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2007.01.24
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カテゴリ: 欧米露の本
新潮文庫。1987年改版
 冬休みの間に、NHK-BSでイギリス制作のドラマを見て興味を持ったので読んだ。
 ドラマと小説ではずいぶん違っている。
 伝統的なパブリック・スクールで長い間教鞭を執った「チップス先生」と呼ばれた人物が、晩年に、過去の様々な出来事、出会った人物達のことを回想する。
 何しろ長く関わったので、親、子、孫の三代にわたって教えた生徒もいる。
 時系列で書かれたものではなく、断片的に思い出したことを並べているので、話は前後する。
 それによって、様々な面から主人公の人物像を浮かび上がらせようとしている。
 チップス先生は、決して理想的な人物ではない。
 むしろ頑迷である。

 衣服には注意を払わない。
 それでも、長く一つの学校で教え、頑迷であるからこそ生徒に対する態度を変えず、学校に変化をもたらさないようにすることで、いわば「校風」の象徴ともいえるような人物になったのである。

 私立の全寮制学校という特殊な空間でのことで、どこの国にもあるような普遍的な話ではない。
 パブリック・スクールが舞台のものは、小説を読んだり、映画を見たりしたことはあるが、自分では経験しようがないので、雰囲気はわからない。
 最近の映画でいうと、「 ハリー・ポッター 」に出てくる学校が、パブリック・スクールを摸しているのだろう。
 舞台となっているのは、一流ではないらしく、
ブルックフィールド学校と同様、チップスは、立派ではあるが、別して優秀《ゆうしゅう》というほどの人物でもなかった(p13)

ということである。
 ただし、パブリック・スクールというものについていえば、翻訳者による解説によれば、
ブルックフィールドという仮名の学校に、英国のパブリック・スクールのあり方を集約している

もので、どの学校でも同じような雰囲気らしい。
 「良家の子弟が集まる」ことを前提としているので、どこも同じようになるのだろう。

 例えば、
生徒達は以前から見ると余程《よほど》礼儀《れいぎ》正しくなった。よわいものいじめはやらなくなった。が誤魔化《ごまか》しや毒づくことは巧《うま》くなった。(p91)

というところに、その一端をかいま見ることはできる。
 また、
自由競争試験によって入学した者に与《あた》えられる奨学《しょうがく》資金制度(p93)

という記述からすると、ほとんどの生徒は家柄や財力によって入学するものらしい。

 訳文は読みやすい。


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Last updated  2007.01.24 09:36:39
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