テト67さん

コメントありがとうございます。

ヤクを(安全に)やる手伝いをするか、HIV感染者を増やす手伝いをするか、の間の選択なんですよね。

選択肢の中にヤクを始めないようにドラッグ市場を改善する、効果的なリハビリ法を研究して全ての常用者に提供する、といったことを、含めることすら不可能になってる世の中、この現実の方が怖いかも知れないですね。 (2005.08.24 19:21:09)

2005.08.24
XML
カテゴリ: 留学-生活編
留学していた時、平和学の講義でNeedle Exchangeという機関(NGO)で働いている女性の話を聞いた事がある。

Needle Exchangeとは、どういうプログラムか、というと、サンフランシスコを拠点に、ドラッグの常用者に対し、新品の注射の針を古い針と交換で提供しているところ。

ここで、まず引いてしまった。ヒッピーの、ドラッグ促進運動か??と。

説明を聞いてみると。

「注射を使ったドラッグ(どんな種類かは知らないよ。)を使っている人は、低所得者が多く、ホームレスすれすれの生活をしながら(あるいはホームレスの人も)、食事を買うよりドラッグにお金をつぎ込む人が多い。当然、新しい針は買わずに他人と使いまわし。私達のミッションは、こういった人たちにドラッグをやめさせることではなく、彼ら(と、彼らが性関係を持つパートナー、及びその結果生まれてくる子供)がAIDSなどの病気に感染しないように新しい針を提供することです。」

もちろん、針を交換してもらうにあたって、感染病やOverdoseを防ぐための情報を載せたパンフレットを配ったり、希望者にリハビリの施設を提供したり、ということもしている。要は、やめることができない人を拒まずに、感染を防ぐ、ということに焦点を当てているのだ。

それでも、聞いている側はやっぱり納得できない。

「でも、感染の恐ろしさだけを教えて、新しい針を与えなければ、それがきっかけでドラッグを絶つのでは?あんた達(Needle Exchangeの人)は、ドラッグ常用者に逃げ道を与えてドラッグをやめる意思を阻んでいるのではないか?」

という意見が、学生から出た。



「たとえAIDSになるって分かっていても、やめられないんですよ。」

だったらせめて、感染という危険を彼らから取り除くところから、アプローチしていきたい。

なんていうか、この考え方にはショックを受けた。こういう風に、ドラッグを使う、「犯罪者」を、「被害者」に見立てて解決法を考え出す、という人の話を聞いたのは、初めてだったから。

ドラッグ常用者を「犯罪者」にしてしまえば、彼らの処置は簡単である。彼らから針を取り上げてしまえばいいのだ。

針も買えないほどお金がないんだから、感染が怖いなら使用をやめるだろうし、それでも古い針を使い続ければ感染するのも自業自得、社会が手を差し伸べる価値もない。

ところが、彼らを「被害者」としてみると、一人一人にドラッグ常用者になった特別な事情があり、食べ物すら買えない、AIDSで死ぬかもしれないという、恐怖を持ちながらも、それでもどうしてもヤクをやらないと生きていけない、って言う、何重の苦しみを持って生きてる像が浮かんでくる。

彼らから、針を取り上げることは、彼らを更なる危険にさらすだけで、なんの解決にもならないよ。と、こういうわけだ。

実際、グループで配布しているパンフレットには、「オレンジジュースは静脈に直接打ってはいけません(←うろ覚えなので、信じないように)」とか、常用者の安全を考えたアドバイスが多く載ってた。まず、危険を避ける。リハビリは2の次、という姿勢だ。

この講義を聞いた時は、それでもやっぱり納得いかなかったんだけど、その後、いろんなところで似たようなジレンマに出会う。

  ホームレス女性に、女性用コンドームを与えてたボランティア先のグループ

  不法労働者の子供を、正式に学校に通わせようと働きかけてたグループ



  仕事を持たないシングルマザーの福祉援助(Welfare)を大幅カット
  (カットすればあわてて仕事を探すだろうから)

  不法労働者及び家族の医療サービス拒否
  (こうすれば、アメリカ来ることも考え直すだろうから)

  物乞いをするホームレスを逮捕


こういった、あまりに対照的なポリシーを目の当たりにして、いろいろ考えさせられた。



「海外に住んで、価値観の違いを学びました」

という人は多い。

個人主義と集団主義とか、日本人はもっと積極的にならないとダメだとか、そういう価値観のことについて語る人が大部分だけど、私が思い知らされた一番の「価値観の違い」って言うのは、アメリカ国内にも存在してる、上のような2つの世界の「目」だったと思う。

参考: Needle Exchangeについて(UCSFのサイト)





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2005.08.24 18:05:47
コメント(4) | コメントを書く
[留学-生活編] カテゴリの最新記事


■コメント

お名前
タイトル
メッセージ
画像認証
上の画像で表示されている数字を入力して下さい。


利用規約 に同意してコメントを
※コメントに関するよくある質問は、 こちら をご確認ください。


Re:薬物常用者に、きれいな針を--2つの価値観(08/24)  
テト67  さん
うーん、やはり納得いきませんねぇ。
ヤクをやる手伝いをしているだけとしか
私も思えません。
この件だけでなく世の中理不尽なことだらけ。
目を背けたいですね、正直。
(2005.08.24 18:16:23)

Re[1]:薬物常用者に、きれいな針を--2つの価値観(08/24)  
junquito55  さん

世の中矛盾だらけ  
Satoshi Kaneko さん
私もテト67さんと同様納得がいきません。
ドラックは明らかに違法なのにあたかもそのドラックを辞めさせないNGOがあるなんて・・・。
日本だったら間違いなく問題になるのでは?
でも、よく考えたら世の中矛盾だらけですね。そう割り切って生きていくしかないと思います。 (2005.08.25 03:02:36)

Re:世の中矛盾だらけ(08/24)  
junquito55  さん
Satoshiさん

コメントありがとうございます。

う~ん、やっぱりそういう反応が一般的ですかね。

リベラルで知られる当のクラスでも、大論争になりました。

ただ、10年近くたった今、調べてみるとかなりの都市(アメリカ内外含めて)同じようなグループが活動を広げているようです。データにしても、特に依存者が増えた傾向は見られず、針の共有が原因のHIV、C肝炎感染は減少しているようです。

私が個人的にこのアイディアが画期的だなあと思ったのは、常用者を罰することなく、生きる道を差し伸べているところ。これが最良の方法だとは思いませんが、自分や、自分のパートナーが依存症で苦しんでいたら、「お前が悪いんだから、やめるか、死ぬかどっちかにしろ」と言われるより、こういうグループをリハビリの入り口に選ぶと思います。

んー、なんか私も、うまく説明できないんですが、ドラッグと未婚出産に関しては、当人を追い詰めるだけでは発生率を減らすことに全然貢献しないと思うんですよね(悪い人は、ほかにもいるはずなのに)。なのに、今の政策って、薬物依存症の人とシングルマザーをどんどん危険な状況にさらしているだけじゃないですか。そういう人たちに、いろいろなアプローチを試して世間の目を変えさせようとしているグループがいるって言うことには、素直に感銘を受けました。

ちなみに、プログラムの効果(HIV感染の予防)は、政府も認めているようで、政府からの資金も受けているようです(常用者が一定以上増えない、という要求をグループがクリアすれば)。ドラッグの使用は違法だけど、それを注射するための針の提供は認められているってことですね。やっぱり矛盾してるような…

(2005.08.25 08:57:32)

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

×

Profile

junquito55

junquito55

Archives

2026.06
2026.05
2026.04
2026.03
2026.02

Comments

DC在住@ Re:留学先の大学選択とネームバリュー(12/02) 貴殿はネームバリューにこだわる日本人の…
www.bfdff.com@ ディーゼルダウン偽物が登場、広告モデルの水原希子らが着た服   ディーゼルダウン偽物が登場、広告モ…
ぷりん@ はじめまして こんにちは。 私は今アメリカに高校正規…

Keyword Search

▼キーワード検索

Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: