なんとも物々しいタイトルの本「国際会計基準戦争(完結編)」を読みました。なお(完結編)という理由は、著者が2002年に「国際会計基準戦争」という書籍を出しており、このたび2002年以降のことを書き加えたので(完結編)という文言を付け加えたとのこと。

国際会計基準というのは、今、話題の「IFRS」のことです。ただ、この本は巷にあふれている会計基準としてのIFRSの理論を述べているものではなく、日本がIFRSを導入することになった経緯を時系列的に解説したものであり、IFRSの会計知識が無くても読むことができます。
さて、僕は日本がIFRSの導入に傾いたのは、アメリカの大企業であり業績も良いと言われていたエンロンやワールドコムが実は粉飾決算をしていて、アメリカの会計基準は信用できないと世界からたたかれた結果、アメリカが自国基準を捨ててIFRSを導入することにしたので、あわてた日本もアメリカに追随して、IFRSを導入することにしたのだと思っていました。
ある意味では、これはこれで正しいのですが、実は日本がIFRSを導入する端緒となった事件が1997年の山一證券の破綻にあったらしいのです。すなわち、当時の山一證券の決算は黒字だったのですが、帳簿に記載されていない債務、すなわち簿外債務がたくさんあって、海外の投資家から「日本の会計基準は信用できない」と言われていたらしいのです。
当時の日本の政府や監査法人のトップたちは、日本基準の正当性を主張するのみで、海外からの意見に耳を貸そうとしなかったとのこと。もし、この当時に日本のお偉いさんたちの中に世界を視野に入れた考えを持つ人が居れば、今頃日本が世界の会計基準をリードしていたかも知れないらしいのです。
著者の磯山友幸氏は日経新聞の記者だったとのことで、当時からこれらの変遷を間近に見ていたんですね。有名な政治家や公認会計士のトップクラスの人たちが実名で登場するので、実に生々しい現場が垣間見えます。
国際会計基準戦争というタイトルの意味は、一時的にせよ世界の会計基準をリードできるチャンスがありながら、視野が狭くて今後の世界標準にまで考えが及ばなかった日本が会計基準の争いに「負けた」ということなんだろうなぁ、というのが僕の感想です。
フリーページ
コメント新着
New!
和活喜さん