ポリー氏の人生 (エクス・リブリス・クラシックス) The History of Mr. Polly H・G・ウェルズ 白水社
主人公ポリーの第一声は「「穴ぼこ!(Hole!)」だ。一度では気が収まらないのか、"'Ole!穴ぼこ!"と続き、とどめで. "Oh! Beastly Silly Wheeze of a Hole!おお、おぞましい、アホな喘息病みの穴ぼこ!"と穴ぼこ三段活用をやってのける。これでは、第一印象で好きになってはもらえなそうだ。
但し現代感覚で見ると「あまりに教育のせいにし過ぎでは?」と問いたい部分もないわけではない。とりわけ彼のプロポーズシーンはあんまりだ。人としての資質の問題じゃないのか、と問いたくなる。だが何よりも、基礎的な教育を受けられた我々は、確かに昔より余裕があり、社会や家族の支援を受け、多数の見守る目の中で育った。しかし、ポリーはそうではない。頃はエドワード朝時代。産業革命後、ますます国力を増すイギリスは、がっちりと階級社会が出来上がり、富める者と貧しい者は、決して入れ替わることはなかった。教育はつまりは、手をかけられる、愛される、ということだ。「人類の五分の一以上を統べる者rulers of more than one-fifth of mankind」として教育を受けられた者は、全体のごくわずかだ。ウェルズが、そしてポリーが戦った敵は、彼方の宇宙人よりも、遥かに、遥かに、強かった。