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イギリス、日本、フランス、アメリカ全部住んでみた私の結論 日本が一番暮らしやすい国でした。 オティエ由美子 2014年 英米仏の家庭生活、教育の様子がよく比較してわかりました。英国は食生活の貧しい国とのイメージがこの10年で変わりつつあるとは驚きました。英仏の住居の狭さは日本とたいして変わらないとのことで、そんなものでしたか、酷い言われようでなんだったんだとも思います。NYも単身者は狭い部屋がないので経済的にルームシェアせざるをえないとのことで、都市生活はいずこも同じなんですね。 なんと、有給消化日数は、日本最低で8日でアメリカが次いで10日。でも休日がアメリカは日本より5日少ないので、アメリカの方が実質、休んでる日が少ないとは、驚き。日本も有給取れる会社ならアメリカよりもまだましになってきたのですね。 フランスは、有給36日消化と驚きますが、南欧ビーチに長期滞在で自炊、倹約生活で後半はアンニュイな表情になるバカンスというのが実態とは。 仏が仏語を守る国というのは、仏語の新語を毎年命名してカタカナ語を防いでいるんですね。1994年に立法までして仏語使用を義務付け、企業内の英語の禁止、食堂メニューの仏語表記など徹底していたんですね。グローバルの進展で、著者の言う、今では仏人は英語コンプレックスがあると言うのは面白いです。何やら、明治の開明で諭吉等が新語をつくり、日本語で科学ができるようにまで日本語が進歩して、日本人の英語が遅れたのと似てますね。仏の例は、国内価値に偏ればろくなことにならないのは今でも同じということなのかもしれません。 教育もそれぞれお国柄で違いがあるんですね。米国は、80年代レーガンが進歩主義的な教育を不寛容教育に転換して、クリントンも徹底して管理教育政策にして、停学、退学、警察、裁判訴訟が教育現場で活用されているとは驚ぎです。米国の小中に学級崩壊は少なくて、そういう子は放逐されるのですね。なんともイメージ変わりました。 仏の教育補助の充実や塾のない教育環境、平常点重視、エリート選抜など高い文化水準に教育はぬかりがないのですね。 英の教科書の教室備え付け、米国の重い教科書を貸与して学年で使いまわしとは驚きです。宿題予習復習もできやしませんね。 こうして育った若い人で親と同居が増えてきたとはおもしろいです。英国で25%米国で13.6%もいるんですね。日本だけでないんですね。 格差社会が各国で同時進行しているようですが、家庭生活では、変われる国と変えない国があるようです。日本はあるがまま、あたりさわりなくと言った感じでしょうか。
Mar 31, 2015
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餃子の王将社長射殺事件 一橋文哉 2014年 作者の取材結果によれば、底なしの暗黒世界に墜ちていくようなどんよりした気持ちになってしまいます。、 創業者の偉業を台無しに社業を壊滅させた跡継ぎ、その不始末を原点に立ち返って苦難の末、一致団結して克服し、見事に復活を遂げ、更に躍進を続ける。こうした健やかな実業家の話であったものが、一転、深い闇との闘いでもあったことに驚きます。 闇の底に引きづり込まれ、命をおとされた無念さはいかばかりであったものか、関係者の悲しみはいかほどのものか、想像を絶します。 本書に登場する犯罪集団、仲介者、協力者の存在は、知る由もありませんが、闇のむこうにこうした欲望と暴力と狡猾な試みが蠢いているとすると、恐ろしくなります。姿を変え、仮面を被ってビジネス世界に巣食っていて、チャンスとみるや暴力的に全く別の戦闘部隊を投入して、けどられずに儲けを手にしているとすると、企業の防衛にも限界があり、警察、検察の奮闘に期待するしかないように思います。 銃の大量潜伏にも驚きます。アメリカほどではないにせよ、日本の反社は、5から6万丁で武装していて近年は摘発数が減ってきていると。今回使用された口径の自動拳銃などは、アメリカでは年間50万丁流通しているもので、今回の暗殺犯が手配された中国でもめずらしくないようです。 丹羽宇一郎の「中国の大問題」では、中国人は自衛のためにアメリカ人の様に銃を所持しようとしているとありました。2008年のオリンピック前に行われた北京市の「刀狩り」では、軍用銃12万丁、弾丸820万発、販売組織197、爆薬3670トンが摘発されたとありました。中国国内の暴動、騒乱は、年間大小あわせると20から30万件と言われているらしいです。そんな環境で暗躍しているチャイニーズマフィアの残忍さは一際だそうで、それ以外にも中国国内には、抗日に染まる地下組織もあり、日本の集団と連携して人を送り込み、不正国籍取得などを行なっているらしいです。日本国内でも、中国残留孤児の二世三世が中心の暴力集団があるそうです。 深い深い暗黒世界がアジアに拡がっているのでしょうか。
Mar 23, 2015
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絶対に行けない世界の非公開区域99 ダニエル・スミス 2014年 米国本土のものが31、英国が12を占め、世界というより、米英中心でした。米国本土以外での米軍施設も紹介されてます。攻守両面で、軍事・防衛の備えには驚くばかりです。これほど身構える国家群の存在は、先進と言われる国家の本音を表しているのでしょう。 秘密めいたものを見る面白さはありましたが、あまり楽しいものでもなかったです。成功者達の会員結社、大学のエリート結社などもあり、排他的で密約的なつるんだエスタブリッシュメント達、チャールズ・ファーガソンの「強欲の帝国」で言われていた出来レースの国、米国を思い出しました。 刑務所も極悪人用の厳重なものも紹介され、240万人も入っている刑務所大国米国、企業が雇いたいと思う人が減っている国、タイラー・コーエンの言う大格差社会米国を思い出しました。 軍事収監施設グアンタナモについては、米国刑事司法適用外、ジュネーブ協定適用外の軍事施設として必要で、ブッシュが設置して、オバマも結局、廃止していないそうです。ファーガソンが言うように二大政党とも行動原理は結局同じ、複占政治体制を思いだします。 唯一、伊勢神宮が清々しく平穏なものでした。
Mar 23, 2015
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新・戦争論 池上彰・佐藤優 2014年 世界の紛争地域の背景、勢力図、各派の論理が良く分りました。先進諸国文明が偽善に満ちた収奪の歴史の産物である気がしてきました。宗教と民族主義の台頭は、人々の生活を追い込み、入れ替わり立ち代わりの収奪の応酬を巻き起こしている気がします。 シリアに対するフランスの統治の利己性、イラク等に対する英国の統治の賢さ悪さ、アメリカの二択式思考、南北朝鮮に見える渤海と新羅の関係、中国の抱えるイスラム教徒の暴発危険性、ウクライナの分裂的歴史背景などよく分りました。報道を吟味する基礎知識となる本でした。 今更のように西欧の文明と宗教が偽善的であること、日本がお人よしであることがよくわかりました。
Mar 17, 2015
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ドクター・ハック 中田整一 2015年 日本の運命を二度握った男 引き込まれるノンフィクションでした。敗戦史の裏側で、終戦を目指して懸命に働いた第一線の武官、諜報員、民間人がいたこと、それを親日のドイツ人スパイが日本人のために支えたことに心うたれます。 副題がついていますが、読んでみると、「日本に二度外交チャンスを造った男」と「二度のチャンスが解らなかった将軍達」と言う印象です。一線の将校兵卒は優秀で、参謀や高級将校はそうでもなかったと言う例にもれない話になります。 満鉄顧問の秘書に就職するも、第一次大戦で青島で日本の捕虜となり、武人の信義に基づく5年に及ぶ日本での捕虜生活、終戦後の日本海軍との商取引、日独協会の役員就任、日本陸軍独断によるナチスとの日独防共協定推進の支援、原節子主演となる日独合作映画のプロデュース、ヒトラー直属の諜報組織アップヴェーアに所属、日本が欧州の騒乱に巻き込まれるのを水面下で危惧し反対、人種差別のナチに離反してゲシュタポによる逮捕、駐独日本海軍武官等による救出、逃亡、亡命、終戦に向けた日米交渉の画策、米国国防長官ダレスの弟のOSS(後のCIA)ダレス機関との折衝、駐独日本海軍藤村少尉による本国説得工作を誘導・支援、日本上層部によるソ連仲介斡旋依頼策により儚くも日米交渉の頓挫と続きます。 吉村昭の「深海の使者」がドイツの技術供与と南方資源提供の軍事協力活動の記録ならば、本書はナチスによる欧州騒乱に巻き込まれてしまった日本の外交の失策の記録となるでしょうか。U511潜水艦での帰国に成功した野村直邦海軍大将がいたはずですが、日米終戦交渉のチャンスが生かされなかったものかと迷います。 後に、ハックとともに日米終戦交渉開始に画策したケヴェールニッツと言うハックの恩師の息子は、米国のスパイであったのですが、日米接触が成功していれば原子爆弾投下などの惨劇は変わっていた可能性もあったと述べているようです。 今も昔も、目を開き、話を聞き、思考し、大局から決断する指導層が待望されます。
Mar 12, 2015
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日本の古代道路 近江俊秀 2014年 道路は社会をどう変えたのか 不慣れな漢語に最初は戸惑いましたが、キーワードを書き留めて見ながら読みましたら俄然面白くなりました。列島を行き交う古代人が生き生きと湧き上がってきました。陸路に留まらず海上路、河川路との連動流を6300kmにわたって古代人が構築し、全国運用していたとは驚きです。その合理性に唸ります。 その歴史は、律令国家による全国統一、情報路や軍用路としての駅制の全国展開、税の物納ルートとしての全国運用、東国蝦夷や西国隼人の鎮圧平定、地域農民に支えられた駅の維持・運用、交通の増加、律令遵守の乱れ、役人による駅制度の私的濫用、富の不正蓄財、運用主体である農民への負担増、地域の中央政権への帰依の衰え、輸送業者の登場、軍属との連携、盗賊や海賊への変身、地域の救世主としての平将門の乱、律令国家の衰退、駅制度の衰退と連なります。 まさに古代「国道」を舞台に繰り広げられる「ふしぎな」古代史でした。宮廷政権争い、宮廷文芸ものの古代史イメージが強かったのですが、この本で披露された古代史は地域の生活、自治が生き生き感じられ、今までの古代史イメージと異なる面白い著作です。 遺跡による実例がいくつかの紹介されていましてこれがまた面白く、この本片手に追跡旅行をしたくなります。蝦夷征伐の兵站拠点としての常陸の遺跡群、その鎮圧の神である鹿島神宮、平将門の進軍経路、海上交通との接点としての益田や加賀の加茂、古事記由来の会津、「はまなかあいず」の街道網、宇佐八幡大神と勅使街道、薦神社と三角池、中津の条理地割りの水田、大隅正八幡宮などなど興味は尽きません。 古代も現代も、国道の存在感がふしぎと似ている気がしました。
Mar 7, 2015
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ニッポンの裁判 瀬木比呂志 2015年 司法の民主化、近代化が必要であることがよく分りました。冤罪犯罪を裁判所と検察がこれだけ犯し続けている理由がよくわかりました。 最後の救いであるはずの最高裁判所が、司法利権の頂点にたつ全体主義に染まった組織実態にあることに驚きました。日本の司法のリーダー達が、こんなに気概がなくなっていて、知能と知識を司法組織内での自身達の保身に使う強欲な人達が占めているのかと愕然とします。司法のリーダー達は、志高く、気概にあふれ、勇気と優しさと民主主義への信念を兼ね備えた、最高の頭脳集団と思ってましたが、まさか、こんなていたらくとは・・・ 判決報道をみて、本質から逃げて裁判所は何をしているのだろうと思うことが多くなってましたが、こういうことであったのかと思いいたりました。 民主主義社会に生ずる活発な争点の裁きを、利己的組織が自己最適を優先した計算ずくで、実態考察を軽視して、裁いているとは思いたくありません。そんなことはないだろう、本当ではないだろうと思いたいですが、本当なら、市民は、おとなしく失敗せぬように注意深く生活していないと危ない、司法にまきこまれないようにしないといけないということになります。あたかも崩壊した全体主義共産国家の市民のようになってしまいます。 本書によれば、そうならないように、司法は、早急に矯正・改革すべき瀬戸際まできてしまったようです。
Mar 5, 2015
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日本に生まれて、まあよかった 平川祐弘 2014年 1931年昭和6年生まれの著者の意気軒昂な著作に感銘します。国際感覚、学識、分析眼、探究力いずれも感嘆します。わかりやすい文章で日本の近現代史の本質を開陳されています。 特に左翼系知識人、評論家、文化人の無節操と堕落した探究心を明らかにしています。家永三郎、羽仁五郎、大江健三郎、中野好夫、大塚久雄、丸山真男、ルース・ベネディクト、川島武宜など、変節振り、迎合ぶりが指弾されています。大勢にのった言論の変節、迎合であったことが驚きでした。 また、時代の要所要所で朝日新聞が誤った報道で社会を扇動、欺いてきたことに抗議され、その読者に注意喚起されています。2014年5月20日の原発作業員命令違反捏造報道、8月の従軍慰安婦虚偽報道取り消しの一連の騒ぎが始まる前の5月12日に本書は、したためられ、発行されていました。大新聞の言論破綻は来るべきものであったのでしょう。 「本当の自由と民主主義」を守り育てることを説かれています。戦後の歴史認識をただし、世界でもてる人材を育成し、日本の考えを発言できるよう外国語教育を推進することが必要だそうです。三点観測できる語学が必要だそうです。日英などの二点では偏狭で、独仏などいれた三点が必要だそうです。 結果の平等や競争の排除は偽善で、機会平等、能力にあった競争が健全な教育環境だそうです。飛び級がない国は、先進国では日本だけだそうです。フランスでは、小学校から中学に上がる時三分の一が留年するそうです。少数精鋭エリートの育成校がナポレオンの発案でできてきたそうです。ドイツは、高校卒業資格試験でブルーカラーかホワイトカラーか分岐点になるそうです。日本の高校義務教育化でいやいや学ぶことなど不健全と指摘されています。米国の選択肢問題では正解がない問題が時々混ぜられて、択一型のおバカにならぬようにしているそうです。 明治の人は、何もなかったので原典で勉強し、語学と知識と志が養われたようです。その後、偏狭な学問にあぐらをかき、暗記教育がまかりとおり、劣化していったようです。戦後も駒場寮で不破哲三と同室であった著者は、唯物史観論者も違和感大きく、「マルクスが間違うわけない」と、カルトとまがうようであったと述懐されています。 こんな日本の文明としての現況に、夏目漱石がいった「まあよかった」と似たような心持ちに著者もなっているようです。
Mar 2, 2015
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