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真珠さんから『エマ』をお借りして読んで。早速にトピックスにしたかったんです。
でも、ステイタスや階級については、語るに本当に難しい。
レストランやホテルで大きな顔をしたいなんて、小さい願望すぎて人には言えない。
人生半分まで生きてしまってわかること──「お育ち」って思いの外、奥が深い。
今回はそんな「ステイタス」や「お育ち」について、正真正銘のお坊ちゃまの生態をつぶさに観察、斜め145°から考察の上、「お坊ちゃま言葉全集」として特集させいただきます。
【「すみません」の使用は控える】
・呼びかけ
一般人「すみません」
お坊ちゃま「おそれいります」
たとえ相手がまったく礼儀のないような人間でも、「おそれいります」と話しかけよう。人は礼儀正しい方の前では、自然に礼儀正しくふるまおうとし始めるものだ。
・ごめんなさいとしての
一般人「すみません」
お坊ちゃま「申し訳ございません」「失礼いたしました」
「すみません」では本来、謝ったことにならない。
・ありがとうとしての
一般人「すみません」
お坊ちゃま「どうもありがとう」「ありがとう存じます」
すみませんはお礼の言葉ではない。「ございます」もお坊ちゃま言葉ではない。
・お願いするときの
一般人「すみません」
お坊ちゃま「よろしいですか」「お願いできますか」
ウェイターを呼びたい場面では、目で微笑んで合図する。「すみませーん」などと呼びかけないこと。お坊ちゃまは存在感があるので、自分から声をかける必要がないことも多い。
・「ございます」の使用は控える
一般人「ありがとうございます」
お坊ちゃま「ありがたく存じます」
「ございます」は「ごぜえます」の意味。
皇族などの「お言葉」をチェックしてみると、「ございます」は使っていない。
一般人「思います」「知っています」
お坊ちゃま「存じます」「存じております」
このほかの用例として、「お目にかかれて光栄に存じます」「お名前はよく存じ上げております」「わたしくは存じませんが」などと使うことができる。
【省略形の言葉の使用は控える】
一般人「ケータイ」「留守電」「デジカメ」
お坊ちゃま「携帯電話」「留守番電話」「デジタルカメラ」
流行語や省略形を多用しない。
一般人:「ピアノをちょっと」
お坊ちゃま「ピアノを少々たしなんでおります」
お坊ちゃまは語尾を最後まできちんと言う。
ちなみに、有段者くらいの心得を持っていても、お坊ちゃまは「将棋ですか。駒の進め方くらいは存じております」「書道などを致しておりますが、なかなか上達いたしませんので、先生もお困りになっていらっしゃるようです」などという独特の表現をする。ゆめゆめ額面どおりに受け取らないように。
【「わたくし」と「さま」】
一般人:「わたし」
お坊ちゃま:「わたくし」
ちなみに、お坊ちゃま言葉として威力を発揮するのは、仕事などの一般的な場面ではなく、私的な感情表現などとともに使われた場合。
一般人:「さん」
お坊ちゃま:「さま」
初対面の人には「さま」で呼ぶ。また、相手の身内を話題にするときも、一般常識的尊称だけでなく、「お妹さま」、赤ちゃんにさえ「さま」を付ける。
例「史桜さまはもう一歳におなりですか」
【親しき仲にも敬語あり】
お坊ちゃまは友達同士の輪の中でも、「どうぞおかけになってください」「ご都合はいかがですか」「いかが(お茶などをすすめるとき)」「ご覧になります?」「これ、いただきますよ」「ごきげんよう」などと、元気よく言っている。
さらにお坊ちゃま言葉上級者は
「する」=「遊ばす」
「仰る」=「仰せになる」
「聞く」=「承る」
「会う」=「お見上げ申し上げる」
「招待」=「おめもじ」
などと言い換えている。
また、ときには爽やかな甘えと笑顔で、ややカジュアルな言葉使いを有効に使おう。「お願い。土曜日はダメなんです。勝手言ってごめんなさい」
【とにかくゆっくりしゃべろう】
・「お願いします。よろしいですか? あちらの薔薇を見せていただけますか。ええ、そちらのオレンジがかった…ああ、それです。それから、黄色のものもお願いできますか」
これを30秒かけてしゃべるのが、お坊ちゃま。相手も忙しいだろうからなどと気を使わず、じれったくなるほどゆっくりと話すこと。特に答えたくないようなことについては、否定とも肯定ともとれるような返事を、たっぷりと時間をかけてすること。お坊ちゃまはあまり断定的なことは言わないからだ。ただし、たとえお坊ちゃまでも頭の回転が速いお坊ちゃまは、いつもの三倍速で喋ることもできる。ようは、相手と状況に応じて速くもゆっくりも話すことができるのがお坊ちゃまで、速くしか喋れないのが一般人。
・「ええ」でも「はい」でも二回以上重ねて言わない。
相手の話を聞くときも、話をせかされているように感じさせるような言葉遣いはしない。
・紅茶とコーヒーの選択を聞かれるような場合でも、「私はコーヒー!」などとむしろ速く反応してしまうことを一般人は恥ずかしく思わなければならない。
・感情的な場面でも、声高に話さない。たとえ、本音が出て「あったまくるなー」というセリフが出たとしても、ゆっくりと低い声で言えば、お坊ちゃまらしく聞こえる。
【沈黙と微笑】
「ただいま品切れです」などと言われた場合、「えっ、ないんですか? じゃあどれがあるの?」という反応は一般人がするもの。お坊ちゃまならばまず沈黙。微笑みながら沈黙して、相手に自分が困っていることを知らせ、相手がなんとかするようにしむける。困った時はまず沈黙。ただし、困ったようなかわいらしい微笑みを忘れてはならない。ちなみに、お坊ちゃまは何もできない人のことを指すのではない。お坊ちゃまこそがなんでも兼ね備えている人なのだが、それをあえて控えて、周囲が動くように仕向けられる能力を持ち得る人が、本物のお坊ちゃまなのだ。
何かを倒してしまった場合でも、素早く反応しようとするから「あっ、すみません」とペコペコすることになる。「おや」と三秒間、途方に暮れたようでいれば、だれかがどうにかしてくれるだろう。その後、「失礼いたしました」「おそれいります」などと悠然と謝る。
お坊ちゃまの上級者ならば、あわててハンカチを取り出したりせず、20万は下らない仕立て上げのスーツの裾で、倒した飲み物をすっと拭ってしまうという手もある。
【独特な否定形】
お坊ちゃまは明確な否定はしない。
お坊ちゃまから「よく考えておきます」と言われても、後で「あの話どうなった?」などと聞いてはいけない(ヒカリは音読するように)。もし本当に考えてから決めたい場合は、お坊ちゃまならば「承りました。けれども今は決めかねますので、明日、必ずお返事させていただきます」と言うからである。
ただし、この定義は外国人には通用しないので、早口で簡潔に結論から、特に否定は断定的に明確にしないと相手に勘違いされるので注意が必要。
意見を求められて、否定的なことを言わなくてはならないような場合にも、お坊ちゃまは本音の否定は言わないものである。自分ではなく、ほかの人の意見として言う。「みなさま、お困りのようです」「あまりよくおっしゃる方はいらっしゃらないようですね」
【お坊ちゃま用語実践編】
相手に反対のときや、依頼を断るとき
違います→「さようでございますか」
「どうでしょうか。むずかしいことで、わかりかねます」
「不本意な結果になるかもしれません」
嫌です→「よく考えておきます」
「わたくしには、合わないかもしれません」
「さあ、いかがでしたでしょうか。忘れてしまいました」
「なんのお話でしたでしょうか」
「お役に立てないかもしれません。あてになさらないでください」
「チャンスがございましたら」
そうは思わないです→「さようでございましょうか」
「ユニークなご意見ですね」
「そういうお考えもございますか」
「お好き好きですから」
【耳障りな言葉の言い換えリスト】
「礼儀知らずだな」→「はっきりしていらして」
「威張ってるよな」→「自信がおありで」
「ずるいやつ」→「世渡りにたけていらっしゃる」
「けちだな」→「合理的なことに徹していらっしゃる」
「グズ」→「おっとりしていらっしゃる」
「うるさいやつだな」→「いつもお元気そうで」
「デブ」→「体格のよい」
「ブス」→「お目立ちになる方ではいらっしゃらない」
「ヘンな格好!」→「個性的なご趣味でいらして」
「意地悪なやつ」→「悪意はおありにならないのでしょうけれど」
「仲が悪い」→「わたくしとはいまひとつそりが合いませんので」
「大嫌いなんだ」→(人)「わたくしは苦手でございます」
→(食べ物)「たくさんはいただけません」
「頭の悪いやつだな」→「性格は大変によろしい方です」
「やなやつ」→「あの方のことは、ほかの方にお聞きになってください」
「酷い目に遭った」→「みなさま、お困りのようでした」
「不味い」→「みなさま、お残しになっていました」
「たいした料理が出なかった」→「家庭的なおもてなしをいただきました」
「頑張るよ」→「全力を尽くします」
「頑張れよ」→「しっかり」「応援しています」
「面倒くさい」→「手がかけられませんので」
「やめれば」→「なさらないほうがよろしいかと」
「悪い」→「おすすめしません」
「やりたくない」→「わたくしにはむずかしいです」
「ぐちゃぐちゃ」→「すっきりとはしていません」
「○○さんは○○ができない」→「なさらない」
→「むしろ、○○の方が上手でいらっしゃる」
「○○は○○を知らない」→「関心をお持ちでない」
ちなみに、上記のお坊ちゃま言葉をお嬢様言葉に変換するには、語尾を「て?」「の?」「こと?」に入れ替えればよいそうです。なんと、語尾に「だよね」はNGらしい
このままでは私たちは本当にお嬢様になってしまうかもしれません!