12月3日(水)
昭和萬葉集(巻十四)(206)(昭和三十五年~三十八年の作品)
講談社発20行(昭和 55年 )
Ⅲ(46)
仕事の歌(29)
医師たち(1)
浜野基斉
ほほゑみしのちはさまよふいのちにてまたひとしきり雨の強まる
父に母にかすかに笑みしその顔を父ならぬわがかなしみやまず
手術などしなくていいとわれ言ひきうれしげなりし顔おもひ出づ
むしばまれつくしし十六歳の顔透きとほり来つ夜明けに近く
寝台に揃へられたるスリッパは息あるうちに脱ぎしままなり
(つづく)
前川佐美雄歌集「捜神」(148)贈りも… 2025.12.04
与謝晶子の歌(191)熱海詠草――(14) 2025.12.04
歌集「蟲のゐどころ」(45)囀鳴てんめ… 2025.12.04