・カレー沢薫の『寝そべり錬金術』は「戦略的ではあれど全くもって戦わないスタンス」が光るエッセイ集だ。 30 〜 40 代のビジネスパーソンこそ、この “ 戦わずして生き抜く ” 感覚に耳を澄ませてほしい。
・タイトルからして戦略的な豪語に見えるが、内容はかなりユルい。著者が「一年三百六十五日、金のことを考えている小市民」である視点を貫きつつ、税金・保険・貯金・投資・お金の不条理さを「寝そべりながら」鋭く、しかしユーモア込めて考察した 60 編の連作エッセイ集だ。文庫オリジナルとして 2025 年 7 月 15 日に刊行されたもので、文芸サイト・ tree での人気連載が書籍化されている。
・「金は天下の回りもの」とは言うものの、実際には自分の元には回ってこない…そんな、切実だけど笑えてしまう日常を語る一篇一篇は、まるで「怠惰」を正義に変える処世術の見本市のようでもある。
・『寝そべり錬金術』は、タイトル通り寝そべりながらも“金という重たいテーマを軽やかに生きる術”を教えてくれるエッセイ集だ。頑張りすぎて疲れ、心の余白を忘れてしまった 30 〜 40 代のビジネスパーソンにとって、これはまさに「戦略としての休息」を手に入れるためのリトリートである。
・戦略とはいつも攻めの設計ではない。ときにはゆったりと寝そべる構えこそ、長期戦を生き抜く知恵だと、カレー沢さんは軽やかに教えてくれる――その眼差しとユーモアを、心得としてまといたい。
寝そべり錬金術 (講談社文庫) [ カレー沢 薫 ]
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