2005.04.04
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カテゴリ: 洋書紹介
ROOTS by Alex Haley

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著者であるAlex Haleyが、「実際の調査を元にして書いた」という、アメリカにつれてこられたアフリカ奴隷から彼自身までの、7代に至る黒人の世代記。

著書でいえば、大学でよく読まれるのはマルコムX の伝記の方だと思うけど、代表作は断然こっちだと思う。

…といっても、Haley自身、100%事実でないことは認めているけど。ラストはできすぎだもんな。

出版されたのは70年代後半、直後にアメリカ中で大反響をよび、テレビドラマ化されるとぶっちぎりの視聴率、黒人はこぞってその年に生まれたわが子に主人公クンタの名をつけ人種に関わらずアメリカ中が自分の「ルーツ」探しに熱狂したそうな。

自分が読んだのは大学1年目、700ページはあったと記憶するが数週間の内に夢中で読みおえた。

めちゃくちゃショックを受けた。小説とは、これほどに強力なのか、と生まれて初めて思い知らされた。

残酷描写が延々と続く奴隷船のシーンが強烈。クンタが逃亡(=自分の国への帰還)を夢見つつ、徐々にそれが不可能と分かってくるやるせなさ、娘が生まれてやっと幸せをつかんだと思うと引き離され、それからは娘の物語になって彼の人生がそこでふっつり終わってしまう(それ以降登場しない)あっけなさ、など、まるで自分がそこにいるように引き込まれる。



そもそも歴史と言うのは、勝者が書き記すものである。古代エジプトの時代から、王になったものはオレはこんなにすごいんだ、ということを見せ付けるために馬鹿でかい墓を作る。それが後世に残って「歴史」となるのだ。

すると当然、歴史のヒーローは、権力を持ち、成功した人ばかりとなる。勝者が書く歴史だから、原子爆弾で20万もの市民を虐殺する行為も正当化されてしまう。

だけど、どんなに抑圧しようが、敗者にも歴史は語り継がれる。

この本の中では「言葉(oral history)」が重要な意味を持つ。母国の言葉を白人に禁じられながらも、ほんの片言の言葉が世代を渡って語り伝えられ、著者はそれをもとに自分の先祖がアフリカのどの村から連れてこられたかをつきとめる。そして、その村に到着してみると、griotとよばれる「口承者」が、自分の先祖の歴史のアフリカバージョンを語り始める…といった具合で、ここは涙なしには読めませんな。

当然、この作品も、かなり偏った主観から書かれた歴史で、白人は極悪人に書かれているけど。読んでいる間に毒されて、そこらを歩いている白人に石を投げたくなる感情が沸き起こる人もいると思う。英雄が続々登場するアメリカ建国の歴史も、見る位置を変えるとこうまで書き換えられるんだなあ。

自由民権運動の精神と、伝統的差別の混在していた時代にこの本が世に出て、黒人の側から「自分の過去を見つめ、それを誇りに思う」という動きを起こさせたこの物語のパワーは、すごいと思う。アメリカ黒人の先祖は奴隷でなく、アフリカに住むごく普通の少年だったのだと言う、当たり前と言えば当たり前なのに、誰もが指摘しなかった事実を広く認めさせた作品。

読むにあたっては、いささか長いので躊躇するかもしれないけど、内容はきわめて簡潔だと思う。人種差別に疎い日本人にも、ぜひ読んで欲しい。





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Last updated  2005.04.05 02:29:09
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