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亮一は図書館にいた。専門の講義でレポートが出たのだが、どうも大学に入って急激に数学的なところが難しいくなった気がする。しかしまぁ、そういうものなのだろうとも思う。高校までの物理は公式丸暗記だったりインチキ臭い説明だったりで正直まったく面白くなかった。大学に入ってだいぶその胡散臭さが減ったが、その代わりにそこを埋めたのが数学的なテクニックだった。亮一は数学も嫌いではないが初めはさすがに図書館で参考書を調べたりしないとかなり苦労した。今日も元々は調べモノのつもりで来たのだが、いつの間にか本を読む方にはまってしまっていた。「佐々木君」斜め右前方から亮一に向かって呼びかける声がした。女性の声だった。亮一は緩慢に顔をあげたが、目の前にいたのは見覚えのない、というか逆にどこかで見たけどきっと深く印象には残らないだろうな、と言う感じの量産型の美人な女性だった。よくできている。亮一は、関係ないけど、この子は一ヶ所でもすこしバランスを崩してやると印象に残る顔になるのにな、と思った。思い出そうという努力は彼女の顔を見て2秒で諦めた。こう言うときは、誰だか分からないままでも会話は成り立つものだと知っている。「何やってるの?」こう聞かれたら、もし相手が、街で偶然会った10年来の親友ならきっと職業を答えるのだろう。もし相手が、クラスの友人なら「大問3のこの計算が・・」と具体的に調べていた部分を詳しく答えるべきだろう。今目の前の女性は自分とはどれくらいの関係なのか、そもそも自分の現状をどれくらい把握しているのか。結局1秒考えてから「量子のレポート」と答えた。親友でもなければクラスの友達でもないと判断したのだ。万が一相手がクラスの人間であったときの為に科目だけは加えた。「猟師?ふぅん、分からないや。最近サークル来ないけどどうしたの?」量子のアクセントがおかしい。きっと訛っているのは彼女を思い出す手がかりになるかもしれない。それより、サークルか。サークルの人なのか。亮一は軽音楽サークルに入っていたのだ。ベースをやっている。確かにここ1週間は顔を出してなかったけど、他もみんな週一で来てるという話しだったのだが。今週はみんな暇だったのかもしれない。「今週は行く時間なくて。」「そうなんだ。こないだの事で気を遣わせたのかと思って心配したんだよ」彼女は時計をチラッと見てから「今日はまだここにいるの?」と言った。こないだ?何かされたっけ?それとも自分がしたのか??亮一は今度はさっきよりは少しだけ真剣に彼女を思い出そうとしたが、やはりダメだった。仕方ないので「うん」と、問いにだけ答えた。彼女は周りを見てから「ここじゃ、さすがに返事出来ないからメール教えて。あ、いや私のアドレス教えるから夜メールして。」と言って彼女は亮一のノートに自分のアドレスを書いた。そして「今からバイトなの、ごめんね、また。レポート頑張ってね。」と言って彼女は出て行ってしまった。亮一は彼女の後ろ姿を見送りながら手がかりを整理してみた。「サークル、返事、バイト」そしてアドレスを見ながら、どうしたモノかと考えた。覚えのない、しかも、何かした(された)相手に何と言ってメールを送ろうか。しかしすぐに考えても仕方がない気がしたので、亮一はまた本に目を戻した。
June 11, 2006
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桜井心さんのところから強制的に持たされました自発的に拾って来ましたw□■ルール■□見た人は全員やること!絶対だから! 嘘つきはだめ! 足跡に証拠残りますよ♪■Q 01:最近ときめいてますか?えぇw まぁ、ボチボチww■Q 02:自分はホレやすい方だと思いますか?あ。。そんな気もするなぁ。最近、どんな子見ても可愛い~!って思うようになってきたしorz■Q 03:そして移り気な方だと思いますか?あぁ、そう言う意味では移り気と言えるのかな。でも、実際付き合ってる人とかは別ですからね。他の子がいくら可愛いく見えてそれだけの事ですよね。■Q 04:いままでの恋愛にピリオドを打った理由は?ん?ピリオドを打たれた理由じゃなくて?orz■Q 05:もう恋なんかしないと思った事がありますか?いや、ない。そもそもしようと思ってしたとこもないし。そんな、決意をしてから始めるものなのかなぁ。■Q 06:ヤキモチはけっこう妬いてしまう方ですか?いやぁ、そうでもないと思う。放置プレイ派w■Q 07:ジェラシーは愛ゆえ?所有欲ゆえ?愛ゆえですかねぇ。僕の場合、自分に自信がないから心配するんですよ。目移りされたら強引に引き留めるだけの魅力もないですからorz■Q 08:恋している自分に恋している事がありますか?ないw ■Q 09:自分の行為の正当化のために付き合っていた事はありますか?ん?ない。と、思うがどういう事?w■Q 11:恋人ができても「もっと自分にふさわしい人がいるのでは?」と思ってしまう?思わないです。え?そんなこと思うもの??逆に思われてる可能性もあるってこと??■Q 13:なぜ自分は冷めてしまうんだろうと悩む事がある?そんなの悩む?だんだん落ち着いた関係になっていくのが普通なんじゃない?冷めた、っていう表現が悪いんですよぅ。つきあい始めとは違う安心感を感じれるまで関係を続けれるのっていいなぁ、って思う。 ■Q 14:今の好きな気持ちを本当に「好きなんだ」と断言できる?できる!!■Q 15:あなたのすべての恋愛の延長線上に結婚という通過点はありますか?ケースバイケイスw まだ若いですからww そうじゃない恋愛もあるんじゃないかな。■Q 16:もし恋人との子供ができて(妊娠)しまったらどうする?困る!!てか、捕まるから!!!!!汗■Q 17:どこからが浮気だと思いますか?自分に関しては相手にそう思われたらだと思う。何にもなくても彼女がそう思って自分が彼女に納得いく説明出来なかったら仕方ない。李下に冠を正さず。まぁ、だから相手も僕にバレないようにしてたら浮気だ、って言いようもないわけだから別にいいですよ。若い女の子だもん好奇心だってありますよ。戻ってきさえすれば。・・・答えになってないw■Q 18:自分の改善点を恋人に指摘されたらそれを感謝できますか?ことによる。先天的で本質的な人間性を否定するようなモノじゃなければw早い!(何が??w)とかなら頑張って改善しますw■Q 19:プライドが邪魔してそれが障害になる事が多い人ですか?プライドは無駄に高いですw でも、それが障害になってるとかはあんまり思わないな。気づいてないだけ?w■Q 20:あなたの理想の恋人像を教えて下さい。料理が出来る、鬱じゃない、騒がしくない、品がある、Hが好き、Dカップ以下、、別にそんな条件満たしてなくてもいいんですよw
June 5, 2006
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岩井祥子にとって、大学に入学したらテニスのサークルに入るというのは些細な目標のうちの一つだった。しかし、実際に大学に入学してみたらテニスサークルの多いこと。テニスサークルだけで7つはあった。どうも聞いたところによると、この新歓の時期だけ活動してるインチキテニスサークルもあるらしい。そういう所はただ遊んだり飲んだりするだけらしい。祥子としては、テニスサークルにはいって仲間と飲んだりテニス以外にも遊んだりするのも目的の1つではあるけど、それだけしかないサークルには入りたくなかった。結局それで3つに絞った。3つの新歓に顔を出してサークルの人を見て決めようと考えたのだ。そのうちの1つのサークルの新歓で、彼女は一人の男に目をつけた。彼も新入生で自己紹介では佐々木何とか、と言っていた。残念な事に席も離れていて、彼は1次会で帰ってしまったので話をする機会はなかったが彼は背も高く、顔立ちもひときわ目立っていた。勝手な思いこみかも知れないけど何度か目が合った気もした。そして祥子はこのサークルに決めた。それからサークルに入ってテニスをしてると2,3回彼と顔を合わせた。テニスも初心者だったと言っていたのにたった1週間程度でかなり上達していた。話も上手い、女性に対する当たりも柔らかい。しかし、祥子も自分で言うのもはばかられるが結構モテる方だ。今も彼氏が複数いる。それでも別に悪いとは思っていない。彼らはそれに全く気づかないほどに現状に満足している。誰も損も悪い思いも受けてないのだから良いではないか、と言うのが彼女流である。彼女は、佐々木に対して純粋に付き合いたいと言う思いと、あんな遊んでそうな男を落としてみたいという思いで悩んだ。どっちも付き合うことを目標にしてるなら別にどっちかで迷う必要はないではないか、と思うかもしれないが、それは違う。彼女にしたらそれはプロセスが全く違うのだ。戦略も全く変わってくる。この戦略性こそ恋愛の醍醐味だと彼女は常々思っているし、今までの所、戦略的に彼女を上回った相手はいなかった。そんな、まだ方向性がめきれなかった時に佐々木と一緒に帰る事になった。今考えてもどうやってあんなに自然に私と一緒に帰るという方向に持って行けたのか思い出せない程に極めて自然な流れだった。そしてこともあろうか彼は付き合ってくれと言い出したのだ。驚いたのと、嬉しいのと、先手を取られた悔しさとで祥子は混乱してしまった。後から思うと即決でokしてもよかったのに、その時は全く言葉が出なかった。彼も気を使って、返事はいつでも良い、と言ってさっさと先に帰ってしまった。翌日から彼はサークルには顔を出さなくなってしまった。祥子は彼の電話もメールのアドレスも知らない。普段ならここで諦めるが、今回は獲物も一流で、しかも先に一撃を受けている。祥子はやっと方針を決めていた。本気で純粋に付き合う、でもまず、持てる全ての技と頭脳で彼を落とす。そう決めた。まずこのバカ広い大学で、彼を見つけなければ。
June 4, 2006
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「兄貴は今彼女いないんだよな?」佐々木洋一は兄の亮一の部屋で音楽を聴いている。兄とは言っても二人は双子である。二人ともに「一」が付くは父親の「同着なんだからどっちも一位だろ」とかいう訳の分からない理由かららしい。二人は小学校から大学まで同じ学校に通っている。高校まではしょうがないにしても大学くらいは別の所に行ったら?というのが母の意見だったのだが、もともと二人は示し合わせてこの大学を選んだ訳ではないのだ。高校三年の頃、洋一は父に行きたい大学を打ち明けた時に、亮一と同じ所じゃないか、と言われて初めて兄の志望校を知ったのだ。全く、あの時は遺伝子が大学を選んでいるとしか思えなかった。しかし、学部は違った。亮一は理学部で洋一は工学部にした。洋一には理を突き詰めて行こうという学者的な探求心はなかったのだ、その代わり専門的な知識と技術を身につけてさっさと就職してしまおうと考えたのだ。女性関係の方も亮一が大人しいのに比べて洋一は全く間がない、というか二股も三股も平気でやってのける。ある時は「二人とも一番だ」という、これまた佐々木家の遺伝子に刻まれた殺し文句で相手も納得で文字通り公然と二股を掛けていたこともあった。「いないよ」亮一はベッドで音楽雑誌を読みながら弟の問いに答えた。「じゃぁ、突然可愛い子から『付き合ってもいいわよ』って言われたら付き合うか?」「なんでその子は、お願い、じゃなくて、許可するんだ?」「もしもだよ。」「可愛いより綺麗な方がいい。」「はいはい、分かったよ。綺麗な子が『付き合ってもいいわよ』って言うんだ。」「相手とタイミングによる。俺のコンディションとかモチベーションとか。そんなミラクルが起こればの話しだが。そもそもお前みたいに俺は女なんていらないんだよ。」「俺だっていないならいないで良いんだ。ただ、いなくならないだけだよ。困ったもんだよ。それにしても、奇跡は起こすもんだよ、兄貴。」そういって洋一は意味深にニヤけた。同じ顔を持つ人間がいることを回りが知らないというのはこんなに愉快なんだ、ということに初めて気づかされた。今までは高校中に知れて何も面白いことはなかったのだ。しかし、同じ大学とは言っても大学という所は恐ろしく広い。自分の大学は構内をバスが走っている程に広いのだ。実は、ついさっき学校で洋一は兄の代わりに大学で見つけた女の子に告白してきたのだ。先日のテニスサークルの新歓で目をつけた法学部の女の子だ。彼女は名前を祥子と言う。かなり美人で少し遊んでそうな感じだが、洋一にしてみればそれくらいが逆に亮一にとっては丁度良いのではないかと、勝手に考えての人選だった。初めに合った時にすぐ思いついた計画だったので言動に細心の注意を払い、新歓での自己紹介でも、名字で通した。学部は迷ったが嘘を付くことだけはフェアじゃないと思い工学部だと言った。まぁ、飲み会の自己紹介なんて誰も聞いてないだろう、との思いもあった。携帯の番号も教えてない。今日は、サークルの帰りに一緒に帰り二人になれる場所に自然に連れて行き、告白した。ここは洋一の地元であり、洋一はその道には精通してる。しかし、この場でokをもらっては全く計画の意味もなくなるので、返事はいつでも良いと言っておいた。もうテニスコートにも近づく気もない。祥子が次ぎに会うのが亮一なら亮一に返事をするだろう。同じ顔なのだ、祥子には判別のしようもない。洋一としたら、亮一に彼女をつくってやりたい気持ちが3分の1、いつも落ち着きすぎてる兄の驚いた顔を見てやりたい気持ちも3分の1。もし、彼女が次ぎに会うのが自分でも、まぁ、付き合ってもいいかな、という気持ちも3分の一。洋一は兄の顔を見た。驚いたらどんな顔になるのだろうと想像してみたが、想像した顔は自分の顔だった。兄は驚いたりしない。驚くのは自分のいつも役割だった。今度こそは。そう思っていたら目があった。お見通しだ。と、見えなくもなかった。いつも本当にお見通しなのだ。いたずらが成就したためしがない。今度こそは。もう一度心の中で言った。
June 2, 2006
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