ふつうの生活 ふつうのパラダイス

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2007年03月10日
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カテゴリ: 社会系エッセイ
前回の『パフューム』の記事

においを持たない自分に絶望して死ぬ。世界征服を目指す傲慢な男であればどこで死のうがいいはずなのに。あえて魚市場であったということが。

彼が女性たちのにおいを集める時に何も殺さなくてもいいのでは?手足をしばって口をしばって声を出ないようにするとか気絶させるとか、眠らせるだけでもいいのでは?第一いくら死んだばっかりでも、すでに死体からにおいを取るって気持ち悪くないか?

女の人がいいにおいなのはあくまでも生きているからなのでは?

それが死体なのはそこに死臭があるからかもしれません。ジャンバティスト自身、たぶん自覚してなかったんじゃないのかなと思うんだけど、彼が集めているものが母へのノスタルジーであるのなら、母のにおいは魚の腐臭つきなわけですから。母のにおいブラス自分が生まれついたその場所のにおいというか、母自身に染み付いていた魚のにおいもまたコミなのではないのだろうか、と。その魚はもちろん死んでいて、だから彼の作る香水には死臭もはいってなくてはなりません。

でもたとえ、死臭が入っていたとしても、まず普通にはそんなのわからないんだけどね。そこがまさにジャンバティストだからなんだなと。

つまりはマザコン男の話でしょか。

男ってそんなにマザコンなのかな。戦場で兵士が『お袋』を思い出して恋しがるシーンとかよく戦争ものに出てくるのだけど、私は女なので、母親ってそんなに懐かしいものなのかなあと、いい年をしたごつい大の男がお母さん恋しがるんですかい?と毎度不思議だったんですけどね。でも、実際に自分で男の子と女の子と育ててみると、母親との距離感や関係や感情の通わせ方なんかが、男と女では明らかに違うんだな。

現代は、母原病とか、マザコンとか、冬彦さんとか、過保護とか。母親と息子がねっちゃり仲良すぎたり、かまいすぎたり、ってことにとても否定的ですね。私もあんまり息子をマザコン男にしたりしたくないし、まあ、親の言うことを何でも良く聞く自分の意志のないお母さんっこにしちゃいかんだろと思いはしましたが、実際に育ててみるとやっぱり男の子って母親との関係性は女の子以上に大きいのかもしれません。

子供はよくお母さんのためにがんばるとか、中学受験でも親のために勉強するとか、あるんだけど、そういうのは良くないかなと今まで思ってたんですけどね。高校、大学の受験となればまあ自分のためにがんばるのでしょうけどね。それでも、人間の自己存在のために母親の存在が大きく影響するのだとすれば、母親のためにがんばろうとするこどもの感覚は必ずしもマザコン的なものじゃなくて、人が人として、個を確立していくために必須のものであるのかもしれない。

先日も再放送のドラマを見ながら、考えちゃいました。幼い頃からほとんど家にいない家出ばかりしている母親が、ひょっこり現れた時、主人公とその姉がすごく喜んで「お母さん。お母さん」といいながら一緒に嬉しそうに夜寝てたりとかする。彼らはすでにもう、社会人と大学生なんですけどね。そんなに母親の存在って大きいのでしょうか。うむう。

私なんか普通の母親でしたから、母のいない喪失感なんて実は全然想像つかないんだよね。本当は。

それでも最近では子育てのしんどさや女性の社会進出、男女差別の是正、なんかもあいまって、今まで言われてきて母性愛なんてうそだ、社会が女性にだけ子育てを押し付けるためのもので、本当は女性がみんな母性愛を持っているなんてことはないといわれ始めていて、今では母性愛なんてないってのが逆に社会通念になってきました。

本当のところはどうなのか。子供をかわいいと思う感覚は、女にも男にも同様にあり、子供を義務で育てているだけでかわいいなんて全然思わない感情もまた男女共通の同等のものなのかどうか。

それでも、今中学生の娘を小さな頃からずっと見ていると、やっぱり女の子には母性があるんじゃないかなと思います。三歳も年上の兄に対して母親のような口の聞き方や面倒のみかたをしていたりするのです。そして母親でありながら私も彼女の体臭をすごくいいにおいだなあと思い、時々くんくんとかいでおります。まるでジャンバティストのように。私も変態か?女の子がこんなにいいにおいをもってるなんて娘を育ててみて初めてしりました。ちなみに男の子は赤ちゃんのときからすでに男くさいんだ。

幼少時からもつ女の子の体臭の独特なにおいというのが、たぶんそのまま成長した時、男性をひきつける要素も母性の要素も持ち合わせたものなんじゃないのかなと思うんですけどね。

私もかつて少女だったわけだけど、自分がどんな匂いを持つのかなんて考えたこともかいだこともなかった。ついでに自分のにおいって普通わかんないものじゃない。自分のにおいを抽出されて、嗅がせてもらったとしても、たぶんわかんないと思う。だから、ジャンバティストが自分ににおいがないと思ったのは単なる勘違いで、人間は自分のにおいはわからないものだってことにきずかなかっただけだと思う。

彼にとってはにおいが全ての価値を決めるものなのだから、それが自分にないと認識したときの恐怖ってなかなかですね。自分が幽霊だって自覚のない幽霊が、自分は実は肉体を持たないってきずいた時に似てますね。

それでまあ、娘を持って初めて女の子ってこんなにおいなんだなって知ったんだけど、集めたくなる気持ちわかります。そして、男の人たちが、女性に夢中になる理由も。すごくいいにおいがするんだもの。

映画の場合は、女優の顔の美しさでいい香りを観客にイメージさせてましたけど、すごいブスなのに、すごくいい香りの女性とかだとお話はどうなるのかな。顔を見てすごいブスと判断する周りと、においのよさで美人とブスの評価が決まるジョンバティストみたいな男がいたら。見た目ブスの奥さんなんだけど、鼻のいい夫は自分の奥さんはすごくいいにおいの世界最高の美女だと思ってたりする。人間の価値観て面白いですねえ。基本的に私たちは目で見えるものが最優先なので、顔の美醜で美女を決めるけど、もし目があんまり見えない場合は、声の美しさで決まるだろうし、平安時代は、髪の美しさや歌のうまさできまってたそうですね。何しろあの頃は直接高貴な女の人は他人に自分の顔は見せないものだったので。で、普通は、目、次が耳で、美醜が決まるのは、人間は嗅覚は動物とちがってあんまり発達していないから。だとしたら、動物の世界の美人はにおいで決まるのか?そういえば動物ってよく、相手のにおいをかいでるものね。つまり、ジャンバティストって動物と同じ価値観で生きていたのでしょうか。動物に倫理なんてないし。でもメスを殺したりはしないけどね。

そういえば、野生の動物の子供ってたまたまひろっても人間が抱いたりしちゃいけないんですよね。人間の匂いがつくと母親がその子供を育てなくなっちゃうから。子供を視覚ではなく、においで判断しているともいえるのでしょう。とすると、動物に母性はないのか。

自分に匂いがないことにショックを受けていたジャンバティストですが、もしかして、自分にもあの脂布巻きつけて、自分の体臭を抽出して嗅いでみると案外自分のにおいがあるってことがわかって、彼は救われたんじゃないのかとか、想像してみました。

彼はにおいで全てが決まるから、自分を透明人間のように感じていたけれど、周りの人間たちは視覚やその人間の行動で人の価値を決めるものです。そのずれにジャンバティストが気づくことが出来たなら、彼の絶望はなかったかもしれません。

現実のわれわれもまた、自分の価値観と他人が自分を見る時の価値基準の違いに意外と気づいていないのかもしれません。

話がずれまくりでだんだんわからなくなってきました。

が、要するに、ひとが人になるためにやはり親である人間に育ててもらわないとだめなのか。

わが子が確たる将来を決めてしっかりと生きていけるようにするには母親の愛情ってやっぱり必要なのかもしれないのかなと、私考えたのでした。
だから、ジャバティストは世界征服をやめたんじゃないのかなと。

子供がいい社会人になるにはしっかり育てないといけないのかも。その子自身の価値観ではなく、社会の価値観を教えないといけないのでしょうか。

母性の話と映画の話とにおいの話が混ざりまくりでした。ま、いいか。













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最終更新日  2007年03月10日 08時22分51秒
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