歌 と こころ と 心 の さんぽ

歌 と こころ と 心 の さんぽ

2012.10.18
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カテゴリ: TNK楽歌31
♪ 夕さりて里の丘みちをちこちに淡き煙の立ち上る見ゆ






 人はつくづく面倒な生き物だと思う。
 すべてバランスの問題だとは思うが、それがなかなか難しい。ある性格というものが災いして、適当を通り越して過剰に自分を抑え込んでしまう人がいる。相手のために自分を犠牲にすることに生き甲斐を感じるというタイプ。
 そういう人はこの「空の巣症候群」病のお客さんだ。

 献身という名のユートピア。その中に一度入ってしまえば、そこはもう悦楽の花園だ。良妻賢母という最高のご馳走は、賞賛の対象であって非難されるところの微塵もない宮廷料理のようなもの。

 何時まででも食べていたい。
 そんな美味しいものを手放す時が来るなんて、これっぽっちも考えたことはなかった。それが、ある日突然やって来るのだ。
 「子育て」を終え、それと同時に更年期を迎え、旦那は海外出張とくるといつの間にかこの「空の巣症候群」という魔の手に掛けられる。両親の介護からの解放というのもある。


 束の間の安息と解放感。しかし、それに心底浸っていられるのもそう長くは続かないもの。相手が自分の手を離れるとその対象を失って何もすることがなくなり、目的を失なって生き甲斐まで失くしてしまう。

 「私は、一体何をすればいいの?」まじめな性格が、何もしていない自分を責める。
 何をしても身が入らない。食欲もなくなり、気力が落ち込んで倦怠と無力感に苛まれてしまう。鬱状態となって、自信がなくなり漠然とした不安に、胸苦しさや吐き気、不眠や肩こりなどの症状が現れ、外へ出るのも億劫になってしまう。

 人は自転車と同じで、どこかを目指して走っている間は安定しているが、走るのをやめると途端に倒れてしまう。
 走る目的を見つけない限り、バランスの取れた安定した生活は戻らない。

 適当なストレスはコレストロールと同じで、生きていく上では必要なもの。喧嘩をする相手も、結構生きるエネルギーになっているものだ。

 水清くして魚棲まず。

 収穫の後の畑に立ち昇る煙。「もう何もしなくていい、ご苦労さまでし」と言ってるように、無風の野辺に静かに立ち昇っている。



◆2006年5月8日よりスタートした「日歌」が千首を超えたのを機に、「游歌」と
  タイトルを変えて、2009年2月中旬より再スタートしました。
◆2011年1月2日からは、楽歌「TNK31」と改題してスタートすることにしました。



「ジグソーパズル」  自作短歌百選(2006年5月~2009年2月)






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最終更新日  2018.08.04 10:22:46
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◆2006年5月8日よりスタートした「日歌」が千首を超えたのを機に、「游歌」とタイトルを変えて、2009年2月中旬より再スタートしました。
◆2011年1月2日からは、楽歌「TNK31」と改題しました。
◆2014年10月23日から「一日一首」と改題しました。
◆2016年5月8日より「気まぐれ短歌」と改題しました。
◆2017年10月10日より つれずれにつづる「みそひともじ」と心のさんぽに改題しました。
◆2019年6月6日より 「歌とこころと心のさんぽ」に改題しました。
「ジグソーパズル」  自作短歌百選(2006年5月~2009年2月)

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