電脳/都市

電脳/都市

2005/05/16
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カテゴリ: カテゴリ未分類
とある武蔵野の山間に位置する学校に通う主人公の同級生が、絞殺体で雑木林の沼から発見される。主人公とは懇意であっただけに彼とその仲間たちは殺された青年の弔い合戦と称して、独自に捜査を開始する。主人公が高校生男子というのが、かなり異色な出だし。どこか高校生版の地元の青年探偵団結成とでもいった感じの世界観を含め年齢の若さを通しての視点が初々しくて面白かった。若者たち(子供たち)の周りで突如起きたこの理不尽に残虐な事件は、(大人たちの都合が複雑に絡み合った事情による殺人)を、被害者の青年が愛読していたポーやボードレールに見られるおどろおどろしい奇妙な雰囲気をそえることで、どこか謎めいて神秘的な“非日常性”を作り出し、多感な時期の青年たちの不安と好奇心を駆り立てる。読んでいてイメージしたのは『ハーメルンの笛吹き』に見られるあの童話的な感じだった。しかしそこは松本清張作品、事件は神話や御伽噺などのようにあいまいとしたものではなく、過去現在を絡めた複雑な人間関係が織り成す愛憎劇が組み込まれ、納得のいく結末を迎えることになる…
「高校生コース」に掲載されたとなっているので、その雑誌の購読層向けに作られたのだろうか。読みやすかったのと面白かったのとで、深夜読み始めたのが朝方には読み終わった。





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Last updated  2005/05/16 09:12:09 PM
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