inti-solのブログ

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2012.10.12
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カテゴリ: 環境問題
原発防災指針 重点域30キロ圏は現実的か

原発事故が起きた場合に住民の被曝(ひばく)防護を確実なものとするための「原子力災害対策指針」についての印象である。
原子力規制委員会によって示された指針の原案では、事故に備える重点区域(UPZ)が原発を中心とする半径30キロ圏内となっている。福島事故前の同8~10キロ圏内に比べて9倍の広さへの拡大である。
この結果、関係する自治体は、従来の15道府県45市町村から21道府県135市町村に増加する。対象人口は現行の73万人から480万人に膨れ上がる。円滑な合意形成は可能なのか。
限られた時間内で、政府や自治体、電力会社は、これだけ多数の住民に被曝を避ける情報を的確に伝え、各種の要請に応えられるのか。また、大勢の人が一度に動けば大混乱に陥りかねない。
UPZを30キロに広げるのは、水素爆発で大量の放射性物質が拡散する事態などを想定したためだ。だが、水素爆発の防止などの過酷事故対策は、昨年6月の原子力安全・保安院の指示によって全原発で実施されている。
各原発での安全対策への取り組みを考慮することなく、災害対策指針を作るのはいかがなものか。より高い安全性を目指す姿勢は正しくても、度を越せば目的とは逆の結果を招きかねない。
規制委は今月中に指針を策定し、それを基に対象市町村などは来年3月までに地域ごとの防災計画を立てることになっている。
法律に定められた手順だが、規制委は、もう一つの重要課題である原発の「新安全基準」策定を優先させるべきではなかったか。耐震性などで、より高い安全性を確保した後に、万が一に備える防災計画の立案に進めば、現実に即したUPZを導き出せたはずだ。
日本の原発の安全性は、事故後の緊急対策でも向上がはかられたが、新安全基準ができれば事故はさらに起きにくい。現状を論理的に考えれば、今後、原発の過酷事故が起きる可能性は国内より一部の国外の方が高くなる。
にもかかわらず、偏西風の風上側で起きる原発事故に対し、新たな原子力災害対策指針は無防備にすぎる。原発防災には、より現実的な視点が必要だ。

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安全保障ということをやたらと叫びたがる産経新聞が、こと原発となると「安全だ」「過剰な安全対策は」と叫ぶのだから、話になりません。いまだに原発安全神話にしがみついている、というか安全対策が「過剰に」行われることによって原発の危険性がクローズアップされるのがいやだ、ということなのでしょう。
文部科学省のモニタリングポストの数値を見れば、原発から約30km離れた地点で、現在もなお、空間線量が毎時10マイクロシーベルト(年間に換算して90ミリシーベルト)を越える地点が見られます。(浪江町葛久保集会所)
毎時20マイクロシーベルト(年間180ミリシーベルト)を超える地点も、10km圏の外側に見られます。いずれも、事故から1年8ヶ月経った現在の数値です。この数値を見れば、事故に備える重点区域が原発から8~10キロ圏までしか設定されていなかったのは、あまりに狭すぎだったことは明らかですから、30km圏まで広げるのは当然の話なのです。

「限られた時間内で、政府や自治体、電力会社は、これだけ多数の住民に被曝を避ける情報を的確に伝え、各種の要請に応えられるのか。」
確かに、なかなか大変なことではあるでしょう。しかし、大変だから、あるいはできないから放置しておけばよい、ということにはならない。そういうことを言い出せば、想定される東海・東南海・南海連動地震による被災者の数は、480万人よりもっと多い可能性が高い。しかし、対策が難しいから想定の規模を小さくしておけ、なんてことがあり得ますか?

「過酷事故対策は、昨年6月の原子力安全・保安院の指示によって全原発で実施されている。」
それで原発事故はもう心配要らない、などと能天気に信じることができる人は、産経新聞に代表される原発安全信者以外にはいないでしょう。

「原発の「新安全基準」策定を優先させるべきではなかったか。耐震性などで、より高い安全性を確保した後に、万が一に備える防災計画の立案に進めば、現実に即したUPZを導き出せたはずだ。」


「今後、原発の過酷事故が起きる可能性は国内より一部の国外の方が高くなる。にもかかわらず、偏西風の風上側で起きる原発事故に対し、新たな原子力災害対策指針は無防備にすぎる。」
この理屈も笑ってしまいます。要は、韓国や中国の原発は危ないといっているわけです。韓国の原発位置を私は正確には知りませんが、釜山近辺(韓国の中では日本に一番近い地域)にあるとして、対馬までが約50km、本土までなら200km近く離れています。まして、中国はもっと遠い。日本の原発で30km圏内を防災重点区域にするのは大げさすぎると言っている同じ口で、それよりずっと遠方の中国や韓国の原発に対して「無防備すぎる」というのは、もはや理屈もへったくれもありません。

現実問題として、対馬に関しては(釜山近辺に原発があるなら)事故対策はおそらく必要でしょう。しかし、本土に関しては、一番近い九州北部でも福島第一原発と関東くらいの距離があるという事実は踏まえるべきです。





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最終更新日  2012.10.13 01:05:31
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