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キャリアコンサルタントひろくん

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2025.09.18
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カテゴリ: 共依存について
​​ 【注意:自分は共依存だからダメなんだ!と決めつけず、問題を知り、成長していくために学ぶことを踏まえて読み進めてくださいね

​​ 本来
「依存」は、安心感や支えを求めて誰かに頼ることであり、人とかかわるうえで自然な感情 です。一方 ​共依存とは、本人と、特定の相手がその関係性に依存しすぎており、その人間関係に囚われている関係​ を指します。すなわち「人を世話・介護することへの愛情=依存」「愛情という名の支配=自己満足」といえます。共依存者のうち依存される方は、相手から依存されることに 無意識のうちに自己の存在価値を見出しがちです。 一方依存する方は、相手をコントロールし自分の望む行動を取らせることで、 自身の心の平穏を保とう とします。​​
 共依存にある状況では、本人が相手に依存し、また相手もも本人のケアに依存するために、その環境(人間関係)が持続すると言われています。たとえばアルコール依存の夫は妻に多くの迷惑をかけますが、同時に妻は夫の飲酒問題の尻拭いに自分の価値を見出しているような状態です。
 こういった共依存者は一見すると献身的・自己犠牲的(要は望ましいこと)に見えますが、実はかりに本人が病気になっている場合、本人を回復させるような活動を邪魔してしまい、結果として患者が自立する機会を阻害しているという自己中心性を秘めています。
 共依存者の多くは、お互いの依存を健全なる愛や支援などと捉えて判断する人がいます。しかしこの概念が覆るとき。つまり思い込みだったと気づく時、両者は苦痛や疲労や無力感などを背負います。
 また他者より、共依存という関係を否定されたり責められると、強烈な自己否定感から精神的安堵を求め、更に強い共依存の関係を求めやすく、その行動や言動を改善する事とは逆に、共依存であることをあおってしまう場合もあり、最悪の場合は自殺する者もいます。つまり共依存の関係を強化させて、自分のこころを不安にさせることから逃げようとするわけです。
 そのため治療の場においては、第三者の適切で繊細な支援やケア、または共依存の歪みの克服をする機会でもあり、それまで学ばなかったことを新たに学びを得るための心理教育などが必要となります。
 最初アルコール依存の治療で使われ始めた共依存という概念は、アルコール依存以外への概念の広がりをみせています。ギャンブル依存症の家族、ドメスティックバイオレンス(DV虐待)、機能不全家族などにも見られる現象であると言われています。
 単にアルコール使用障害患者家族との関係だけでなく、 「ある人間関係に囚われ、経済的、精神的、身体的に逃れられない状態にある者」 としての定義が受け入れられています。具体的には次のような状況が考えられます。
・暴力をふるう夫とそれに耐える妻のDV関係
・ギャンブル、アルコール依存者の求める欲求
・借金を本人に代わり穴埋めする家族(子を含む)
・存在価値や承認欲求を満たすために支配的となる親からの無償の愛を受けたい子供の親子関係が逆転すること
・家庭以外になると相手から自身の存在価値や承認欲求を認められたいために依存と愛の区別がつかないことで、愛されることが目的となっている恋愛関係
 この観点から、 自立できない子供のパーソナリティ障害・恋愛における自己愛的な障害にまで共依存の概念が検討され、使用されるようになっています
​ 共依存関係は、一見すると献身的に見え、共依存者は「だって私が見捨てたらあのひとは生きていけない」などの発言をすることが多く観られます。しかし行き過ぎて自身以外の他人の世話をすることは 、結果として当人や双方の能力を奪い、無力化し、その人の生殺与奪を自分次第とする支配になり得る のです。 その人らしさを大切にせずに、無視している わけです。愛情という名に「完璧に支配しているという快感」を得たいというエゴイズムが隠されています。​
​ 共依存について正しく理解すれば、他者と自己との分離、精神的な自律に役立ちます。しかし、共依存に対する誤った認識を持つと、 「自分が共依存であるからいけないんだ」という考えにより自らを追い込む可能性 があり、注意が必要です。​
<共依存者に観られやすい特徴>
・他人の面倒を見たがる(強迫的世話焼き)
・自己の価値を低く見る
・抑圧的である
・強迫観念にとらわれやすい
・相手をコントロールしたがる
・現実を直視できない
・何かに依存せずにはいられない
・コミュニケーション能力に乏しい
・他人との境界があいまいである
・信頼感を喪失している
・怒りの感情が正常に働かない
・セックスが楽しめない
・行動が両極端である
​ 
 共依存の二人は、自己愛の未熟な人間が多いと言われたり、パーソナリティ障害であるケースが多いと言われていますが、これはアルコール依存症やアダルトチルドレン、それにパーソナリティ障害の精神病理から導かれたところが大きいです。その理由として、 共依存者も被共依存者も、他者の価値に依存する傾向が多い ということが言われています。​
 例えば、アダルトチルドレンにおいては、両親が自分の評価のために子供を利用し、そのため子供は大人になっても両親からの自立に困難が生じるようになり、自分自身の力のみで自立ができなくなりがちです。また、パーソナリティ障害においては、そもそも親が子供に依存的であることが多い。アダルトチルドレンと同様、大人になると子供は他者に依存して、その他者に自分の要望を過度に期待するケースがみられます。それと同時に「これではいけない、これでは駄目だ」等、完璧主義が故に過度に自身を抑圧する状態に陥り、解決の糸口を見出すどころか、一時的に状況が悪化する可能性があります。
 だからこそ、 自分たちが共依存と言う問題を抱えていることを認めて、(適切な支援を受けながら)解消に向けて取り組む方が安全 なのです。 共依存の問題点は、被共依存者が回復する機会を失うことだけでなく、共依存に巻き込まれた者がストレスを抱え込み、精神的な異常を訴えたり、さらには関係性に悩んでしまう点です。

<共依存のパターンと人物像>
①ドン・キホーテのふたり
 共依存は、家族、職場、友人など様々な関係において確認され、ロマンチック、対等、コミュニティ関係などで見られます。彼らは、相手への責任という鏡に映った自分を愛するナルシストです。
 この関係における共依存者の目的は、パートナーの欲求を実現させるために極端な自己犠牲を行うことです。共依存関係は不健康な関係であり、本人だけでは自律性や自給自足を獲得することができず、自分の充足を果たすことを最愛のパートナーに依存しています。無意識に自分よりも他人の人生を優先しているのは、多くの場合では自分の価値を他人に依存しているのであり、それは誤った考えです。

②育児における親子間の共依存
 育児において養育者は、ある種の自己犠牲奉仕が必要であり、子どもの欲求に答える必要があるのだが、しかし養育者の自己奉仕精神が不健全・破壊的なレベルに達していると、その親子の関係は共依存関係となってしまいます。
 一般的に、子どもの(感情的・身体的な)欲求をくみ取って世話する親はよい養育者とされますが、共依存の親が行う世話は、効果性に乏しかったり有害であったりします。子どものニーズをくみ取ることは必要ですが、それは子どもの成長において一定期間のみであり、共依存の親はそれを継続してしまうのです。その一方で、自己中心的な共依存の親も多くおり、それらは子どもの感情やニーズを無視し、虐待し、辱め、共依存に至らしめます。
※後で詳しく説明します。

 では共依存関係は今後、どうしていけばいいのでしょうか? 適切に治療されないと、さらなる深刻な問題を招く可能性があります。それらにはアルコール依存症、薬物依存症、摂食障害、性依存症、心身問題、自己破壊行動、自己敗北性パーソナリティ障害などが挙げられます。
 共依存者は、アグレッシブな人々や、さらにストレスフルな仕事・関係に引きつけられる傾向があり、将来さらなる問題を起こすことが多く、医療が必要であっても自ら受診することは少なく、キャンペーンを行っても反応せず、また非共依存よりも所得が低い傾向があります。
 社会が安全でないという共依存者の認識は、社交不安障害などに発展することがあり、たとえば社会恐怖、回避性パーソナリティ障害、苦痛的な人見知りが挙げられます。ほかストレス関連する障害もあり、たとえばパニック障害、大うつ病、心的外傷後ストレス障害が挙げられます。
​ 共依存関係は、機能不全家族などで育った人々が陥りやすく、また医療者と患者といった関係においても出現します。また自分自身は健全であると思っていても、他者を操作する被共依存者との共依存関係を改善させるのは容易ではありません。よって 専門家のアドバイスを受けるのが望ましい ​といえます。​
​ 援助の方針ですが、全ての専門家が同意する標準的な治療手法はないでしょう。 共依存からの回復のための手法には様々なものがあるから です。認知行動的な心理療法が選ばれることもあれば、抑うつ症状に対して薬物療法が選ばれることもあります。​
 まず自分たちが共依存関係なのだろうか?とふりかえったり、カップル間で話し合ってみることは大切でしょう。そして共依存関係に陥っている場合は、当事者は共依存関係について自ら判断するのではなく、第三者である専門家を交えて共依存について対処が望まれます。
 対策は、アルコール依存症やアダルトチルドレン、それにパーソナリティ障害などの対策と重なるところがあります。正確には共依存への対策は存在しません。 共依存を引き起こしている心の問題を治していくことで、併せて共依存を治していくことになります。 ただし、その依存性の問題を正面から取り組む場合には、個別のいくつかの対策がカウンセリングなどを通して行われる場合があります。
 共依存を引き起こす心の問題の解消に向けて、集団精神療法、自助グループなども活用できます。例えばAA(アルコホーリクス・アノニマス)が有名です。匿名でお互いを否定しないルールの下に参加し、が開発した12ステップのプログラムをベースとしています。一人じゃないという感覚も、治療や自己成長にとても有効です。
 共依存者については、何が最善の結果なのか、自らが本来の援助の目的と異なった依存関係を必要としていないか、依存関係が自らの生きる目的となっていないかを再確認する必要があります。イネーブラーの立場から降り、パートナーに暴力を振るわれたら家を出る、警察に通報するといった態度も必要になることがあります。相手への本当の愛情(=相手の立ち直り)を発揮するわけです。
​ 共依存の原因となるパートナー(被共依存者)への対応としては、一定の距離を置きながら援助されます。被共依存者は、援助が少ないことに見捨てられた気持ちを抱く可能性もあるが、 「自分の人生は自分で切り開いていくしかない」と気づかせる ことが、結果として被共依存者の回復につながります(底付き、直面化といいます)。 被共依存者は支援を受けることに感謝し、関係者を操作することなく、自分自身の置かれている境遇を受け入れること が、回復の第一歩です。

 共依存には特効薬のような治療方法はありませんが、いくつかの行動を起こすことで徐々に状況を改善できます。共依存の主な克服方法は、以下の4点です。
①小さなことでも自分自身で判断する
②自分の生い立ちを振り返る
③グレーゾーンを作る
④カウンセリングを受ける
①小さなことでも自分自身で判断する
 日常生活には、決定しなければならないことがたくさんあります。献立は何にするのか、休日はどこに出かけるか、些細なことでもそれを誰かの判断に頼るのではなく、自分で判断することを習慣にしていきましょう。「自分のことは自分で判断することができる」「自分をコントロールできる」という経験を増やしていくことが大切です。
②自分の生い立ちを振り返る(支援者などと共同で取り組む方が安全です)
 共依存に陥ってしまう原因は、子どもの頃の家庭環境に多く見られます。生い立ちを振り返って、家族や家庭環境など子どもの頃のことを、ノートに書き出してみるのも共依存の克服に効果的です。子どもの頃の経験や感じていたことを明確にしてみることで、共依存になった背景が見えてくるかもしれません。また幼少期に虐待などを受けていた場合、心理的な負担が強いので、支援者やカウンセラーからのサポートを確保しておく方が安全でしょう。
③グレーゾーンを作る
 共依存に陥りやすい人の傾向に「〇〇であるべき」「こうでなければいけない」といった思考(白か黒か・0か100かなど)があります。凝り固まった思考を変えてみて、白か黒かだけではなく、妥協点や中間点のグレーゾーンを意識してつくってみるとよいでしょう。認知行動療法には、この白黒思考を修正する高い心理教育効果が期待できます。
④カウンセリングを受ける
 共依存は関係性が濃い状態のため、客観的に物事を見られる専門家からアドバイスをもらい、健全な関係性を取り戻すのも効果的な克服方法です。外出が難しい場合や面と向かって話すのが難しい人は、オンラインカウンセリングがおすすめです。
【親子間の共依存について】
親子間の共依存に観られる主な言動には、次のようなものがあげられます。
・親の問題を子どもに解決させようとする​
・思い通りにならないとイライラして子どもを責める
・子どもが自分の思い通りの存在になるように過剰な期待を押し付ける

 その結果、子ども側も、親に逆らうことで怒られる(または悲しませる)という恐れから、自分のやりたいことを我慢したり、やりたくないことでもムリにやったりしてしまうことがあります。そして、親はいつまでも子どもを管理しようとし、子どもは知らず知らずのうちにコントロールされてしまうのが親子の共依存です。
 共依存が起こりやすい親子の特徴として、以下のようなものがあります。
①親の口出しが多く考えを押し付ける
②子どもが身の回りのことを母親に頼っている
③子ども扱いをやめられず自立を受け入れられない
①親の口出しが多く考えを押し付ける
 親がなんでも口出しをして考えを押しつけてくると、親子の共依存が生まれやすくなります。
 たとえば、進学先や就職、休日の過ごし方まで細かく口出しされ「あなたのためだから」と正当化されると、子どもは反論できずに従うしかなくなります。親の期待に応えようとムリを重ねた結果、次第に自分の気持ちがわからなくなってしまうでしょう。
 このように、親の考えを一方的に押しつける関係性では、子どもが自立できず共依存を深める要因になります。
②子どもが身の回りのことを母親に頼っている
 子どもが日常生活のささいなことまで母親に頼っていると、親子の共依存が進みやすくなります。このような関係では、母親が「自分がいないとこの子はダメ」と感じやすくなり、子どもも「お母さんがいないと不安」と依存を深めていきます。
 たとえば、洋服のコーディネート、通勤の準備、食事の手配など、成人しても自分で決められない状態が続いていると、自立の機会が失われてしまいます。その結果、母親も子どもも「相手がいるから自分の存在意義がある」と感じるようになり、親子の共依存が進みやすくなってしまうのです。
③子ども扱いをやめられず自立を受け入れられない
 母親が子どもをいつまでも「子ども扱い」することで、自立心や自己決定の感覚が育ちにくくなります。これは、母親が「子どもは自分が思う通りの存在でいてほしい」と無意識に期待してしまうことが原因です。
 たとえば「そんなのムリに決まってる」「あなたにはまだ早い」といった言葉で挑戦を止めたり、進路の選択に過干渉になったりするケースが挙げられます。
 こうした関係が続くと、子どもも「お母さんの意見を優先したほうがいい」と考えるようになり、親との共依存が深まりやすくなるのです。
共依存が起こりにくい親子の特徴として、以下が挙げられます。
①適度なコミュニケーションをとっている
②母親が父親を信頼し良好な夫婦関係を築いている
③温かく思いやりのある養育態度で子どもに接している
①適度なコミュニケーションをとっている
 親子の共依存を防ぐには、干渉しすぎずちょうどよい距離感でかかわることが大切です。実際に対面での会話に限らず、メールや電話といった友だちのようなやりとりを続けている親子ほど、子どもの自立心が育ちやすい傾向があります。
 物理的に離れていても適度に連絡を取り合い、必要なときには頼れる関係性が子どもに安心感を与えてくれるためです。このように距離はあっても、こころのつながりを感じられる親子関係が、自然なかたちで子どもの自立を後押ししてくれます。
②母親が父親を信頼し良好な夫婦関係を築いている
 母親が父親に対して信頼や尊重の気持ちを抱き、夫婦関係が安定していると親子関係にもよい影響があらわれやすくなります。良好な夫婦関係が築けていると、母親が子どもを精神的な支えとしないため子どもは「家庭は安心できる場所」と感じて、自立しやすくなります。

③温かく思いやりのある養育態度で子供に接する
 温かく接してもらった経験は、子どもの「自分は大切にされている」という実感につながり、自立の土台になります。たとえば、子どもを否定せず寄り添ったり「あなたなら大丈夫」と信じる姿勢を見せたりすることで、子どもは自分自身を信じられるようになるでしょう。
 このように温かな態度で接する親の存在は、子どもが健全な距離感を保ちながら自分らしく育つ支えとなります。
 親子の共依存関係が続くと、子どもは支配されている感覚や息苦しさを抱えやすくなります。その結果、自分で判断したり行動したりすることに自信を持てず、抑うつをはじめとした精神的な不調につながりやすくなるのです。
【共依存の親子チェック】
 以下のような思いに心当たりがある場合、親にコントロールされ共依存の関係になっている可能性があります。
▢ 親から否定されるとひどく落ち込んでしまう
▢ 親の世話をするのは私の役目だと感じることがある
▢ わたしの気持ちよりも親の気持ちが大切だと思うことがある
▢ 本当は嫌だけど責任を感じて親の愚痴を聞いていることがある
▢ 親から離れたいけど見捨てるみたいでできないと感じてしまう
▢ わたしのせいで親を傷つけてしまったかもしれないと感じることがある
▢ 親から離れたことで寂しい思いをさせたら申し訳ないと感じることがある
▢ 見捨てられそうで怖いから親が喜びそうなことをしようと思うことがある
▢ 親は自分の力で生きられないから私が助けてあげなければと感じることがある
▢ やりたいことをやっていると親を裏切っているようで申し訳ないと感じることがある
 当てはまる項目が多いほど、無意識のうちに親との関係に縛られている可能性があります。いま感じている違和感を大切にしながら、少しずつ自分の気持ちに正直になりましょう。
 親子の共依存から抜け出すには、あなた自身の気持ちを大切にすることがなによりも重要です。以下のように、 ​親と自分の間に境界線を引くイメージを持ちましょう。​
・自分の予定を優先する
・親からの連絡をムリに返さない
・会う頻度や連絡頻度を自分で決める
・「親が悲しむから」を決めごとの理由にしない
・親に頼まれたことでもやりたくないことは断る
 最初は罪悪感や不安を抱くかもしれませんが、自分をすり減らす関係を見直すことはあなたの人生を大切にする前向きな一歩です。たとえ親との関係であっても、自分の気持ちや生活を守ることはわがままではありません。 ​「親を大切にすること」と「自分を犠牲にすること」は違うのです。​ 少しずつあなた自身に正直になりながら、ムリのない距離感を築いていきましょう。その積み重ねが親子関係をより健やかにととのえる力になります。


【カップルにおける共依存】
 最後にカップルにおける意味合いについて詳細に説明しておきたいと思います。カップルにおける共依存では、お互いの境界線があいまいになり、健全な自立が損なわれたまま、相互に不健全な依存を繰り返す関係として現れることが多いです。共依存カップルでは、どちらか一方が(あるいは双方が)相手なしではいられないと感じ、相手の問題を自分の問題として抱え込んだり、相手の期待に応えようと無理をしたりします。​
 恋愛における「依存」は、相手に頼りたい、一緒にいたいという自然な感情を含む場合もありますが、「共依存」はさらに複雑で、相手の行動や感情に自分の幸福が過度に左右され、自分自身の心身の健康や自立が損なわれる状態を指します。そこには、相手をコントロールしたいという願望や、見捨てられることへの強い不安が根底にあることが多いのです。
【共依存カップルの主な特徴】
①恋人を最優先する・自分たちの世界に閉じこもる
②自己肯定感が低く、相手の顔色をうかがう
③行動を束縛する、またはされる
④相手の問題行動を助長・容認する


①恋人を最優先する・自分たちの世界に閉じこもる
 共依存的な関係にあるカップルは、恋人をあらゆることよりも最優先する傾向があります。友人や家族との予定をキャンセルしてでも恋人と一緒にいることを選び、自分の趣味や仕事、個人的な目標よりも相手の都合や要望を優先します。
 その結果、二人だけの閉鎖的な世界に閉じこもりがちになります。これは、外部からの干渉を避けたい、あるいは二人だけの関係に安心感を求めるためです。しかし、多様な人間関係や社会とのつながりが失われることで、視野が狭まり、関係性がさらに硬直化するリスクが高まります。自分の世界が相手一人になるため、相手への依存がますます深まってしまうのです。
 この特徴は、一見すると「深い愛情」や「一途さ」のように映ることもありますが、健全な関係においては、お互いがそれぞれの人生を持ち、それを尊重し合いながら共に時間を過ごすバランスが重要です。共依存の場合、このバランスが崩れ、どちらか一方、あるいは双方が外部との関わりを意図的、あるいは無意識的に断ってしまうのです。
②自己肯定感が低く、相手の顔色をうかがう
 共依存的な傾向を持つ人は、自己肯定感が低いことが多いです。自分には価値がないと感じているため、相手に認められることや、相手から必要とされることで、一時的に自分の価値を確認しようとします。そのため、常に相手の顔色をうかがい、相手の機嫌や反応によって自分の感情や行動を決定します。
「相手が喜ぶなら」「相手に嫌われたくないから」といった理由で、自分の本音や感情を押し殺し、相手の期待に応えようと無理をします。相手が不機嫌になると、自分が何か悪いことをしたのではないかと過度に心配し、不安になります。
 この特徴は、相手を思いやる優しさとは異なります。
自分の内側に確固たる自己価値の感覚がないため、相手の評価に自分のすべてが左右されてしまうのです。これは非常に疲弊する生き方であり、長期的に見ると自己犠牲の上に成り立つ関係となり、最終的には関係性の破綻や自身の精神的な不調につながる可能性があります。
③行動を束縛する、またはされる
 共依存カップルでは、相手の行動を過度に制限したり、逆に自分が相手から束縛されたりすることが頻繁に見られます。これは、相手への不安や見捨てられ不安が強いために起こります。
 具体的には、頻繁な連絡を要求したり、居場所を常に把握しようとしたり、異性との連絡や友人との外出を厳しく制限したりするといった行動が挙げられます。スマートフォンのチェックや、許可なく個人的な持ち物を見ることも束縛の一種です。束縛する側は、相手をコントロールすることで安心感を得ようとしますが、される側は自由を奪われ、息苦しさを感じます。
 一方で、束縛される側も、その関係から離れることへの恐れや、相手なしではいられないという感情から、不自由な状況を受け入れてしまうことがあります。あるいは、相手の束縛を「愛されている証拠」だと勘違いしてしまうこともあります。
 健全な関係では、お互いのプライバシーと自由を尊重し、信頼に基づいた適度な距離感が保たれますが、共依存の関係ではこの境界線が崩壊し、支配や管理といった側面が強まります。
④相手の問題行動を助長・容認する
 共依存カップルの最も特徴的な側面のひとつに、相手が抱える問題行動(アルコール依存、ギャンブル依存、借金、嘘、浮気、暴力など)を直接的、あるいは間接的に助長したり、容認したりしてしまう点が挙げられます。
 これは、共依存的なパートナーが、相手の問題を解決しようと奔走したり、問題の存在を隠したり、問題から生じる後始末をしたりすることによって起こります。
 例えば、相手が借金をしている場合、その肩代わりをしたり、嘘をついて周囲から隠したりします。
相手がアルコール依存症であれば、酔って起こしたトラブルの謝罪をしたり、飲み過ぎを咎めるどころか、飲める環境を整えてしまったりします。
 なぜこのような行動をとるのでしょうか?それは、相手の問題を解決しようとすることや、相手から「救い主」として必要とされることに、自身の価値を見出しているからです。また、「相手がいないと生きていけない」「この人を一人にしたらもっとひどくなる」といった恐れや責任感、そして見捨てられ不安が根底にあります。
 しかし、この行動は相手が自分の問題と向き合う機会を奪い、結果的に問題行動を継続させてしまうことになります。これは「助ける」行為ではなく、お互いを泥沼に引きずり込む行為と言えるでしょう。
【あなたは共依存?カップル度チェックリスト】
以下の項目について、正直に「はい」か「いいえ」で答えてみてください。
1. パートナーの気分や言動によって、自分の感情が大きく左右される。
2. パートナーなしでは、生きていけない、あるいは自分の人生が成り立たないと感じる。
3. パートナーのために、自分の友人や家族との付き合いを減らした(減らされた)。
4. パートナーの頼みを断ることが非常に難しく、無理をしてでも引き受けてしまう。
5. パートナーの機嫌が悪くなるのが怖くて、本音や意見を言えないことが多い。
6. パートナーの行動を頻繁に把握しようとする(メッセージのチェック、居場所の確認など)。
7. パートナーから、行動や人間関係を厳しく制限されている。
8. パートナーが問題(借金、飲酒、浮気など)を抱えているが、それを隠したり、後始末をしたりしている。
9. パートナーを「自分が支えなければならない」「自分にしかこの人は救えない」と思っている。
10. パートナーとの関係性で、常に疲弊感や息苦しさを感じている。

 チェックリストの結果については専門的な診断ではありませんが、上記の項目に「はい」と答えた数が多いほど、パートナーとの関係が共依存の傾向にある可能性が考えられます。
0~2個: 共依存の傾向は低いかもしれません。
3~5個: 共依存の傾向が見られます。関係性について一度深く考えてみる価値があります。
6個以上: 共依存の傾向が強く、深刻な状態である可能性があります。一人で抱え込まず、専門家への相談を検討することを強くお勧めします。

 このチェックリストは、あくまで現状を認識するための一つのツールです。重要なのは、結果に囚われることではなく、この結果を元に自分たちの関係性について話し合ったり、必要であればサポートを求めたりすることです。

 なぜ、お互いを支え合うはずのカップル関係が、共依存という不健全な形になってしまうのでしょうか。共依存に陥る背景には、個人の内面に抱える課題や、過去の経験が深く関わっていることが多いです。ここでは、共依存カップルが生まれる主な原因について掘り下げていきます。
幼少期の経験や心の傷
 共依存の根深い原因の一つに、幼少期の経験や、その時期に受けた心の傷があります。特に、以下のような環境で育った人は、共依存的な関係性に陥りやすい傾向があります。

①機能不全家族: アルコール依存症や薬物依存症の親を持つ家庭、精神疾患を抱える親を持つ家庭、慢性的に争いが絶えない家庭、過干渉やネグレクト(育児放棄)がある家庭など。このような環境では、子どもは親の世話を焼いたり、家庭内の問題を隠そうとしたりすることで、自分の安全を確保しようとします。
 その結果、自分自身の感情やニーズを後回しにし、他者の問題に過度に関わるパターンを身につけてしまいます。これは、大人になってからの人間関係でも、他者の問題に介入し、その世話を焼くことで自分の価値を見出すという形で現れることがあります。

②愛情不足・見捨てられ体験: 幼少期に安定した愛情が得られなかったり、物理的・精神的に見捨てられた経験があったりすると、強い見捨てられ不安を抱えるようになります。
 この不安から、パートナーに過度に依存したり、パートナーを失うことを極度に恐れたりします。
相手の顔色をうかがい、どんな不健全な関係であっても、一人になるよりはマシだとしがみついてしまうことがあります。

③過干渉・過保護: 逆に、親からの過干渉や過保護な環境も、共依存の原因となることがあります。自分で物事を決めたり、責任を持ったりする機会が少なかったため、自立心が育たず、大人になってからも誰かに依存しないと生きていけないと感じてしまうのです。
 これらの幼少期の経験は、アダルトチルドレンという概念とも関連が深いです。機能不全家族で育った人が、大人になってもその影響を受け、人間関係や生き方に困難を抱えることを指します。アダルトチルドレンは、共依存的な関係を築きやすい特徴を持つことが多いです。


 共依存に陥る原因は、幼少期だけではありません。過去の人間関係や恋愛において築いてきたパターンも、現在の共依存関係に影響を与えることがあります。
 例えば、過去に依存的なパートナーと関係を持っていた経験がある場合、その関係から抜け出せないまま、あるいは抜け出したとしても、再び似たような依存的な関係を選んでしまうことがあります。
これは、不健全な関係が「普通」だと認識してしまったり、そのような関係の中でしか自分の存在意義を見出せなくなってしまったりするためです。
 また、過去に自己肯定感を大きく傷つけられた経験がある人も、共依存に陥りやすい傾向があります。
いじめやパワハラ、過去のパートナーからの精神的な虐待などにより、「自分には価値がない」「どうせ誰からも愛されない」といったネガティブな自己認識を持つと、相手からのわずかな肯定や必要とされる感覚に強くしがみついてしまいます。そして、相手の顔色をうかがい、相手の期待に応えることで、失われた自己肯定感を補おうとします。
 トラウマ体験も、共依存の原因となることがあります。過去のショックな出来事により、他者を信頼することが難しくなったり、見捨てられ不安やコントロール欲求が強くなったりすることがあります。これらの感情が、パートナーとの関係性において、過度な依存や束縛という形で現れることがあります。
 共依存関係は、しばしば自分自身の内面に抱える強い不安や寂しさを、相手との関係性で埋めようとすることから始まります。つまり不安や寂しさを埋め合う関係といえます。
 一人の時間や、一人でいる状態に対する耐性が低く、常に誰かと繋がっていないと落ち着かないと感じる人が陥りやすいパターンです。
 このような人は、自分自身の心の隙間や不安定さを直視することが怖いため、パートナーを自分の心の穴を埋める存在として位置づけてしまいます。パートナーと一緒にいることで、一時的に不安や寂しさが紛れるため、その関係性に深く依存していきます。
 そして、パートナーが離れていくことを想像すると、耐えられないほどの不安や恐怖を感じるため、どんなに不健全な関係であっても、それを維持しようと必死になります。
 パートナー側も、同様に不安や寂しさを抱えていたり、誰かに必要とされたいという願望が強かったりする場合、お互いの心の隙間を埋め合うように共依存の関係が深まります。これは、表面上は「お互いを深く愛し合っている」ように見えることもありますが、実際はお互いを「心の安定剤」として利用している状態に近いと言えるでしょう。
 このような関係では、どちらかが少しでも自立しようとすると、相手は強い不安を感じて引き止めようとし、結果として共依存のサイクルが強化されてしまいます。

 共依存を続けると、その後どのようなリスク(危険性)をもってしまうのでしょうか?共依存関係は、始まった当初は「深い愛情」「強い絆」のように感じられるかもしれません。しかし、その不健全な構造は、時間と共に必ず歪みを生み出し、最終的には関係性そのものや、関わる個人の心身を深く傷つけます。ここでは、共依存カップルがたどる可能性のある「末路」と、関係を続けることによるリスクについて解説します。
①どちらか一方、または両方の精神的な破綻
②関係性の悪化や依存対象の喪失
③社会的孤立や自己実現の停滞

①どちらか一方、または両方の精神的な破綻
 共依存関係は、関わる個人の精神に深刻なダメージを与えます。常に相手の顔色をうかがい、自分の感情やニーズを押し殺す生活は、計り知れないストレスとなります。その結果、うつ病や不安障害、適応障害などの精神疾患を発症するリスクが高まります。自分の人生の主導権を相手に明け渡している感覚から、無力感や絶望感に苛まれることもあります。燃え尽き症候群のように、相手のために尽くし続けた結果、心身ともに完全に消耗してしまうケースも見られます。
 また、共依存関係では、自己破壊的な行動に走る可能性も否定できません。過食や拒食、自傷行為、アルコールや薬物への依存など、心の中に溜まった苦痛やストレスを発散しようとする形で現れることがあります。
 これは、健全な方法で感情を処理したり、問題を解決したりするスキルが育たなかったり、関係性から抜け出すエネルギーが残っていなかったりするためです。つまり、共依存は、表面的な関係性の問題だけでなく、個人の尊厳や心の健康そのものを蝕んでいくのです。
②関係性の悪化や依存対象の喪失
 共依存関係は、長期的に見て関係性を悪化させる可能性が非常に高いです。健全な成長や変化が妨げられるため、お互いに対する不満や resent(恨み、憎しみ)が蓄積されていきます。束縛やコントロールは、信頼関係を破壊し、自由を奪います。
 相手の問題行動を容認し続けることは、その問題を解決不能なレベルまで悪化させるだけでなく、問題を持つ側が「自分はこのままでいい」と誤った認識を持つことにつながります。問題を持つ側がさらに深く依存症などに陥り、回復の見込みが薄れていくこともあります。
 また、共依存関係は、依存対象の喪失という残酷な末路を迎えることもあります。相手に問題行動(借金、飲酒、ギャンブルなど)が深刻化した場合、物理的に関係を維持できなくなることがあります。逮捕されたり、病気で倒れたり、最悪の場合は命を落としたりする可能性もゼロではありません。あるいは、相手が共依存の関係から抜け出す決意をし、一方的に関係を断つこともあります。
 依存対象を失った側は、自分の人生の軸を失ったかのように感じ、激しい喪失感や混乱に陥ります。
自分一人では何もできない、生きている意味がないと感じ、さらに精神的に不安定になるリスクがあります。これは、愛情に基づく関係ではなく、お互いの弱さや病理に依存し合っていた関係であることの悲しい結末と言えるでしょう。
③社会的孤立や自己実現の停滞
 共依存カップルが二人だけの世界に閉じこもる傾向は、社会からの孤立を招きます。友人や家族との関係が疎遠になり、外部からのサポートや客観的な視点が得られにくくなります。孤立は、関係性の異常さに気づく機会を奪い、共依存のサイクルを強化してしまいます。
 また、共依存関係は、個人の自己実現や成長を著しく妨げます。自分の時間やエネルギーのすべてをパートナーのために費やし、自分のキャリア、趣味、学びたいこと、やりたいことなどを後回しにしてしまうからです。自分の夢や目標を諦め、パートナーの人生や問題にばかり関わっていると、自分自身の人生が空虚に感じられるようになります。
​ このように、 共依存は単なる恋愛の形の一つではなく、個人の心身の健康、社会とのつながり、そして自己の可能性を閉ざしてしまう深刻な問題です。この関係を続けることは、お互いを成長させるどころか、共に衰退していくリスクをはらんでいます。末路を避けるためには、問題に気づき、早期に関係性の見直しや治療に取り組むことが不可欠 です。​
 共依存から健全なカップル関係へ抜け出す方法について。共依存関係に気づき、その末路やリスクを理解した上で、次に考えるべきは「どうすればこの関係から抜け出せるのか?」ということです。 共依存からの回復は容易な道のりではありませんが、不可能ではありません。お互いが自立し、尊重し合える健全な関係を目指すための具体的なステップ をご紹介します。
ステップ1:自覚
 共依存から抜け出すための最も重要な第一歩は、自分自身が共依存の状態にあることを、事実として自覚することです。「自分は大丈夫」「これは愛情だ」といった否定の気持ちを手放し、チェックリストの結果や、これまでの関係性で感じてきた苦痛や息苦しさにしっかりと向き合う必要があります。
​ この自覚は、 自分を責めるためではありません 現状を正確に認識することで、初めて変化のためのエネルギーが生まれます。「なぜ自分はこのような関係を選んでしまうのか」「なぜ相手から離れられないのか」といった問いかけを自分自身に投げかけ、その根底にある感情や思考パターンを探ることが大切です。​
 パートナーが問題行動を抱えている場合、その問題が解決すれば共依存も解消されると考えるのは誤りです。共依存は、関係性全体と、それを築いている個人の心理的な課題に根差しています。相手を変えようとするのではなく、まずは自分自身がこの関係性においてどのような役割を担い、どのような心理状態にあるのかを理解することが、健全な関係への第一歩となります。自覚することは、痛みを伴うかもしれませんが、回復への扉を開く鍵となるのです。
ステップ2:自分自身のケアと境界線の設定
 共依存からの回復には、自分自身の心身のケアを最優先することが不可欠です。共依存関係にある人は、しばしば自分自身を後回しにしてきました。まずはそのパターンを断ち切り、自分を大切にする練習を始めましょう。
 具体的なケアとしては、十分な睡眠と栄養、適度な運動といった基本的な健康管理はもちろん、自分の好きなことや楽しいと感じる時間を作ることも大切です。趣味に没頭する、友人とおしゃべりする、一人の時間を静かに過ごすなど、パートナー以外の活動に意識的に時間とエネルギーを使いましょう。これにより、自分の世界がパートナーだけではないことを実感し、自己肯定感を高めることにもつながります。

 そして、非常に重要なのが境界線の設定です。これは、パートナーに対して「どこまでなら受け入れられるか、どこから先は受け入れられないか」という自分の限界を明確にし、それをパートナーに伝えることです。例えば
・パートナーからの過度な連絡要求に対して、「この時間は返信できない」と伝える。
・パートナーの借金の肩代わりはしないと決める。
・パートナーの感情的な不安定さに対して、自分がすべてを背負う必要はないと理解する。
・パートナーの非難や攻撃的な言葉から、距離を置く。
などが挙げられます。

 最初は罪悪感や見捨てられ不安から、境界線を設定することに抵抗を感じるかもしれません。しかし、健全な関係では、お互いが適切な境界線を持ち、それを尊重し合います。境界線を設定することは、パートナーを突き放すことではなく、お互いが一人の人間として尊重し合うために必要なステップなのです。
最初は小さなことから始め、徐々に自分の境界線を明確にしていきましょう。
ステップ3:相手とのコミュニケーションの見直し
 共依存関係は、しばしば不健全なコミュニケーションパターンによって維持されています。回復のためには、パートナーとのコミュニケーション方法を根本的に見直す必要があります。まず大切なのは、自分の本音や感情を、非難的にならずに伝える練習をすることです。
 「あなたが〇〇だから、私は△△だ」という「Youメッセージ」ではなく、 ​「私は〇〇と感じている」という「Iメッセージ」を使う​ ように心がけましょう。例えば、「あなたはいつも私を責める」ではなく、「私はあなたの言葉を聞いて、悲しい気持ちになった」のように伝えます。
 次に、相手をコントロールしようとする言動をやめることです。パートナーの行動や感情を変えようとすることは、共依存の典型的なパターンです。相手には相手自身の人生があり、その責任は相手自身にあります。相手の言動に一喜一憂するのではなく、一歩引いて見守る姿勢も必要です。
 また、建設的な話し合いの場を持つことも重要です。お互いの気持ちや考えを正直に伝え合い、関係性の課題について共に考える時間を作りましょう。ただし、感情的になったり、一方的な非難になったりする場合は、一旦中断する勇気も必要です。
 相手が変化を望まない場合、コミュニケーションの見直しはさらに難しくなります。しかし、その場合でも、自分自身が取るべき行動や、設定すべき境界線は変わります。 相手に変化を期待するのではなく、自分自身の健康と安全を守るために、どのような選択をするべきかを考える必要があります。場合によっては、関係性そのものを見直すことも、健全な未来のためには必要な決断となるかもしれません。
補足:専門家(カウンセラー等)への相談
 共依存は、個人の心の深い部分に関わる問題であり、一人で解決するのが難しいケースもあります。そのため、専門家(カウンセラー、心理士、あるいは精神科医)のサポートを受けることは、共依存から抜け出すための非常に有効な手段となります。
相談するメリットには
・客観的な視点の提供関係性の歪みや、自身の不健全なパターンを、第三者の専門的な視点から指摘してもらえる。
・適切な知識とスキルの習得共依存のメカニズム、自己肯定感を高める方法、境界線の設定方法などを学ぶことができる。
・安全な場所での感情の整理誰にも話せなかった内面の苦痛や感情を、安心して話せる環境で整理することができる。
・個別の状況に応じたアドバイス一人ひとりの抱える具体的な問題や背景に合わせたサポートを受けられる。
・幼少期の心の傷への取り組み共依存の根源にある幼少期のトラウマや心の傷に向き合い、癒すためのプロセスをサポートしてもらえる。
・関係性の見直しへのサポートパートナーとの関係をどうするか、離れるべきか続けるべきかといった難しい判断をサポートしてもらえる。

 どのような専門家を選ぶかは、状況によって異なります。カウンセラー、精神科医、保健師、精神保健福祉士、社会福祉士(適切な相談先の紹介)などが候補になります。公的なサービスであれば無料で相談できます。一方有料であれば、相談者様の都合にあわせた内容にしやすくなります。
 まずはお住まいの都道府県に設置されている精神保健福祉センターに無料電話して、相談先を一緒に考えるのも1つの方法です。
​  専門家への相談は、決して「恥ずかしいこと」や「弱いこと」ではありません。むしろ、自分自身の問題と向き合い、より良い人生を送るための賢明で勇気ある選択です。 パートナーと共にカウンセリングを受ける「カップルセラピー」、まずはご自身一人で相談を始めること、双方ともに有効です。​
​​​​​
【おわりに】
  ​​とても長い記事になりました。読んでくださってありがとうございました。共依存は、 お互いに相手に頼りすぎることが問題 でした。 健全に支え合える関係になれるよう、一歩ずつ読者様もパートナーの方も成長していけばいい のです。​​
​​  人としての成長を目指す場合、大体長い時間がかかるものが多い です。 共依存問題の解消も、魔法の杖・特効薬というものはありません 。一方、 適切な工夫や実行を続ければ、必ず効果は上がっていく ものです。そしてそこには、 単に共依存問題が解決するだけでなく、人生の質が全般的に向上するという嬉しいおまけ もついてきます。​​
​あなたなりのペースで、共依存問題の解決に向けて工夫を続けていきましょう。私も応援しています。

※参照サイト
①『こころの耳』厚生労働省
②Wikipedia
③『こころけあ』公認心理師 櫻井 良平記事監修
④『おおかみ こころのクリニック』浅田 愼太郎精神科医 監修
⑤あしたのクリニック五反田院WEBサイト​​





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Last updated  2025.09.19 20:09:10
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