#1 欲望の犠牲 Power トロント警察第4分署のマードック刑事は、オグデン検視官と共に科学の実演ショーを訪れていた。そのショーは交流発電の導入に反対する直流発電派のトロント電力が、交流発電の危険性を明らかにする目的で主催したものだった。だが、その実演をしている最中に"ミス・トロント電力"のアリス・ハワード嬢が感電死してしまう。直流発電の技術者であるフォークスは、交流発電を発明したニコラ・テスラが装置に細工をして彼女を殺したのだと主張する。だが、捜査を進める中で、死んだハワード嬢が妊娠していたことが判明。
#3 血のドレス The Knockdown 英国女王の誕生日の夜、ボクシングの試合が開催された。しかし試合の後、勝者の黒人ボクサー、エイモス・ロビンソンがホテルの自室で銃殺されているのが発見される。遺体の状態から至近距離による発砲だった。エイモスの妻ファニーは犯行を否定するも死体の横で銃を持っていたという目撃証言から容疑者として拘束されてしまう。ファニーのドレスに付いていた血痕が飛び散っていないことに気づいたマードックは、直感でファニーは無実だと確信する。
#5 揺らぐ信仰 Till Death Do Us Part 結婚式の直前、教会で新郎の遺体が発見された。被害者は地元の名家の次男ウェンデル・メリックで、身につけていた貴重品が盗まれていた。フランクス牧師の証言により、式の前に新郎付き添い人のローレンスがウェンデルと口論していたことがわかる。第一発見者である兄のトーマスによれば、ウェンデルは父親の遺言により結婚することが遺産相続の条件だった。
原題「Till Death Do Us Part」死が二人を分かつまで結婚式の誓いの文言の定番。この台詞が言えなかったために新郎は殺される。マードックブラッケンリード警部の助言でオスカー・ワイルド風変装をするも「目立ちすぎる」とあっさりダメだし。早すぎたLGBT。夫に自殺されるブラクストン夫人は「アヴォンリーへの道 」フェリシティ・キング役。
#7 隠された動機 Body Double 芝居好きのブラッケンリード警部が「マクベス」を観劇していると、天井裏から死体が落ちてきた。マードックはその天井裏で見つけた被害者のジャケットから、刺殺の痕跡と新聞の切り抜きを発見する。切り抜きは建設ラッシュに関する記事だった。劇場主で主演女優のステラ・スマートや他の団員に尋ねると誰もが死体に心当たりはないと言う。だが見つかった入れ歯から、死体はステラの前夫バージル・スマートであることが判明。しかしステラは前夫の死因は心臓発作であり埋葬したと主張する。
#10 高慢の反抗 Child's Play 市内にあるニカワ工場の敷地内で、経営者のハワード・ロックウッドが遺体で発見された。ロックウッドはイギリスの貧しい子供たちの就労を支援する施設ベイカー・ハウスに多額の寄付をするなど慈善家として知られていて、人から恨みを買うような人物ではなかった。現場に残された足跡と遺体の傷の位置から犯人は小柄な人物であることがわかる。マードックは工場で働く子供たちが事情を知っているとみて話を聞こうとするが警戒され逃げられてしまう。
#11 運命の矢 Bad Medicine グレイソン脳科学研究所の創立者の1人、フランシス・グラウト博士が胸に矢が刺さった状態で発見され、遺体近くの岩に"WY"の文字が残されていた。署へ戻ったマードックを待っていたのは、霊能者サラ・ペンソールだった。グラウト博士の殺害を霊視したと話す彼女は、犯人は黒い頭巾を被った死神のような姿だったと主張。研究所へ足を運んだマードックは博士が受け持っていた3人の患者と出会う。3人とも事件前にはグラウトに会っていないと話すが研究所内で黒頭巾を被った不審者を目撃していた。
#12「暗殺計画 The Prince and the Rebel」 ビクトリア女王の孫、アルフレッド王子がトロントを訪問し、その警護をマードックとクラブツリー巡査が担当することになった。王子の補佐官ジェニングスは"ブラザーフッド"ことアイルランド共和主義同盟が王室の誰かを狙っているという情報を得たと警告するが、その同じ夜、公園でマギー・ギルパトリックの遺体が見つかる。マギーの指にはブラザーフッドの証である指輪がはめられていた。遺体の確認に来たマギーの父親は、その遺体は娘ではなく肩の入れ墨も娘のものとは違うと主張する。
#13「火星からの陰謀 The Annoying Red Planet」 谷あいの町ルージュ・バレーで木工職人ガストンの遺体が発見された。遺体は高い木に首を吊られた状態だったが、周囲には足跡一つ残っていなかった。捜査を開始したマードックはガストンの工房を訪れる。そこには天体図や奇妙な観測記録が残されていてガストンは火星に生命が存在すると考えていたことが伺えた。ガストンの日記に記されていたトウモロコシ畑で3本指の奇妙な足跡を発見。捜査が混迷する中、新たに発見されたのは内臓を抜き取られた牛の死骸だった。そして遂には2人目の犠牲者が。
バファロー・ビル&アニー・オークリーと西部スター登場。原題「MildMildWest(本当はWildWildWest)」"Myth live much Longer than Truth(伝説は真実より長く生きる)"マードックの台詞が西部ショー存続の鍵であり一人の若者の怒りを買った。消えゆく西部との邂逅。
#2 「ヘビとハシゴSnakes and Ladders」 若い女性の惨殺死体が発見される。遺体からは手際よく内臓が抜き取られ、現場には「私を止めてみろ」という血文字のメッセージが残されていた。その現場にスコットランド・ヤードのエドワード・スカンロン刑事が現れ、犯人はロンドンの切り裂きジャックで、まだ殺しが続くと告げる。彼は容疑者のハーラン・オーギルをロンドンからずっと追ってきたというのだ。マードックたちはスカンロンと協力してオーギルの捜索を開始するが、切り裂き魔逮捕に取りつかれたスカンロンはマードックたちを辟易させる。
#5 「緑の妖精The Green Muse」 高級娼館に火炎瓶が投げ込まれる。火事はボヤですんだが、人気娼婦のコーラ・デブローが自室で殺されていた。首にはワイヤーが巻かれており、過去にも同様の攻撃を受けた傷痕が見られ、ムチの痕も残っていた。胃の内容物からは幻覚作用があるといわれるアブサンが検出される。
#6「灰色の色合いShades of Grey」 リリー・ダンという若い女性の全裸死体が排水路で発見される。体には鈍器で打たれたようなアザがあり、腕には金のブレスレットが残っていた。死後36時間たっており、体中の血液はほとんど失われていた。前日リリーは勤め先のビクスビー保険会社で午後5時15分まで働いたが、成績不振を理由に解雇されていた。ビクスビーによれば、その日彼女は体調が悪く主治医のドクター・タッシュのもとに向かったという。しかしタッシュは、リリーの予約は入っておらず訪れてきてもいないと証言する。マードックはタッシュが患者について何か隠していると直感する。
原題Shades of Greyはロマンスドラマフィフティ・シェイズ・オブ・グレイのもじりか。OPではキスが絶えないラブラブだったジュリアとマードックが過去が明らかになることによりエンドでは別れに。法で禁じられれば危険な方法を取らざるを得ない女性の中絶問題。
#7「キャンパスの殺人者Big Murderer on Campus」 大学構内で物理学のサミュエル・ベネット教授が中庭から銃撃されて死亡する。殺害された午後9時、ベネットは同僚のアルバート・ゴッドフリー教授と電話中だった。犯人はわざと窓際の望遠鏡にベネットをおびき寄せていたと思われた。学生のロバート・ペリーとジェームズ・ギリーズの二人はベネットは学生からも他の教員からも好かれていたが、ベネットに学部長の座を奪われたゴッドフリーは彼を恨んでいたと話す。ゴッドフリーはベネットと電話で激しく議論していたことを認めるが、自分には被害者の電話の向こう側にいたという完璧なアリバイがあると主張する。
#11 「運命の人Let Us Ask the Maiden」 ユダヤ人貧民街ウォードにあるシナゴーグでの礼拝中にネイサン・シーボルトが頓死する。彼は半年前、従業員から搾取する悪徳工場のオーナーの娘デブラ・ベーグルマンとの結婚契約書を持ってラビの前に現れたが、女性の同意を確認せねばならないというユダヤ法に則り、ラビはネイサンの申し立てを却下していた。実際はデブラもネイサンを慕っていたと思われたが、彼女はすでにサイモン・ゴールドバーグ医師との結婚に同意していたのだ。
#13「父との再会Anything You Can Do」 地質学者ハンフリー・ブリーンの遺体が発見される。現場に到着したマードックを待っていたのは北西騎馬警察のジャスパー・リニー巡査部長。ブリーンの遺体は一見事故死に見えるが実は巧妙に偽装されているのだと彼はいい、遠くブリティッシュ・コロンビアの分析者ユライア・ドークスの死と関わりがあるはずだと主張する。ドークスはブリーンが雇った分析者で、アルコナ鉱業がプリングル・クリークで計画している採掘事業のための鉱石サンプルを調査していた。ドークスの死もまた一見事故死に見えたが、不審に思ったジャスパーが遺体の所持品からマードックの名刺を見つけてトロントまでやってきたのだ。マードックはジャスパーの理路整然とした説明に反発を感じながらも協力して捜査を進める。
第2話「仲間の死The Great Wall」 チャイナタウンでクーパー巡査の他殺体が発見された。署内に動揺が広がる中、捜査を任されたマードックだったが、巡査が所属する第五分署の警官たちは何か隠し事をしている様子だ。彼らが容疑者として捕らえた漢方薬店の経営者チェンは、固く口を閉ざしたまま。彼の孫娘メイリーが事件に関与しているようだが、居場所を明かそうとしない。捜査が行き詰る中、犯行現場が偽装されていたことが判明した。真犯人は別にいると踏んだマードックは捜査を進めるが、それにより警察内部の隠された実情が明らかとなっていく。
第5話 「引き裂かれた心 Me, Myself and Murdochl」 自宅の書斎にいた男性が斧で殺害される事件が起きた。マードックが現場に駆け付けると、凶器の斧を手にした娘のシャーロットが「パパを殺した」と自白する。しかし彼女には殺害時の記憶が残っていなかった。悪魔の仕業だと主張するシャーロット。当時、家には被害者の妻と息子、2人の農場労働者がいたが、誰も殺しを目撃した者はいない。事件解決の鍵を握るシャーロットを問い詰めると、突然彼女が豹変した。隠れていた別の人格が現れたのだ。マードックは、精神科医ロバーツの協力を得て事件の真相に迫る。
第6話 「消えた名画 This One Goes To Elevenl」 レンブラントの名画"バテシバ"がこつ然と消えた。盗難劇が起きたのは、所有者のペンドリックが建設したトロントで最先端の高層ビルの中。警察の厳重な警備にもかかわらず、エレベーターに乗せた一瞬の隙を突いて何者かに盗まれたのだ。ところが、窃盗犯とみられる2人の男がビルの一室から遺体で発見された。どうやら身代金目的の盗難ではない。事件の黒幕は誰なのか、犯人の目的は何なのか。マードックは美術界に足を踏み入れ、消えた名画の行方を追う。
第7話 「サーカスの死神 Blood And Circusesl」 サーカスの虎が調教師の女性をかみ殺した。当初は事故と思われたが、虎が何日も空腹だったことが判明し、殺人事件と踏んだマードックは捜査を始める。さらに検死結果から女性がナイフで刺されていたことが判明した。犯人は彼女を刺殺したあと、虎にかませて傷痕を隠蔽したのだ。しかし、サーカス団の全員を拘束して事情聴取をするも、犯人を示す決定的な証拠は見つからない。さらにアリバイ確認では、被害者の婚約者、親友、元恋人の証言が食い違っている。そんな中、占い師が不吉な予言をし、警察の監視下で第2の犠牲者が出る。
第9話「ミイラは語る Love And Human Remains」 建設現場でミイラ化した2体の遺体が発見された。体のゆがみから毒殺と判断したマードックは、さっそく捜査を開始する。ところが、ミイラに残された人工の歯や義眼、入れ墨などの調査を進めるうちに、殺害時期は1836年頃であることが分かった。事件当時の土地の所有者である夫婦はすでに亡くなり、事件の証拠は何も残っていない。2体のミイラの身元は?彼らを殺害した犯人は誰なのか?マードックは60年前の事件の謎解きに挑む。
第10話「呪われた屋敷 The Curse Of Beaton Manor」 る富豪の邸宅で、同居していた三人兄弟の一人が転落死する。自殺と他殺、両方の線で捜査を始めたマードックは、「屋敷にかけられたブードゥーの呪いのせいだ」というメイドの言葉に驚く。実はこの屋敷では、半年前にも四男が自殺しており、最近になって、その姿が使用人たちに頻繁に目撃されていたのだ。彼は兄たちに遺恨があり、それをなじる遺書を残して自殺していた。果たして幽霊となった弟が兄に復讐したのか?幽霊の正体を暴くべく、マードック一行は屋敷に泊まり込むが、そこで第二の事件が起こる。
第12話「写真の女 In The Altogether」 若い女性の絞殺体が発見された。捜査を進めると、被害者が何者かと手を組み、議員や判事などの権力者たちを部屋へ誘い込んで盗撮し、脅迫していたことが分かった。部屋からは大金と共に、脅迫に利用された写真が多数発見される。その中に、若かりし頃のサリー・ペンドリックの写真が紛れていた。彼女も写真をネタに幾度となく金を要求されていたのだ。再びサリーの元に脅迫状が届くと、マードックは犯人の身柄確保のため、金の引き渡し現場に向かう。ところがサリーが建物に近づいた瞬間、爆発が起こった。
第13話「衝撃の真実 The Tesla Effect」 密室で男が不審な死を遂げた。被害者は、発明家ニコラ・テスラの下で電磁波の研究をしており、半年前から消息を絶っていた。遺体の状況からマイクロ波を用いた最新兵器が使われたことが判明。マードックは、消えた兵器の所在を突き止めるべく捜査を開始する。すると、捜査線上にまたしてもペンドリックの名が浮上した。さらに兵器の情報を嗅ぎつけたテレンス・マイヤーズまで現れ事態は複雑化する。恐ろしい殺人兵器とそれを巡る人々の陰謀にマードックは立ち向かう。