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電車の中、僕はここ数年彼女とロクに話して無かったけど本当は話したかったこと、父が亡くなってから母が僕のためにムリをしていたこと、そして僕はその事を母がなくなるまで知らなかったことを話した。 母の話をするつもりなかったけど、なんだよく判らない罪悪感のようなもののせいで話さずにはいられなかった。 彼女は僕の傍らに立っていたが、母の話の時、僕に寄り添うようにして話を聞いていた。 新幹線のプラットホームまで色々な話をしながら2人並んで歩いた。なんでもないようなことを話しながら・・・。 彼女がそばにいてくれるだけで本当に幸せな気分になれた。彼女は僕の運命の人なんでは…等と乙女チックな事を考えていたのだから我ながら恥ずかしいかぎりだ。 新幹線のプラットホームに着いてからメールと携帯番号の交換をした。さっきまでとは違い今はなにを話したらいいか判らなかった。彼女もそうなのか、何も言わずたたずんでいた。新幹線の出発の合図がして僕は乗り込んだ。そして振り返ると、瞳を潤ませ今にも涙がこぼれ落ちそうな彼女の姿がそこにあった。 つづく
2013.02.25
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彼女は軽音部だそうで今日は部活で学校に行くところだって事だった。「おばさんの方のお祖父さんのところにいくって聞いてたから・・・。宇都宮君と駅の方に歩いてくのを見かけて・・・。」 彼女はゆっくりと、言葉を確かめるように話していたが なんだか愉しそうにおどけたように「なんとなく今日行っちゃうんだって気がして、先回りして待ってたの。」と続けた。 最初は最近のどうでもいいような話をしていたが、子供の頃の話になって2人で大笑いした。 そうしている間に電車が来たので、しかたなく僕は別れを告げようとしたら彼女が電車に乗ってきたので驚いていると新幹線が出るまでいつしょにいるといってくれた。 つづく
2013.02.06
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前をぼ一っと見ながら意識は彼女の方を向いていた。ひょっとして・・・。という考えをさっきの恥ずかしさが否定した。なんだか落ち着かずにいる僕の後ろから「マー<ん」と声をかけられた。「マーくん」と呼ばれるのはいったい何年ぶりだろう、それにこの声。 僕はゆっくりと振り向くと、彼女はまっすぐ僕をみつめていた。心臓が止まりそうになりながら僕も彼女を見つけ返した。 彼女に話したいことはたくさんあるのに何を話したらいいか判らなかった。 永遠と思えるような瞬間が過ぎ、彼女は優しくほほえんでくれた。僕は関を切ったように母が亡くなってからの経緯をいっきに話した。今日、なぜここにいるのかを。彼女は黙って最後まで聞き終えてから葬式に来てくれていたことを教えてくれた。「そうなんだ、全然知らなかった。親戚とちょっと話していたころだったのかなあ」会えなかった事が残念に思えたけれど、今こうして話しているのだから満足だ。 つづく
2013.02.02
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