森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2021.06.08
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カテゴリ: 認識の誤り
森田先生の言葉です。

「世の中に我というもの捨てて見よ、天地万物すべて我がもの」
この「我を捨てる」ということはどういう意味があるのか、またどうすれば我を捨てることができるか、なかなか難しい。ちょっと思い違えると、途方もない事になり、野狐禅などにもなるのである。

世間では、「我を捨てる」ということを、他人の物をうらやみ・我物を惜しむとかいうような、他と我との区別をやめるとか、あるいは惜しや・欲しやとかいう我欲を捨てる事かという風に解釈しがちである。
しかし、それは人間本来の感情であるから、それを否定することは不可能である。
これを抑制したり・捨てたりする事も、当然なかなか難しい事に相違ない。
(森田全集 第5巻 660ページから661ページ)

私も森田先生と同意見である。
「我」というのは、「欲望」と置き換えてもよいかと思う。

それは身体面、精神面の健康維持にとって大切なものになります。

身体面では、他の生命体の命をいただいて、自分の命を延命させているのが実態です。
他の生命体の命を無理やり奪うというのは、自己中心の塊のように見えるが、それが生きとし生けるものの宿命である。そんなことは忍びないので、一切食べる事を拒否するいう風に考えて実行した瞬間に命は絶えてしまう。むごいようだが人間は宿命に従って生きていくしかない。

そうしないとむしろ自分の命を粗末に扱っているということになる。
せっかくいただいた命を大切にしていくことが人間の宿命である。
自己中心的な面を抑圧している人は、人間に与えられている課題を放棄しているともいえる。
それを「我」「欲望」というのなら、謙虚な気持ちで素直に従うしかない。

さて、欲望というものは、先ず本能的な欲望が存在する。
でもそれはごく一部である。それ以外の欲望も大切なものである。
人間は、目にするもの、行動したことに対して、気づきや発見、問題点や課題、改善点や改良点を見つけ出したときに目標、やりがい、生きがいを見つけだす。
それを見つけだして、熟慮を重ねて、実行に移すことが人生の醍醐味となる。

それが精神面、身体面の健康維持に役立っていることを忘れてはならないと思う。

森田先生も欲望のない人は哀れであると言われていたように記憶している。
欲望の存在は、人間が活き活きと生活するうえでなくてはならないものである。
しかし、 欲望の持つ特徴として、絶えず暴走の危険にさらされているということである。
人類の歴史は、悲惨な差別、紛争、戦争の繰り返しであった。


欲望はむやみに暴走させてはいけない。理性を持って抑制する必要がある。
森田先生は精神拮抗作用の説明の中で、人間にはある欲望が発生すると、その欲望の暴発を防止する考えも同時に湧き上がるように作られていると述べておられます。
その役割を認識して、調和を求めて行動することが肝心であると言われています。

自動車でいえばアクセルを踏み込まないと前進しない。
前進しないと行きたいところに行けない。
これを人間でいえば、まず行動するということが大切だということです。
しかしいったん行動を開始したら、ブレーキを臨機応変に活用して、そのスピードをコントロールしていくことが肝心です。ブレーキの壊れた自動車は大変危険です。
欲望を前面に打ち出しながら、欲望に合わせて自然発動する不安や恐怖を活かしてバランスをとっていくことが肝心なのです。

まとめると、「我」は捨ててはいけない。また捨てられるものでもない。
「我」「欲望」は貪欲に追い求めるに越したことはない。
しかしそれらを野放しにして暴走させはいけない。
人間の創造主は、欲望が暴走しないような仕組み(精神拮抗作用)を人間にあらかじめ持たせているわけですから、そのことの意味を今一度再確認して、調和を目指した生き方を目指すことが肝心になるわけです。





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Last updated  2021.06.08 06:20:04
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