ボランティアキャリアコンサルティング

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キャリアコンサルタントひろくん

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2025.03.19
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【大切なこと】
 今の日本での暮らしは、食べ物が豊富にある一方、便利なので運動不足になりやすくなっています。その結果、生活習慣病になりやすくなっています。生活習慣病とは、悪い生活習慣が続くと起きてくる病気のことです。代表的な病気として、肥満、糖尿病などがあります。(他にも、がん、心臓病、脳卒中などが含まれます)
生活習慣病を防いだり治すためには、健康に悪い生活習慣を変えていく必要があります。その方法の中心的な役割を果たしているのが、認知行動療法になります。

【具体的な内容】
 日本の食生活の欧米化や車社会の発展は、高カロリーを摂取する一方、運動不足を招き、生活習慣病を発生しやすくしました。生活習慣病に対して、薬物療法だけではなく、 生活習慣の変容法が重要な治療と位置付け られています。そして 変容法の中心的な役割を果たしているのが認知行動療法 です。
 生活習慣に影響を与える主な要素には、第1に食事、運動、睡眠、喫煙、飲酒、休養といった 日常生活のしかた があります。第2に仕事の取り組み方、対人関係への取り組み方等の生き方や価値観を含む 行動様式 が含まれます。不健康な生活習慣は生活習慣病の発症や継続を招きますが、そうした不健康な生活習慣を正しく直す為に、認知行動療法が欧米で用いられ、実績をあげてきました。

認知行動療法には、単に治療するだけでなく、治療後に再び同じ問題を起こしにくくする効果があります。つまり、認知行動療法を実行した人の成長をもたらします。 認知行動療法には、次のような特徴があります。
①短期間での治療を目指し、問題解決志向であり、問題再発を防げるような成長を促進します。
②過去ではなく、現在と未来に焦点を当てます。
③はっきりしたわかりやすい手本を示せる。
④治療者からの支援を受ける場合、一緒になって治療に取り組める。
⑤セルフヘルプ(自力でマイペースにて行える) 
なお、認知療法と行動療法は、もともと別の性格を持っていましたが、今では統合された技法になっていると考えて差し支えありません。​

 標準的な行動療法では、①食事療法の実施 ②運動療法の強化・習慣化への取り組み 両者を併用しながら行いますが、 治療終了後に放置すると(≒体重管理を意識しないと) 3~5年で効果が消え、 大部分が元の体重に戻る そうです。ですから 治療後、いかに減らした体重を維持できるか?が、行動変容する治療上の重要なポイント となっています。​

 では行動変容のための治療技法には、具体的にどのようなものがあるのでしょうか? 第1の方法は「セルフ・モニタリング」 です。毎日の食事内容、運動、体重等をシートなどに記録します。ポイントは①なるべく簡単な記入方法で行い、面倒くささを減らす ②数字を盛り込む ③色分けなどで一目でわかりやすくする などがあり得ます。

 第2に方法は「ストレス管理」 です。ストレスは不適切な飲食を招く引き金になりやすいです。今までの努力を投げ出してしまうきっかけにもなりえます。ですので、認知の修正、ソーシャルサポートを受ける、アサーション訓練をして実行する、コーピングを実践するなどして、上手にストレスを管理することが大切です。

第3の方法は「刺激統制法」 です。簡単に言えば、思わず不適切に飲食したくなる環境を変えていこうという方法です。自分が不適切に飲食してしまう場面を分析して、誘いの効果があるものや要素を無くしていくのです。例えば家にお菓子があるとつい食べてしまうならば、家にお菓子を買い置くことを止めることで、すぐにお菓子を食べられる環境を変えてしまうことができるわけです。

第4の方法は「反応妨害/習慣拮抗法」 です。 飲食したいという強い欲求は、時間の経過と共に弱まる性質を持っています (反応遅延の法則)。ですから、飲食したいと強く感じたときに、「私は本当に食べたい?おなかが減ってる?これって偽の食欲じゃないの?」と自問するくせをつけたり、ストレッチしたり、シャワーを浴びてみたりと、気軽に実行しやすい気分転換を行うことがポイントです。

第5の方法は「問題解決技法」 です。不適切に飲食したいと感じさせるきっかけとなるような、日々直面する問題を見つけ、解決方法を考え、解消する為に認知を修正したり、何かしらの行動を行ってみるわけです。シートに記入することで、分析しやすくなったり、考えがまとまりやすくなります。今後、同様の問題が起きた時の資料としても役立ちます。

第6の方法は「随伴性マネジメント」 です。簡単に言うと、体重管理に役立つ行動を実行できれば、ご褒美をもらえるという方法です。

第7の方法は「ソーシャルサポートを得る」 です。家族、友人、信頼できる職場の同僚、カウンセラーなど、本当に協力してくれそうな人を見つけて、長期間にわたり支援を受け続けることです。

第8の方法は「認知再構成」 です。 認知修正 とも言います。食べることばかりを考えてしまうクセ(=選択的注意が働きすぎている状態)、過度の一般化(今回もどうせだめだ。もう全部むなんだ。等)、白黒思考(良いか悪いかなど、極端に考えること)などに対して、認知再構成を行うことが特に有効です。

第9の方法は「再発防止訓練」 です。予め、今後失敗することを想定しておきます。そしてそれが発生したとき、事前に用意しておいた健全な認知への修正方法、修正する為の実行方法などを実行するという方法です。小さな失敗ですら、すべてを投げ出すきっかけとなってしまうような問題を防ぐ効果が見込めます。

第10の方法は「目標設定」 です。文字通り目標を設定して行います。摂取カロリー、体重、運動量などを決めておきます。 理想としたい目標の7割程度の負担が無難 です。

第11の方法は「食行動修正」 です。いわゆる早食いをやめ、よく噛むようにして食べます。わざと利き手でない方で箸を用いるのも有効です。


 長年にわたる肥満治療のデータがたまったおかげで、肥満治療における問題点が明らかになりました。それは ​体重を減らすという目標と、減らした(減りつつある)体重を維持するという目標の区別があいまいだったことです。つまり減らすだけでなく、維持することにも十分に意識を向けて注力することが大切だったのです。​

 肥満治療中にクライエントによく起きる問題は、第1に段々と減量スピードが落ちてきて、計画通りに進まなくなる場合です。治療をあきらめてしまい、しかも減らした分の維持もやめてしまいます。第2に自分の行った頑張りの結果を、本人がちゃんと素晴らしい結果であると評価できない為、投げ出してしまうことです。

 Cooper& Fairburの両氏は上記内容を把握した上で、以下の方法を提示しました。
​1.まず 減量することと、維持することは別物であるとはっきりと区別 します。​
2.減量期を開始します。減量の途中で、次の目標が「維持」であることを受け入れます。また減量期における無理な目標設定などを修正します。
3.効果的な体重管理の為に有効な認知修正の仕方、行動の仕方をさらに学び、実行します。
4.更なる減量を実施したい場合は、まず目標値の設定が現実的であるかどうか? 必要であるかどうか?などを十分に検証します。
5.更なる減量の実施が妥当的である場合、最低でも半年間以上の維持期を経た上で、次の減量期を開始する。

今回学ばせて頂いた論文は
著者:野崎剛弘氏 須藤信行氏
『生活習慣病の認知/行動療法』
Jpn J Psychosom Med 51:1088-1097,2011
となります。





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Last updated  2025.03.19 12:58:56
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