ラビィのしあわせ

  ラビィのしあわせ

July 14, 2006
XML
カテゴリ: 伝統芸能


改め 四代目 坂田藤十郎襲名披露 の演目の中のひとつである「 京鹿子娘道成寺 」を観て来ました。
この四代目坂田藤十郎という歌舞伎役者は、
坂田藤十郎という名前を襲名する前は、
中村扇雀、三代目中村雁治郎と襲名し、
中村扇雀の時に、「曽根崎心中」という演目で
父二世中村雁治郎の徳兵衛の相手役としてお初を演じ、
「扇雀ブーム」を巻き起こした歌舞伎の歴史に残る
素晴らしい役者です。

どんなに素晴らしい踊りが見られるかと、少々緊張気味に
幕が開くのを待っておりましたが、
藤十郎が現れた途端に、藤十郎演ずる白拍子の空気が
劇場の隅々まで行き渡り、一瞬にしてその雰囲気に
引き込まれるのが分かりました。
本当に素晴らしい役者さんというのは、
その人が舞台に出るだけで、観る者をその世界に
惹きつける力というものがあります。
それがまさに、坂田藤十郎が舞台に現れた
一瞬だったというわけです。

「京鹿子娘道成寺」という踊りは、
日本舞踊を習ったことのある方なら、
一度は踊ってみたい、と目標にする踊りのひとつだと思います。
能がかりなところや、手踊り、花笠踊り、鈴太鼓、鞨鼓など、
色んな小道具や引き抜きなどの多くの手法が取り入れられ、
観ている者を飽きることなく惹きつけます。
しかし、それだけに振りの数も多く、難しい踊りと言えます。

この坂田藤十郎の踊りは、
踊り手が藤十郎と知らされなくても一目見て、
藤十郎と分かるほどに、すべてが白拍子演ずる
藤十郎自身の所作になっており、よく「役者がその役になりきる」
と表現されますが、その言葉を超えて、白拍子に扮した
藤十郎でありながら、藤十郎でしか創り出すことの出来ない
「京鹿子娘道成寺」だったと思います。


「京鹿子娘道成寺(きょうかのこむすめどうじょうじ)」というのは、
「安珍清姫伝説」の後日譚としてストーリー展開されている
日本舞踊を代表する最高の演目の一つです。
「安珍清姫伝説」をご存知の方も多いと思いますが、
簡単にお話しますと、

昔々、熊野権現へ参詣に来た僧 安珍が
紀伊の真砂の庄治の家に一泊した折、
安珍を見たその家の娘 清姫が安珍に想いをを寄せる。
しかし、「修行中の身なので、熊野からの帰りに
もう一度ここに立ち寄る」という約束でその場を免れるが、
結局、戻ることはなく、逃げてしまう。
それを知った清姫は、安珍を追いかけて、
約束を破られたその怨念から蛇体となり、
道成寺の鐘に隠れた安珍を、鐘もろとも焼き殺す。

と、いうお話です。

そして、その後日譚である「京鹿子娘道成寺」は、
久しく鐘が無かった道成寺の鐘が再興されて、
その鐘供養が行われる日に、女人禁制の寺ではあったが、
舞を舞うから鐘供養を拝ませて欲しいとやって来た白拍子が、
舞を舞ううちに所化達の隙を縫って、鐘にとりつく。
その白拍子というのは他でもなく、実は清姫の亡霊であった。

という物語です。

全編通して、桜がメインのモチーフとなっており、
舞台はもちろん全面が桜で装飾され、華やかなもので、
「京鹿子娘道成寺」の長唄の歌詞にある
「花の外(ほか)には松ばかり」と唄われているように、
山並みの中に、美しく咲き乱れる桜の風景が描かれています。

しかし、その風景の中で、恋に身を焦がし、裏切られた怨念から
蛇体となる清姫の様相は、決してお化粧などでは表現されないのに、
藤十郎の芸の力によって、観る者を圧倒します。

何年経っても忘れることのないであろう
心が震える素晴らしい舞台でした。



Today's English

最近、不穏な雰囲気の世の中。
今回は、"hope""wish""want"について、書いてみたいと思います。

" hope "と" wish "は願望や希望を表すのが基本ですから、
for と結びついて、「 ~を切望する 」という意味になります。

では、「来週、彼が私に会いに来てほしい」と言いたい時、
下のどれを選べばいいでしょうか?

(1)I (want/hope/wish) that he will come to see me next week.

(2)I (want/hope/wish) him to come to see me next week.

"wish"は実現性に乏しく、願いが叶うのは難しいけれど、
「そうなればいいなぁ」というような、控えめな感情を表します。
学校で"I wish I were a bird."と仮定法のところで
習ったと思いますが、まさにこの表現にぴったりなんですね。

また、" want "は、手に入るかどうかは問題
ではなく、単に「欲しい」という欲求を表しますので、
間接的な表現の"I want that S(主語)V(動詞)~"
という表現はありません。

ということで、(1)では" hope "です。

(2)では"hope O(目的語) to do ~"という形はとりませんので、
答えは" want "か" wish "です。

ちなみに、"expect"は、高い確率で起こることを
予測することに使われます。(いいことにも悪いことにも使われます)
ですから、いいことに使われた場合、日本語訳にすると
「期待する」になるんですね。
※I expect her to arrive very soon.









お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  July 15, 2006 12:27:54 AM
コメント(4) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: