hongming漫筆

hongming漫筆

PR

Comments

背番号のないエース0829 @ 松谷みよ子】(04/22) 「私のアンネ = フランク」に、上記の内…
hongming @ Re:ブルーレイが再生できない(11/30) 随分遅くなりましたが、やっと試しました…

Keyword Search

▼キーワード検索

2006.01.22
XML
テーマ: ニュース(100306)
カテゴリ: 日本の古典
北越雪譜  土曜日は終日雪。午前中に灯油を買いに行き、ついでに買い物をして帰宅し、あとは、雪かきを2回した以外はずっと家にこもりきり。
 ということで、『 北越雪譜 』から「雪蟄《ゆきこもり》」を。
 送りがなは現代語の本則に合わせて修正してある。
 ルビは省略してある。()の中は割り注。


 およそ雪九月末より降り始めて、雪中に春を迎へ、正、二の月は雪なほ深し。三、四の月に至りて次第に解け、五月に至りて、雪全く消えて夏道となる。(年の寒暖によりて遅速あり。)四、五月に至れば、春の花ども一時に開く。されば雪中にあること、およそ八か月、一年の間雪を見ざること、わづかに四か月なれども、全く雪中にこもるは半年なり。ここをもつて家居の造りはさらなり、よろづのこと、雪を防ぐを専らとし、財を費やし力を尽くすこと、紙筆に記しがたし。農家はことさら、夏の初めより秋の末までに五穀をも収むるゆゑ、雪中に稲を刈ることあり。そのせはしきことの千辛万苦、暖国の農業に比すれば百倍なり。さればとて、雪国に生まるる者は、幼きより雪中に成長するゆゑ、蓼の中の虫辛きを知らざるがごとく、雪を雪とも思はざるは、暖地の安居を味はへざるゆゑなり。女はさらなり、男も十人に七人はこれなり。しかれども、住めば都とて、繁華の江戸に奉公すること年ありて後、雪国の故郷に帰る者、これもまた十人にして七人なり。胡馬北風に嘶き、越鳥南枝に巣くふ、故郷の忘れがたきは世界の人情なり。さて、雪中は廊下に(江戸にいふ店《たな》下)雪垂《ゆきだれ》を(かやにてあみたるすだれをいふ)下《くだ》し(雪吹《ふぶき》をふせぐため也)、窓もまたこれを用ふ。雪降らざる時は、巻いて明かりをとる。雪降ること盛んなる時は、積もる雪家を埋めて、雪と屋上とひとしく平らになり、明かりのとるべきところなく、昼も暗夜のごとく灯火を照らして、家の内は夜昼を分かたず。やうやく雪の止みたる時、雪を掘りて、わづかに小窓を開き明かりをひく時は、光明赫奕たる仏の国に生まれたる心地なり。
 このほか、雪こもりの艱難さまざまあれど、くだくだしければ記さず。鳥獣は雪中食なきを知りて、雪浅き国へ去るもあれど、一定ならず。雪中にこもりゐて朝夕をなすものは、人と熊となり。


楽天ブログランキング





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2006.01.22 00:46:34
コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: