Easy Going~気楽に行こう~

Easy Going~気楽に行こう~

2017/03/28
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20年近く前のこと。

たまたま図書館で「手を洗うのがやめられない」というタイトルの本を読んだ。
強迫性障害を詳しく扱った書籍だった。

患者さんは、例えば、パジャマに着替える前に3回畳み直さないと、着替えることが出来ない。その行為に意味がないことは本人にも分かっている。それなのにやめられない。
手を洗うのも、必要に迫られていなくても、洗いすぎて手がひび切れて出血するようになっても、やめたくてたまらないのに、それでもやめられない。
そういう脳の疾患があるということだった。

たまたま、その本を読んで間もなく、某大学病院の精神科の待合室にいた。
そのドアの前でくるくると回ってから入室した男性がいた。おそらく二十歳前後で、180cmを越える長身で、すごく細身。
この人が強迫性障害なのかもしれないなと思って、別にそれだけのことだった。


たまたまその男性らしき人が、バイト先のお店にご来店。
ドアの前でくるくる5回転ほどされていた。
子供が遊んでやっているのとは違い、180cmの大人がやっていれば、どうしても目立つ。
ちらっと視界の外に入ったのは、その方の苦しみに歪む表情。恥ずかしい、みっともない、やめたい、でもやめられない…。
あっ…。おそらく、視線を感じれば、一層緊張されるだろうと、視線を逸らした。

そこへ、先輩バイトが話しかけてきた。
「ねーねー、あの人(と、そのお客様を露骨に指さして)、精神病だよ」
その瞬間、身体中の血液が沸騰して煮えくり返った。
一瞬だけちらっとその先輩を見たものの、目を合わせるのさえ耐え難かった。怒りが暴発しそうだった。
先輩からも目を逸らし、特にどこを見つめるでもなく床にでも視線を泳がせながら、息を吸って、吐いて、吸って、吐いて、少し落ち着いてから、やっと一言。
「はい、おそらくは強迫性障害の方でしょう」


たまたま図書館で借りて、読み終わって数日後に病院で見かけて、そしてバイト先での苦しみに満ちた表情を見かけて、本当にまれな偶然が重なった。
その後、その彼に会ったことはおそらくない。

今思うと、あの時に先輩をちらっと見ただけのつもりだったけれど、無自覚で強烈に睨みつけていたのかもしれない。

なんだか唐突に、そんなことを思い出したので、書き留めてみた。





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最終更新日  2017/03/28 01:56:40 AM
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