劇場通いの芝居のはなし

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2019.06.12
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カテゴリ: 演出ノート(3)
こんなことを繰り返しているうちに、天狗の子がやって来ます。そして、鯨の肉を包んだ竹の皮が、隠れ蓑だと思って取り返そうと、こっそりと近づきます。
すると、殿さんの腰に天狗の面がついているので、父親だと思ってびっくり。でも、よく見るとただのお面です。胸をなでおろし、天狗の子は竹の皮包みを狙います。
この辺りは、天狗の子の動きの演技がポイントです。前の二人は釣に集中しているという感じで、少し動きを大きくして、滑稽みを出します。

河童はいつまでも釣れません。おまけにそれが、自分が声を出したせいにされてしまう。殿さんはしびれをきらして、お城に帰ることにします。お前が一人で釣って、お城へもってこいと命令します。彦市は餌の鯨の肉をもらいます。更に、河童を釣ったご褒美に天狗の面を下さいとお願いし、まんまと両方をせしめます。
殿さんが立ち去り、それを見送った彦市が、自分の智恵を自画自賛している間に、天狗の子はこっそりと近づき、竹の皮包みを取って、逃げようとします。
それに気づいた彦市は、天狗の面を被って天狗の子を脅かします。
天狗の子は、彦市が面を被っていることを知って居ます。それで、騙されたふりをして彦市に近づき、いきなりその面をつかんでもぎ取ると、「ぬしなんかに負くるもんか。さあ、蓑ば取り返した」と言って、風のように逃げて行きます。
ト書きでは鼻をつかんでもぎとる、とありますが、こんな風にすると面を壊しやすいので、顎のところからすくいあげるようにして、ぬがせます。面は、紐で結んで固定するか、ゴム紐をつけておくと仕事が早いです。片手で持つやり方もあります。このときは、天狗の子が取る邪魔にならないところを持ちます。

「やあ、やられた」と彦市は地団駄を踏みます。彼の自慢の智恵が、裏をかかれました。大きなショックです。昨夜の河童釣りからして、彼が自分で考えたことではなく、降りかかってきた難儀を、なんとか収拾してゆく、後手後手の成り行きになっている。どうも調子が良くないです。次の登場場面になるまでに、更に想定外がおきています。
この場面の終わりも、彼は困りながら退場します。先の場面と違えるために、家に帰って早く思案をしようという気持ちで、足早に退場させます。

少しあって、彦市がしおれて出て来ます。家に帰ったら、かかあが隠れ蓑を、汚い蓑があると思って、燃やしてしまっていたのです。
短い音楽を入れて時間経過を感じさせるか、後の天狗の子の場面をここに持ってくると、うまく流れるでしょう。その場合、天狗の子はここで親天狗に褒められたことを話して、彦市に仕返しするために一度退場する、ということをします。
by 神澤和明





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Last updated  2019.06.12 09:00:13


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