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ようこそ。 こえめWorld へ。カーラの話が続いています。
現実的なことよりも書きやすい、何でもありの世界。
こえめ です読んでね。
【カーラ9】
預言者セテは、疲れているのか、或いは考えているのか、
黙ったままだった。
更に時がたち、王はいよいよ
待ちきれない気持ちになってきた。
だが、恐れるものなど何も無いはずの、魔法界の王といえども、
師と仰ぐセテに対しては、神妙にならざるを得ない。
更に、先日の玉座の間での出来事を
思い起こしては、なおも己を律するのであった。
王は、聞きたい気持ちを抑えて、
魔法が作り出した、霧の幻のことを考えていた。
カーラが抱いた赤ん坊は、
いったい何を意味するのだろう。
父親がバイロンならば善し。
だがもし、人間とのあいだに生まれるのであれば、
その様なはしたないマネは、
魔法界王として、到底許せるものではない。
面倒を起こす前に、すぐにでも手を打たねばならぬ。
偽りの結婚をするか、
父に背き魔法界を追放されるか。
どちらにせよ、
カーラにとって辛い日々が続くことは
王女姫という立場上、仕方の無いことなのであった。
いくら考えても、どうするべきか答えが出るはずも無い。
なによりも父王は、娘カーラを愛しているのだった。
やがてセテがその面を上げて、
静かに語り始めた。
「そなたもご存知のとおり、魔法界の時間と、人間界の時間とでは、
流れる速さが違っておる。
現在、魔法界に対して人間界は
三倍の速さで進んでおるんじゃ。
その比率は、大きくなったり小さくなったりしながら
常に変動しておる。
今後その差は、更に大きくなるじゃろう」
王は、もどかしいさを声に出して聞いた。
「マエストロ・セテ。その事は私も知っております。
それと、先ほどの霧が示したものと、
何か関係があるのですか」
その問いには答えずに、預言者セテは、
どこか楽しんでいるような口調で言った。
「生まれてくる子どもには、何かがあるようじゃな」
「何か、とは?」
王はいぶかしげに聞いた。
「今はそれしか言えぬのじゃ。わしにとて判らぬ。
じゃが、このまま押さえつけたところで、
あのカーラが大人しく言う事を聞くとは思えまい。
ならばいっそ、思い通りにさせてやったほうが良かろう」
「それも、お告げなのですか」
「いかにも。どうやら天は、それを望んでおられるようじゃ」
そこで王は、低く呻いた。
「よく考えて見なされ。タリユス殿。
人間は、年を取るのが早い。
数年も立てば、相手は老いぼれ、
その頃には姫様も、己の立場を
じっくり考える事ができるようになるじゃろう」
そう言って、セテは深々とお辞儀をすると、
長い銀の髪を後ろに引きながら、法殿の奥へ入ってしまった。
ひとり残された王は、深くうなだれ、しばらくの間
動く事ができなかった。
(つづく)
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