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ゆるやかな坂の先に、その建物はあった。花見川保健福祉センター。飾り気のない建物のは背後には、濃密な緑を湛えた木々が、重たい湿気を含んで沈黙を守っていた。
ドアが開くと、冷房の効いた乾いた空気が鼻腔を突いた。外のむせ返るような夏草の匂いとは対照的な、どこか無機質な静寂。窓口の向こう側では、幾枚もの書類が事務的な手つきで捌かれ、待合室には、人々が静かに座っている。
壁に掛けられた時計の秒針が、刻一刻と二〇二六年の夏を削り取っていく。
ふと視線を外に向ければ、ガラス越しに揺れる紫陽花が、すでにその色を褪せさせ、来るべき本格的な盛夏に席を譲ろうとしていた。遠くで、今年初めてのセミの声が、湿った空気の膜を震わせるように響いた。
外に出ると、雲の切れ間から刺すような陽光がこぼれ落ちた。雨上がりの地面からは、熱を含んだ蒸気が立ち上っている。花見川の流れは、変わらず緩慢に、けれど確実に海へと向かっていた。
このありふれた午後の断片を、熱い空気とともに深く吸い込んだ。
(文:Manusによる)
花見川健康福祉センター2026年7月初旬(写真1+Google)
花見川健康福祉センター2026年7月初旬(写真2+Google)


花見川健康福祉センター2026年7月初旬(写真4+Google)
花見川健康福祉センター2026年7月初旬(写真1〜4) コラージュ
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