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2026年4月25日 ★★★ GWに綾辻行人の館シリーズ超大作である「暗黒館の殺人」を読むと決めているがGWまではまだ数日あるので出張もあることを考えて持ち運びをしても重くない手頃な作品をと未読の本棚から探して手に取ったのは江戸川乱歩賞であり、確か戦時中の犯罪を暴くという内容で興味深い作品として買った本作をGWまでに読んでみることにした。 CM制作者・日下が骨董市で偶然手に入れた、古いフライフィッシング用のリールとスチール缶。その中から発見した16ミリフィルムの映像をCMに利用しようと考えた日下だったが、そのことが戦時中の封印された犯罪を暴き出し、新たな殺人を引き起こす結果に!?第48回江戸川乱歩賞受賞作、待望の文庫化。 (BOOKデータベースより) 本作は第48回江戸川乱歩賞で、選考委員からその構成力と衝撃的な内容が高く評価され受賞したとあったが、Amazonや他のレビューサイトの評価を読むとかなり酷評されていることが分かり半信半疑で読み始めたが、全く駄作とは思わなかった。 確かに前半の骨董市で見つけた古いフライフィッシング用リールにおまけで付いてきたスチール缶の中に入っていた古い16ミリフィルムの映像を確認するまでが長いなぁとは感じたが、映像に隠された恐ろしい何かが見え隠れしだし、調査を進める日下や花の身の回りに、それを暴こうとする者への執拗な妨害のように不可解な事件が次々と起こるあたりから読むペースが加速していくのが分かるぐらい引き込まれてしまった。 最後の日下が下した決断と映像から判明した真相などを含めて日本の歴史の暗部を描いた作品として自分的には楽しめた作品だったと思う。
2026.04.25
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2026年4月14日★★★★先週、綾辻行人の「Another エピソードS」を読んだあと、次は綾辻行人が書いた館シリーズ最大の超大作である「暗黒館の殺人」を読むと決めていたところ、毎夜視聴している動画配信サービスのTVerに「灰色の虹」がラインアップされている事を知り、確か随分前に貫井徳郎の長編作品を読みたくて数冊買い漁った中に買っていた事を思い出し、どうしても気になったので映像を視る前に原作小説を先に読むべしの法則に従い、超大作の「暗黒館の殺人」は今年は何処にも行く予定の無いGWに回すことにして、貫井徳郎の作品集としては実に10年振りに「灰色の虹」を先に読んでみることにした。身に覚えのない上司殺しの罪で刑に服した江木雅史。事件は彼から家族や恋人、日常生活の全てを奪った。出所後、江木は7年前に自分を冤罪に陥れた者たちへの復讐を決意する。次々と殺される刑事、検事、弁護士。次の標的は誰か。江木が殺人という罪を犯してまで求めたものは何か。復讐は決して許されざる罪なのか。愛を奪われた者の孤独と絶望を描き、人間の深淵を抉る長編ミステリー。 (BOOKデータベースより)まず、本作は近年注目されている、冤罪とうテーマに著者が挑んだ物語である。ただし、本作は冤罪を司法に訴えて無罪を勝ち取るというパターンではなく、冤罪で家族や恋人を含めすべてを失った江木雅史の復讐物語である。物的証拠も無いまま上司の殺人容疑をかけられた江木雅史。犯行時刻のアリバイが無く、アリバイを証明してくれる者は誰一人見つからない一方で現場近くの1件の目撃証言のみで江木は逮捕される。自分は殺していないと訴えるが、刑事の恫喝に耐えられず、殺したと言って供述調書にもサインしてしまう。物語は過去と現在が交互に描かれて、過去では冤罪がどのように作られていったのかを江木の苦闘と共に描かれ、現在では江木を逮捕した刑事の伊佐山、一審検事の谷沢、弁護士の綾部、裁判官の石嶺、目撃者の雨宮ら関係者の日常が描かれて、伊佐山、谷沢、綾部、石嶺らの人生は唐突に終わりを告げる。最初に被害者の共通点に気づいた山名が江木が冤罪であると確信を強めていくが、上層部はあくまでも江木の逆恨みという状況の中、山名の警察生命をかけた捨て身の捜査で明らかになったことは…。700ページを超える小説をあっという間に読み切るとは自分でもびっくりでした。この物語をどう映像化したのか動画配信サービスで確認したいと思います。
2026.04.14
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2026年4月4日★★★新年度に入り、桜も私の住んでいる宝塚でもそろそろ満開になりかけている今日この頃だが、さぁ新年度に最初に読むのはどれにしようかと未読の本棚を眺めていると、綾辻行人の「暗黒館の殺人」の4冊が奥に隠れているのに気付き、一体いつ頃に買ったのかと調べてみると、なんと2014年の年末だったことがわかり、2500ページ超の全4巻という館シリーズ最大の超大作のため、読むのに躊躇していたのだが、いつの間にか本棚の奥へ追いやられていたようだ。じゃあ直ぐに手に取ってみるのかと問われると、綾辻行人の作品自体が久しぶりのため、手頃な作品は無いかと更に本棚をごそごそ探してみると、「Another」の続編として買った丁度良い長さの長編の本作を見つけたので、まず手始めに読んでみることにした。1998年、夏休み。両親とともに海辺の別荘へやってきた見崎鳴が遭遇したのは、死の前後の記憶を失い、消えたみずからの死体を探す青年の幽霊、だった。謎めいた屋敷を舞台に、幽霊と鳴の、秘密の冒険が始まる。(BOOKデータベースより)本作は「Another」の続編として刊行されたものだが、その前に「Another」自体の内容がうる覚えのため、当時読んだ読後感想を読み直してから本作を読み始めたので、ある程度思い出した状態で読み進めることが出来た。主人公である眼帯の少女の見崎鳴が語るある一夏の経験。それは海辺に建つ洋館で出会った幽霊の彼。彼は死の前後の記憶がないという。このように幽霊として出るのは理由があり、自分の死体が見つからないためだと言うのだ。鳴はその幽霊の彼とともに死体を探し始めるのだが…。それにしても、幽霊とはびっくりだが、本作も「Another」と同様ホラー小説なのか…。真相を知ると大どんでん返しとかではなく、何となくそうじゃないかと思ったりした結末だったのが少し残念だか、幽霊の語り口で進む大部分は、物語として評価すべきところかなと思う。この作品の後に「Another 2001」という本当の続編が出ているので、暗黒館の殺人の後にでも読んでみたいと思う。
2026.04.04
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2026年目3月30日★★★★東野圭吾の「ブルータスの心臓」を読んだあと、月末にかけて出張が続くので手軽に持ち運びが出来る文庫本を探しに地元の図書館に久しぶりに出向いて文庫本コーナーを眺めていると、先月読んだ江戸川乱歩賞受賞作で伏尾美紀の「北緯43度のコールドケース」の続編である本作を見つけて、確かこの作家の続編を読んでみたいと思ったのを思い出し、じゃあこれにしようと決めて読んでみることにした。札幌の新設大学で発生した爆破事件。 博士号を持つ警察官・沢村依理子が捜査に加わる。 公安との駆け引きの中で進む捜査は行き詰まり、沢村に特命捜査の命が下される。 爆弾魔の真の目的は? かつて研究者として大事な人を失った過去を持つ沢村は、事件の真相に迫る。 乱歩賞受賞作家による骨太警察ミステリー。(BOOKデータベースより)本作はデビュー作の江戸川乱歩賞受賞の「北緯43度のコールドケース」に続くシリーズ2作目であるが、本作を読む上で上記1作目は出来れば読んでいた方が主人公である沢村の過去のしがらみや警察組織での人間関係などが事前に分かるため、より内容に深みがでてくる思う。本作は爆弾事件から始まるが、女性のキャリアをテーマに扱ったもので、男女平等と言われるなか、男性社会での女性の立場や状況なとが作品内にこめられて、伝えたい想いを感じます。また、読者へ分かりやすいキーワードとして、女性のキャリアと数学という言葉で印象付けを狙ったタイトルの「数学の女王」についてはなかなか考えたワードだと感じました。成長する沢村の次回作も期待したいと思います。
2026.03.30
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2026年3月18日★★★★今月始めに読んだ長岡弘樹氏の教場シリーズを読んだあと、出張が続きそうなので持ち運びも楽で読みやすいものをと未読の本棚を眺めていると、東野圭吾の出版社としたては数が少ない光文社の二冊が目に留まり、パラパラと眺めたあと、AIロボットか事件の鍵になる本作に決めて読んで見ることにした。産業機器メーカーで人工知能ロボットの開発を手がける末永拓也。将来を嘱望される彼は、オーナーの末娘・星子の婿養子候補になるが、恋人・康子の妊娠を知り、困惑する。そんな矢先、星子の腹違いの兄・直樹から、同僚の橋本とともに、共同で康子を殺害する計画を打ち明けられ…。大阪・名古屋・東京を結ぶ完全犯罪殺人リレーがスタートした。傑作長編推理。 (BOOKデータベースより)本作は理系の大学出身の東野圭吾らしく、AIロボットを題材にした作品である。主人公は産業機器メーカーでAIロボットの開発を手がけるエリート技術者の末長拓也であるが、なんともこんな嫌なやつがいたものだと思ってしまう。その末長だが逆玉の輿を狙ってオーナーの末娘の婿養子候補となるために色々と策をねるのだが、不覚にも恋人である康子が妊娠し、なんと出産すると言い出したのだ。但し、康子は末長以外に三股をかけていたようで出産するまで誰の子か判らないと言うのだ。焦った末長は康子の三股の男達と共謀して康子の殺害を計画するが、これが予想もしない展開へ…。最後は人を人とも思わないAIロボットの開発者の末長にとって、皮肉と言うしかないエンディングが待ち受けているのだが、見事なエリートの転落劇を見ているようで楽しめました。AIロボットを題材にしているが、文系の方にもお薦めします。
2026.03.18
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2026年3月7日★★★★今年に入って月2~3冊のペースで読書を継続していると思っていると、あっという間に3月も第一週の週末になりかけて、やばいなぁと思っていたら、昨年末に地元の図書館に予約していた長岡弘樹の警察学校を舞台にした教場シリーズの最新刊である本作が確保されたと連絡があり、今回も長岡氏の得意な短編集ということで警察物でも前作の誉田哲也のシンメトリーとはひと味違う作品のため、期待して読んでみた。「教場」映画プロジェクト原作!最新刊! 第一話 会意のトンネル 郷村秀初は、体格に優れた14歳年上の同期、岩国禾刀に何かと助けられていた。岩国は、郷村の母の中学時代の後輩だという。 第二話 不作為の鏡 成瀬幹人は、醜形恐怖症のため、一度鏡を見てしまうと離れられなくなる。招集に遅れることも多く、連帯責任を取らされる同班の若浦と宝条から苦情を言われていた。 第三話 遺恨の経路 木下百葉は、同じ教場の真鍋辰貴と交際している。真鍋は一月前まで同期の洞口亜早紀と付き合っていた。真鍋と百葉はクリスマスに会う約束をしているが、その前に犯罪捜査のペーパーテストがある。 第四話 犯意の影法師 南郷玲司と来栖研心は「警察学校生研究発表会」の予選にT県警代表として出場することになった。全国大会に進めれば卒配後はAランクの署に配属される。 第五話 黒白の極性 細沼理仁は、パチンコに大ハマりして同期に借金までしてしまった。軍資金を吐き出した土曜、ひったくり事件に遭遇する。 第六話 金盞花の迷い 卒業式が近づき警察学校では総代争いが激化していた。追掛冬和子はそのトップを走っているが、ライバルで新聞ベタ記事マニアの戌塚に図書室へ呼び出される。(BOOKデータベースより)長岡弘樹さんの「教場」シリーズだが、「新・教場」としてタイトルも変わって、また映画化もされているようで、今後まだまだ続くようである。本作は前作同様、シリーズ初期に原点回帰した警察学校を舞台にした物語が6つで構成されている。なかでも、第五話の研究発表会の全国大会を控えた成績優秀な2人の関係性の歪みを描いた「犯意の影法師」と第六話の卒業を間近に迫った、総代の座を狙う成績優秀な彼女のそもそもの警察学校への入校理由とはの「金盞花の迷い 」が特によく、風間が見抜いた生徒達へのそれぞれの一言が鋭く痺れました。風間が警察学校へ移動した理由である十崎からの脅威も去ったはずだったが、エピローグによるとまだまだ警察学校での指導は続くようなので次回作を楽しみに待ちたいと思う。
2026.03.07
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2026年2月24日★★★宮部みゆきの「龍が眠る」を先週読み終えたあと、次は誉田哲也の作品を読んでみようかと思い、未読の本棚を眺めていると姫川シリーズの短編集の本作が目にとまり、姫川シリーズを読んだのがいつだったのかを調べてみると2014年7月だったことがわかり、じゃあ次はこれにしようと決めて、「ソウルケイジ」以来約11年半振りに姫川シリーズ第3弾を読んでみた。姫川玲子は、警視庁捜査一課殺人犯捜査係に所属する刑事だ。主任として、「姫川班」を率い、殺人事件の捜査にあたっている。なりたくてなった刑事、三度の飯より捜査活動が好き、できれば派手な事件に挑みたい。そんな女だ。しかし、事件の真相と司法の間には、割り切れぬ闇も確実に存在して……。 --このテキストは、 ハードカバー 版に関連付けられています。 (BOOKデータベースより)姫川玲子シリーズとしては3作目であるが、前2作と異なりシリーズ初の短編集となっている。それぞれの作品を通して長編では書かれていなかった姫川玲子の所轄時代や、上司の今泉係長との出会いなどの過去と彼女の素の姿や本音などが描かれている。これらを表現することによって、今後の作品にも影響するような気がする。また、文章も他の作品と同様に読みやすく、グロテスクな描写もないためどんどん進んでいくのだが、短編集のため、もう少し深掘りして欲しいと思うところで話は終わってしまうのが少し残念だが、これは仕方がないところでしょう。短編集のなかでも姫川が売春をする女子高生とのバトルを描いた「右では殴らない」と二人の不審死から元警察官の男を姫川が嗅ぎつけた「過ぎた正義」が私の一押しの作品にあげたい。本棚に姫川玲子シリーズの次作「インビジブルレイン」が眠っているので早めに読んでみようと思う。
2026.02.24
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2026年2月16日★★★今月始めに伏尾美紀の江戸川乱歩賞受賞作の「北緯43度のコールドケース」を読んだあと、次は久しぶりに宮部みゆきのデビュー当時の作品をと本棚を眺めていると、確か日本推理作家協会賞受賞作で超能力を扱った作品だったなと思い出し、600ページを超える大作を期待して読んでみることにした。嵐の晩だった。雑誌記者の高坂昭吾は、車で東京に向かう道すがら、道端で自転車をパンクさせ、立ち往生していた少年を拾った。何となく不思議なところがあるその少年、稲村慎司は言った。「僕は超常能力者なんだ」。その言葉を証明するかのように、二人が走行中に遭遇した死亡事故の真相を語り始めた。それが全ての始まりだったのだ…宮部みゆきのブロックバスター待望の文庫化。 (BOOKデータベースより)今では宮部みゆきと言えば超能力ものが得意な作家と言うイメージがあるが、本作が初の超能力ものの作品で、且つ日本推理作家協会賞受賞作品でもある。超能力を自認する少年の稲村慎司、その慎司とは違う能力を持つもう一人の超能力者の織田直也。二人の超能力者をたまたま嵐の夜に慎司と出会った雑誌記者の高坂昭吾が超能力を身に付けた二人の苦悩と運命を語り手として物語は進んでいく。語り手を務める高坂昭吾も心に傷を抱えていて、だからこそ悲しき超能力者を理解してやれたのだろうと思うし、慎司と直也もそれに報いたのではないだろうか。最後の直也の死と慎司の決意が読者に訴えかけて本作は幕を閉じるが、私には超能力はやっぱり理解出来ないというのが本音です。
2026.02.16
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2026年2月3日★★★★東野圭吾のマスカレード・ライフを読んだあと、未読の本棚に買い溜めた江戸川乱歩賞受賞作がまだ10冊程残っているのでどれを読もうかと何冊か手に取ってみたら当時文庫本として一番最新の受賞作として買った伏尾美紀の作品が気になり、昨年読んだ竹吉優輔の「襲名犯」に続いて読んでみることにした。第67回江戸川乱歩賞受賞作! 「事件が面白い」「登場人物が魅力的」「警察の描写がリアル」と選考委員が称賛! 博士号を持ちながら30歳で北海道警察の警察官となった沢村依理子。 ある日、5年前に未解決となっていた誘拐事件の被害者、島崎陽菜の遺体が発見される。 犯人と思われた男はすでに死亡……まさか共犯者が……? 捜査本部が設置されるも、再び未解決のまま解散。 しばらくのち、5年前の誘拐事件の捜査資料が漏洩する。なんと沢村は漏洩犯としての疑いをかけられることに。 果たして沢村の運命は、そして一連の事件の真相とは。 組織に翻弄されながらも正義を追い求める沢村。 警察官として、ひとりの女性として葛藤し成長していくーー。(BOOKデータベースより)本作は第67回の江戸川乱歩賞受賞作で何度も応募しての受賞ではなく、初応募での受賞というのだから面白い作品なんだろと思い調べてみるとAmazonの評価も高く受賞時に選考委員から案外きついコメントをもらっていたようだったが、それらの課題や問題点を修正されて刊行された作品と言うことで他の江戸川乱歩賞受賞作が本棚に眠っているにも関わらず期待して買った作品でした。まず、元々のタイトルは「センパーファイ-常に忠誠を」らしいがこのタイトルでは読み終わった後でも??と疑問符が付いてしまうのだが、刊行時の改題された今のタイトルの「北緯43度のコールドケース」は文庫本解説にも書かれているが「コールドケース」=「未解決事件」という意味とわかり、やっと納得出来ました。北海道警の未解決誘拐事件を扱った作品で全体的には一般的なミステリー小説にある派手な仕掛けやトリックがあるわけではないが多数の登場人物のそれぞれ個性が魅力的で人物設定も把握しやすく、警察内部や事件に関わる背景がしっかり書かれていて読みやすく面白かったです。沢村依理子を主人公にしたシリーズ作品として2作目も出ているようなので是非読んでみようと思います。
2026.02.03
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2026年1月25日★★★★年始に読んだ森博嗣のS&Mシリーズ最終巻の「微小と有限のパン」が超分厚い作品だったので次は普通の長さの作品にしようと思っていたところ、昨年夏に出版された時に地元の図書館に予約していた東野圭吾のマスカレード・ホテルシリーズの最新刊である本作が確保されたと連絡があり、丁度よい長さでもあったので前作同様期待して読んでみた。ホテル・コルテシア東京で開催されることになった、『日本推理小説新人賞』の選考会。 当日、文学賞受賞の候補者として、ある死体遺棄事件の重要参考人が会場に現れる!? 警視庁を辞め、コルテシア東京の保安課長となった新田浩介が、 お客様の安全確保を第一に、新たな活躍をみせる最新作。 シリーズ絶好調、累計550万部突破!(BOOKデータベースより)マスカレード・ホテルからずっと読み続けているマスカレードシリーズですが前作のマスカレード・ゲーム以来、実に3年ぶりに届けられた本作だが、前作のラストは忘れることはありませんでした。主人公である新田は前作の事件解決後、警視庁を辞め、その後ホテル・コルテシア東京の総支配人の藤木の誘いから保安課長という肩書で再就職したのだった。本作のプロローグは新田の高校時代から始まるが、これは何かの伏線なのかと思いながら読み進めることになる。内容はと言うとホテル・コルテシア東京で、灸英社主催の文学賞の選考会が行われる。最終候補に残ったひとつの作品の作者が、なんと殺人事件の重要参考人らしい。また、その作品が受賞の有力候補とされており、受賞後はホテルで作者本人の受賞会見が行われるが、その作者の居場所は編集者も知らないため、会見前に警視庁は前作で登場した梓警部が指揮を執り任意同行を求めるつもりらしい。過去の事件解決の実績から依頼を受けたホテル側としては何ともいい迷惑だが、ここは保安課長の新田の元刑事としての血が騒ぐというものだ。う~ん、ちょっと今回はかなり設定に無理があると感じるし、前作までと異なり緊迫感も無いので、いかがなものかと思いきや、プロローグにでてくる新田の父やある事件と最後に繋がっていく…。ただ、殺人事件の真相はと言うと何とも拍子抜けする結末で、恋人同士の悲しいすれ違いだったのだが、お互い正直に打ち明けていたら結果は変わっていたことでしょう。読み終えて一番思ったのは、本作の受賞作である「イノチノアマリ」を是非東野圭吾先生に書いて欲しいと思ったのは私だけではないでしょう。これからも保安課長や刑事復帰どちらでも構わないので新田と山岸尚美の活躍を期待して待ちたいと思う。
2026.01.25
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2026年1月16日★★★まず、今年も無事迎えられた事を感謝し、昨年同様に今年も年間24冊をクリアしたいと思います。今年は年間24作品以上に拘ると複数冊の作品を手に取りにくいのでその目標はおかないでおきたいと思います。さて年末年始と娘達が帰省してバタバタでしたが、やっと落ち着いたので年始の一冊に何を読もうかと未読の本棚を眺めていると森博嗣のS&Mシリーズ最終巻である「微小と有限のパン」が目にとまり、昨年も一度は手に取ったのだが900ページ近いぶ厚さに圧倒されて、躊躇したのを思い出したが、まずは長年付き合ってきたS&Mシリーズを終わりにしたいと思い、新年の最初の一冊に選んで読んでみることにした。日本最大のソフトメーカが経営するテーマパークを訪れた西之園萌絵と友人・牧野洋子、反町愛。パークでは過去に「シードラゴン事件」と呼ばれる死体消失事件があったという。萌絵たちを待ち受ける新たな事件、そして謎。核心に存在する、偉大な知性の正体は…。S&Mシリーズの金字塔となる傑作長編。 (BOOKデータベースより)まずはS&MシリーズのラストということなんでWikipediaよりS&Mシリーズとはを引用しておきたいと思う。「第1回メフィスト賞を受賞したデビュー作『すべてがFになる』から始まる一連のシリーズ。シリーズ名は主人公である犀川創平と西之園萌絵のファーストネームのイニシャル、「S」と「M」に由来する。大まかな話の流れとしては、西之園萌絵が事件を持ち出し(あるいは巻き込まれ)、犀川創平がやむを得ず解決するという構成。(Wikiより)」う~ん。長かった~。文庫本で一冊完結の作品で860ページは私が読んだ作品の中で多分最長だと思う。あと、長かったのはページ数だけじゃありません。S&Mシリーズを読み始めたのが2013年からなんでなんと10冊を読み切るのに13年近くかかった事になります。よくぞここまできたもんだと自分なりに思います。読み始めたときは40代だったのかぁ~(しみじみ)。さて本作ですが、現実と仮想現実を行き来するのだが、どこまでが現実でどこからが仮想現実なのか。そこに死体の消失や密室での殺人などの様々な謎が連続する。そしてその真相はというとちょっと反則じゃありませんかと思ってしまうが、この壮大なトリックも真賀田四季と犀川の会話で納得してしまう自分がいました。本作を読み切ると確かにS&Mシリーズは十作で一つの作品(特に一作目のすべてがFになると本作)ということを何となく感じました。そしてラストで本作の最大の謎である「真賀田四季は一体どこにいたのか」だが予想しない展開にあっけにとられて口がポカーンと開いたのは私だけではないはず。色々突っ込みどころも多々ありますが、最終作でシリーズに散りばめられた要素が繋がるところはさすが森博嗣だと感じました。次のVシリーズを読むかどうかはちょっと間をあけて考えたいと思います。
2026.01.16
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2025年12月27日★★★★今年の最低目標であった年間24冊は既にクリアしていたが、もう一つの目標だった年間24作品も先日読んだ本屋大賞受賞作の「カフネ」で到達した中、年末迄まだ10日間ほどあったので忙しい合間に読み切れる作品をと未読の本棚を眺めていると大沢在昌、今野敏、誉田哲也、佐々木譲と並んで警察小説の書き手であり大好きな作家でもある横山秀夫の連作短編集の「影踏み」が目に留まり、400頁弱と短めの作品でもあったので、横山秀夫の作品としては2022年6月に読んだ「震度0」以来、実に3年半振りに読んでみることにした。深夜の稲村家。女は夫に火を放とうとしている。忍び込みのプロ・真壁修一は侵入した夫婦の寝室で殺意を感じた―。直後に逮捕された真壁は、二年後、刑務所を出所してすぐ、稲村家の秘密を調べ始めた。だが、夫婦は離婚、事件は何も起こっていなかった。思い過ごしだったのか?母に焼き殺された弟の無念を重ね、真壁は女の行方を執拗に追った…。(「消息」より) (BOOKデータベースより)本作はいつもの警察小説とは異なり、加害者側を描いた新たな路線に挑んだ作品である。主人公の真壁修一は深夜家人が寝静まった住居に侵入する「ノビ」を専門とする泥棒で通称「ノビカベ」という。窃盗罪での2年の服役を終え、出所してきた真壁だったが、自分が捕まる切っ掛けとなった一家の異変に不信感を抱き、収監中に推理した仮説を確かめるために動き始める…。一番のユニークなところは死んだ双子の弟の啓二が真壁の頭の中に住み着いていて、要所要所で真壁と会話を交わすというかなり特異な設定で物語が展開されていく。また、双子が共に愛した女性を巡るストーリーも読みどころである。7つの短編が密接に繋がり、それぞれにテーマが設定されたバラエティに富んだ作品で飽きさせずにあっという間に読み切れました。双子の弟の啓二とのラストは感動ものです。
2025.12.27
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2025年12月21日★★★警察小説を二冊続けて読んだあと、年末に向けてあと二冊は読めるなと思っていたら、半年以上前に予約した2025年の本屋大賞受賞作の阿部暁子の「カフネ」が図書館から確保されたと連絡があり、春先に読んだ宮島未奈の2024年の本屋大賞受賞作である「成瀬は天下を取りにいく」に続いて読んでみる事にした。一緒に生きよう。あなたがいると、きっとおいしい。 やさしくも、せつない。この物語は、心にそっと寄り添ってくれる。 法務局に勤める野宮薫子は、溺愛していた弟が急死して悲嘆にくれていた。弟が遺した遺言書から弟の元恋人・小野寺せつなに会い、やがて彼女が勤める家事代行サービス会社「カフネ」の活動を手伝うことに。弟を亡くした薫子と弟の元恋人せつな。食べることを通じて、二人の距離は次第に縮まっていく。(BOOKデータベースより)普段はミステリー小説しか読まない私なので、著者の作品を読むのは今回が初めてというか全く名前も聞いたことが無かったが、本屋大賞受賞作は毎年気になって読んでいるので読んでみた感想は正直なところ最初から苦手だなと感じる作品でした。苦手だなと感じる理由として、主人公の考え方や感情が合わないところが影響しているのかもしれません。物語は主人公の40代で法務局に勤める薫子。夫との突然の離婚、家族で唯一心を通わせていた弟の急死、その弟の遺言状から手続きを進める中、弟の元恋人と出会う。彼女との交流を通じて負の状態になっていた主人公の内面が少しずつ変化していくという内容です。弟の遺言状を書いた理由、夫が離婚を言い出した訳、弟の元恋人との関係などミステリー的な伏線や謎が隠してあるところは意表を突かれて驚きましたが、う〜ん、でも著者の他の作品をもう読むことは無いかな…。
2025.12.21
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2025年12月7日★★★大沢在昌の新宿鮫シリーズを読んだあと、次も警察小説を読んでみようかと未読の本棚を眺めて警察小説の書き手である横山秀夫、今野敏、誉田哲也、佐々木譲と迷ったが今回は佐々木譲の北海道警シリーズが1冊残っているのでまずはこれを片付けるかと思い、「笑う警官」「警察庁から来た男」「警官の紋章」「巡査の休日」「密売人」に続くシリーズ第6弾の「人質」を約3年ぶりに読んでみた。「謝ってほしいんです。あのときの県警本部長に。ぼくが要求するのはそれだけです」 5月下旬のある日。生活安全課所属の小島百合巡査部長は、以前ストーカー犯罪から守った村瀬香里との約束で、ピアノのミニ・コンサートへ行くことになっていた。香里よりひと足先に、会場である札幌市街地にあるワイン・バーに着いた小島は、そこで人質立てこもり事件に遭遇する。犯人は殺人の冤罪で4年間服役していた男。そのコンサートの主役は、来見田牧子、冤罪が起きた当時の県警本部長の娘だったのだ―――。一方、同日の朝に起きた自動車窃盗事件を追っていた佐伯宏一警部補は、香里から連絡を受け、事件現場へ向かったのだが・・・。 (BOOKデータベースより)道警シリーズの第6弾は、今までの警察内部の腐敗に関する話ではなく、人質事件を舞台にした警察官僚と政治家の腐敗を描いた作品のようだ。冤罪で4年間の服役をした中島が刑務所で知りあった瀬戸口を支援者にして、札幌郊外のワインバーにおいて当時の県警本部長で現在の警察庁の刑事局長に「人として謝ってもらいたい」と妻、娘、娘婿、孫を人質にして要求する。ワインバーにはたまたま道警シリーズの主要メンバーの小島百合巡査部長が居合わせていたのだ…。人質事件と思われた中、人質の中に娘が居る国会議員に脅迫状が届き、裏金の所在を指摘され、三億円を要求される。関係なく見えた二つの事件がつながった時に真相が見えて行く。これまでの道警シリーズの見どころであった警察内部の腐敗に対する話に比べると、少し物足りない感じはするが、それでも十分に楽しめた作品でした。
2025.12.07
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2025年11月24日★★★★宮島未奈氏の2024年の本屋大賞受賞作の「成瀬は天下を取りにいく」の続編「成瀬は信じた道をいく」を読んだあと、次は最近読んでいない警察小説を読んでみようかと未読の書棚を眺めていたら大沢在昌の新宿鮫シリーズが数冊買いだめているのが目にとまり、果たしていつ読んだのかと調べてみるとなんと2019年3月だとわかり、読み始めたら止まらないのに何故こんなに読まなかったのかと不思議に思ったが、新宿鮫Ⅴの炎蛹以来約6年半振りに読んでみることにした。西新宿のホテルで元CIAのアメリカ人が殺された。事件の鍵を握る平出組の前岡に迫る鮫島。しかし、なぜか公安警察が立ちはだかった。その背後には元公安秘密刑事・立花の影が。捜査の過程で鮫島は、美しく孤独な女・杉田江見里と出逢い、惹かれていく…。江見里と事件の関わりが浮上するなか、鮫島は“核心”に挑む。興奮と感動の傑作シリーズ第6弾。 (BOOKデータベースより)前作は確か外国から持ち込まれた害虫といくつもの事件が絡み合った物語だと記憶していたが、本作は鑑識の藪のお付き合いで1人芝居の杉田江見里との出会いから始まり、恋人の晶がいるにもかかわらず、その江見里に惹かれて行く。鮫島は元CIAのアメリカ人が殺された事件を追って行くなかで、公安警察からの横やりが入るが、その背後には元公安刑事の立花の影が存在した。鮫島が事件の核心に迫って警察の暗部が明らかになっていくが、その中で江見里の存在が浮かんでくる…。影で鮫島を支える桃井は相変わらずだか、本作は香田が実に良い味を出しているのが良かった。新宿鮫シリーズは全部で現段階で12作出版されており、これでやっと半分ということで完全制覇までまだまだ当分楽しめそうだ。
2025.11.24
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2025年11月7日★★★★宮島未奈氏の2024年の本屋大賞受賞作の前作「成瀬は天下を取りにいく」の続編が出ていたので地元の図書館に予約していたが、半年以上経って忘れかけていたころ図書館から確保されたと連絡があり、2025年の本屋大賞受賞作の阿部暁子氏の「カフネ」をまだ読んでいないが本作「成瀬は信じた道をいく」を先に読んでみる事にした。唯一無二の主人公、再び。…と思いきや、まさかの事件が勃発!?我が道を突き進む成瀬あかりは、今日も今日とて知らぬ間に、多くの人に影響を与えていた。「ゼゼカラ」ファンの小学生、成瀬の受験を見守る父、近所のクレーマー(をやめたい)主婦、観光大使になるべくして生まれた女子大生…個性豊かな面々が新たな成瀬あかり史に名を刻む。そんな中、幼馴染の島崎が故郷に帰ると、成瀬が書置きを残して失踪しており…!?(BOOKデータベースより)前作同様楽しませてもらいました。本作は成瀬以外の後に成瀬の弟子になる小4のみらいちゃん、成瀬のお父さんの慶彦、クレーマーの呉間事実、成瀬と選ばれたびわ湖大津観光大使の篠原かれん、ゼゼカラの相棒で幼なじみの島崎と短編5作とも全て脇役の視点で書かれていて、前作とは違った意味で全作面白く読ませてもらいました。成瀬みたいな子が実際に周りにいたら私もやはり変わり者だと感じるだろうけど、これほどまでに自分に一本軸を持って生きていけたら本当にいいよなと思います。きっとこれからもいろんなところで成瀬は周囲を巻き込んでいくのだろうけど、その物語をまた読んで見たいと思う。最近遅読気味の私ですが、あっという間に読んでしまった一冊でした。
2025.11.07
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2025年10月30日★★★ここ2冊は江戸川乱歩賞作の神山裕右の「カタコンべ」と竹吉優輔の「 襲名犯」を続けて読んだあと、次は何を読もうかと未読の本棚を眺めていると森博嗣のS&Mシリーズ最終巻である「微小と有限のパン」が目にとまり、一度は手に取ったのだが900ページ近いぶ厚さに圧倒されて、本棚に戻したあと、その隣に並んでいた300ページ弱と正反対に薄い本作が目立っていたので、じゃあ次はこれにしようと軽い気持ちで森博嗣の作品ではS&Mシリーズ以外で初めてよんでみた。もう少しで夏休み。新太は公園で、真っ黒な服を着た不思議なおじさんと話をする。それが、ちょっと変わった探偵伯爵との出逢いだった。夏祭りの日、親友のハリィが行方不明になり、その数日後、また友達がさらわれた。新太にも忍び寄る犯人。残されたトランプの意味は?探偵伯爵と新太の追跡が始まる。 (BOOKデータベースより)本書は子供向けのミステリーとして出版されたものらしいが、内容は子供向けというにはちょっとどうかなと思う内容でした。物語は主人公である馬場新太少年が夏休みに探偵伯爵ことアールと出会い、その新太の友達の失踪事件に遭遇して、探偵伯爵と解決するまでのひと夏の物語である。アールは探偵社の社長だったが、会社を辞してこの事件を追うためにこの町に来ていたのだ。その理由は物語のラストに判明するのだが、これはさすがに子供向けではないよね…。最後に解説を書いているのはアンガールズの田中でびっくりでした。しかも書かれている内容がほぼ私と同じ感想なのがさらにびっくりでした。ただ心地良い余韻に浸れたと書いているところは違ってましたが…。まぁ森博嗣のこんな作品もたまには良いと思いながらS&Mシリーズ最終巻で超長編の「微小と有限のパン」を読むのはいつになることやら…。
2025.10.30
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2025年10月23日★★★先月末に読んだ江戸川乱歩賞作の「カタコンべ」を読んだあと、2週間続いた出張のため、読書が止まってしまっていたが、出張が終わって読書を再開するにあたって、何を読もうかと少し考えたが、沢山買いだめしていて本棚に眠っている江戸川乱歩賞作の中で連続殺人鬼を題材にした本作を続けて読んで見ることにした。関東の地方都市で起きた連続猟奇殺人事件。ルイス・キャロルの詩を下敷きにしたかのような犯行から「ブージャム」と呼ばれた犯人は、6人を殺害した後、逮捕される。容姿端麗、取り調べにも多くを語らず、彼を英雄視する熱狂的な信奉者も生まれるが、ついに死刑が執行された。そしていま、第二の事件が始まる。小指を切り取られた女性の惨殺体。「ブージャム」を名乗る血塗られた落書き。14年前の最後の被害者、南條信の双子の弟、南條仁のもとへ「襲名犯」からのメッセージが届けられる……。(BOOKデータベースより)読んだ感想ですが、推理小説に慣れた人なら、簡単に犯人が特定できてしまう内容で、いつも騙されてしまう私ですら容疑者が話の流れから簡単に二人に絞れていて、クライマックスに進むとあぁやっぱりなと思いましたが、新人作品としては、それなりに面白く読ませてもらいました。ところどころに犯人と思わせる視点描写が入る一種の叙述トリックを使っていますが、折原一ばりにあとでびっくりとはさすがになりませんでした。2人の猟奇的連続殺人事件を犯した殺人鬼を題材にしたのは良かったのですが、もう少し頑張って欲しかったのが本音です。
2025.10.23
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2025年9月25日★★★★今月頭に読んだ東野圭吾の「虹を操る少年」のあと、少し間が空いたが次は何を読もうかと未読の本棚を眺めていると江戸川乱歩賞の過去の受賞作品がまだ10冊ほど残っていたので次はこの中からと眺めていたら、第50回という記念の受賞作の神山裕右の「カタコンべ」が目にとまったので、これに決めて読んでみることにした。水没するまでのタイムリミットは約5時間。それまでに洞窟に閉じこめられた調査隊を助け出さなければ。「もう同じ過ちは繰り返さない」。強い決意を秘めたケイブダイバー東馬亮は、単身救助に向かう。大きな闇に包まれた洞窟には、5年前の事件の真相と、殺人犯が潜んでいた。第50回江戸川乱歩賞受賞作。 (BOOKデータベースより)本作は江戸川乱歩賞の第50回目という節目に歴代最年少で受賞した作品らしい。物語の大半が洞窟内からの脱出劇であり、その中に過去の殺人事件が絡むというミステリー小説です。読み終えた感想ですが、ミステリーとしては少しムリヤリ感が多々有り、例えば遭難したペットの犬が雨が降れば水没する洞窟内で10年も生きていたやダイナマイトを一個人が作って洞窟内に持ち込んだなど色々とツッコミどころはありましたが、ケービング描写はスリリングでドキドキハラハラと若い著者からのパワーが伝わる作品で最後まで面白く読み通せました。個人的には映像化したら凄い作品になるのではと感じましたが、著者の作品が最近全く世に出ていないのが残念です。
2025.09.25
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2025年9月4日★★★先月、森博嗣の超長編であるS&Mシリーズの「数奇にして模型」を読んだあと少し間が空いたが、次は少し短めの長編をと本棚を眺めて取り出したのは東野圭吾の初期の作品でずっと気になっていた本作を期待して読んで見ることにした。「光にメロディがあるの?」「あるさ。みんな、そのことに気づいていないだけさ」。“光”を“演奏”することでメッセージを発信する天才高校生・光瑠。彼の「光楽」に、感応し集う若者たち。しかし、その力の大きさを知った大人たちの魔の手が忍び寄る。新次元コミュニケーションをめぐる傑作長編ミステリ。 (BOOKデータベースより)本作の主人公白河光瑠は、色に関する特異な能力を持ち、幼いころからあらゆる色をそっくりに再現する能力があり、色を一目見ただけで、瞬時に色の配合比がわかるらしい。彼は中学、高校と成長するなかで、ひそかに光の音楽とも言うべき「光楽」を生み出していた。「光楽」とは、音楽と光の合成であり、「光楽」を目にしたものは誰もが心が安ぎ、若者たちはその光に吸い寄せられていく。その「光楽」の影響力に恐れをなす大人たちによって光瑠に魔の手を伸びるが、彼に集う仲間たちによって、その光を消すことは誰にもできない。クライマックスに呆気にとられてしまい、光瑠の最終目標が果たしてどこにあったのかが分からないままで終わってしまったのが少し残念でした…。
2025.09.04
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2025年8月12日★★★7月は出張続きで何ヶ月振り分かりませんが読書の完読数が0冊になりましたが、7月後半から時間も取れるようになったので、次は何を読もうかと本棚を眺めていると、森博嗣のS&Mシリーズ10冊で分厚い2冊が残っているのが目にとまり、確か「今はもういない」を読んだあと、次の作品が超分厚いので読むには勇気と時間がいるなぁと思ったのを思い出しだが、読書が久しぶりの今なら読めるのではと思い、久しぶりにS&Mシリーズ第9作目を「今はもういない」以来、約1年半ぶりに読んでみることにした。模型交換会会場の公会堂でモデル女性の死体が発見された。死体の首は切断されており、発見された部屋は密室状態。同じ密室内で昏倒していた大学院生・寺林高司に嫌疑がかけられたが、彼は同じ頃にM工業大で起こった女子大学院生密室殺人の容疑者でもあった。複雑に絡まった謎に犀川・西之園師弟が挑む。 (BOOKデータベースより)まずS&Mシリーズですが、読み始めたのがなんと今から約12年前の2013年というから1年に1冊読むか読まないかのペースで残り本作を含めて完結まであと2作、後半に進むにつれてページ数が急増していきましたが、ここまで来ましたかというのが今の心境です。さて内容ですが、模型交換会の会場でモデルの女性が首なし死体となって発見される。現場の密室内で昏倒していた社会人大学院生の寺林に嫌疑がかけられるが、彼はほぼ同時刻にM工業大学で起こった女子大学院生殺人事件の容疑者でもあった。大学内の現場もやはり密室だったという。いつもの如く事件に首を突っ込む萌絵だが、今回は無防備すぎるし、怖いもの知らずにも程があり、危なく命を落とすところを犀川や金子君に助けて貰うという有様で冷や冷やものでした。まぁ主人公なので死にませんが…。それはさて置き、密室&猟奇的殺人で真犯人は全く分からないまま後半に進んでいき、最後に真相が判明するが、それに至るまでの経緯も意味不明と何とも後味の悪い結末で疲れました。ただ、萌絵の従兄という大御坊という男?ですが、S&Mシリーズのもっと早い段階で登場しても良かったのにと思わせるほどインパクトは強烈で印象的でした。残るは「微小と有限のパン」のみです。更に超ロングページをいつ手を出すかですが、とにかくS&Mシリーズの全作読破に向けて何とか読み切りたいと思います。
2025.08.12
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2025年6月28日★★★今月も時間を見つけて順調に読書を続けているが、次は古典的な出来れば密室ものを読もうと未読の本棚を眺めていると、密室ものと言えば岡嶋二人であるが、未読の最後の1冊に残してある「殺人志願者」は密室ものではないので、じゃあどれにしようかなと更に本棚を眺めると東野圭吾の初期の作品で学園物の密室ミステリー作品である本作が目に止まり、先日読んだ「架空犯」とはまた違った楽しみもあるかなと思い、読んでみることにた。学生街のビリヤード場で働く津村光平の知人で、脱サラした松木が何者かに殺された。「俺はこの街が嫌いなんだ」と数日前に不思議なメッセージを光平に残して…。第2の殺人は密室状態で起こり、恐るべき事件は思いがけない方向に展開してゆく。奇怪な連続殺人と密室トリックの陰に潜む人間心理の真実。 (BOOKデータベースより)本作は、文庫版の解説に書かれているが「放課後」「卒業」と合わせたデビュー時の学園三部作と呼ばれるらしい。ただ、「放課後」「卒業」は純粋に学園を舞台にしているのに対し、本作は学生街が舞台である点がことなっている。その中で大学の正門の位置が90度変わったことにより寂れた旧学生街と新学生街に分かれるのだが、本作は旧学生街に居残る大学を卒業したが定職に就いていない「自分探し中」の津村光平を主人公にした物語である。内容はと言うと光平の同じバイト先で働く松木が殺害され、さらに第二の殺人の犠牲者となったのは光平の恋人である広美だった。現場はエレベーター内の密室状態で連続する殺人にいきなり衝撃を受ける。その後第三の殺人が起こり、光平は広美との関連性を調べ始めるが、広美のことを何も知らなかったことを改めて知り迷走する。最後はいくつもに張り巡らされた謎を光平が次々に真相を暴いていくが、誰もが不幸になってしまう結末には全く予想が出来なかった。エレベーターの密室トリックや今では普通に使われているAIの話などさすが理系出身の東野氏だなぁと感じるが、最近の東野氏の作品を知っているためか少し物足りなさを感じるのはデビュー当時の作品なので仕方が無いのかもしれない。
2025.06.28
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2025年6月15日★★★先月末に読んだ道尾秀介の「水の柩」以来、嫁さんと旅行に出掛けたりして、少し読書から離れたが、今月最初の読書は何にするかなと、未読の本棚を眺めるていると、新潮文庫の伊坂幸太郎の作品を見て確か、先月順に読もうと思ったのを思いだし、前回読んだデビュー作品の「オーデュボンの祈り」に続いてデビュー初期の作品である本作を読んでみる事にした。泥棒を生業とする男は新たなカモを物色する。父に自殺された青年は神に憧れる。女性カウンセラーは不倫相手との再婚を企む。職を失い家族に見捨てられた男は野良犬を拾う。幕間には歩くバラバラ死体登場―。並走する四つの物語、交錯する十以上の人生、その果てに待つ意外な未来。不思議な人物、機知に富む会話、先の読めない展開。巧緻な騙し絵のごとき現代の寓話の幕が、今あがる。 (BOOKデータベースより)本作は各章の始めに必ず成金画廊の戸田と彼の付人で新人画家の志保子との会話から始まる。その後、完璧主義の泥棒の黒澤、40社連続不採用の失業中の豊田、新興宗教の教祖に惹かれる青年の河原崎、サッカー選手と不倫中の女性カウンセラー京子。これらで物語が進行していく。物語はあくまで独立しているが、微妙に交錯しながら、それぞれの物語に脇役として顔を出し、会話を交わしたりすることで相手の物語に少なからず影響を与える微妙な連鎖が面白い。また、これら物語は同時進行ではなく、物語の繋がりも最初はよくわからないのだが、読み進むうちにだんだん関連性が見えてくる。四つの物語の中ではリストラされて失業中の豊田の物語が面白い。彼が街で拾った老犬と何となく通じ合い、老犬が彼の人生を左右する存在になっていく。彼と老犬がこの先どうなるのかが非常に気になってしまう。伊坂先生、是非後日談を出してくれませんかね…。
2025.06.15
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2025年5月30日★★★薬丸岳の「逃走」を読んだ後、今月まだ10日ほどあるのであと1冊は読めるなと、さぁ次は何を読もうかと未読の本棚を眺めていると、道尾秀介の「水の柩」が目に入り、前に読んだ作品は何だったかと調べてみると代表作の「ソロモンの犬」だったのを思い出し、じゃあ次はこれに決めたと本棚から取り出して、約2年2ヶ月振りに道尾秀介の作品を読んでみることにした。「タイムカプセルの手紙、いっしょに取り替えない?」。中二の逸夫が同級生から頼まれたこと。大切な人達へ、少年は何ができるのか。 平凡な毎日を憂う逸夫は文化祭をきっかけに同級生の敦子と言葉を交わすようになる。タイムカプセルの手紙を取り替えたいという彼女の頼みには秘めた真意があった。同じ頃、逸夫は祖母が五十年前にダムの底に沈めた「罪」の真実を知ってしまう。それぞれの「嘘」が、祖母と敦子の過去と未来を繋いでいく。 (BOOKデータベースより)本作は老舗旅館の長男として生まれた思春期の中学2年生の逸夫の成長物語である。文化祭をきっかけに言葉を交わすようになった同級生で母子家庭の敦子と逸夫の祖母のいくの3人が主軸に物語は進んで行く。敦子は同級生にずっといじめられていたが、ある日、逸夫にタイムカプセルを掘りおこしたいと協力を懇願する。また、いくは逸夫の両親も知らない秘密をずっと抱えて生きてきた。逸夫なりに考えた解決策とは?呆れるような行動に思えるが、心底大切な人への思いが伝わってくる。いくの過去と敦子のいじめを完全に消すことはできなくても、これからをやり直すことはできると信じた行動だったと思いたい。本作も良いが、やっぱり道尾秀介はミステリーが似合っていると思うのは私だけ?
2025.05.29
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2025年5月19日★★★★東野圭吾の最新作の「白鳥とコウモリ」シリーズの「架空犯」を読んで今月は次で4作目になるが、何を読もうかと久しぶりにブックスオフに寄ってみたのですが、100円コーナーから100円〜200円コーナーに変わっている事に気が付き、あ〜これも物価が上がった影響なんだろうなと、並んでいる棚を眺めていると薬丸岳の「逃走」が目に留まり、前に読んだのはいつ頃だったかなと、調べてみると2022年に読んだ「Aではない君と」以来だとわかり、薬丸岳の作品にはハズレは無いと分かっているので、じゃあ次はこれだと決めてレジに直行して読んで見る事にした。死んだはずのあの男がいた。小さかった妹とふたりで懸命に生きてきた二一年間はなんだったんだ? 傷害致死で指名手配されたのは妹思いで正義感が強い青年。だが罪が重くなるとわかっていて彼は逃げ続ける。なんのために? 誰のために? 渾身の全面改稿、ほぼ書下ろしの秀逸ノンストップ・エンタメ! (BOOKデータベースより)薬丸岳の過去に読んだものは前作の「Aではない君と」もそうだが、少年犯罪を題材にする作品が多いが本作はタイトル通り犯罪を犯した主人公が逃走する話しである。読み終えた感想だが、スラスラ読みやすくて面白かったのですが、主人公の祐輔なぜ逃げてまで母親を探しているのか?そもそもなぜいきなり殴り殺してしまったのか?途中の行動からは予想もつかす、最後に真相が分かるのだが、その真相でそこまでするの?と少し説得力に欠ける気がしましたが、最愛の妹の事を思う行動なのかと納得し、今回は救いのあるエンディングで良かったと思う。
2025.05.19
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2025年5月14日★★★★今月始めに読んだ昨年度の本屋大賞受賞作の「成瀬は天下を取りにいく」を読んだ後、直ぐに図書館から東野圭吾の最新作の「白鳥とコウモリ」シリーズの「架空犯」が確保出来ましたと連絡が来たので、慌てて受け取りに行き、前作は確か重苦しい作品だったが、感動して★5つを入れたはずで、シリーズ化した本作を前作同様期待して読んでみることにした。誰にでも青春があった。被害者にも犯人にも、そして刑事にもー。燃え落ちた屋敷から見つかったのは、都議会議員と元女優夫婦の遺体だった。華やかな人生を送ってきた二人に何が起きたのか。『白鳥とコウモリ』の世界再びーシリーズ最新作。(BOOKデータベースより)「白鳥とコウモリ」シリーズとあるが何が共通なのかと調べると、重苦しい内容なところと、あまり印象には残っていないが、五代刑事が主人公で、頁数がまたまた多くボリュームがあるぐらいかなと思う。前作がヒットすると〇〇シリーズとすると売れるのはわかるが、これをシリーズにするなら五代刑事シリーズとして欲しい。内容的には読みやすく主人公の五代刑事が語る形で進むのが特徴で重苦しいがスラスラ読めて頁数があったが、それを感じさせないぐらい、あっという間に読み進められました。さて内容だが、火災で燃え落ちた屋敷から現職都議会議員と元女優という夫婦の遺体が発見される。警視庁捜査一課の五代たちが捜査に当たるが、殺害現場には違和感があり、捜査は難航するのかと思いきや、中盤を過ぎる辺りで、犯人が浮かび上がるのだが、捜査陣としては最悪の事態となってしまう。前作と同様の過去に真相が隠れているのだが、ここまで複雑だとは誰も想像しなかったのでは無いかと思う。さすが東野圭吾だと思わせてくれました。シリーズ化したみたいなので次作を楽しみにしておきます。
2025.05.14
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2025年5月7日★★★★2025年の本屋大賞が先月発表され、受賞作が阿部暁子氏の「カフネ」と決まったようなので例年通り地元の図書館に予約すると、なんと200人待ちになっていて、これは読むまで半年はかかるなと思っていると、はて?昨年の受賞作品を読んだかと記憶を辿ると、確か中高生向きの作品だと思い回避した事を思い出し、丁度短めの作品のようなので、それならGW中に読めそうだと思い先に読んでみる事にした。2020年、中2の夏休みの始まりに、幼馴染の成瀬がまた変なことを言い出した。コロナ禍に閉店を控える西武大津店に毎日通い、中継に映るというのだが……。M-1に挑戦したかと思えば、自身の髪で長期実験に取り組み、市民憲章は暗記して全うする。今日も全力で我が道を突き進む成瀬あかりから、きっと誰もが目を離せない。2023年、最注目の新人が贈る傑作青春小説!(BOOKデータベースより)本作は2024年の本屋大賞受賞作品である。冒頭に昨年受賞後は中高生向きの作品でライトノベルかなと思い回避したと書いたが、確かに主人公の中高生時代を描いているが、読んでみると年齢、性別に関係無く面白く、楽しめました。さすが本屋大賞受賞作である。成瀬の真っ直ぐで悪意の無い性格には呆れるばかりだか、宣言通り200歳まで生きて欲しいと思わせてくれる魅力ある作品でした。また、同級生の島崎との絡みも最高で、読み終わって続編が出ているのは知っていたので直ぐ図書館に予約してしまった…。少し先になるが、シリーズ化された続編を読むのが楽しみだ。
2025.05.07
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2025年5月2日★★★ずっと月2、3冊ペースで順調な読書だが、いつもGWは読書が中断されるので、その前に何を読もうかと未読の本棚を眺めると、新潮文庫の伊坂幸太郎の作品が5冊ある事に気が付き、昨年の11月に連作短編集の「バイバイ、ブラックバード」を読んだ時に来年はこれらを順に読もうと思ったのを思いだし、まずは伊坂幸太郎のデビュー作品である本作から読んでみる事にした。コンビニ強盗に失敗し逃走していた伊藤は、気付くと見知らぬ島にいた。江戸以来外界から遮断されている“荻島”には、妙な人間ばかりが住んでいた。嘘しか言わない画家、「島の法律として」殺人を許された男、人語を操り「未来が見える」カカシ。次の日カカシが殺される。無残にもバラバラにされ、頭を持ち去られて。未来を見通せるはずのカカシは、なぜ自分の死を阻止出来なかったのか? (BOOKデータベースより)まず文庫版解説の出だしに「なんてシュールな小説か」と書かれているが私も不思議な世界感を感じた作品でした。「シュール」って?たまに聞く言葉で意味もわからずに使いがちな言葉だが、なんとなく言葉の響きがこの作品に合っている気がするのが不思議です。内容はというと、コンビニ強盗に失敗したあと逃走する事になった主人公の伊藤だが気が付くと見知らぬ島にいた。そこは牡鹿半島の沖にある?外界から遮断された荻島という島だった…。島には言葉を話すカカシの優午が居て、未来を見通せるというのだが、ある日その優午が殺される。何故未来がわかるはずの優午は自分の死を阻止できなかったのか?その謎を伊藤達が追いかけるだが、優午の死には深い意味が込められていたのだ…。個性的で且つ完成度が高い作品をデビュー作にするのだから、その後の伊坂幸太郎の活躍に納得させられる。あと、伊藤を追ってきた城山の末路はある程度の予測はついたが、ガッツポーズをしたのは私だけではないでしょう(笑。
2025.05.03
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2025年4月19日★★★★宮部みゆきの上下巻の大作を読んだ後、次は少し短めの長編か短編ものを読もうと決めていたところ、地元の図書館で予約していた今村昌弘さんの初の短編集である「明智恭介の奔走」が確保されたと連絡があり、これは丁度よいと思い、「屍人荘の殺人」のスピンオフ作品でもある本作を読んでみることにした。神紅大学ミステリ愛好会会長・明智恭介。小説に登場する探偵に憧れ、事件を求めて名刺を配り歩く彼は、はたしてミステリ小説のような謎に出合えるのか――大学のサークル棟で起きた不可解な盗難騒ぎ、商店街で噂される日常の謎、夏休み直前に起きた試験問題漏洩事件など、書き下ろしを含む全五編を収録。『屍人荘の殺人』以前、助手であり唯一の会員・葉村譲とともに挑んだ知られざる事件を描く、待望の〈明智恭介〉シリーズ第一短編集! (BOOKデータベースより) 本作は剣崎比留子と相方の葉村が探偵役の「屍人荘の殺人」から始まるシリーズの前の物語である。主人公は神紅大学ミステリ愛好会の会長・明智恭介と後輩で助手の葉村がつとめる。また、物語の語りても最終話以外は葉村が務めた5編で構成された短編集である。各短編のコメントを以下に少しだけ書いておきます。「最初でも最後でもない事件」大学のキャンパス内で窃盗事件がおこり、現場に気絶していたのは容疑者だったのだが、実は被害者だった?真相を知るとう〜ん同情するしかないよな…。「とある日常の謎について」今は廃れた商店街の喫茶店に突然来店する明智が、その店主の謎を解明するお話。「泥酔肌着引き裂き事件」朝から前日泥酔して帰宅した明智から呼び出される葉村だが、明智が言うには朝目覚めるとパンツが引き裂かれていたというではないか…。一番短いが一番バカバカしく一番お薦めかも。「宗教学試験問題漏洩事件」教授から呼び出されて部屋に残った学生に疑いがかけられる。真相はと言うと呆れるばかりだか、手間暇かけたトリックや伏線には一読の価値ありです。「手紙ばら撒きハイツ事件」明智の若かりし頃のアルバイト先の探偵事務所のはなしで、語り手は探偵事務所の所長に代わり、明智の探偵デビュー譚として〆に相応しい作品かな。明智の探偵として成長を感じる内容で名探偵になる前にあの事件に遭遇するなんて、今更ながら残念で仕方が無い。
2025.04.19
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2025年4月12日★★★先月始めに東野圭吾の浪花少年探偵団シリーズを2冊読んでから仕事が忙しくなり読書を一時中断していたが、今月に入り落ち着いて来たので、次は何を読もうかと考えながら未読の本棚を眺めていると上下巻の宮部みゆきの作品が目にとまり、あー長い間著者の作品を読んでいなかったなと調べてみると2015年7月に吉川英治文学賞を受賞した「名もなき毒」の杉村三郎シリーズの第一作である「誰か Somebody」以来だとわかり、上下巻の2冊と超長編なので少し不安に思いながら期待して読んでみることにした。【上巻】家族とともに古い写眞館付き住居に引っ越ししてきた高校生の花菱英一。変わった新居に戸惑う彼に、一枚の写真が持ち込まれる。それはあり得ない場所に女性の顔が浮かぶ心霊写真だった。不動産屋の事務員、垣本順子に見せると「幽霊」は泣いていると言う。謎を解くことになった英一は。待望の現代ミステリー。【下巻】人の想いは思いもかけない場所に現れることがある。たとえば写真とか。英一の小学生の弟、光の様子がおかしい。友人のテンコによれば、彼は写眞館の元主、小暮さんの幽霊に会いたいのだという。そして垣本順子、英一と家族、各々が封印してきた過去が明らかになる。読書の喜びがここにある。感動の結末へ。 (BOOKデータベースより) ほぼすべての文学賞を受賞している宮部さんだが「模倣犯」や「ソロモンの偽証」など有名どころが超長編のため躊躇して未読で今に至ってしまったが、本作は長編だが重い内容の上記二作と異なり、軽く読めそうかなと読み始めたが、やっぱり解説を含めて約1000頁というボリュームは読み切るのに時間を要してしまいました…。内容はというと元は写真館だった空家に家族四人で引っ越してきた花菱家。写眞館の名前が「小暮写眞館」で看板まで残ったままのため営業を再開したのかと勘違いされるが、そんな勘違いから1枚の写真が女子高生から持ち込まれるところから物語は始まる。物語は全4話で最初の3話は花菱家の長男であり本書の主人公の英一が1枚の写真について調査する内容がパターンとなって、そこに同級生のテンコやコゲパン、英一の両親と小学生の弟の光ことピカ、そして写眞館を仲介した不動産の面々など沢山の個性的なメンバーが脇役となり登場する。最後の第4話だけはパターンが異なり、花菱家の亡くなっていた英一の妹の風子の過去の出来事から親戚と騒動になり、そして不動産で働く不愛想の垣本順子と英一との間に異変起こる。最後に至ってようやくわかるのだが本作はすべて第4話のための伏線だったのだと。最初の3話を含めて冗長かなと感じるが、本作にはそれが必要だったのだと宮部みゆきが伝えたかったのかなと、変に納得している自分がいます。他の宮部作品も今後読んでみようかなと思わせてくれる作品でした。
2025.04.11
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2025年3月7日★★★★先日読んだ東野圭吾の「浪花少年探偵団」だが、舞台が私の出身地の大阪である事は読後レビューに書いたが、しのぶセンセの実家が私と同じ平野だと言うことも併せて書いておきます。前作に続いて、兵庫県の大学に内地留学したしのぶセンセが再登場する本作を期待して読んでみた。休職中の教師、竹内しのぶ。秘書としてスカウトされた会社で社員の死亡事故が発生。自殺にしては不自然だが、他殺としたら密室殺人。かつての教え子たちと再び探偵ごっこを繰り広げるしのぶは、社員たちの不審な行動に目をつける。この会社には重大な秘密が隠されている。浪花少年探偵団シリーズ第二弾。 (BOOKデータベースより)前作で愛すべき悪ガキどもを無事送り出したしのぶセンセは、教育についてさらに勉強するため、実家を離れて下宿しながら兵庫県の大学に内地留学していた。本作はしのぶセンセが内地留学してから教員として復帰するまでの出来事(事件)を描いた作品である。本作では前作ほどしのぶセンセの喧嘩っ早いところは無くなった気がするが、パワフルさは変わらないのが何よりも嬉しい。今回も前作同様笑いあり、涙ありと魅力満載である。特に前作では事件解決の主導権は常にしのぶセンセだったが、本作では悪ガキどもの活躍ぶりが見逃せない。最後にしのぶセンセが小学校の教壇に復帰するのだが、復帰早々難問に直面する。そこはしのぶセンセの体当たりな取り組むや熱意がやがて生徒たちにも伝わり、問題を解決して行く。文庫本のあとがきにこのシリーズは本作で終わりだと書かれているが短編でも良いのでいつかどこか書いて欲しいものです。うーん、進藤刑事との仲が気になって仕方が無い…。
2025.03.07
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2025年3月1日★★★★先日読んだ川瀬七緒 の江戸川乱歩賞受賞作の「よろずのことに気をつけよ」を読み終わったあと、次は何を読もうかと未読の本棚を眺めていたのですが、1週間経っても決まらず、迷った時は岡嶋二人か東野圭吾と決まっているので、未読の作品が10冊以上ある東野圭吾にするかと手に取ったのは今の東野圭吾の作風からは想像がつかない私の出身地でもある大阪を舞台にした本作を楽しみながら読んでみることにした。竹内しのぶ、25歳、独身、短大卒。大阪大路小学校6年5組担任の教師。ちょっと見は丸顔の美人だが、口も早いし手も早い。そのしのぶセンセのクラスの福島の父親が殺された。事件解決のためにしのぶセンセと教え子探偵団が大活躍。(文庫版裏表紙引用) 本作は私の出身地である大阪で且つ生まれ育った同じ地域を舞台にした連作短編集で、なんと言っても小説内の台詞が関西弁で書かれているので、なんとも可笑しく面白く最後まで読ませて貰いました。ただ、その関西弁だけが本作の魅力ではなく、個々のキャラクターの魅力も見逃せません。内容は主人公である見た目は関西弁で言うべっぴんさんなのだが、口が悪くちょっと喧嘩っ早い、しのぶセンセと彼女を慕う生徒たちが協力し合って様々な事件を解決していくパターンで、更にしのぶセンセに思いを寄せる二人の男たちが絡んでドタバタ劇になるのだが、最後は彼女を慕う生徒たちにほろりとさせられる。普段と違った作風だが個人的には非常に楽しめた作品でした。気に入ったので続編「しのぶセンセにサヨナラ」を続いて読んでみようと思う。
2025.03.02
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【楽天ブログに残していない過去に読んだ小説の中でEvernoteにメモが残っているものは当時の日付でそのままの内容でアップしています】2013年9月11日★★★笑うハーレキンを先月久しぶりに読んで期待外れに終わったが、山本周五郎賞を受賞した本作にいつもの道尾作品らしさを期待して読んでみた。駄目だと思った。それでも世界は、続いていた―少女は無限の想像力でこの世界を生き延び、少年はたった一つの思い出にしがみつく。一匹の蝶が見た悲しみの先に広がる光景とは…渾身の連作群像劇。 (BOOKデータベースより)連作短編集の全6章の登場人物が何らかの繋がりを持つ構成で前半の3章は悲劇的な結末なのに対して後半3章は暖かみのある作品に仕上がっている。個人的には前半のペースで最後まで行って欲しかったのだが、これも道尾作品なのかなとも感じた。う~んやっぱミステリーにはまった張本人だし、書いて欲しいし、読んでみたい。
2025.02.22
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2025年2月21日★★★2月頭に読んだ西澤保彦の腕貫探偵シリーズのあと、少し間が空いたが次は何を読もうかとネットの直木賞や江戸川乱歩賞の過去の受賞作品を眺めていたら、第57回江戸川乱歩賞受賞作で川瀬七緒のデビュー作でもある「よろずのことに気をつけよ」をお薦めするサイトがあり、次はこれだと買って本棚に眠っている本作を引っ張り出して読んでみることにした。都内に住む老人が自宅で惨殺された。奇妙なことに、遺体は舌を切断され、心臓をズタズタに抉られていた。さらに、縁の下からは「不離怨願、あたご様、五郎子」と記された呪術符が見つかる。なぜ老人はかくも強い怨念を受けたのか?日本の因習に絡む、恐るべき真相が眼前に広がる!(BOOKデータベースより)難解な言葉が頻繁に出てくるので少し読みづらい部分もありましたが、興味深く読ませて貰いました。内容はというと、何者かに殺害された老人の孫が、自宅から発見された呪術符を持って文化人類学者の助けを借りるため訪れるところから物語は始まる。その老人を何十年も呪い続ける理由に二人が迫るホラー要素の強いミステリー小説です。呪術や地域の風習などが多く登場するためかなり難解だが、そこは都度説明が入るので意味不明になることはない。前半は中だるみするところもあったが、中盤から終盤にかけて迫力ある展開でちょっと恐怖を感じさせる非常に魅力ある作品でした。著者の法医昆虫学を題材とした作品も機会があれば読んでみたいと思う。
2025.02.21
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2025年2月8日★★★★2月に入って寒さが増してきたのが原因かどうか不明だが、体調が良くなく仕事をテレワークにすることが多かったので通勤途中に読書する時間がなく、最近やっと体調が良くなって読書を再開しようと思い、軽めの短編をと手に取ったのは西澤保彦氏の腕貫探偵シリーズ第二弾でした。シリーズ1作目を読んだのは何年前だったかなと調べてみるとなんと2013年12月なので実に11年以上前のようで薄〜い記憶を思い出しなから読んでみることにした。「市民サーヴィス臨時出張所」で、市民の相談に乗る腕貫着用の男。明晰な推理力を持つ彼のもとへは、業務時間外も不可思議な出来事が持ち込まれる。レストランに押し入った強盗の本当の目的は? 撮った覚えのない、想い人とのツーショット写真が見つかった? 女教師が生前に引き出した五千万円の行方は? “腕貫男"のグルメなプライベートにも迫る連作ミステリ6編。(BOOKデータベースより)前作同様今回も腕貫探偵が相談を受けるのだが、場所は市民サーヴィス課臨時出張所ではなく、プライベートな時間に相談を受けるのでタイトル通り「残業中」らしい。短編のどれも面白いのだがそれぞれ一言だけ感想を書いておきます。「体験の後」はレストランが強盗に襲撃され、居合わせた全員が拘束される。その中になんと腕貫探偵がいた…。いきなり度肝を抜く設定で呆気にとられたのは私だけ?「雪のなかの、ひとりとふたり」の1枚の写真がある事件に疑念を抱かせるのだが、それより腕貫探偵を一発で探し出したユリエが凄い…。「夢の通い路」は櫃洗に住んでいた頃の見覚えがない写真。出張先がたまたま櫃洗で、そこでたまたま腕貫探偵を見かけて相談したのは良いが。真相は知らなかった方が良かったかも…。「青い空が落ちる」は長く教員を務めた女性の遺品を整理すると、なんと5千万円が引き出されていた。相談を受けた腕貫探偵が浮かび上がらせたのは人格者として知られていた彼女の意外な趣味だった…。「流血ロミオ」は意味不明なタイトルだが、読めば納得してしまう。腕貫探偵が語る救いの無い真相とは…。「人生、いろいろ。」は腕貫探偵は結局登場しないのだが、最後に真相を知った健介の罪は果たして?それぞれの登場人物や物語の展開が絶妙で楽しめた。あと、腕貫探偵がグルメなのが意外でしたね(笑)。
2025.02.08
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2025年1月31日★★★★先週今年最初の読書の一冊を読み終えて、さて今週は何を読もうかとネットで調べていると、以前数々のミステリーランキングにランクインして読んだ「方舟」の著者である夕木春央の作品が目に留まり、「この島にいる間、殺人犯が誰か知ろうとしてはならない」など犯人からの「十戒」を課されるという本作を期待して読んでみることにした。殺人犯を見つけてはならない。それが、わたしたちに課された戒律だった。 浪人中の里英は、父と共に、伯父が所有していた枝内島を訪れた。 島内にリゾート施設を開業するため集まった9人の関係者たち。 島の視察を終えた翌朝、不動産会社の社員が殺され、そして、十の戒律が書かれた紙片が落ちていた。 “この島にいる間、殺人犯が誰か知ろうとしてはならない。守られなかった場合、島内の爆弾の起爆装置が作動し、全員の命が失われる”。 犯人が下す神罰を恐れながら、「十戒」に従う3日間が始まったーー。(BOOKデータベースより)孤島を舞台としたクローズド・サークルものの作品で、犯人の指示する十の戒律を破った場合は島ごと爆弾で爆破させるという行動が規制されるという状況設定はなかなか面白い作品でした。ただ、みんな十の戒律に従うのですが、ちょっと不自然過ぎるところがあり、何か抵抗出来ないのかと感じるなど、もう少し読者に対して納得し得る状況が書かれていればと感じる部分は多数ありました。また、こんな状況において緊迫感や恐怖というものが感じられないのが少し残念です。「方舟」を読んだ時にも感じましたが、期待が持てる作家であるのは確かで、次作も是非読んでみたいと思います。
2025.01.31
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2025年1月25日★★★昨年は年始に目標とした年間24冊をクリアし、更に年間24作品もクリア出来たので、今年も無理の無い範囲で読書を続けて行きたいと思う。まぁ最低でも昨年同様に年間24冊は読みたいと思う。そんな目標を持って迎えた新年でしたが、年末に帰省した末っ子がインフルエンザにかかってバタバタだったこともあり、やっと落ち着いて今年最初の読書に選んだのは、昨年末に読んだ朝井リョウの直木賞受賞作である「何者」を読んで他の作品も読んで見たかったので迷わず評価の高い本作「正欲」を読んでみることにした。生き延びるために、手を組みませんか。いびつで孤独な魂が、奇跡のように巡り遭う――。 あってはならない感情なんて、この世にない。それはつまり、いてはいけない人間なんて、この世にいないということだ――共感を呼ぶ傑作か?目を背けたくなる問題作か?絶望から始まる痛快。あなたの想像力の外側を行く、作家生活10周年記念、気迫の書下ろし長篇小説。(BOOKデータベースより)まず読む前に朝井リョウと言う作家をあまりにも知らなさすきるのでちょっと調べてみると凄い人のようだ。大学在学中の二十歳で小説すばる新人賞を受賞して小説家にデビュー後、若干23歳での直木賞受賞は戦後最年少らしく史上初の平成生まれの受賞者となるなど、まさに新時代を象徴する作家らしい。読後感想として始めに書いておくが、本作は私にとってはかなりきつい内容の作品でした。世の中には極めて珍しい性的欲望を持った人間が存在するが、本作はまさに性的欲望が人と違うことに悩み苦しみながら生きていく人たちに焦点を当てた内容となっている。個人の生き方や価値観に柔軟な世の中になったとは言え、私には到底理解出来ない自分に気づかされるので読んでいてしんどかったし、途中で挫折しそうになったぐらいでした。ただ最後まで読み切って言えることは作品の中である共通する事件を扱っているが冒頭と結末ではその事件に対する見方が真反対に変わっていることだろう。そう言った意味では読んで良かったのかもと思わせてくれし、性的欲望に悩む人たちのリアルな心理描写やストーリー構成など著者の優れた才能がうかがえる作品と言えるかもしれない。次回はもう少し違ったテーマの作品を読んでみたくなる作家です。
2025.01.25
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2024年12月31日★★★★先週読んだ東野圭吾の「クスノキの女神」が今年最後の読書作品になるかと思っていたが、図書館から夏頃に予約していた呉勝浩の「爆弾」の続編である本作が確保されましたと連絡があったので、年末の忙しい合間にどこまで読めるかなと思いながら読んでみることにした。東京地方裁判所、104号法廷。 史上最悪の爆弾魔スズキタゴサクの裁判中、突如銃を持ったテロリストが乱入し、法廷を瞬く間に占拠した。 「ただちに死刑囚の死刑を執行せよ。ひとりの処刑につき、ひとりの人質を解放します」前代未聞の籠城事件が発生した。 スズキタゴサクも巻き込んだ、警察とテロリストの戦いが再び始まる。(BOOKデータベースより)年末は例年忙しいので、年内の読了は諦めて、まぁ年始の時間つぶしにと読書館に受け取りに行ったのが年末の28日だったのですが、実質昨日と今日の2日間で読み終えてしまったため、結局本作が今年最後の読書作品になってしまいました。まず本作は前作の爆弾事件後の物語が描かれているで間違いなく前作を読んでおくことをお薦めします。本作は前作の爆弾事件の犯人である「スズキタゴサク」の裁判が行われた裁判所を舞台とした立てこもり事件で犯人が100名近い人質をとって警察だけでなくスズキタゴサクとの駆け引きを交えながら緊張感満載で進んで行く。また、犯人の犯行理由が謎に包まれて、その真相が最後にあかされるのだが、複雑にミステリー要素や社会的テーマなどが巧みに絡んでおり非常に楽しめた作品でした。スズキタゴサクが逃げた事で第3弾が間違いなくありそうで、今後の展開が非常に楽しみです。
2024.12.31
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2024年12月26日★★★★先週読んだ江戸川乱歩賞作でもある曽根圭介の沈底魚で年間24作品を達成したので、気楽に年末にかけて何を読もうかと思いながら二、三日が経過したところ、図書館から半年以上前に予約していた東野圭吾の「クスノキの番人」の続編の「クスノキの女神」が確保されましたと連絡が入ったので、日曜日に受け取りに行き、早速読んでみることにした。神社に詩集を置かせてくれと頼んできた女子高生の佑紀奈には、玲斗だけが知る重大な秘密があった。一方、認知症カフェで玲斗が出会った記憶障害のある少年・元哉は、佑紀奈の詩集を見てインスピレーションを感じる。玲斗が二人を出会わせたところ瞬く間に意気投合し、思いがけないプランが立ち上がる。不思議な力を持つクスノキと、その番人の元を訪れる人々が織りなす物語。待望のシリーズ第二弾!(BOOKデータベースより)前作から約4年ぶりの続編らしいが、前作をかなり忘れていた部分もあるので自分のブログとネットの情報を確認しながら読んでみた。本作は主人公の玲斗とその玲斗にクスノキの番人の役目を与えた千舟が抱える事情と玲斗が働く神社に妹弟連れて訪ねてきた姉である高校生の佑紀奈、脳に障害を持つ中学生の元哉、それらキーパーソンが絡み合った感動作である。ラストの元哉の両親が考えた行動にはびっくりしたが、もし自分が元哉の両親の立場だったらどう振る舞うだろうかと考えさせられる。この結末は読んでもらいたいが、これでよかったのだと思いたい。最後の施設に入った千舟と玲斗との会話を読んだ時は、自分の母親の事をつい思い出して目頭が熱くなってしまいました。あぁその時が来たのだと…。この物語に続きがあれば是非読んでみたいと思う。流石は東野圭吾です。
2024.12.26
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2024年12月20日★★★★今年の最低目標であった年間24冊は既にクリアしていたが、あと1作品で年間24作品に到達する中、未読の本棚を眺めていると昨年3冊読んだ江戸川乱歩賞作品がまだ10冊以上あることがわかり、じゃあ久しぶりにどれを読もうかと何冊か手にとってパラパラと流し読みした結果、私の好きな警察小説で、かつスパイものである第53回江戸川乱歩賞受賞作の「沈底魚」を昨年末に読んだ「脳男」以来、1年ぶりに期待して読んでみることにした。現職国会議員に中国のスパイがいるという情報によって、極秘に警視庁外事課に捜査本部が設置された。指揮官として警察庁から女性キャリア理事官が送り込まれるが、百戦錬磨の捜査員たちは独自に捜査を進める。その線上に浮かんだのは、次期総理の呼び声高い芥川健太郎だった。(BOOKデータベースより)まず読後の感想を一言で言うと本作は単純な警察小説ではなく、公安警察に国際謀略&スパイが絡んだ魅力的な小説である。主人公の不破やそれに対立するヤクザ顔負けの五味グループが味が出ていたのと、肉まんや海坊主等のスパイたちの暗号名といい、不気味で何を考えているのか分からない容姿も特異な女性管理官の凸井の登場など著者の新人らしからぬ実力を感じた作品で350ページと短めではあったが、最近では珍しく3日で読み切ってしまいました。政治や権力、組織の裏が見え隠れするなど魅力な作品で、著者の他の作品も読んでみたくなります。
2024.12.20
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2024年12月13日★★★11月後半に島田荘司の「斜め屋敷の犯罪」を読んだ後、12月に入ってもAmazon primeとTverの動画鑑賞に時間をとっていたので読書を中断していましたが、久しぶり何を読もうかと考えていると数年前にブックオフで直木賞受賞作を探していたときに見つけた朝井リョウの「何者」が目にとまり、全く今まで読んだことがなかった作家だったので躊躇していたが、直木賞受賞作ということで期待して読んでみることにした。就職活動を目前に控えた拓人は、同居人・光太郎の引退ライブに足を運んだ。光太郎と別れた瑞月も来ると知っていたから――。瑞月の留学仲間・理香が拓人たちと同じアパートに住んでいるとわかり、理香と同棲中の隆良を交えた5人は就活対策として集まるようになる。だが、SNSや面接で発する言葉の奥に見え隠れする、本音や自意識が、彼らの関係を次第に変えて……。直木賞受賞作。(BOOKデータベースより)うーん。直木賞受賞作でも万人受けする作品ということではないと感じました。全ての登場人物の行動にまったく共感ができなかったのが率直な感想です。今の大学生なら共感するのでしょうが、私たちの時代では考えられないことが多かったです。特に就職活動以前に大学に入った理由は?目的は?という印象でした。そんな理由も目的もなく過ごしていては就職活動がうまくいかないのも当たり前のような気がします。ラストはある意味どんでん返しですが、ミステリーでは無いです。最後の30ページのための前振りと思えば読んでみて悪くなかったと思いました。朝井リョウという作家の本質を判断するには、他の作品も読まないと語れないため、何冊か読んでみてから判断したいと思います。
2024.12.13
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2024年11月21日★★★★11月に入り伊坂幸太郎の「バイバイ、ブラックバード」を読んでから少し読書から離れていたので次は何を読もうかと考えて、東西ミステリーベスト100の電子書籍版を眺めていたら、確かに2、3年前に島田荘司の名作2冊を買って「異邦の騎士」だけ先に読んで、1冊未読なのを思い出したので、迷わず東西ミステリーベスト100で第21位になった本作を前回読んだ「異邦の騎士」以来約3年振りに読んでみることにした。北海道の最北端・宗谷岬に傾いて建つ館――通称「斜め屋敷」。雪降る聖夜にこの奇妙な館でパーティが開かれたが、翌日、密室状態の部屋で招待客の死体が発見された。人々が恐慌を来す中、さらに続く惨劇。御手洗潔は謎をどう解くのか!? 日本ミステリー界を変えた傑作が、大幅加筆の改訂完全版となって登場!(BOOKデータベースより)個人的には十分楽しめた作品でした。文庫版の解説にも書かれているが私が大好きな作家の綾辻行人さんの館シリーズの原点となる作品らしい。内容はと言うと北海道の宗谷岬に傾いている屋敷「流水館」があり、そこで来賓を招いてクリスマスパーティの夜に起こる密室殺人。その殺人の真相と館の関係とは。。。この作品の評価が分かれるポイントは、やはり非現実的で奇想天外なトリックを受け入れられるかどうかでしょう。あと、読者への挑戦状を送ってきますが、真相を知るとトリックや伏線も納得するのですが、トリックに関しては絶対と言って良いほど解けないと断言出来ます。。。ただ、正直犯人は多分この人物だろうなとは予想はつきましたが、如何せんトリックが複雑すぎ!!最後に犯人の殺人動機ですが、複雑なトリックとは真反対でちょっと後付けっぽい感じを受けた印象で、改訂完全版で変えても良いのにと思ったぐらいでした。3年前に「異邦の騎士」を読んだ時にも思いましたが、10年以上前に読んで完全に忘れている島田荘司の代表作である「占星術殺人事件」を再読してみたいと改めて思いました。
2024.11.21
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2024年11月2日★★★★月2冊ペースで進んでいる読書だが、次に何を読もうかと未読の本棚を眺めていると、伊坂幸太郎の未読本が数冊目に留まり、最近読んでいないので、長編ではなく読みやすい連作短編集の本作を昨年読んだ「魔王」依頼、1年3ヶ月振りに伊坂幸太郎の作品を読んでみた。星野一彦の最後の願いは、何者かに〈あのバス〉で連れていかれる前に、五人の恋人たちに別れを告げること。そんな彼の見張り役は「常識」「愛想」「悩み」「色気「上品」──これらの単語を黒く塗り潰したマイ辞書を持つ粗暴な大女、繭美。ふたりのなんとも不思議な数週間を描く、おかしみに彩られた「グッド・バイ」ストーリー 。(BOOKデータベースより)本作は文庫本の巻末インタビュー記事に伊坂幸太郎へ編集者から太宰治の未完の作品であった「グッド・バイ」を完成させませんか?との依頼から伊坂幸太郎独自に想像を膨らませた全く新しい物語として書かれたものらしい。また、本作は変わった企画もので「ゆうびん小説」として書かれた5つの短編をそれぞれ選ばれた50名の読者にのみ郵送されるというもので、正直50名に選ばれた人は幸運を感じたに違いない。さて本作の内容だが、5股をかけていた主人公の星野一彦が借金などを返済出来ないため〈あのバス〉に乗せられることになった。その5人に同行した繭美を結婚相手だと紹介して1人1人に別れを切り出すというパターンなのだが、繭美は本当の結婚相手ではなく星野の監視役だったのだ。その繭美は超巨体な上に性格は超悪い。会う5人の女性に次から次へと嫌味や暴言をはき、且つ彼女の辞書には同情や優しさに関する言葉は黒く塗りつぶされて抹消されている。5つの短編の後に最終話で一応顛末を描いているが、〈あのバス〉に乗った後には触れられていないので個人的には消化不良気味だが、伊坂幸太郎曰く読者それぞれの結末を想像して欲しいと言う事らしい。青空文庫で未完に終わった「グッド・バイ」が読めるらしいので本作と比較してみたいと思う。
2024.11.02
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2024年10月21日★★★先月後半に読んだ池井戸潤の「俺たちの箱根駅」から大好きな野球のペナントレース終盤からクライマックスシリーズが始まるなど、読書が少し後回しになっていたが、読書意欲は全く萎えていなかったのでそろそろ何か読んでみようかと考えていた頃、夏に図書館で予約していた、今村昌弘の作品で小学生3人を主人公にした「でぃすぺる」という変わったタイトルの本作を「屍人荘の殺人」シリーズ以外で初め読んでみた。『屍人荘の殺人』の著者が仕掛けるジュブナイル×オカルト×本格ミステリ小学校最後の夏休みが終わった。小学校卒業まであと半年。ユースケは、自分のオカルト趣味を壁新聞作りに注ぎ込むため、〝掲示係〟に立候補する。この地味で面倒だと思われている掲示係の人気は低い。これで思う存分怖い話を壁新聞に書ける!……はずだったが、なぜか学級委員長をやると思われたサツキも立候補する。優等生のサツキが掲示係を選んだ理由は、去年亡くなった従姉のマリ姉にあった。マリ姉は一年前の奥神祭りの前日、グラウンドの真ん中で死んでいた。現場に凶器はなく、うっすらと積もった雪には第一発見者以外の足跡は残されていなかった。つまり、自殺の可能性はなく、マリ姉を殺した犯人が雪が積もる前に凶器を持ち去ったはず。犯人はまだ捕まっていない。捜査が進展しない中、サツキはマリ姉の遺品のパソコンの中に『奥郷町の七不思議』のファイルを見つける。それは一見地元に伝わる怪談話を集めたもののようだったが、どれも微妙に変更が加えられている。しかも、『七不思議』のはずなのに六つしかない。警察がこの怪談に注目することはなかった。そして、マリ姉に怪談を集める趣味がなかったことをサツキはよく知っている。マリ姉がわざわざ『七不思議』を残したからには、そこに意味があるはず。そう思ったサツキは掲示係になり『七不思議』の謎を解こうとする。ユースケはオカルト好きの観点から謎を推理するが、サツキはあくまで現実的にマリ姉の意図を察しようとする。その二人の推理を聞いて、三人目の掲示係であるミナが冷静にジャッジを下す……。死の謎は『奥郷町の七不思議』に隠されているのか? 三人の〝掲示係〟が挑む小学校生活最後の謎。こんな小学6年生でありたかった、という思いを掻き立てる傑作推理長編の誕生です。(Amazon内容紹介より)本作は今村昌弘のデビュー作『屍人荘の殺人』から4作目で初めてシリーズ作品ではない作品のようだ。夏休み明けの2学期初日にオカルトが趣味のユースケと優等生のサツキ、転校生のミナの3人が掲示係になり、壁新聞を作成することから物語は始まる。その壁新聞の題材として、亡くなったサツキの従姉であるマリ姉が残した6つの怪談(7つ目を知った者は死ぬという)を順に調べ始める。3人の行動力、思考力は大人顔負けで到底小学生とは思えない。調査が進むなか流石に小学生が真相の核心に迫ると、大人から妨害されるのがお約束で、結局壁新聞の掲示が禁止されてしまう。この展開の結末は本格ミステリなのかオカルトなのか?はたまた麻耶雄嵩ばりの何でもありなのか?結末は読んでからのお楽しみと言うことで…終わり方に続きがあるような結末だったので、3人の活躍がまた読めるかもしれません。今村昌弘さん期待してます。
2024.10.21
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2024年10月9日★★★8月は1冊、先月は2冊とちょっと停滞気味の読書だが、60歳を迎えた今は無理せずマイペースに読んで行くと決めているので、気にせず次は何を読もうかと考えていたが、丁度出張があり、ベージ数が少な目なものはとあれこれ探して手にとったのは、東野圭吾の作品で怪しげな二人組の探偵が難事件を解決するという連作短編集の本作を6月に読んだシリーズ化された元マジシャンでバーのマスターを主人公にした「ブラック・ショーマンと覚醒する女たち」以来、読んでみることにした。「お母さん、殺されたのよ」―学校から帰ってきた美幸は、家で母が殺害されたことを知らされる。警察は第一発見者である父を疑うが、彼には確かなアリバイがあった。しかしその言動に不審を抱いた美幸は、VIP専用の調査機関“探偵倶楽部”に調査を依頼する。探偵の捜査の結果、明らかになった意外な真相とは?冷静かつ迅速。会員制調査機関“探偵倶楽部”が難事件を鮮やかに解決。(BOOKデータベースより)探偵倶楽部とは政財界のVIPクラスを会員とした極秘調査機関で本作に登場するのは二人の男女の捜査員である。その彼らが調査に当たった五つの事件を描いている。内容的には依頼を受けて駆けつけたる二人が鮮やかに真相を暴くというパターンの本格ミステリーでしたが、ちょっと盛り上がりに欠けて、黒衣の男女という設定が活かされていないのが残念です。何しろ彼らは一切無駄口は叩かず、ただ真相を報告するだけなのですから。まぁ現実の探偵はこんなものかもしれませんが…。本作を原作にしていくつかドラマ化されているようなのですが、その仕上がり具合がとっても気になります。
2024.10.09
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2024年9月29日★★★★8月はオリンピックやお盆などがあり、順調だった読書が1冊のみだったので、9月は元の月2〜3冊ペースに戻すべく選んだのは大好きな作家の1人の池井戸潤の新作で、池井戸潤の作品としては珍しく上下巻2冊で出発された箱根大学駅伝を舞台にした、本作をドラマが始まる前に読んだ「花咲舞が黙ってない」の新装増補版以来、約半年ぶりに期待して読んでみた。若人たちの熱き戦いが、いま始まる!古豪・明誠学院大学陸上競技部。箱根駅伝で連覇したこともある名門の名も、今は昔。本選出場を2年連続で逃したチーム、そして卒業を控えた主将・青葉隼斗にとって、10月の予選会が箱根へのラストチャンスだ。故障を克服し、渾身の走りを見せる隼斗に襲い掛かるのは、「箱根の魔物」……。隼斗は、明誠学院大学は、箱根路を走ることが出来るのか?一方、「箱根駅伝」中継を担う大日テレビ・スポーツ局。プロデューサーの徳重は、編成局長の黒石から降ってきた難題に頭を抱えていた。「不可能」と言われた箱根中継を成功させた伝説の男から、現代にまで伝わるテレビマンたちの苦悩と奮闘を描く。(上巻 Amazon内容紹介より)青春をかけた挑戦、意地と意地のぶつかり合いが始まる。ついに迎えた1月2日、箱根駅伝本選。中継を担う大日テレビのスタッフは総勢千人。東京~箱根間217.1kmを伝えるべく奔走する彼らの中枢にあって、プロデューサー・徳重はいままさに、選択を迫られていた――。テレビマンの矜持(きょうじ)を、「箱根」中継のスピリットを、徳重は守り切れるのか?一方、明誠学院大学陸上競技部の青葉隼斗。新監督の甲斐が掲げた「突拍子もない目標」の行方やいかに。そして、煌(きら)めくようなスター選手たちを前に、彼らが選んだ戦い方とは。全てを背負い、隼斗は走る。(下巻 Amazon内容紹介より)箱根駅伝といえば、駅伝競技としてだけではなく、お正月の風物詩といった感じを抱いているが、本作は駅伝を走る学生たちだけでなく、駅伝の中継を担うテレビ局のスタッフや関係者たちを描いた作品である。また、主役であるランナー達は参加出来なかった大学からの選抜であり、記録もカウントされない学生連合チームという設定である。物語の中心人物は予選会で11位となり、本選出場が一歩かなわなかった明誠学院大学の四年の青葉隼斗で、彼は連合チームのキャプテンとなる。大日テレビでスポーツ畑ひと筋に歩んできた、箱根駅伝・チーフプロデューサーの徳重亮。明誠学院大学陸上部の監督退任を受けて急遽就任し、連合チームの監督も務めることになった甲斐真人である。この甲斐監督の選手への思いやりのある助言や激励の一言が感動を与えてくれる。読後の感想を一言で言うなら夢は諦めるな。また、その夢が叶わなかったとしても努力は無駄にならないという熱いエールを感じる物語だと。やっぱり池井戸潤の作品は最高です。次作を期待しています。
2024.09.29
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2024年8月28日★★★8月はオリンピックとお盆休みに娘達が帰って来たこともあり、暫く読書から離れていたが、お盆も終わり、さあ読書を再開するかと未読の本棚を眺めていたら島田荘司や綾辻行人が絶賛していた麻耶雄高の本作が目に留まり、かなり前に読んだことは覚えてるが麻耶雄高の作品を読むのはいつ以来かなと調べてみると、なんと2014年末に読んだ「隻眼の少女」以来だとわかり、実に約10年振りに大どんでん返しの本作を期待して読んでみることにした。首なし死体、密室、蘇る死者、見立て殺人……。京都近郊に建つヨーロッパ中世の古城と見粉うばかりの館・蒼鴉城を「私」が訪れた時、惨劇はすでに始まっていた。2人の名探偵の火花散る対決の行方は。そして迎える壮絶な結末。島田荘司、綾辻行人、法月綸太郎、三氏の圧倒的賛辞を受けた著者のデビュー作。(BOOKデータベースより)本作は当時、京都大学在籍中のだった麻耶雄嵩さんが若干21歳の時の処女作で京都大学推理小説研究会の先輩に当たる綾辻行人さんからの推薦文の中で「この傑作の作者が自分ではないことが悔しくて仕方がない」とまで言わしめた作品である。本作の舞台は京都近郊に建つヨーロッパ中世の古城と見紛うばかりの館の蒼鴉城。その当主である今鏡伊都からの依頼を受け蒼鴉城に乗り込んだのは名探偵の木更津悠也とワトソン役の香月実朝だった。ところが到着するやいなや依頼人は首を切断されて殺されてしまう。ただ、これはこれから始まる連続首切り殺人の序章だったのだ…。一言で述べれば、なんでもありの本格ミステリで、様々なお約束事がぎっしり詰め込まれた作品である。密室、トリック、ロジック、アリバイ、絶対有り得ない奇跡、キリスト教、更に雑学からヨーロッパ文学、歴史などフルコース満載で私なんかが読むと意味不明のなんじゃこれはと感じた印象はこの作品の評価が賛否両論に分かれる理由なのかなと思う。何度か読み直すと理解できないことは無く、構成はこれでもかと言うほど凝っていて、第一部終盤からの奇想天外な木更津の推理と敗北。第二部に登場したメルカトル鮎の木更津犯人説の推理と木更津が対抗したとんでもない推理から、エピローグでは卓袱台をひっくり返したような大どんでん返しと私としては十分楽しめたと思う。しかし、メルカトル鮎が主人公だと思って読み始めた私にとっては、メルカトル鮎の役回りが気の毒で仕方がありません…。
2024.08.28
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2024年7月30日★★★図書館から借りた二冊を読んだあと、これまた予約していた2023年ミステリーランキング三冠(「このミステリーがすごい」、「ミステリが読みたい」、「週刊文春ミステリーベスト10」)達成となった米澤穂信の「可燃物」が確保出来たと連絡があったので、米澤穂信の作品としては2014年度の直木賞候補にもなり、本作同様ミステリーランキング三冠を達成した「満願」以来、実に9年半振りに読んでみることにした。余計なことは喋らない。上司から疎まれる。部下にもよい上司とは思われていない。しかし、捜査能力は卓越している。葛警部だけに見えている世界がある。群馬県警を舞台にした新たなミステリーシリーズ始動。群馬県警利根警察署に入った遭難の一報。現場となったスキー場に捜査員が赴くと、そこには頸動脈を刺され失血死した男性の遺体があった。犯人は一緒に遭難していた男とほぼ特定できるが、凶器が見つからない。その場所は崖の下で、しかも二人の周りの雪は踏み荒らされておらず、凶器を処分することは不可能だった。犯人は何を使って〝刺殺〟したのか?(「崖の下」)榛名山麓の〈きすげ回廊〉で右上腕が発見されたことを皮切りに明らかになったばらばら遺体遺棄事件。単に遺体を隠すためなら、遊歩道から見える位置に右上腕を捨てるはずはない。なぜ、犯人は死体を切り刻んだのか? (「命の恩」)太田市の住宅街で連続放火事件が発生した。県警葛班が捜査に当てられるが、容疑者を絞り込めないうちに、犯行がぴたりと止まってしまう。犯行の動機は何か? なぜ放火は止まったのか? 犯人の姿が像を結ばず捜査は行き詰まるかに見えたが……(「可燃物」)連続放火事件の“見えざる共通項”を探り出す表題作を始め、葛警部の鮮やかな推理が光る5編。(Amazon内容紹介より)本作は5編の全作品とも群馬県警捜査一課葛警部を主人公にした警察ミステリーの短編集である。それぞれで扱う事件はスキー場での遭難、バラバラ殺人、連続放火、人質立てこもり、交通事故など警察ミステリーによくある題材を集めたもので、感想としては、かなり細部まで丁寧に描かれていると感じるが、派手さや、盛り上がるようなものがないので、個人的には地味な小説かなと感じる。全作品通して、事件の細部に見られるちょっとした違和感。この違和感から真相に迫る葛警部の推理が読みどころでしょう。私には絶対わかりません(笑)。
2024.07.30
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2024年7月19日★★★★先週図書館から予約していた本が二冊同時に確保されて、先に本屋大賞受賞の「汝、星のごとく」の続編となる「星を編む」を読んで感動したあと、続けて私の大好きな作家である今野敏の隠蔽捜査シリーズ最新作の第10弾を神奈川県警刑事部長として活躍の場を移した後のスピンオフ作品である隠蔽捜査9.5以来、約1年振りに読んでみることにした。竜崎のもとに、著名作家・北上輝記が小田原で誘拐されたという一報が入る。犯人も目的も安否も不明の中、北上の友人でミステリ作家の梅林も絡み、一風変わった捜査が進む。一方、警視庁管内では殺人事件が発生。さらに息子の邦彦が大学中退に…!?己の責務を全うせよ。人気シリーズ、第十弾!(BOOKデータベースより)今回は小説家が誘拐される所から物語は進んでいくのだが、犯人の要求がマスコミに誘拐を公表しろと言うことらしい。小田原署の捜査本部に詰めていた竜崎は犯人の意図が分からず不審に思っていたが、そんな中、警視庁管内で起きた殺人事件の被害者が小説家だったことが判明し、事件が思わぬ方向へ進み出んで行く…。今回誘拐された小説家の友人であるミステリー作家の梅林賢がキーマンとして登場し、相変わらずの竜崎の変人ぶりと、同期の伊丹の掛け合いは毎度の事であるが面白く、また東大を辞めたいという息子の話題も絡ませて楽しませてもらえました。ただ、結末があっさりなのが引っ掛けるが、ドタバタ劇にならないのが本作の良いところなので良しとしましょう。今後どんな作品を出してくるのか次作の展開に期待したいと思います。
2024.07.19
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2024年7月12日★★★★誉田哲也の作品を続けて3冊読んだあと、次は何を読もうかと考えていたら、昨年末に予約していた、凪良ゆうの「星を編む」と今野敏の「隠蔽捜査10」が確保されましたと連絡があり、まずは本屋大賞受賞の「汝、星のごとく」の続編となる「星を編む」の方を先に読んでみることにした。『汝、星のごとく』で語りきれなかった愛の物語。「春に翔ぶ」―瀬戸内の島で出会った櫂と暁海。二人を支える教師・北原が秘めた過去。彼が病院で話しかけられた教え子の菜々が抱えていた問題とは?「星を編む」―才能という名の星を輝かせるために、魂を燃やす編集者たちの物語。漫画原作者・作家となった櫂を担当した編集者二人が繋いだもの。「波を渡る」―花火のように煌めく時間を経て、愛の果てにも暁海の人生は続いていく。『汝、星のごとく』の先に描かれる、繋がる未来と新たな愛の形。(BOOKデータベースより)本作は本屋大賞受賞の「汝、星のごとく」の続編ですが、通常は前作を読んでいなくてもそれなりに楽しめるものですが、本作はまず先に前作を読んでおかないと話の繫がりが全く分からないので前作を読んだ上で読んで欲しいと思います。前作の主人公は暁海と櫂の二人でしたが、本作は中編の3部作で構成されていて、1部が北原先生、2部が櫂の担当編集者だった植木さんと二階堂さん、3部は北原先生と暁海とそれぞれ主人公が変わります。3部作それぞれのストーリー展開に惹き込まれて一気読みでしたが、読み終えたあとの感動は間違いなしです。読後の感想としては「汝、星のごとく」と本作「星を編む」を是非映画化して欲しいと思うのは私だけではないはず。但し、2時間程度の枠にこの2作が収まるのか少し不安になりますが。。。いっそのことドラマ化しちゃうのも良いかもしれません。俳優は誰が適任かなって考えるのも楽しいです。今後の展開ですが、さすがに北原先生と暁海の年齢からすると次作はないでしょうね。あー寂しい。
2024.07.12
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