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cozycoach @ Re:徳川忠長 兄家光の苦悩、将軍家の悲劇(感想)(11/20) いつも興味深い書物のまとめ・ご意見など…
2020.04.25
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 商いは商内とも表記され、国語辞書では、売り買いする商売や売り上げのことを言います。

 マーケットにおいては、売買取引をすることであり、また取引が活発な時を、商いが多い、取引が少ない時を商いが少ないと言います。

 “商いの春秋”(1990年3月 日本経済新聞社刊 田島 義博著)を読みました。

 著者には流通関係の諸問題をテーマにした多数の著作があり、本書には商いや流通革命などを中心とした随筆がいろいろ収められています。

 ここに収めた114編の随筆は、年号が平成と改まった直後の1月10日から、12月28日までの1年間、日経流通新聞に連載されたものです。

 「商の春秋」というタイトルは編集長がつけてくれたもので、単行本にする時、掲載順とは関係なく、テーマの似通っているものを、6つにグループ分けました。

 田島義博さんは1931年熊本県生まれ、1950年に熊本県立済ー黌高等学校を卒業しました。

 幼少時に両親を失い祖父母に育てられ、高校時代に祖父が亡くなり、高校卒業後は三池炭鉱で働きました。

 後に会社から奨学金を得て一橋大学に進学しましたが、大学3年時に結核を発病し2年間の療養生活を送りました。

 1955年に一橋大学社会学部を卒業し、翌年、社団法人日本能率協会に入社し、後年、「マネジメント」誌編集長、「市場と企業」誌編集長等を歴任しました。

 1961年にシカゴ大学に留学、1963年に能率協会を退社し、同年、自ら流通経済研究所を設立しました。

 同年9月から学習院大学経済学部専任講師となり、以後、助教授・教授を歴任し、1970年に経済学部長に就任しました。

 1991年に学校法人学習院常務理事、1992年に専務理事となり、2001年に名誉教授、2002年に学校法人学習院第24代院長・理事長に就任しましたが、在任中の2006年に75歳で急逝しました。

 日本商業学会会長、日本ダイレクトマーケティング学会会長、社団法人消費者関連専門家会議会長、通商産業省大規模小売店舗審議会会長、国税庁中央酒類審議会会長、農林水産省食品流通審議会会長を務めました。

 経済産業省産業構造審議会、国税庁国税審議会、農林水産省食料・農業・農村政策審議会等多くの政府委員も歴任しました。

 「日本の流通革命」(1962年・マネジメント新書)、「流通機構の話」(1965年・0976年・1990年・日経文庫)、「現代のセールスマンー情報を運ぶ人たち」((1969年・日経新書)、

 「インストア・マーチャンダイジングー流通情報化と小売経営革新」(1988年・単行本)、「店頭研究と消費者行動分析ー店舗内購買行動分析とその周辺」(1989年・単行本)、

 「新版 フランチャイズ・チェーンの知識」(1990年・日経文庫)、「ゼミナール 流通入門」(1997年・単行本)、「インストア・マーチャンダイジングがわかるできる-流通情報化と小売経営革新」(2001年・単行本)、

 「卸売業のロジスティクス戦略ーサプライチェーン時代の新たな中間流通の方向性」(2001年・単行本)、「マーチャンダイジングの知識 」(2004年・日経文庫)、

 「歴史に学ぶ流通の進化」(2004年・単行本)「人間力の育て方」(2005年・単行本)などの著書があります。

 商いは飽きないことであり、具体的に、

 売る商品・サービスに飽きない、営業・売り込みに飽きない、交渉・説得に飽きない、気配り・心配りに飽きない、自分とスタッフの教育に飽きない、向上・改善に飽きない、創意工夫に飽きない

 などが挙げられます。

 春秋は春と秋であり、年月や歳月、年齢やよわいを意味します。

 また、中国の史書に『春秋』があり、魯国の年次によって記録され、中国春秋時代に関する編年体の歴史書です。

 体裁は、年・時(季節)・月・日 - 記事、となっています。

 年限は、上は魯の隠公元年の紀元前722年から、下は哀公十四年の紀元前481年までの242年です。

 内容は、王や諸侯の死亡記事、戦争や会盟といった外交記事、日食・地震・洪水・蝗害といった自然災害に関する記事などが主たるもので、年月日ごとに淡々と書かれています。

 本書は論文や評論ではなく、随筆という形で、いろんな角度から自由に、商業や流通のことが書けるのは大へんな魅力だったということです。

 かつて流通の勉強を始めた時は陽の当たらない分野でしたが、このところ国際的なテーマになり、しかも、流通をめぐって日米構造協議がスター小した年に、1年間も書き続ける機会を与えられたことは、全く好運でした。

 9月末までは週2回、10月からは週3回というペースで、大へんでなかったと言えば嘘になります。

 とくに4月から学習院大学の経済学部長になったため時間に追われ 推敲が十分できなかったこともありました。

 しかし何よりも、随筆の書き方が身についていないため、あれも書きたい、これも書きたいと、気ばかり焦って、詰め込みすぎの生硬な文章になったのではないかといいます。

 「商の春秋」の章は「商の始まり」から始まり、最後の「私のたまりば」の章は「フィナーレ」で終わっています。

 今ではだれでも知っている判じものですが、30年近く前、意味がわからなくて、連れの舞妓に一本とられたことがあるそうです。

 京都の木屋町から高瀬川をひとまたぎして、河原町の裏手に入ったところに、「しるこう」という店があります。

 初めてそこへ利休弁当を食べに行った時のこと、土間の椅子に腰を下ろすと、床の間に奇妙な飾り物がありました。

 大豆を盛った五合マスが二つ並べてあって、そこに「春夏冬」と書いた短冊が立っていました。

 意味がわからなくて首をひねっていると、舞妓が、「これはネ、あきないはマメにますます繁盛と読むんどすエ」と講釈してくれました。

 秋がないからアキナイというのはわかりましたが、さて、アキナイがなぜ商業を意味するのでしょう。

 飽きることなくマメに励むからだという説がありますが、飽きずに励まねばならないのは、商業に限ったことではありません。

 「秋に担う」がつづまったという説もあります。

 出来秋に収穫物を担って、里から町に売りにくるのを言うとも、出来秋の農家収入を狙って、逆に町から里へ物を売りにゆくのを指すともいいます。

 どちらにせよ、「あきなう」「うらなう」「おとなう」などの変化語尾「なう」は「~する」という意味ですから、秋に売り買いするのが「あきなう」「商い」になった可能性は強い。

 商売あるいは商人を意味する商賈=しょうこの商は、もともと行商のことであり、賈は店売りを指すと教わったことがあります。

 商を訓ずる時、秋の行商の連想から「あきない」となったことは十分考えられます。

 そして、年の初めに昭和が平成に変わり、一時代を作った人たちがずいぶん亡くなりました。

 本当に昭和が終わったという感じがします。

 平成元年は十大ニュースを選ぶのに苦労するほど、国内でも海外でも大事件が相次ぎました。

 「商の春秋」は締め切りに追いまくられ、フィナーレを入れて114回とはよくネタがっづいたものです。

 流通の分野で規制緩和が時代の潮流になってきたのも、平成元年の特徴でしょう。

 消費者本位の流通という原点が示されて、日本の流通もこれからまだ、ひと皮もふた皮もむける必要があります。

 天安門広場事件もありましたが、ペルリンの壁が崩れたのは、世界史的な出来事でした。

 1989年はフィナーレですが、新しい時代の鼓動は確かに始まっています。

商の春秋/商の始まり/倭人伝の市/目黒と目白/万葉の市/生産の詩/主計と主税/ミセとタナ/店と見世物/たまゆらの酒/富士見酒/そうは問屋が/仲間取引/江戸店もち京商人/金持ちになる妙薬/よき手代/家職三代/見直される江戸時代/大岡越前守/明治の実業家
流通革命のながれ/一冊の本/アイダホーポテト/経済の暗黒大陸/上田辰之助先生/聖トマスの流通正義論/ヤンキー・ベドラー/ウィリアムズパークの町並み/小売りの輪/タテ割り・ヨコ割り/小さな小売店/グルメの流通/歯抜け商店街/競争も重量制に/ボランチャイズ/M&A/お国ぶり/日独流通協議/流通ビジョン/日米構造協議
新機軸を求めて/トマト銀行効果/菊のかおり/荒尾のなし酢/物ばなれ/成長と膨張/中国皿まわし/セールスマンの死/メンデルの法則/前頭葉のあらし/歌舞伎マニア/ノリとハサミ/実験店舗は十軒/情報化の夢/ラッキョウの皮むき/無店舗小売業/エレクトロ・リテイリング/流通ロボット/エレクトロマネー社会
社会は変わる/違いのわかる男たち/もぐらたたき/サービス・エース/男は黙って/営利庵/文化摩擦の背景/経営のものさし/原則のない原則/外交官とレディー/ツケ回しの合理化/危険がいっぱい/ドナウの流れ/戦争と平和/病める社会/川柳づくし/価格革命/静かな夏/国栄えて山河破る/心のオアシス
ぜいたくは素敵/ぜいたくは素敵/精神的高貴さ/キコさんブーム/浩宮さまのご研究/ゼミ旅行/プランドとセンス/メンドリ社会/女はなぜ買うか/祖母の生活技術/わけあり商品/銀座の柳/食は文化なり/食の東西/トンカツ型洋風化/肝っ玉おかみ/京の老舗/禁煙・僅煙・勤煙/冬虫夏草/忙しい道/文字の国
私のたまり場/男の和服/私のたまり場/故郷の花/銀座の原価計算/ホットケさま/外国人ホステス/外国語学習法/民謡をたずねて/ババロア/初めての地方博/ラスベガスの思い出/ダイスの目/ハーネス・レース/麻雀の話/パチンコ/マリンスポーツ/相撲とのつき合い/三年後の国技館/フィナーレ





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Last updated  2020.04.25 05:41:15
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