた捕虜を皆殺しになる。捕虜の多くは食事に混ぜた青酸カリで毒殺されたが、食事をとろうとしない者は射殺された。死体は本館の中庭で焼かれ、穴の中に埋められた。日本軍は監獄などを爆破した上で逃走している。(常石敬一著『消えた細菌戦部隊』海鳴社、1981年) 日本の生物化学兵器の研究開発は1945年に終了したことになっているが、日本が降伏した後、石井四郎は1946年1月から2月にかけて自宅でCIC(米陸軍対諜報部隊)の尋問を受けているが、厳しいものではなかった。石井など日本側の関係者はGHQ/SCAPの情報部門G2の部長を務めていたチャールズ・ウィロビー少将が保護している。 1947年になると、アメリカ陸軍の化学戦部隊生物戦研究所のあったメリーランド州のキャンプ・デトリック(1955年からフォート・デトリックへ格上げ)からノーバート・フェルという研究者が来日、第七三一部隊の幹部を尋問している。その後、日本側の研究資料はアメリカへ引き渡され、研究員も交流している。(Robert Harris & Jeremy Paxman, “A Higher Form Of Killing,” Arrow Books, 2010) こうした尋問の直前、1946年に厚木基地からほど近い場所にアメリカ軍の極東医療分隊に所属する「406医療一般研究所」が設置され、そこは病原体の媒介昆虫に関する研究用の「倉庫」と見なされていた。後に同部隊は東京都千代田区丸の内の三菱ビル内に本部を移し、朝鮮戦争の際には戦闘地域へ要員を派遣することになる。(Stephen Endicott & Edward Hagerman, "The United States And Biological Warfare", Indiana University Press, 1998) 朝鮮戦争が始まって2年後の1952年2月、朝鮮の外務大臣はアメリカ軍が細菌兵器を使用していると国連に対して強硬に抗議している。この戦争で捕虜になった約30名のアメリカ人パイロットが生物兵器を投下したと告白しているのだが、アメリカ政府はプロパガンダだとして全面的に否定、その主張を正当化するために「洗脳」という用語が使われている。パイロットたちは帰国後、国家反逆罪に問うと脅され、告白を取り消した。(David Talbot, “The Devil’s Chessboard,” HarperCollins, 2015) 1950年にCIAは人間の行動を制御するためのプログラム「ブルーバード」に着手、翌年には陸、海、空3軍との共同研究へ移行、さらにカナダやイギリスも加わり、暗号名は「アーティチョーク」に変更された。 2025年に機密解除されたCIAの文書に含まれている「アーティチョーク特別研究」と題された7ページの文書では自白剤のような即効性のある効果と、長期的な影響の両方をもたらすように設計された薬物について論じられ、食品、水、アルコール、タバコなどを介しての投与、あるいはワクチン接種や注射など医療行為に偽装することも提案していた。アーティチョークにおける人体実験は囚人、軍人、精神病患者など弱い立場にある人びとを利用することが多かったという。 1952年には「MKウルトラ」と「MKナオミ」が始められ、53年2月にアレン・ダレスがCIA長官に就任した後、「MKウルトラ」が始まり、LSDなどの幻覚剤を用いた心理操作、暗殺用の毒、細菌戦用の菌などが研究されていた。なお、「MK」とはCIAのTSS(技術サービス・スタッフ)が担当していることを示している。***********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.05.22

パランティア・テクノロジーズのアレックス・カープCEOと会談したとウクライナのウォロディミル・ゼレンスキーは5月12日に語った。この会社は2003年にカープのほか現会長のピーター・ティールらがCIAのベンチャー・キャピタル部門であるIn-Q-Telからの資金で創設されたこともあり、CIAのフロント企業とも言われている。 ティールはドナルド・トランプ大統領を支持、J・D・バンス副大統領のスポンサーでもあるが、パランティアはイスラエルを積極的に支援、イスラエル軍によるガザでの住民虐殺に絡んで軍事監視や航法システムを開発したとも言われている。アムネスティ・インターナショナルによると、パランティアはアメリカにおける人権侵害、イスラエルの軍や情報機関への人工知能製品やサービスの継続的な供給において、国際法や国際基準を露骨に無視してきた。 ピーター・ティールは決済サービス企業のPayPalを創業した人物でもあり、彼が重役を務めているカービンは緊急通報システムで知られる会社。カービンの重役は大半がイスラエルの電子情報機関である8200部隊の元将校。カービンの出資者にはイスラエル軍の情報機関アマンの局長を経て参謀総長、そして首相に就任したエフード・バラクが含まれ、バラクは同社の会長に就任している。ジェフリー・エプスタインはカービンの主要な資金源のひとりだった。 ティールとエプスタインは2014年から16年にかけて会合を6回ほど予定していたことを示す文書が存在する。ティールの友人であるリード・ホフマンが彼をエプスタインに紹介したという。アメリカ下院の文書によると、エプスタインは2018年に彼を自身のプライベート・アイランドに招待していた。ただ、ティール側は、彼がその島を訪れたことはないと述べている。 パランティアはCIAだけでなくイスラエルの情報機関とも関係が深いわけだが、1970年代にイスラエル軍の情報機関ERD(対外関係局)に所属、87年から89年にかけてイツァク・シャミール首相の特別情報顧問を務めたアリ・ベンメナシェによると、エプスタインはギレーヌ・マクスウェルや彼女の父親でミラー・グループを率いていたロバート・マクスウェルと同じように、イスラエル軍の情報機関、つまりアマンのために働いていた。ロバートは1960年代から、エプスタインとギレーヌは1980年代の後半からその情報機関に所属してたとベンメナシェは語っている。(Zev Shalev, “Blackmailing America,” Narativ, Septemner 26, 2019) エプスタインがロスチャイルド家と親しかったことも有名。エプスタインと親密な関係にあったギレーヌ・マクスウェルによると、イギリス王室のアンドリュー王子(ヨーク公爵)をエプスタインに紹介したのはエべリン・ド・ロスチャイルドの妻、リン・フォスター・ド・ロスチャイルド。リン・フォスターはエプスタインの友人で、クリントン夫妻とも親しい。ヒラリーの夫であるビル・クリントン元米大統領は宣誓供述で、ロスチャイルド家との親密な関係ゆえに、エプスタインよりギレーン・マクスウェルと親密であったとしている。 また、エドモン・ド・ロスチャイルド・グループのCEOを務めるアリアンヌ・ド・ロスチャイルドは「2013年から2019年の間に、銀行での通常業務の一環としてエプスタインと面会していた」という。彼女はエプスタインがニューヨークに保有していた自宅を訪れたこともあるようだ。 エプスタインはイスラエルのバラク元首相と親しく、その関係で同国の軍事情報局特殊作戦部に所属する秘密技術部隊の81部隊の人脈と繋がっていた。またエプスタインはバラクとロスチャイルド家との間のメッセンジャーを務めていたともされている。 バラクによると、彼をエプスタインに引き合わせたのは、イスラエル労働党の政治家で首相にもなったシモン・ペレス。その兄弟であるギデオン・ペルスキーが創設したスイス・イスラエル銀行から融資を受けていたブルース・ラッパポートはウイリアム・ケイシーの友人だ。(Whitney Webb, “One Nation Under Blackmail Vol. 1,” Trine Day, 2022) 8200部隊からスピンアウトした誕生した企業はアメリカの通信システムに「裏口」を組み込み、インターネットやコンピュータの分野で大きな影響力を持つ企業、例えばAlphabet、マイクロソフト、メタなどと結びついている。 エプスタインの人脈と似たようなことが別のグループでも行われていた。イスラエルのクネセト(国会)では昨年6月3日、数人の女性が未成年時代に宗教儀式の一環として受けた性的虐待について証言している。イスラエル軍がイランを攻撃する10日前の出来事だ。 証言した被害者のひとりであるヤエル・アリエルによると、彼女は5歳から20歳まで儀式的な虐待を受け、ほかの子どもたちに危害を加えることを強要されたという。警察に被害届を出したものの、数カ月で却下され、しかも彼女が自分の体験を明かにすると脅迫を受けたという。 別の被害者、ヤエル・シトリットによると、人身売買は全国で行われていた。薬物も使用され、レイプを含むサディスティックで残酷なことも行われ、その行為は撮影されていたとされている。被害者がそうしたことを証言しても荒唐無稽の話だと思われ、信じてもらえなかったとしている。 被害者たちによると、聖書の物語を模倣した虐待を受けたともいう。例えば、加害者がイサクの縛りを真似て被害者の女性を縛り付け、間に合わせの割礼の儀式を行うという儀式に強制的に参加させられたと複数の女性が証言している。 パランティアはCIAとイスラエルの情報機関と関係が深いが、イスラエルの情報機関のプロジェクトでもあるエプスタイン人脈ともこの会社は関係している。そのパランティアはキエフ政権と共同で「ブレイブ1・データルーム」をスタートさせた。同社が開発したAI(人工知能)を利用、2022年にロシアがウクライナに対する攻撃を始めてから集めている戦闘データを分析し、作戦計画や情報活動に役立てているという。ウクライナだけでなくNATOがその結果を役立てているのだろう。 AIを活用したパランティアの指揮統制システム「メイブン・スマート・システム」をアメリカ軍は対イラン攻撃で使い、2月28日に奇襲攻撃を開始してから24時間で約1000カ所を破壊、その攻撃でイランの最高指導者だったアヤトラ・アリ・ハメネイ師のほか、アブドルラヒム・ムサビ参謀総長、アジズ・ナシルザデ国防相、イラン革命防衛隊(IRGC)のモハメド・パクプール司令官、そして最高安全保障委員会(SNSC)事務局長でハメネイ師の顧問を務めていたアリ・シャムハニを含むイランの要人を殺害している。 オマーンのバドル・ビン・ハマド・アル・ブサイディ外相によると、攻撃前9カ月の間に2度、アメリカはイランとイランの核開発計画について協議し、合意まであと一歩のところまで迫っているとイラン側に信じさせ、幹部が集まる状況を作ることに成功した。最も実質的だったとされる協議から数時間後、アメリカとイスラエルはイランを攻撃、幹部の大半を殺すことに成功したわけだ。この騙し討ちをパランティアのAIが計画したのかもしれない。 そのパランティアでCEOを務めるカープがウクライナでゼレンスキーと会ったが、すでにウクライナ軍は壊滅状態。NATO諸国の軍隊や傭兵を使って戦ってきたが、ウクライナとロシアの戦いという演出は限界が来た。ヨーロッパ諸国の首脳はロシアとの戦争を公然と語り始めた。 ここにきてNATOはこれまで攻撃していなかったロシアの都市を攻撃するため、ドローンをエストニア、ラトビア、リトアニアを通過させている。これらの国の領空をウクライナのドローンが飛行していることをはそれらに国も認めている。そのドローンをロシア軍はECM(電子対抗手段)を利用してバルト三国の上空で墜落させたと見られている。その作戦を立てているのがパランティアのAIということなのだろう。 バルト三国からロシアを攻撃しようとしているのはNATOの意思だとしか考えられない。本ブログでは何度かゼレンスキーがイギリスの情報機関MI6の操り人形だと指摘してきたが、現在展開中のロシアへの攻撃もMI6が関係している可能性は高い。イギリス政府ではない。MI6はイギリスの金融界、いわゆるシティが作った機関だ。ウォール街はそのシティからスピンオフして誕生した。CIAはそのウォール街によって作られた。この辺の事情は2005年に三一書房から出版された拙著『テロ帝国アメリカは21世紀に耐えられない』にも書かれている。 プーチン大統領は5月19日に北京へ到着、王毅外交部長(外務大臣)の出迎えを受け、習近平国家主席と会談した。その直前、13日からドナルド・トランプ米大統領が北京を訪問していたが、何の成果もないまま15日に帰国している。プーチンと習が何を話したのかは明確でないが、ウクライナでロシア軍が新たなステージへ進むことを説明したのではないかと推測する人もいる。***********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.05.21
イギリスをはじめとするNATO軍とウクライナ軍の将兵8名で構成される7破壊工作部隊と偵察グループがクラスノアルメイスク、スロビャンスク、スムイ、ハルキウへ侵入したが、ロシア軍の特殊部隊による待ち伏せ攻撃に遭い、壊滅したという。ウラジミル・プーチン露大統領は基本的にリスクを取らないという方針を堅持、軍の前進スピードは速くないものの、戦況に変化はない。 ウクライナの東部や南部はソ連時代にロシアから割譲された地域で、ロシア文化圏。住民の多くはロシア語を話し、ロシア軍にとって「ホーム」だ。しかもロシア軍の兵站線は短い。進撃のスピードを上げて兵站線が伸びることを嫌っているのかもしれないが、ロシア国内で大統領に対する不満が高まっているとも言われている。 1945年5月8日にドイツ軍はベルリンで降伏文書に署名したことからロシアなどでは5月9日に戦勝記念のパレードが催される。プーチン大統領は5月8日午前0時から5月10日までロシアが停戦すると宣言、ロシア外務省のマリア・ザハロワ報道官は各国政府や国際機関に対し、ウクライナが戦勝記念日を妨害しようとした場合、ロシアがキエフの「意思決定機関」に対して報復攻撃を行う可能性があり、キエフから早期に避難するよう要請した。 ウォロディミル・ゼレンスキーはモスクワで行われる戦勝記念パレードを中止させると脅迫、ウクライナ軍は5月8日にロシア領土への攻撃を激化させたのだが、ロシアの防空部隊は少なくとも669機のドローンを24時間以内に撃墜。戦勝記念日には大きな混乱はなかった。 ウクライナでは資金的に余裕があれば早い段階に国外へ脱出、逃げさせないで街中を歩いている男性は徴兵担当者によって拉致されている。拉致される人物の家族や住民と徴兵担当者が乱闘になるケースが少なくない。拉致された人びとは軍事訓練をほとんど受けないまま最前線へ送り出され、数週間で死亡すると言われている。 イギリスのベン・ウォレス元国防大臣は2023年10月1日、テレグラム紙に寄稿した論稿の中でウクライナ兵の平均年齢はすでに40歳を超えていると指摘していた。 2023年の段階でウクライナ軍は壊滅状態で、その後、NATO諸国は兵器のオペレーター、特殊部隊、情報機関員などだけでなく、通常の兵士も送り込んでいるとされている。NATO諸国だけでなくラテン・アメリカからも少なからぬ傭兵がウクライナ入りしているが、その一部は犯罪組織のメンバー。生き残った犯罪組織のメンバーは兵器を携えて帰国し、警官隊などと戦っている。一部はヨーロッパへ移動していると言われている。 すでにウクライナで少なからぬNATO軍の将兵が死傷しているが、ウクライナの外をロシア軍は攻撃していない。NATO軍は「安全な場所」からロシア領内を攻撃、NATO加盟国の幹部はロシア軍と戦争を準備すると公言している。 NATO加盟国の数が多くても、ヨーロッパ諸国の軍隊はロシア軍の敵ではなく、アメリカ軍もすでにウクライナにおけるロシアとの戦争やイランに対する攻撃で兵器が枯渇、しかも生産力がない。それでもアメリカはロシアに匹敵する核兵器を保有、ロシア軍がNATO加盟国を攻撃すればアメリカをロシアとの戦争へ巻き込めると考え、アメリカを巻き込めればロシア軍がNATO加盟国と全面戦争に踏み切ることはないと高を括っているのだろう。プーチン大統領がリスクを取らないという姿勢を維持するならばNATO側は増長し続け、全面核戦争が近づく。**************************************************楽天ブログへアクセスしにくい場合は下記サイトへ【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.05.20
イギリスのガーディアン紙によると、ロサンゼルス、ブリュッセル、パリでNATOが映画やテレビ業界の脚本家、監督、プロデューサーらと3度会合を開き、来月にはロンドンで行われる予定だという。「防衛力の低下」というイメージを広め、戦争を肯定する気持ちを強める人びとに植え付けようとしているわけだが、会合参加者の中にもNATOのプロパガンダに加担させられていると不安を感じる人もいるという。 アメリカでは軍や情報機関がメディアや映画界にネットワークを張り巡らせ、検閲していることは指摘されてきたが、影響力をさらに強化するだけでなく、対象をNATO諸国を超えて広めようとしているのかもしれない。 すでにウクライナ軍は壊滅状態で、NATO諸国は兵器や軍事情報を供給するだけでなく、自国の情報機関員や軍人をウクライナへ派遣し、ウクライナ人を代理人として戦わせるだけでなく、NATO軍が直接ロシア軍と戦い始めている。 そうした傾向が強まるにつれ、ロシア軍はNATOの将兵を攻撃するようになってきた。ロシアからの情報ではイギリスが特に積極的なようなのだが、アメリカの軍事や情報活動の専門家はアメリカも将兵を送り込んでいると推測されている。 直接的な参戦を隠しきれなくなったと判断したのか、NATO側はロシア軍と直接戦うと公言するようになってきた。NATO軍が姿を見せて戦い始めればロシア軍は怖気付くと思っているのかもしれないが、すでにロシアではウラジミル・プーチン政権の慎重な姿勢に対する批判が強まりつつあるようだ。 アメリカとイスラエルが2月28日にイランを奇襲攻撃した際にイランは激しく報復、アメリカ軍の基地があるペルシャ湾岸諸国に対する攻撃も実施した。アメリカだけでなくイスラエルとも積極的に連携していたアラブ首長国連邦に対する攻撃は特に激しく、その効果はあった。こうした事例がロシアに対する刺激になるかもしれない。 2月28日の攻撃でイランの最高指導者であるアヤトラ・アリ・ハメネイ師、参謀総長のアブドルラヒム・ムサビ、アジズ・ナシルザデ国防相、イラン革命防衛隊(IRGC)のモハメド・パクプール司令官、そして最高安全保障委員会(SNSC)事務局長でハメネイ師の顧問を務めていたアリ・シャムハニを含むイランの要人が殺害されている。 オマーンのバドル・ビン・ハマド・アル・ブサイディ外相によると、攻撃前9カ月の間に2度、アメリカとイランはイランの核開発計画について協議し、合意まであと一歩のところまで迫っていた。最も実質的だったとされる協議から数時間後、アメリカとイスラエルはイランを攻撃したという。アメリカとイスラエルはイランを騙し討ちしたわけだ。 この騙し討ちから始まった対イラン攻撃でアメリカ軍はAIを活用したと言われている。アメリカとイスラエルの情報機関と関係の深いパランティアのミッション統制システム「メイブン・スマート・システム」を使い、攻撃開始から24時間に約1000カ所を攻撃、10日以内に攻撃目標は5000に達したとされている。 パランティアのシステムはパターンを分析し、次に何が起こるかを推測、戦争の全サイクルを網羅する統合システムを段階的に構築しているとも言われている。騙し討ちもパランティアのAIが作成した作戦なのだろう。そのAIが作り上げた軍事作戦でアメリカは簡単に勝てるとドナルド・トランプ大統領も信じたのだろうが、目論見は外れた。目論見が外れたことを隠すため、彼らは新聞、雑誌、放送、YouTube、そして映画をフル稼働させようとしている。事実を隠すためにメディアが流す「御伽話」をハリウッド的だと感じる人もいる。ハリウッドの脚本家がそうした話を書いているのかもしれない。 そうした御伽話を売り込むために広告会社も活動してきた。2003年3月にジョージ・W・ブッシュ政権がイラクを先制攻撃する際、その口実として「大量破壊兵器」が宣伝された。その宣伝マンのひとり、コリン・パウエル国務長官は同年2月に国連で、イラクのサダム・フセイン政権が間違いなく生物兵器を開発、生産能力もあると主張しているが、これは嘘だった。 そのパウエルが次官に据えていたシャルロット・ビアーズは「マディソン街の女王」と呼ばれる人物で、ふたつの大手広告会社、オグルビー・アンド・メーザーとJ・ウォルター・トンプソンの会長兼CEO、つまりトップだ。 彼女の手法は「単純化」と「浅薄化」。詳しく丁寧には説明しない。イラクへの先制攻撃をアメリカ政府は「イラクの自由作戦」と命名したが、これもビアーズのアドバイスに従っている。そしてブッシュ大統領は「この戦争は平和のため」と発言した。(Alexander Cockburn & Jeffrey St. Clair, “End Times”, CounterPunch, 2007)***********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.05.19

ドナルド・トランプ米大統領は5月13日から15日にかけて中国を訪問したが、成果なく終わった。トランプを乗せたエア・フォース・ワンが北京首都国際空港に到着した際、習近平国家主席は出迎えていないことを見ても中国がアメリカを厚遇してないことは明らかであり、首脳会談の後に最終コミュニケが発表されなかったことも注目された。 会談後、記者から習主席と台湾について話し合ったかと質問されたトランプ大統領は回答を拒否したのに対し、習主席は台湾問題を米中関係の中で最も重要だと表現、「適切に処理されれば、2国間の関係は全体的に安定するだろうが、そうでなければ、両国は衝突し、さらには紛争に陥り、関係全体が大きな危機に瀕する」と主張、「台湾独立と台湾海峡の平和は水と火のように相容れない」としている。台湾では頼清徳総統が所属する民主進歩党が「独立」を、また国民党を率いている鄭麗文主席は両岸の和解と団結を主張している。 台湾がひとつの集合体と考えられるようになったのは日本が支配するようになってからだと言われている。 イギリスの私的権力から支援を受けた長州や薩摩を中心とする勢力が徳川体制を倒し、新体制を樹立させ、1871年7月には廃藩置県を実施、その翌年に琉球国王を琉球藩王とし、琉球国を消滅させた。その上で沖縄県を作り上げている。廃藩置県の段階で新体制は琉球を日本領と認識していなかったのだが、廃藩置県後、琉球を日本領だということにしなければならない事情が生じたと考えるのが自然だ。これが琉球併合である。 廃藩置県の直後、1871年10月に宮古島の漁民が台湾へ漂着、その一部が殺されたとして日本政府は清に抗議、被害者に対する賠償や謝罪を要求した。そして明治政府は漁民を「日本人」だと強弁、軍隊を台湾へ送り込んでわけだ。 この台湾への派兵にはアメリカの外交官が関係している。1872年秋に来日したチャールズ・ルジャンドルである。厦門の領事だった人物で、台湾から帰国する途中に日本へ立ち寄り、そこでアメリカ公使だったチャールズ・デロングと会う。その際、デロングはルジャンドルに対し、日本政府に対して台湾を侵略するようにけしかけていると説明している。ルジャンドルは1872年12月にアメリカ領事を辞任、外務卿の副島種臣に台湾への派兵を勧め、1874年に日本は台湾へ派兵した。彼は1875年まで外務省の顧問を務めている。(James Bradley, “The Imperial Cruise,” Little, Brown and Company, 2009) その後、江華島への軍艦派遣、日清戦争、日露戦争、韓国併合を経て中国への軍事侵略へと続く。こうした日本の東アジア侵略の背後ではアメリカだけでなくイギリスの外交官や麻薬業者が暗躍していた。 長い歴史を持ち、経済活動が盛んだった中国(清)を侵略するため、イギリスは1840年から42年にかけてアヘン戦争を、56年から60年にかけて第2次アヘン戦争を仕掛け、勝利したのだが、それは海上での話。イギリスには陸軍らしい陸軍はなく、中国の内陸部を支配することができなかった。自分たちの代理として戦う戦闘部隊が必要だったのだが、目をつけられたのが日本だ。 日本軍は琉球、台湾、朝鮮半島へと侵攻したが目標は中国。現在でも中国を侵略するためには沖縄から台湾にかけての島に軍を配備、韓国を橋頭堡にする必要がある。アメリカが沖縄にミサイル発射基地を建設、台湾を支配下に置いて軍備を増強、朝鮮半島に橋頭堡を築こうとしてきたのはそうした目的があるからで、中国が台湾の独立を認めない理由もそこにある。 1991年12月にソ連が消滅した後、ネオコンは1992年2月、アメリカ国防総省のDPG(国防計画指針)草案として世界征服プロジェクト、いわゆる「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」を作成した。最優先事項は新たなライバルの出現を防ぐことだが、ドイツと日本をアメリカ主導の集団安全保障体制に統合し、民主的な「平和地帯」を創設する、つまりドイツと日本をアメリカの戦争マシーンに組み込み、アメリカの支配地域を広げるということも謳われている。実際、1995年から日本はアメリカの戦争マシーンに組み込まれた。 それに対し、1993年8月に成立した細川護煕政権は国連中心主義を打ち出して抵抗、94年4月に倒された。同年6月から自民党は社会党やさきがけを巻き込んで連立政権を樹立、抵抗したが、押し切られてしまった。 1995年2月になるとジョセイフ・ナイが「東アジア戦略報告(ナイ・レポート)」を発表してアメリカの政策に従うように命令したが、このタイミングで日本を震撼させる出来事が相次ぐ。 1994年6月に長野県松本市で神経ガスのサリンがまかれ(松本サリン事件)、95年3月には帝都高速度交通営団(後に東京メトロへ改名)の車両内でサリンが散布された(地下鉄サリン事件)。松本サリン事件の翌月に警察庁長官は城内康光から國松孝次へ交代したが、その國松は地下鉄サリン事件の直後に狙撃されている。そして1995年8月にはアメリカ軍の準機関紙と言われているスターズ・アンド・ストライプ紙に85年8月12日に墜落した日本航空123便に関する記事を掲載、墜落の際に自衛隊が不適切なことを行なったと示唆した。 アメリカ国防総省系のシンクタンク「RANDコーポレーション」が2022年4月に発表した報告書によると、GBIRM(地上配備中距離弾道ミサイル)で中国を包囲する計画を彼らは持っている。 日本は国防総省の計画に基づき、GBIRM(地上配備中距離弾道ミサイル)で中国を包囲する計画を進め、自衛隊は2016年に与那国島でミサイル発射施設を建設、19年には奄美大島と宮古島、そして23年には石垣島でも施設を完成させた。中国を攻撃する準備が粛々と進められている。辺野古へ人々の注意を逸らさせる必要はなくなった。 2022年10月になると、「日本政府が、米国製の巡航ミサイル『トマホーク』の購入を米政府に打診している」とする報道があった。亜音速で飛行する巡航ミサイルを日本政府は購入する意向で、アメリカ政府も応じる姿勢を示しているというのだ。 トマホークは核弾頭を搭載でる亜音速ミサイルで、地上を攻撃する場合の射程距離は1300キロメートルから2500キロメートル。核弾頭を搭載することも可能で、中国やロシアの内陸部にある軍事基地や生産拠点を先制攻撃できる。 2月28日にアメリカとイスラエルがイランを奇襲攻撃した後、イランから激しく反撃され、防空ミサイルやトマホーク・ミサイルが枯渇してしまった。そこで日本への配備が遅れているのだが、日本に配備されるトマホークはイランと同じように中国を攻撃するために使われるということを示している。 アメリカが「ひとつの中国」を掲げ、米中の国交を正常化させたのはリチャード・ニクソン。1972年2月のことだ。それに対し、2022年8月2日、下院議長だったナンシー・ペロシは訪問、中国を挑発した。同年4月30日にペロシは下院議員団を率いてウクライナを訪問、ウォロディミル・ゼレンスキーに対してウクライナへの「支援継続」を誓い、戦争の継続を求め、2024年1月にはガザでの虐殺に抗議する人びとを批判、停戦を求める行為はロシアのウラジミル・プーチン大統領のメッセージを広めることになると主張、FBIはデモ参加者の資金源を捜査するべきだとも語っている。 ペロシを含むアメリカの好戦派にとって台湾独立(中国)、ウクライナのクーデター(ロシア)、ガザでの虐殺(西アジア)はひとつの戦争だということなのだろう。トランプ大統領もその戦争を戦っているのだが、計算通りには進んでいない。中国、ロシア、イランにアメリカは負けている。そのアメリカに従属しているのが日本の政治家、官僚、マスコミなどだ。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.05.18
このブログは読者の皆様に支えられています。ブログを存続させるため、カンパ/寄付をよろしくお願い申し上げます。【振込先】巣鴨信用金庫店番号:002(大塚支店)預金種目:普通口座番号:0002105口座名:櫻井春彦 アメリカ政府は1992年2月に作成されたDPG(国防計画指針)草案、いわゆる「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」に基づき、世界征服プロジェクトを推進しています。 1999年3月にユーゴスラビアを空爆した後、2001年9月11日の世界貿易センターやペンタゴンに対する攻撃を挟み、イラクを先制攻撃、シリアやリビアをアル・カイダ系の戦闘集団に攻撃させ、ウクライナでクーデターを引き起こしてロシアとの戦争に突入、そしてイランに対する奇襲攻撃も実施しましたが、いずれも計算通りには進んでいません。失敗したと言えるでしょう。 こうした侵略と並行して欧米を支配する私的権力は監視システムを強化、2015年9月には国連で「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」が採択されました。あと4年で2030年です。 そのアジェンダの中で、「SDGs(持続可能な開発目標)」を実現するためにデジタルIDを導入するとしています。このシステムによって地球上の全ての人びとを特定、行動を追跡することが可能になるわけです。 そのデジタルIDをチップ化して体内へインプラントする計画は2016年1月、WEF(世界経済フォーラム)のクラウス・シュワブがスイスのテレビ番組で語っています。マイクロチップ化されたデジタル・パスポートを最初は服に装着、次に皮膚や脳へ埋め込み、最終的にはコンピュータ・システムと人間を融合、人間を端末化しようと考えているようです。 RFID、つまり識別情報を無線でやりとりする小型チップを皮膚下に埋め込む技術も実用化されつつある。そのチップにはID番号が記録され、個人情報が集積されているデータベースにアクセス、犯罪歴、病歴、学歴を含む個人データを引き出すことができるといいます。 IC乗車券を持たずに電車やバスに乗車でき、支払いも電子的に決済することが可能で、身分証明書としても機能するので便利だと感じる人もいるでしょうが、監視システムの強化であり、囚人化、あるいは家畜化とも言えます。日本では運転免許証に関する規制を強化、アメリカでは自動車の動作をコントロールしようとしています。人間が何を考えているかを外部から探る技術も研究され、すでに脳波を測定することで心理状態をある程度把握することは可能になっています。 2019年に欧州委員会が公表した指針の中にはEU市民向けの「ワクチン・カード/パスポート」を2022年に導入する計画が示されていました。その計画にとって都合よくCOVID-19騒動が引き起こされたのですが、その危険性を少なからぬ人が気づきました。日本で導入された「マイナンバーカード」も一種のデジタルIDです。 勿論、このデジタルIDは金融システムのデジタル化とも関係しています。支配システムをコントロールしている人たちから「好ましからぬ人物」と判断された場合、銀行口座が封鎖されて生活できなくなるということにもなります。実際、ヨーロッパではウクライナ情勢で西側支配層の意向に反する事実を報じたジャーナリストの中には銀行口座が封鎖された人もいます。 すでに20年ほど前には個人の学歴、銀行口座の内容、ATMの利用記録、投薬記録、運転免許証のデータ、航空券の購入記録、住宅ローンの支払い内容、電子メールに関する記録、インターネットでアクセスしたサイトに関する記録、クレジット・カードのデータなどあらゆる個人データを収集、分析できました。(William D. Hartung, “Prophets Of War”, Nation Books, 2011) ACLU(アメリカ市民自由連合)によりますと、このシステムを開発した会社はスーパー・コンピュータを使い、膨大な量のデータを分析して「潜在的テロリスト」を見つけ出そうとしていました。どのような傾向の本を買い、借りるのか、どのようなタイプの音楽を聞くのか、どのような絵画を好むのか、どのようなドラマを見るのか、あるいは交友関係はどのようなっているのかなどを調べ、個人の性格や思想を洗い出そうとしたのです。図書館や書籍購入の電子化、スマートテレビの普及などと無縁ではありません。勿論、インターネット上でのアクセス状況も監視されています。 アメリカやイギリスの電子情報機関が通信を傍受して分析、記録していると1970年代から指摘していたジャーナリストのダンカン・キャンベルによりますと、1993年から西側諸国の捜査機関高官は毎年、会議を開いて通信傍受について討議を重ねてきました。そうした国際的な流れの中で日本でも1999年に通信傍受法(盗聴法)を制定したわけです。(Duncan Campbell, "Development of Surveillance Technology and Risk of Abuse of Economic Information Part 4/4: Interception Capabilities 2000," April 1999) 本格的な商業衛星であるインテルサット1号が1965年4月に打ち上げられると、アメリカのNSAやイギリスのGCHQは地球規模の通信傍受システムECHELONを開発しましたが、そのシステムが存在することを1988年にキャンベルは明らかにしました。(Duncan Campbell, 'Somebody's listerning,' New Statesman, 12 August 1988)1976年にGCHQが存在することを暴露したのもキャンベルでした。NSAとGCHQはイスラエルの8200部隊と密接に結びついています。 こうした情報機関はIT(情報技術)企業と手を組んでいますが、中心的な役割を果たしているパランティアは2003年にCIAのベンチャー・キャピタル部門であるIn-Q-Telからの資金で創設された会社で、イスラエルの情報機関とも関係が深いことで知られています。 パランティアの共同創設者であるピーター・ティール会長は決済サービス企業のペイパルを創業した人物でもあり、彼が重役を務めているカービンは緊急通報システムで知られる会社。カービンの重役は大半がイスラエルの電子情報機関である8200部隊の元将校です。 カービンの出資者にはイスラエル軍の情報機関アマンの局長を経て参謀総長、そして首相に就任したエフード・バラクが含まれ、同社の主要な資金源のひとりがジェフリー・エプスタインでした。 ロシア、中国、イランとの戦いで負けている西側の私的権力ですが、大衆をコントロールする仕組みは着々と整備しています。そうした支配層の動きに対抗するため、現状を正確に認識する必要があるでしょう。本ブログがその一助になればと考えています。櫻井 春彦【振込先】巣鴨信用金庫店番号:002(大塚支店)預金種目:普通口座番号:0002105口座名:櫻井春彦
2026.05.17
高市早苗首相は中国やロシアに対する情報活動を行うため、内閣情報調査室(CIRO)を中核拠点とする情報機関を設立する計画を立てているという。この計画はアメリカのFBI(連邦捜査局)の支援を得て推進されているようで、政府だけでなく民間セクターからも人員を集め、当初の総数は約700名になるという。 アメリカではCIAやFBIは独自の判断で大統領や議員に対する工作を実行、ジョン・F・ケネディ大統領暗殺には実行グループの中に両機関のメンバーが含まれている可能性が高い。日本の新機関がどのようなものになるか不明だが、最悪の場合、「国家内国家」として機能することになるだろう。民主主義は跡形もなく消え去るということだ。 昨年10月24日、木原稔官房長官は「国家情報局」の創設を検討する方針だと記者会見で表明していた。政府の「インテリジェンス」に関する司令塔としての機能を強化するというのだが、日本政府に「インテリジェンス」を扱う能力など存在しない。 内閣情報調査室は1952年4月に作られた「内閣総理大臣官房調査室」が起源だとされている。首相だった吉田茂の意向を受け、緒方竹虎と村井順が中心になって設置された。村井は国家地方警察本部警備第一課長だった人物で、のちに綜合警備保障を創設する。 村井は1953年9月から3カ月の予定で国外へ出ている。その名目はスイスで開かれるMRA(道徳再武装運動)大会への出席だったが、この組織はCIAの別働隊。村井は西ドイツのボンに滞在していたアレン・ダレスCIA長官に会うことが本当の目的だったと言われている。新情報機関に関する助言を得ることにあったと推測されている。ちなみに、中曽根康弘はMRAの大会へ出席してから出世街道を進み始めた。 官房調査室は1957年8月に内閣調査室となり、内閣情報調査室となったのは1986年7月。官房調査室にしろ、内閣調査室にしろ、内閣情報調査室にしろ、調査能力はないとされている。少なくとも内閣調査室時代に実際の調査を行っていたのは外部の人間など。当初は元特務機関員が請け負っていたが、そうした人びとの多くはCIAともつながりがあり、内閣調査室に提出される報告書より詳しい内容の報告書がCIAへ渡されていたと関係者は証言している。 官房調査室が設置された当時、公安調査庁も法務省の外局として作られ、旧軍人グループの「睦隣会」が発足、世界政経調査会になる。この旧軍人グループの中心になる有末精三陸軍中将や辰巳栄一陸軍中将は河辺虎四郎陸軍中将、服部卓四郎陸軍大佐、中村勝平海軍少将、大前敏一海軍大佐らと同じように、アメリカの軍や情報機関と密接な関係にあった。こうした親米派の軍人は「KATO機関」、あるいは「KATOH機関」と呼ばれている。 ジャーナリストの森詠によると、このうち辰巳中将を除く5名は東京駅前の日本郵船ビルを拠点にしていた。その3階には「歴史課」と「地理課」があり、歴史課は1947年5月から50年12月まで活動、地理課は朝霞のキャンプ・ドレークに移転した後、75年まで王子十条の米軍施設内で活動していたと言われている。(森詠著『黒の機関』ダイヤモンド社、1977年) 歴史課には杉田一次陸軍大佐、原四郎陸軍中佐、田中兼五郎陸軍中佐、藤原岩市陸軍中佐、加登川幸太郎陸軍少佐、大田庄次陸軍大尉、曲寿郎陸軍大尉、小松演陸軍大尉、大井篤海軍大佐、千早正隆海軍中佐らが、また地理課には山崎重三郎陸軍中佐など参謀本部支那班の元メンバーが出入りしていた。その一部が「第三次大戦と日本の防衛計画」についてのプランを練っていたようだ。(前掲書) こうした旧日本軍の軍人たちを統括していたのはGHQ/SCAPのG2(情報担当)を統括していたチャールズ・ウィロビー少将で、親ファシスト/反コミュニスト派として有名。生物兵器や化学兵器に関する生体実験をしていた「第七三一部隊」を指揮していた石井四郎中将らを匿ったのもウィロビーだ。 日本の生物化学兵器の開発は軍医学校、東京帝国大学医学部、京都帝国大学医学部が中心になって進められ、後ろ盾は小泉親彦軍医総監だったとされている。 ウィロビーに関する情報はほとんど公開されていないが、その理由は日本時代にあると言う人もいる。引退後、彼はスペインの独裁者フランシスコ・フランコの非公式顧問に就任した。 かつて、アメリカでは情報を収集分析する機関として、国家安全保障法に基づいてCIA(中央情報局)が1947年に設置されたのだが、アレン・ダレスやジョージ・ケナンのような人びとは破壊活動を実行する機関の創設を求め、48年にNSC10/2という文書が作成された。 この文書に基づいてOSP(特殊計画局)が設立され、すぐにOPC(政策調整局)へ名称は変更された。OPCの資金やスタッフはCIAから出ていたのだが、指揮系統はCIA長官の下になく、名目上はケナンが創設した国務省のPPS(政策企画本部)が管理していた。 OPCは1952年8月1日にCIAの特殊作戦局(OSO)と統合され、計画局(DDP)の支柱になる。計画局の秘密工作を監督するために設置された部署が「工作調整会議」だ。(Stephen Dorril, “MI6”, Fourth Estate, 2000) 破壊工作部門は活動の実態が問題になる多部に名称が変更される。計画局は1973年に作戦局に名称が変更され、2005年からはNCS(国家秘密局)、そして2015年には作戦局へ戻された。1970年代にはアメリカ議会でCIAの秘密工作が暴露され、2003年3月にアメリカ主導軍がイラクを先制攻撃した後、アメリカ軍がCIAと共同で拘束した戦闘員に対して拷問していたことが発覚している。 CIAは情報を収集分析する機関として創設されたのだが、そこへ破壊工作機関OPCが潜り込み、今ではその部門がCIAを支配している。そのネットワークは「民間」の世界へも広がり、「国家内国家」として機能している。 OPCは東アジアでも活動していた。創設当初は上海に拠点が置かれていた。第2次世界大戦で日本が敗北した後、アメリカのハリー・トルーマン政権は、蒋介石が率いる国民党に中国を支配させようと計画、軍事顧問団を派遣しているのだが、紅軍(1947年3月に人民解放軍へ改称)は農民の支持を背景として勢力を拡大、1949年1月には北京へ無血入城し、その指導部も北京入り、5月には上海も支配下においた。 同年10月には中華人民共和国が成立するが、OPCは拠点を日本へ移動させ、新たな拠点を厚木基地をはじめ6カ所におく。その段階でOPCは中国への反抗を計画していたはずだ。そうなれば、日本は兵站の拠点になり、物資を輸送する海運や鉄道の役割は飛躍的に大きくなる。(Stephen Endicott & Edward Hagerman, “The United States and Biological Warfare”, Indiana University Press, 1998) その1949年の夏、日本では国鉄を舞台とした怪事件が引き起こされた。7月5日から6日にかけての下山事件、7月15日の三鷹事件、そして8月17日の松川事件だ。これらの事件は共産党が実行したというプロパガンダが展開され、国鉄の組合は大きなダメージを受けた。ストライキによって物資の輸送が滞る心配がなくなったと言える。 海運の拠点である港も重要。特に神戸と横浜でストライキが引き起こされたなら、戦争はできない。そこで港の労働者を抑える仕組みが必要になる。そこで神戸を任されたのが山口組の田岡一雄、横浜を任されたのが藤木幸太郎だ。1949年7月には沖縄の軍事施設費を次年度予算に計上することが決定され、沖縄での本格的な基地建設への扉が開かれた。そして1950年、アメリカは朝鮮半島で戦争を始めたが、その前からアメリカの破壊工作機関は朝鮮半島で挑発活動を始めていた。 朝鮮戦争の最中、1952年6月に大分県直入郡菅生村(現竹田市菅生)で駐在所が爆破されるという事件があった。いわゆる菅生事件である。近くにいた共産党員2人が逮捕され、3人が別件逮捕されるのだが、後に警察当局が仕組んだでっち上げだということが判明する。 この事件でカギを握る市木春秋(後に戸高公徳が本名だと判明)は事件後に姿を消すものの、共同通信の特捜班が東京で見つけ出し、彼の証言から彼は国家地方警察大分県本部警備課の警察官だということが判明した。ダイナマイトを入手し、駐在所に運んだのも彼だと言うことがわかる。 警察官が爆弾テロを実行しいたわけだが、実行者で有罪判決を受けた戸高は刑は免除され、その判決から3カ月後に警察庁は彼を巡査部長から警部補に昇任させ、しかも復職させている。最終的に彼は警視長まで出世、警察大学の術科教養部長にもなり、退職後も天下りで厚遇された。戸高の事件には、警察という組織全体を揺るがす事実が隠されているということだろう。 いや、日本の警察を超えたところまで波及する可能性がある。松橋忠光元警視監によると、アメリカは1959年から「1年に2人づつ警視庁に有資格者の中から選ばせて、往復旅費及び生活費と家賃を負担し、約5か月の特殊情報要員教育を始めた」という。公式文書に記載された渡航目的は「警察制度の視察・研究」だが、実際はCIAから特殊訓練を受けるのだともされている。(松橋忠光著『わが罪はつねにわが前にあり』オリジン出版センター、1984年) 新機関をFBIが支援するということは、日本版のゲシュタポ、あるいは特別高等警察の設置を目論んでいるようにも思える。本ブログでは繰り返し書いてきたが、1995年から日本はアメリカの戦争マシーンに組み込まれ、中国やロシアと戦争する準備を進めてきた。戦争するためには、戦争に反対する人びとを黙らせる必要がある。***********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.05.16

ドナルド・トランプ米大統領は5月13日に北京を訪問、14日には習近平国家主席と会談したが、トランプが空港に到着した際、習近平は出迎えていない。中国のメディアの扱いも軽かった。そのトランプには技術関連や金融関連の企業でCEOを務める人が目につくと話題だ。 技術関連ではアップルのティム・クック、レーザー関連企業であるコヒレントのジム・アンダーソン、半導体製造企業マイクロン・テクノロジーのサンジェイ・メロトラ、通信やコンピュータ関連の技術開発などを行っているクアルコムのクリスティアーノ・アモン、テスラやスペースXのイーロン・マスク、航空エンジンメーカーGE Aerospaceのローレンス・カルプ、バイオ技術企業イルミナのヤコブ・タイセン、ボーイングのケリー・オルトバーグが参加しているCEO。 また金融関連のCEOは影の銀行と呼ばれているブラックロックのラリー・フィンク、投資ファンドであるブラックストーンのスティーブン・シュワルツマン、シティグループのジェーン・フレイザー、ゴールドマン・サックスのデイビッド・ソロモン、マスターカードのマイケル・ミーバッハ。 そのほか食糧ビジネス企業カーギルのブライアン・サイクス、さらにFacebookやInstagramを運営するメタで社長兼副会長を務めるディナ・パウエル・マコーミックも含まれている。 パウエルはジョージ・W・ブッシュ政権時代に大統領補佐官や国務次官補などを務め、2007年にはゴールドマン・サックスに入社、最終的には同社のパートナーに就任、その後トランプ政権に加わって国家安全保障担当副補佐官を務め、18年にゴールドマン・サックスに復帰、BDT & MSDパートナーズを経てメタ・プラットフォームへ入った。パウエルはアメリカを支配するシステムの仕組みを体現しているとも言える。 このリストに登場するアメリカのハイテク企業はトランプ大統領が始めた経済戦争に対する中国の反撃で窮地に陥っている。何とか中国政府を宥めたいのだろうが、そう簡単ではない。「脅せば屈する」というネオコンの手口が機能しないことを学んでも良い頃だ。西側ではアメリカが優位に立っていると宣伝しているが、実態は逆である。本ブログですでに書いたことだが、中国のメディアはトランプ大統領をタジキスタンの大統領より下に置いている。これは世界に対するメッセージだ。 トランプ大統領が中国を訪問する1週間前、中国ではふたりの元国防部長(国防大臣)、元国防部長とは魏鳳和(2018年3月から23年3月)と李尚福(23年3月から23年10月)に執行猶予付きの死刑判決が出された。汚職事件に関係していると言われている。 その中国では軍部の粛清より前に経済分野での粛清が始まっていた。その根は1978年12月、鄧小平の下で打ち出された改革開放政策。それによって中国へ新自由主義が入り込み、1980年には新自由主義の象徴的な存在で、通貨カルトの伝道師的な存在であるミルトン・フリードマンが中国を訪問した。 新自由主義はインフレを招き、貧富の差を拡大させ、労働者の不満は強まって社会は不安定化する。この政策を推進していた胡耀邦や趙紫陽は窮地に陥った。胡耀邦は1987年1月に総書記を辞任せざるをえなくなり、89年4月15日に死亡した。 そうした中、1988年にミルトン・フリードマンは8年ぶりに中国を訪問、趙紫陽や江沢民と会談したが、中国政府はその年に「経済改革」を実施している。労働者などからの不満に答えるかたちで軌道修正したと言えるだろうが、その方針転換にエリート学生は反発した。これを「民主化運動」と呼ぶことはできない。 新自由主義を支持する学生らは1989年4月15日から6月4日まで天安門広場で中国政府に対する抗議活動を展開した。この活動を指揮していたのは体制転覆の仕掛け人として知られているジーン・シャープ。中国における体制転覆工作の背後にはスポンサーとしてジョージ・ソロスもいたとされている。5月には戒厳令が敷かれた。 シャープには「非暴力」というタグがつけられているが、間接的な暴力は容認、冷戦期における最も重要なアメリカの国防知識人のひとりとも言われている。核理論家トーマス・シェリングは1960年代にシャープをハーバード大学国際問題センター(現在は、ウェザーヘッド国際問題センター)に招き入れた。1958年にロバート・R・ボウイとヘンリー・キッシンジャーによって設立された同センターは冷戦期の国防、情報、安全保障機関の牙城だったとされている。要するにCIAとの関係が深いのだが、シャープに魅せられた左翼や市民活動家は少なくない。 この当時から中国の内部では新自由主義を容認する勢力と反対する勢力が対立しているようだ。新自由主義は強欲を「是」とする考え方であり、通貨カルト。資本主義の真髄とも言える。 1993年から国家主席を務めた江沢民を中心とする上海幇は新自由主義化で富を築いた一派で、天安門事件を生み出した社会問題は解決されていないが、江沢民が2022年11月に死亡してから変化は感じる。通貨カルトの信者たちが日本へ逃げてきても不思議ではない。**********************************************楽天ブログにアクセスしにくい場合は下記サイトへ【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.05.15

ドナルド・トランプ米大統領が5月13日に北京へ到着、歓待を受けたのだが、11日に北京入りしたタジキスタンのエモマリ・ラフモン大統領ほどではなかった。中国とタジキスタンは12日、北京の人民大会堂で恒久善隣友好協力条約に署名、習主席は「一帯一路(BRI)」構想の枠組みの下で開発戦略を深く連携させ、互いの開発目標達成を支援しようと呼びかけた。トランプ大統領はそのBRIを破壊しようとしている。アメリカがイスラエルと共同でイランを奇襲攻撃した理由のひとつはそこにある。 トランプ大統領は今回の中国訪問で「勝利」を演出しようと目論んでいると見られているが、少なからぬ人が指摘しているように、スタッフによる事前の準備をしていない。トランプ大統領が望んでいるのは表面的なイメージにすぎず、中身のある交渉を行うつもりはない。中国はトランプの演出に付き合うのも悪くないと考えているのだろうが、何かを期待しているとは思えない。 そのトランプが距離を置こうとしているウクライナの戦況に変化はない。夏に向かってロシア軍が攻勢を強めるとも見られている。キエフ政権側は兵士の不足が深刻で、街中での拉致は続いているが、住民の抵抗が強まり、最近では農村での拉致が指摘されている。 国外へ逃げたウクライナ人男性を帰国させようという動きもあるが、それでも足りないためヨーロッパ各国だけでなくラテン・アメリカからも「傭兵」が集められている。ラテン・アメリカの場合、相当数が犯罪組織のメンバーだと言われ、帰国時には戦闘技術を身につけているだけでなく、武器も持ち出している。その戦闘技術と武器で政府軍と戦うことになる。 こうした状況からも分かるように、キエフ体制の敗北は決定的だが、ロシアとの戦争を始めたことでEU諸国は経済が麻痺、社会は崩壊しつつある。NATO軍がロシア軍と戦うという宣伝も聞くが、ロシア軍に勝てるとは思えない。 そうした中、ウォロディミル・ゼレンスキーの報道官だったユリア・メンデルがタッカー・カールソンのYouTubeチャンネルに登場した。彼女の話はすでに言われていたことだが、ゼレンスキーの周辺にいた人の発言という意味は軽くない。 彼女はゼレンスキーが2022年、ドンバスを放棄することに同意していたと話している。実際、ロシア政府とウクライナ政府は停戦で合意、仮調印し、ウラジミル・プーチン露大統領は善意の印としてキエフ北部の地域を支配していた戦車部隊を3月31日から撤退させるようロシア軍に命じた。こうしたことは本ブログでも繰り返し書いてきた。 その合意を壊すため、イギリスの首相を務めていたボリス・ジョンソンは4月9日にキエフへ乗り込み、戦争を継続するようキエフ政権に命令した。イギリスは今でも他のEU諸国と一緒に戦争を継続するようウクライナに命じている。(ココやココ) メンデルによると、ゼレンスキーはマネー・ロンダリング計画を容認し、ナチ党でプロパガンダを指揮していたヨーゼフ・ゲッベルスのようなプロパガンダ活動」を行うよう要求。政敵だけでなくゼレンスキーを批判する人物を前線へ送っていたという。戦場の最前線へ送られれば、数週間で死亡する。また、ゼレンスキーがコカインを常用していることは公然の秘密だとしているが、その通りだ。 ウクライナい国民は強制的な動員、政府の汚職、停電、そして戦争などに対する不満は高まっているが、ゼレンスキー体制による処罰を恐れて沈黙、EU諸国はこうした実態を知りながら沈黙するどころか戦争の継続を要求している。アメリカの国防総省はウクライナで生物兵器の研究開発を実施、マネーロンダリングも行われてきた。その一方、ロシアとの戦争を始めたことからEUの経済は破綻、社会は崩壊しつつある。 EUは2022年2月以降、ウクライナ政権を支援するために約2000億ユーロを投入、さらに900億ユーロを融資しようとしている。そうした資金は凍結されているロシアの資産から盗ろうとしているが、ロシアが黙っているとは思えない。 西側からウクライナへ流れこんだ資金の一部は同国支配層の懐へ入り、オフショア市場の銀行口座へ沈んでいるが、相当部分は兵器の購入代金として西側諸国へ還流、EU支配層を潤してもいる。戦争が終わると戦争中の犯罪行為が露見するだけでなく、戦争で維持している経済は立ち行かなくなる。カネ儲けを続けるためにはウクライナ人が死に絶えても構わないと彼らは考えているとしか思えない。**********************************************楽天ブログにアクセスしにくい場合は下記サイトへ【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.05.14
アラブ首長国連邦(UAE)はイランに対する秘密攻撃を実施したとアメリカのウォール・ストリート・ジャーナル紙は伝えた。UAEはサウジアラビア、カタール、バーレーン、クウェート、オマーン、そしてイスラエルと同じようにイギリスが作り上げた国だが、特にアングロ・サクソンに対する従属の度合いが強いようだ。 アメリカとイスラエルがイランを奇襲攻撃した2月28日以降、アメリカはイスラエルへ11万5600トン以上の装備を輸送、イスラエルはUAEに対し、小型ドローン探知システム「スペクトロ」、アイアンビーム・レーザー防衛システム、アイアンドーム・ミサイル防衛システムを供与し始め、両国の情報共有も始めたとされている。ペルシャ湾岸産油国の中でもUAEは特に対イラン攻撃で重要な役割を果たしてきた。こうしたことからイランはUAEを敵対拠点と認識、攻撃している。 それに対し、サウジアラビアはイランとの戦争へ引き摺り込まれないように注意深く行動している。一方、イランはサウジアラビア国内のアメリカ軍施設を攻撃しているものの、サウジアラビアの主要な石油利権への攻撃は控え、国営石油会社サウジアラムコは記録的な利益を上げている。 サウジアラビアの情報機関、総合情報庁の長官を1979年から2001年まで務めたトゥルキ・アル-ファイサルは、もしサウジアラビアとイランに戦争させるというイスラエルのる計画が成功していたら、この地域は荒廃と破壊に陥っていただろうと書いていた。 イギリス、アメリカ、イスラエルは複数の国を戦わせたり、ターゲット国の内部に対立関係を作り出して内戦を引き起こしたりする。サウジアラビアはそうした詐術に引っかかるほど愚かではなかった。サウジアラビアがアメリカにイランを攻撃させたとする話も流されていたが、これもイスラム世界の内乱を願ってのことだろう。明治維新以降、欧米の帝国主義国の手先として東アジアへ軍事侵攻した日本とサウジアラビアは違うと言える。 ジョージ・W・ブッシュ政権はアメリカ主導軍を使ってイラクを先制攻撃してサダム・フセイン体制を倒したが、親イスラエル体制を築くことには失敗、それに対してバラク・オバマ政権はムスリム同胞団やサラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)で戦闘集団を編成、2011年春にシリアやリビアへ軍事侵攻させた。 シリアのバシャール・アル-アサド政権の打倒に手間取り、2014年には「凶暴さ」を前面に出したダーイッシュ(IS、ISIS、ISIL、イスラム国とも表記)を編成、NATOの軍事介入を目論んだのだが、2015年9月にシリア政府の要請でロシア軍が介入、ダーイッシュを敗走させた。 ロシア軍の強さを人びとが認識したことで世界の流れが変わり、サウジアラビアもロシアへ接近、2019年頃にはサウジアラビアとイランも接近する。 そして2020年1月3日、サウジアラビアからのメッセージに対するイランの返書を携えてイラクのバグダッド国際空港に到着したガーセム・ソレイマーニーをアメリカとイスラエルが暗殺した。ソレイマーニーはIRGC(イラン革命防衛隊)のクッズ軍を率いていた人物で、イスラエルに対するイスラム世界を統合する役割も果たしていた。両国の関係はその後も崩れていないだろう。 ウクライナでも西アジアでも侵略の黒幕であるネオコンはシオニストの一派だが、歴史を遡るとイングランドの私的権力に行き着く。この私的権力は19世紀に中国(清)を侵略し、略奪しようとした。アヘン戦争だが、この戦争でイギリスは内陸部を征服することができなかった。地上部隊が圧倒的に足りなかったからだ。そのイギリスは日本で「明治維新」というクーデターを成功させ、日本軍に中国を侵略させた。アングロ・サクソンに対する恨みという点でイランと中国は共通している。**********************************************楽天ブログへアクセスしにくい場合、下記サイトへ【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.05.13
アメリカ政府がイランに提示した「和平案」に対する対応を気に入らないとドナルド・トランプ大統領は非難している。イラン政府は今回もこれまで一貫して主張していた戦争終結の条件を伝えただけだと推測されている。その条件をトランプ大統領が拒否することも予想されていた。 アメリカとイスラエルがイランに対して行った奇襲攻撃は失敗、イランの反撃で窮地に陥っている。つまりアメリカとイスラエルは事実上、敗北したのであり、トランプ大統領が本当に戦争を終結させたいならイラン側の条件を呑むしかないのだが、呑むことはできないだろうとも言われていた。その先にあるのは戦争の再開であり、アメリカ軍は戦争の準備をしてきた。つまりトランプ大統領による「和平案」の提示は茶番にすぎない。 イラン情勢はロシアや中国にとっても重要な意味があり、必然的にこの3カ国は団結した。この3カ国を強く結びつけているファクターのひとつはエネルギー資源。中国へはロシアから安価な天然ガスや石油が運ばれているが、イランからも輸入している。 アメリカがベネズエラを制圧し、イランが戦乱に巻き込まれ他なら中国へのエネルギー資源の輸送が途絶えると予想する人が西側諸国では多かったようだが、そうした展開にはならなかった。中国は原油節約命令や工業生産の削減といった措置を講じていない。 ベネズエラの確認石油埋蔵量は世界最大だが、生産量は多くない。ウゴ・チャベスの死後、ニコラス・マドゥロ政権は石油関連のインフラを整備せず、スクラップとして処分されてしまい、熟練労働者は国外へ流出してしまった。こうした事態を招いたマドゥロは批判されていた。 しかも、中国は西アジアでの戦乱に備えて原油を備蓄、日本や欧米諸国とは違い、余裕がある。イランとロシアはカスピ海を経由するルートで繋がっているが、イランと中国を結ぶ鉄道が昨年5月に開通、上海からテヘランまで列車で15日。ちなみに、イランから中国まで海上ルートを利用すると必要な日数は30日だ。 この鉄道は中国が進めている「一帯一路(BRI)」構想に含まれ、この構想はロシアを中心とするユーラシア経済連合と連結する。イランの現体制が崩壊した場合、そうしたロシアや中国のプロジェクトは致命的なダメージを受けるため、アメリカやイスラエルによるイラン攻撃を中露は傍観するはずがない。その中国とロシアに対する「制裁」をEUが強め、中露からの反発を受けている。 反ロシア政策を続けていたアメリカのバラク・オバマ政権は2014年2月、キエフでクーデターを成功させ、ビクトル・ヤヌコビッチ政権を倒した。これはウクライナをNATOの支配下におき、隣国のロシアに対する軍事的に圧力を強めると同時にロシアとヨーロッパを結びつけていた天然ガスのパイプラインをおさえようとしたのだ。 パイプラインをおさえることでロシアからマーケットを奪い、ヨーロッパから安価なエネルギー資源供給国を奪うことが目的。アメリアはロシアとヨーロッパを同時に弱体化しようとしたわけだ。実際、アメリカの思惑通りヨーロッパは弱体化したが、ロシアは中国との関係を深め、強大な中露同盟を作り出してしまった。 安価なエネルギー資源の供給源をなくしたEUは経済が衰退、社会は混乱している。そこでEUはウクライナへ多額の資金を投入、その資金でヨーロッパ企業の兵器を買うという仕組みを作った。ヨーロッパが提供した資金はウクライナからヨーロッパの大手企業へ戻っている。その仕組みを利用し、ウクライナやEUの「エリート」たちは私服を肥やしている。彼らは戦争を止められない。 その仕組みの中核になっているドイツはロシアとの戦争をエスカレートさせるため、「ドイチュラント作戦(ドイツ作戦計画)」を作成していると伝えられている。 これはドイツ連邦軍が2024年に作成した戦争計画で、ヨーロッパにおける大規模戦争を想定している。詳細は機密扱いだが、軍事利用のために保護すべき特定の建物やインフラ、そして脅威の増大に備えて企業や市民がどのように準備すべきかが詳細に記述され、1000ページに及ぶという。80万人のNATO兵士と20万台の車両がドイツ領内を通過して前線に向かうというのだが、この程度ではロシア軍に勝てるはずがない。本気でこの作戦を作成したのなら、ドイツ軍は救い難いほどスラブ人蔑視が強いということだろう。 ナチ体制下のドイツ軍は1945年5月8日にベルリンで降伏文書に署名したが、その直後にイギリスの首相だんたウィンストン・チャーチルはソ連を奇襲攻撃するための作戦を立案するようにJPS(合同作戦本部)へ命じた。そして5月22日に提出された作戦が「アンシンカブル」だ。 その作戦によると、攻撃を始めるのはその年の7月1日。アメリカ軍64師団、イギリス連邦軍35師団、ポーランド軍4師団、そしてドイツ軍10師団で「第3次世界大戦」を始める想定になっていた。 この作戦が発動しなかったのは、イギリスの参謀本部が5月31日に計画を拒否したからだという。その作戦を無謀だと判断したようだ。またソ連と日本が手を組むことを懸念したという見方もある。(Stephen Dorril, “MI6”, Fourth Estate, 2000) 2014年2月にアメリカがウクライナで始めた対ロシア戦争はロシアの勝利が確定的だ。すでに兵士になれるウクライナ人はいなくなり、ヨーロッパやラテン・アメリカから傭兵という形で集めているが、戦況を変えることはできない。ドイツ軍は次のステージとして現代版のアンシンカブル作戦とも言うべきドイチュラント作戦を作成しているのだろう。**************************************************楽天ブログへアクセスしにくい場合は下記サイトへ【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.05.12

アメリカ軍はイラクの砂漠地帯に秘密基地を建設したとウォール・ストリート・ジャーナル紙は5月9日に伝えた。この基地はイスラエルの特殊部隊と空軍の兵站拠点で、2月28日にアメリカとイスラエルがイランを奇襲攻撃する直前に建設されたという。 アメリカ軍はペルシャ湾岸産油国に基地を建設、イランを攻撃するために使ったが、イランの報復攻撃で破壊されている。CNNが5月1日に伝えたところによると、イラン軍攻撃で被害を受けたアメリカ軍基地は少なくとも16か所。その大半は使用不能だと言われている。 イラクに建設された基地はアメリカにとっても重要だろうが、これはイラク政府の許可を得ずに建設されている。3月初旬に地元の羊飼いがその地域で不審なヘリコプターの活動を目撃、イラク当局に通報、イラク軍が現場へ派遣された。基地に近づきつつあったその部隊をイスラエル軍が空爆、イラク兵1名が死亡、2名が負傷したと報告されている。 アメリカ政府は秘密基地の存在を知らなかったとしているようだが、その可能性は小さいだろう。シリアに対する侵略戦争を2011年春に始めたバラク・オバマ政権はアメリカ軍の地上部隊を派遣しないとしていたが、シリア領内に900名程度の部隊を侵攻させ、軍事基地を20カ所以上建設、不法占領を続けていた。 イスラエルが基地を作ったと思われる場所はクルドの支配地域だが、イラクのクルドは1960年代からイスラエルの影響下にあり、その指導者だったムラー・ムスタファ・バルザニはイスラエルの情報機関であるモサドのメンバーだったと言われている。その息子がマスード・バルザニだ。マスードもイラク系クルドの指導者だが、2017年にイラクからの独立を試みて失敗、影響力は低下した。 ドナルド・トランプ米大統領は5月14日から15日にかけて中国を訪問し、習近平国家主席と会談する予定だが、その後にアメリカ軍はイランを攻撃すると言われている。 トランプ大統領はイラン側と和平を実現するために交渉していると宣伝しているが、交渉する状況ではない。アメリカとイスラエルはイランに対する奇襲攻撃に失敗、イランの反撃で窮地に陥っている。アメリカとイスラエルは事実上、敗北したのだ。トランプ大統領が本当に戦争を終結させたいなら、降伏するしかない。 イラン政府は戦争を終結させる条件を明確に示している。ホルムズ海峡の通行をイランが管理し、イランの同盟勢力(ヒズボラやハマス)に対する軍事行動を停止、西アジア地域からアメリカ軍は撤退し、イランの役割を明記したホルムズ海峡における安全保障協定を策定、イランが被った損害を全額補償、すべての制裁および国際決議を撤廃、凍結されたイラン資産を返還、そしてこれらの条件を拘束力のある国連安全保障理事会決議として正式に承認することだ。それに対し、トランプ大統領が示している要求はイラン側が主張しているように「願望リスト」にすぎない。 しかし、トランプ大統領としては、こうしたイランの要求を呑むわけにはいかない。軍隊を撤退させるにしても勝利のイメージを作る必要があるのだが、それは難しい。トランプ政権は窮地に陥り、アメリカ軍にイランを攻撃させることになると推測する人が少なくないのだが、攻撃するとイラン軍の反撃でこれまで以上の大惨事になると見られている。 こうしたことを理解している勢力がトランプ政権内にもいる。大手メディアへトランプ大統領にとって都合の悪い情報をリークしているのもそうしたグループだろう。 それに対し、狂信的なシオニストは西アジアでの戦争を継続するためにプロパガンダ力を強化しようとしている。パラマウント・スカイダンスのデビッド・エリソンCEOは支配下にあるCBSニュースの編集長にシオニストのバリ・ワイスを任命、そのワイスはロンドン支局長を務めていたクレア・デイを解任、シオニストのシャインディ・ライスにネットワークの国際報道を統括させるという。クレア・デイは親イスラエル度が低いと判断されたようだ。露骨な「親イスラエル報道」をしなければならないほどシオニストは追い詰められていると言える。**********************************************楽天ブログにアクセスしにくい場合は下記サイトへ【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.05.11

中国で国防部長(国防大臣)を経験したふたりの軍人に5月7日、執行猶予付きの死刑判決が出された。その元国防部長とは魏鳳和(2018年3月から23年3月)と李尚福(23年3月から23年10月)だ。ドナルド・トランプ米大統領が中国を訪問する1週間前の出来事である。 その一方、中国の習近平国家主席はドナルド・トランプ米大統領が仕掛けた中国企業に対する「制裁」を無視するように命じた。ここでも「脅せば屈する」というネオコン/シオニストのドグマは破綻している。 中国では軍部の粛清より前に経済分野での粛清が始まっていた。その根は1978年12月、鄧小平の下で打ち出された改革開放政策にあるだろう。それ以降、中国では拝金主義が蔓延、社会不安が高まる。 1980年には新自由主義の象徴的な存在で、通貨カルトの伝道師的な存在であるミルトン・フリードマンが中国を訪問している。それ以降、中国でも新自由主義化が進む。中国の新自由主義化を推進した人物は趙紫陽。1984年にロナルド・レーガン米大統領とホワイトハウスで会談している。 しかし、新自由主義はインフレを招き、貧富の差を拡大させ、労働者の不満は強まって社会は不安定化する。この政策を推進していた胡耀邦や趙紫陽は窮地に陥った。胡耀邦は1987年1月に総書記を辞任せざるをえなくなり、89年4月15日に死亡した。 そうした中、1988年にミルトン・フリードマンは8年ぶりに中国を訪問、趙紫陽や江沢民と会談したが、中国政府はその年に「経済改革」を実施している。労働者などからの不満に答えるかたちで軌道修正したと言えるだろうが、その方針転換にエリート学生は反発する。 新自由主義を支持する学生らは1989年4月15日から6月4日まで天安門広場で中国政府に対する抗議活動を展開した。この活動を指揮していたのは体制転覆の仕掛け人として知られているジーン・シャープ。中国における体制転覆工作の背後にはスポンサーとしてジョージ・ソロスもいたとされている。5月には戒厳令が敷かれた。 シャープは「非暴力」というタグがつけられている人物だが、冷戦期における最も重要なアメリカの国防知識人のひとりとも言われている。核理論家トーマス・シェリングは1960年代にシャープをハーバード大学国際問題センター(現在は、ウェザーヘッド国際問題センター)に招き入れた。1958年にロバート・R・ボウイとヘンリー・キッシンジャーによって設立された同センターは冷戦期の国防、情報、安全保障機関の牙城だったとされている。要するにCIAとの関係が深いのだが、シャープに魅せられた左翼や市民活動家は少なくない。 ロナルド・レーガン大統領時代にアメリカでは「プロジェクト・デモクラシー」や「プロジェクト・トゥルース」といったプロジェクトが始まるが、これは「民主主義」や「真実」という衣を身にまといながら敵体制を揺さぶり、クーデターで倒すことを目的にしている。こうしたプロジェクトともシャープは関係しているだろう。反帝国主義者の戦術を帝国主義者が利用し始めたとも言える。 1989年1月からアメリカ大統領はジョージ・H・W・ブッシュ。父親のプレスコットはウォール街時代、ナチスへ資金を流すために創設された金融機関の重役で、ウォール街の弁護士だったアレン・ダレスと親しくしていた。ジョージ・H・W・ブッシュは1974年から75年まで中国駐在特命全権公使(連絡事務所長)を務め、76年1月から77年1月まではCIA長官。エール大学時代にはCIAのリクルート担当だった人物と親しくしていたことも知られ、その時期にCIAへリクルートされたと言われている。そもそも父親がCIAに君臨していたダレスの友人だ。 エール大学時代にブッシュが親しくしていたジェームズ・リリーは1951年にCIA入りしたと言われ、そのリリーは1989年5月に中国駐在アメリカ大使に就任した。この月に中国では戒厳令が敷かれ、6月を迎える。 西側では6月4日に軍隊が学生らに発砲して数百名が殺されたとされているが、これを裏付ける証拠はなく、逆に広場での虐殺を否定する証言がある。 例えば、当日に天安門広場での抗議活動を取材していたワシントン・ポスト紙のジェイ・マシューズは問題になった日に広場で誰も死んでいないとしている。広場に派遣された治安部隊は学生が平和的に引き上げることを許していたという。(Jay Mathews, “The Myth of Tiananmen And the Price of a Passive Press,” Columbia Journalism Reviews, June 4, 2010) 学生の指導グループに属していた吾爾開希は学生200名が殺されたと主張しているが、マシューズによると、虐殺があったとされる数時間前に吾爾開希らは広場を離れていたことが確認されている。北京ホテルから広場の真ん中で兵士が学生を撃つのを見たと主張するBBCの記者もいたが、記者がいた場所から広場の中心部は見えないことも判明している。(前掲書) 西側の有力メディアは2017年12月、天安門広場で装甲兵員輸送車の銃撃によって1万人以上の市民が殺されたという話を伝えた。北京駐在のイギリス大使だったアラン・ドナルドが1989年6月5日にロンドンへ送った電信を見たというAFPの話を流したのだ。 ただ、これはドナルド大使自身が目撃したのではなく、「信頼できる情報源」の話を引用したもの。その情報源が誰かは明らかにされていないが、そのほかの虐殺話は学生のリーダーから出ていた。当時、イギリスやアメリカは学生指導者と緊密な関係にあった。ドナルド大使の話も学生指導者から出たことが推測できるが、吾爾開希のケースでも明らかなように、学生指導者の信頼度は低い。 また、内部告発を支援しているウィキリークスが公表した北京のアメリカ大使館が出した1989年7月12日付けの通信文によると、チリの2等書記官カルロス・ギャロとその妻は広場へ入った兵士が手にしていたのは棍棒だけで、群集への一斉射撃はなかったと話している。銃撃があったのは広場から少し離れた場所だったという。(WikiLeaks, “LATIN AMERICAN DIPLOMAT EYEWITNESS ACCOUNT O JUNE 3-4 EVENTS ON TIANANMEN SQUARE”) イギリスのデイリー・テレグラム紙が2011年6月4日に伝えた記事によると、BBCの北京特派員だったジェームズ・マイルズは2009年に天安門広場で虐殺はなかったと認めている。軍隊が広場へ入ったときに抗議活動の参加者はまだいたが、治安部隊と学生側が話し合った後、広場から立ち去ることが許されたという。マイルズも天安門広場で虐殺はなかったと話している。(The Daily Telegraph, 4 June 2011) 中国における当時の対立は現在でも解消されていない。1993年から国家主席を務めた江沢民を中心とする上海幇は新自由主義化で富を築いた一派で、天安門事件を生み出した問題は解決されなかった。その江沢民は2022年11月に死亡している。これで中国の権力バランスは崩れた。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.05.10

このところ、アメリカやイギリスの大手メディアがドナルド・トランプ政権の公式発表を否定するリーク情報を流している。2月28日の開戦以来、イランはペルシャ湾から物資を船舶で運び出す場合、通過しなければならないホルムズ海峡を事実上封鎖、アメリカ軍はイランが搬出を許可した船の航行を妨害しているが、そうした状況をイランは3から4カ月は耐えられと伝えられている。 CNNによると、イランの攻撃によって少なくとも西アジアにあるアメリカ軍の16基地が被害を受けて大きなダメージを受け、ワシントン・ポスト紙はアメリカ軍による空爆の後でもイランは移動式ランチャーの約75%、ミサイルの備蓄量の約70%を保持、しかもイラン政権は地下貯蔵施設のほぼすべてを復旧、再開し、損傷したミサイルの一部を修理し、開戦時にほぼ完成していた新型ミサイルの一部を組み立てた証拠があるとしている。アメリカ軍の主要な軍事施設がイラン軍に破壊された一方、イラン軍が被った損害はさほど大きくないということだ。同じ内容の記事をイギリスのデイリー・メール紙も伝えている。 こうした情報が米英の大手メディアが伝えているのは、トランプ政権の情報機関が大統領に正確な情報を伝えられないことに危機感を持っているからと言われている。トランプ大統領は周辺をイスラエルの情報機関やキリスト教シオニストに固められ、操られているというのだ。 トランプ政権がイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相と共同で実施したイランに対する奇襲はイランからの激しい報復攻撃を招き、ホルムズ海峡をタンカーや貨物船が航行できなくなり、世界に対するエネルギー資源や資料の供給が停止、世界のサプライ-チェーンは崩壊の危機に瀕している。 サプライ-チェーンの問題はCOVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)騒動の時にも持ち上がった。この騒動は2019年12月の終わりに中国の武漢の病院で肺炎患者9名ほどが見つかったところから始まる。翌年の2月4日、横浜港から出港しようとしていたクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」で患者が発見され、3月11日にWHO(世界保健機関)がパンデミック宣言、「重症の肺炎患者が街にあふれ、死者が急増する」というイメージができあがり、人びとを恐怖させた。 別のクルーズ船「グランド・プリンセス」でも患者が発見され、3000人以上が拘束された。拘束された人びとは「無症状の致死性疾患」なる話を吹き込まれ、訴追の脅迫を受け、アメリカ空軍の基地にある軍事刑務所(隔離キャンプ)に収容されたという。 アメリカの場合、パンデミック疾患の定義は基本的に発熱と咳で、ウイルスが存在するかどうかに関係なくCDC(疾病予防管理センター)は隔離命令を出すことができる。 しかし、WHOがパンデミック宣言する直前の2月28日、NIAID(国立アレルギー感染症研究所)のアンソニー・ファウチ所長を含む3名の研究者はCOVID-19の致死率が1%未満かもしれないと発表している。つまり季節性インフルエンザ並みだというのだ。これは正しかったのだが、WHOは無視する。 COVID-19でパンデミックが宣言できたのは、「新型インフルエンザ(豚インフルエンザ)」が流行(2009年1月から10年8月にかけての時期に)する直前にパンデミックの定義が変更されたからだ。「病気の重大さ」、つまり死者数が多いという条件が削られたのである。 この「季節性インフルエンザ並み」の病気に有効な薬も発表されていた。ひとつはインドでの感染を沈静化させ駆虫薬のイベルメクチン。メキシコの保健省と社会保険庁によると、2020年12月28日からCOVID-19の治療に使われ、入院患者を大幅に減らしたという。抗マラリア剤として知られているヒドロキシクロロキンを抗生物質のアジスロマイシンと一緒に処方すると効果があることも言われていた。 中国では「インターフェロン・アルファ2b」が使われ、有効だったと言われている。この薬はキューバで研究が進んでいるもので、リンパ球を刺激して免疫能力を高める働きがあるとされている。吉林省長春にも製造工場があり、中国の国内で供給できたことも幸いした。 それに対し、「COVID-19ワクチン」と名付けられた遺伝子操作薬は深刻な副作用を引き起こす。この新薬を開発したファイザー社の関連文書をFDA(食品医薬品局)は75年の間封印しようとしたのだが、WHOや各国の保健当局が怪しげな動きをしていることもあり、アメリカでは一部の専門家は情報の開示を求める訴訟を起こし、迅速な公開が命令された。 そうした文書を分析したサーシャ・ラティポワは「COVID-19ワクチン」について、アメリカ国防総省のプロジェクトだと2022年に発表する。つまり騒動は軍事作戦の結果であり、医薬品メーカーは国防総省の契約企業ということになる。そうした企業は情報を公開する必要がなく、免責だ。 病原体だとされたSARS-CoV-2(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2)は人工的に作られた可能性が高いのだが、このウイルスに感染した動物は中国でなく、北アメリカで見つかっている。北アメリカの自然界ではシカ、ノネズミ、コウモリを含む5種類の動物が感染していることが判明、それらの種はモンタナ州にあるロッキー・マウンテン研究所で実験動物として使用されていたことが突き止められた。(Jim Haslam, “COVID-19 Mystery Solved,” Truth Seeking Press, 2024) ラティポワによると、2020年2月4日に保健福祉長官はCBRN(化学、生物、核、放射線)緊急事態に関するふたつの宣言をしている。そのひとつがEUA(緊急使用許可)で、大量破壊兵器が関与する重大な緊急事態を想定、CBRN物質に対する対抗手段を安全性と有効性を確保するため、規制監督なしに使用する許可だ。 偽パンデミックは中央銀行家の道具だと主張する人もいる。インフレを煽るために紙幣を刷り、デフレを引き起こさなければならなくなると、その手段のひとつとしてパンデミックが使われるというのだ。サプライ-チェーンが崩壊すれば、経済活動が停滞する。 そして今年4月、オランダのクルーズ船MVホンディウスでハンタウイルス感染症が発生したと伝えられている。4月1日にアルゼンチンのウシュアイアを出港した同船の乗客乗員147人のうち7人が発症、4月11日に乗客1名が船内でウイルスにより死亡した。4月24日にセントヘレナ島で遺体が船から運び出され、その乗客の妻も下船、その2日後に妻も死亡。もうひとり船内で死亡した。この3人が感染したという「アンデス株」は人から人への感染する唯一のハンタウイルスだが、それでも感染は極めて稀だとされている。 実は、ハンタウイルスによるとされている病気はネズミの糞による中毒であり、極めて劣悪な衛生状態で、大量のネズミが蔓延しているような不衛生な生活環境で発生するとする説もある。この説によるとクルーズ船での感染は不自然だということになる。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.05.09

ナチ体制下のドイツ軍は1945年5月8日にベルリンで降伏文書に署名して敗北が決まった。81年前の出来事だ。その前日にドイツはフランスのランスで降伏文書に署名していたが、ソ連がそれを承認していない。 ドイツの敗北が決まったのは東部戦線。ドイツ軍は戦力を東部戦線に集中していた。西部戦線でドイツ軍と戦っていたのは事実上、レジスタンスだけ。ドイツの敗北は東部戦線で決まったのだ。ソ連に降伏することを嫌ったナチ体制は戦っていなかったフランスに降伏しようとしたと言えるだろう。 ドイツ軍は1941年6月22日、380万人以上の兵力でソ連に対する軍事侵攻を開始した。その際、西部戦線に残ったドイツ軍は90万人にすぎない。同年7月にドイツ軍はレニングラードを包囲、9月にはモスクワまで80キロメートルの地点に到達。アドルフ・ヒトラーはソ連軍が敗北したと確信、再び立ち上がることはないと10月3日にベルリンで語っているが、ウィンストン・チャーチル英首相の軍事首席補佐官だったヘイスティングス・イスメイも3週間以内にモスクワは陥落すると推測、傍観していた。(Susan Butler, “Roosevelt And Stalin,” Alfred A. Knopf, 2015) ヨーロッパの東部戦線については高みの見物を決め込んでいたチャーチル首相だが、ユーラシア大陸の東側では日本軍がインドへ軍事侵攻するのではないかと神経を尖らせていた。 そこで1941年11月にベンガル(現在のバングラデシュ周辺)でイギリスは「拒否政策」と呼ばれる焦土作戦を打ち出し、日本軍が食糧を奪わないようにサイロや倉庫から種籾を含む全ての米を押収、また輸送手段を奪うために漁民の船や自転車を取り上げた。ルーズベルト大統領も日本軍がマレーへ攻め込むと予測していたと言われている。実際、日本軍は1941年12月7日18時(UTC)にマレー上陸作戦を開始するが、その直後、同日18時18分(UTC)にハワイの真珠湾を攻撃した。 イギリスが焦土作戦を展開していた1942年10月にベンガル地方はサイクロンに襲われるなど自然災害で被害が拡大、死傷者が出ただけでなく農作物が大きな打撃を受け、食糧不足から飢餓は避けられない状態になる。 小麦はオーストラリアから調達できたが、インドの船は戦争のために使われていて運べない。チャーチル首相は1943年1月、イギリスの食糧と資源の備蓄を強化するため、インド洋で活動していた商船は全て大西洋へ移動させた。(Madhusree Mukerjee, “Churchill’s Secret War,” Basic Books, 2010) 1943年11月には現地の提督からチャーチル首相に対し、政策の継続は大惨事を招くという警告の電報が打たれ、イギリス下院では満場一致で食糧を送ると議決しているのだが、それを首相は無視。食糧を送るというルーズベルト大統領の提案も拒否している。 その結果、ベンガルでは1943年から44年にかけて大規模な飢饉が引き起こされ、餓死者の人数はベンガル周辺だけで100万人から300万人に達したと推計されている。チャーチル首相の政策がこれだけの人びとを餓死させたわけだ。 それに対し、ヨーロッパの東部戦線ではドイツ軍は1942年8月にソ連のスターリングラード市内へ突入するが、ここでソ連軍に敗北、1943年1月に降伏した。この段階でドイツの敗北は決定的。ここからアメリカやイギリスは慌てて動き始める。1943年1月にチャーチルとルーズベルトはモロッコのカサブランカで会談、シチリア島とイタリア本土への上陸を決めた。 シチリアはコミュニストの影響力が大きいため、アメリカ海軍の情報部はマフィアの力を借りることにするが、それ以降、アメリカの情報機関と犯罪組織は強く結びつく。1943年7月にアメリカ軍とイギリス軍はシチリア島に上陸した。ハスキー計画だ。そして9月に米英軍はイタリア本土を占領、イタリアは無条件降伏する。ノルマンディー上陸作戦(オーバーロード作戦)は1944年6月になってからだ。ノルマンディー上陸作戦でドイツが敗北したというイメージはハリウッド映画が作り出した幻影にすぎない。 第2次世界大戦当時、連合軍の内部には反ファシスト派と反ソ連派が存在していた。反ファシスト派の代表格はアメリカ大統領だったフランクリン・ルーズベルトであり、反ソ連派の代表格はイギリス首相だったウィンストン・チャーチルだ。 そのうちルーズベルトが1945年4月に急死、チャーチルは同年5月、ドイツが降伏した直後にソ連への奇襲攻撃を目論み、JPS(合同作戦本部)に対して作戦を立案を命令。そして5月22日にアンシンカブル作戦は提出された。 その作戦によると、攻撃を始めるのはその年の7月1日。アメリカ軍64師団、イギリス連邦軍35師団、ポーランド軍4師団、そしてドイツ軍10師団で「第3次世界大戦」を始める想定になっていたのだが、この作戦は発動していない。イギリスの参謀本部が5月31日に計画を拒否したからである。その作戦を無謀だと判断したようだ。またソ連と日本が手を組むことを懸念したという見方もある。(Stephen Dorril, “MI6”, Fourth Estate, 2000) チャーチルが退陣する直前、アメリカでは原子爆弾の開発が最終局面に差し掛かっていた。7月16日にニューメキシコ州のトリニティ実験場でプルトニウム原爆の爆発実験が行われ、成功している。7月24日にハリー・トルーマン米大統領は原子爆弾の投下を許可、7月26日に「ポツダム宣言」が発表された。そして原爆は8月6日に広島、8月9日には長崎へ投下された。宣言の受諾は8月9日の「御前会議」で決定され、翌日には連合国側へ打電されている。 日本がポツダム宣言の受諾を通告してから約1カ月後、アメリカの統合参謀本部では必要なら先制攻撃を行うことが決められた。この決定は「ピンチャー」という暗号名で呼ばれ、1946年6月18日に発効している。(Annie Jacobsen, “Area 51”, Little, Brown, 2011) 原爆を手にしたアメリカの支配階級はソ連を先制核攻撃する計画を立てる。1949年に出された統合参謀本部の研究報告では、ソ連の70都市へ133発の原爆を落とすという内容が盛り込まれていた。(Oliver Stone & Peter Kuznick, “The Untold History of the United States,” Gallery Books, 2012) チャーチルは1945年7月26日に退陣するが、大戦後の46年3月にアメリカのフルトンで「鉄のカーテン演説」を行い、「冷戦」の幕開けを宣言した。FBIの文書によると、チャーチルは1947年にアメリカのスタイルズ・ブリッジス上院議員に対し、ソ連を核攻撃するようハリー・トルーマン大統領を説得してほしいと求めている。(Daniel Bates, “Winston Churchill’s ‘bid to nuke Russia’ to win Cold War - uncovered in secret FBI files,” Daily Mail, 8 November 2014) こうしたチャーチルの政策は19世紀から続くイギリスの寡頭体制の戦略に基づいている。19世紀のイギリス政界で有力議員だったヘンリー・ジョン・テンプル(別名パーマストン子爵)は反ロシアで有名な人物で、戦時大臣、外務大臣、内務大臣を歴任した後、1855年2月から58年2月まで、そして59年6月から65年10月まで首相を務めている。 ビクトリア女王にアヘン戦争を指示したのもパーマストン卿だが、中国(清)の内陸部を制圧する戦力はなかった。その代理として大陸を侵略したのが明治維新後の日本にほかならない。明治体制をイギリス支援したのはそのためだろう。19世紀にイギリスではシオニズムが帝国主義と一体化、パレスチナ侵略も具体化した。現在、イラン、パレスチナ、ウクライナなどでは戦乱で破壊と殺戮が繰り広げられているが、それは19世紀のイギリスから始まっている。**********************************************楽天ブログにアクセスしにくい場合は下記サイトへ【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.05.08
ドナルド・トランプ米大統領は5月14日から15日にかけて中国を訪問して習近平国家主席と会談する予定だが、その中国をイランのアッバス・アラグチ外相が5月6日に訪問、王毅外相と会談した。アラグチ外相はその前にロシアを訪れ、セルゲイ・ラブロフ外相だけでなくウラジミル・プーチン露大統領と会談している。 アメリカ軍はペルシャ湾岸やイスラエルへ兵器や陸海軍の兵士をピストン輸送、5月7日にはイランを軍事攻撃すると言われていたが、5月6日にトランプ大統領は軍事作戦を中止すると発表した。その数日前から輸送機の飛行が減少している。 トランプが「プロジェクト・フリーダム」の開始を発表したのは5月4日。その直後にアラブ首長国連邦(UAE)のフジャイラ港にある石油施設で火災が発生、UAE政府はイランから攻撃があり、弾道ミサイル12機、巡航ミサイル3機、無人機4機を撃墜したと発表したが、イラン側は攻撃したとする主張を否定している。アメリカ軍によるイランへの新たな攻撃を誘発しようとするイスラエルの偽旗作戦だった疑いもある。5月5日にアメリカ政府は対イラン軍事作戦の「エピック・フューリー」の終了を宣言した。 イランに対する軍事的な圧力を強めた場合、トランプ大統領は習近平国家主席と会うことができなくなる可能性が高く、アメリカ政府は和平的な雰囲気を演出し、会談の中止を避けたかったのだと見られている。 しかし、これでアメリカによるイランに対する軍事作戦が終わる可能性は小さい。トランプ大統領に対し、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相からイランを攻撃、破壊するよう強く求められているからだ。この要求をトランプ大統領は拒否できないだろう。おそらく、上下院の議員も同じだ。 トランプ大統領やその周辺はネタニヤフからの要求に逆らえないだけでなく、イスラエルから伝えられる話を信じている節もある。イラン経済は崩壊寸前にあり、イラン政府はアメリカ政府に対して必死に合意を求めているとトランプ政権は確信しているように見えるからだ。勿論、その確信は間違っている。彼らは現実を見ていないのだ。 イラン政府はパキスタンを介してアメリカ政府に新たな和平案を提出している。その主要条項にはイスラエルとアメリカが今後攻撃イランを攻撃しないことの保証、制裁の解除、イラン周辺地域からのアメリカ軍撤退、そしてホルムズ海峡を統治する新たなメカニズムなどだ。この要求は一貫している。この要求についてイランは交渉するつもりはない。かといって、トランプ大統領はこの要求を受け入れることができないだろう。負けを認めることになるからであり、イスラエルが許さない。 そこで、トランプ大統領の中国訪問が終わった後、アメリカ軍はイランを攻撃、イランはアメリカ関連の施設、イスラエル、そしてUAEなどアメリカやイスラエルと手を組んでいる国々を報復攻撃することになると懸念されている。イスラエルが「サムソン・オプション」、つまり核攻撃をする可能性が出てくる。そうした展開を避けるため、ロシアや中国はイランに圧力を加えているようだが、それで問題が解決するとも思えない。シオニストが自分たちの目的を放棄するとは思えないからだ。**********************************************楽天ブログへアクセスしにくい場合、下記サイトへ【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.05.07

アメリカ海軍の駆逐艦2隻、USSトラクストンとUSSメイソンがホルムズ海峡の通過を図り、イラン海軍が警告射撃を実施したと伝えられている。イラン政府は警告射撃を実施している様子とされる映像を公開、同国の通信社はアメリカ側が警告を無視したことからミサイルを発射、命中したと伝えた。その数時間後にアメリカ中央軍はその報道を否定、被害は記録されていないとしている。アメリカの軍艦がホルムズ海峡へ入ろうとしてもいないとしている。同じ頃、イランの対岸にあるアラブ首長国連邦(UAE)のフジャイラで石油施設が炎上。これはイランの攻撃によるともされているのだが、イラン側は否定していた。 ホルムズ海峡の封鎖で最もダメージを受けるのは東アジアだが、中国はホルムズ海峡やマラッカ海峡を回避するルートの開発を進めてきた。そのひとつが中国とイランを結ぶ鉄道だ。アメリカとイスラエルは今回の対イラン攻撃でこの鉄道を爆撃していると言われている。 この鉄道は昨年5月に開通、上海からテヘランまで列車は15日で移動できる。イランから中国まで海上ルートを利用すると必要な日数は30日。鉄道を使うと日数は半分になる。 しかも、中国はホルムズ海峡やマラッカ海峡を通過する必要がなくなる。この鉄道は中国が進めているBRI(一帯一路)の一部で、イランから中国へ石油を輸送できるだけでなく中国製品をイランやヨーロッパへ運ぶことが可能だ。 バラク・オバマ政権は2013年11月にバラク・オバマ政権はキエフにあるユーロマイダン(ユーロ広場、元の独立広場)でクーデターをはじめ、2014年2月にビクトル・ヤヌコビッチ大統領を追放することに成功した。 オバマ政権のネオコンはこのクーデターでウクライナを乗っ取り、ロシアとヨーロッパを結びつけていた天然ガスを断ち切ることで両者を弱体化できると計算していたようだが、ロシアとの関係が深いウクライナの東部や南部の住民はクーデター体制を拒否、ロシアと一体化したり武装闘争を始めた。2014年にはアメリカとイギリスの情報機関、CIAとMI-6が香港で反中国政府の佔領行動(雨傘運動)が仕掛けている。それを見てロシアは東へ目を向けて中国と同盟関係を結んだ。 オバマ政権は2011年春からシリアやリビアでムスリム同胞団やサラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)を主力とする傭兵部隊を利用して侵略戦争を開始するが、イランの最高指導者を務めていたアリー・ハメネイ師は2018年、イランは西ではなく東に目を向けるべきだと述べた。 それ以降、中国はイランから石油化学製品、石油製品、ガス、あるいは銅精鉱、鉄精鉱などを購入、その一方でイランへはコンピュータや携帯電話といった電子機器を含む製品を供給するようになった。2019年にイランはBRI構想に参加する。鉄道の輸送能力が高まれば、両国はアメリカの妨害を受けることなく交易することが可能になる。 それに対してアメリカはインドを起点としてUAE、サウジアラビア、ヨルダン、イスラエルの占領地、そしてヨーロッパをつなぐIMEC(インド-中東-欧州経済回廊)プロジェクトを打ち出している。イスラエルがガザを破壊し、その住民を皆殺しにしようとしている理由の一因はここにあると言えるだろう。それに対し、イランはハイファを破壊した。 ペルシャ湾岸の産油国であるサウジアラビア、UAE、カタール、バーレーン、クウェート、オマーンはイスラエルと同じように、イギリスによって作り上げられた。そうした国々の「王族」とはアメリカやイギリスを拠点とする帝国主義者の代理人にすぎない。ジェフリー・エプスタインのネットワークと関係があっても不思議ではない。そうした国々と長い歴史のあるイラン(ペルシャ)とは大きな違いがある。その歴史の重さをトランプ政権は理解していないようだ。***********************************************楽天ブログへアクセスしにくい場合は下記サイトへ【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.05.06
イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相からイランを攻撃、破壊するように求められているドナルド・トランプ米大統領はアメリカ軍幹部の抵抗でイランを攻撃できないでいる。戦争権限法に基づき、イランとの戦争を継続するために議会からの承認をえなければならない期限だった5月1日、大統領はイランとの戦争が終わったと宣言した。 そして5月3日、大統領は「プロジェクト・フリーダム」の開始を「トゥルース・ソーシャル」で発表した。タグを取り替えることで戦争権限法の期限をリセットしたつもりだと言われている。5月4日から外国船舶をホルムズ海峡から誘導し始め、作戦に対する妨害には武力で対処するとると投稿したのだ。 本ブログでもすでに書いたことだが、アメリカは次の攻撃に備えて西アジアにおける戦力を増強するため、ミサイルや爆弾のほか、陸海軍の要員をピストン輸送している。2月28日以降、アメリカはイスラエルへ11万5600トン以上の装備を運び込み、イスラエルはUAE(アラブ首長国連邦)に対し、小型ドローン探知システム「スペクトロ」、アイアンビーム・レーザー防衛システム、アイアンドーム・ミサイル防衛システムの供与を開始、両国の情報共有も始めたと伝えられている。 イランとの戦争でアメリカとイスラエルは降伏していないものの、敗北している。戦況を変えるためには核兵器を使わざるをえないが、これには統合参謀本部が反対していると噂されている。 そして5月4日、トランプ大統領が「プロジェクト・フリーダム」の開始を発表した直後にUAEのフジャイラ港にある石油施設で火災が発生した。UAE政府はイランから攻撃があり、弾道ミサイル12機、巡航ミサイル3機、無人機4機を撃墜したと発表したが、イラン側は攻撃したとする主張を否定している。 イランがUAEを攻撃する理由として、UAEがOPECから脱退したことやホルムズ海峡を迂回するためにフジャイラを起点とする新たな石油輸出ルートを建設するという計画が挙げられているのだが、この微妙なタイミングで攻撃する理由にはならない。それに対し、アメリカ軍の反対を押し切り、イスラエルの求めに応じてイランを攻撃したいトランプ大統領には動機がある。 アメリカがイランを軍事攻撃した場合、イランは強力な報復攻撃を準備していると言われている。単純に戦力を比べていもアメリカ軍が大惨事になること避けられれない。だからこそ、アメリカ軍はイランに対する攻撃に反対しているわけだが、この攻撃を命じているのはアメリカ軍の大惨事を気にしていない人たちだ。何らかの戦果をあげ、勝利を宣言して撤退したいのかもしれないが、勝利を宣言できるような状況を作れない可能性は高い。**********************************************楽天ブログへアクセスしにくい場合、下記サイトへ【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.05.05

自衛隊は5月4日、フィリピンでアメリカ軍やフィリピン軍の合同軍事演習「バリカタン」に参加、3カ国合計約800名のうち約40名は陸上自衛隊の「水陸機動団」に所属する隊員だったという。2024年3月に陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊を一元的に指揮する常設組織として統合作戦司令部が編成されて以降、自衛隊はアメリカ軍の指揮下に入ったと考えられている。アメリカ軍の下部組織としての演習だと言えるだろう。 2023年2月、防衛大臣だった浜田靖一は自衛隊は亜音速巡航ミサイル「トマホーク」を導入する予定だと発表した。当初の計画では、2026年度と27年度に射程距離1600キロメートルのトマホークを最大400発導入するとしていたが、10月になると木原稔防衛相はアメリカ国防総省でロイド・オースチン国防長官と会談した際に、旧タイプのトマホークを1年前倒しで最大200機購入することを決めたという。 アメリカ国防総省系のシンクタンク「RANDコーポレーション」が2022年4月に発表した報告書によると、GBIRM(地上配備中距離弾道ミサイル)で中国を包囲する計画を彼らは持っている。日本は国防総省の計画に基づき、GBIRM(地上配備中距離弾道ミサイル)で中国を包囲する計画を進め、自衛隊は2016年に与那国島でミサイル発射施設を建設、19年には奄美大島と宮古島、そして23年には石垣島でも施設を完成させた。中国を攻撃する準備が粛々と進められている。辺野古へ人々の注意を逸らさせる必要はなくなった。 2022年10月になると、「日本政府が、米国製の巡航ミサイル『トマホーク』の購入を米政府に打診している」とする報道があった。亜音速で飛行する巡航ミサイルを日本政府は購入する意向で、アメリカ政府も応じる姿勢を示しているというのだ。 トマホークは核弾頭を搭載でる亜音速ミサイルで、地上を攻撃する場合の射程距離は1300キロメートルから2500キロメートル。核弾頭を搭載することも可能で、中国やロシアの内陸部にある軍事基地や生産拠点を先制攻撃できる。 アメリカでの改修を完了したイージス駆逐艦「鳥海」にトマホークの発射能力が付与されたが、今年4月にアメリカは日本に対し、2028年3月までに納入される予定だった400発のトマホークの引き渡しが遅れると伝えたとされている。アメリカとイスラエルが始めた対イラン戦争でミサイルが枯渇したためだろう。 アメリカは他国を攻撃するためにトマホークを使ってきた。例えば2017年4月、地中海に配備していた2隻の駆逐艦、ポーターとロスから巡航ミサイルのトマホーク59機をシリアのシャイラット空軍基地に向けて発射。この攻撃はドナルド・トランプ大統領がフロリダ州で中国の習近平国家主席とチョコレート・ケーキを食べている最中に実行されている。 トランプ大統領は中国を恫喝するつもりだったのだろうが、発射されたミサイルのうち6割が無力化された。恫喝できなかっただけでなく、ロシア製防空システムの優秀さを示すことになり、トランプ政権の思惑は外れた。 その1年後の2018年4月、アメリカ軍はイギリス軍をフランス軍と合同でシリアに対し、100機以上のトマホークを地中海、紅海、ペルシャ湾から発射した。ミサイルの数も倍増させたのだが、7割が無力化されている。この攻撃は板門店で韓国と朝鮮の首脳が会談する13日前に実施された。短距離用防空システムのパーンツィリ-S1が効果的だったと言われている。その後、ロシアの防空はこのコンビネーションが使われているようだ。 アメリカ海軍はイランに対してもトマホークを使ったのだが、イランはロシアの防空システムを使っていない。しかもイランが開発した防空システムも意図的に使わなかった可能性がある。システムやミサイルを地下施設に隠し、アメリカやイスラエルにミサイルを使わせようとしたというのだ。これを「モハメド・アリ戦法」と呼ぶ人もいた。 アメリカとイスラエルがイランを奇襲攻撃した直後、イランからの報復攻撃は始まり、イスラエルの主要都市や西アジアのアメリカ軍基地が大きな損害を受けたことは本ブログでも繰り返し書いてきた。イランを短時間で屈服させることができなかったアメリカやイスラエルは攻撃用ミサイルも足りなくなる。アメリカが生産できる量の2年間分がすでに消費されたと言われている。そこで、日本へ引き渡す分を西アジアの部隊への補充に回さなければならなくなったわけだ。 日本に配備されるトマホークをアメリカがどのように使うつもりかはイランに対する攻撃を見ると推測できる。中国や朝鮮は日本に配備されるミサイルが自分たちに向いていると考えるはずであり、報復攻撃の準備もするだろう。 その考えに基づき、1992年2月にアメリカ国防総省のDPG(国防計画指針)草案として作成されたネオコンの世界征服プロジェクト、いわゆる「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」の最優先事項は新たなライバルの出現を防ぐことだが、ドイツと日本をアメリカ主導の集団安全保障体制に統合し、民主的な「平和地帯」を創設する、つまりドイツと日本をアメリカの戦争マシーンに組み込み、アメリカの支配地域を広げるということも謳われている。ネオコンの計画通りに進んでいる。日本はウクライナやペルシャ湾岸産油国のようになりかねない。**********************************************楽天ブログへアクセスしにくい場合は下記ブログへ【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.05.05
アメリカ軍とイスラエル軍がイランを奇襲攻撃した直後にイラン軍は報復攻撃を開始、西アジアにあるアメリカ軍基地は大きなダメージを受けたことは早い段階から指摘されていている。その事実をCNNが5月1日に伝えた。イラン軍攻撃で被害を受けた基地は少なくとも16か所だとしている。 CNNはネオコンの広報機関とみなされているメディアだが、1998年6月にはアメリカ軍のMACV-SOG(ベトナム軍事援助司令部・調査偵察グループ)が1970年に逃亡米兵をサリンで殺害したと報じている。その作戦名はテイルウィンド(追い風)。CNNは軍関係者だけでなく有力メディアから攻撃され、調査を行ったふたりのプロデューサーは誤報だと認めるように要求されるが拒否、解雇された。そのひとり、エイプリル・オリバーによると、放送では示されなかった重要な情報をCNNは隠しているという。 その作戦に関する重要な証言をしたひとり、トーマス・ムーラー提督は1970年から74年まで統合参謀本部議長を務めた人物。それに対し、MACV-SOGは情報機関と特殊部隊が母体で、指揮系統は正規軍と別である。つまりムーラー提督はテイルウィンドと無関係であり、沈黙を守る必然性もなかった。 その放送の翌年、アメリカ陸軍の第4心理作戦群の隊員が2週間ほどCNNの本部で活動していたことも明らかになっている。「産業訓練」というプログラムの一環で、編集に直接はタッチしていなかったとしても、心理戦の部隊を受け入れると言うこと自体、報道機関としては許されない行為だ。アメリカ軍の広報担当だったトーマス・コリンズ少佐によると、派遣された軍人はCNNの社員と同じように働き、ニュースにも携わったという。 この事実を最初に報じたのはフランスのインテリジェンス・ニューズレターで、オランダのトロウ紙が2000年2月21日に後を追う。アメリカ軍の広報担当、トーマス・コリンズ少佐によると、派遣された軍人はCNNの社員と同じように働き、ニュースにも携わったという。(Trouw, 21 February 2000) アメリカとイスラエルによる奇襲攻撃を受けたイランはミサイルやドローンで反撃を開始、イスラエルのテルアビブやハイファといった都市を破壊し、ディモナにあるシモン・ペレス・ネゲブ原子力研究センター(ディモナ原子炉)に近い場所も攻撃した。 また、カタールにあるアル・ウデイド空軍基地、クウェートのアル・サレム基地、アラブ首長国連邦(UAE)のアル・ダフラ空軍基地、バーレーンのアメリカ軍第5艦隊基地、サウジアラビアのリヤドにあるプリンス・スルタン空軍基地なども攻撃。3月27日にはサウジアラビアのプリンス・スルタン空軍基地に駐機していたAWACS(早期警戒管制機)のE-3と2機のEC-130H電子戦機をイラン軍は破壊、KC-135空中給油機複数機も機能不全の状態にした。 イランは何年も旱魃で苦しんでいたのだが、アメリカ軍基地が攻撃された後、イランとその周辺では豪雨が発生、一部の地域では雪が降り、人びとを驚かせた。 西アジアの乾燥した地域で雨が降ることは珍しい。チグリス川とユーフラテス川の水量は増加し、砂漠には花が咲き、干上がっていた湖には水と生命が戻った。枯れていたダムは満水状態になり、放水を開始したという。 この劇的な気象の変化をもたらした原因はイラン軍がペルシャ湾岸諸国にあるアメリカ軍のレーダー施設全てを破壊したことにあると考える人が少なくない。ドップラー式気象レーダー網のNEXRADに疑惑の目が向けられている。 善良なる研究者などから「実現不可能」とされている気候工学だが、その共同プロジェクトをイスラエルとUAEは1990年代に開始した。そして2010年から15年あたりからイラン周辺の水問題が始まる。イランのマフムード・アフマディネジャド大統領は2011年に「彼らは我々の雨を盗んでいる」と発言した。勿論こうした「陰謀論」は相手にされないことになっている。ただ、イランがペルシャ湾岸のアメリカ軍基地を破壊した後、長期にわたって続いた旱魃は終息したことは確かだ。***********************************************楽天プログにアクセスしにくい場合、下記サイトへ【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.05.04
2020年代に入ってから「テクノ-ファシズム」の危険性が警告されるようになった。情報機関と結びついたIT(情報技術)企業が不特定多数の人びとを監視する収容所国家が築かれているということだが、この技術は遺伝子操作を含む生物工学と結びつき、人びとのロボット化という悪夢が浮上してきたのだ。ドナルド・トランプ政権はIT企業群の経営者たちと緊密な関係にある。 そうしたIT企業群の中で、現在、中心的な役割を果たしている企業はパランティア。2003年にCIAのベンチャー・キャピタル部門であるIn-Q-Telからの資金で創設された会社で、イスラエルの情報機関とも関係が深く、パランティアの共同創設者である現在会長のピーター・ティールはドナルド・トランプ大統領を支持、J・D・バンス副大統領のスポンサーとしても知られている。 同社はイスラエルを積極的に支援、イスラエル軍によるガザでの住民虐殺に絡んで軍事監視や航法システムを開発したという。アムネスティ・インターナショナルによると、パランティアはアメリカにおける人権侵害、イスラエルの軍や情報機関への人工知能製品やサービスの継続的な供給において、国際法や国際基準を露骨に無視してきた。 ピーター・ティールは決済サービス企業のペイパルを創業した人物でもあり、彼が重役を務めているカービンは緊急通報システムで知られる会社。カービンの重役は大半がイスラエルの電子情報機関である8200部隊の元将校だ。カービンの出資者にはイスラエル軍の情報機関アマンの局長を経て参謀総長、そして首相に就任したエフード・バラクが含まれる。バラクは同社の会長に就任した。 カービンの主要な資金源のひとりがジェフリー・エプスタイン。言うまでもなく彼は性犯罪の容疑で逮捕され、収監中に死亡した人物。エプスタインは未成年の男女を有力者に提供する一方、そうした関係を記録して有力者を脅して操っていたとされている。 パランティアの監視システムは大衆を24時間365日監視、彼らからプライバシーを奪うが、エプスタインの仲間が行ってきた富豪たちの「ソドムとゴモラ」的な行為は暗闇の中に隠されるはずだった。 エプスタインはバラクとビジネスの上でつながっていたのだが、バラクによると、彼をエプスタインに引き合わせたのは、イスラエル労働党の政治家で首相にもなったシモン・ペレス。その兄弟であるギデオン・ペルスキーが創設したスイス・イスラエル銀行から融資を受けていたブルース・ラッパポートはウイリアム・ケイシーの友人だ。(Whitney Webb, “One Nation Under Blackmail Vol. 1,” Trine Day, 2022) 8200部隊からスピンアウトした誕生した企業はアメリカの通信システムに「裏口」を組み込み、インターネットやコンピュータの分野で大きな影響力を持つ企業、例えばAlphabet、マイクロソフト、メタなどと結びついている。 対イラン攻撃でアメリカ軍はAIを活用したパランティアのミッション統制システム「メイブン・スマート・システム」を使い、攻撃開始から24時間に約1000カ所を攻撃、10日以内に攻撃目標は5000に達したとされている。 その際、イランの最高指導者だったアヤトラ・アリ・ハメネイ師のほか、アブドルラヒム・ムサビ参謀総長、アジズ・ナシルザデ国防相、イラン革命防衛隊(IRGC)のモハメド・パクプール司令官、そして最高安全保障委員会(SNSC)事務局長でハメネイ師の顧問を務めていたアリ・シャムハニを含むイランの要人を殺害した。 パランティアのシステムはパターンを分析し、次に何が起こるかを推測、戦争の全サイクルを網羅する統合システムを段階的に構築しているとも言われている。その推測に基づく軍事作戦でアメリカは簡単に勝てるとドナルド・トランプ大統領も信じていたのだろうが、目論見は外れた。IAEA(国際原子力機関)はイランに関する報告書を作成する際、パランティアのAIで作成したという。 パランティアは2019年11月、SOMPOホールディングスと共同で日本法人のパンティール・テクノロギーズ・ジャパンを設立、ヤマトホールディングスと提携。2020年11月に富士通はパランティア・ジャパンと戦略的なグローバル・パートナーシップの発展に向けた契約を締結したと発表している。また同社今年1月に小泉進次郎防衛相はワシントンDCのパランティアを訪問した。アメリカ国防総省のDARPAやDIUと関係の深い防衛装備庁のDISTIは富士通、Sakana AI、パランティアと密接な関係を築いている。こうした企業の背後にはイスラエルの電子情報機関が存在していると言える。 国内だけでなく地球規模で人びとを監視するシステムをアメリカやイギリスの情報機関が築き始めたのは1970年代のこと。そうした状況はアメリカの上院でも問題になり、1975年1月に「情報活動に関する政府の工作を調べる特別委員会」が設置され、76年5月には「情報特別委員会」が設立された。下院では1975年2月に「情報特別委員会」が設置され、この問題が議論されている。 上院の委員会で委員長に就任したフランク・チャーチ議員は1975年8月にネットワーク局のNBCで放送されていたミート・ザ・プレスという番組に出演、そこでアメリカ政府の通信傍受能力はアメリカ国民に向けられる可能性があり、そうなると人々の隠れる場所は存在しないと警鐘を鳴らした。 これは世界的な問題になるのだが、日本ではマスコミも学者も「市民活動家」も無視していた。個人的な経験で恐縮だが、その重要性を彼らに訴えても「聞く耳を持たない」という態度だった。ところが検察は違う。法務総合研究所はアメリカで開発された監視システムPROMISに関する報告を1979年3月と80年3月、概説資料と研究報告の翻訳として『研究部資料』に掲載している。PROMISを含む監視技術に関する話は拙著『テロ帝国アメリカは21世紀に耐えられない』(三一書房、2005年)で説明した。2010年に出版が予定されていた続編でも新しい情報を加えて説明するつもりだったが、この出版計画は立ち消えになった。 テクノ-ファシズムは戦争や虐殺と結びついているが、ジョン・F・ケネディ大統領は1963年6月10日、アメリカン大学における卒業式でソ連との平和共存を訴えた。アメリカにとって都合の良い「平和」を軍事力で世界に押しつける「パックス・アメリカーナ」を否定することから始まり、アメリカ市民は「まず内へ目を向けて、平和の可能性に対する、ソ連に対する、冷戦の経過に対する、また米国内の自由と平和に対する、自分自身の態度を検討しはじめるべき」(長谷川潔訳『英和対訳ケネディ大統領演説集』南雲堂、2007年)だと語りかけたのだ。そのケネディは同年11月22日にテキサス州ダラスで暗殺された。 その後リンドン・ジョンソン、リチャード・ニクソン、ジェラルド・フォード、ジミー・カーター、ロナルド・レーガン、ジョージ・H・W・ブッシュ、ビル・クリントン、ジョージ・W・ブッシュ、バラク・オバマ、ドナルド・トランプ、ジョー・バイデンが大統領を務めている。緊張緩和を目指したニクソンはスキャンダルで辞職に追い込まれたが、それ以外の大統領は大同小異。国外では侵略戦争、国内では収容所化を進めて強者を富ませるシステムを築いてきた。 こうした政策は上位0.1%の富豪を富ませたものの、大多数の人びとを貧困化させ、不幸にしてきた。ドナルド・トランプを支持した人びとの多くはそうした政策を変えさせたかったのだろうが、その希望は叶わなかった。叶うわけがないのだ。こうした政策を推進している「悪党」を排除すれば人びとが幸せになるというわけではない。人びとを不幸にする政策は個人でなくシステムが生み出しているのである。 このシステムを築き、維持してきた人びとはいるが、個人を排除してもシステムが存在している限り、政策は基本的に変わらない。世界の大半を支配している現在のシステムは通貨を崇めるカルト集団によって作られたと主張した人もいる。 小説家のベンジャミン・ディズレーリはイギリス首相だった1875年にスエズ運河運河を買収している人物。そのディズレーリが書いた小説『コニングスビー』の中に、次のようなことが書いてある。「(ジョン・)ハムデン(オリバー・クロムウェルの従兄弟)による最初の運動から1688年の最後の最も成功した運動(名誉革命)に至るまで、イングランドにおけるホイッグ党指導者たちの最大の目的はベネチア共和国をモデルとした高貴な貴族制の共和国をイングランドに樹立することであり、当時のあらゆる思索的な政治家がそれを研究し称賛することだった。」 「ベネチア共和国をモデルとした高貴な貴族制の共和国」とは寡頭制にほかならない。オリガーキーだ。EUは寡頭制であることを隠していないが、「民主主義」なるタグをつけている西側諸国のシステムも寡頭制だ。民主主義体制ではない。民主的な政策が打ち出されたとしても、寡頭制という枠組みの中でのこと。儚い幻影だ。 1970年代以降、支配システムの中でエレクトロニクス技術が果たす役割が飛躍的に拡大、最近ではAIがその中心になりつつある。さらに遺伝子を人工的に操作する技術と一体化し、人間をコンピュータ・システムにおける端末のようにしようとしている。テクノ-ファシストには倫理観がない。彼らの技術が実用化されれば労働者も兵士もいらなくなる。いらない人間を食べさせる必要がないと彼らは考えているようで、そこから人口削減という話も出てくる。***********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.05.03
アメリカ政府にとってウクライナとイランは重荷になっている。両国で彼らは簡単に勝てると考えて戦争を始めたが、いずれも敗北しつつあるのだ。勝利を演出して泥沼から抜け出したいのだろうが、それもできないでいる。戦況が優勢なロシアやイランは降伏を求めるだろうが、それをアメリカは受け入れ難い。ギャンブルで一発逆転を狙うしかなさそうだが、成功する確率は小さい。 それでもアメリカはイランとの停戦にこぎつけ、次の戦闘に備えて戦力の増強を図り、イスラエルに対しては1日で6500トンのアメリカ製兵器を運び込んだ。2月28日以降、アメリカはイスラエルへ11万5600トン以上の装備を輸送したという。ドナルド・トランプ政権がイランに対する新たな攻撃の準備をしている可能性は高い。アメリカ海軍は西アジアにふたつの空母打撃群を配備している。 また、イスラエルはUAE(アラブ首長国連邦)に対し、小型ドローン探知システム「スペクトロ」、アイアンビーム・レーザー防衛システム、アイアンドーム・ミサイル防衛システムの供与を開始、両国の情報共有も始めたと伝えられている。 停戦はイスラエルとアメリカがイランに対する次の戦争を準備するための時間稼ぎにすぎないと見られているが、停戦発表から1週間が経過した後でもホルムズ海峡の通常航路は再開されず、イランによる航路管理とアメリカによる取り締まりの下での航行。アメリカ海軍は艦艇は攻撃されることを避けるため、イランの沿岸から200マイル(320キロメートル)沖合にいる。 停戦が発表される前日の4月7日には11隻の船舶がホルムズ海峡を通過したが、4月11日には17隻、封鎖が発表された4月12日には21隻、4月13日には17隻が通過した。4月14日には合計19隻の船舶が航行したが、そのうち外へ出た船は14隻、中へ入った船は5隻だった。 これからも封鎖を継続する可能性があるが、それでイランが屈服することは考えにくい。アメリカがホルムズ海峡の航行を妨害し続けるならば、イランは「懲罰的な対応」をするともいう。 トランプ政権にはベンヤミン・ネタニヤフ政権と協力してイランに対する新たな爆撃作戦を始めるか、「勝利」を宣言して撤退するという選択肢もある。どの道を進むかは不明だ。アメリカ中央軍はイランに対する「短期間で強力な」攻撃計画を準備しているとも言われているが、イランからの強烈な報復は避けられない。すでに西アジアのおけるアメリカ軍の基地やアメリカの石油施設はイランの攻撃でダメージを受けているが、イランは大規模な弾道ミサイル攻撃を実施すると警告している。そうした展開にアメリカは耐えられないかもしれない。 つまり、アメリカにとって最もリスクの小さい手段は経済戦争。トランプ政権はイラン封鎖を長期化させる準備をするように指示したと言われているが、イランが石油を積み込んだタンカーはアメリカの封鎖を突破できる。20隻程度のタンカーを同時に出航させた場合、アメリカが阻止できるのは1割程度にすぎない。イランあhカスピ海を経由してロシアとも繋がっているが、中国へイランから鉄道で石油を運ぶという案もあるようだ。 パキスタンはアメリカの封鎖を回避するため、イランとの間に6つの回廊を開設したというが、イランはそのパキスタンへ3段階の計画を伝えたという。交渉の第一段階は戦争の完全終結と国連の確かな保証、戦争終結後のホルムズ海峡の管理についての協議、そして核問題。イランは戦争が終結するまでアメリカと核開発計画について交渉する意思はないということだが、トランプ政権は核合意なしに戦争は終結しないと主張している。 そこでアッバス・アラグチ外相のロシア訪問が注目されている。その際、サンクトペテルブルクでセルゲイ・ラブロフ外相だけでなく、ウラジミル・プーチン露大統領と会談したのだ。イランはロシアと連携している。そして中国とも。トランプ大統領はイラン問題でロシアや中国も相手にしなければならない。 アメリカとイスラエルは2020年1月、IRGC(革命防衛隊)のクッズ軍を指揮していたガーセム・ソレイマーニーをバグダッド国際空港で暗殺した。そのソレイマーニーは2019年5月、今年のラマダン期間中にイランとアメリカの間で戦争が起こり、ホルムズ海峡が交渉の材料になると予言する演説を行なっていた。その映像が話題になっている。***********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.05.02
ロシア軍の元参謀総長で、国防副大臣を務めたこともあるユーリー・バルエフスキーはウラジミル・プーチン露大統領のウクライナを舞台として戦争への取り組み方を批判、話題になっている。プーチンのNATOに対する姿勢が弱腰で、そこをつけ込まれてロシアの未来を危うくしていると言うのだ。バルエフスキーだけでなく、モスクワのエリート層はウクライナ戦争終結のためにプーチン大統領が断固とした行動を取らなかったことに不満を抱いていると言われている。 こうした批判はアメリカの元政府高官などからも聞かれる。断固とした姿勢を見せないとネオコンは付け上がり、事態を悪化させるとしている。NATO諸国と合意が成立するとプーチン政権は考えているのかもしれないが、それは幻想に過ぎない。 プーチン大統領が断固たる行動に出ない理由のひとつは話し合いで解決したいという思いがあるのだろうが、アメリカ、イギリス、イスラエルといった類の国々には通用しないだろう。こうした国々がこれまでに行ってきたことを振り返れば明らかだ。交渉は時間稼ぎであり、合意を自分たちは守らず、相手には守らせる。騙し討ちも得意技だ。そうした手法でアメリカやイスラエルはイランの指導層は殺されてきた。 こうした国々を相手にしていれば、バルエフスキーのような主張をする人が出てきて当然だが、西側はそれを狙っている可能性がある。ロシア、中国、イランなどの指導部で内紛が起こることを西側は願っているだろう。西側の大手メディアはバルエフスキーの発言を利用したいはずだ。 しかし、プーチンの「甘い対応」がNATO諸国を戦争へと引き摺り込み、疲弊させているとも言える。ウクライナやイランでの戦争で欧米諸国やイスラエルの兵器は枯渇状態。「停戦」で態勢を立て直そうするものの、金融化が促進された西側諸国の生産能力はロシアや中国に比べて劣る。NATOが兵器や情報をウクライナ人に提供すればロシア人を弱体化せられ、その上で攻撃すればNATOは勝てると考えたのだろうが、そうした展開にはなっていない。ジハード傭兵やネオ・ナチでゲリラ戦を挑むのかもしれない。 西側メディアはNATOの軍事力は強大であり、ロシアのそれは弱いと本気で信じているかもしれないが、それは妄想に過ぎない。ウクライナでの戦争を見るだけでも明らかだ。1991年12月にソ連が消滅した後、米英の私的権力は致命的な失敗を犯した。ロシアやイランといった国と本当に戦争を始めてしまったのだ。その結果、彼らの幻術は効力をなくした。イギリスはアヘン戦争後、東アジア侵略の代理として日本を使ったが、現在の日本に中国に対抗するだけの戦力があるとも思えない。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.05.01
イギリス国王のチャールズ3世は4月28日、アメリカ下院本会議場で演説、その中で2001年9月11日の攻撃を持ち出した。ニューヨークの世界貿易センターとバージニア州アーリントンの国防総省本部庁舎(ペンタゴン)に対する攻撃、いわゆる「9/11」だ。その直後にNATO(北大西洋条約機構)はNATO条約第5条に基づく緊急事態を宣言、一致団結したとチャールズは指摘、同じように今日、ウクライナを守るため、その揺るぎない決意が必要だと主張。NATOが一致団結してロシアとの戦争に突入しようと訴えたわけだが、アメリカの下院議員はそれに総立ちの拍手で応えた。 ウクライナを舞台にした戦争は、短期的に見ても、バラク・オバマ政権が2013年11月から14年2月にかけてキエフでクーデターを仕掛けたところから始まる。2010年の大統領選挙で勝利したビクトル・ヤヌコビッチを排除し、アメリカの傀儡体制を樹立しようとしたのだが、東部ドンバスの住民は反クーデター軍を組織して抵抗を開始、南部クリミアの住民はキエフの状況を素早く察知、ロシアに保護を求めた。 こうした事実はアメリカ軍の内部からも噴出してくるようになった。例えば、元デルタフォース指揮官のピート・ブレイバーがアメリカ国民にウクライナの犠牲について真実を語っている。彼によると、すでに約125万人のウクライナ兵士が死亡、ブチャでの「虐殺事件」はまるで冗談のような作り話だとしている。これは「事件」当時から明白だったのだが、それをデルタフォースの元指揮官が話っているのは興味深い。 ウクライナの情報機関員が凍ったトラックから遺体を引き出し、地面に横たえ、両手を縛っている様子を虐殺現場にいたフランス人記者が目撃したのだが、西側の大手メディアは報道しなかったとしている。確かにその通りだ。 ロシア軍が占領したどの都市でもロシア兵は解放者として歓迎されるとブレイバーも認めている。ロシア軍が到着すると人びとは外へ出てきて祝い、自分たちの街にウクライナ軍が駐留していたために自分たちが暮らしていた過酷な状況について語り合うとしている。 オバマ政権がクーデターの実行グループとして使ったのはネオ・ナチだが、そのネオ・ナチを操っていたのはMI6やCIA、つまりイギリスやアメリカの情報機関。それに対し、ウクライナの軍や治安機関に所属していた人の約7割はネオ・ナチ体制を嫌って離脱したと言われている。 クーデターでウクライナに米英の傀儡体制を築くひとつの目的はロシアの隣国をNATOの支配下に置くことでロシアに軍事的な圧力を加えることにあったが、ロシアとヨーロッパ諸国を分断して両者を弱体化させることも狙っていた。 ロシアとヨーロッパ諸国を結びつけていたのはロシア産の安価な天然ガス。ドイツをはじめとするヨーロッパ諸国の生産活動や社会生活はそのエネルギーによって支えられていた。ロシアから見るとヨーロッパ諸国は巨大マーケットであり、それを奪われるとロシア経済は崩壊すると見られていた。実際、ヨーロッパの生産活動は麻痺し、社会生活は崩壊した。 その2014年には香港でCIAとMI6が「佔領行動(雨傘運動)」なる反中国運動を展開、中国とロシアは接近、戦略的な同盟を結んだ。その関係を強化するために天然ガスを輸送するパイプライン、鉄道、道路などを建設し始め、中国のBRI(一帯一路)とロシアを中心とするユーラシア経済連合を連結させる動きがある。 イギリスやアメリカは海軍力でユーラシア大陸の周辺部を支配し、内陸部を締め上げようとしてきた。その戦略をハルフォード・マッキンダーという学者が1904年にまとめ、発表している。ジョージ・ケナンの「封じ込め政策」やズビグネフ・ブレジンスキーの「グランド・チェスボード」もその理論がベースになっている。 19世紀前半のイギリス政界に君臨していたヘンリー・ジョン・テンプル(別名パーマストン子爵)はロシアをイギリスにとって最大のライバルとみなし、「ウクライナ人はわれわれが反ロシア蜂起のストーブに投げ込む薪だ」と語り、ポーランドをロシアとドイツの間の障壁として復活させる計画を立てていた。これは現在も機能している。 また、パーマストン子爵は中国におけるイギリスの権益を守るためにチャールズ・エリオットを1836年に広東へ派遣、東インド艦隊の軍事行動の規制を緩めて清(中国)への軍事的な圧力を強化、1840年にはアヘン戦争を仕掛けている。彼の政策はセシル・ローズ、ナサニエル・ロスチャイルド、アルフレッド・ミルナー、ウィンストン・チャーチルらが引き継いだ。 その後、セシル・ローズもアングロ・サクソンが世界を征服するべきだと主張している。彼は1871年にNMロスチャイルド&サンの融資を受けて南部アフリカでダイヤモンド取引に乗り出して大儲けした人物で、1877年6月にフリーメーソンへ入会した後、彼は『信仰告白』を書いている。 その中で彼はアングロ・サクソンが最も優秀な人種だと主張、その優秀な人種が住む地域が増えれば増えるほど人類にとってより良く、大英帝国の繁栄につながると主張、秘密結社はそのために必要だとしている。この考えは帝国主義として現実化した。 作家で政治家でもあったベンジャミン・ディズレーリは小説の中でこうしたイギリス支配層について書いている。例えば1844年に出版された『カニングスビー』には、「(ジョン・)ハムデン(オリバー・クロムウェルの従兄弟)による最初の運動から1688年の最後の最も成功した運動(名誉革命)に至るまで、イングランドにおけるホイッグ党指導者たちの最大の目的はベネツィア共和国をモデルとした高貴な貴族制の共和国をイングランドに樹立することであり、当時のあらゆる思索的な政治家がそれを研究し称賛することだった」としている。 15世紀から17世紀にかけてポルトガルとスペインは世界を荒らし廻り、富を築いていた。1521年にエルナン・コルテスは武力でアステカ王国(現在のメキシコ周辺)を滅ぼして莫大な金銀を奪い、インカ帝国(現在のペルー周辺)ではフランシスコ・ピサロが金、銀、エメラルドなどを略奪しながら侵略を続けて1533年には帝国を滅ぼしている。 莫大な量の貴金属を盗んだだけでなく、ヨーロッパの侵略者は先住民を酷使して鉱山開発も行った。その象徴的な存在がボリビアのポトシ銀山。1545年に発見されたこの銀山だけで18世紀までに15万トンが運び出されたとされ、スペインが3世紀の間に南アメリカ全体で産出した銀の量は世界全体の80%に達したと言われている。 ただ、略奪の詳細は不明で、全採掘量の約3分の1は「私的」にラプラタ川を経由してブエノスアイレスへ運ばれ、そこからポルトガルへ向かう船へ積み込まれていたという。16世紀の後半にスペインはフィリピンを植民地化、銀を使い、中国から絹など儲けの大きい商品を手に入れる拠点として使い始めた。(Alfred W. McCoy, “To Govern The Globe,” Haymarket Books, 2021) そうした財宝を運ぶスペインの船を海賊に襲わせ、奪っていたのがイギリスにほかならない。エリザベス1世の時代にイギリス王室が雇った海賊は財宝を略奪しただけでなく、人もさらっていた。イギリスの海賊の中でもジョン・ホーキンス、フランシス・ドレイク、ウォルター・ローリーは特に有名だ。 ジョン・ホーキンスは西アフリカでポルトガル船を襲って金や象牙などを盗み、人身売買のために拘束されていた黒人を拉致、その商品や黒人を西インド諸島で売って金、真珠、エメラルドなどを手に入れてい他のだが、こうした海賊行為をエリザベス1世は評価、ナイトの爵位を彼に与えている。 フランシス・ドレイクは中央アメリカからスペインへ向かう交易船を襲撃して財宝を奪い、イギリスへ戻る。彼もホーキンスと同じように英雄として扱われた。女王はそのドレイクをアイルランドへ派遣して占領を助けさせるが、その際、ラスラン島で住民を虐殺したことが知られている。その後も海賊行為を働いたドレイクもナイトになっている。 ホーキンスやドレイクについで雇われた海賊のウォルター・ローリーは侵略者のイングランドに対して住民が立ち上がったデスモンドの反乱を鎮圧するため、アイルランドにも派遣された。ローリーも後にナイトの爵位が与えられている。(Nu’man Abo Al-Wahid, “Debunking the Myth of America’s Poodle,” Zero Books, 2020) チャールズ3世は今回、アメリカ議会で帝国主義の推進を宣言した。アメリカやイギリスは現在も同じ戦略に基づき、同じことをしていると言うべきだろう。アメリカやイギリスはすでにウクライナへ傭兵や兵器のオペレーターだけでなく、特殊部隊や情報機関員を派遣、さらに衛星からの情報を提供している。すでにロシアとの「代理戦争」という段階は過ぎ、直接的な戦いになっている。その戦いのため、NATO諸国は一致団結しろとイギリス国王は求めているのだ。ロシア側もNATOとの直接的な戦争が本格化すると覚悟しているだろう。**************************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.04.30
イランのアッバス・アラグチ外相はアメリカ政府の代表団との会談を拒否してパキスタンとオマーンを訪問した後、ロシアを訪れ、サンクトペテルブルクでウラジミル・プーチン露大統領と会談した。 その席でプーチン大統領はイランの最高指導者であるモジュタバ・ハメネイ師から書面によるメッセージを受け取ったと語り、またイラン国民について国家主権を守るために「勇敢かつ英雄的に」戦っていると称賛した。ロシアを訪問したアラグチ外相がセルゲイ・ラブロフ外相だけでなく、プーチン大統領と直接会談したことに注目する人は少なくない。ロシアがイランとの緊密な関係を世界にアピールしていると言えるだろう。 モジュタバ・ハメネイ師が負傷している、死んだのではないか、あるいはイラン指導部の中で混乱が生じているといった噂が流れているが、根拠は示されていない。ハメネイ師については情報がなく、「殺したはずだ」と考えている人たちが探りを入れているようにも思える。指導部の混乱という推測は、イラン側の動きを見ると混乱しているようには思えず、間違い、あるいは嘘である可能性が高い。そもそも中枢がいなくなっても機能するように組織は設計されていると言われている。 イランの指導部が混乱しているとする主張はドナルド・トランプ米大統領が叫んでいる。「戦場で惨敗を喫している『強硬派』」と『穏健派』の間で内紛が起きているというのだ。こうした話の出所はイスラエルではないかと元CIA分析官のラリー・ジョンソンは推測している。 モジュタバ・ハメネイ師、イラン議会のモハマド・バゲル・ガリバフ議長、アラグチ外相、革命防衛隊(IRGC)のアフマド・バヒディ司令官、そしてマスード・ペゼシュキアン大統領は1980年から88年にかけてのイラン・イラク戦争でIRGCに所属していたとジョンソンは指摘、現在の指導部は共通の戦闘経験を持ち、結束している手強いチームだとしている。 アメリカ政府の代表がイラン政府の代表と会談できなかった事実、あるいはイランを攻撃できないことを誤魔化そうとしているのかもしれない。ちなみに、戦場で惨敗を喫しているのはアメリカ軍とイスラエル軍だ。西アジアのアメリカ軍基地やイスラエルの主要都市は攻撃で破壊されている。 そもそもアメリカ側の「交渉団」に参加している大統領の義理の息子であるジャレッド・クシュナー、中東担当特使のスティーブ・ウィトコフはイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ政権と関係が深く、J・D・バンス副大統領のスポンサーは、パランティア・テクノロジーズのピーター・ティール。パランティアはアメリカ主導軍がイラクを攻撃した2003年にCIAのベンチャー・キャピタル部門であるIn-Q-Telからの資金で創設された会社で、イスラエルの情報機関とも関係が深い。この「交渉団」をイラン側が信頼するはずがなく、またトランプ政権はイラン側と何らかの合意を実現しようと思っているとも思えない。 トランプ大統領はまたイランに対する大規模な空爆を実施するのではないかと言われているが、中国やロシアからも緊張が伝わってくる。アメリカの中間選挙を中止させるような出来事を計画しているという噂もある。***********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.04.29
ジェームズ・オキーフが率いる調査グループの潜入記者に対してアメリカ陸軍の化学核安全保障を担当するアンドリュー・ハグが話す様子を撮影した映像を4月22日に公開した。その中でハグはウクライナの指導部が「援助金」を横領している事実、陸軍は依然としてサリンを含む化学兵器級の物質を保有し、軍所属の化学者が神経ガスへの曝露で死亡した事件についても語り、イランの最高指導者であるモジタバ・ハメネイがやり方を変えなければ殺されるだろうとも推測している。ピート・ヘグセス国防長官は記者会見でハグが今後、国防総省で働くことはないと語った。 ウクライナでの戦争はバラク・オバマ政権が2013年11月から14年2月にかけてキエフで仕掛けたクーデターから始まっている。クーデター後の体制はアメリカの影響下にあるのだが、その体制で汚職が蔓延していることをハグも指摘している。ハグによると、ウクライナ人はドバイ移住を夢見て窃盗を働いている。こうした実態をハグがオバマ政権に報告したところ、「気にしない」と言われたという。 ウクライナの腐敗については元デルタフォース司令官のピート・ブレイバーも明らかにしている。彼の人脈には現役の国務省官僚や情報機関員がいて、彼らは約125万人のウクライナ兵士が死亡したと話しているという。 現在、戦場ではロシア軍が圧倒的に優勢だが、そのロシア軍が占領したどの都市でも住民は彼らを解放者として歓迎、部隊が到着すると人びとは外へ出てきて祝い、自分たちの街にウクライナ軍が駐留していたために自分たちが暮らしていた過酷な状況について語り合うとしている。実際、こうした映像は現地に入って取材してジャーナリストが伝えていた。 日本でもマスコミが反ロシア宣伝に使っていた「ブチャにおける虐殺事件」については、その話が「あまりにも偽物臭く、まるで冗談のようだ」とし、「だからこそ、西側メディアは報道しない」と語っている。 彼によると、「ロシア人に射殺されたとされる人々が、泥の中に両手を後ろ手に縛られて横たわっているという話だが、実際には真っ白なネクタイで縛られている」と指摘、「虐殺現場にいた数少ない勇敢なフランス人記者が、ウクライナの情報機関員が凍ったトラックから遺体を引き出し、地面に横たえ、両手を縛っているのを目撃した。彼はその件で何度も尋問を受けた。」と語っている。 実際、そうした指摘は当時からあり、本ブログでも書いている。どのような肩書きであろうと、体制の中で安穏に生活していたい人びとはこうした事実を「陰謀論」という呪文で封印しようとしてきたが、それも限界にきているようだ。 ウクライナへ流入する資金にはCIAの工作資金も含まれている。NED(ナショナル民主主義基金)からUSAID(米国国際開発庁)、NDI(ナショナル民主主義研究所)、IRI(国際共和研究所)、CIPE(国際私企業センター)、国際労働連帯アメリカン・センターなどを経由してCIAの工作資金が流れ込んでいる。ウクライナはマネーロンダリングの舞台になったとも言われてきた。 また、アメリカの国防総省はウクライナで生物化学兵器の研究開発も行っていた。ロシア軍は2022年2月24日からウクライナに対する攻撃を始めたが、その初期段階でウクライナ側の重要文書の回収を進めている。その中にはドンバス(ドネツクとルガンスク)に対する攻撃計画、ロシア語を話す人びとの「浄化」、つまり大量虐殺に関する文書が見つかっている。 そのほか、ウクライナで進められてきた生物兵器の研究開発に関する資料も含まれていた。ロシア側はイゴール・キリロフ中将を中心とする部隊はアメリカ国防総省の内局であるDTRA(国防脅威削減局)にコントロールされた研究施設が30カ所あると発表している。生物兵器の研究開発はDTRAから資金の提供を受け、CBEP(共同生物学的関与プログラム)の下で進められたという。 ロシア国防省によると、ロズモント・セネカとジョージ・ソロスのオープン・ソサエティがウクライナにある生物化学兵器の研究開発施設へ資金を提供していることを示すものも含まれ、ロシアやウクライナを含む地域を移動する鳥を利用して病原体を広める研究もしていたという。 そのほか、国務省、USAID、USAMRIID(米国陸軍伝染病医学研究所)、WRAIR(ウォルター・リード陸軍研究所)、そしてアメリカの民主党が仕事を請け負い、さらに国防総省とメタバイオタ、ブラック・アンド・ビーチ、そしてCH2Mヒルが仕事をしている。 キリロフが記者会見でウクライナにおける生物兵器の問題について発表した翌日、2022年3月8日にアメリカの上院外交委員会で国務次官を務めていたビクトリア・ヌランドはウクライナの施設で研究されている生物化学兵器について語っている。マルコ・ルビオ上院議員の質問を受け、兵器クラスの危険な病原体がロシア軍に押収されるかもしれないと語ったのだ。つまり、ウクライナの研究施設で生物化学兵器の研究開発が行われていたことを否定しなかった。 2023年4月にはロシア議会が報告書を発表している。その中で、アメリカの研究者が人だけでなく動物や農作物にも感染でき、大規模で取り返しのつかない経済的損害を与える「万能生物兵器」を遺伝子組換え技術を利用して開発していたと指摘。そうした兵器を秘密裏に使い、「核の冬」に匹敵する結果をもたらすつもりだという。この特性は「レプリコン・ワクチン(自己増幅型COVIDワクチン)」と似ている。 長年医薬品業界で研究開発に携わってきたサーシャ・ラティポワはその前にCOVID-19と国防総省の関係を指摘していた。アメリカでは裁判所の命令で医薬品メーカーやFDA(食品医薬品局)が隠蔽しようとした文書が公開されたが、それを彼女は分析、バラク・オバマ大統領の時代から国防総省が「COVID-19ワクチン」の接種計画を始めたという結論に達していた。 今のところオキーフは活動を続けられているが、内部告発を支援する活動をしていたWikiLeaksのジュリアン・アッサンジは2019年4月11日にロンドンのエクアドル大使館で逮捕された。アメリカ当局から狙われていたアッサンジをエクアドルのラファエル・コレア大統領は政治犯だと認め、2012年に政治亡命を認めていた。そこで同国の大使館が保護していたのだが、次のレニン・モレノ大統領は亡命を取り消した。アッサンジの弁護団によると、アメリカからの引き渡し要請に基づくものだという。 彼が逮捕された理由のひとつはWikiLeaksが2010年の4月5日にWikiLeaksが公表した映像だと見られている。2007年7月にバグダッドでロイターの特派員2名を含む非武装の十数名をアメリカ軍の軍用ヘリコプターAH-64アパッチが銃撃、射殺する様子を撮影した映像だ。 その映像を見ると攻撃された人びとが武装しているようには見えず、ヘリコプターの乗組員が武装集団と誤認したとは考えられない。勿論、戦闘はなかった。 アメリカの司法当局はアッサンジをハッキングのほか「1917年スパイ活動法」で起訴していた。本ブログでは繰り返し書いてきたが、ハッキング容疑はでっち上げ。残るは「1917年スパイ活動法」だ。 日本では1985年6月、自民党に所属する議員が「スパイ行為を処罰する法律案」を国会に提出、廃案になっているが、その後も同じ試みが繰り返されてきた。高市早苗首相も同じ考え方のようだ。巷にも「スパイを取り締まる法律が必要だ」と声高に叫ぶ人たちがいる。 それに対し、かつて特務機関員として活動していた人物は1985年当時、そうした主張を笑っていた。「どのような法律があろうと情報を取るのがスパイであり、そのような法律は国民に向かうだけだ」というのだ。 アメリカでは一般国民を監視する仕組みが存在している。FBIは1950年代からCOINTELPROと名付けられた国民監視プログラムを開始、67年8月にはCIAが同じ目的でMHケイアスというプログラムを始めているのだが、電子技術の進歩により、監視能力は飛躍的に強化された。 拙著『テロ帝国アメリカは21世紀に耐えられない』(三一書房、2005年)でも書いたように、アメリカの場合、監視技術の開発は国防総省のDARPA(国防高等研究計画局)が中心になっている。この機関で開発されていたTIA(総合情報認識)では個人の学歴、銀行口座の内容、ATMの利用記録、投薬記録、運転免許証のデータ、航空券の購入記録、住宅ローンの支払い内容、電子メールに関する記録、インターネットでアクセスしたサイトに関する記録、クレジット・カードのデータなどあらゆる個人データを収集、分析できた。(William D. Hartung, “Prophets Of War”, Nation Books, 2011) このプロジェクトが発覚した後、2001年9月にはMATRIXと名づけられた監視システムの存在が報じられていた(Jim Krane, 'Concerns about citizen privacy grow as states create 'Matrix' database,' Associated Press, September 24, 2003)が、その後、監視技術は飛躍的に「進化」している。 しかし、「スパイを取り締まる」という名目の法律は国民一般以上に、内部告発者を取り締まるために使われるのだろう。***********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.04.28

ドナルド・トランプ大統領は繰り返しイランに勝利したと宣言しているが、イランからイスラエルや西アジアにあるアメリカ軍基地に対するミサイルとドローンによる攻撃は弱まらない。最近ではアメリカの大手メディアもイランが西アジアのアメリカ軍基地に与えた被害はアメリカ政府が公式に認めている以上に深刻だと認めている。イランに対する新たな軍事攻撃はアメリカ軍にとって大惨事になる。 4月25日時点でイランがホルムズ海峡を通過させたのは同国が許可した中国の石油タンカーやギリシャの貨物船など5隻だけで、アメリカの制裁対象になっているイラン船籍のばら積み貨物船もトランスポンダーを作動させた状態で中国に向けて海峡を抜けたと伝えられている。 アメリカ海軍はこの地域へ空母エイブラハム・リンカーンと空母ジェラルド・R・フォードを派遣していたが、空母ジェラルド・R・フォードは船内で大規模な火災が発生して離脱、修理には1年以上かかると言われている。そこで空母ジョージ・H・W・ブッシュを代わりに派遣した。 空母エイブラハム・リンカーンは3月にイラン南部沿岸から約340キロメートルの地点まで接近したものの、イラン軍のミサイルとドローンによる攻撃を受け、イラン沿岸から約1100キロメートルの地点まで離れざるをえなくなった。 それに対し、イラン革命防衛隊(IRGC)はホルムズ海峡で大型コンテナ船2隻、パナマ船籍のフランチェスカとリベリア船籍のエパミノンダスを拿捕、イラン領海まで移動させたという。IRGCはこれらの船舶はイスラエルと関係があると主張している。 ホルムズ海峡の航行をコントロールしているのはIRGCであり、アメリカ軍ではないと見られているが、ここにきて海峡の海底にあるケーブルが注目されている。海峡の海底には主要なものだけで7本のケーブルが敷設され、膨大な量のデータを伝送しているが、イランはこれらのケーブルへの依存度が低い。もしイランがこの海底ケーブルを切断した場合、ペルシャ湾岸諸国はインターネットから遮断され、銀行業務は停止、データセンターは機能しなくなり、金融危機を引き起こし、経済を破綻させる。 こうした状況を生み出したのは2月28日にアメリカとイスラエルが実行したイランに対する奇襲攻撃だ。イランの最高指導者を務めていたアヤトラ・アリ・ハメネイ師のほか、アブドルラヒム・ムサビ参謀総長、アジズ・ナシルザデ国防相、イラン革命防衛隊(IRGC)のモハメド・パクプール司令官、そして最高安全保障委員会(SNSC)事務局長でハメネイ師の顧問を務めていたアリ・シャムハニを含むイランの要人が殺害されている。 その「斬首攻撃」でイランは屈服するとトランプ大統領は信じていたのだろうが、そうした展開にはならず、イスラエルとアメリカは窮地に陥っている。西側の大手メディアはそうした実態を伝えないが、イランが勝利しているという事実は変えられない。 イスラエルとアメリカを戦争へと向かわせた西側の勢力はウクライナでロシアとの戦争を始めた勢力と重なる。この勢力はユーラシア大陸の周辺部を支配し、内陸部の中国とロシアを締め上げて世界を征服するという長期戦略を持っている。 その手段のひとつがエネルギー資源の支配。バラク・オバマ政権がキエフでクーデターを実行した理由のひとつはロシアから西ヨーロッパへ天然ガスを運ぶパイプラインを抑えることにあった。ロシアから市場を奪い、ヨーロッパから安価なエネルギー資源の供給源をなくすということだ。イランとの戦争はホルムズ海峡の封鎖を招き、世界、特に東アジアへ石油供給を断ち切ることになる。ベネズエラの指導部を買収して同国の油田を奪ったことも目的は同じ。アメリカは石油と天然ガスを今のところ自給できる。 イランの体制転覆はシオニストが計画してきた大イスラエル構想ともつながる。西アジア全域をイスラエルが支配するということで、これはヨーロッパの帝国主義国、イギリスとフランスが結んだサイクス・ピコ協定と重なる。 この協定の存在はロシア十月革命で成立したウラジミル・レーニンを中心とするソ連が明らかにした。1917年11月ことだが、その月にアーサー・バルフォアがウォルター・ロスチャイルドへ書簡を出してイスラエル建国への道を切り開いた。いわゆる「バルフォア宣言」だ。1948年5月にイスラエルの建国が宣言された後、イスラエルが西側勢力が西アジアを支配する拠点になる。 現在、イスラエルを支配しているのは、ウラジミール・ジャボチンスキーが創設した「修正主義シオニスト世界連合」の一派。その系譜に属すベンヤミン・ネタニヤフはナイル川からユーフラテス川に至る大イスラエルを創設するという「歴史的かつ精神的な使命」を宣言した。その勢力を支えているのはアメリカのキリスト教シオニスト。キリスト教原理主義者、聖書根本主義者、福音派とも呼ばれている。この宗派はネオコンと同じく1970年代に台頭した。**************************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.04.27
イランのアッバス・アラグチ外相は4月24日から少人数のチームを率いてパキスタン、オマーン、そしてロシアを歴訪中だ。最初の訪問先であるイスラマバードでアラグチ外相はパキスタンのアシム・ムニール陸軍参謀総と会談したが、アメリカ政府の代表と会う予定はないという。 次の訪問国であるオマーンのバドル・ビン・ハマド・アル・ブサイディ外相はイランとアメリカによる会談の経緯を知っていた。同外相によると、9カ月の間に2度、アメリカとイランはイランの核開発計画について協議し、合意まであと一歩のところまで迫っていたのだが、最も実質的な協議からわずか数時間後、アメリカとイスラエルはイランを攻撃したとしていた。アメリカがイランを騙し討ちしたことを知っていたわけであり、交渉に何らかの形で関わっていたと言えるだろう。 そしてロシア。イランに対する支援は強化されている。アメリカやイスラエルが手を出せないカスピ海を利用し、ロシアは輸送機や船舶で物資をイランへ運びつつある。その物資とは生活物資のほか、防空システムや砲弾が含まれているのではないかと見られている。欧米諸国は停戦を態勢を立て直す時間稼ぎとして使うが、ロシアもイラン人の生活を支え、その戦力を増強している可能性が高い。 ロシア駐在イラン大使のカゼム・ジャラリによると、「もし彼ら(アメリカやイスラエル)が戦争を望むなら、われわれは戦争する準備ができている。もし協議が行われるのであれば、それは公正で、永続的な平和の実現を目指し、イランの正当な権利を認め、損害を補償し、新たな侵略に対する保証がなければならない。その場合、我々は交渉の準備ができている」と述べたが、アメリカにイランの要求を受け入れる意思が見られない。 ジャラリ大使はホルムズ海峡の通行料徴収でイランはロシアを含む複数の友好国に例外措置を設けているとジャラリ大使は語っているが、同時にホルムズ海峡を西側諸国に対する地政学的な報復の手段になるとしている。ホルムズ海峡の海底には通信ケーブルが存在、それもイランは脅しの材料になる。 2月28日にアメリカとイスラエルがイランを奇襲攻撃して最高指導者のアヤトラ・アリ・ハメネイ師、アブドルラヒム・ムサビ参謀総長、アジズ・ナシルザデ国防相、イラン革命防衛隊(IRGC)のモハメド・パクプール司令官、そして最高安全保障委員会(SNSC)事務局長でハメネイ師の顧問を務めていたアリ・シャムハニを含むイランの要人を殺害した。その「斬首攻撃」でイランは屈服するとトランプ大統領は信じていたのだろうが、そうした展開にはならなかった。 ちなみに、トランプがイスラエルの要請に基づいてイランを攻撃したことを示す文書「エピック・フューリー作戦と国際法」が4月21日、リード・D・ルービンスタイン法務顧問によって国務省のウェブサイトに掲載されている。その覚書によると、アメリカが国連憲章第51条を根拠にして、「同盟国であるイスラエルの要請に基づき、かつイスラエルの集団的自衛のために」戦争に従事しているとしている。 イランとアメリカ/イスラエルはミサイルとドローンで攻撃し合い、アメリカ/イスラエルは敗北した。アメリカとイスラエルはミサイルやドローンが枯渇したが、イランには余力がある。ドナルド・トランプ政権が停戦を望んで理由にひとつはそこにあるのだろう。兵器を補充したいのだが、西アジアにおけるアメリカ軍の主要な基地はイランの攻撃で破壊された。重要なレーダーも使えない。 イランとの戦争で勝つ見込みはないとアメリカの軍や情報機関は判断していたとされているが、それらをトランプ大統領は無視、イスラエルの主要都市は瓦礫の山が築かれ、西アジアのアメリカ軍基地も大きな損害を受けている。 多くの人はイスラエルがトランプ大統領を操っていると考えている。操る仕組みのひとつとされているものがジェフリー・エプスタインに関するファイルだ。アメリカの司法省が保有する約600万ページのファイルのうち、約300万ページは公開されたが、残りの約300万ページは未公開。しかも公開されたファイルは加害者などの名前が黒く塗られている。 公開されたファイルによると、人身売買に伴う性的サービス、拷問行為、胚や臓器の取り引き、人肉食などが行われていた。必然的に人が殺されている。凶悪犯罪だが、捜査機関の動きは鈍い。削除された資料には、トランプ大統領が未成年者を含む複数の女性と性的な関係を持ったとする当事者やその関係者の証言が含まれていたという。削除された文書のひとつはトランプが人身売買に関与していた主張しているとされている。それ以上に衝撃的な事実が未公開のファイルには記録されているのかもしれない。財務省もエプスタインに関するファイルを持っているようだ。 それら以上に重要なファイルがあるとも言われている。フロリダ州パームビーチの警察は2005年からエプスタインに対する捜査を開始したのだが、捜索令状が執行される直前にエプスタインはライリー・キラリー私立探偵事務所を使い、コンピュータ、映像、写真、文書などを6つの保管庫へ運び込んだ。保管料はエプスタインの会計士が支払っているという。 言うまでもなく、エプスタインがこうした活動を個人で行なっていたわけではない。1970年代にイスラエル軍の情報機関ERD(対外関係局)に所属、87年から89年にかけてイツァク・シャミール首相の特別情報顧問を務めたアリ・ベンメナシェによると、エプスタインはギレーヌ・マクスウェルや彼女の父親でミラー・グループを率いていたロバート・マクスウェルと同じように、イスラエル軍の情報機関、つまりアマンのために働いていた。(Zev Shalev, “Blackmailing America,” Narativ, Septemner 26, 2019) ビル・クリントンもエプスタインと親しかったが、クリントンによると、彼が接触していたのはギレーヌ・マクスウェル。ギレーンはエベリン・ド・ロスチャイルドとその妻リンと非常に親しい関係にあったからだという。 ギレーヌによると、イギリス王室の一員だったアンドリュー王子(現在はアンドルー・マウントバッテン-ウィンザー)をエプスタインに紹介したのはエべリン・ド・ロスチャイルドの妻、リン・フォスター・ド・ロスチャイルド。リン・フォスターはエプスタインの友人である。 つまり、トランプを操るために使われているとされているエプスタイン・ファイルを管理していたエプスタインやギレーヌはイスラエル軍の情報機関の指揮下にあるだけでなく、ロスチャイルド家とも親しい。トランプが始めた対イラン戦争の背後にもこうした人脈が存在しているのだろう。 そうした人脈にはトランプが顧問弁護士として雇っていたロイ・コーンも含まれる。この人物は禁酒法時代に密造酒で大儲けしたルイス・ローゼンスティールの子分。ふたりは「親子のように」親しかったとされている。ローゼンスティールの妻だったスーザン・カウフマンによると、彼女の元夫はCIAの秘密工作にも協力していたユダヤ系ギャングのメイヤー・ランスキーとも親しくしていた。 コーンは弁護士資格をとった後、ニューヨークの犯罪組織、ガンビーノ・ファミリーのメンバー何人かの法律顧問にもなっている。そのひとりがジョン・ゴッチ。1953年から54年にかけては「赤狩り」のジョセフ・マッカーシー上院議員の法律顧問を務めた。マッカーシーの黒幕はFBIのJ・エドガー・フーバー長官だったが、そのフーバーとローゼンスティールは繋がっていた。(Jonathan Marshall, “Dark Quadrant,” Rowman & Littlefield, 2021)**************************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.04.26
パキスタン政府筋の話として、イランのアッバス・アラグチ外相が4月24日に少人数のチームを率い、アメリカとの新たな和平交渉を念頭に置いた事前協議のためにパキスタンのイスラマバードを訪問、さらにオマーンとロシアを訪問すると伝えられている。 すでにホルムズ海峡の通行が制限され、世界における原油やガスの供給量が減って価格が高騰、肥料の供給も混乱しているが、ここにきて通信ケーブルの問題も浮上してきた。イランは状況次第でケーブルを切断するという話が出てきている。 ウォール・ストリート・ジャーナル紙によると、戦乱で大きな被害を受けたアラブ首長国連邦はアメリカに対して財政支援を要請、もし支援がなければ石油やガス製品を人民元で売却せざるをえないと語った。 ロシア駐在イラン大使のカゼム・ジャラリによると、「もし彼ら(アメリカやイスラエル)が戦争を望むなら、われわれは戦争する準備ができている。もし協議が行われるのであれば、それは公正で、永続的な平和の実現を目指し、イランの正当な権利を認め、損害を補償し、新たな侵略に対する保証がなければならない。その場合、我々は交渉の準備ができている」と述べた。 ロシア国防省国際軍事協力総局のイェフゲニー・イリイン第一副局長はイラン軍について、「確固たる決意」と、新たな脅威に対し「適切かつ相応の」対応を行う用意があることを示したと述べた。そして、揺るぎない意志と勇気を示し、国家の独立と安定の「信頼できる保証人」となったとしている。 本ブログでも繰り返し書いてきたが、イランが戦争を終結させる条件として求めている項目は一貫している。ホルムズ海峡の通行をイランが管理し、イランの同盟勢力に対する軍事行動を停止、西アジア地域からアメリカ軍は撤退し、イランの役割を明記したホルムズ海峡における安全保障協定を策定、イランが被った損害を全額補償、すべての制裁および国際決議を撤廃、凍結されたイラン資産を返還、そしてこれらの条件を拘束力のある国連安全保障理事会決議として正式に承認することだ。 アメリカとイスラエルがイランに対して始めた戦争の戦況はイランが優勢。戦いが長引けば長引くほどイランは優位になる。イランがこうした要求をするのはそのためだが、アメリカ政府は戦闘で負けているにも関わらず、イランに降伏を要求、イランの提示した条件をドナルド・トランプ政権が呑もうとしない。そもそもイスラエルやその背後の勢力が認めないのだろう。 イスラエルは「停戦」期間中もレバノンを攻撃、南レバノンの街は瓦礫と化した。ジャーナリストも殺害されている。そのイスラエルにレバノン政府は従属、戦っているのはヒズボラにほかならない。イスラエルやアメリカはそのヒズボラを壊滅させようと必死だ。 ところで、イスラエルは先住民であるアラブ系の人びとを暴力的に追い出し、作られた国である。シオニストがイスラエルの「建国」を宣言したのは、1948年5月14日のことだった。そのシオニストとはエルサレムの南東にあるシオンの丘へ戻ろうという「シオニズム運動」の信奉者で、ユーフラテス川とナイル川で挟まれている地域はユダヤ人の所有物だと考えていた。 シオニズムはエリザベス1世時代(1593年から1603年)のイングランドに「ブリティッシュ・イスラエル主義」として出現した。イングランドの支配層の間で、アングロ-サクソン-ケルトは「イスラエルの失われた十支族」であり、自分たちこそがダビデ王の末裔だとする信じ、人類が死滅する最後の数日間にすべてを包括する大英帝国が世界を支配すると予言されているという妄想が広まったのだ。この妄想は現在に至るまで存在している。 シオニズムという用語を1893年に初めて使用したのはウィーン生まれのナータン・ビルンバウム。近代シオニズムの創設者とされている人物は1896年に『ユダヤ人国家』という本を出版したセオドール・ヘルツルだが、その背後にはイギリスの強大な私的権力が存在していた。 イギリス政府は1838年、エルサレムに領事館を建設し、その翌年にはスコットランド教会がパレスチナにおけるユダヤ教徒の状況を調査している。 1868年2月から12月、74年2月から80年4月までの期間、イギリスの首相を務めたベンジャミン・ディズレーリは1875年にスエズ運河運河を買収したが、その際に資金を提供したのは友人のライオネル・ド・ロスチャイルドだ。(Laurent Guyenot, “From Yahweh To Zion,” Sifting and Winnowing, 2018) ディズレーリは1881年4月に死亡、その直後からフランス系のエドモンド・ジェームズ・ド・ロスチャイルドがテル・アビブを中心にパレスチナの土地を買い上げ、ユダヤ人入植者へ資金を提供しはじめる。 イギリスは第1次世界大戦(1914年7月から18年11月)の最中にフランスと「サイクス・ピコ協定」を結んでいる。オスマン帝国を解体し、両国で分割することを決めていたのだ。これは秘密協定だったが、ロシアの十月革命で成立したボルシェビキ政権によって明るみに出されたのである。 協定が結ばれた翌月の1916年6月にイギリス外務省アラブ局はアラブ人を扇動して反乱を起こさせた。その部署にはトーマス・ローレンス、いわゆる「アラビアのロレンス」も所属していた。その当時、イギリスはエージェントを後のサウジアラビア国王でワッハーブ派のイブン・サウドに接触させている。 パレスチナに「ユダヤ人の国」を建設する第一歩と言われる書簡をアーサー・バルフォアがウォルター・ロスチャイルドへ出したのは1917年11月のこと。これがいわゆる「バルフォア宣言」だ。 イギリスは1920年から1948年の間パレスチナを委任統治、ユダヤ人の入植を進めたが、1920年代に入るとパレスチナのアラブ系住民は入植の動きに対する反発を強める。 そうした動きを抑え込むため、デイビッド・ロイド・ジョージ政権で植民地大臣に就任したウィンストン・チャーチルはパレスチナへ送り込む警官隊の創設するという案に賛成、アイルランドの独立戦争で投入された「ブラック・アンド・タンズ」のメンバーを採用した。この組織はIRA(アイルランド共和国軍)を制圧するために設立され、殺人、放火、略奪など残虐さで有名だった。そして1936年から39年にかけてパレスチナ人は蜂起。アラブ大反乱である。 1938年以降、イギリス政府は10万人以上の軍隊をパレスチナに派遣する一方、植民地のインドで警察組織を率いていたチャールズ・テガートをパレスチナへ派遣、収容所を建設する一方、残忍な取り調べ方法を訓練した。イギリス軍はパトロールの際、民間のパレスチナ人を強制的に同行させていたともいう。 委任政府は外出禁止令を出し、文書を検閲、建物を占拠、弁護人を受ける権利を停止する一方、裁判なしで個人を逮捕、投獄、国外追放している。この政策はイスラエル政府の政策につながる。 反乱が終わるまでにアラブ系住民のうち成人男性の10パーセントがイギリス軍によって殺害、負傷、投獄、または追放された。植民地長官だったマルコム・マクドナルドは1939年5月、パレスチナには13の収容所があり、4816人が収容されていると議会で語っている。その結果、パレスチナ社会は荒廃、1948年当時、イスラエルの「建国」を宣言したシオニストの武装組織に対して無防備な状態となっていた。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.04.25
日本人は「歴史小説」を好むが、歴史は嫌いだという声を聞く。これは事実だろう。旧日本軍も自衛隊も情報を軽視するという共通項がある。勿論、日本のマスコミも情報を集め、分析することができなくなっている。 現在、自衛隊だけでなく日本政府は情報をアメリカに依存しているのだが、これにはふたつの問題がある。ひとつはアメリカが日本に渡す情報は日本に信じさせたい話だということ、もうひとつはアメリカの情報分析能力がなくなっているということだ。 孫子には「彼を知りて己を知れば、百戦して殆うからず」だが、「彼を知らず己を知らざれば、戦う毎に必ず殆うし」とある。後者は現在のアメリカだ。 アメリカの情報機関CIAには分析部門があり、能力は高かったが、その分析はソ連を核攻撃しようと目論んでいたネオコンにとって都合が悪かった。そこでCIA内部にチームBというプロパガンダ部門を設置するのだが、その中にはポール・ウォルフォウィッツも含まれていた。 1950年代にCIAの内部へ破壊工作チームが入り込み、徐々に組織を侵食していく。バラク・オバマ政権でCIA長官を務めたジョン・ブレナンは分析局に所属する分析官と作戦局に所属する作戦担当官をハイブリッド・ミッションセンターに統合したのだが、その目的は分析官を作戦部門に従属させることにあったと考える人もいる。現在、CIAで情報を分析している人びとは大統領が望む話を伝えるだけになったようだ。日本に「国家情報会議」を創設しても情報分析の面で向上するとは思えない。アメリカ政府の間違った情報を受け取るだけだろう。 アメリカではFBIが1950年代からCOINTELPROと名付けられた国民監視プログラムを開始、67年8月にはCIAが同じ目的でMHケイアスというプログラムを始めた。FBIは当初、コミュニストをターゲットにしていたが、途中でその矛先を平和運動に向けている。 MHケイアスを指揮していたのはCIAで防諜部長を務めていたジェームズ・アングルトン。この人物はアレン・ダレスの側近で、秘密工作で中心的な役割を果たし、イスラエルとの関係が深かった。アングルトンは監視プロジェクトの責任者としてリチャード・オバーを指名、その下に50名とも60名とも言われるメンバーがいた。 CIAの秘密工作担当副長官(DDP)だったトーマス・カラメシネスはアングルトンに対し、反戦運動と外国との関係を調べるために特殊工作グループ(SOG)を設置するように命令。秘密工作部門の幹部を務めていたコード・メイヤーによると、反戦運動の活動をしていたアメリカ市民25名をSOGは1969年10月から72年7月までの期間にエージェントとして雇っている。(Michael Holzman, “James Jesus Angleton,” University of Massachusetts Press Amherst, 2008)ターゲットの団体へ潜入していた工作員の人数は最も多いときで52名だったという。(Tom O’Neill, “Chaos,” William Heinemann, 2019) MHケイアスはCIAの内部でも秘密にされ、盗聴されることを恐れて中央情報局本部の地下に特別室を作って活動していた。CIAの内部でも限られた人間以外はそこに近づけなかったと言われている。すでに日本は自衛隊も兵器産業もアメリカ国防総省の指揮下にあるようだ。 日本では1952年4月に内閣調査室が創設された。初代の室長に就任したのは国警本部警備第1課長を務めていた村井順。後に綜合警備保障を創設する人物だ。 その村井は1953年9月から3カ月の予定で国外に出ているのだが、その名目はスイスで開かれるMRA(道徳再武装)大会への出席だった。この団体はCIAの別働隊で、村井が国外へ出た本当の理由は西ドイツのボンに滞在していたアレン・ダレスCIA長官に会い、新情報機関に関する助言を得ることにあったとされている。 しかし、ボン空港に到着すると間もなく村井はイギリスの情報機関員と思われる人物につきまとわれ、ロンドンの税関では腹巻きの中に隠していた闇ドルを発見されている。 この内閣情報室には調査能力がなく、情報機関とは言いがたい存在。そこで実際の調査は下請けに出していた。ところが調査を請け負っていた団体や個人の多くはCIAともつながり、内閣調査室に提出される報告書より詳しい内容の報告書をCIAへ渡していたと当時の関係者は証言している。 旧日本軍が無謀な侵略戦争で敗北した一因は情報の軽視にあったが、同じことをネオコンは行っている。CIAでは作戦部門の失敗を分析部門が指摘できなくなり、作戦は成功しているとする話だけが伝えられるようになった。ウクライナを舞台にした戦争でNATOが敗北、EUが崩壊へと向かっているが、その一因はそこにあるだろう。 ネオコンはアメリカの軍事と外交をコントロールしてきたと言われている。そのネオコンは1991年12月にソ連が消滅した際、自国が唯一の超大国になり、自分たちに逆らう国は存在しなくなったと認識、傍若無人な振る舞いが許されるようになったと考えた。 その考えに基づき、1992年2月にアメリカ国防総省のDPG(国防計画指針)草案として世界征服プロジェクトが作成された。いわゆる「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」だ。 このドクトリンの最優先事項は新たなライバルの出現を防ぐことなのだが、ドイツと日本をアメリカ主導の集団安全保障体制に統合し、民主的な「平和地帯」を創設する、つまりドイツと日本をアメリカの戦争マシーンに組み込み、アメリカの支配地域を広げるということも謳われている。このドクトリンを日本が受け入れたのは1995年のことだった。 小泉純一郎政権以降、日本は着々とアメリカの戦争マシーンとして仕組みを築いてきた。そして2024年3月には陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊を一元的に指揮する常設組織として統合作戦司令部が編成された。これにより、自衛隊はアメリカ軍の指揮下に入ったと考える人は少なくない。 その7カ月後、防衛装備庁の下に防衛イノベーション科学技術研究所(DISTI)という機関が設置された。DISTIのモデルはアメリカ国防総省の国防高等研究計画局(DARPA)と国防イノベーション・ユニット(DIU)で、DIUとは協力関係を推進していくという。***********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.04.24
高市早苗政権は4月21日に「防衛装備移転三原則」と「運用指針」を改訂、全ての防衛装備品の移転を可能にした。武器輸出の制限を緩和したのだ。すでにアメリカはウクライナにおけるロシアとの戦争や西アジアにおけるイランとの戦争でミサイルやドローンが枯渇、戦場で圧倒される事態になっている。工業製品の生産能力が不足しているからで、その不足を日本に補わさせようということだろう。今後、日本は侵略戦争を続けているアメリカやイギリスをはじめとする国々に対し、殺傷能力のある兵器を輸出することになる。 日本では防衛装備を担当する部署として2015年10月に防衛装備庁が設置された。その下に防衛イノベーション科学技術研究所(DISTI)という機関が設置されたのは2024年10月のこと。DISTIのモデルはアメリカ国防総省の国防高等研究計画局(DARPA)と国防イノベーション・ユニット(DIU)で、DIUとは協力関係を推進していくようだ。 2001年9月11日以降、DARPAは「医療」関連の技術開発に注力、ウクライナにおいて実施された生物兵器の研究開発も行なっていたことが判明している。そうした研究開発には「COVID-19ワクチン」も含まれていたようだ。その薬剤に関連したファイザー社の文書をFDA(食品医薬品局)は75年間、封印しようとしていたが、一部の専門家が情報の開示を求める訴訟を起こし、迅速な公開を裁判所が命じて文書は明らかにされた。 そうした文書を分析したサーシャ・ラティポワは「COVID-19ワクチン」について、アメリカ国防総省のプロジェクトだと発表する。つまり騒動は軍事作戦の結果であり、医薬品メーカーは国防総省の契約企業ということになる。そうした企業は情報を公開する必要がなく、免責だ。 ところで、DISTIが設置される7カ月前、つまり2024年3月に陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊を一元的に指揮する常設組織として統合作戦司令部が編成された。この司令部を設置することで「自衛隊とアメリカ軍の部隊連携をより円滑にする」というのだが、自衛隊がアメリカ軍の指揮下に入ったのだと理解すべきだ。この司令部編成とDISTIの設置が無関係だとは思えない。 DISTIは今年3月、民間企業2社と契約を結んだ。その企業とは富士通とSakana AIだ。富士通は著名な日本企業であり、説明する必要はないだろう。もうひとつのSakana AIは2023年7月にデイビッド・ハ、リオン・ジョーンズ、伊藤錬が設立した会社。 デイビッド・ハは香港生まれのカナダ人で、ゴールドマン・サックスの日本法人でキャリアをスタートさせている。後に研究者として働いたGoogleブレインはGoogleの人工知能研究チーム。リオン・ジョーンズもGoogleで働いていた人物で、生成型人工知能の中核をなす研究論文「トランスフォーマー」の共著者として知られている。もうひとりの伊藤錬は外務省北米局に所属していた外交官で、在米日本大使館の二等書記官も務めている。北米局はアメリカ政府の日本支局的な存在で、伊藤とアメリカ支配層との関係が窺える。 富士通は2020年11月、パランティア・ジャパンと戦略的なグローバル・パートナーシップの発展に向けた契約を締結したと発表している。パランティアは2003年5月にCIAのベンチャー・キャピタル部門であるIn-Q-Telからの資金を得て創設された。 パランティアはイスラエルの情報機関とも関係が深く、共同創設者のひとりで現在会長を務めているピーター・ティールは決済サービス企業のペイパルを創業した人物。彼が重役を務めるカービンは緊急通報システムで知られる会社で、同社の重役は大半がイスラエルの電子情報機関である8200部隊の元将校。同社の出資者にはイスラエル軍の情報機関AMANの局長を経て参謀総長、そして首相になったエフード・バラクが含まれ、同社の会長に就任している。ティールはドナルド・トランプ大統領を支持、J・D・バンス副大統領は彼の弟子的な存在だ。 カービンの主要な資金源のひとり、ジェフリー・エプスタインは性犯罪の容疑で逮捕され、収監中に死亡した。この人物は未成年の男女を有力者に提供する一方、そうした関係を記録して有力者を脅して操っていたとされている。エプスタインはバラクとビジネスの上でつながっていたのだが、バラクによると、彼をエプスタインに引き合わせたのは、イスラエル労働党の政治家で首相にもなったシモン・ペレス。その兄弟であるギデオン・ペルスキーが創設したスイス・イスラエル銀行から融資を受けていたブルース・ラッパポートはウイリアム・ケイシーの友人だ。(Whitney Webb, “One Nation Under Blackmail Vol. 1,” Trine Day, 2022) 8200部隊からスピンアウトした誕生した企業はアメリカの通信システムに「裏口」を組み込み、インターネットやコンピュータの分野で大きな影響力を持つ企業、例えばAlphabet、マイクロソフト、メタなどと結びついている。 対イラン攻撃でアメリカ軍はAIを活用したパランティアのミッション統制システム「メイブン・スマート・システム」を使い、攻撃開始から24時間に約1000カ所を攻撃、10日以内に攻撃目標は5000に達したとされている。その際、イランの最高指導者だったアヤトラ・アリ・ハメネイ師のほか、アブドルラヒム・ムサビ参謀総長、アジズ・ナシルザデ国防相、イラン革命防衛隊(IRGC)のモハメド・パクプール司令官、そして最高安全保障委員会(SNSC)事務局長でハメネイ師の顧問を務めていたアリ・シャムハニを含むイランの要人を殺害した。 パランティアのシステムはパターンを分析し、次に何が起こるかを推測、戦争の全サイクルを網羅する統合システムを段階的に構築しているとも言われている。その推測に基づく軍事作戦でアメリカは簡単に勝てるとドナルド・トランプ大統領も信じていたのだろうが、目論見は外れた。IAEA(国際原子力機関)はイランに関する報告書を作成する際、パランティアのAIで作成している。 パランティアは2019年11月、SOMPOホールディングスと共同で日本法人のパンティール・テクノロギーズ・ジャパンを設立、ヤマトホールディングスと提携している。今年1月には小泉進次郎防衛相はワシントンDCのパランティアを訪問した。 アメリカ国防総省のDARPAやDIUと関係の深い防衛装備庁のDISTIは富士通、Sakana AI、パランティアと密接な関係を築いている。こ右下企業の背後にはイスラエルの電子情報機関が存在していると言える。**************************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.04.23

アメリカ海軍は4月19日にイランの商船である「トゥスカ」をオマーン湾の公海上で拿捕、それに対してイランはホルムズ海峡に数千個の新型対艦機雷を配備したと伝えられている。アメリカ艦船がドローンで攻撃されたとも伝えられている。 アメリカ軍とイスラエル軍は2月28日にイランを攻撃、最高指導者のアヤトラ・アリ・ハメネイ師、アブドルラヒム・ムサビ参謀総長、アジズ・ナシルザデ国防相、イラン革命防衛隊(IRGC)のモハメド・パクプール司令官、そして最高安全保障委員会(SNSC)事務局長でハメネイ師の顧問を務めていたアリ・シャムハニを含むイランの要人を殺害、これでイランの体制は倒れると考えていたのだろうが、そうした展開にはならなかった。 アメリカとイスラエルはこの攻撃以外にもイランの要人を殺害する作戦を実行してきた。たとえば3月17日にイスラエルがイランの国家安全保障最高評議会のアリ・ラリジャニ事務局長らを暗殺、昨年6月にはアメリカ軍とイスラエル軍がモハメド・バゲリ参謀総長を含むイランの要人を殺害しているのだが、マスード・ペゼシュキアン大統領、アッバス・アラグチ外相、イラン革命防衛隊(IRGC)のクッズ部隊を指揮していたイスマイル・カーニは無事だ。 ペゼシュキアンが大統領に就任したのは2024年7月のこと。前任者のエブラヒム・ライシは同年5月にアゼルバイジャンからベル212ヘリコプターで帰国する途中、そのヘリコプターが墜落し、同乗していたホセイン・アミール-アブドラヒヤン外相らと共に死亡した。濃い霧で視界が悪かったことが原因だとされているが、同行していた2機のロシア製ヘリコプターは問題なく帰還している。 こうした「斬首作戦」でイランの体制を転覆させることはできなかった。そこでドナルド・トランプ大統領は2026年4月7日、「今夜、ひとつの文明が滅びる」と宣言、「イランのすべての橋」と「すべての発電所…を…燃やし、爆発させ、二度と使えないようにする」とイランを脅した。確かにアメリカやイスラエルはイランを猛攻してきたが、イランは両国に報復、西アジアの主要アメリカ軍基地は壊滅、イスラエルのテル・アビブやハイファなどの都市は瓦礫の山になっていると伝えられている。 ここにきてアメリカ軍は少なからぬ輸送機を西アジアへ飛ばしているが、これはイランを攻撃する準備だと見られている。例によってアメリカは停戦を戦力増強に時間稼ぎに使っているのだろうが、イランも戦力を増強している。アメリカやイスラエルが手を出せないカスピ海を利用してロシアが物資をイランへ運びつつある。その物資とは防空システムや砲弾ではないかと見られている。2月28日に始まった戦闘で勝利したのはイランだと考える専門家が多いが、ミサイルの保有数はアメリカ軍が約4000発、イラン軍は約45万発だと推定されている。停戦前、アメリカやイスラエルのミサイルやドローンは枯渇していたが、イランには余裕があった。しかもロシアから供給されているようで、アメリカ軍はこれまで以上の大惨事になりそうだ。 こうした無謀な作戦をトランプ大統領が強行するのは「認知症」が進んでいるからだと言う人もいるが、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相と同じウラジミール・ジャボチンスキーの「修正主義シオニスト世界連合」を進歩しているからだと主張する人もいる。 そのジャボチンスキーに傾倒していた学者のレオ・ストラウスはネオコンの思想的な師であり、「ユダヤ系ナチ」だとシャディア・ドリュリーは主張する。(Shadia B. Drury, “Leo Strauss and the American Right”, St. Martin’s Press, 1997)***********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.04.22
パキスタンのイスラマバードで開かれる予定だった和平協議に参加しないとイランは4月19日に発表した。ドナルド・トランプ政権は戦争に勝利しているイランに対して降伏を要求、立場を繰り返し変更、矛盾した発言、そして停戦協定違反などを理由としている。アメリカ海軍が同日、イランの商船「トゥスカ」を公海上で拿捕したことで状況はさらに悪化した。 イラン革命防衛隊(IRGC)は報復を宣言、アメリカ艦船がドローンで攻撃されたと伝えられている。イランは「モスキート艦隊」と呼ばれる探知が困難で小型高速攻撃艇群を保有、洞窟からアメリカの艦船を攻撃しているようだ。アメリカ軍がイラン海軍の大半を破壊したという主張は間違い、あるいは嘘だ。 ホルムズ海峡を航行できる船舶は商船でなければならず、軍艦は航行でき図、船舶および積荷は敵対国と関係があってはならないとないとイランは定めている。また船舶はイランが指定した航路を通らなければならず、航行するためにはイラン軍と調整する必要がある。この条件は現在も有効だ。 すでにイラン軍はアメリカ軍のF-35戦闘機、F-15戦闘機、A-10攻撃機、E-3早期警戒管制機、KC-135空中給油機、MC-130J輸送機、ヘリコプターのHH-60ペイブホークとMH-60Mブラックホーク、監視用ドローンのMQ-4C、無人攻撃機のMQ-9などを撃墜した。またアメリカ軍が使用しているフェーズド・アレイ・レーダー、THAAD用のAN/TPY-2レーダーも破壊されたり損傷を受けたりしている。 アメリカ政府やその広報機関である大手メディアを無批判に信じている人でないかぎり、「アメリカとイランが大筋で合意に達した」とは思わなかっただろう。イラン政府はドナルド・トランプ大統領の発言を否定している。アメリカの空母が「火災」やイランからの攻撃で西アジアから離れているものの、アメリカ軍は地上部隊を増強、何らかの軍事作戦を準備している可能性は高い。 本ブログでも繰り返し書いてきたことだが、トランプ政権がイランと真剣に話し合おうとしていないことは明らか。オマーンのバドル・ビン・ハマド・アル・ブサイディ外相によると、9カ月の間に2度、アメリカとイランはイランの核開発計画について協議し、合意まであと一歩のところまで迫っていたというが、それはアメリカのトラップだった。 大詰めの協議から数時間後、最高指導者だったアヤトラ・アリ・ハメネイ師を含むイランの要人が集まるのを見計らって攻撃、殺してしまった。犠牲になったのはアリ・ハメネイ師のほか、アブドルラヒム・ムサビ参謀総長、アジズ・ナシルザデ国防相、イラン革命防衛隊(IRGC)のモハメド・パクプール司令官、そして最高安全保障委員会(SNSC)事務局長でハメネイ師の顧問を務めていたアリ・シャムハニなどだ。マスード・ペゼシュキヤン大統領、アッバス・アラグチ外相、IRGCのクッズ部隊を指揮していたイスマイル・カーニは生き残っている。 トランプ大統領はイランとの戦争はすぐにでも終わるかのように発言してきた。たとえば、ホルムズ海峡は開放されており、イランは二度とホルムズ海峡を閉鎖しないことに同意したと述べ、またイランはアメリカの支援を受けて全ての機雷を撤去しつつあり、アメリカとイランは協力してイランの高濃縮ウラン(HEU)を採掘するとも主張している。これらは全て嘘だった。 そこでトランプ大統領は妄想の中で生きていると考える人もいるが、原油相場や株式取引を操作することが目的だとする人もいる。イラン外相が4月17日にホルムズ海峡開放すると発表する約20分前、ブレント原油の先物取引で7990ロットを売却した人物がいたと伝えられている。この取り引きをした「投資家」は大儲けした。インサイダー取引を疑う人は少なくない。 こうした如何わしい動きがある一方、トランプ大統領はイランを攻撃する準備を進めているが、現在の戦力でアメリカ軍がイラン軍に勝てる可能性は小さい。この無謀な戦争をアメリカ大統領が行おうとしているのは、イスラエル軍の情報機関の下で働いていたジェフリー・エプスタインのファイルを恐れているからだと言う人もいる。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.04.21

イランとアメリカは4月17日にレバノンにおける停戦で合意したが、翌日にドナルド・トランプ米大統領は交渉が100%完了するまでイランの全港を封鎖すると発言、それに対してイランはアメリカによるイランの港湾封鎖を解除するまでホルムズ海峡を閉鎖しつづけ、アメリカ側の姿勢によっては紅海への入り口であるバブ・エル・マンデブ海峡を閉鎖する可能性を示唆した。レバノンにおける停戦合意が成立した直後、トランプ大統領はイランを激怒させる発言をしたのだ。 そもそもトランプにイランとの交渉で問題を解決する意思があったとは思えない。イランが戦争を終結させる条件として求めている項目は一貫している。 その要求とは、ホルムズ海峡の通行をイランが管理、イランの同盟勢力に対する軍事行動の停止、西アジア地域からのアメリカ軍撤退、イランの役割を明記したホルムズ海峡における安全保障協定の策定、イランが被った損害に対する全額補償、すべての制裁および国際決議の撤廃、凍結されたイラン資産の返還、そしてこれらの条件を拘束力のある国連安全保障理事会決議として正式に承認すること。 トランプ政権がこうした項目を呑まないかぎり、イラン政府は合意しない。イランはアメリカがウクライナなどで行ってきた手口を理解している。交渉による解決が可能であるように思い込ませ、停戦を実現、その間に次の軍事作戦を始める準備をするのだ。アメリカにとって停戦は時間稼ぎに過ぎない。そうした展開にならないような要求をイランはしている。 こうしたことはアメリカ側も理解していたはず。つまり両国が協議しても戦争を終結させることができないことをトランプ政権は承知していた。パキスタンのイスラマバードで開かれた会議は外交努力をしているように見せる演出にすぎない。実際、その間、アメリカ軍は西アジアにおける戦力を増強していた。 そうした中、イランのアッバス・アラグチ外相は「レバノンでの停戦合意に基づき、イランの港湾海事機構が既に発表した調整ルートに従い、停戦期間中は全ての商船のホルムズ海峡の航行を完全に開放する」とX(ツイッター)で発表したが、これはイランが求めていたことを否定しているように見えた。これは中国外務省の意向を反映していると考える人もいる。 しかし、本ブログでも書いてきたように、イラン議会の国家安全保障委員会で委員長を務めるイブラヒム・アジジによると、イランへ通行料を納め、軍参謀本部の許可を得た商船のみが指定された航路を通過することが認められるだけ。イラン側はトランプ大統領のメッセージを否定していた。イラン側交渉団のメンバーであるマフムード・ナバビアン議員もトランプ大統領による海峡の完全開放宣言を拒否、イランのタスニム通信はアラグチ外相の投稿を非難した。 アメリカやイスラエルは交渉が順調に進んでいるかのように装い、イランの最高指導者だったアヤトラ・アリ・ハメネイ師を含む多くの要人を殺害してきたが、マスード・ペゼシュキアン大統領と同じように、アラグチ外相は生き延びた人物だ。 ホルムズ海峡の封鎖は石油、天然ガス、尿素、ヘリウムなどの供給が止まり、世界的なサプライチェーンの混乱を招き、相場が高騰する。エネルギー資源の影響は言うまでもなく、尿素の供給不足は農業に大きな悪影響を及ぼし、ヘリウム不足は半導体製造、MRIスキャナー、光ファイバー、溶接、航空宇宙産業などにとっても大きなマイナス要因だ。 特に東アジアが大きなダメージを受け、中国や日本も例外ではない。中国は同盟関係にあるロシアから相当量のエネルギー資源を入手できるが、日本はアメリカからの圧力でロシアとの関係を悪化させてきた。日本は安全保障上、致命的な間違いを犯したと言える。 戦争が終結しても回復までに長い年月が必要だ。ホルムズ海峡を通らず、サウジアラビア経由でイスラエルのハイファまで運ぶという案もあるが、昨年6月の戦闘でイランはハイファ港を攻撃、使うことは困難だろう。それだけでなくペルシャ湾岸にある製油所、貯蔵タンク、パイプライン、油田、ガス田、それらに関連する施設がイランに攻撃されている。今後、戦闘が再開されれば被害は拡大する。 イランによる海峡封鎖だけでなく、国際的な保険市場の問題もある。戦争の激化に伴って保険料が急騰、さらに保険契約が解除されるという事態になった。保険契約を結ばずにタンカーが運行されるということは通常ない。 イランでは2025年10月にアヤンデ銀行が破綻した後、小口預金者が抗議のためにデモを始め、同年12月28日にはアメリカ政府がイランの通貨リアルを暴落させて経済を混乱させ、反政府デモを煽った。こ その上で、経済状況に抗議していたデモに潜入していたアメリカやイスラエルを含む国々の情報機関のメンバー、あるいはその協力者はデモを暴力的なものへ変化させ、銃撃を始めている。 トランプ大統領は今年4月5日、FOXニュースに対し、「ワシントンは1月のイランでの抗議活動中、イランのクルド系反体制派グループに武器を供与した」と認めているが、これは2011年春のリビアやシリアでのジハード傭兵による軍事侵略、14年2月にキエフでバラク・オバマ政権が仕掛けたクーデターでも同じことが行われた。デモの最中に数人の狙撃兵が屋上からデモ参加者や警官隊の双方に向けて発砲、両陣営は互いを殺人者とみなすようになり、「内戦」に発展するというシナリオ。これをCIAは「ドッグファイト」戦略と呼ぶ。 イランの場合、デモをコントロールするため、トランプ政権は約5万台のスターリンク端末をイランに密輸、政権転覆工作のために編成したグループに資金と共に渡したとされている。スターリンクのシステムを通じ、アメリカやイスラエルの情報機関からイランの治安部隊がどのように動いているかを知らせ、指示していたのだが、イラン政府はスターリンクを遮断することに成功して事態は沈静化した。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.04.20
アメリカとイスラエルが2月28日にイランを奇襲攻撃して始まった戦争は治っているように見える。停戦期間中、ホルムズ海峡は「完全に開放されるとイランのアッバス・アラグチ外相は投稿、ドナルド・トランプ米大統領はイランとの戦争がほぼ終結した、あるいは迅速な解決に近づいているとするメッセージを投稿したり発言したりしている。 ところが、停戦が発表された後、アメリカ政府はイランに関連するすべての船舶の海上封鎖を発表した。イランとの交渉が100%完了するまで、イランに関する限り、海上封鎖は引き続き有効だというのだ。 それに対し、イランはアメリカによるイラン港湾封鎖が解除されるまで、ホルムズ海峡を閉鎖しつづけ、アメリカによる封鎖が続く場合、紅海への入り口であるバブ・エル・マンデブ海峡を閉鎖する可能性を示唆した。 また、イラン議会の国家安全保障委員会で委員長を務めるイブラヒム・アジジによると、イランへ通行料を納め、軍参謀本部の許可を得た商船のみが指定された航路を通過することが認められるだけ。イラン側はトランプ大統領のメッセージを否定している。イラン側交渉団のメンバーであるマフムード・ナバビアン議員もトランプ大統領による海峡の完全開放宣言を拒否、イランのタスニム通信はアラグチ外相の投稿を非難した。 トランプ大統領はイランの濃縮ウランに関する合意は事実上成立したと主張、イランの濃縮ウランを回収し、それをアメリカへ持ち帰れるとしているが、イラン外務省のイスマイル・バガイ報道官はこの主張を否定、イランは濃縮ウランを移転しないと語った。 トランプ大統領の事実に反する発言は、株式相場や石油相場を操縦することが目的だと考える人が少なくない。実際、株式相場は急騰し、石油相場は暴落したのだが、船舶はイラン革命防衛隊(IRGC)と連携する必要があり、IRGCはイラン政府が敵対国とみなす国の船舶を阻止する権限を有しているとされている。4月17日の時点でペルシャ湾にアメリカの軍艦は見当たらない。アメリカが「完全開放」を実現したと言える状態にはなく、その原因のひとつはアメリカによる合意違反にあるとイランは主張している。 イランは一貫してホルムズ海峡の通行をイランが管理し、イランの同盟勢力に対する軍事行動の停止し、西アジア地域からアメリカ軍は撤退し、イランの役割を明記したホルムズ海峡における安全保障協定の策定し、イランが被った損害に対する全額補償をし、すべての制裁および国際決議を撤廃し、凍結されたイラン資産の返還することなどを要求、さらにこれらの条件を拘束力のある国連安全保障理事会決議として正式に承認することを求めている。 少なくとも現時点でこの要求をドナルド・トランプ政権が呑むとも思えず、イランとの間で交渉が成立するはずがない。トランプ大統領は何とかして「勝利」を演出しようとしているのか、「イランが約束を守らなかった」と主張して4月末までにイランに対する新たな攻撃を始めるだろうと推測されている。現在、多数のアメリカ軍輸送機が中東に向かっている。 イスラエルもレバノンへの侵略やイランの体制転覆を諦めていない。自力で実現できないため、アメリカ軍に実行させようとしているが、それだけでなくバブ・エル・マンデブ海峡を挟んでイエメンの対岸にあるソマリランドに部隊を派遣した。**************************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.04.19

イランがアメリカとの交渉に応じる前提条件はいくつかあるが、そのひとつはイスラエルによるレバノンに対する攻撃を中止すること。イスラエルとヒズボラの戦闘を終結させられなければイランとアメリカとの交渉は始まらないとされていた。 アメリカ国務省は4月16日、そのイスラエルとヒズボラの停戦についての声明を発表した。アメリカはイスラエルに対し、「いつでも自衛のために必要なあらゆる措置を講じる権利を保持する」ことを認めている。これまで通り、たとえ脅威が存在しないことが明らかであっても、何らかの脅威への対応だとしてイスラエルはレバノンを攻撃できると解釈されている。 アメリカ/NATOが支援してきたウクライナのキエフ政権もふたつの停戦合意、2014年の「ミンスク1」と15年の「ミンスク2」を守っていない。それが2022年2月のロシア軍によるウクライナへの軍事作戦に繋がった。 イスラエルとヒズボラの停戦をひとつの進展だと解釈することもできるが、ドナルド・トランプ政権はイランに対する新たな制裁を発表、その一方で西アジアにおけるアメリカ軍の戦力を増強している。兵員を1万名増やして5万名へ増強、何らかの攻撃を準備していると見られている。 しかし、100万名の兵士がいるとされるイラン軍の前には無力だ。保有するミサイルやドローンはイランがアメリカやイスラエルを圧倒しつつある。レーダーの戦いもイランが優勢だ。アメリカ軍が宣伝しているホルムズ海峡の封鎖も機能していない。アメリカが制裁対象にしている5隻のタンカーを含む9隻がオマーン湾からインド洋へ向かったと伝えられている。アメリカ軍の艦船はホルムズ海峡へ近づくことができないでいる。ホルムズ海峡をコントロールしているのはイランだ。 ところで、ジョージ・W・ブッシュ政権が2003年3月にイランを先制攻撃して以来、ネオコンの計画は計算間違いの連続である。この攻撃でネオコンはイラクに親イスラエル体制を樹立するつもりだったが、イランとイラクとの結びつきは強まり、アメリカ軍が占領し続けなければならない状況だ。ネオコンの戦略は破綻しているのだが、その事実を隠蔽するためにハリウッド仕込みの作り話を広めてきたが、それも限界に達しているようだ。 バラク・オバマ大統領は師であるズビグネフ・ブレジンスキーが編み出した「ムジャヒディン」を使う手法を使い始めた。これはブレジンスキーがアフガニスタンで始めた秘密工作の一環として使い始めたものだ。イギリスの外務大臣を1997年5月から2001年6月まで務めたロビン・クックは05年7月、「アル・カイダ」についてCIAの訓練を受けた「ムジャヒディン」の登録リストだと説明している。アル・カイダのイコンとして使われたがオサマ・ビン・ラディンはその登録リストに載せる人間を募集していたとされている。 オバマ大統領は2010年8月にPSD-11を承認、ムスリム同胞団を使った体制転覆作戦を始動させる。そして引き起こされたのが「アラブの春」にほかならない。その流れの中でアメリカ、イギリス、フランスを含む国々がリビアやシリアに対する軍事侵略を始めた。 2011年2月に侵略戦争が始まったリビアのムアンマル・アル・カダフィ体制は同年10月に倒され、カダフィ本人はその際に惨殺されている。その際にアル・カイダ系武装集団のLIFG(リビア・イスラム戦闘団)とNATO軍の連携が明らかになった。反カダフィ勢力の拠点だったベンガジでは裁判所の建物にアル・カイダの旗が掲げられていた。 リビアが破壊された後、アメリカは戦力をシリアへ集中させると同時に、ジハード傭兵としてダーイッシュ(IS、ISIS、ISIL、イスラム国などとも表記)を使い始める。 ダーイッシュがデビューしたのは2014年のこと。その年の1月にイラクのファルージャで「イスラム首長国」の建国が宣言され、6月にはモスルが制圧された。その際にトヨタ製小型トラック、ハイラックスの新車を連ねたパレードが行われ、その画像が世界に流された有名になったのだが、こうした戦闘集団の動きをアメリカの軍や情報機関は知っていたはず。偵察衛星、無人機、通信傍受、人間による情報活動などで監視しているからだ。ところが反応しなかった。 そうした武装集団の出現をアメリカ軍の情報機関DIAは2012年8月の時点でホワイトハウスに警告していた。オバマ政権が支援している反シリア政府軍の主力はアル・カイダ系武装集団のAQI(イラクのアル・カイダ)で、アル・ヌスラと実態は同じだと指摘、その中心はサラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)やムスリム同胞団だとしているのだ。2012年当時のDIA局長はマイケル・フリン中将である。 報告書の中で、オバマ政権の政策はシリアの東部(ハサカやデリゾール)にサラフィ主義者の支配地域を作ることになるとも警告、それがダーイッシュという形で現実になった。 そのダーイッシュは残虐さを演出、アメリカ/NATOの介入を誘ったのだが、2015年9月にシリア政府はロシア政府に軍事介入を要請、ロシア軍がダーイッシュなど傭兵部隊を一掃していく。ダーイッシュにはサダム・フセイン時代の兵士も参加していると言われているが、アメリカに雇われた傭兵だということは共通だ。 理由は不明だが、ロシア軍はイドリブへ逃げ込んだアル・カイダ系武装勢力にとどめを刺さなかった。その戦闘集団をアメリカやトルコが支援していたようだ。その後、シリアのバシャール・アル・アサド政権は経済戦争で疲弊、昨年11月27日にHTSがシリア軍を奇襲攻撃すると、呆気なく倒されてしまう。そして作られたアフマド・アル-シャラア(アブ・モハメド・アル-ジュラニ)の暫定政権はシーア派やキリスト教徒を虐殺してきた。**************************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.04.18
2月28日にイランを奇襲攻撃したアメリカ軍とイスラエル軍は簡単に相手が屈服すると考えていたようだが、イラン軍の反撃で軍事的には劣勢だ。すでにイスラエルの主要都市は瓦礫の山が築かれ、西アジアのアメリカ軍基地も大きな損害を受け、両国の敗北は明白だが、アメリカ軍は「停戦」を利用して再攻撃の準備をしたようだ。再攻撃して勝利を宣言して撤退するつもりだと見られている。 そうした中、イランはパキスタンのイスラマバードでアメリカとイランの代表団と交渉している。イランに軍事情報を提供していると言われている中国も戦争の早期終結の望んでいると言われているが、イランは10項目の要求を取り下げていない。 その要求とは、ホルムズ海峡の通行をイランが管理、イランの同盟勢力に対する軍事行動の停止、西アジア地域からのアメリカ軍撤退、イランの役割を明記したホルムズ海峡における安全保障協定の策定、イランが被った損害に対する全額補償、すべての制裁および国際決議の撤廃、凍結されたイラン資産の返還、そしてこれらの条件を拘束力のある国連安全保障理事会決議として正式に承認すること。少なくとも現時点でこの要求をドナルド・トランプ政権が呑むとも思えない。何とかして「勝利」を演出しようとするだろう。 現在、イランに負けているアメリカやイスラエルだが、「停戦」を実現して戦力を回復、再びイランを攻撃しようと目論んでいるはずだ。ベンヤミン・ネタニヤフ首相も言っていることからもわかるように、彼らの最終目標はイランをガザやリビアと同様、「石器時代」にし、西アジア全域を「イスラエル」にすることだろう。 すでにイランはホルムズ海峡を通過する船舶を制限、敵国と見なされた国のタンカーは通れなくなっている。そこでアメリカはイランの友好国の船舶も通さないと宣言した。それなりの影響はあるだろうが、アメリカの空母や駆逐艦が海峡に近づくことはできない。さらにイエメンのアンサール・アッラー(フーシ派)はアデン湾から紅海へ入るために通過しなければならないバブ・エル・マンデブ海峡の通過を規制する動きを見せている。 ホルムズ封鎖の影響を最も大きく受けるのは日本を含む東アジア諸国だが、ヨーロッパ諸国がトランプ政権の海峡封鎖を批判している。東アジアの経済が麻痺すれば製品が生産されず、世界の経済が麻痺する。アメリカにはエネルギー資源があるというものの、エネルギー相場は上昇し、アメリカ国内の経済も麻痺させる。 バラク・オバマ政権がキエフでクーデターを成功させた後、ジョー・バイデン政権は誕生直後からロシアに対する軍事的な挑発を開始、2022年になると反クーデター派が支配するドンバスに対する砲撃を激化させた。ロシアがウクライナに対するミサイル攻撃を始めたのはその直後のことだ。 オバマ政権がウクライナ支配を目論んだのは、ロシアとヨーロッパの結びつきを強めていた天然ガスの流れを止めることにあった。ロシア産天然ガスをバルト海経由でドイツへ運ぶ「ノードストリーム(NS1)」と「ノードストリーム2(NS2)」が2022年9月に爆破される。西側ではウクライナが行ったと宣伝されているが、能力的に見ても状況を見てもアメリカやイギリスが中心になって実行された可能性が高い。 アメリカやイギリスの強大な私的権力はヨーロッパ諸国がロシア産の安価な天然ガスを入手できないようにしたのだが、ヨーロッパ諸国は唯々諾々として従った。今回、日本がアメリカの命令におとなしく従っているのと同じだ。 イランはミサイルなどの兵器を地下に隠しているだけでなく、生産工場も地下に建設、長期戦に備えているが、簡単に勝てると考えていたアメリカやイスラエルはミサイルやドローンが枯渇し、レーダーは破壊されて防空システムは機能しなくなっている。レバノンからイスラエルを攻撃しているヒズボラのミサイルも防げていないようだ。戦争が長引けば長引くほどアメリカやイスラエルは苦しくなる。 アメリカ政府は4月5日、同国空軍に所属するF-15E戦闘機のパイロットと兵器担当士官を救出する作戦を成功させたと発表したが、それにしては投入された航空機が多すぎる。数十人の特殊部隊員を乗せたC-130輸送機がイスファハン近くに着陸した数分後に2機目のC-130輸送機が接近してきたが、それをイラン軍が攻撃、積まれていた特殊車両や数機のMH-6ヘリコプターも破壊された。さらにブラックホーク・ヘリコプター2機も到着したが、これも格好の攻撃目標になり、A-10攻撃機も破壊された。その現場が核施設に近いイスファハンだったことから、アメリカの特殊部隊は核物質を盗み出そうとしていて失敗したと見られている。**************************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.04.17

ドナルド・トランプ米大統領はイスラエル政府の言いなりで、正気と思えないような政策を打ち出し、苦境に陥っている。ホワイトハウスのスタッフは何をしているのかという疑問が生じるが、それに対する答えを提示した大手メディアが存在する。ニューヨーク・タイムズ紙だ。 同紙のジョナサン・スワンとマギー・ハーバーマンによると、2月11日にイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相がホワイトハウスを訪問し、シチュエーション・ルームでトランプ大統領やその側近と秘密裏に会議を開いたという。 会議のテーマはイランで、壁に設置された大型スクリーンにはイスラエルの対外情報機関モサドのダビッド・バルネア長官やイスラエル軍関係者が映し出されていた。アメリカ側の出席者はスージー・ワイルズ首席補佐官、マルコ・ルビオ国務長官、ピート・ヘグセス国防長官、ダン・ケイン統合参謀本部議長、ジョン・ラトクリフCIA長官、ジャレッド・クシュナー大統領補佐官、そしてスティーブ・ウィトコフ中東担当特使だという。ワイルズは2020年の選挙でネタニヤフのために働いた経験があり、ルビオ、ヘグセス、ラトクリフ、クシュナー、ウィトコフは親イスラエル派だ。 その会議の翌日、2月12日にはシチュエーション・ルームでアメリカの情報機関による分析結果が大統領の側近たちに示され、ラトクリフCIA長官はイスラエル側のシナリオを「茶番」と表現、ケイン統合参謀本部議長は大統領に対してイスラエルはアメリカが必要なので、強引に売り込んでいるのだと説明している。 こうした懸念を大統領は無視、2月27日にエアフォースワンの機内で「エピック・フューリー作戦を承認する。中止は認めない。幸運を祈る」と命じたというのだが、親イスラエル派でトランプに忠誠を誓っている側近がそのような懸念を表明したとする主張には疑問がある。責任をトランプやイスラエルに被せ、逃げようとしているようにも見える。 ジョン・F・ケネディ大統領が暗殺された後、アメリカの軍事や外交はシオニストの一派であるネオコンが主導権を握ってきた。そのネオコンはソ連が消滅した直後の1992年2月、アメリカが冷戦に勝利して「唯一の超大国になった」という前提でアメリカ国防総省のDPG(国防計画指針)の草案として世界制覇プロジェクトを作成した。この草案がニューヨーク・タイムズ紙にリークされたことから最終的には穏健な内容へ変更されたものの、ネオコンの本心はその草案にある通りだろう。 DPG草案を作成する際に中心的な役割を演じた人物は国防次官を務めていたポール・ウォルフォウィッツ。そのため、この指針は「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」とも呼ばれている。 本ブログでは繰り返し書いてきたが、ネオコンの思想的な支柱と言われている人物はウラジミール・ジャボチンスキーの「修正主義シオニスト世界連合」に傾倒していたレオ・ストラウス。アメリカの西アジア政策を指揮しているエリオット・エイブラムスもストラウス人脈だ。ベンヤミン・ネタニヤフの父親はジャボチンスキーの秘書を務めたことがあり、ベンヤミン自身もジャボチンスキーの信奉者である。 トランプ大統領を迷走させている原因はジェフリー・エプスタインのファイルだと考える人も少なくない。司法省が保有するエプスタイン・ファイル約600万件のうち公開されたのは半分ほどで、しかも黒塗りだらけ。そのほか財務省関係のファイルもある。そのうえエプスタインはライリー・キラリー探偵事務所を雇い、自宅にあったコンピュータ、映像、写真、文書などを少なくとも6つの保管庫へ移動させたとされている。当局はまだ手をつけていないようだ。 1970年代にイスラエル軍の情報機関ERD(対外関係局)に所属、87年から89年にかけてイツァク・シャミール首相の特別情報顧問を務めたアリ・ベンメナシェによると、エプスタインは内縁関係にあったギレーヌ・マクスウェルや彼女の父親でミラー・グループを率いていたロバート・マクスウェルと同じようにイスラエル軍の情報機関、つまりアマンのために働いていた。(Zev Shalev, “Blackmailing America,” Narativ, Septemner 26, 2019) つまり、イスラエルの情報機関はトランプを含む世界の要人の弱みを握っている。イスラエルはイギリス、フランス、アメリカの富豪によって作られた国であり、エプスタイン・ファイルはそうした人びとの手にもわたっている可能性が高い。 ウクライナでクーデターを実行したときと同様、ネオコンはイランを簡単に屈服させられると考えていたようだが、その見通しは間違っていた。いずれもアメリカの敗北が決定的である。米英の支配層に従属することで富と地位を得てきた日本の「エリート」はその事実を隠すために幻影を広めているが、事実が幻影を消し去ろうとしている。幻影が消え去ったならば、自分たちが君臨してきた支配システムも消え去る。彼らに残された現実の兵器は核ミサイルだけかもしれない。***********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.04.16

パキスタンのイスラマバードでアメリカとイランの代表団が協議している最中、4月11日にアメリカ海軍の駆逐艦2隻、マイケル・マーフィーとフランク・E・ピーターセン・ジュニアにホルムズ海峡を通過しようとしたが、イラン海軍に追い返された。2隻の駆逐艦はイラン海軍の巡航ミサイル・システムに捕捉され、その上空にはイランのドローンが飛行、イラン海軍から30分以内に立ち去るように警告され、その指示に従うしかなかった。その一方、4月14日には中国のタンカーがホルムズ海峡を通過している。ホルムズ海峡をコントロールしているのはイランであり、アメリカによる海上封鎖という話はハッタリにすぎない。 その前、4月5日にドナルド・トランプ政権はアメリカ空軍に所属するF-15E戦闘機のパイロットと兵器担当士官を救出する作戦を成功させたと発表した。この戦闘機が撃墜された数時間後、イランのメディアは機体の垂直尾翼の残骸を撮影した画像を公開している。その残骸はイスファハンの近郊にある仮設飛行場とイランの濃縮ウラン数百ポンドの一部が保管されていると考えられているナタンツ核施設付近に散乱していた。 イランのメディア、プレスTVによると、アメリカ軍のイスラエル軍はイスファハンにある核施設の一つに潜入し、核物質を盗み出すことを計画、実行に移したのだが、イラン軍の反撃で失敗に終わったという。破壊された航空機のある場所がイスファハンに近かったことから、こうしたことを推測する人は少なくなかった。作戦が失敗した後、トランプ大統領は発電所や橋梁を含む民間インフラを標的にするとイランを脅迫している。 アメリカ軍は数日にわたる偵察飛行を行った後、数十人の特殊部隊員を乗せたC-130輸送機をイスファハン近くに着陸させたが、イラン軍は反応しない。その数分後に2機目のC-130輸送機が接近してきたところでイラン軍は攻撃を開始した。2機目の輸送機には特殊車両や数機のMH-6ヘリコプターなどが積まれていた。 さらにブラックホーク・ヘリコプター2機も到着したが、これも格好の攻撃目標になった。この時、A-10攻撃機も破壊されている。後に伝えられたところによると、この作戦失敗でアメリカ陸軍のデルタフォースに所属する約20名が戦死したという。F-15戦闘機の乗員救出作戦とは、イスファハンから核物質を盗みに行った特殊部隊員を救出する作戦だった。 イスファハンから核物質を盗み出す目的は「アメリカの勝利」を演出し、イランから撤退することにあったのだが、失敗、まだ撤退できずにいる。 すでにアメリカやイスラエルは防空システムが機能せず、攻撃用のミサイルも枯渇。巡航ミサイルのトマホークを日本へ配備する予定が遅れるというが、つまり、日本に配備されるトマホークは同じように日本の艦船から大陸に向かって発射されるのだろうが、当然、中国から反撃される。 昨年11月7日に高市早苗首相は衆院予算委員会で「台湾有事」について問われ、「戦艦を使って、武力の行使も伴うものであれば、これはどう考えても存立危機事態になりうるケースだ」と発言した。高市首相も「ひとつの中国」を受け入れているようなので、中国で内戦が始まれば日本は参戦するということになる。日本が参戦すれば日本にある軍事施設だけでなく重要なインフラも破壊されると考えねばならない。***********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.04.15
アメリカとイスラエルがイランに対して始めた戦争で負けていることは明らかであり、地上戦を始めると言いながらこれまで実行していないのはアメリカにとって大惨事になることをドナルド・トランプ大統領も理解していたからだろう。 イスラマバードで開かれたアメリカとイランの協議で合意に達するためにはアメリカ政府が敗北を認めるしかなかったが、トランプ大統領がそうしたことをするはずはなく、イスラマバードの協議で合意に達することができるとアメリカ政府はは考えていなかっただろう。例によって時間稼ぎだった可能性が高い。 結局、協議は決裂、ホルムズ海峡のイラン政府による航行規制は継続することになったが、それに対してトランプ大統領はアメリカ海軍がホルムズ海峡の封鎖を開始、イランの港湾へ向かう、またはイランの港湾から出港する船舶を制限すると発表した。ホルムズ海峡の航行規制はアメリカが主導権を握っているというイメージを広めたいのかもしれないが、イランに対する脅迫にはならない。 アメリカ海軍が西アジアへ派遣していた空母ジェラルド・R・フォードは船内で大規模な火災が発生したとして離脱、修理に1年以上かかるようだ。空母エイブラハム・リンカーンは3月にイラン南部沿岸から約340キロメートルの地点まで接近したが、イラン軍のミサイルとドローンによる攻撃を受け、イラン沿岸から約1100キロメートルの地点まで離れざるをえなくなった。この状態でホルムズ海峡の航行を規制することは困難だと見られている。今後、ペルシャ湾から出航するタンカーにはMANPADS(携帯型地対空ミサイル)で武装した警備チームが乗船するかもしれない。アメリカ海軍がホルムズ海峡の封鎖を開始するという宣言は最初から破綻していると言えるだろう。 現在、トランプ大統領はイランを征服、あるいは破壊しようとしているが、これは彼が始めたことではない。本ブログでは繰り返し書いてきたことだが、欧州連合軍(現在のNATO作戦連合軍)の最高司令官を務めた経験のあるウェズリー・クラークによると、2001年9月11日の攻撃から10日ほど後、彼は統合参謀本部で攻撃予定国のリストを見たと語っている。そのリストにはイラク、シリア、レバノン、リビア、ソマリア、スーダン、そしてイランが記載されていた。(ココやココ) その予定通りにアメリカは侵略戦争を実行してきたと言えるが、ネオコンは1980年代にイラクのサダム・フセイン政権を倒して親イスラエル体制を築いてイランとシリアを分断、その3カ国をイスラエルの支配下に置こうとしていた。サウジアラビアやペルシャ湾岸の産油国はイスラエルと同じようにイギリスが作り上げた国であり、親イスラエルだ。 そのイスラエルでリクードが台頭したのは1970年代。その背後にはキリスト教シオニストがいた。その時期にリチャード・ニクソン大統領がウォーターゲート事件で失脚、ジェラルド・フォードが大統領に就任したが、その政権でネオコンは台頭した。 そのネオコンの思想的な支柱と言われているレオ・ストラウスはウラジミール・ジャボチンスキーの「修正主義シオニスト世界連合」に傾倒していた人物で、シカゴ大学の教授を務めている。ジャボチンスキーの系譜に属すベンヤミン・ネタニヤフがイスラエルで実権を握った背後にはストラウスを信奉するひとり、エリオット・エイブラムスがいた。 イスラエルでリクードと結びつき、影響力を及ぼすようになったフェデラリスト・ソサエティはロナルド・レーガン政権時代にアメリカの法曹界を支配し始め、新自由主義を法的に正当化していく。この団体は1980年代の初めに出現、議会に宣戦布告の権限があるとする憲法や73年の戦争権限法はアナクロニズムだと主張し、プライバシー権や市民権の制限、企業に対する政府の規制緩和を目指し、自分たちにとって脅威になりそうな国だと思えれば、先制攻撃できるとも主張してきた。レーガン以降、そうした考え方にホワイトハウスは支配されている。 フェデラリスト・ソサエティの理論家であるリチャード・エプスタインは財産を自然法、すなわち神によって定められたものであると主張、経済活動に対するあらゆる規制は特定の所有者の行動様式を制限することにほかならず、あらゆる規制は補償を必要とするとした。この法律解釈により、レーガン大統領は既存のあらゆる経済規制を解体している。 この法律家集団は国際条約を国内法に適用することを拒否する。他者の行動を厳しく裁く一方で、自分たちが同じことをしても原則免責。いかなる国際的な司法機関が自国の内政に関与することも拒絶する。アメリカやイスラエルは特別な存在だというわけだが、これは選民思想にほかならない。 イスラエルでは2003年にエリオット・エイブラムスがエルサレムで会議を主催、イスラエルがパレスチナ人の要求を潰すまで、世界に平和は訪れないと主張した。それ以降、ヨルダン川西岸でユダヤ系入植者によるパレスチナ人襲撃が目立つようになる。ガザでの虐殺もその延長線上にある。 ジャボチンスキーの修正主義シオニスト世界連合はシオニズムの一派だが、その思想は16世紀にはイギリスで現れた。海賊行為で富を蓄積していたエリザベス1世の時代(1593年から1603年)、イングランドに出現した「ブリティッシュ・イスラエル主義」だ。 最初のキリスト教シオニストは16世紀に生きた司祭のギヨーム・ポステルだとも言われている。彼はフランス国王に聖地の再征服、ローマ教皇制の腐敗の終焉、そして黄金のモスクの跡地に第三神殿の再建を求めた。それが実現すれば、すべての隠された事柄が明らかになり、世界にはカバラという一つの宗教だけが存在するようになるというのだ。 当時、イングランドの支配層の間でアングロ-サクソン-ケルトは「イスラエルの失われた十支族」であり、自分たちこそがダビデ王の末裔だと信じる人が現れ、人類が死滅する最後の数日間にすべてを包括する大英帝国が世界を支配すると予言されているという妄想が広まった。 イギリスや西側世界にシオニズムを広めた人物としてブリティッシュ外国聖書協会の第3代会長を務めた反カトリック派のアントニー・アシュリー-クーパー(シャフツバリー伯爵)が知られているが、17世紀初頭にイギリス王として君臨したジェームズ1世も自分を「イスラエルの王」だと信じていたという。 その息子であるチャールズ1世はピューリタン革命で処刑されたが、その革命で中心的な役割を果たしたオリヴァー・クロムウェルをはじめとするピューリタンも「イスラエルの失われた十支族」話を信じていたとされている。クルムウェルはユダヤ人をイングランドへ入れることを許可したが、稼ぎ方を海賊行為から商取引へ切り替えるためだったとされている。ユダヤ人は商取引や金貸しに長けていた。 アメリカでリクードを支えてきたのはテレビ宣教師。その主張はユダヤ教徒が改宗する必要がないほどユダヤ教的であり、キリスト教徒がキリスト教から離脱し、ユダヤ人と同じ理念を支持するようになったとも言われている。シオニストはキリスト教に浸透し、ユダヤ教を支配しようとしたカバラの一派だという人もいる。 カール・マルクスは『ユダヤ人問題に寄せて』の中で、「キリスト教徒はもともとは、教義を重視するユダヤ人だった。だからユダヤ人は実利的なキリスト教徒であり、実利的なキリスト教徒はふたたびユダヤ人になった」(中山元訳『ユダヤ人問題に寄せて/ヘーゲル法哲学批判序説』光文社、2014年)と主張している。 シオニズムは帝国主義と一体化し、世界を地獄に変えてきた。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.04.14

イスラマバードで開かれたパキスタンを仲介役とするアメリカとイランの協議は合意に達しなかった。月曜日に株式相場や原油価格がどのような動きをするかが注目されている。 戦況が優位なイラン側はアメリカやイスラエルに対し、イランを侵略しないこと、今後もイランがホルムズ海峡の管理を続けること、ウラン濃縮を容認すること、全ての制裁を解除すること、イランへ賠償金を支払うこと、アメリカ軍の戦闘部隊が西アジアから撤退すること、イスラエルやアメリカはレバノンを含む西アジア地域での戦争を停止することを含む10項目の要求を突きつけていたが、そうした要求をアメリカやイスラエルが呑むとは思えなかったからだ。 戦争に勝っているイランがアメリカやイスラエルの降伏要求を呑むはずもなく、核兵器の開発をしていないイランが核兵器開発を放棄しないというアメリカ側の主張はシオニストの戯言にすぎない。それでもイランが交渉の席に着いたのはロシアや中国からの圧力があるからだろう。 イスラマバードでの協議後、ロシアのウラジミル・プーチン大統領はイランのマソウド・ペゼシュキアン大統領と電話で会談、戦争の政治的/外交的な解決に向けた努力をさらに促進し、西アジアにおける公正かつ永続的な平和の実現に向けた仲介努力を行う用意があることを強調したという。 ドナルド・トランプ大統領は今回、アメリカの利益を犠牲にしてイランを攻撃、窮地に陥った。アメリカ政府がイスラエル政府に操られているかのように見えるわけだが、そうしたことになる理由はいくつか存在する。 ひとつはジェフリー・エプスタインで知られるようになった情報機関による未成年の男女を利用した美人局システム。トランプはエプスタインと親しい。エプスタイン・ファイルに怯えているアラブ世界の指導者もいるようだ。 エプスタインの場合、黒幕はイスラエル軍の情報機関(アマン)。彼と内縁関係にあったと言われているギレーヌ・マクスウェル、彼女の父親でミラー・グループを率いていたロバート・マクスウェルと同じだが、この3人はシステムの一部を構成しいているにすぎない。(Zev Shalev, “Blackmailing America,” Narativ, Septemner 26, 2019) 有力者の弱みを握り、操り、自分たちの利益を図る仕組みは昔から存在していた。その仕組みを利用していたひとりが禁酒法時代に密造酒で大儲けしたルイス・ローゼンスティールだと言われている。ローゼンスティールと「親子のように」親しかったロイ・コーンなる弁護士は犯罪組織ガンビーノ・ファミリーのメンバー、例えばジョン・ゴッチの法律顧問にもなっていた。 コーンはコロンビア法科大学院を卒業後、親のコネを使ってマンハッタンの地方検事だったアービン・セイポールの下で働き始めたが、この検事はコミュニストの摘発で有名。1950年にソ連のスパイとして逮捕されたジュリアス・ローゼンバーグとエセル・ローゼンバーグの夫妻の裁判でコーンが重要や役割を果たしたことも知られている。 コーンは1950年代にジョセフ・マッカーシー上院議員の法律顧問として活動、反ファシスト派の粛清でも重要な役割を果たした。この粛清劇は「マッカーシー旋風」や「レッド・バージ」とも呼ばれている。マッカーシーの黒幕はFBI長官だったJ・エドガー・フーバーで、コーンはマッカーシーとフーバーの間に入っていた。 化粧品で有名なエステイ・ローダーもコーンが親しくしていたひとりで、エスティの息子であるロバート・ローダーはドナルド・とペンシルベニア大学時代からの友人。ベンヤミン・ネタニヤフと親しく、「世界ユダヤ人会議」の議長だ。1973年にコーンはトランプの法律顧問になり、AIDSで死亡する85年までその職にあった。このコーンの後継者ではないかと疑われているのが2019年7月に性犯罪の容疑で逮捕され、同年8月に房の中で死亡たジェフリー・エプスタインにほかならない。自殺とされているが、他殺と考える人が少なくない。 ロバート・ローダーの前に「世界ユダヤ人会議」の議長を務めたエドガー・ブロンフマンも密造酒の家系で、父親のサミュエル・ブロンフマンはローゼンスティールの仲間。エドガーの弟、チャールズが1991年に創設した「メガ・グループ」はイスラエル・ロビーとされているが、イスラエルの情報機関と緊密な関係にあると言われている。エドガー・ブロンフマンの関係でイスラエルの情報機関へ引き込まれたひとりがエプスタインだ。 エプスタインたちは未成年者への性的な虐待だけでなく、幼児を殺害し、人肉を食してきたとも言われている。世界の要人たちに禁忌を犯させてきたのだが、それによって社会から切り離され、「仲間」は罪悪感によって強い絆を生み出す。自分たちが人間を超越した存在だと思うようになるかもしれない。 イスラエルの基盤になっているシオニズムはユダヤ教徒の世界より前にプロテスタントの世界で広がった。これは本ブログでも繰り返し書いてきた通り。またイスラエルはイギリスの帝国主義者やアメリカの後継者にとって西アジアを支配するための航空母艦としても機能してきた。その航空母艦を守ることをトランプも求められている。**************************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.04.13

イスラエルは単独でイランと戦う能力はなく、アメリカを利用しようとしているのだが、そのアメリカにもイランに勝つ戦力はないことが実際の戦闘で明らかになった。 アメリカとイスラエルはイスラマバードでイランと戦争を終結するために協議するというが、イランはアメリカとイスラエルを信じていないはず。ミサイルやドローンが枯渇しているアメリカとイスラエルは停戦期間中に兵器を補充、兵員を次の作戦に向けて配置しているだろうが、イランも兵器を補充している可能性が高い。 アメリカの軍事や外交をコントロールしてきたネオコンは1991年12月にソ連が消滅した時点でアメリカが唯一の超大国になり、他国に気兼ねすることなく、好き勝手に行動できる時代がきたと思った。1992年2月にアメリカ国防総省のDPG(国防計画指針)草案として作成された世界制覇計画はそうした認識に基づいている。 ネオコンやイスラエルはイランを奇襲攻撃で簡単に潰せると考えていたのだろうが、そうした展開にはならなかった。ネオコンは対ロシア戦争を睨み、ウクライナでクーデターを実行したが、ロシア文化圏の東部や南部では反クーデター派の住民が立ち上がり、南部のクリミアはロシアと一体化、東部のドンバスでは武装抵抗が始まった。現在、ウクライナ軍は壊滅状態で、NATO諸国は情報機関員や特殊部隊員だけでなく通常の兵士も送り込んでいるようだが、ロシアの勝利は決定的。アメリカがウクライナから離れようとしているのは、そのためだろう。 イランに対する戦争やウクライナでのクーデター、そして東アジアでの軍事的緊張の高まりは19世紀から続くアングロ・サクソンの長期戦略の結果。ユーラシア大陸の周辺部を海軍力で支配、内陸部を締め上げるという長期戦略をまとめた人物がハルフォード・マッキンダーという学者だが、ジョージ・ケナンの「封じ込め政策」やズビグネフ・ブレジンスキーの「グランド・チェスボード」もマッキンダーの理論がベースになっている。日本は中国を侵略するための兵員供給地であり、兵站の拠点。イギリスの私的権力は明治維新を仕掛け、天皇を中心とするカルト体制を築き、明治体制の軍事力を強化したが、その理由はそこにある。ロシアの逆サイドでイギリスに利用された国がドイツだ。イギリスが絶対に阻止しなければならなかったのは、ドイツと日本がロシア/ソ連と手を組むこと、そしてロシア/ソ連と中国が同盟を結ぶことだろう。 スエズ運河がなければユーラシア大陸を包囲することができない。イギリスの首相を務めたベンジャミン・ディズレーリは1875年にスエズ運河運河を買収したが、その買収資金を提供したのは彼の友人だったライオネル・ド・ロスチャイルドだ。(Laurent Guyenot, “From Yahweh To Zion,” Sifting and Winnowing, 2018) ディズレーリが1881年4月に死亡した後、エドモンド・ジェームズ・ド・ロスチャイルドがテル・アビブを中心にパレスチナの土地を買い上げ、ユダヤ人入植者へ資金を提供しはじめ、1917年11月にアーサー・バルフォアがウォルター・ロスチャイルドへ出した書簡はパレスチナに「ユダヤ人の国」を建設する第一歩と言われている。 この「ユダヤ人の国」はスエズ運河を管理する上で重要な位置にイギリスが作ったのだ。その隣にあるサウジアラビアもイギリスが作った国である。シオニストの一部はナイル川からユーフラテス川に至る大イスラエルを創設しようとしているが、その目的もアングロ・サクソンの世界征服戦略の一環だ。アメリカやオーストラリアと同じように、先住民を殲滅して全く新しい国を築こうとしている。 イギリスは1920年から1948年の間パレスチナを委任統治、ユダヤ人の入植を進めたが、1920年代に入るとパレスチナのアラブ系住民は入植の動きに対する反発を強める。 そうした動きを抑え込むため、デイビッド・ロイド・ジョージ政権で植民地大臣に就任したウィンストン・チャーチルはパレスチナへ送り込む警官隊の創設するという案に賛成、アイルランドの独立戦争で投入された「ブラック・アンド・タンズ」のメンバーを採用した。イギリスは帝国主義国の実態を隠しながら西アジアを支配するために「ユダヤ人の国」を建国したわけであり、その国を利用して世界を支配する仕組みを築いてきた勢力も存在する。その仕組みを批判する人びとは「反ユダヤ主義者」だと非難される。 こうしたアングロ・サクソンの戦略に対抗し、内陸部の国々は鉄道を建設してきた。シベリア横断鉄道もそのひとつであり、中国が進めているBRI(一帯一路)の目的も同じだ。ウクライナでクーデターが引き起こされ、香港で反中国政府の佔領行動(雨傘運動)が実行された2014年以降、ロシアと中国は急接近したが、両国を結びつける仕掛けのひとつが天然ガスのパイプラインだ。だからこそ、米英はBRIやパイプラインを戦乱で破壊しようとしている。**************************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.04.12

イスラマバードでアメリカとイランの政府代表が協議するというが、イラン側は一貫して10項目の要求をアメリカやイスラエルに突きつけている。その中にはイランを侵略しないこと、今後もイランがホルムズ海峡の管理を続けること、ウラン濃縮を容認すること、全ての制裁を解除すること、イランへ賠償金を支払うこと、アメリカ軍の戦闘部隊が西アジアから撤退すること、イスラエルやアメリカはレバノンを含む西アジア地域での戦争を停止することが含まれている。 こうした項目をイスラエルやアメリカが呑むとは思えず、したがって戦争が終結するとも思えない。イランには米英金融資本の影響下にある富豪が存在しているが、革命防衛隊(IRGC)には約束を守らないアメリカやイスラエルとの交渉を拒否する人も少なくないようだ。アメリカが求めている停戦は、おそらく、例によってイランを攻撃する態勢を整えるための時間稼ぎだろう。ウクライナでもロシア政府を騙し、8年かけてキエフのクーデター政権を増強している。 戦闘でアメリカやイスラエルを圧倒しているイランやその同盟組織はこのまま進めれば良いのだろうが、追い詰められているアメリカやイスラエルは違う。ドナルド・トランプ米大統領は「今夜ひとつの文明が滅び、二度と復活することはないだろう」と宣言したが、これは核兵器の使用を意味していたと推測した人も少なくない。アメリカ軍の将校がそれを拒否したのかもしれない。 アメリカ政府は自分たちが望みを実現するため、核兵器を利用してきた。例えばドワイト・アイゼンハワーは大統領に就任してまもない時期にハリー・トルーマン政権が始めた朝鮮戦争を休戦させようと考え、中国に対して休戦に応じなければ核兵器を使うと脅したとされている。休戦は同年7月に実現した。(Daniel Ellsberg, “The Doomsday Machine,” Bloomsbury, 2017) アイゼンハワー政権で副大統領を務めていたリチャード・ニクソンはベトナム戦争から抜け出すため、アイゼンハワーを真似している。カンボジアに対する秘密爆撃を実行しながら核兵器で北ベトナムを恫喝したのだ。(前掲書) 1973年10月、エジプトのアンワール・サダト大統領は同国とシリアの領土を支配していたイスラエル軍に対して奇襲攻撃を仕掛けた。サダトの背後にはヘンリー・キッシンジャーがいて、1972年7月にはソ連の軍事顧問団をエジプトから追い出していた。キッシンジャーはそのサダトをアラブ世界の英雄に仕立て上げようと考えたという。 戦争は当初、キッシンジャーの思惑通り、エジプト側が優勢なまま進むが、ジェームズ・シュレシンジャー国防長官やトーマス・モーラー統合参謀本部議長などはこうした展開を懸念、統合参謀本部ではイスラエルを助ける方法を探りはじめる。 そうした動きをキッシンジャーは阻止、イスラエルのゴルダ・メイア首相がリチャード・ニクソン大統領と会うことも妨害したという。後にネオコンの中心的な存在になるリチャード・パールやポール・ウォルフォウィッツはこの時のキッシンジャーの動きに激怒している。(Len Colodny & Tom Shachtman, “The Forty Years War,” Harper, 2009) イスラエルの敗北が濃厚になるとメイア首相の執務室では核兵器の使用について議論があり、その際、モシェ・ダヤン国防相は核兵器を選択肢として見せる準備をするべきだと発言したという。ソ連の情報機関は早い段階からイスラエルが核弾頭を使う準備をしている疑いを抱き、その情報をエジプトのモハメッド・アブデル・ガーニー・エル・ガマシ参謀長に伝え、さらにアメリカ政府へもイスラエルが核兵器を使う準備をしていると警告していた。(William Colby, “Honorable Men”, Simon & Schuster, 1978) 結局、この時はイスラエルの機動部隊がスエズ運河を越えてエジプト軍の背後へ回り込み、エジプト陸軍の第3軍が窮地に陥り、戦況は逆転したとされている。今回はイスラエル軍に代わってアメリカ軍がイランを壊滅させようとしたのだが、失敗した。アメリカ政府は自分たちの戦力とイランの戦力を見誤り、無謀な戦争を始めてしまった。 1991年12月にソ連が消滅した時、アメリカにおいて軍事や外交をコントロールしていたネオコンはアメリカが唯一の超大国になり、他国に気兼ねすることなく、好き勝手に行動できる時代がきたと思った。そうした気持ちを具体的なプランにした文書が1992年2月にアメリカ国防総省のDPG(国防計画指針)草案として作成された世界制覇計画にほかならない。 当時の大統領はジョージ・H・W・ブッシュ、国防長官はディック・チェイニー、そして作成の中心は国防次官を務めていたポール・ウォルフォウィッツ。そのため、この指針は「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」とも呼ばれている。 今のところ、トランプ政権はこのドクトリンを放棄していないが、その背後には19世紀から続くアングロ・サクソンの世界征服プロジェクトが存在している。そのプロジェクトを始動させたのは反ロシアで有名なイギリスの政治家、ヘンリー・ジョン・テンプル(別名パーマストン子爵)だろう。 彼は戦時大臣、外務大臣、内務大臣を歴任した後、1855年2月から58年2月まで、そして59年6月から65年10月まで首相を務めている。ビクトリア女王にアヘン戦争を指示したのもパーマストン卿。この時期にシオニズムと帝国主義が一体化した。イギリス政府は1838年、エルサレムに領事館を建設。その翌年にはスコットランド教会がパレスチナにおけるユダヤ教徒の状況を調査している。 イギリスの首相を務めていたベンジャミン・ディズレーリは1875年にスエズ運河運河を買収。そして1917年11月、アーサー・バルフォアがウォルター・ロスチャイルドへ書簡を出してイスラエル建国への道を切り開く。いわゆる「バルフォア宣言」だ。 ディズレーリが書いた小説『コニングスビー』の中に、次のようなことが書いてある:「(ジョン・)ハムデン(オリバー・クロムウェルの従兄弟)による最初の運動から1688年の最後の最も成功した運動(名誉革命)に至るまで、イングランドにおけるホイッグ党指導者たちの最大の目的はベネツィア共和国をモデルとした高貴な貴族制の共和国をイングランドに樹立することであり、当時のあらゆる思索的な政治家がそれを研究し称賛することだった。」**************************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.04.11

アメリカはウクライナでの戦争でロシアに敗北、イランとの戦争でも劣勢にある。その結果、科学技術や軍事力の分野でアメリカが世界を圧倒しているという幻影は消え始めた。アメリカに服従、その威を借りて傍若無人な振舞いを続けてきた人びとの心中穏やかでないだろう。そうした人びとは必死に「アメリカが勝っている」と主張している。 しかし、アメリカがウクライナでもイランでも窮地に陥っていることは明確。イランとの戦争でドナルド・トランプ大統領はパキスタンを代理人としてイラン政府に停戦交渉を持ちかけ、合意したと伝えられたのだが、数時間で破綻したようだ。 イランはアメリカに対し、10項目の要求を提示していた。ホルムズ海峡の通行をイランが管理、イランの同盟勢力に対する軍事行動の停止、西アジア地域からアメリカ軍の撤退、イランの役割を明記したホルムズ海峡における安全保障協定の策定、イランが被った損害に対する全額補償、すべての制裁および国際決議の撤廃、凍結されたイラン資産の返還を要求、そしてこれらの条件を拘束力のある国連安全保障理事会決議として正式に承認することも求めている。 イラン当局者によると、アメリカはこうした原則を受け入れたというが、それが事実ならアメリカは降伏したということになる。つまりアメリカはイランの要求を受け入れない。イスラエルはレバノンの中部と南部を爆撃、住民虐殺を続けている。アメリカとイランの間で合意されたとされる停戦が破綻することは必然だった。 アメリカの外交や軍事をコントロールしてきたネオコンは1991年12月にソ連が消滅するとアメリカが唯一の超大国になったと認識、他国に気兼ねすることなく世界侵略を始められると考えた。そこで1992年2月、ジョージ・H・W・ブッシュ政権で国防次官を務めていたポール・ウォルフォウィッツが中心になり、ONAで室長を務めていたアンドリュー・マーシャルの考え方に従い、DPG(国防計画指針)草案として世界制覇プランが作成された。 この文書は国防次官を務めていたポール・ウォルフォウィッツが中心になって作成されたことから「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」とも呼ばれている。新たなライバルの出現を防ぐことが最優先事項で、ドイツと日本をアメリカ主導の集団安全保障体制に統合し、民主的な「平和地帯」を創設する、つまりドイツと日本をアメリカの戦争マシーンに組み込み、アメリカの支配地域を広げるということも謳われている。 それに対し、1993年8月に成立した細川護煕政権は国連中心主義を打ち出して抵抗するものの、94年4月に崩壊。1994年6月から自民党、社会党、さきがけの連立政権で戦ったが、押し切られている。 日本側の動きをネオコンのマイケル・グリーンとパトリック・クローニンはカート・キャンベル国防次官補(当時)に報告、1995年2月になると、ジョセイフ・ナイは「東アジア戦略報告(ナイ・レポート)」を発表してアメリカの政策に従うように命令した。そのレポートには10万人規模の駐留アメリカ軍を維持し、在日米軍基地の機能を強化、その使用制限は緩和/撤廃されることが謳われている。 沖縄ではこの報告に対する人びとの怒りのエネルギーが高まるが、そうした中、3人のアメリカ兵による少女レイプ事件が引き起こされ、怒りは爆発する。日米政府はこの怒りを鎮めようと必死になったようだ。 こうした中、1994年6月に長野県松本市で神経ガスのサリンがまかれ(松本サリン事件)、95年3月には帝都高速度交通営団(後に東京メトロへ改名)の車両内でサリンが散布された(地下鉄サリン事件)。松本サリン事件の翌月に警察庁長官は城内康光から國松孝次に交代、その國松は地下鉄サリン事件の直後に狙撃された。1995年8月にはアメリカ軍の準機関紙と言われているスターズ・アンド・ストライプ紙に85年8月12日に墜落した日本航空123便に関する記事が掲載された。この1995年以降、日本はアメリカの戦争マシーンへ組み込まれた。 その翌年、1996年にネオコンのリチャード・パール率いる研究グループは『完全な決別:国家安全保障のための新戦略』なるネタニヤフ宛ての文書を発表している。 その中でネオコンは労働シオニズムを批判して和平プロセスを否定。そしてイスラエルが北部国境沿いの戦略的主導権を握り、レバノンにおける侵略の主役であるヒズボラ、そしてシリアやイランと交戦し、イラクのサダム・フセイン体制を倒すことを望み、トルコやヨルダンと協力してシリアを弱体化、封じ込め、さらには後退させることで戦略環境を整えることができるとしていた。「誇り高く、豊かで、堅固で、強いイスラエルは、真に新しい平和な中東の基盤となる」とネオコンは考えている。西アジア全域をイスラエルが支配するということだろう。 ネオコンはウクライナでビクトル・ヤヌコビッチが大統領に就任することを阻止するため、2004から05年にかけて「オレンジ革命」を仕掛け、ビクトル・ユシチェンコを大統領に据えるのだが、彼の新自由主義的な政策は国民の大半を貧困化、人気は急速に低下した。 そのため2010年の大統領選挙ではヤヌコビッチが勝利、その政権を倒すため、バラク・オバマ政権は2013年11月から14年2月にかけてキエフのユーロマイダン(ユーロ広場、元の独立広場)でクーデターを開始、ヤヌコビッチは排除された。 2022年に入るとキエフのクーデター軍は東部ドンバスに対する砲撃を激化させ、開戦は不可避だと考える人が少なくなかった。そして2月にロシア軍が機先を制す。ウクライナをミサイルなどで攻撃しはじめたのだ。当時、投入されたロシア軍の戦力はウクライナ軍の数分の1だったとされている。 キエフ政権はすぐにロシア政府と停戦交渉を開始するが、ウクライナの治安機関SBU(ウクライナ保安庁)はその交渉を潰しにかかる。交渉を仲介していたひとりのナフタリ・ベネットは当時、イスラエル首相。彼によると、2022年3月5日にモスクワへ飛んでプーチン大統領と数時間にわたって話し合い、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領を殺害しないという約束をとりつけることに成功、その足でベネットはドイツへ向かってオラフ・ショルツ首相と会った。SBUはその3月5日、キエフの路上でゼレンスキー政権の交渉チームで中心的な役割を果たしていたデニス・キリーエフを射殺している。 2022年4月9日にはイギリスの首相だったボリス・ジョンソンがキエフへ乗り込んでゼレンスキー大統領に対し、戦争継続を命令(ココやココ)、4月30日にはアメリカ下院のナンシー・ペロシ議長が下院議員団を率いてウクライナを訪問、ウクライナへの「支援継続」を誓い、戦争の継続を求めた。またペロシは同年8月2日、台湾を訪問して中国を挑発し、後にイスラエルによるガザでの虐殺に抗議する人びとを批判している。アメリカの政治家は民主党も共和党も大半がイスラエル・ロビーに支配され、血に飢えている。人びとを虐殺し、世界経済を破壊しようとしているのだ。***********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.04.10
アメリカ軍とイスラエル軍が2月28日にイランを奇襲攻撃した結果、世界経済は破綻の瀬戸際まで追い詰められている。この無謀な戦争へドナルド・トランプ政権が動き出したのは2月11日のようだ。 西側を支配する私的権力の影響下にあるメディアのひとつ、ニューヨーク・タイムズ紙のジョナサン・スワンとマギー・ハーバーマンによると、2月11日にイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相がホワイトハウスを訪問、シチュエーション・ルームへ入り、トランプ大統領やその側近と秘密裏に会議を開いた。テーマはイランだ。壁に設置された大型スクリーンにはイスラエルの対外情報機関モサドのダビッド・バルネア長官やイスラエル軍関係者が映し出されていたという。アメリカ側の出席者はスージー・ワイルズ首席補佐官、マルコ・ルビオ国務長官、ピート・ヘグセス国防長官、ダン・ケイン統合参謀本部議長、ジョン・ラトクリフCIA長官、ジャレッド・クシュナー大統領補佐官、そしてスティーブ・ウィトコフ中東担当特使だ。 戦争計画は秘密で、ほかの政府高官は会合の開催を知らされず、J・D・バンス副大統領も欠席していた。財務長官のスコット・ベセントやエネルギー長官のクリス・ライト、そして国家情報長官のタルシ・ギャバードは排除されていた。 モサドは会議の中で、イラン国内において再びデモが始まり、イスラエル諜報機関の扇動で暴動や反乱が引き起こされ、激しく爆撃すれば体制を転覆させられると説明、イランの弾道ミサイル計画を数週間以内に破壊でき、体制の弱体化でホルムズ海峡を封鎖することは不可能になるともしていた。 さらに、クルド人の戦闘員がイラクから国境を越えて北西部へ攻め込んでイラン軍の戦力を分散させるともしている。イラクのクルド人は以前からイスラエルの支配下にあり、その指導者はモサドだと言われている。そのプレゼンテーションにトランプ大統領は感銘を受け、「いい考えだ」とネタニヤフ首相に告げたという。 2月12日にはシチュエーション・ルームでアメリカの情報機関による分析結果が大統領の側近たちに示された。ラトクリフCIA長官はイスラエル側のシナリオを「茶番」と表現、ケイン統合参謀本部議長は大統領に対し、イスラエルはアメリカを必要としているので、強引に売り込んでいるのだと説明している。こうした懸念を大統領は無視、2月27日にエアフォースワンの機内で「エピック・フューリー作戦を承認する。中止は認めない。幸運を祈る」と命じた。 アメリカ軍とイスラエル軍は2月28日にイランを攻撃、最高指導者のアヤトラ・アリ・ハメネイ師、アブドルラヒム・ムサビ参謀総長、アジズ・ナシルザデ国防相、イラン革命防衛隊(IRGC)のモハメド・パクプール司令官、そして最高安全保障委員会(SNSC)事務局長でハメネイ師の顧問を務めていたアリ・シャムハニを含むイランの要人を殺害した。 オマーンのバドル・ビン・ハマド・アル・ブサイディ外相によると、9カ月の間に2度、アメリカとイランはイランの核開発計画について協議し、合意まであと一歩のところまで迫っていたという。ところが最も実質的な協議からわずか数時間後、アメリカとイスラエルはイランを攻撃したのだ。核開発計画に関する協議はアメリカがイランを油断させ、要人を一箇所に集めるための罠だったのだろう。 イラン軍は奇襲攻撃の直後に反撃を開始、イスラエルや中東のアメリカ軍基地をミサイルやドローンで攻撃しはじめる。イスラエルではテルアビブやハイファといった都市は破壊され、ディモナにあるシモン・ペレス・ネゲブ原子力研究センター(ディモナ原子炉)に近い場所も攻撃され、カタールにあるアル・ウデイド空軍基地、クウェートのアル・サレム基地、アラブ首長国連邦のアル・ダフラ空軍基地、バーレーンのアメリカ軍第5艦隊基地、サウジアラビアのリヤドにあるプリンス・スルタン空軍基地なども攻撃された。 アメリカ軍の航空機が墜落したり撃墜されているとする情報が流れている。イラン南西部、イスファハンの近くで撃墜されたF-15E戦闘機の兵装システム士官を救出したとする発表がトランプ大統領からあったが、これは作り話だされている。イスファハンはイランの核関連の重要施設に近い。 墜落地点の問題もあるが、兵装システム士官を救出するためにAH-6「リトルバード」を2機ずつ搭載した2機のC-130J輸送機が投入されていることに疑問を持つ人が少なくない。C-130Jにはそれぞれ3人の乗員が搭乗、そのほかヘリコプターの要員4名が乗っていたと推測されている。 また、海軍の特殊部隊SEALチーム6の隊員が作戦に参加していたとされている。C-130JはAH-6のほか戦闘装備を積んだ8から12名の隊員を輸送できる。つまり2機のC-130Jは16名から24名の特殊部隊員も乗せられる。 ひとりの兵装システム士官を救出するためにこれだけの人員を投入するのは不自然。兵装システム士官のいる場所がわかっているなら、そこへヘリコプターを派遣すれば良い。 イスファハンはイランの核関連の重要施設に近く、救出作戦ではイラン軍との銃撃戦があり、死傷者が出たとアメリカは発表しているが、イラン軍はこの出来事について、複数のアメリカ軍機の参加した失敗した侵攻作戦だとしている。イランの核開発計画などを標的とした攻撃を実施するための偵察、あるいはイランが保有する核物質を回収するための作戦だったのではないかというのだ。事実は不明だが、アメリカ軍とイスラエル軍の作戦が予定通りに進んでいないことは確かだろう。 窮地に陥ったアメリカ政府はイラン政府に対して停戦交渉を持ちかけていたが、過去の騙し討ちに懲りているイランは応じなかったが、パキスタンを介して10項目の要求を提示した。ホルムズ海峡の通行をイランが管理、イランの同盟勢力に対する軍事行動の停止、西アジア地域からのアメリカ軍撤退、イランの役割を明記したホルムズ海峡における安全保障協定の策定、イランが被った損害に対する全額補償、すべての制裁および国際決議の撤廃、凍結されたイラン資産の返還、そしてこれらの条件を拘束力のある国連安全保障理事会決議として正式に承認することだ。イラン当局者によると、パキスタンはアメリカがこれらの原則を受け入れたと伝えたという。イスラエルとアメリカが攻撃を停止するならば、イランは報復攻撃を行わない。***********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.04.09

イスラエルや中東にあるアメリカ軍基地が攻撃される一方、アメリカ軍やイスラエル軍はイランを攻撃している。イランのメディアが4月7日に伝えたところによると、アメリカ/イスラエル軍はテヘランにあるシナゴーグ(ユダヤ教の会堂)を「完全に破壊」した。狂信的なシオニストが支配するベンヤミン・ネタニヤフ政権はイスラム教徒やキリスト教徒を弾圧、パレスチナ人に「テロリスト」というタグをつけて処刑できる法律を制定したが、ユダヤ教徒も攻撃している。 シオニストは1933年8月、ユダヤ系ドイツ人をパレスチナへ移住させることでナチス政権と合意した。「ハーバラ合意」だ。弾圧されたユダヤ人をパレスチナへ向かわせることができるとシオニストは考えたようだが、ユダヤ教徒の多数派はパレスチナへ向かわない。生活環境がヨーロッパに近いアメリカやオーストラリアへ逃れた。 1938年11月にドイツではユダヤ系住民が襲撃されはじめて多くの人が殺され、収容所へ入れられ始めるが、この「水晶の夜」以降もユダヤ教徒はパレスチナでなく、アメリカやオーストラリアへ逃れた。第2次世界大戦後、パレスチナへユダヤ人が運ばれるが、イラクに住むユダヤ教徒をシオニストは襲ってパレスチナへ誘導した。シオニストは自分たちの計画を実現するためならユダヤ教徒も攻撃対象にするわけだ。 ネタニヤフ首相はウラジミール・ジャボチンスキーが1925年に結成した「修正主義シオニスト世界連合」の流れを汲む。この団体は第2次世界大戦中、イギリスの対外情報機関MI6や破壊工作機関のSOEから訓練を受けている。 ウクライナでヤボチンスキーは独立運動を率いていたシモン・ペトリューラと連携しているが、この人物はロシア革命の直後、1918年から21年にかけて大統領を名乗り、3万5000人から10万人のユダヤ人を虐殺したという。(Israel Shahak, “Jewish History, Jewish Religion,” Pluto Press, 1994) ジャボチンスキーは1940年にニューヨークで死亡、その当時、彼の秘書を務めていたベンシオン・ネタニヤフはベンヤミン・ネタニヤフ首相の父親である。ジャボチンスキーの後継者に選ばれた人物はメナヘム・ベギンだ。 修正主義シオニスト世界連合と密接な関係にあるネオコンの思想的な支柱はシカゴ大学の教授だったレオ・ストラウス。この学者は1899年にドイツのヘッセン州で熱心なユダヤ教徒の家庭に生まれ、17歳の頃にジャボチンスキーの運動へ接近している。 ストラウスは1932年にロックフェラー財団の奨学金でフランスへ渡り、中世のユダヤ教徒やイスラム哲学について学んだ後、プラトンやアリストテレスの研究を始めている。カルガリ大学のジャディア・ドゥルーリー教授に言わせると、ストラウスの思想は一種のエリート独裁主義で、「ユダヤ系ナチ」だ。(Shadia B. Drury, “Leo Strauss and the American Right”, St. Martin’s Press, 1997) 1934年にストラウスはイギリスへ、37年にはアメリカへ渡ってコロンビア大学の特別研究員になる。教授として受け入れられた1944年にはアメリカの市民権も獲得した。1949年から73年までシカゴ大学で教えている。その間、1954年から55年にかけてイスラエルのヘブライ大学で客員教授にもなっている。ポール・ウォルフォウィッツはシカゴ大学における彼の教え子だ。 国防総省のONAで室長を務めていたアンドリュー・マーシャルの考え方に従い、1992年2月にはDPG(国防計画指針)草案(ウォルフォウィッツ・ドクトリン)が作成された。その中心になったのは国防次官を務めていたウォルフォウィッツだ。その時の大統領はジョージ・H・W・ブッシュ、国防長官はディック・チェイニーだ。そのため、この指針は「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」とも呼ばれている。2001年9月11日、このドクトリンは本格的に始動した。 ネオコンのリチャード・パール率いる研究グループは1996年に『完全な決別:国家安全保障のための新戦略』なるネタニヤフ宛ての文書を発表している。その中で労働シオニズムを批判、和平プロセスを否定。そしてイスラエルが北部国境沿いの戦略的主導権を握り、レバノンにおける侵略の主役であるヒズボラ、そしてシリアやイランと交戦し、イラクのサダム・フセイン体制を倒すことを望み、トルコやヨルダンと協力してシリアを弱体化、封じ込め、さらには後退させることで戦略環境を整えることができるとしていた。こうした計画は実行されたと言えるだろう。「誇り高く、豊かで、堅固で、強いイスラエルは、真に新しい平和な中東の基盤となる」とネオコンは考えている。 このネオコンをアメリカで支えているのが福音派、キリスト教原理主義者、聖書根本主義派、キリスト教シオニストなどと呼ばれている勢力だ。彼らの教義によると、キリストに従う「善の軍勢」と反キリストの「悪の軍勢」が「ハルマゲドン」で最終戦争を行い、人類の歴史は幕を閉じ、その時に再臨するキリストによって自分たちは救われるのだという。 ジェリー・フォルウエルなど有名なテレビ説教師の大半がこの説を信じていて、「四千万を超えるといわれる聖書根本主義者たちは、聖書に書かれた神の都シオンと現代のシオニズム国家イスラエルを中心に信仰体系を打ち立てている」のだ。この信仰体系を天啓的史観と呼ぶ。(グレース・ハルセル著、越智道雄訳、「核戦争を待望する人びと」、朝日選書、1989年) マザー・ジョーンズの2002年9月/10月号に掲載されたレポートによると、聖書根本主義派はエド・マクティールを中心に活動していた。ジェリー・フォルウエルをロナルド・レーガン、ジェシー・ヘルムズ上院議員、そして現司法長官のジョン・アシュクロフトと引き合わせたのもこの人物だ。ネオコンのウォルフォウィッツはパレスチナ人に与えられた土地をイスラエルは再占領すべきだと公言していた。(MOTHER JONES, September / October 2002) 現在トランプ政権の「ホワイトハウス信仰に基づく地域連携局」でスピリチャル顧問を務めるポーラ・ホワイト-ケインも福音派のテレビ宣教師。ジョージ・W・ブッシュ政権時代には倫理顧問を務めていた。ブッシュ政権で首席倫理顧問を務めたリチャード・W・ペインターは彼女が「詐欺」と「ポンジ・スキーム(ネズミ講的な投資詐欺)」を行っていると示唆していたが、とりあえず立場上、天啓的史観の持ち主だ。***********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.04.08
UAE(アラブ首長国連邦)のアブダビに建設された巨大AIデータセンター「Stargate UAE」が今年、稼働する予定だった。このプロジェクトにはUAEが支援するG42のほか、OpenAI、Nvidia、Oracle、Cisco、SoftBankなどが参加している。そのStargate UAEを破壊すると発言するIRGC(イラン革命防衛隊)のイブラヒム・ゾルファガリ報道官の映像が公表された。 西側の巨大IT企業は金融業界と同じように中東を拠点にしつつあったが、そうした拠点をイランは攻撃している。例えばUATとバーレーンにあるアマゾンのデータセンターがドローンに攻撃された。巨大IT企業はUAEを中東におけるAI大国にする予定だったようで、マイクロソフトは150億ドルを投資している。 中東ではイスラエルがエレクトロニクスの分野で有名。その中心には電子情報機関8200部隊(ISNU)がある。軍の情報機関AMAN(イスラエル参謀本部諜報局)のSIGINT部門で、アメリカのNSAやイギリスのGCHQと連携して活動している。NSAとGCHQはカナダ、オーストラリア、ニュージーランドの電子情報機関とUKUSA(UK + USA)を編成しているが、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドは配下の組織だ。 8200部隊は部隊の「出身者」が「私企業」を設立していることでも知られている。こうした企業は8200部隊のフロント企業であり、情報活動の一端を担っている。 そうした企業のひとつが緊急通報システムの分野で知られているカービン。このシステムは監視にも使われ、過去の言動などから犯罪の予測も行うとされている。2014年にテルアビブでリポーティとして設立されたが、その出資者にはAMANの局長を経て参謀総長、そして首相になったエフード・バラクが含まれ、同社の会長に就任している。カービンの重役は大半が8200部隊の元将校で、同社の創設者には決済サービス企業のペイパルを創業したピーター・ティールも含まれている。 ティールはドナルド・トランプ大統領を支持、J・D・バンス副大統領は彼の弟子的な存在。ティールも共同創設者のひとりとして名を連ねているパランティアは2003年にCIAのベンチャー・キャピタル部門であるIn-Q-Telからの資金を得ている。 カービンの主要な資金源のひとり、ジェフリー・エプスタインは性犯罪の容疑で逮捕され、収監中に死亡した。この人物は未成年の男女を有力者に提供する一方、そうした関係を記録して有力者を脅して操っていたとされている。エプスタインはバラクとビジネスの上でつながっていたのだが、バラクによると、彼をエプスタインに引き合わせたのは、イスラエル労働党の政治家で首相にもなったシモン・ペレス。その兄弟であるギデオン・ペルスキーが創設したスイス・イスラエル銀行から融資を受けていたブルース・ラッパポートはウイリアム・ケイシーの友人だ。(Whitney Webb, “One Nation Under Blackmail Vol. 1,” Trine Day, 2022) 8200部隊からスピンアウトした誕生した企業はアメリカの通信システムに「裏口」を組み込み、インターネットやコンピュータの分野で大きな影響力を持つ企業、例えばAlphabet、マイクロソフト、メタなどと結びついている。 イラン攻撃ではパランティアのAIが標的の特定に使われた。同社も支援している国防総省のプロジェクト・メイブンが中核的な役割を果たしているとも言われ、パランティアのMOSAICプラットフォームはパターン分析に基づく予測推論、つまりパターンを分析し、次に何が起こるかを推測する。同社はデータの収集から攻撃まで、戦争の全サイクルを網羅する統合システムを段階的に構築しているとも言われているが、実際の戦争でパランティアのAIが無能だということが判明した。 アメリカ政府はイランの経済を混乱させるため、昨年12月28日に同国の通貨リアルを暴落させた。その混乱を利用して反政府デモを誘発、そのデモ隊の中へ潜り込ませた工作員には資金と共にスターリンクを渡されている。スターリンクを利用して治安部隊の動きを知らせ、どのように行動すべきかを指示していたのだが、そのためにドナルド・トランプ政権は事前に約5万台のスターリンク端末をイランへ密輸していた。 アメリカやイギリスはインターネットを利用して反政府デモに衛星画像を提供し、作戦を伝えてきた。イランではイーロン・マスクのスターリンクを使ったわけだが、そのスターリンクをイラン政府は遮断、カラー革命を防ぐことに成功した。 IRGCが西側の巨大IT企業を狙うのは必然である。***********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.04.07
イラン南西部で4月3日に撃墜されたアメリカ空軍のF-15E戦闘機の兵装システム士官を救出したとドナルド・トランプ大統領は発表した。作戦には数百名のアメリカ兵が参加、その中には海軍の特殊部隊SEALチーム6、あるいは陸軍のデルタ・フォースも含まれているようだ。 それに対し、イラン側は地元の住民やIRGC(イスラム革命防衛隊)の部隊が拘束しようと動き、銃撃戦があったとも伝えられている。イランのハタム・アル-アンビヤ中央司令部はアメリカによるF-15戦闘機の乗員救出の試みは失敗、自らの大敗北を隠蔽しようとしていると主張している。アメリカ軍機は撃墜され、その痕跡をなくすためにアメリカ側が爆破したともしている。 今のところ、どちらの主張が正しいかは不明だが、アメリカ軍が乗員の救出に成功したとしても航空を安全に飛ばすことが困難な状況だということは間違いなく、アメリカが制空権を握ったとは言えない。 イラン軍の保有するミサイルが枯渇するようには思えず、イスラエルやアメリカ軍基地に対するミサイルやドローンによる激しい攻撃が続いている。イスラエルのテルアビブやハイファといった都市は破壊され、ディモナにあるシモン・ペレス・ネゲブ原子力研究センター(ディモナ原子炉)に近い場所も攻撃されている。 さらにアメリカ軍が駐留しているカタールのアル・ウデイド空軍基地、クウェートのアル・サレム基地、アラブ首長国連邦のアル・ダフラ空軍基地、バーレーンのアメリカ軍第5艦隊基地を含む基地を攻撃されている。イスラエルのハアレツ紙によると、イスラエル国内におけるイランのミサイルの命中率は80%に達し、迎撃されていない。イスラエル軍は兵員不足で崩壊寸前だ。 住民のために建設されていた橋をアメリカ/イスラエル軍は破壊、さらにブーシェフル原子力発電所から数メートルの地点にミサイルを撃ち込んだ。ウクライナと同じように、原発への攻撃で相手を脅そうとしている。 ウクライナではドニエプル川東岸にあるザポリージャ原子力発電所に対するドローン攻撃が続いている。西側ではロシア軍による攻撃だと主張する人もいるが、この原発はロシア軍が警備、管理、ロシアが攻撃するはずがない。偽情報を流し続けてきた西側の大手メディアも追い詰められているだろう。 イランによる攻撃でイスラエルの主要都市や重要な機関が破壊されている。そのイスラエルではパレスチナ人に「テロリスト」というタグをつけ、そうしたタグをつけているパレスチナ人を処刑できる法律が議会(クネセト)で制定された。ユダヤ人はテロを行わないという前提でパレスチナ人を恣意的に処刑できる法律だ。パレスチナ人を皆殺しにすることを合法にしたのだ。崩壊寸前のイスラエルは暴走している。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.04.06
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