Playmate theta

May 29, 2006
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カテゴリ: 超短編
「亮一って鈍感なの?あなたのこと好きだったのよ。」と亜希は突然切り出した。

亮一としては、薄々そんな気はしていたのだが、嫌いではないのだけど、今彼女がいるわけではないのだけども、亜希と付き合うきもなかったので自分なりに距離を置きつつ付き合ってきたつもりだった。それにしても、どうして過去形なのだろうか。同窓会で10年ぶりに合って「当時は好きだったのに」なんてことならまだ分かるが、現在進行形の人間関係のなかでそれはどういう事を意味するのだろうか。そもそも自分にはどのような種類のリアクションを求められてるのかも分からなかった。仕方がないので「気づかなかった」とだけ言っておいた。

「そうね。まぁ、いいよ。一応言ってしまいたかっただけだから。」亜希はそう言って時刻表を見に行ってしまった。

一応、言われたところでどうしろと言うんだ?彼女が居ないうちに次ぎ来るバスに自分は乗ってしまっても良いのだろうか。考えてるうちにバスが来たが、亮一はそのバスには乗らなかった。亜希も戻って来た。彼女もそのバスではなかったらしい。


「亜希とは付き合わない、と思う。」

「何よ、その『と思う』って(笑)。まぁ、駄目だと分かってたけどね。」

『と思う』にケチを付けるくらいなら自分の『だった』もおかしいだろう。と思ったけど口には出さなかった。平和主義なのだ。「誰かに告白された?」

「秘密。」暫く黙って「鈍感じゃないじゃない。」と言った。

秘密になってない。とも言わなかった。じわじわを距離を伸ばしていっても、そうか、最後に爆弾落として行くものなのか。亮一は、倒される時最後に強力な一撃を発動させるゲームの中のモンスタを想像した。モンスタは倒されて一休みしたら次の勇者とまた戦うのだ。もちろん口には出さないが。



ひょっとしたら本当に鈍感だったのかも知れないな。とも思ったが亮一は取りあえず彼女の優しさに甘えておくことにした。彼女のことだからきっと告白される予定もあるのだろう。


次のバスに彼女は乗って行った。いつも通りの笑顔で、いつも通りの挨拶で、いつもと違うバスに乗っていった。予定をこなすためかも知れない。





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Last updated  May 29, 2006 11:41:50 AM
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ぷりたん@ 超ラッキー!(* ̄ー ̄) 今まで風イ谷に金出してた俺って超バカスww…
鳥蘭丸@ うにゅぅぅぅぅ…… 可愛がってもらうだけ可愛がってもらって…
桜井心 @ Re:断髪(09/23) とりあえずお久しぶりです☆ あははっ、…
theta @ Re:難しい子ですね(09/05) ☆真雪☆さん >私はこういう女の子独特な…
☆真雪☆ @ 難しい子ですね 私はこういう女の子独特な性格?は持ち合…

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