KIS勉強会

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2025年11月23日
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カテゴリ: 学校・教育
さて、前回からの続きです。

元さん自身 は、自分の 軽率な行為 が幼い命を失わせてしまうところだったと反省しています。母親から 感謝 はされたけれども、それは 姉弟の命があって のことだったと自覚しています。やはり規則というものは大切であり、みんなの 平和と幸福 のために使うのだと、あらためて実感したからこそ、最後の言葉「 この年になって初めて考えさせられることばかりだ 」と言いながら処分を受け入れたのです。

この話を考える時、やはり定番教材の「 六千人の命のビザ 」というお話があります。実在した 杉原千畝さん をモデルにしたお話です。このお話もあらすじはこんな感じ。

杉原千畝 は、 外交官 としてヨーロッパで活躍していました。その頃、ドイツのヒトラーが周囲の国に攻め込み始めていました。また、ユダヤ人を差別するひどい行いもしていました。 ユダヤ人 は日本を通って他の道に逃げるしか、助かる道はありませんでした。その頃、千畝はリトアニアに領事館を開きました。ユダヤ人にビザを発行して日本を通過させてくれと幾度となく頼まれましたが、日本政府は許可を出す条件を厳しく設定していたため、 千畝は許可を出せず にいました。千畝は悩みましたが「 ここで許可を出さなければ、人として間違った行いをしたことに一生苦しむだろう 」と考え、独断でビザを発行し続けました。千畝の発行したビザは「 命のビザ 」と呼ばれ、二千枚以上も発行されたのでした。


このお話で考える道徳的価値は「 公正、公平、社会正義 」なのです。 杉原千畝 さんは、のちにイスラエルからユダヤ人の命を救った功績で「 ヤド・バシェム賞 」という名誉ある賞を受賞しています。つまり 規則を破ったのに英雄 なのです。
もちろん、帰国した 杉原千畝 さんは、当時の日本の外務省から 辞職勧告 を受けていますから元さんと同じなのですが、中学生がこのお話を読んだら素直に社会正義として受け入れ、元さんとは違うのだと理解できるでしょうか。

だからこそ、ぜひ発問としては「 元さんと杉原さんの違いは何なのだろうか 」と問いたいですね。当然、 「六千人の命のビザ 」の授業をやっている前提ですので、どちらの内容も分かったうえで考えたい道徳的価値です。
これを考えていく際に、一つの指標になるのが「 権利や生命 」でしょう。杉原千畝さんはユダヤ人の権利や生命を守るために規則違反をしましたが、元さんの場合は、入園させてしまったことで逆に姉弟の生命を危険にさらしてしまったことが考えられます。法や規則がなぜできあがってきたのかという理由について、人間の権利と生命といったより広い視点から考えることが重要なのです。

いやぁ、道徳って楽しいですね・・・



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最終更新日  2025年11月23日 05時00分06秒
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